JPH06279582A - 芳香族ポリエーテルの製造法及び芳香族ポリエーテル - Google Patents

芳香族ポリエーテルの製造法及び芳香族ポリエーテル

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JPH06279582A
JPH06279582A JP9043193A JP9043193A JPH06279582A JP H06279582 A JPH06279582 A JP H06279582A JP 9043193 A JP9043193 A JP 9043193A JP 9043193 A JP9043193 A JP 9043193A JP H06279582 A JPH06279582 A JP H06279582A
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aromatic
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iii
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JP9043193A
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Shigeru Matsuo
松尾  茂
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 共重合モノマーの含量比を任意にコントロー
ルでき、各種機能材料の分子設計を可能とする芳香族ポ
リエーテルの製造法と、耐熱性及び熱安定性に優れ、成
形性良好な芳香族ポリエーテルの提供。 【構成】 (I)と下記(II)とを、(II)1モル
あたり(I)1.01モル以上の割合で、シリカ系化合
物とアルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩と
の存在下、反応させてなる芳香族ポリエーテルの製造
法、及び、繰り返し単位(III)及び(IV)を有
し、(III)/[(III)+(IV)]、が0.0
1〜0.99の範囲にあり、p−クロロフェノールを溶
媒とする0.2g/dl濃度の溶液の60℃における還
元粘度が0.1〜10dl/gである芳香族ポリエーテ
ル。 (Ar1は電子吸引性基を含有する二価の芳香族基、X
はハロゲン、Ar2は二価の芳香族基。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族ポリエーテルの
製造法及びその製造法によって得られる芳香族ポリエー
テルに関する。更に詳しくは、本発明は、耐熱性、耐溶
剤性及び機械的強度に優れるとともに所望の特性を有す
る芳香族ポリエーテルを容易に製造しうる芳香族ポリエ
ーテルの製造法及びその製造法によって得られる芳香族
ポリエーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリエーテルは、優れた耐熱性及
び機械的強度をもつことから、エンジニアリングプラス
チックとして自動車、電気・電子機器分野、機械分野等
の産業分野で広く使用されている。また、芳香族ポリエ
ーテルにはエンジニアリングプラスチックとしてのみな
らず、分離膜等の機能材料としても応用されているもの
がある。しかし、エンジニアリングプラスチックに対す
る要求性能が年々厳しくなってきていることや芳香族ポ
リエーテルの用途の拡大などを考慮すると、従来の芳香
族ポリエーテルだけでは不十分であり、さらに高性能、
高機能的な新しい芳香族ポリエーテルと、それら新しい
芳香族ポリエーテルを容易に高収率で製造することを可
能とする製造方法の開発が望まれている。
【0003】厳しい要求性能を満足しうるエンジニアリ
ングプラスチックとしては、結晶性のエンジニアリング
プラスチックがあり、その代表的なものとして芳香族ポ
リエーテルケトンが知られている(特開昭54−902
96号公報)。しかしながら、この芳香族ポリエーテル
ケトンにおいても、ガラス転移温度が145℃程度と以
外に低いという問題点があり、ガラス転移温度以上の温
度では剛性を十分に維持することができない。
【0004】特開平4−275328号公報には、ジハ
ロゲノベンゾニトリルとアルカリ金属の炭酸塩又は炭酸
水素塩をシリカ系化合物の存在下で反応させることによ
るオキシ(シアノフェニレン)単位からなる芳香族ポリ
エーテルの製造が記載されている。この芳香族ポリエー
テルは十分に高いガラス転移温度を有するものの、成形
性が不十分である。
【0005】特開平1−153722号公報には、2,
8−ビス(4−ハロゲノベンゾイル)ジベンゾフランと
芳香族活性ジハライドとのシリカ系触媒の存在下におけ
るアルカリ金属の炭酸塩又は炭酸水素塩による自己エー
テル化縮重合反応、あるいは2,8−ビス(4−ハロゲ
ノベンゾイル)ジベンゾフラン及び2,8−ビス(4−
ヒドロキシベンゾイル)ジベンゾフランの少なくとも一
方を成分とする芳香族活性ジハライドと芳香族ジヒドロ
キシ化合物とのアルカリ存在下における重縮合反応によ
るポリエーテルケトン系共重合体の製造が記載されてい
る。しかしながら、この公報記載の反応方法は重合に高
温を要し、また、特定のモノマーについて高い共重合比
を有しかつ高分子量を有する重縮合物を得ることができ
ないという難点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐熱
性及び熱安定性に優れる芳香族ポリエーテルの製造法で
あって、共重合モノマーの含量比を任意にコントロール
することができ、各種機能材料の分子設計を可能とする
芳香族ポリエーテルの製造法を提供することにある。ま
た、更に本発明は、上記製造法によって得られ、耐熱性
及び熱安定性に優れるとともに良好な成形性をも有する
芳香族ポリエーテルを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、共重合モノ
マーとして少なくとも一方が電子吸引性基を有するジハ
ロゲノ芳香属化合物とジヒドロキシ芳香族化合物とを用
い、電子吸引性基を有する芳香族化合物の使用モル比が
共重合モノマー全量の1/2を超える量で用いてシリカ
系化合物及びアルカリの存在下で反応させることによ
り、重縮合反応が比較的低温で円滑に進行するととも
に、得られる芳香族ポリエーテル中の電子吸引性基を有
する芳香族化合物の含有量を所望の割合まで高めること
ができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、下記一般式(I)
【0009】
【化7】 (式中、Ar1は電子吸引性基を含有する二価の芳香族
基であり、Xはハロゲン原子である。)で表される電子
吸引性基で活性化されている芳香族化合物(I)と下記
一般式(II)
【0010】
【化8】 (式中、Ar2は二価の芳香族基であり、ただしAr2
Ar1と同一であることはない。)で表される芳香族化
合物(II)とを、芳香族化合物(II)1モルあたり
芳香族化合物(I)1.01モル以上の割合で、シリカ
系化合物とアルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水
素塩との存在下、反応させることを特徴とする芳香族ポ
リエーテルの製造法を提供するものである。
【0011】本発明の製造法によれば、重縮合反応が比
較的低温で円滑に進行し、下記一般式(III)
【0012】
【化9】 (式中、Ar1は上記と同じ意味を有する。)で表され
る繰り返し単位(III)及び下記一般式(IV)
【0013】
【化10】 (式中、Ar1及びAr2上記と同じ意味を有する。)で
表される繰り返し単位(IV)を有し、繰り返し単位
(III)の繰り返し単位(III)及び繰り返し単位
(IV)の合計に対するモル比、(III)/[(II
I)+(IV)]、が0.01〜0.99の範囲にある
芳香族ポリエーテルを簡単にかつ効率よく得ることがで
きる。従って、使用目的に応じて共重合モノマーを適宜
選択し、共重合比を上記範囲で任意にコントロールする
ことにより、所望の特性を有する種々の機能材料として
の芳香族ポリエーテルを得ることが可能となる。
【0014】また本発明者は、本発明の製造法によって
得られる上記芳香族ポリエーテルのなかでも、特定範囲
の還元粘度を有するものが耐熱性、耐溶剤性、機械的強
度、成形性等にも優れることを見出した。
【0015】すなわち、本発明は上記繰り返し単位(I
II)及び(IV)を上記モル比で有し、p−クロロフ
ェノールを溶媒とする0.2g/dl濃度の溶液の60
℃における還元粘度が0.1〜10dl/gであること
を特徴とする芳香族ポリエーテルをも提供するものであ
る。
【0016】本発明の製造法に用いられる芳香族化合物
(I)を表す一般式(I)中、Ar1は電子吸引性基を
含有する二価の芳香族基を示すが、この芳香族基中の電
子吸引性基としては、例えば、シアノ基、ニトロ基、−
CO−及び−SO2−が挙げられる。また、Ar1の好適
な具体例としては、下記のものが挙げられる。
【0017】
【化11】 (式中、pは1〜3の整数であり、ベンゼン環は炭素数
1〜10の炭化水素基又は炭素数1〜10のヘテロ原子
含有炭化水素基で置換されていてもよい。)
【0018】本発明で好適に用いられる芳香族化合物
(I)の具体例としては、2,6−ジクロロベンゾニト
リル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2−クロロ
−6−フルオロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベン
ゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニトリル、2−
クロロ−4−フルオロベンゾニトリル、2,6−ジクロ
ロニトロベンゼン、2,6−ジフルオロニトロベンゼ
ン、2−クロロ−6−フルオロニトロベンゼン、2,4
−ジクロロニトロベンゼン、2,4−ジフルオロニトロ
ベンゼン、2−クロロ−4−フルオロニトロベンゼン、
4,4′−ジクロロベンゾフェノン、4,4′−ジフル
オロベンゾフェノン、4,4′−ジブロモベンゾフェノ
ン、4,4′−ジクロロテレフタロフェノン、4,4′
−ジフルオロテレフタロフェノン、4,4′−ジブロモ
テレフタロフェノン、4,4′−ジクロロジフェニルス
ルホン、4,4′−ジフルオロジフェニルスルホン、
2,8−ビス(4−クロロベンゾイル)ジベンゾフラ
ン、2,8−ビス(4−フルオロベンゾイル)ジベンゾ
フラン、2,8−ビス(4−クロロベンゾイル)ジベン
ゾチオフェン、2,8−ビス(4−フルオロベンゾイ
ル)ジベンゾチオフェン等が挙げられる。
【0019】なかでも、2,6−ジフルオロベンゾニト
リル、4,4′−ジフルオロジフェニルスルホン、2,
8−ビス(4−フルオロベンゾイル)ジベンゾフランが
好適に用いられる。
【0020】これら芳香族化合物(I)は1種のみを用
いても2種以上を用いてもよい。
【0021】本発明の製造法に用いられる芳香族化合物
(II)を表す一般式(II)中、Ar2はAr1と異な
る二価の芳香族基を示すが、このAr2は電子吸引性基
を有していても有していなくてもよい。Ar2の例とし
ては、下記式
【0022】
【化12】 (式中、Z1は化学結合、−O−、−CO−、−S−、
−SO2−、二価のアルキレン基又は二価のアリーレン
基を示し、qは0〜2の整数を示す。)で表されるもの
が挙げられる。なかでも、下記式
【0023】
【化13】 (式中、Zは−O−、−CO−、−S−、二価のアルキ
レン基又は化学結合である。)で表されるものが好まし
い。なお、上記二価のアルキレン基又は二価のアリーレ
ン基としては、炭素数1〜13の二価のアルキレン基又
は炭素数6〜13の二価のアリーレン基が好ましい。
【0024】本発明で好適に用いられる芳香族化合物
(II)の具体例としては、レゾルシノール、ヒドロキ
ノン、4,4′−ビフェノール、4,4′−ジヒドロキ
シベンゾフェノン、4,4′−ジヒドロキシテレフタロ
フェノン、4,4′−ジヒドロキシイソフタロフェノ
ン、4,4−ビス(4−ヒドロキシベンゾイル)ジフェ
ニルエーテル、4,4′−ビス(4−ヒドロキシベンゾ
イル)ビフェニル、4,4′−ビス(4−ヒドロキシベ
ンゾイル)ジフェニルスルフィド、4,4′−ビス(4
−ヒドロキシベンゾイル)ジフェニルメタン、ジヒドロ
キシナフタレン、ビスフェノールA等が挙げられる。
【0025】なかでも、4,4′−ビフェノール、レゾ
ルシノール、ヒドロキノンが好適に用いられる。
【0026】本発明の製造法において、これらの芳香族
化合物(II)は1種のみを用いてもよいし、2種以上
を用いてもよい。
【0027】本発明の製造法に使用可能な芳香族化合物
(II)には、Ar2が芳香族化合物(I)中のAr1
同一なものも含まれるが、もちろん、反応に供するにあ
たっては、Ar1とAr2とが互に異なる芳香族化合物を
選択して用いる。
【0028】なお、Ar1及びAr2中の芳香族基は炭素
数1〜10の炭化水素基又はヘテロ含有炭化水素基で置
換されていてもよい。このような置換基としては、例え
ば炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアル
コキシ基、炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。
【0029】なお、本発明の製造法において、前記芳香
族化合物(I)の少なくとも1種及び前記芳香族化合物
(II)の少なくとも1種を主原料であるモノマーとし
て用いる限り、本発明の目的に支障のない範囲で1種又
は2種以上の他のモノマーを添加して反応を行ってもよ
い。
【0030】本発明の製造法においては、上記芳香族化
合物(II)1モルあたり、上記の電子吸引性基で活性
化された芳香族化合物(I)を1.01モル以上、好ま
しくは1.03〜10モルの割合で用いる。このように
電子吸引性基を有する芳香族化合物(I)を芳香族化合
物(II)より多量に用いることにより、耐熱性が向上
する。
【0031】本発明の製造法に用いられるシリカ系化合
物としては、通常、二酸化ケイ素、シリカゲル、シリカ
ライト等の各種のシリカが好適に使用されるが、これら
に限定されるものではなく、例えば、シリカアルミナ、
シリカチタニア、高シリカゼオライト、ケイ酸塩類など
のシリカを主成分とする各種の化合物若しくは組成物も
使用可能である。これらの中でも、二酸化ケイ素、シリ
カゲルなどが好ましい。二酸化ケイ素、シリカゲル等の
固体状のシリカ系化合物は、種々の形状のものとして使
用することができるが、反応系における分散性をよくし
重合反応を円滑に行うために、通常は粉末状での使用が
好ましく、特に微粒子状若しくは超微粒子状で使用する
ことが好ましい。なお、これらのシリカ系化合物は、1
種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】本発明の製造法に用いられるアルカリ金属
の炭酸塩の具体例としては、例えば、炭酸リチウム、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セ
シウムなどを挙げることができる。本発明の製造法に用
いられる前記アルカリ金属の炭酸水素塩の具体例として
は、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、
炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシ
ウムなどを挙げることができる。これらのアルカリ金属
炭酸塩及び炭酸水素塩の中でも、炭酸ナトリウム、炭酸
カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムが
好ましく、特に、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムが好
ましい。なお、本発明の製造法においては、アルカリ金
属のみを一種又は二種以上用いてもよく、アルカリ金属
の炭酸水素塩のみを一種又は二種以上用いてもよく、あ
るいは、炭酸塩と炭酸水素塩とを混合物などとして併用
してもよい。また、これらの炭酸塩及び炭酸水素塩は、
無水物及び含水物のいずれも使用可能であるが、通常
は、無水物若しくはそれに近いものが好適に使用され
る。
【0033】前記反応は、無溶媒状態でも行うことがで
きるが、通常は、適当な溶媒中で行うことが好適であ
る。溶媒としては、例えばN−メチルピロリドン(NM
P)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセ
トアミド(DMAc)、N−シクロヘキシルピロリドン
等のN−アルキルピロリドン、N−メチルカプロラクタ
ム、スルホラン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、
スルホラン、ジフェニルスルホン、DMI等の中性極性
溶媒又はこれを主成分とする混合溶媒などが好適に使用
される。これらの中でも、特に、N−メチルピロリドン
が好適に使用される。これらの中性極性溶媒は、1種単
独で使用してもよく、2種以上を混合溶媒等として併用
してもよい。また、必要に応じて、中性極性溶媒と例え
ばトルエン等の芳香族系溶媒など他の溶媒を併用するこ
ともできる。
【0034】本発明の製造法において用いられるシリカ
系化合物の量に特に制限はないが、使用する芳香族化合
物(I)に対して、通常、1〜50重量%、好ましくは
3〜15重量%の範囲内に選定することが好適である。
ここで、シリカ系化合物の使用割合が上記の基準で1重
量%未満であると重合速度が不十分になることがあり、
一方、その割合が50重量%を超えると得られるポリマ
ー中に過剰のシリカ系化合物が残留することによってポ
リマー本来の特性が十分に発揮されないなどの支障をき
たすことがある。
【0035】前記アルカリ金属の炭酸塩及び/又は炭酸
水素塩の量としては、特に制限はないが、その反応の化
学量論比等を考慮して、使用する芳香族化合物(I)と
(II)の合計量1当量あたり、アルカリ金属の炭酸塩
と炭酸水素塩の合計量が、通常、1.05〜3.0当量
の範囲の割合になるように選定することが好適である。
なお、芳香族化合物(I)及び(II)の1モルは2当
量に相当し、前記アルカリ金属の炭酸塩1モルは2当量
に相当し、また、前記アルカリ金属の炭酸水素塩1モル
は1当量に相当する。
【0036】前記溶媒の使用量は、特に制限はないが、
重合度が十分になるまで反応系ができるだけ均一に攪拌
可能な程度の割合となるように適宜選定することが望ま
しい。例えば、溶媒としてN−メチルピロリドンを使用
する場合、これを使用する芳香族化合物(I)及び(I
I)の合計1重量部に対して、通常、2〜20重量部程
度の範囲に選定することが好適である。
【0037】本発明の製造法における反応は、通常、1
50〜350℃の反応温度で行われるが、150〜20
0℃の比較的低温においても十分円滑に重縮合反応は進
行する。なお、反応温度が150℃未満では十分な反応
速度が得られないことがあり、一方、350℃を超える
とポリマーがゲル化したり、着色が著しくなるなどの支
障を生じることがある。なお、反応温度は、一定に保持
してもよく、連続的にあるいは段階的に昇温させるなど
種々のモードに変化させてもよい。例えば、反応温度を
室温等の低い温度から徐々に昇温し、その後、上記の温
度範囲の適当な温度に保持する方法等も好適に採用され
る。
【0038】反応時間は、使用する原料、シリカ系化合
物や溶媒の種類及び割合、反応温度等によって適宜選定
すればよいのであるが、通常は、1〜50時間、好まし
くは2〜10時間程度で十分である。
【0039】反応圧力としては、特に制限はなく、常
圧、加圧のいずれでもよいが、通常は、常圧で好適に行
いうる。反応雰囲気としては、特に制限はないが、通常
は、窒素やアルゴン等の不活性ガスあるいは排気状態な
どの不活性雰囲気下で行うことが好ましく、例えば、不
活性ガスを反応系に吹き込みながら反応を行う方法等も
好適に採用される。また、反応時に発生する二酸化炭素
は、必要に応じて適宜、系外に排出してもよい。
【0040】このようにして得られた芳香族ポリエーテ
ルは、公知の分離、精製法などの適当な後処理操作によ
って、反応混合物から分離され、所望の精製度のポリマ
ーとして回収することができる。例えば、固体状に析出
した芳香族ポリエーテルを、反応混合物のままあるいは
適宜溶媒等の液状成分を除去してから、ブレンダー等を
用いて粉砕し、次いでメタノールや水等の適当な洗浄液
によって十分に洗浄した後、適宜乾燥する方法などが好
適に採用できる。このようにして、芳香族ポリエーテル
中の溶媒成分やアルカリ金属化合物等を十分に除去する
ことができる。なお、こうして得られた芳香族ポリエー
テル中には、重合の際使用したシリカ等のシリカ系化合
物が残留することがあるが、その場合にも芳香族ポリエ
ーテルの性能を何等損うものではない。得られた芳香族
ポリエーテル中のシリカ系化合物の残留量は、シリカ系
化合物の使用割合及び後処理操作によって調節すること
ができ、その残留量が極めて少ないポリマーから50重
量%に近いシリカ系化合物を均一に含有するポリマーな
ど、種々の組成のものを得ることができる。シリカ系化
合物の残留量が著しく低い芳香族ポリエーテルは純粋な
ポリマーと同様の用途にも利用することができるし、シ
リカ系化合物を比較的多く含有するポリマーはそのまま
でもシリカ系化合物を無機充填剤とする樹脂組成物とし
て有効に利用することができる。
【0041】このようにして、繰り返し単位(III)
の繰り返し単位(III)及び繰り返し単位(IV)の
合計に対するモル比、(III)/[(III)+(I
V)]、が0.01〜0.99の範囲にある芳香族ポリ
エーテル、すなわち、電子吸引性基を多量に含有する芳
香族ポリエーテルを簡単にかつ効率よく得ることができ
る。従って、使用目的に応じて共重合モノマーを適宜選
択し、共重合比を上記範囲で任意にコントロールするこ
とにより、所望の特性を有する種々の機能材料としての
芳香族ポリエーテルを得ることが可能となる。
【0042】本発明の芳香族ポリエーテルは、上記の製
造法によって得られる芳香族ポリエーテルのなかでも、
p−クロロフェノールを溶媒とする0.2g/dl濃度
の溶液の60℃における還元粘度が0.1〜10dl/
gの範囲にあるものであり、耐熱性、耐溶剤性に優れる
のみならず、機械的強度及び成形性にも優れるものであ
る。上記還元粘度が0.1dl/g未満であると耐熱
性、耐溶剤性、機械的強度などが不十分となり、10d
l/gを超えると成形性が不十分となる。
【0043】また、荷重2.16kg、温度350℃で
測定されるメルトインデックス(MI)としては、0.
1〜500g/10分、好ましくは0.2〜200g/
10分であることが望ましい。
【0044】なお、本発明の芳香族ポリエーテルにおけ
る繰り返し単位(III)の繰り返し単位(III)及
び繰り返し単位(IV)の合計に対するモル比、(II
I)/[(III)+(IV)]、は先に記載した如く
0.01〜0.99の範囲にあり、好ましくは0.02
〜0.90である。また、本発明の芳香族ポリエーテル
は電子吸引性基を多量に含有することから、耐熱性など
に優れている。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】実施例1 攪拌装置、熱電対、アルゴンガス導入管、トルエンを満
たしたディーンスタルクトラップを備えたセパラブルフ
ラスコに2,6−ジフルオロベンゾニトリル6.955
g(0.05モル)、4,4′−ビフェノール7.45
g(0.04モル)、炭酸カリウム10.37g、二酸
化ケイ素0.5g及びN−メチルピロリドン100ml
を入れ、190℃で15時間加熱攪拌した。重合反応中
は、トルエンを少量加え、共沸により生成する水を除去
した。冷却後、ポリマーを水中で析出させ、粉砕した
後、水、メタノールの順で洗浄した。得られたポリマー
の収量は12.3g、収率は92%であった。
【0047】また、得られたポリマーの物性を測定した
ところ、p−クロロフェノールを溶媒とする0.2g/
dl濃度の溶液の60℃における還元粘度が0.86d
l/g、荷重2.16kg、温度350℃で測定したメ
ルトインデックス(MI)が21g/10分、ガラス転
移温度が224℃、5%重量減温度が531℃であっ
た。また、IRスペクトル分析では2230cm-1にニ
トリル基による吸収が、1240cm-1にエーテル結合
による吸収が測定された。上記IRスペクトル分析結果
及び元素分析結果より、このポリマーは下記の構造を有
することがわかった。
【0048】
【化14】 なお、下記構造を有するホモポリマーのガラス転移温度
は218℃であった。
【0049】
【化15】
【0050】実施例2 実施例1において4,4′−ビフェノールの仕込み量を
8.38g(0.045モル)とした他は実施例1と同
様の操作を行い、ポリマーを合成した。得られたポリマ
ーの収量は16.4g、収率は98%であった。
【0051】また、得られたポリマーの物性を測定した
ところ、p−クロロフェノールを溶媒とする0.2g/
dl濃度の溶液の60℃における還元粘度が1.22d
l/g、荷重2.16kg、温度350℃で測定したメ
ルトインデックス(MI)が13g/10分、ガラス転
移温度が216℃、5%重量減温度が520℃であっ
た。また、IRスペクトル分析では2230cm-1にニ
トリル基による吸収が、1240cm-1にエーテル結合
による吸収が測定された。上記IRスペクトル分析結果
及び元素分析結果より、このポリマーは下記の構造を有
することがわかった。
【0052】
【化16】
【0053】実施例3 実施例1と同じ装置に2,6−ジフルオロベンゾニトリ
ル13.91g(0.1モル)、レゾルシノール8.8
1g(0.08モル)、炭酸カリウム16.6g(0.
12モル)、二酸化ケイ素1.8g及びN−メチルピロ
リドン100mlを入れ、実施例1と同様にして重合及
び後処理を行った。得られたポリマーの収量は17.4
g、収率は91%であった。
【0054】また、得られたポリマーの物性を測定した
ところ、p−クロロフェノールを溶媒とする0.2g/
dl濃度の溶液の60℃における還元粘度が0.95d
l/g、荷重2.16kg、温度350℃で測定したメ
ルトインデックス(MI)が36g/10分、ガラス転
移温度が159℃、5%重量減温度が476℃であっ
た。また、IRスペクトル分析では2230cm-1にニ
トリル基による吸収が、1240cm-1にエーテル結合
による吸収が測定された。上記IRスペクトル分析結果
及び元素分析結果より、このポリマーは下記の構造を有
することがわかった。
【0055】
【化17】 なお、下記構造を有するホモポリマーのガラス転移温度
は148℃であった。
【0056】
【化18】
【0057】実施例4 実施例1と同じ装置に4,4′−ジフルオロジフェニル
スルホン25.43g(0.1モル)、4,4′−ビフ
ェノール14.42g(0.08モル)、炭酸カリウム
16.6g(0.12モル)、二酸化ケイ素1.8g及
びN−メチルピロピドン100mlを入れ、実施例1と
同様にして重合及び後処理を行った。得られたポリマー
の収量は36.0g、収率は95%であった。
【0058】また、得られたポリマーの物性を測定した
ところ、p−クロロフェノールを溶媒とする0.2g/
dl濃度の溶液の60℃における還元粘度が0.49d
l/g、荷重2.16kg、温度350℃で測定したメ
ルトインデックス(MI)が9g/10分、ガラス転移
温度が226℃、5%重量減温度が528℃であった。
また、IRスペクトル分析では1240cm-1にエーテ
ル結合による吸収が測定された。上記IRスペクトル分
析結果及び元素分析結果より、このポリマーは下記の構
造を有することがわかった。
【0059】
【化19】 なお、下記構造を有するホモポリマーのガラス転移温度
は220℃であった。
【0060】
【化20】
【0061】実施例5 実施例1と同じ装置に2,8−ビス(4−フルオロベン
ゾイル)ジベンゾフラン20.71g(0.05モ
ル)、ヒドロキノン1.101g(0.01モル)、炭
酸カリウム9.95g、二酸化ケイ素0.9g及びN−
メチルピロリドン100mlを入れ、実施例1と同様に
して重合及び後処理を行った。得られたポリマーの収量
は19.1g、収率は96%であった。
【0062】また、得られたポリマーの物性を測定した
ところ、をp−クロロフェノールを溶媒とする0.2g
/dl濃度の溶液の60℃における還元粘度が0.69
dl/g、荷重2.16kg、温度350℃で測定した
メルトインデックス(MI)が4.3g/10分、ガラ
ス転移温度が195℃、5%重量減温度が560℃であ
った。また、IRスペクトル分析では1240cm-1
エーテル結合による吸収が測定された。上記IRスペク
トル分析結果及び元素分析結果より、このポリマーは下
記の構造を有することがわかった。
【0063】
【化21】 なお、下記構造を有するホモポリマーのガラス転移温度
は207℃であった。
【0064】
【化22】
【0065】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、芳香族ポリエ
ーテルの構成単位の共重合比を任意に所望の値にコント
ロールしつつ円滑に重縮合を進行させることができ、共
重合モノマーを適宜選択することにより、耐熱性及び熱
安定性に優れたエンジニアリングプラスチックとしての
用途のみならず、使用目的に応じた種々の機能を有する
機能材料としての種々の芳香族ポリエーテルを合成する
ことが可能となった。また、本発明の芳香族ポリエーテ
ルは、耐熱性及び熱安定性に優れる上に、優れた機械的
強度及び成形性を有し、かつ種々の機能を具備すること
が可能な極めて有用なポリマーである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (式中、Ar1は電子吸引性基を含有する二価の芳香族
    基であり、Xはハロゲン原子である。)で表される電子
    吸引性基で活性化されている芳香族化合物(I)と下記
    一般式(II) 【化2】 (式中、Ar2は二価の芳香族基であり、ただしAr2
    Ar1と同一であることはない。)で表される芳香族化
    合物(II)とを、芳香族化合物(II)1モルあたり
    芳香族化合物(I)1.01モル以上の割合で、シリカ
    系化合物とアルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水
    素塩との存在下、反応させることを特徴とする芳香族ポ
    リエーテルの製造法。
  2. 【請求項2】 Ar1中の電子吸引性基がシアノ基、ニ
    トロ基、−CO−及び−SO2−からなる群から選ばれ
    るものである請求項1記載の芳香族ポリエーテルの製造
    法。
  3. 【請求項3】 下記一般式(III) 【化3】 (式中、Ar1は電子吸引性基を含有する二価の芳香族
    基である。)で表される繰り返し単位(III)及び下
    記一般式(IV) 【化4】 (式中、Ar1は上記と同じ意味を有し、Ar2は二価の
    芳香族基であり、ただしAr2がAr1と同一であること
    はない。)で表される繰り返し単位(IV)を有し、繰
    り返し単位(III)の繰り返し単位(III)及び繰
    り返し単位(IV)の合計に対するモル比、(III)
    /[(III)+(IV)]、が0.01〜0.99の
    範囲にあり、p−クロロフェノールを溶媒とする0.2
    g/dl濃度の溶液の60℃における還元粘度が0.1
    〜10dl/gであることを特徴とする芳香族ポリエー
    テル。
  4. 【請求項4】 Ar1が下記式 【化5】 (式中、pは1〜3の整数であり、ベンゼン環は炭素数
    1〜10の炭化水素基又は炭素数1〜10のヘテロ原子
    含有炭化水素基で置換されていてもよい。)で表される
    芳香族基からなる群から選ばれるものであり、Ar2
    下記一般式 【化6】 (式中、Zは−O−、−CO−、−S−、二価のアルキ
    レン基又は化学結合であり、qは0〜2の整数であ
    る。)で表される芳香族基である請求項3記載の芳香族
    ポリエーテル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7754844B2 (en) 2002-10-08 2010-07-13 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Polyarylene ether compound containing sulfonic acid group, composition containing same, and method for manufacturing those
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