JPH059289A - ポリエーテル系共重合体及びその製造方法 - Google Patents

ポリエーテル系共重合体及びその製造方法

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JPH059289A
JPH059289A JP18411191A JP18411191A JPH059289A JP H059289 A JPH059289 A JP H059289A JP 18411191 A JP18411191 A JP 18411191A JP 18411191 A JP18411191 A JP 18411191A JP H059289 A JPH059289 A JP H059289A
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iii
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JP18411191A
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English (en)
Inventor
Kenichi Mihashi
謙一 三橋
Shigeru Matsuo
松尾  茂
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性に優れ、特にガラス転移温度及び熱分
解開始温度が十分に高く、しかも、耐溶剤性、機械的強
度等に優れた新規なエンジニアリング樹脂であるポリエ
ーテル系共重合体を提供する。 【構成】 次の一般式[I] (但し、式[I]中のAr1 、Ar2 は芳香族基を示
す。)で表される繰り返し単位[I]及び次の一般式
[II] (式[II]中のAr2 、Ar3 は芳香族基を示す。)
で表される繰り返し単位[II]からなるポリエーテル
系共重合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエーテル系共重合
体及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、特にガラ
ス転移温度及び熱分解開始温度が高いなど耐熱性に優
れ、耐溶剤性、機械的強度等にも優れた新規な構造のポ
リマーであり、例えば、電気・電子機器分野、機械分
野、原子力産業分野、宇宙航空分野等における素材とし
て有用なポリエーテル系共重合体と、該ポリエーテル系
共重合体を簡単な工程で効率よく製造する方法とに関す
る。
【0002】
【従来の技術】エンジニアリング樹脂は、金属やセラミ
ックスに比べて軽量で加工性に優れるなどの樹脂材料特
有の特性を有する上に、少なくとも一般の樹脂にはない
高い耐熱性や十分な機械的強度、さらには高い耐溶剤性
を有することが大きな特徴となっており、それ故、近年
のいわゆる軽薄短小のニーズにもふさわしく、例えば自
動車、精密機械、OA機器、光通信機器の部品など、電
気・電子分野、機械分野をはじめとする種々の分野にお
ける素材として極めて重要であり、その需要も年々増加
している。こうしたエンジニアリング樹脂としては、従
来、種々の構造を有するポリマーが開発されており、多
くのものが上記の如き種々の分野に利用されてきてい
る。しかし、エンジニアリング樹脂に対する要求性能が
年々厳しくなってきていることや用途の拡大などを考慮
すると、従来のエンジニアリング樹脂だけでは不十分で
あり、さらに高性能、高機能的な新しいエンジニアリン
グ樹脂の開発が望まれている。
【0003】比較的厳しい要求性能を満足しうるエンジ
ニアリング樹脂としては、結晶性のエンジニアリング樹
脂があり、その代表的なものとしてポリエーテルエーテ
ルケトンが知られている(特開昭54−90296号公
報)。しかしながら、このポリエーテルエーテルケトン
においても、成形性及び耐溶剤性には優れているもの
の、耐熱性については十分とは言い難く、特にガラス転
移温度が145℃程度と意外に低いという問題点があ
る。ガラス転移温度以上の温度では剛性を十分に維持す
ることができないので、ガラス転移温度が低いとその使
用温度が著しく限定されることになる。
【0004】また、イミド環を有する重合体として、ポ
リエーテルイミドが提案されている(特公昭57−20
966号公報)。しかしながら、この従来のポリエーテ
ルイミドは、耐熱性には優れているものの、その製造工
程が煩雑であるほか、広範な用途において要求されてい
る特性を十分に満足するに至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の事情
を鑑みてなされたものである。本発明の目的は、耐熱性
に優れ、特にガラス転移温度及び熱分解開始温度が十分
に高く、しかも、耐溶剤性、機械的強度等に優れた新規
なエンジニアリング樹脂であるポリエーテル系共重合体
とそのポリマーを簡単な工程で効率よく製造する方法と
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特にガラ
ス転移温度及び熱分解開始温度が高く、耐熱性に優れた
新規なエンジニアリング樹脂を開発すべく鋭意研究を重
ねた結果、フタルイミド環構造、芳香族ケトン及びエー
テル構造を有すると言う特定の構造の繰り返し単位と特
定の芳香族エーテル型構造の繰り返し単位からなる種々
の構造、組成及び分子量を有する新規なポリエーテル系
共重合体を得ることに成功した。このポリエーテル系共
重合体は、上記の繰り返し単位の割合が特定の範囲にあ
るとともに、ある条件で測定されたその還元粘度[ηsp
/C]又は溶融粘度が特定の大きさ以上である十分に高
分子量のポリマーである場合には、特にガラス転移温度
及び熱分解開始温度が十分に高く、耐熱性に優れ、しか
も、機械的強度、耐溶剤性等にも優れており、上記の各
種の分野等の広範囲の分野に有利に利用するに十分な高
耐熱性のエンジニアリング樹脂となることを見出した。
【0007】また、上記の高耐熱性のポリエーテル系共
重合体の製造方法について種々検討したところ、原料モ
ノマーとして、少なくとも2系統の異なるタイプの特定
の構造のジハロゲン化合物と特定の二価フェノール類を
用い、これらを特定の酸受容体すなわちアルカリ金属化
合物及び適当な溶媒の存在下で反応(重縮合反応)せし
めて所望のポリエーテル系共重合体を得るという方法
が、工程が簡単で効率のよい実用上有利な製造方法であ
ることを見出した。本発明者らは、主として上記の知見
に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、次の一般式[I]
【化10】 {但し、式[I]中のAr1 は、下記の、式(1a)、
式(1b)、式(1c)、式(1d)、式(1e)、式
(1f)及び式(1g)
【化11】 のうちのいずれかで表される芳香族基を示し、Ar2
は、下記の、式(2a)、式(2b)、式(2c)、式
(2d)、式(2e)、式(2f)、式(2g)、式
(2h)及び式(2i)
【化12】 (ただし、Rは炭素数1〜13のアルキレン基、炭素数
3〜13のシクロアルキレン基又は炭素数6〜13のア
リーレン基を示す。)のうちのいずれかで表される芳香
族基を示す。}で表される繰り返し単位[I]及び次の
一般式[II]
【化13】 {但し、式[II]中のAr2 は、前記の、式(2
a)、式(2b)、式(2c)、式(2d)、式(2
e)、式(2f)、式(2g)、式(2h)及び式(2
i)のうちのいずれかで表される芳香族基を示し、式
[II]中のAr2 と式[I]中のAr2 は、互いに同
じ種類でもよく、異なる種類でもよく、式[II]中の
Ar3 は、下記の、式(3a)、式(3b)、式(3
c)、式(3d)、式(3e)、式(3f)、式(3
g)及び式(3h)
【化14】 のうちのいずれかで表される芳香族基を示す。}で表さ
れる繰り返し単位[II]からなり、かつ、前記繰り返
し単位[I]の含有割合が、繰り返し単位[I]と繰り
返し単位[II]の合計量に対して10〜90モル%の
範囲にあるとともに、N,N−ジメチルアセトアミドを
溶媒とする濃度0.2g/dlの溶液の30℃における
還元粘度[ηsp/C]が0.2dl/g以上であるか、
あるいは、400℃における溶融粘度が3,000ポイ
ズ以上であることを特徴とするポリエーテル系共重合体
を提供するものである。
【0009】本発明は、また、上記本発明のポリエーテ
ル系共重合体の好適な製造方法として、次の一般式[I
II]
【化15】 {但し、式[III]中のAr1 は、下記の、式(1
a)、式(1b)、式(1c)、式(1d)、式(1
e)、式(1f)及び式(1g)
【化16】 のうちのいずれかで表される芳香族基を示し、Xはハロ
ゲン原子を示し、式[III]中の2つのXは、互いに
同じ種類でもよく、あるいは、異なる種類でもよい。}
で表されるジハロゲノイミド化合物[III]と、次の
一般式[IV] HO−Ar2 −OH [IV] {但し、式[IV]中のAr2 は、下記の、式(2
a)、式(2b)、式(2c)、式(2d)、式(2
e)、式(2f)、式(2g)、式(2h)及び式(2
i)
【化17】 (ただし、Rは炭素数1〜13のアルキレン基、炭素数
3〜13のシクロアルキレン基又は炭素数6〜13のア
リーレン基を示す。)のうちのいずれかで表される芳香
族基を示す。}で表される二価フェノ−ル化合物[I
V]と、次の一般式[V] X−Ar3 −X [V] {但し、式[V]中のAr3 は、下記の、式(3a)、
式(3b)、式(3c)、式(3d)、式(3e)、式
(3f)、式(3g)及び式(3h)
【化18】 のうちのいずれかで表される芳香族基を示し、Xはハロ
ゲン原子を示し、式[V]中の2つのXは、互いに同じ
種類でもよく、あるいは、異なる種類でもよく、また、
式[V]中のXは、前記式[III]中のXと同じ種類
でもよく、異なる種類でもよく、一部が同じで他の一部
が異なるものでもよい。}で表されるジハロゲノ芳香族
化合物[V]を、アルカリ金属化合物と溶媒の存在下に
反応させることを特徴とする方法を併せて提供するもの
である。
【0010】本発明のポリマーは、前記一般式[I]で
表される繰り返し単位すなわち繰り返し単位[I]と前
記一般式[II]で表される繰り返し単位すなわち繰り
返し単位[II]からなる共重合体であり、そのポリマ
ー主鎖に芳香族系のエーテル結合を有することからポリ
エーテル系共重合体と略称している。
【0011】繰り返し単位[I]中のAr1 は、前記式
(1a)、式(1b)、式(1c)、式(1d)、式
(1e)、式(1f)及び式(1g)のうちのいずれか
で表される二価の芳香族基であり、Ar2 は、前記式
(2a)、式(2b)、式(2c)、式(2d)、式
(2e)、式(2f)、式(2g)、式(2h)及び式
(2i)のうちのいずれかで表される二価の芳香族基で
ある。したがって、繰り返し単位[I]としては、Ar
1 及びAr2 をそれぞれ前記のどの芳香族基とするかに
よって、各種の構造のものがあり、このうちのいくつか
を代表例として示すと、後述の実施例において示す繰り
返し単位[Ia]、[Ib]、[Ic]、[Id]、
[Ie]、[If]、[Ig]等を挙げることができ
る。
【0012】一方、前記繰り返し単位[II]中のAr
2 は、前記式(2a)、式(2b)、式(2c)、式
(2d)、式(2e)、式(2f)、式(2g)、式
(2h)及び式(2i)のうちのいずれかで表される二
価の芳香族基であり、Ar3 は、前記式(3a)、式
(3b)、式(3c)、式(3d)、式(3e)、式
(3f)、式(3g)及び式(3h)のうちのいずれか
で表される二価の芳香族基である。したがって、繰り返
し単位[II]としては、Ar2 とAr3 を前記のどの
芳香族基とするかによって、各種の構造のものがあり、
このうちのいくつかを代表例として示すと、後述の実施
例において示す繰り返し単位[IIa]、[IIb]、
[IIc]、[IId]、[IIe]、[IIf]、
[IIg]等を挙げることができる。
【0013】なお、繰り返し単位[I]中のAr2 と繰
り返し単位[II]中のAr2 は、互いに同じ種類のも
のでもよく、異なる種類のものでもよい。
【0014】本発明のポリエーテル系共重合体は、前記
繰り返し単位[I]の1種又は2種以上と前記繰り返し
単位[II]の1種又は2種以上からなる各種の構造の
ものとすることができる。
【0015】本発明のポリエーテル系共重合体は、前記
Ar1 、Ar2 及びAr3 の種類や組合せ、あるいは前
記繰り返し単位[I]及び[II]の種類、組合せ及び
含有割合等に応じて、非晶質性のものから各種の結晶化
度の結晶性のコポリマーとすることができる。例えば、
繰り返し単位[I]及び繰り返し単位[II]のArr
2 として前記式(2a)の芳香族基すなわち4,4′−
ビフェニレン基を選択し、かつ、A3 として前記式(3
a)の芳香族基すなわちp−フェニレンカルボニル−p
−フェニレン基を選択すると、通常、結晶性のコポリマ
ーが得られる。
【0016】本発明のポリエーテル系共重合体は、前記
繰り返し単位[I]と繰り返し単位[II]からなる共
重合体であるが、これら繰り返し単位[I]と[II]
の合計モル数に対して、該繰り返し単位[I]の割合が
10〜90モル%(すなわち、繰り返し単位[II]の
割合が90〜10モル%)の範囲にある組成を有するこ
とが重要である。繰り返し単位[I]の含有割合が10
モル%未満であると、ポリマーのガラス転移温度が十分
に高いものとならず、耐熱性が不十分となり、本発明の
目的を十分に達成することができない。また、この繰り
返し単位[I]の含有割合が90モル%を超えると、ポ
リマーの成形加工性が悪くなる。なお、本発明のポリエ
ーテル系共重合体は、高耐熱性及び良好な成形加工性を
ともにより好適に満足させる点から、前記繰り返し単位
[I]の含有割合が20〜80モル%の範囲(すなわ
ち、繰り返し単位[II]の含有割合が80〜20モル
%の範囲)にあるものが好ましい。また、耐熱性をより
高くするには、一般に、繰り返し単位[I]の割合を前
記の範囲で大きくするのがよい。
【0017】本発明のポリエーテル系共重合体は、N,
N−ジメチルアセトアミドを溶媒とする濃度0.2g/
dlの溶液の30℃における還元粘度[ηsp/C]が
0.2dl/g以上であるか、あるいは、400℃にお
ける溶融粘度が3,000ポイズ以上であることも重要
である。このような特定の値以上の還元粘度[ηsp
C]又は溶融粘度を有する本発明の共重合体は、実用上
十分に高い分子量(平均分子量)を有しており、十分に
高い耐熱性(特に、高いガラス転移温度及び高い熱分解
開始温度)を有すると共に、高い機械的強度等の実用上
十分な性能を有している。また、このように高分子量の
本発明のポリエーテル系共重合体は、通常、耐溶剤性に
も優れており、特に前記した結晶性コポリマーのように
結晶化度の高いものは、通常、著しく高い耐溶剤性を有
しており、N,N−ジメチルアセトアミド等の多くの有
機溶剤に不溶のものもある。
【0018】本発明の共重合体は、その還元粘度[ηsp
/C]が上記の測定条件で0.2dl/g以上である
か、あるいは400℃で測定した時の溶融粘度が3,0
00ポイズ以上であるかの、いずれかを満足するもので
あればよく、したがって、例えば前記結晶性コポリマー
のようにN,N−ジメチルアセトアミドに溶解しにくい
ポリマーの場合には、400℃における溶融粘度が3,
000ポイズ以上であればよい。
【0019】前記還元粘度[ηsp/C]があまり大きす
ぎたり、あるいは、前記溶融粘度があまり大きすぎる著
しく高分子量のものは、成形加工性に支障を生じること
がある。前記還元粘度[ηsp/C]の好ましい範囲は、
0.25〜2.0dl/g程度であり、一方、前記溶融
粘度の好ましい範囲は、5,000〜100,000ポ
イズ程度である。
【0020】本発明のポリエーテル系共重合体は、前記
繰り返し単位[I]と繰り返し単位[II]の配列の仕
方については、特に制限はなく、ランダム型、交互型、
ブロック型等、あるいはこれらの組合せによる各種のタ
イプの共重合体とすることができる。これらの中でも、
ランダム型のものは、特に製造が容易であるなどの利点
を有していることから、一般に、より好適に利用され
る。
【0021】本発明のポリエーテル系共重合体は、本発
明の目的を阻害しない範囲で、上記繰り返し単位[I]
及び繰り返し単位[II]以外の他の繰り返し単位を含
有していてもよい。その際、例えば、分岐型の適当な繰
り返し単位を導入し、グラフト型の共重合体や架橋構造
を有する共重合体等の分岐構造を有する共重合体とする
ことも可能である。
【0022】また、本発明の共重合体は、1種単独で使
用してもよく、場合に応じて、2種以上の混合物として
使用してもよく、さらには、必要に応じて適宜他のポリ
マー成分や各種の添加剤成分(例えば、酸化防止剤、安
定化剤、紫外線吸収剤、有機又は無機充填剤、可塑剤、
着色剤、粘度調整剤等)を添加もしくは配合して、それ
ぞれの用途に適合した組成の樹脂組成物として使用する
ことができる。
【0023】以上詳述したように、本発明のポリエーテ
ル系共重合体は、特にガラス転移温度及び熱分解開始温
度が高く、耐熱性に優れており、しかも、機械的強度、
耐溶剤性等のエンジニアリング樹脂としての他の特性の
点でも優れている。すなわち、本発明のポリエーテル系
共重合体は、厳しい要求に耐えうる高耐熱性のエンジニ
アリング樹脂であり、例えば、電気・電子機器分野、自
動車部品分野、精密機械分野等の機械分野、原子力産業
分野、宇宙航空分野等における素材として有利に使用す
ることができる。
【0024】本発明のポリエーテル系共重合体の一般的
製造方法としては、特に制限はなく、どのような反応原
料を用いて、どのような手法によって製造してもよいの
であるが、通常、次に詳述する本発明の方法によって、
簡単な工程で効率よく製造することができる。
【0025】すなわち、本発明のポリエーテル系共重合
体の好適な製造方法の例として提供する本発明の方法
は、前記一般式[III]で表されるジハロゲノイミド
化合物[III]と、前記一般式[IV]で表される二
価フェノール化合物[IV]と、前記一般式[V]で表
されるジハロゲノ芳香族化合物[V]を、アルカリ金属
化合物と溶媒の存在下に反応させることを特徴とする。
【0026】前記一般式[III]で表される化合物す
なわちジハロゲノイミド化合物[III]中のAr1
は、前記繰り返し単位[I]中のAr1 に対応するもの
であるから、前記の各種のものとすることができる。ま
た、前記ジハロゲノイミド化合物[III]中の2つの
Xは、それぞれ、ハロゲン原子を表すが、これらのX
は、互いに同じでもよく、相違していてもよい。該ハロ
ゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭
素原子及びヨウ素原子を挙げることができる。これらの
ハロゲン原子の中でも、反応性の点等から、通常、フッ
素原子、塩素原子が好ましく、特に、フッ素原子が好ま
しい。2つのXが共にフッ素原子であるジハロゲノイミ
ド化合物[III]すなわちジフルオロイミド化合物
は、特に好適に使用される。
【0027】前記ジハロゲノイミド化合物[III]と
しては、前記Ar1 及びXの種類と組合せに応じて各種
のものがあり、このうちXがフッ素原子であるものを例
示すると、次のそれぞれの式
【化19】 で表される化合物[IIIa]、化合物[IIIb]、
化合物[IIIc]、化合物[IIId]、化合物[I
IIe]、化合物[IIIf]及び化合物[IIIg]
を挙げることができる。中でも化合物[IIIa]、化
合物[IIIb]、化合物[IIIc]及び化合物[I
IId]が好適に用いられる。これら例示のそれぞれの
ジフルオロイミド化合物は、モノマー成分として特に好
ましく使用されるが、もちろん、これらの化合物におけ
るフッ素原子の1つ又は2つを塩素原子等の他のハロゲ
ン原子に置き換えたそれぞれの化合物も使用可能であ
る。
【0028】なお、前記各種のジハロゲノイミド化合物
[III]は、モノマー成分として1種のみを使用して
もよく、2種以上を混合物等として併用してもよい。
【0029】前記一般式[IV]で表される化合物すな
わち二価フェノール化合物[IV]中のAr2 は、前記
繰り返し単位[I]中のAr2 と繰り返し単位[II]
のAr2 に対応するものであるから、前記の各種のもの
とすることができる。該二価フェノール化合物[IV]
の具体例としては、次のそれぞれの式
【化20】 で表される化合物[IVa]、化合物[IVb]、化合
物[IVc]、化合物[IVd]例えば化合物[IV
d′]、化合物[IVe]、化合物[IVf]、化合物
[IVg]、化合物[IVh]及び化合物[IVi]を
挙げることができる。中でも、化合物[IVa]すなわ
ちハイドロキノン、化合物[IVb]すなわち4,4′
−ジヒドロキシビフェニル、化合物[IVc]すなわち
ビス[4−ヒドロキシフェニル]スルフィド、化合物
[IVd′]すなわちビスフェノールA及び化合物[I
Ve]すなわちフェノールフタレインが好適に用いられ
る。これら各種の二価フェノール化合物[IV]は、モ
ノマー成分として、1種のみを使用してもよく、2種以
上を混合物等として併用してもよい。なお、二価フェノ
ール化合物[IV]は、その一部又は全部を後述のアル
カリ金属化合物に対応するアルカリ金属塩として前記反
応(重縮合反応)に供することもできる。
【0030】前記一般式[V]で表される化合物すなわ
ちジハロゲノ芳香族化合物[V]中のAr3 は、前記繰
り返し単位[II]中のAr3 に対応するものであるか
ら、前記の各種のものとすることができる。また、前記
ジハロゲノ芳香族化合物[V]中の2つのXは、それぞ
れ、ハロゲン原子を表すが、これらのXは、互いに同じ
でもよく、相違していてもよい。該ハロゲン原子の具体
例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ
素原子を挙げることができる。これらのハロゲン原子の
中でも、反応性の点等から、通常、フッ素原子、塩素原
子が好ましく、特に、フッ素原子が好ましい。2つのX
が共にフッ素原子であるジハロゲノ芳香族化合物[V]
すなわちジフルオロ芳香族化合物は、特に好適に使用さ
れる。
【0031】前記ジハロゲノ芳香族化合物[V]として
は、前記Ar3及びXの種類と組合せに応じて各種のも
のがあり、このうちXがフッ素原子であるものを例示す
ると、次のそれぞれの式
【化21】 で表される化合物[Va]、化合物[Vb]、化合物
[Vc]、化合物[Vd]、化合物[Ve]、化合物
[Vf]、化合物[Vg]及び化合物[Vh]を挙げる
ことができる。中でも、化合物[Va]すなわち4,
4′−ジフルオロベンゾフェノン、化合物[Vb]すな
わち4,4′−ジフルオロジフェニルスルホン及び化合
物[Vc]すなわち2,6−ジフルオロベンゾニトリル
が好適に用いられる。これら例示のそれぞれのジフルオ
ロ芳香族化合物は、モノマー成分として特に好ましく使
用されるが、もちろん、これらの化合物におけるフッ素
原子の1つ又は2つを塩素原子等の他のハロゲン原子に
置き換えたそれぞれの化合物も使用可能である。
【0032】なお、前記各種のジハロゲノ芳香族化合物
[V]は、モノマー成分として1種のみを使用してもよ
く、2種以上を混合物等として併用してもよい。
【0033】前記アルカリ金属化合物としては、前記二
価フェノール化合物[IV]をアルカリ金属塩に変える
ことが可能なものであればどのようなものも使用可能で
あるが、通常、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、水
酸化物等が好適に使用され、特に炭酸塩が好ましく使用
される。該アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウ
ム、カリウム、ルビジウム及びセシウムを挙げることが
できるが、中でも、ナトリウム及びカリウムが好まし
く、特にカリウムが好ましい。
【0034】前記アルカリ金属の炭酸塩の具体例として
は、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムなどを挙げること
ができる。前記アルカリ金属の炭酸水素塩の具体例とし
ては、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素
セシウムなどを挙げることができる。また、前記アルカ
リ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウ
ム、水酸化セシウムなどを挙げることができる。
【0035】これら各種のアルカリ金属化合物の中で
も、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が好ましく、特
に、炭酸カリウム等が好ましい。これら各種のアルカリ
金属化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を
併用してもよい。なお、このアルカリ金属化合物は、そ
の一部又は全部を前記二価フェノール化合物[IV]の
アルカリ金属塩として、前記反応(重縮合反応)に供給
してもよい。
【0036】本発明の方法においては、前記ジハロゲノ
イミド化合物[III]と前記二価フェノール化合物
[IV]と前記ジハロゲノ芳香族化合物[V]を前記ア
ルカリ金属化合物及び溶媒の存在下で反応(重縮合反
応)させることによって、本発明の各種のポリエーテル
系共重合体を製造する。その際、それぞれの成分は、1
種としてもよくあるいは2種以上としてもよい。また、
前記したように、二価フェノール化合物[IV]の一部
又は全部をアルカリ金属塩として使用し、アルカリ金属
化合物としても兼ねる形にしてもよい。
【0037】前記溶媒としては特に制限はなく、反応に
支障がなく、重合反応を円滑に進めることができるもの
であれば、どのようなものでもよいが、通常は、使用す
るモノマー成分を溶解するもの、さらには重合途上で生
成する中間的な分子量のオリゴマ−やポリマーを均一に
溶解もしくは分散し、重合反応系の均一性を保って所望
の高分子量の共重合体までの重合反応を円滑に進めるよ
うな溶媒が好適に使用される。溶媒は、1種単独成分で
構成してもよく、2種以上の成分を適宜組合せて併用し
てもよい。
【0038】好ましい溶媒の具体例としては、例えば、
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジ
メチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリド
ン(NMP)、N−シクロヘキシルピロリドン等のN−
アルキルピロリドン、DMI、ジメチルスルホキシド
(DMSO)、スルホラン、ジフェニルスルホン等の中
性極性溶媒もしくはこれを主成分とする混合溶媒などを
挙げることができる。これらの中でも、特に、NMPな
どが好適に使用される。これらの中性極性溶媒は、1種
単独で使用してもよく、2種以上を混合溶媒等として併
用してもよい。また、必要に応じて、中性極性溶媒と例
えばトルエン等の芳香族系溶媒など他の溶媒を併用する
こともできる。
【0039】なお、前記中性極性溶媒を用いて反応を行
い、該反応の途中の適当な時点で、反応によって生成し
た水等の水分を反応系から効率よく除去するために、例
えば、トルエンやキシレン等の水と共沸しやすい不活性
溶媒成分を適量添加する方法なども好適に使用される。
【0040】本発明の方法において、前記反応(重縮合
反応)に供するジハロゲノイミド化合物[III]とジ
ハロゲノ芳香族化合物[V]と二価フェノール化合物
[IV]の割合は、得られる共重合体中の繰り返し単位
[I]と繰り返し単位[II]の割合が前記所定の範囲
に納まるように選定すればよく、また、それぞれの原料
モノマーを出来るだけ過不足なく効率よく反応させるた
めに、該反応(重縮合反応)の化学量論比を同時に考慮
して選定するのが好ましい。
【0041】ところで、前記反応(重縮合反応)は、形
式的には、ジハロゲノイミド化合物[III]とジハロ
ゲノ芳香族化合物[V]中のそれぞれのハロゲン原子が
二価フェノール化合物[IV]中のそれぞれのヒドロキ
シ基の水素原子とが前記アルカリ金属化合物の作用で引
き抜かれて脱ハロゲン化水素縮合を繰り返す形で進行す
ると見なすことができる。実際には、この重縮合反応
は、該ヒドロキシ基の水素原子がアルカリ金属に置換さ
れてから、そのアルカリ金属と該ハロゲン原子とがアル
カリ金属ハロゲン化物となって脱離する形で進行すると
思われるが、いずれにしても、この重縮合反応は、ジハ
ロゲノイミド化合物[III]とジハロゲノ芳香族化合
物[V]の合計モル数と等モル量の二価フェノール化合
物[IV]が反応する化学量論比によって起こることに
なる。したがって、この点を考慮して、二価フェノール
化合物[IV]の使用量に対するジハロゲノイミド化合
物[III]とジハロゲノ芳香族化合物[V]の合計使
用量の割合を、モル比{([III]+[V])/[I
V]}で、通常、1あるいは1付近に選定するのが好ま
しく、具体的には、0.98〜1.02の範囲、特に、
1.00〜1.01の範囲に選定するのが好ましい。
【0042】また、前記反応(重縮合反応)によると、
二価フェノール化合物[IV]の一部とジハロゲノイミ
ド化合物[III]とから前記繰り返し単位[I]が構
成され、一方、二価フェノール化合物[IV]の一部と
ジハロゲノ芳香族化合物[V]とから前記繰り返し単位
[II]が構成されることになる。したがって、前記反
応(重縮合反応)に供するジハロゲノイミド化合物[I
II]とジハロゲノ芳香族化合物[V]の使用割合とし
ては、これら[III]と[V]の合計モル量に対し
て、前者[III]を90〜10モル%(好ましくは8
0〜20モル%)の範囲に選定するのがよい。
【0043】前記アルカリ金属化合物の使用量は、使用
する二価フェノール化合物[IV]0.5モル(すなわ
ち、1当量)当たり、通常、1.00〜3.00当量の
範囲に選定するのが好ましく、特に、1.05〜2.0
0当量の範囲に選定するのが好ましい。なお、前記アル
カリ金属化合物の当量は、通常の塩基としての当量とし
て計算すればよく、例えば、前記アルカリ金属炭酸塩1
モルは2当量に相当し、アルカリ金属炭酸水素塩及びア
ルカリ金属水酸化物については、それぞれ、1モルが1
当量に相当する。
【0044】また、前記溶媒の使用量としては、使用す
る溶媒1リットル当たり、原料モノマーの合計量([I
II]+[IV]+[V])が、通常、0.25〜4モ
ルの範囲となる割合に選定するのが好ましい。
【0045】前記反応(重縮合反応)は、通常、150
〜350℃、好ましくは、180〜250℃の範囲の温
度で好適に実施される。反応温度が150℃未満では十
分な反応速度が得られないことがあり、一方、350℃
を超えるとポリマーがゲル化したり、着色が著しくなる
などの支障を生じることがある。なお、反応温度は、一
定に保持してもよく、連続的にあるいは段階的昇温させ
るなど種々のモードに変化させてもよい。例えば、反応
温度を室温等の低い温度から徐々に昇温し、その後、上
記の温度範囲の適当な温度に保持する方法なども好適に
採用される。
【0046】反応時間は、使用する原料や溶媒の種類及
び割合、反応温度等に応じて適宜選定すればよいのであ
るが、通常、0.1〜10時間程度とすることができ、
好ましくは1〜5時間程度とするのがよい。反応圧力と
しては、特に制限はなく、常圧、加圧、反応系の自圧、
減圧のいずれでもよいが、通常は、減圧ないし常圧付近
で好適に行いうる。反応雰囲気としては、特に制限はな
いが、通常は、窒素やアルゴン等の不活性ガスあるいは
排気状態などの不活性雰囲気下で行うのがよく、例え
ば、不活性ガスを反応系に吹き込みながら反応を行う方
法なども好適に採用される。なお、前記反応は、通常、
攪拌下で行うのが望ましい。但し、本発明のポリエーテ
ル系共重合体は多くの場合溶媒に解けにくいので、重合
度が十分に増加すると固体状となって析出し攪拌が困難
となることがある。その場合には攪拌操作を適宜停止し
ても構わない。
【0047】前記反応(重縮合反応)を行うに際して、
反応操作法としては、特に制限はなく、周知の方法など
各種の方法を採用することができる。以上のようにし
て、所望の各種の組成及び分子量を有する本発明のポリ
エーテル系共重合体を好適に合成することができる。こ
の本発明の方法では、通常、繰り返し単位[I]と繰り
返し単位[II]がランダムに配列したランダム型のポ
リエーテル系共重合体が得られる。こうして得られたポ
リマ−は、公知の分離、精製法などの適当な後処理操作
によって、反応混合物から分離され、所望の精製度のポ
リマーとして回収することができる。例えば、固体状に
析出したポリマーを、反応混合物のままあるいは適宜溶
媒等の液状成分を除去してから、ブレンダー等を用いて
粉砕し、次いでメタノールや水等の適当な洗浄液によっ
て十分に洗浄後、適宜乾燥する方法などが好適に採用で
きる。このようにして、ポリマー中に溶媒成分やアルカ
リ金属化合物等の不純物を十分に除去することができ
る。なお、その際回収された未反応のモノマー及び溶媒
は、必要に応じて適宜、前記反応(重縮合反応)に再使
用することもできる。
【0048】以上のようにして、ガラス転移温度が例え
ば200℃以上、あるいは250℃以上と極めて高く、
熱分解開始温度が例えば400℃以上、あるいは450
℃以上と著しく高いなど耐熱性に著しく優れ、しかも、
耐溶剤性や機械的強度が十分に高いなど、優れたエンジ
ニアリング樹脂としての特性を有するポリエーテル系共
重合体を、簡単な工程で効率よく製造することができ
る。
【0049】こうして製造されたポリマー等の本発明の
ポリエーテル系共重合体は、上記のように耐熱性に優
れ、しかも、耐溶剤性、機械的強度等にも優れているの
で、前記した広範囲の分野において有利に利用すること
ができる。
【0050】
【実施例】以下に、本発明を実施例によって、さらに具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。なお、下記の実施例において、原料モ
ノマー成分として用いた化合物[IIIa]、化合物
[IIIb]、化合物[IIIc]及び化合物[III
d]は、それぞれ、下記に示す化合物である。
【0051】
【化22】
【0052】実施例1 トルエンを満たしたディーンスタルクトラップ、攪拌装
置及びアルゴンガス導入管を備えた内容積300mlの
反応容器に、上記の化合物[IIIa]12.86g
(21.0mmol)、2,6−ジフルオロベンゾニト
リル1.25g(9.00mmol)、ビスフェノール
A6.85g(30.0mmol)、N−メチルピロリ
ドン120ml及び炭酸カリウム4.98g(36.0
mmol)を入れ、アルゴンガスを吹き込みながら40
分かけて190℃まで昇温した。昇温後、反応系に少量
のトルエンを加え、生成した水を共沸により系外に除
き、190℃で3.5時間反応させた。
【0053】反応終了後、生成物をブレンダーで粉砕
し、水、メタノールの順で洗浄後、乾燥した。その結
果、薄茶色の所望のポリマーを収量18.6g(収率9
4%)で得た。こうして得られたポリマーのガラス転移
温度は227℃であり、また、空気中で測定した5%重
量減を示す熱分解開始温度は448℃であった。
【0054】また、このポリマーのN,N−ジメチルア
セトアミドを溶媒とする濃度0.2g/dlの溶液の3
0℃における還元粘度[ηsp/C]は、0.38dl/
gであった。一方、このポリマーは、赤外分光分析及び
元素分析等の結果から、下記の繰り返し単位[Ia]と
繰り返し単位[IIa]からなり、かつ、繰り返し単位
[Ia]の割合が、モル比{[Ia]/([Ia]+
[IIa])}で0.7である組成を有するポリエーテ
ル系共重合体であることが確認された。
【0055】
【化23】
【0056】なお、このポリマーの赤外分光分析チャー
トを図1に示す。
【0057】実施例2 実施例1において、上記の化合物[IIIa]15.0
0mmolを用い、2,6−ジフルオロベンゾニトリル
に代えて4,4′−ジフルオロジフェニルスルホン1
5.00mmolを用い、かつ、ビスフェノールAに代
えてフェノールフタレイン30.0mmolを用いた以
外は、実施例1と同様にして実施した。その結果、赤外
分光分析及び元素分析等の結果から、下記の繰り返し単
位[Ib]と繰り返し単位[IIb]からなり、かつ、
繰り返し単位[Ib]の割合が、モル比{[Ib]/
([Ib]+[IIb])}で0.5である組成を有す
るポリエーテル系共重合体であることが確認されたポリ
マーを収率96%で得た。
【0058】
【化24】
【0059】なお、このポリマーの実施例1と同様の条
件で測定したガラス転移温度(Tg)及び熱分解開始温
度(Td)及び還元粘度[ηsp/C]を表1に、また、
該ポリマーの赤外分光分析チャートを図2にそれぞれ示
す。
【0060】実施例3 実施例1において、化合物[IIIa]に代えて化合物
[IIIb]15.00mmol用い、2,6−ジフル
オロベンゾニトリルに代えて4,4′−ジフルオロジフ
ェニルスルホン15.00mmolを用い、かつ、ビス
フェノールAに代えて4,4′−ジヒドロキシビフェニ
ル30.0mmolを用いた以外は、実施例1と同様に
して実施した。その結果、赤外分光分析及び元素分析等
の結果から、下記の繰り返し単位[Ic]と繰り返し単
位[IIc]からなり、かつ、繰り返し単位[Ic]の
割合が、モル比{[Ic]/([Ic]+[II
c])}で0.5である組成を有するポリエーテル系共
重合体であることが確認されたポリマーを収率92%で
得た。
【0061】
【化25】
【0062】なお、このポリマーの実施例1と同様の条
件で測定したガラス転移温度(Tg)及び熱分解開始温
度(Td)及び還元粘度[ηsp/C]を表1に、また、
該ポリマーの赤外分光分析チャートを図3にそれぞれ示
す。
【0063】実施例4 実施例1において、化合物[IIIa]に代えて前記の
化合物[IIIc]9.00mmolと4,4′−ジフ
ルオロベンゾフェノン21.00mmolを用い、かつ
ビスフェノールAに代えてフェノールフタレイン30.
0mmolを用いた以外は、実施例1と同様に実施し
た。その結果、赤外分光分析及び元素分析等の結果か
ら、下記の繰り返し単位[Id]と繰り返し単位[II
d]からなり、かつ、繰り返し単位[Id]の割合が、
モル比{[Id]/([Id]+[IId])}で0.
3である組成を有するポリエーテル系共重合体であるこ
とが確認されたポリマーを収率91%で得た。
【0064】
【化26】
【0065】なお、このポリマーの実施例1と同様な条
件で測定したガラス転移温度(Tg)及び熱分解開始温
度(Td)及び還元粘度[ηsp/C]を表1に、また、
該ポリマーの赤外分光分析チャートを図4にそれぞれ示
す。
【0066】実施例5 実施例1において、化合物[IIIa]に代えて前記の
化合物[IIIc]21.0mmolと2,6−ジフル
オロベンゾニトリル9.00mmolとハイドロキノン
30.00mmolを用いた以外は、実施例1と同様に
して実施した。その結果、赤外分光分析及び元素分析等
の結果から、下記の繰り返し単位[Ie]と繰り返し単
位[IIe]からなり、かつ、繰り返し単位[Ie]の
割合が、、モル比{[Ie]/([Ie]+[II
e])}で0.7である組成を有するポリエーテル系共
重合体であることが確認されたポリマーを収率98%で
得た。
【0067】
【化27】
【0068】なお、このポリマーの実施例1と同様な条
件で測定したガラス転移温度(Tg)及び熱分解開始温
度(Td)及び還元粘度[ηsp/C]を表1に、また、
該ポリマーの赤外分光分析チャートを図5にそれぞれ示
す。
【0069】実施例6 実施例1において、化合物[IIIa]に代えて前記の
化合物[IIId]18.00mmolと2,6−ジフ
ルオロベンゾニトリル12.00mmolを用い、かつ
ビスフェノールAに代えて4,4′−ジフェニルチオエ
ーテル30.0mmolを用いた以外は、実施例1と同
様にして実施した。その結果、赤外分光分析及び元素分
析等の結果から、下記の繰り返し単位[If]と繰り返
し単位[IIf]からなり、かつ、繰り返し単位[I
f]の割合、モル比{[If]/([f]+[II
f])で0.6である組成を有するポリエーテル系共
重合体であることが確認されたポリマーを収率96%で
得た。
【0070】
【化28】
【0071】なお、このポリマーの実施例1と同様の条
件で測定したガラス転移温度(Tg)及び熱分解開始温
度(Td)及び還元粘度[ηsp/C]を表1に、また、
該ポリマーの赤外分光分析チャートを図6にそれぞれ示
す。
【0072】実施例7 実施例1と同様の装置に、上記の化合物[IIIa]
5.51g(9.00mmol)、4,4′−ジヒドロ
キシビフェニル5.59g(30.0mmol)、炭酸
カリウム4.98g(36.0mmol)、N−メチル
ピロリドン60mlを入れ、アルゴンガスを吹き込みな
がら、40分かけて190℃まで昇温した。30分後
に、4,4′−ジフルオロベンゾフェノン4.58g
(21.0mmol)をN−メチルピロリドン60ml
に滲解させ、加えた。190℃で更に2.5時間反応さ
せ、反応終了後の操作を実施例1と同様に行った。その
結果、赤外分光分析及び元素分析等の結果から、下記の
繰り返し単位[Ig]と繰り返し単位[IIg]からな
り、かつ、繰り返し単位[Ig]の割合が、モル比
{[Ig]/([Ig]+[IIg])}で0.3であ
る組成を有するポリエーテル系共重合体であることが確
認されたポリマーを収率97%で得た。
【0073】
【化29】
【0074】得られたポリマーの結晶化度は26%であ
り、融点は374℃であった。なお、このポリマーの実
施例1と同様の条件で測定したガラス転位温度(Tg)
及び熱分解開始温度(Td)及び400℃における溶融
粘度を表1に、また該ポリマーの赤外分光分析チャート
を図7にそれぞれ示す。つぎに、このポリマーのプレス
フィルムを用いて耐溶剤性を評価した結果、アセトン、
クロロホルム、四塩化炭素、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエ
ン、キシレンに対して不溶性であった。
【0075】
【表1】 DFBP :4,4′−ジフルオロベンゾフェノン DFDPS:4,4′−ジフルオロジフェニルスルホン DFBN :2,6−ジフルオロベンゾニトリル
【0076】
【発明の効果】本発明によると、特定の構造の繰り返し
単位を特定の割合で含有する新規な構造の高分子量のポ
リエーテル系共重合体を提供することができ、これらの
ポリマーは、熱分解開始温度が高く、従来のPEEK等
の結晶性エンジニアリング樹脂と比べて特にガラス転移
温度が高いなど耐熱性が向上しており、しかも、十分な
機械的強度、耐溶剤性等の他のエンジニアリング樹脂と
しての特性をも満足しているので、広範囲の分野に有利
に利用することができる。また、本発明によると、上記
の優れた特性を有する耐熱性のポリエーテル系共重合体
を簡単な工程で効率よく製造することができる実用上有
利な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエーテル系共重合体の一例である
実施例1で製造されたポリマーの赤外分光分析のチャー
トである。
【図2】本発明のポリエーテル系共重合体の一例である
実施例2で製造されたポリマーの赤外分光分析のチャー
トである。
【図3】本発明のポリエーテル系共重合体の一例である
実施例3で製造されたポリマーの赤外分光分析のチャー
トである。
【図4】本発明のポリエーテル系共重合体の一例である
実施例4で製造されたポリマーの赤外分光分析のチャー
トである。
【図5】本発明のポリエーテル系共重合体の一例である
実施例5で製造されたポリマーの赤外分光分析のチャー
トである。
【図6】本発明のポリエーテル系共重合体の一例である
実施例6で製造されたポリマーの赤外分光分析のチャー
トである。
【図7】本発明のポリエーテル系共重合体の一例である
実施例7で製造されたポリマーの赤外分光分析のチャー
トである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式[I] 【化1】 {但し、式[I]中のAr1 は、下記の、式(1a)、
    式(1b)、式(1c)、式(1d)、式(1e)、式
    (1f)及び式(1g) 【化2】 のうちのいずれかで表される芳香族基を示し、Ar2
    は、下記の、式(2a)、式(2b)、式(2c)、式
    (2d)、式(2e)、式(2f)、式(2g)、式
    (2h)及び式(2i) 【化3】 (ただし、Rは炭素数1〜13のアルキレン基、炭素数
    3〜13のシクロアルキレン基又は炭素数6〜13のア
    リーレン基を示す。) のうちのいずれかで表される芳香族基を示す。} で表される繰り返し単位[I]及び次の一般式[II] 【化4】 {但し、式[II]中のAr2 は、前記の、式(2
    a)、式(2b)、式(2c)、式(2d)、式(2
    e)、式(2f)、式(2g)、式(2h)及び式(2
    i)のうちのいずれかで表される芳香族基を示し、式
    [II]中のAr2 と式[I]中のAr2 は、互いに同
    じ種類でもよく、異なる種類でもよく、式[II]中の
    Ar3 は、下記の、式(3a)、式(3b)、式(3
    c)、式(3d)、式(3e)、式(3f)、式(3
    g)及び式(3h) 【化5】 のうちのいずれかで表される芳香族基を示す。} で表される繰り返し単位[II]からなり、かつ、前記
    繰り返し単位[I]の含有割合が、繰り返し単位[I]
    と繰り返し単位[II]の合計量に対して10〜90モ
    ル%の範囲にあるとともに、N,N−ジメチルアセトア
    ミドを溶媒とする濃度0.2g/dlの溶液の30℃に
    おける還元粘度[ηsp/C]が0.2dl/g以上であ
    るか、あるいは、400℃における溶融粘度が3,00
    0ポイズ以上であることを特徴とするポリエーテル系共
    重合体。
  2. 【請求項2】 次の一般式[III] 【化6】 {但し、式[III]中のAr1 は、下記の、式(1
    a)、式(1b)、式(1c)、式(1d)、式(1
    e)、式(1f)及び式(1g) 【化7】 のうちのいずれかで表される芳香族基を示し、Xはハロ
    ゲン原子を示し、式[III]中の2つのXは、互いに
    同じ種類でもよく、あるいは、異なる種類でもよい。} で表されるジハロゲノイミド化合物[III]と、次の
    一般式[IV] HO−Ar2 −OH [IV] {但し、式[IV]中のAr2 は、下記の、式(2
    a)、式(2b)、式(2c)、式(2d)、式(2
    e)、式(2f)、式(2g)、式(2h)及び式(2
    i) 【化8】 (ただし、Rは炭素数1〜13のアルキレン基、炭素数
    3〜13のシクロアルキレン基又は炭素数6〜13のア
    リーレン基を示す。) のうちのいずれかで表される芳香族基を示す。} で表される二価フェノール化合物[IV]と、次の一般
    式[V] X−Ar3 −X [V] {但し、式[V]中のAr3 は、下記の、式(3a)、
    式(3b)、式(3c)、式(3d)、式(3e)、式
    (3f)、式(3g)及び式(3h) 【化9】 のうちのいずれかで表される芳香族基を示し、Xはハロ
    ゲン原子を示し、式[V]中の2つのXは、互いに同じ
    種類でもよく、あるいは、異なる種類でもよく、また、
    式[V]中のXは、前記式[III]中のXと同じ種類
    でもよく、異なる種類でもよく、一部が同じで他の一部
    が異なるものでもよい。} で表されるジハロゲノ芳香族化合物[V]を、アルカリ
    金属化合物と溶媒の存在下に反応させることを特徴とす
    る請求項1記載のポリエーテル系共重合体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104311825A (zh) * 2014-10-14 2015-01-28 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 一种酚酞型共聚酰亚胺及其制备方法
CN105754097A (zh) * 2016-03-17 2016-07-13 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 一种透明聚酰亚胺树脂及其制备方法

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