JPH07268095A - 芳香族ポリエーテルアミドの製造方法及び芳香族ポリエーテルアミド - Google Patents

芳香族ポリエーテルアミドの製造方法及び芳香族ポリエーテルアミド

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JPH07268095A
JPH07268095A JP8104194A JP8104194A JPH07268095A JP H07268095 A JPH07268095 A JP H07268095A JP 8104194 A JP8104194 A JP 8104194A JP 8104194 A JP8104194 A JP 8104194A JP H07268095 A JPH07268095 A JP H07268095A
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aromatic
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carbon atoms
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JP8104194A
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Inventor
Shigeru Matsuo
松尾  茂
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 主鎖にアミド基を有し、耐熱性及び耐溶剤性
に優れる芳香族ポリエーテルアミドを比較的低温で効率
よく製造する方法、及び、耐熱性、耐溶剤性に優れる上
に、優れた機械的強度及び成形性を有する芳香族ポリエ
ーテルアミドを提供する。 【構成】 活性なハロゲン置換基を2個有するジハロゲ
ノ芳香族化合物(I)とアミド含有2価フェノール(I
I)を、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属重炭酸塩
の存在下、中性極性溶媒中で加熱することにより芳香族
ポリエーテルアミド(III)のを製造する。 (Ar1は電子吸引性基を含有する2価の芳香族基であ
り、Xはハロゲン、Ar2は2価の芳香族基。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族ポリエーテルア
ミドの製造方法及びその製造法によって得られる芳香族
ポリエーテルアミドに関する。更に詳しくは、本発明
は、耐熱性、耐溶剤性に優れる芳香族ポリエーテルを容
易に製造しうる芳香族ポリエーテルアミドの製造方法及
びその製造法方法よって得られる芳香族ポリエーテルア
ミドに関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリエーテルは、優れた耐熱性及
び機械的強度をもつことから、エンジニアリングプラス
チックとして自動車、電気・電子機器分野、機械分野等
の産業分野で広く使用されている。また、芳香族ポリエ
ーテルにはエンジニアリングプラスチックとしてのみな
らず、分離膜等の機能材料としても応用されているもの
がある。しかし、エンジニアリングプラスチックに対す
る要求性能が年々厳しくなってきていることや芳香族ポ
リエーテルの用途の拡大などを考慮すると、従来の芳香
族ポリエーテルだけでは不十分であり、さらに高性能、
高機能的な新しい芳香族ポリエーテルと、それら新しい
芳香族ポリエーテルを容易に高収率で製造することを可
能とする製造方法の開発が望まれている。例えば、芳香
族ポリエーテルは汎用ポリマーに比べると耐熱性におい
て優れてはいるものの、フレキシブルなエーテル結合に
より、更なるガラス転位温度の上昇が困難であるという
問題がある。また、非晶性の芳香族ポリエーテルはハロ
ゲン系溶媒に溶解するため、その利用分野が限られると
いう難点があり、耐溶剤性の向上が望まれている。
【0003】厳しい要求性能を満足しうる結晶性のエン
ジニアリングプラスチックとしては、芳香族ポリエーテ
ルケトンが知られている(特開昭54−90296号公
報)。しかしながら、この芳香族ポリエーテルケトンに
おいても、ガラス転移温度が145℃程度と以外に低い
という問題点があり、ガラス転移温度以上の温度では剛
性を十分に維持することができない。
【0004】特開平4−275328号公報には、ジハ
ロゲノベンゾニトリルとアルカリ金属の炭酸塩又は炭酸
水素塩をシリカ系化合物の存在下で反応させることによ
るオキシ(シアノフェニレン)単位からなる芳香族ポリ
エーテルの製造が記載されている。この芳香族ポリエー
テルは十分に高いガラス転移温度を有するものの、成形
性が不十分である。
【0005】特開平1−153722号公報には、2,
8−ビス(4−ハロゲノベンゾイル)ジベンゾフランと
芳香族活性ジハライドとのシリカ系触媒の存在下におけ
るアルカリ金属の炭酸塩又は炭酸水素塩による自己エー
テル化縮重合反応、あるいは2,8−ビス(4−ハロゲ
ノベンゾイル)ジベンゾフラン及び2,8−ビス(4−
ヒドロキシベンゾイル)ジベンゾフランの少なくとも一
方を成分とする芳香族活性ジハライドと芳香族ジヒドロ
キシ化合物とのアルカリ存在下における重縮合反応によ
るポリエーテルケトン系共重合体の製造が記載されてい
る。しかしながら、この公報記載の反応方法は重合に高
温を要するという難点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐熱
性及び耐溶剤性に優れる芳香族ポリエーテル系ポリマー
と、そのポリマーを容易に製造することが可能である製
造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、共重合モノ
マーとして活性なハロゲン原子を有するジハロゲノ芳香
族化合物とアミド(−CONH−)を含有する2価フェ
ノールとを用いて重縮合反応を行うことにより、エーテ
ル結合の間に耐熱性及び耐溶剤性に優れるアミドが介在
する芳香族ポリエーテルアミドを容易に製造することが
できることを見出した。また本発明者は、この方法によ
り得られる芳香族ポリエーテルアミドが、従来の芳香族
ポリエーテルに比べて耐熱性及び耐溶剤性に優れる上
に、良好な成形性及び機械的強度を有することを見出
し、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、活性なハロゲン置換基を
2個有するジハロゲノ芳香族化合物とアミド含有2価フ
ェノールを、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属重炭
酸塩の存在下、中性極性溶媒中で加熱することを特徴と
する芳香族ポリエーテルアミドの製造方法を提供するも
のである。
【0009】本発明の製造方法によれば、上記ジハロゲ
ノ芳香族化合物とアミド含有2価フェノールとの重縮合
反応が比較的低温で円滑に進行し、エーテル結合間にア
ミドが介在する芳香族ポリエーテルアミドを高収率で得
ることができる。
【0010】本発明の方法に好適に用いられる上記ジハ
ロゲノ芳香族化合物の例としては、下記一般式(I)
【0011】
【化9】 (式中、Ar1は電子吸引性基を含有する2価の芳香族
基であり、Xはハロゲン原子である。)で表されるジハ
ロゲノ芳香族化合物(I)が挙げられ、上記アミド含有
2価フェノールの好適な例としては、下記一般式(I
I)
【0012】
【化10】 (式中、Ar2は2価の芳香族基である。)で表される
アミド含有2価フェノール(II)が挙げられる。
【0013】本発明の製造方法において上記ジハロゲノ
芳香族化合物(I)及び上記アミド含有2価フェノール
(II)を原料として用いた場合には、下記一般式(I
II)
【0014】
【化11】 (式中、Ar1及びAr2は上記と同じ意味を有する。)
で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリエーテルア
ミドを比較的低温で効率よく得ることができる。
【0015】また本発明者は、本発明の製造方法によっ
て得られる上記芳香族ポリエーテルアミドの中でも、特
定範囲の還元粘度を有するものが耐熱性、耐溶剤性、機
械的強度、成形性等にも優れることを見出した。
【0016】すなわち、本発明は上記繰り返し単位(I
II)を有し、N−メチルピロリドンを溶媒とする0.
2g/dl濃度の溶液の30℃における還元粘度が0.
2〜5.0dl/gであることを特徴とする芳香族ポリ
エーテルアミドをも提供するものである。
【0017】本発明の製造方法に好適に用いられるジハ
ロゲノ芳香族化合物(I)を表す一般式(I)中、Ar
1は電子吸引性基を有する2価の芳香族基を示すが、こ
の芳香族基中の電子吸引性基としては、例えば、シアノ
基、−CO−、−SO 2−、複素環等が挙げられる。ま
た、Ar1の具体例としては、下記のものが挙げられ
る。
【0018】
【化12】 (式中、pは1〜3の整数であり、Ar3は炭素数6〜
12の芳香族基であり、ベンゼン環は炭素数1〜10の
炭化水素基又は炭素数1〜10のヘテロ原子含有炭化水
素基で置換されていてもよい。) 中でも好適なAr1の例としては、下記のものが挙げら
れる。
【0019】
【化13】 一般式(I)中、Xはハロゲン原子を表し、このハロゲ
ン原子としては特に限定はないが、通常、フッ素原子、
塩素原子が好ましい。なお、このジハロゲノ芳香族化合
物(I)としてジハロゲノベンゾニトリルを用いる場
合、ハロゲン原子はシアノ基の2,4−位又は2,6−
位に結合していることが好ましい。
【0020】本発明で好適に用いられるジハロゲノ芳香
族化合物(I)の具体例としては、2,6−ジクロロベ
ンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2
−クロロ−6−フルオロベンゾニトリル、2,4−ジク
ロロベンゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニトリ
ル、2−クロロ−4−フルオロベンゾニトリル、4,
4′−ジクロロベンゾフェノン、4,4′−ジフルオロ
ベンゾフェノン、4,4′−ジブロモベンゾフェノン、
4,4′−ジクロロテレフタロフェノン、4,4′−ジ
フルオロテレフタロフェノン、4,4′−ジクロロジフ
ェニルスルホン、4,4′−ジフルオロジフェニルスル
ホン、2,8−ビス(4−クロロベンゾイル)ジベンゾ
フラン、2,8−ビス(4−フルオロベンゾイル)ジベ
ンゾフラン、2,8−ビス(4−クロロベンゾイル)ジ
ベンゾチオフェン、2,8−ビス(4−フルオロベンゾ
イル)ジベンゾチオフェン等が挙げられる。
【0021】中でも、2,6−ジフルオロベンゾニトリ
ル、4,4′−ジフルオロジフェニルスルホン、4,
4′−ジフルオロベンゾフェノンが好適に用いられる。
【0022】これらジハロゲノ芳香族化合物(I)は1
種のみを用いても2種以上を用いてもよい。
【0023】本発明の製造方法に好適に用いられるアミ
ド含有2価フェノール(II)を表す一般式(II)中
のAr2の例としては、下記式
【0024】
【化14】 (式中、Z1は化学結合、−O−、−CO−、−S−、
−SO2−、2価のアルキレン基又は2価のアリーレン
基を示し、qは0〜2の整数を示す。)で表されるもの
が挙げられる。中でも、下記式
【0025】
【化15】 (式中、Zは−O−、−CO−、−S−、2価のアルキ
レン基又は化学結合である。)で表されるものが好まし
い。なお、上記2価のアルキレン基又は2価のアリーレ
ン基としては、炭素数1〜13の2価のアルキレン基又
は炭素数6〜13の2価のアリーレン基が好ましい。こ
れらAr2基の中でも特に好ましいものとして、下記式
【0026】
【化16】 で表されるものが挙げられる。
【0027】本発明の製造方法において、これらのアミ
ド含有2価フェノール(II)は1種のみを用いてもよ
いし、2種以上を用いてもよい。
【0028】なお、Ar1及びAr2中の芳香族基は炭素
数1〜10の炭化水素基又はヘテロ含有炭化水素基で置
換されていてもよい。このような置換基としては、例え
ば炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアル
コキシ基、炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。
【0029】なお、本発明の製造方法において、前記ジ
ハロゲノ芳香族化合物の少なくとも1種及び前記アミド
含有2価フェノールの少なくとも1種を主原料であるモ
ノマーとして用いる限り、本発明の目的に支障のない範
囲で1種又は2種以上の他のモノマーを添加して反応を
行ってもよい。
【0030】また、本発明の芳香族ポリエーテルアミド
も、上記一般式(III)で表される繰り返し単位を主
成分とする限り、本発明の目的に支障のない範囲で1種
又は2種以上の他の繰り返し単位を含有していてもよ
い。
【0031】本発明の製造方法においては、上記アミド
含有2価フェノール1モルあたり、上記のジハロゲノ芳
香族化合物を、通常、0.95〜1.0モル、好ましく
は0.98〜1.00モルの割合で用いることが好まし
い。
【0032】本発明の製造方法に用いられるアルカリ金
属の炭酸塩の具体例としては、例えば、炭酸リチウム、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸
セシウムなどを挙げることができる。本発明の製造方法
に用いられる前記アルカリ金属の炭酸水素塩の具体例と
しては、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素
セシウムなどを挙げることができる。これらのアルカリ
金属炭酸塩及び炭酸水素塩の中でも、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウ
ムが好ましく、特に、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウム
が好ましい。なお、本発明の製造方法においては、アル
カリ金属の炭酸塩のみを一種又は二種以上用いてもよ
く、アルカリ金属の炭酸水素塩のみを一種又は二種以上
用いてもよく、あるいは、炭酸塩と炭酸水素塩とを混合
物などとして併用してもよい。また、これらの炭酸塩及
び炭酸水素塩は、無水物及び含水物のいずれも使用可能
であるが、通常は、無水物若しくはそれに近いものが好
適に使用される。
【0033】アルカリ金属の炭酸塩及び/又はアルカリ
金属炭酸水素塩の好ましい使用割合は、上記ジハロゲノ
芳香族化合物の使用量に対するアルカリ金属の炭酸塩及
び炭酸水素塩の合計量の割合が当量比で、通常、1.0
〜3.0、更に好ましくは1.0〜2.0、特に好まし
くは1.05〜1.20の範囲に選定することが適当で
ある。ここで、ジハロゲノ芳香族化合物については1モ
ルを2当量として計算し、一方、アルカリ金属の炭酸塩
の場合は1モルを2当量、アルカリ金属の炭酸水素塩の
場合は1モルを1当量として計算するものとする。
【0034】本発明の製造方法に用いられる中性極性溶
媒としては、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、
N−エチルピロリドン、N−シクロヘキシルピロリドン
等のN−アルキルピロリドン、N,N−ジメチルイミダ
ゾリジノン(DMI)、ジメチルホルムアミド(DM
F)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジ
メチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジエチルア
セトアミド、N,N−ジエチレンアセトアミド、N−メ
チルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド(DMS
O)、スルホラン、ジフェニルスルホン等が好適に用い
られる。これらの中でも、N−メチルピロリドン(NM
P)、N−エチルピロリドン、N−シクロヘキシルピロ
リドン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルア
セトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DM
SO)、スルホランが好ましく、特に、N−メチルピロ
リドンが好適に使用される。これらの中性極性溶媒は、
1種単独で使用してもよく、2種以上を混合溶媒等とし
て併用してもよい。また、必要に応じて、中性極性溶媒
と例えばトルエン等の芳香族系溶媒など他の溶媒を併用
することもできる。
【0035】前記中性極性溶媒の使用量は、特に制限は
ないが、重合度が十分になるまで反応系ができるだけ均
一に攪拌可能な程度の割合となるように適宜選定するこ
とが望ましい。例えば、中性極性溶媒1リットル当り、
芳香族ポリエーテルアミド100g〜400g、好まし
くは150g〜250gの割合となるような量で用いる
ことが適当である。
【0036】本発明の製造方法における反応は、通常、
150〜350℃、好ましくは180〜250℃の反応
温度で行われる。なお、反応温度が150℃未満では十
分な反応速度が得られないことがあり、一方、350℃
を超えるとポリマーがゲル化したり、着色が著しくなる
などの支障を生じることがある。なお、反応温度は、一
定に保持してもよく、連続的にあるいは段階的に昇温さ
せるなど種々のモードに変化させてもよい。例えば、反
応温度を室温等の低い温度から徐々に昇温し、その後、
上記の温度範囲の適当な温度に保持する方法等も好適に
採用される。
【0037】反応時間は、使用する原料や溶媒の種類及
び割合、反応温度等によって適宜選定すればよいのであ
るが、通常は、30分〜10時間、好ましくは1〜3時
間程度で十分である。
【0038】反応圧力としては、特に制限はなく、常
圧、加圧のいずれでもよいが、通常は、常圧で好適に行
いうる。反応雰囲気としては、特に制限はないが、通常
は、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うこと
が好ましく、例えば、不活性ガスを反応系に吹き込みな
がら反応を行う方法等も好適に採用される。また、反応
時に発生する二酸化炭素は、必要に応じて適宜、系外に
排出してもよい。
【0039】なお、本発明の製造方法においては、必要
に応じて本発明の目的を阻害しない範囲で、前記成分の
他の成分、例えば分子量調節剤、分岐剤や反応促進剤な
どを適宜添加若しくは共存させてもよい。
【0040】分子量調節剤を添加する場合、好ましく用
いられる分子量調節剤としては、例えば、下記一般式
【0041】
【化17】 (式中、R1は水素原子、炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数6〜10のアリール基若しくはアラルキル基
又はシアノ基を表す。)で表される1価フェノールや、
ハロゲン化炭化水素が挙げられる。このような1価フェ
ノールの具体例としては、フェノール、クレゾール、p
−tert−ブチルフェノール、クミルフェノール、イ
ソプロピルフェノール、メトキシフェノール、シアノフ
ェノール等が挙げられる。また、ハロゲン化炭化水素と
しては、例えば、メチルクロライド、ジクロロメタン、
2−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベンゾニト
リル、2−フルオロベンゾフェノン、4−クロロジフェ
ニルスルホン等が挙げられる。
【0042】これらの分子量調節剤の添加量は、目的と
する芳香族ポリエーテルアミドの分子量に応じて適宜定
めることができる。
【0043】このようにして得られた芳香族ポリエーテ
ルアミドは、公知の分離、精製法などの適当な後処理操
作によって、反応混合物から分離され、所望の精製度の
ポリマーとして回収することができる。例えば、固体状
に析出した芳香族ポリエーテルアミドを、反応混合物の
ままあるいは適宜溶媒等の液状成分を除去してから、ブ
レンダー等を用いて粉砕し、次いでメタノールや水等の
適当な洗浄液によって十分に洗浄した後、適宜乾燥する
方法などが好適に採用できる。このようにして、芳香族
ポリエーテルアミド中の溶媒成分やアルカリ金属炭酸塩
やアルカリ金属炭酸水素塩等を十分に除去することがで
きる。
【0044】本発明の芳香族ポリエーテルアミドは、上
記の製造法によって得られる芳香族ポリエーテルアミド
のなかでも、N−メチルピロリドンを溶媒とする0.2
g/dl濃度の溶液の30℃における還元粘度が0.2
〜5.0dl/g、好ましくは0.3〜4.0dl/
g、より好ましくは0.3〜3.0dl/gの範囲にあ
るものであり、耐熱性、耐溶剤性に優れるのみならず、
機械的強度及び成形性にも優れるものである。上記還元
粘度が0.2dl/g未満であると耐熱性、耐溶剤性、
機械的強度などが不十分となり、5.0dl/gを超え
ると成形性が不十分となる。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】参考例 N,N′−1,4−フェニレンビス(3−ヒドロキシベ
ンズアミド)の合成 トルエンを満たしたディーンスタルクトラップを備えた
300mlセパラブルフラスコにp−フェニレンジアミ
ン21.63g(0.2モル)、m−ヒドロキシ安息香
酸55.25g(0.4モル)、ホウ酸1g、スルホラ
ン100ml及びトルエン10mlを入れ、210℃で
18時間加熱攪拌した。冷却後、得られた固まりをブレ
ンダーで粉砕し、水洗した後、ジメチルアセトアミドを
用いて再結晶を行ない、下記式で表される構造のN,
N′−1,4−フェニレンビス(3−ヒドロキシベンズ
アミド)60.0gを得た(収率82%)。
【0047】
【化18】
【0048】実施例1 トルエンを満たしたディーンスタルクトラップを備えた
100mlセパラブルフラスコに、上記参考例で得られ
たN,N′−1,4−フェニレンビス(3−ヒドロキシ
ベンズアミド)8.71g(0.025モル)、2,6
−ジフルオロベンゾニトリル3.51g、(0.025
モル)、炭酸カリウム4.15g(0.03モル)、N
−メチルピロリドン50ml及びトルエン5mlを入
れ、190℃で50分間加熱攪拌した。加熱の間、トル
エンを還流して生成する水を除去した。冷却後、水中で
ポリマーを析出させ、ブレンダーで粉砕した後、水、メ
タノールで洗浄し、乾燥した。得られたポリマーの収量
は10.8g、収率は96%であった。
【0049】また、得られたポリマーの物性を測定した
ところ、N−メチルピロリドンを溶媒とする0.2g/
dl濃度の溶液の30℃における還元粘度が2.01d
l/g、ガラス転移温度が237℃、5%重量減温度が
445℃であった。なお、ガラス転移温度の測定は、D
SCを用い、昇温速度20℃/分で測定し、熱分解開始
温度は、TGAを用い、空気中、昇温速度10℃/分で
測定した。以下の実施例におけるこれらの測定も、同様
にして行った。このポリマーは塩化メチレン、クロロホ
ルム、テトラクロロエタン等のハロゲン化溶媒に不溶で
あった。また、IRスペクトル分析では3400cm-1
に>NHによる吸収が、2236cm-1に−CNによる
吸収が、1656cm-1にアミドの>C=Oによる吸収
が、1245cm-1にエーテル結合による吸収が測定さ
れた。IRスペクトルのチャートを図1に示し、 1
−NMRスペクトルのチャートを図2に示す。上記IR
スペクトル及び 1H−NMRスペクトル分析の結果並
びに元素分析結果より、このポリマーは下記の構造を有
することがわかった。
【0050】
【化19】 得られたポリマーをキャスティング法によりフィルム化
し、厚み120μmの透明フィルムを得た。得られたフ
ィルムの引張試験、弾性試験等を行い、破断強度、弾性
率及び伸びを測定した。結果を表1に示す。
【0051】実施例2 2,6−ジフルオロベンゾニトリルの代りに4,4′−
ジフルオロジフェニルスルホン6.42g(0.025
モル)を用いた他は実施例1と同様の操作を行い、ポリ
マーを収量13.7g、収率97%で得た。
【0052】また、得られたポリマーの物性を測定した
ところ、N−メチルピロリドンを溶媒とする0.2g/
dl濃度の溶液の30℃における還元粘度が0.79d
l/g、ガラス転移温度が233℃、5%重量減温度が
465℃であった。このポリマーは、塩化メチレン、ク
ロロホルム、テトラクロロエタン等のハロゲン化溶媒に
不溶であった。また、IRスペクトル分析では3400
cm-1に>NHによる吸収が、1656cm-1にアミド
の>C=Oによる吸収が、1234cm-1にエーテル結
合による吸収が測定された。IRスペクトルのチャート
を図3に示し、1H−NMRスペクトルのチャートを図
4に示す。上記IRスペクトル及び 1H−NMRスペ
クトル分析の結果並びに元素分析結果より、このポリマ
ーは下記の構造を有することがわかった。
【0053】
【化20】 得られたポリマーをキャスティング法によりフィルム化
し、厚み90μmの透明フィルムを得た。得られたフィ
ルムの物性を実施例1と同様にして測定した。結果を表
1に示す。
【0054】実施例3 2,6−ジフルオロベンゾニトリルの代りに4,4′−
ジフルオロベンゾフェノン5.51g(0.025モ
ル)を用いた他は実施例1と同様の操作を行い、ポリマ
ーを収量12.5g、収率95%で得た。
【0055】また、得られたポリマーの物性を測定した
ところ、N−メチルピロリドンを溶媒とする0.2g/
dl濃度の溶液の30℃における還元粘度が0.73d
l/g、ガラス転移温度が216℃、5%重量減温度が
443℃であった。このポリマーは、塩化メチレン、ク
ロロホルム、テトラクロロエタン等のハロゲン化溶媒に
不溶であった。また、IRスペクトル分析では3400
cm-1に>NHによる吸収が、1655cm-1にアミド
の>C=Oによる吸収が、1233cm-1にエーテル結
合による吸収が測定された。IRスペクトルのチャート
を図5に示し、1H−NMRスペクトルのチャートを図
6に示す。上記IRスペクトル及び 1H−NMRスペ
クトル分析の結果並びに元素分析結果より、このポリマ
ーは下記の構造を有することがわかった。
【0056】
【化21】 得られたポリマーをキャスティング法によりフィルム化
し、厚み120μmの透明フィルムを得た。得られたフ
ィルムの物性を実施例1と同様にして測定した。結果を
表1に示す。
【0057】比較例1 市販のポリサルホン(商品名:Udel、AMOKO社
製、ガラス転移温度:190℃、5%重量減温度:48
0℃)及びポリエーテルサルホン(商品名:Victr
ex、ICI社製、ガラス転移温度:225℃、5%重
量減温度:510℃)は、いずれも塩化メチレン、クロ
ロホルム、テトラクロロエタン等のハロゲン化溶媒に溶
解した。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、主鎖にアミ
ド基を有し、耐熱性及び耐溶剤性に優れる芳香族ポリエ
ーテルアミドを比較的低温で効率よく製造することが可
能となった。また、本発明の芳香族ポリエーテルアミド
は、耐熱性、耐溶剤性に優れる上に、優れた機械的強度
及び成形性を有し、エンジニアリング樹脂として極めて
有用なポリマーである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得たポリマーのIRスペクトルチャ
ート。
【図2】実施例1で得たポリマーの1H−NMRスペク
トルチャート。
【図3】実施例2で得たポリマーのIRスペクトルチャ
ート。
【図4】実施例2で得たポリマーの1H−NMRスペク
トルチャート。
【図5】実施例3で得たポリマーのIRスペクトルチャ
ート。
【図6】実施例3で得たポリマーの1H−NMRスペク
トルチャート。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性なハロゲン置換基を2個有するジハ
    ロゲノ芳香族化合物とアミド含有2価フェノールを、ア
    ルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属重炭酸塩の存在下、
    中性極性溶媒中で加熱することを特徴とする芳香族ポリ
    エーテルアミドの製造方法。
  2. 【請求項2】 該ジハロゲノ芳香族化合物が下記一般式
    (I) 【化1】 (式中、Ar1は電子吸引性基を含有する2価の芳香族
    基であり、Xはハロゲン原子である。)で表されるジハ
    ロゲノ芳香族化合物(I)であり、該アミド含有2価フ
    ェノールが下記一般式(II) 【化2】 (式中、Ar2は2価の芳香族基である。)で表される
    アミド含有2価フェノール(II)である請求項1記載
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 Ar1が下記式 【化3】 (式中、pは1〜3の整数であり、Ar3は炭素数6〜
    12の芳香族基であり、ベンゼン環は炭素数1〜10の
    炭化水素基又は炭素数1〜10のヘテロ原子含有炭化水
    素基で置換されていてもよい。)で表される芳香族基か
    らなる群から選ばれるものであり、Ar2が下記一般式 【化4】 (式中、Zは−O−、−CO−、−S−、2価のアルキ
    レン基又は化学結合であり、qは0〜2の整数であり、
    ベンゼン環は炭素数1〜10の炭化水素基又は炭素数1
    〜10のヘテロ原子含有炭化水素基で置換されていても
    よい。)で表される芳香族基である請求項2記載の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 該ジハロゲノ芳香族化合物(I)が2,
    6−ジフルオロベンゾニトリル、4,4′−ジフルオロ
    ジフェニルスルホン又は4,4′−ジフルオロベンゾフ
    ェノンであり、該アミド含有2価フェノール(II)が
    N,N′−1,4−フェニレンビス(3−ヒドロキシベ
    ンズアミド)である請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 下記一般式(III) 【化5】 (式中、Ar1は電子吸引性基を含有する2価の芳香族
    基であり、Ar2は2価の芳香族基である。)で表され
    る繰り返し単位を有し、N−メチルピロリドンを溶媒と
    する0.2g/dl濃度の溶液の30℃における還元粘
    度が0.2〜5.0dl/gであることを特徴とする芳
    香族ポリエーテルアミド。
  6. 【請求項6】 Ar1が下記式 【化6】 (式中、pは1〜3の整数であり、Ar3は炭素数6〜
    12の芳香族基であり、各式中のベンゼン環は炭素数1
    〜10の炭化水素基又は炭素数1〜10のヘテロ原子含
    有炭化水素基で置換されていてもよい。)で表される芳
    香族基からなる群から選ばれるものであり、Ar2が下
    記一般式 【化7】 (式中、Zは−O−、−CO−、−S−、2価のアルキ
    レン基又は化学結合であり、qは0〜2の整数であり、
    ベンゼン環は炭素数1〜10の炭化水素基又は炭素数1
    〜10のヘテロ原子含有炭化水素基で置換されていても
    よい。)で表される芳香族基である請求項5記載の芳香
    族ポリエーテルアミド。
  7. 【請求項7】 Ar1が 【化8】 であり、Ar2がパラフェニレン基である請求項6記載
    の芳香族ポリエーテルアミド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0962320A1 (en) * 1998-06-03 1999-12-08 Canon Kabushiki Kaisha Ink-Jet head, ink-jet head substrate, and a method for making the head
JP2000040515A (ja) * 1998-07-22 2000-02-08 Hitachi Chem Co Ltd 二次電池

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