JPH1096118A - 吸湿性に優れた共重合ポリエステルおよびそれを用いた吸湿性合成繊維 - Google Patents

吸湿性に優れた共重合ポリエステルおよびそれを用いた吸湿性合成繊維

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JPH1096118A
JPH1096118A JP25146096A JP25146096A JPH1096118A JP H1096118 A JPH1096118 A JP H1096118A JP 25146096 A JP25146096 A JP 25146096A JP 25146096 A JP25146096 A JP 25146096A JP H1096118 A JPH1096118 A JP H1096118A
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copolyester
hygroscopicity
fiber
core
polyester
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JP25146096A
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Inventor
Hiroshi Ootsuzumi
大皷  寛
Tetsuya Tsunekawa
哲也 恒川
Michinori Higuchi
徹憲 樋口
Masami Ota
雅巳 太田
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、前記従来技術の問題点を克
服する吸湿率の高い共重合ポリエステルを提供すること
および、商品価値の高い吸湿性合成繊維を提供すること
にある。 【解決手段】 親水性化合物(A)と結晶化阻害ユニッ
ト(B)を共重合したポリエステルであって、親水性化
合物(A)と結晶化阻害ユニット(B)の重量和が全ポ
リマ重量に対して40〜99%共重合した、吸放湿パラ
メータ(ΔMR)が30%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は優れた吸湿特性を持
たせるために構造制御した共重合ポリエステルおよびそ
れを用いた熱可塑性合成繊維に関するものであり、更に
詳しくはインナー、中衣、スポーツ衣料などの衣料用素
材に特に好適に使用することができるものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルやポリアミドに代表される
熱可塑性合成繊維は機械的強度、対薬品性などに優れる
ため、衣料用途や産業用途などを主体に広く使用されて
いる。
【0003】しかしながら、これらの合成繊維は極めて
吸湿性が低いため、インナー、中衣、スポーツ衣料など
のように直接肌に触れて、あるいは肌側に近い状態で着
用される分野に使用する場合には、肌からの発汗による
ムレやベタツキなどを生じ、快適性の点で天然繊維より
劣り、前記衣料用途への進出は限定されているのが現状
である。この点を解消するため、たとえば特開昭51ー
67465号公報あるいは特開昭60ー215835号
公報に記載されているように、平衡水分率(吸湿率)の
高い繊維と合成繊維との混纎、合撚、引揃えなどによる
布帛として吸湿快適性は向上するものの、その効果は十
分とはいえず、合成繊維を染色する際に一般的に使用さ
れる分散染料によって汚染を生じたり、同色性に劣った
り、合成繊維本来の物理的特性が失われるという問題点
があった。
【0004】また、ポリエステル繊維にアクリル酸やメ
タアクリル酸をグラフト重合することと、更にグラフト
重合後にそれらのカルボキシル基をアルカリ金属で置換
することにより吸湿性を付与する方法が知られている
が、ポリエステルがグラフト重合しにくい素材であるこ
と、および染色堅牢性や耐光性、繊維物理特性、風合い
などの低下を潜在的に有していることから、実用化には
至っていない。
【0005】後加工段階で吸湿性を付与する方法では染
色時あるいは得られた布帛特性の点で種々の問題がある
ので、繊維を製造する段階で吸湿性を付与しかつ前記問
題点を解消するため、常湿度下で吸湿率が10%以上の
吸湿性樹脂を芯部とし、鞘部としてポリエステルで覆っ
た芯鞘型複合繊維が特開平2ー99612号公報で提案
されている。しかしながら、この方法では精練や染色な
どの熱処理時に芯部の吸湿性樹脂が水を吸水し大きく膨
潤するため繊維表面にひび割れを生じせしめ、水に対す
る溶解性が高いため外部へ流出してしまう欠点があっ
た。
【0006】また、特開昭51ー136924号公報に
は親水性ポリエステルを芯成分、非親水性ポリエステル
を鞘成分とする芯鞘型複合ステープルについて提案され
ている。親水性ポリエステルとしてポリアルキレングリ
コール共重合体単独あるいは少量のポリアルキレングリ
コール共重合体に少量のスルホン酸や酸性リン酸エステ
ル誘導体を配合したものを用いるものであり、ステープ
ルとして繊維両端面を増加させて吸水性向上させようと
いう提案である。しかし該ステープルでは吸水性は向上
させることはできるが、吸湿性の向上は得られないこと
が知られている。
【0007】特開昭53ー111116号公報には特定
のポリエーテルエステルを芯成分とした芯鞘型の制電性
複合繊維が提案されている。しかし、該繊維の効果は制
電性であり、ポリアルキレングリコールを単独共重合し
たポリエステルを芯成分として用いているため、繊維物
性(強伸度特性)が経時的に変化するという問題があっ
た。また該ポリエーテルエステルの着色は激しく、得ら
れる最終製品の品位が損なわれるといった問題もある。
【0008】また、特開昭62ー267352号公報に
は特定のポリアルキレングリコールを50〜70重量%
配向してなるポリエステル組成物が開示されている。こ
の組成物からなる繊維では、繊維物性(強伸度)が低
く、また耐水性および染色堅牢制におとるため衣料用お
よび産業用での使用は困難である。
【0009】さらに、特開平6ー123012号公報に
は芯鞘型吸湿性ポリエステル繊維が開示されている。こ
れはアルキレンスルホイソフタレートおよびポリオキシ
アルキレングリコールを共重合したポリエステルにブロ
ックポリエーテルエステルをブレンドして芯ポリマとし
て用いたものであるが、該芯鞘複合糸の芯成分中のポリ
アルキレングリコールの共重合量は少なく、十分な吸湿
性を得ることは困難である。
【0010】また特開昭53ー99296号公報、特開
昭58ー138753号公報および特開平6ー1361
07号公報等にビスフェノールAーEO付加物を用いた
ポリエーテルエステルに関する開示がある。しかしなが
ら、これらの共重合ポリマの吸湿特性は低く、また該ポ
リマを用いた合成繊維は経時的な物性変化、例えば伸度
の低下が容易に起こるため、製織や製編時にトラブルが
発生しやすく実用化できていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の問題点を克服する吸湿率の高い共重合ポリエ
ステルを提供することおよび、商品価値の高い吸湿性合
成繊維を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、各種共重合ポリエステルおよび、それを構成成分と
して含む繊維について検討し、後述の結晶化阻害ユニッ
トを共重合成分として使用することが極めて有効である
ことを見い出すに至った。即ち、本発明の骨子は「親水
性化合物(A)と結晶化阻害ユニット(B)を共重合し
たポリエステルであって、親水性化合物(A)と結晶化
阻害ユニット(B)の重量和が全ポリマ重量に対して4
0〜99%共重合した、吸放湿パラメータ(ΔMR)が
30%以上である、吸湿性に優れた共重合ポリエステル
およびそれを用いた合成繊維」である。
【0013】
【発明の実施の形態】共重合ポリエステルは本発明の目
的である繊維に吸湿性を付与する成分であり、ベースと
なる繊維形成重合体よりも高い吸湿性を有することが必
須である。
【0014】共重合ポリエステルの酸性分としては、テ
レフタル酸、イソフタル酸、ナウフタレンー2、6ージ
カルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、サバ
シン酸等の脂肪族カルボン酸等があげられる。特に好ま
しいのはテレフタル酸である。また、グリコール成分と
してエチレングリコール、プロピレングリコール、テト
ラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペ
ンチルグリコール等があげられる。特に好ましいのはエ
チレングリコールである。共重合ポリエステルに吸湿性
を付与するためには親水性化合物(A)を共重合するこ
とが必須であり、さらに結晶化阻害ユニット(B)を共
重合すると吸湿性が大幅に向上する。
【0015】本発明で用いる吸放湿パラメータ(以下Δ
MRと記す)とは、30℃×90%RHでの吸湿率(M
R2)から20℃×65%RHでの吸湿率(MR1)を
引いた差である(ΔMR(%)=MR2ーMR1)。こ
こでΔMRは衣服着用時の衣服内の湿気を外気に放出す
ることにより快適性をえるためのドライビングフォース
であり、軽〜中運動適性を行った際の30℃×90%R
Hに代表される外気湿度との吸湿率差である。本発明で
は吸湿性評価の尺度としてこのΔMRをパラメータとし
て用いている。ΔMRは大きければ大きいほど吸放湿能
力が高く着用時の快適性が良好であることに対応する。
本発明におけるΔMRはより高いほうが好ましいが30
%以上であることが必要である。好ましくは33%以
上、特に好ましくは35%以上である。
【0016】また、ΔMRは現実的には80%以下であ
る。安定した繊維物性を得るためには70%以下が好ま
しい。
【0017】共重合ポリエステルの親水性化合物(A)
と結晶化阻害ユニット(B)の共重合量の和は、吸湿性
および製糸性の観点から、40〜99重量%が必要であ
る。さらに好ましくは50〜90重量%、特に好ましく
は55〜90重量%である。
【0018】親水性化合物(A)としてはエステル形成
性基を1個以上含有する化合物であれば特に限定しない
が、代表的な化合物としてポリオキシアルキレン化合
物、ポリオキサゾリン類、ポリアクリルアミドとその誘
導体、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(メタ)
アクリル酸およびその塩、ポリヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ポリビニルアルコール、およびポリ
ビニルピロリドンなどがあげられる。その中でもポリオ
キシアルキレン化合物が好ましく、特にポリエチレング
リコールが好ましい。
【0019】さらに、親水性化合物(A)の分子量はポ
リエステルとの相溶性およびポリエステル中の分散性の
点で600〜20000が好ましく、さらに好ましくは
1000〜12000であり、特に好ましくは4000
〜10000である。結晶化阻害ユニット(B)は親水
性化合物(A)の結晶性を低下させる効果を持つ構造単
位であり、親水性化合物(A)中に取り込まれた状態で
存在することが好ましい。このため、親水性化合物
(A)との基本骨格が等しい、または類似した構造をも
つことが好ましい。このとき結晶化阻害ユニット(B)
は、親水性化合物中に分散していても、ブロック化して
いてもかまわない。この結晶化阻害ユニット(B)は主
鎖に置換基(X)が1個以上ついている必ことが好まし
く、例えば親水性化合物(A)にポリアルキレングリコ
ールを用いた場合は式化1に示す構造を持つことが好ま
しい。
【0020】
【化1】 (式中l、nは0以上の整数、但しl+n>1である。
mは1以上の整数。) さらに、ポリエチレングリコールと等しい基本骨格を持
つ構造単位である式化2に示す構造単位を持つことはよ
り好ましい。
【0021】
【化2】 結晶化阻害ユニット(B)は、置換基(X)の双極子ー
双極子相互作用によって、親水性化合物(A)の結晶構
造を変化させる。そのため、置換基(X)は強い電子吸
引性を持ち、部分的に強い極性を与えるものであれば特
に限定しないが、化学便覧基礎編(改訂4版)IIー3
47、348記載のハメットの置換基定数であるσpが
0.3以上であることが好ましい。好ましくは、σpが
0.4以上、特に好ましくはσpが0.5以上である。
なお、σpは実質的に5を越えることはない。
【0022】前記条件を満たす置換基(X)として、シ
アノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、
酢酸メチル基、ニトロ基に代表される、シアノ、ハロゲ
ン、エステル、ニトロ化合物およびその誘導体を含むも
のが挙げられる。より好ましくはシアノ基、ハロゲン化
メチル等であり、特に好ましくはシアノ基である。さら
に結晶化阻害ユニット中の置換基(X)は2種類以上の
異なった置換基を同一系内に用いてもよい。また、好ま
しい置換基の形状としては、置換基の内部回転によっ
て、双極子の方向が大きく変化しないことが挙げらられ
る。双極子の方向に自由度が大きいと、置換基の内部回
転のみで系の双極子を打ち消す事が可能となり、親水性
化合物(A)の結晶性低下の効果が十分に得られないた
めである。
【0023】本発明では、親水性化合物(A)の繰り返
し単位と、(化1)または(化2)で示されるような結
晶化阻害ユニット(B)の単位との比率をユニットモル
比と(%)する。親水性化合物(A)と結晶化阻害ユニ
ット(B)のユニットモル比(%)は親水性化合物
(A)/結晶化阻害ユニット(B)が5/95〜90/
10であることが好ましい。さらに好ましくは50/5
0〜90/10、特に好ましくは70/30〜90/1
0である。
【0024】また共重合ポリエステルには、本発明の目
的を損なわない範囲で酸化チタン、カーボンブラック等
の顔料、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性
剤、従来公知の坑酸化剤、着色防止剤、対光剤、帯電防
止剤等が添加されても勿論良い。
【0025】本発明の共重合ポリエステルを繊維形成重
合体の構成成分として用いることで今迄にない高い吸湿
性を持ち、かつ繊維形成性重合体の繊維物性を損なわな
い合成繊維を得ることができる。
【0026】また本発明において繊維形成重合体として
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナ
イロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリ
エステルが挙げられるがこれらに限定されるものではな
い。好ましくは衣料用合成繊維として最も汎用性の高
い、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエス
テルである。
【0027】合成繊維の形態として、芯鞘型複合繊維、
芯鞘型複合中空繊維等があげられ、本発明の吸湿性ポリ
エステルを任意の割合で構成成分として用いることがで
きる。
【0028】例えば、芯鞘型複合繊維(図1)および芯
鞘型複合中空繊維(図2)の場合、芯部の共重合ポリエ
ステルの複合比率(重量%)は芯/鞘=5/95〜90
/10とすることが好ましい。さらに好ましくは7/9
3〜50/50、特に好ましくは10/90〜30/7
0である。複合比率は染色用途および染色なしの用途で
任意に選ぶことができる。芯部の複合比率は十分な吸湿
性を付与する目的から設定され、複合繊維比率の上限は
紡糸性の低下や繊維物性の低下を防止する観点から設定
される。
【0029】実用常の着用快適性を得るためには合成繊
維のΔMRは経時変化が問題とならない範囲で高いほど
好ましく、2.5%以上、さらに好ましくは2.8%以
上、特に好ましくは3.0%以上である。
【0030】本発明において繊維形成重合体に複合する
主成分は、前記した共重合ポリエステルであるが、その
効果を損なわない範囲でポリオレフィン、ポリアミド、
ポリエステル、ポリカーボネート等を含んでもよい。
【0031】また繊維形成重合体には、酸化チタン、カ
ーボンブラック等の顔料のほか従来公知の坑酸化剤、着
色防止剤、対光剤、帯電防止剤等が添加されても勿論よ
い。
【0032】本発明においてポリエステルと上記共重合
ポリエステルを用いる複合繊維の製法としては従来公知
の方法で製造することができるが、以下に代表して芯鞘
型複合繊維の製法を示す。
【0033】例えば、芯鞘複合繊維の場合、ポリエステ
ル(鞘部)と本発明の共重合ポリエステル(芯部)をそ
れぞれ別々に溶融し、紡糸パックに導き口金装置内で芯
鞘複合流を形成し、吐出孔から紡出する。
【0034】紡出したフィラメント糸を所定の速度で引
取った後、一端パッケージに巻き上げ、得られた未延伸
糸を通常の延伸機にて延伸する。また、この延伸は紡出
糸を引取った後巻取ることなく連続して行い巻上げても
よいし、4000m/分以上の高速で引取り実質的に延
伸することなく一挙に所望の繊維性能を得る方法を取っ
てもよい。
【0035】直接紡糸延伸法としては、例えば、紡出糸
を1000〜5000m/分で引取り、引続いて300
0〜6000m/分で延伸・熱固定する方法が挙げられ
る。
【0036】本発明の合成繊維の断面形状は丸ばかりで
なく、三角、偏平、多葉型などの異形断面でもよい。ま
た、該合成繊維の糸状形態は、フィラメント、ステープ
ルのどちらでもよく、用途によって適宜選定される。布
帛形態としては、織物、編物、不織布など目的に応じて
適宜選択できる。
【0037】
【実施例】以下本発明を実施例により、さらに詳細に説
明する。なお、実施例中の各特性値は次の方法によって
求めた。
【0038】A.ポリエステルの極限粘度[η] オリトクロロフェノール溶液とし、25℃で求めた。
【0039】B.共重合ポリエステルおよびそれを用い
た繊維の吸放湿性パラメータ(ΔMR) 吸湿率はポリマの場合、チップ1gを約2mm角の立方
体に裁断し、また繊維の場合には原糸または布帛1〜3
gを用い、絶乾時の重量と20℃×65%RHあるいは
30℃×90%RHの雰囲気下、恒温恒湿器(タバイ製
PRー2G)中に24時間放置後の重量との重量変化か
ら、次式で求めた。 吸湿率(%)=(吸湿後の重量−絶乾時の重量)/絶乾
時の重量×100 上記測定した20℃×65%RHおよび30℃×90%
RHの条件での吸湿率(それぞれMR1およびMR2と
する)から、吸湿率差ΔMR(%)=MR2ーMR1を
求めた。共重合ポリエステルのΔMRは高いほどよく、
その評価としてΔMR≧35を○、30≦ΔMR<35
を△、ΔMR<30を×と表示した。
【0040】C.強度、伸度 東洋ボールドウィン社製テンシイロン引張り試験機を用
いて試長20cm、引張り速度10cm/分の条件で応
力ー歪み曲線から値を求めた。
【0041】D.繊維の経時変化 延伸糸を20℃、20%RHの雰囲気化に一ケ月放置
し、C項に記した強伸度特性について延伸直後と比較し
(例えば40%であった伸度が32%以下となる場合)
を△、16%以上と大きく低下した場合(例えば40%
であった伸度が24%以下となる場合)を×とした。
【0042】実施例1 共重合ポリエステルとして、ジメチルテレフタル酸と、
エチレングリコールを加え、140〜230℃でメタノ
ールを留出しつつエステル交換反応を行った後、ポリエ
チレングリコールとシアノ基を側鎖に持つエチレングリ
コールのユニットモル比が、90/10である分子量6
000の吸湿性ポリマと重合させ、共重合ポリエステル
を得た。またこの共重合体に共重合された上記吸湿性ポ
リマの割合は60wt%であった。得られたポリエステ
ルのΔMRは36.0%(MR1=1.5、MR2=3
7.5)であった。
【0043】該共重合ポリエステルを芯成分とし、極限
粘度0.70のポリエチレンテレフタレートを鞘成分と
して別々に溶融し、同心円芯鞘複合口金から芯/鞘比率
(重合比率)=15/85になるように吐出して未延伸
糸を得、次いで延伸、熱処理することにより75デニー
ル24フィラメントの同心円芯鞘複合繊維を得た。この
繊維を筒網みとし、吸放湿特性を測定したところΔMR
=6.0であり、共伸度特性を良好であった。また、経
時的な伸度低下を生じなかった。
【0044】実施例2、3、比較例1 実施例1において、共重合ポリエステル中のポリエチレ
ンテレフタレート共重合比率を一定として、ポリエチレ
ングリコールとシアノ基を置換基に持つエチレングリコ
ールのユニットモル比率を変化させた以外は実施例1と
同様な方法により共重合ポリエステルを得た。実施例1
と同様に繊維化して繊維特性を表1にまとめた。比較例
1においては吸湿特性が低く、経時的な伸度低下が生じ
た。
【0045】
【表1】 実施例4〜6、比較例2、3 結晶化阻害ユニットの側鎖をトリフルオロメチル基、ト
リクロロメチル基、酢酸メチル基、ベンゾイル基、t―
ブチル基とする以外は実施例1と同様な方法により共重
合ポリエステルを得た。実施例1と同様に繊維化して繊
維特性を表2にまとめた。ベンゾイル基(比較例2)、
t―ブチル基(比較例3)を側鎖を側鎖に用いると、十
分な吸湿性が得られなかった。
【0046】
【表2】 実施例7〜9 結晶化阻害ユニットの側鎖の種類をシアノ基と、トリフ
ルオロメチル基を同時に用いる以外は実施例1と同様な
方法により共重合ポリエステルを得た。実施例1と同様
に繊維化して繊維特性を表3にまとめた。
【0047】
【表3】 実施例10〜17 実施例1と同様に、ポリエチレングリコールとシアン化
エチレングリコールの重量比を一定とし、ポリエチレン
グリコールの分子量または共重合量を変更する以外は実
施例1と同様な方法により共重合ポリエステルを得た。
実施例1と同様に繊維化して繊維特性を表4にまとめ
た。ポリエチレングリコールの共重合量が40重量%よ
り少ないもの(比較例4)は十分な吸湿性が得られず、
ポリエチレングリコールの共重合量が99重量%より多
いと(比較例5)繊維化した場合、共重合ポリエステル
の曳糸性が低く、糸切れが多発し、複合繊維は得られな
かった。
【0048】
【表4】
【0049】
【発明の効果】本発明によって得られた共重合ポリエス
テルは従来にない高い吸湿性を有しており、またそれを
用いた合成繊維は、着用快適性を得るのに十分吸湿性を
有し、かつドライタッチな風合いと高い染色堅牢性を有
している。本発明の合成繊維は、下着、シャツ・ブラウ
ス類、中衣、スポーツウェア、スラックス類、外衣、裏
地、カーテン、壁紙、さらには、シーツ、フトンカバ
ー、詰め綿等の寝装用に適しており、極めて実用性の高
いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の芯鞘型複合繊維の横断面の例示図
【図2】本発明の芯鞘型複合中空繊維の横断面の例示図
【符号の説明】
1.共重合ポリエステル 2.繊維形成ポリエステル 3.中空部分
フロントページの続き (72)発明者 太田 雅巳 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性化合物(A)と結晶化阻害ユニッ
    ト(B)を共重合したポリエステルであって、親水性化
    合物(A)と結晶化阻害ユニット(B)の重量和が全ポ
    リマ重量に対して40〜99%共重合した、吸放湿パラ
    メータ(ΔMR)が30%以上である、吸湿性に優れた
    共重合ポリエステル。
  2. 【請求項2】 親水性化合物(A)として、ポリオキシ
    アルキレンを用いることを特徴とする請求項1記載の吸
    湿性に優れた共重合ポリエステル。
  3. 【請求項3】 親水性化合物(A)の分子量が600〜
    20000であることを特徴とする請求項1又は2記載
    の吸湿性に優れた共重合ポリエステル。
  4. 【請求項4】 結晶化阻害ユニット(B)として、ポリ
    オキシアルキレンの側鎖に一種類以上の置換基(X)が
    加えられた化合物を用いたことを特徴とする請求項1〜
    3記載の吸湿性に優れた共重合ポリエステル。
  5. 【請求項5】 結晶化阻害ユニット(B)の置換基
    (X)はハメットの置換基定数(σp)が0.3以上で
    あることを特徴とする請求項1〜4記載の吸湿性に優れ
    た共重合ポリエステル。
  6. 【請求項6】 結晶化阻害ユニット(B)の置換基
    (X)が、シアノ、ハロゲン、エステル、ニトロを含む
    極性基であることを特徴とする請求項1〜5記載の吸湿
    性に優れた共重合ポリエステル。
  7. 【請求項7】 結晶化阻害ユニット(B)の置換基
    (X)として、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリ
    クロロメチル基、酢酸メチル基、ニトロ基の中から選ば
    れる少なくとも1種以上の置換基を有することを特徴と
    する請求項1〜6記載の吸湿性に優れた共重合ポリエス
    テル。
  8. 【請求項8】 結晶化阻害ユニット(B)の少なくとも
    一端は親水性化合物(A)と結合している事を特徴とす
    る請求項1記載の吸湿性に優れた共重合ポリエステル。
  9. 【請求項9】 親水性化合物(A)/結晶化阻害ユニッ
    ト(B)のユニットモル比(%)が5/95〜90/1
    0であることを特徴とする請求項1〜8記載の吸湿性に
    優れた共重合ポリエステル。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9いずれか1項記載の共重
    合ポリエステルを構成成分として用いた吸湿性に優れた
    複合繊維。
  11. 【請求項11】 芯部/鞘部の複合比率(重量%)が5
    /95〜90/10である芯鞘複合繊維であって、鞘部
    に繊維形成性重合体を用い、芯成分に請求項1〜9のい
    ずれか1項記載の共重合ポリエステルを用いたことを特
    徴とする吸湿性に優れた芯鞘型複合繊維。
  12. 【請求項12】 芯部/鞘部の複合比率(重量%)が5
    /95〜90/10である芯鞘複合繊維であって、鞘部
    に繊維形成性重合体を用い、芯成分に請求項1〜9のい
    ずれか1項記載の共重合ポリエステルを用い、かつ該芯
    部が複合繊維内部に設けた中空部分と接していることを
    特徴とする吸湿性に優れた芯鞘型複合繊維。
  13. 【請求項13】 繊維形成重合体がポリエステルである
    ことを特徴とする請求項11〜12のいずれか1項記載
    の吸湿性に優れた複合繊維。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100400725C (zh) * 2006-02-09 2008-07-09 北京服装学院 抗静电、吸湿、可染皮芯型复合纤维及其制备方法
CN105297230A (zh) * 2014-07-22 2016-02-03 句容市润龙纺织品有限公司 一种功能性速干吸湿排汗纤维及其制备方法
JP2017043860A (ja) * 2015-08-27 2017-03-02 東レ株式会社 芯部が相分離構造を有する芯鞘型複合繊維
JP2020117828A (ja) * 2019-01-23 2020-08-06 東レ株式会社 吸湿性芯鞘型複合繊維および繊維構造体

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