JPH07266044A - 溶接ロボットの制御方法 - Google Patents

溶接ロボットの制御方法

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JPH07266044A
JPH07266044A JP8276394A JP8276394A JPH07266044A JP H07266044 A JPH07266044 A JP H07266044A JP 8276394 A JP8276394 A JP 8276394A JP 8276394 A JP8276394 A JP 8276394A JP H07266044 A JPH07266044 A JP H07266044A
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JP
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welding
robot
tack
line
welding robot
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JP8276394A
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English (en)
Inventor
Bunichi Terawaki
文一 寺脇
Yoshitaka Ikeda
好隆 池田
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Fanuc Corp
Original Assignee
Fanuc Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 仮付け溶接部におけるロボット軌道・溶接条
件の安定・適正化。 【構成】 C,Dは溶接対象ワークで、両者間にはZ方
向ギャップGが存在しているが、仮付け溶接部Γ2 ,Γ
2'の部分では両者間にギャップGは存在していない。符
号2,3,4は、各々溶接ロボット1のアーム先端部に
支持された溶接トーチ、レーザセンサ及び溶接点を表わ
しており、レーザセンサ3の走査ビーム5は溶接点4よ
りも先行した領域をセンシングする。レーザセンサ3に
内蔵されたCCDカメラは、走査ビーム5によってワー
クC,D上あるいは仮付け溶接部Γ2 ,Γ2'上に形成さ
れる光点の軌跡6C,6D等を検知する。レーザセンサ
3が仮付け溶接部Γ2 ,Γ2'を検出すると、ロボットの
軌道、溶接電流、溶接電圧等の制御内容が仮付け溶接部
固有のものに切り換えられる。ロボットが、仮付け溶接
部を通過して通常溶接部に入ると通常溶接部用の制御が
再開される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、溶接トーチを支持さ
せたロボット(以下、「溶接ロボット」と言う。)を用
いてワークに対する溶接作業を行なう際の制御方法に関
し、特に、教示プログラムの再生運転時に、例えばレー
ザビームを偏向させて作業線位置を検出するセンサのセ
ンシング出力を利用してロボット位置を補正しながら溶
接線トラッキングを実行する型の溶接ロボットの制御方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】教示プログラムの再生運転により動作す
る溶接ロボットを用いて溶接線をトラッキングしながら
溶接作業を実行する場合には、ロボット進行方向に関し
てロボット位置よりも先行した側の領域をセンシング領
域とするレーザセンサ等のセンサ手段によって溶接線を
追跡センシングし、該センシング出力に基づいて教示パ
スを補正しながら溶接ロボットを溶接線に沿って移動さ
せる方法が頻繁に利用されている。
【0003】ところで、溶接ロボットによる溶接作業の
対象となる溶接線上には、溶接線の両側部分を互いに仮
固定する為に、数個あるいはそれ以上の仮付け溶接部が
予め形成されていることが通常である。レーザセンサ等
のセンサ手段がこのような仮付け溶接部に遭遇すると、
仮付け溶接部が他の要溶接部分とは異質な部分の広がり
として存在している為に、仮付け溶接部中央部から大き
くはずれた位置を表わすセンシング出力が生成された
り、センシング出力そのものが得られないというような
ことが起こり得る。
【0004】このような事態に陥ると、仮付け溶接部を
通過する際にロボットが迷走を始め、あるいは停止に至
るなどのトラブルが発生することになり、溶接線トラッ
キング方式の溶接作業を実行する上で極めて大きな障害
となっていた。また、仮付け溶接部の盛り上がりが大き
な場合には、溶接ロボットと仮付け溶接部との間に干渉
が発生し、ツール(溶接トーチ)、ロボットハンド、ワ
ーク等を破損する恐れもあった。
【0005】更に、ロボット軌道の乱れが小さい場合で
も、通常の要溶接部と同条件で溶接電流や溶接電圧を供
給しながら溶接ロボットが仮付け溶接部を通過させる
と、仮付け溶接部について不適正な溶接(例えば、過大
な溶接ビードの形成)が実行されてしまうという問題が
あった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本願発明の目
的は、センサ手段を用いた溶接線トラッキング方式によ
る溶接ロボットの制御を行なうにあたって、円滑な作業
の障害となることの多かった仮付け溶接部についても、
上記の如き問題を回避することの出来る溶接ロボットの
制御方法を提供することにある。
【0007】
【問題点を解決するための手段】本願発明は、「溶接ロ
ボットにロボット位置に対して進行方向側の近傍領域の
目標位置センシングを行なうセンサ手段を搭載し、前記
溶接ロボット及び前記センサ手段に接続されたロボット
制御装置を用いて前記溶接ロボットの教示プログラム再
生運転時に逐次的に獲得される前記センサ手段のセンシ
ング出力に基づき前記溶接ロボット位置を補正しつつ溶
接線トラッキングを行なう型の前記溶接ロボットの制御
方法において、前記ロボット制御装置に、前記センサの
センシング出力が溶接線上に存在する仮付け溶接部を表
現したものであるか否かを判定する為の判定基準情報を
予め記憶させておき、前記トラッキング時に逐次的に獲
得される前記センシング出力について前記判定基準情報
に基づいて仮付け溶接部を表現しているものであるか否
かの判定を行い、前記センシング出力が仮付け溶接部を
表現していると判定された場合には前記溶接ロボットの
制御内容を予め前記ロボット制御装置に記憶されている
仮付け溶接部用の制御内容に従ったものとする」という
制御方法を採用することによって上記問題点を解決した
ものであり、また、前記予め前記ロボット制御装置に記
憶されている仮付け溶接部用の制御内容に関し、「溶接
電流、溶接電圧あるいはロボット軌道の内の少なくとも
1つについて、仮付け溶接部に固有の制御を実行するも
のである」という要件を課すことにより、上記技術課題
を解決するためのより技術手段をより具体的に特定した
ものである。
【0008】
【作用】本願発明は、溶接線トラッキング型の溶接ロボ
ットが溶接線上に存在する仮付け溶接部の通過時に溶接
ロボットの制御内容を仮付け溶接部に適合したものに切
り換えるようにした点に基本的な特徴がある。即ち、本
願発明の制御方法に従って溶接ロボットの動作を開始さ
せた場合、溶接ロボットが仮付け溶接部以外の要溶接部
(以下、「通常溶接部」と言う。)を通過している間に
ついては、溶接ロボットに支持されたレーザセンサ等の
センサ手段による溶接線トラッキングを実行する一方、
溶接トーチへ供給する溶接電流や電圧については通常溶
接部に適合した制御内容を含む制御プログラムに従った
制御が実行され、通常溶接部に適合した溶接作業が実行
されてゆく(以下、このような通常溶接部に対する制御
を、「通常制御」と言う)。
【0009】溶接ロボット及びセンサ手段に接続された
ロボット制御装置には、センサ手段のセンシング出力が
仮付け溶接部を表現するものであるかをそのセンシング
出力パターンから判別する為の判定基準情報が予め記憶
されているが、センサ手段が通常溶接部をセンシングし
ている限り、センシング出力のパターンに仮付け溶接部
のセンシングを表現する大きな変化は起こり得ず、ロボ
ット制御装置は仮付け溶接部到来とは判定しない。従っ
て、この間は通常制御が行なわれるだけである。
【0010】ところが、溶接対ロボットが仮付け溶接部
にさしかかり、溶接ロボットに支持されたセンサ手段の
センシング領域が仮付け溶接部に重なってくると、セン
サ手段の出力パターンに変化が生ずる。出力パターンの
変化の態様は、使用するセンサ手段、溶接箇所の種類
(突合せ部の溶接、段差部の溶接等)、仮付け溶接部の
形状等によって異なるが、一般に、仮付け溶接部には通
常溶接部には存在しない特徴(ギャップの消失、溶接ビ
ードの盛り上がり)がある。
【0011】従って、これらの特徴に即した判定基準情
報をロボット制御装置に予め記憶させておけば、センシ
ング出力のパターンとの逐次的な比較・照合によって、
仮付け溶接部への進入が遅滞なく検出される。
【0012】一般に、センサ手段が仮付け溶接部を検出
するのは、ロボット位置が仮付け溶接部に進入する少し
前であるから、センサ手段が仮付け溶接部を検出後の適
当なタイミング(補間点数、距離、時間等で設定)で、
通常制御から仮付け溶接部用制御への切換が実行され
る。
【0013】仮付け溶接部用制御の内容については種々
の形態が考えられるが、典型的には、ロボット軌道の変
更(例えば、仮付け溶接部からの退避、迂回など)、溶
接トーチへ供給する溶接電流あるいは溶接電圧の制御内
容の変更(例えば、溶接電流あるいは溶接電圧の切換あ
るいは段階的な切下げ、アーク溶接の中断など)を含ん
でいる。個々のケースにおける制御内容は、実際の溶接
作業の実情に即してこれらの制御を適宜組み合わせた形
とすることが好ましい。
【0014】例えば、仮付け溶接部の盛り上がりが大き
く、仮付け溶接部への重ね溶接が不要である場合には、
仮付け溶接部と判定されたセンシング位置に対応する後
続移動目標点からは、(1)ロボット軌道をそれまでの
溶接線の延長線上からツール座標系のZ軸方向(溶接ト
ーチの軸方向と一致するように設定)に設定距離ΔZづ
つ徐々にN段階(例えば、N=3)に分けて退避させる
ように軌道補正を行なうと共に、(2)溶接トーチへ供
給する溶接電流と溶接電圧を、通常溶接部用のI=I0
,V=V0 から、仮付け溶接部用のI=I1 ,V=V1
へ切り下げる制御が考えられる。
【0015】溶接ロボットが、仮付け溶接部を離れよう
とする時点までは、ロボット制御装置で逐次的に獲得さ
れるセンサ手段の出力信号は仮付け溶接部を表現したも
のであり続けるから、仮付け溶接部用の制御が維持され
る。
【0016】そして、溶接ロボットが、仮付け溶接部の
全体を通過する僅か前に、仮付け溶接部を表わすセンサ
手段の出力信号は途切れ、通常溶接部の溶接線位置が検
出される。以後の制御は、通常溶接部用の制御から仮付
け溶接部用制御への切換時と逆方向の制御を行えば良
い。
【0017】上記の例に整合した制御内容としては、
(1)通常溶接部と判定された時点における溶接ロボッ
ト位置と通常溶接部と判定されて最初に検出される溶接
線位置(トラッキング目標点)の間を逐次補間して移動
目標点を順次決める形で通常溶接部用制御時の軌道(溶
接線トラッキング軌道)に復帰させると共に、(2)溶
接トーチへ供給する溶接電流と溶接電圧を、仮付け溶接
部用のI=I1 ,V=V1 から通常溶接部用のI=I0
,V=V0 へ切り上げ復帰させる制御が考えられる
(後述実施例参照)。
【0018】このようにして、溶接ロボットが仮付け溶
接部を通過する毎に仮付け溶接部用の制御を行なうこと
によって、一連の作業サイクルの中で通過する1個また
は複数個の仮付け溶接部について、過剰溶接、ロボット
の迷走、干渉等の不都合を生じない溶接ロボットの制御
が達成される。
【0019】なお、仮付け溶接部通過時のロボット軌道
については、上記したように、その仮付け溶接部に至る
直前のトラッキングラインを延長したものを基準軌道と
し、これに例えば上記段階的な補正を行なう方式とする
のが1つの実際的な軌道決定法であるが、このような方
法に代えて、例えば、教示パスを基準に適宜ロボット軌
道を必要に応じて所定方向(ツール軸方向への退避、溶
接線側方への迂回、それらの併用等)へ向けて所定量、
段階的あるいは非段階的に補正するものであっても良
い。また、溶接電流、溶接電圧の切換を段階的に行なう
ことも可能である。
【0020】溶接ロボットに搭載されるセンサは、ロボ
ット制御装置と協働して溶接線トラッキング及び仮付け
溶接部の識別を行なう能力を備えたものであれば、任意
の型のものが使用可能であるが、典型的にはいわゆるレ
ーザセンサが使用される。これは、溶接線をまたぐよう
にレーザビームを繰り返し高速で偏向走査し、その投射
点に形成される光点軌跡をCCDカメラあるいはCCD
ラインセンサ(1次元アレイ)等で検出し、これをロボ
ット制御装置内あるいはこれに接続された画像処理装置
でソフトウェア手段によって解析し、溶接線の位置を求
めるものである。
【0021】このようなレーザセンサを使用する場合に
は、仮付け溶接部の判定は、レーザビームの偏向走査に
よって形成される光点軌跡の幾何学的なパターンあるい
は時系列的なパターンの認識に基づいて行なわれること
になる。次記実施例では、CCDカメラ搭載型のレーザ
センサと溶接トーチ制御部を画像処理プロセッサ内蔵型
(バス結合)のロボット制御装置に接続したシステムを
利用して、突合せ溶接部及び段差部貼り合わせ溶接部に
本願発明の制御方法を適用する各事例について説明す
る。
【0022】
【実施例】先ず、ロボット溶接作業の代表的な事例とし
て、突合せ溶接及び段差部溶接をの実行する各ケースに
ついて、仮付け溶接部を通常溶接部から識別する方法に
ついて説明する。
【0023】図1は、突合せ溶接部をCCDカメラ搭載
型のレーザセンサを用いてセンシングしながら溶接作業
を実行する様子を表わした見取図である。図において、
A,Bは溶接対象ワークで、両者間には溶接ロボットに
設定済みのワーク座標系のX軸方向に延在したY方向ギ
ャップGが存在しているが、仮付け溶接部Γ1 ,Γ1'の
部分で両者は仮固定されており、ギャップGは存在して
いない。X軸方向の位置xにおけるギャップ幅をg
(x)で表わすと、仮付け溶接部Γ1 ,Γ1'ではg
(x)=0であり、残りの部分(通常溶接部)ではg
(x)はほぼ一定値を保っている。
【0024】溶接ロボット本体の大半を省いて符号1で
指示されたロボットアーム先端部には、適当な装着機構
を介して溶接トーチ2及びレーザセンサ3が取り付けら
れている。符号4は溶接ロボットのツールポイントとし
て設定された溶接トーチ先端位置(以下、「溶接点」と
言う。)を表わしている。レーザセンサ3は、走査ビー
ム5が溶接ロボット進行方向に関して溶接点4よりも先
行した領域を走査するように配置される。
【0025】レーザセンサ3は、CCDカメラ(または
これに代わるリニアセンサ)を内蔵しており、走査ビー
ム5によって対象物A,B上、あるいは仮付け溶接部Γ
1 ,Γ1'に形成される光点の軌跡6A,6Bを検知する
(仮付け溶接部Γ1 ,Γ1'上の光点軌跡は図示省略)。
図2は、図1の事例について、CCDカメラの画素面上
で形成される光点軌跡(1サイクル分)を模式的に示し
たものである。同図においては、位置xにおけるギャッ
プ幅g(x)が、画素面上の明線7A,7Bの各端点8
A,8B間間隔を表わす画素比例量(例えば、画素数)
p(x)として表現されている。実際のワークAB間の
ギャップ幅g(x)と画素面上における画素比例量で測
ったギャップ幅p(x)の関係は、溶接ロボットの位置
・姿勢に依存して変化するが、適当なキャリブレーショ
ンを行なっておけば、溶接ロボットの位置・姿勢による
依存関係を含むp(x)とg(x)の関係(換算係数)
を事前に両者の関係を知ることが出来る。
【0026】例えば、溶接溶接ロボットの姿勢が溶接中
に一定に保たれる場合には、p(x)は次の(1)式で
表わすことが出来る。 p(x)=f1 (z)g(x) ・・・・(1) ここで、zは溶接ロボット位置のZ軸座標値、f1
(z)はzに対してほぼ線形な関数である。溶接ロボッ
トに溶接時と同じ姿勢をとらせ、既知のギャップ幅を有
する溶接ギャップについて、適宜数の溶接ロボット位置
(z値=z1 ,z2,z3 ・・・)におけるf(z)の
値f1 (z1 ),f1 (z2 ),f1 (z3)・・・を
実測プロットするキャリブレーションを実行すれば、上
記(1)式の数値計算が可能になる(折れ線近似法が利
用可能)。
【0027】溶接ロボット1が仮付け溶接部にさしかか
り、走査ビーム5が仮付け溶接部Γ1 あるいはΓ1'を横
切るように走査されると、通常溶接部のセンシングで検
出される直線状の明線7A,7Bの端点8A,8Bに相
当する位置の間を、不定形状の明線7K(破線で表示)
で接続したような画像が検出される。
【0028】従って、実際の作業時に想定される最大の
zに対するf1 (x)よりも十分に小さい値を仮付け溶
接部を表わすp(x)のしきい値pとして設定してお
き、任意の位置xで検出される画素面上でのギャップ幅
p(x)を、画素面上で線状の明部(7A〜7K)が検
出されない最大幅として検出すれば、このp(x)とし
きい値pの大小関係から、センシングされた位置xが仮
付け溶接部内にあるか仮付け溶接部外にあるかを判別す
ることが出来る。
【0029】例えば、明線7A,7K,7Bが完全に接
続されれば、p(x)=0が検出される。また、明線7
A,7K間、7B,7K間、7Kの途中等に明線の途切
れた部分があれば、その幅がp(x)として検出され
る。仮付け溶接部Γ1 ,Γ2'においてはワークA,B間
は少なくともその大部分が仮付け溶接部で占拠されてい
ると考えて良いから、仮付け溶接部で検出されるp
(x)の値は極めて小さくなる筈である。従って、しき
い値pが通常溶接部で検出されるp(x)の値に比べて
相当に小さい値に設定されていても、仮付け溶接部では
p>p(x)が容易に成立することになり、仮付け溶接
部の判別が困難になる恐れは少ない。
【0030】次に、段違い貼合わせ溶接部に対する溶接
作業を、図1に示したと同型のレーザセンサを支持した
溶接ロボットを用いて実行した場合の仮付け溶接部の識
別原理について、図1,図2と同様の形式で描示した図
3,図4を用いて説明する。図中で、図1、図2と共通
した要素については、同一またはそれに準じた符号が指
示に用いられている。
【0031】図3において、C,Dは溶接対象ワーク
で、両者間にはほぼ全長に亙って溶接ロボットに設定済
みのワーク座標系のZ軸方向に延在したZ方向ギャップ
Hが存在しているが、仮付け溶接部Γ2 ,Γ2'の部分で
は両者間にギャップGは存在していないものとする。ま
た、X軸方向の位置xにおけるギャップ幅をh(x)で
表わすと、仮付け溶接部Γ2 ,Γ2'ではh(x)=0と
なる。また、残りの部分(通常溶接部)ではh(x)は
ほぼ一定値を保つものとする。なお、場合によっては、
ギャップ幅h(x)が段差部分全長に亙ってほぼ0(密
着状態)であることもあり、ここではそのような場合に
も適用出来る仮付け溶接部Γ2 ,Γ2'の判別基準を考え
る。
【0032】符号2,3,4は、各々溶接ロボット1の
アーム先端部に支持された溶接トーチ、レーザセンサ及
び溶接点を表わしており、レーザセンサ3の走査ビーム
5は溶接点4よりも先行した領域をセンシングする。レ
ーザセンサ3に内蔵されたCCDカメラ(またはこれに
代わるリニアセンサ)は、走査ビーム5によって対象物
C,D上あるいは仮付け溶接部Γ2 ,Γ2'上に形成され
る光点の軌跡6C,6D,6D’,6Hを検知する(仮
付け溶接部Γ1 ,Γ1'上の光点軌跡は図示省略)。ここ
で、6D’は対象物Dの縁部をZ方向に延びる軌跡を表
わし、6Hは、位置xにおける幅h(x)のギャップ部
分に形成される軌跡を表わしている。6Hは一部対象物
Dの影になるので必ずしも明瞭な軌跡とならない。
【0033】図4は、CCDカメラの画素面上で見た光
点軌跡(1サイクル分)を、図2と同様の形式で模式的
に示したものである(便宜上、画面を拡大して描示)。
【0034】CCDカメラがビーム走査面よりもトーチ
側から走査ビーム軌跡を撮像したケースを想定すると、
通常溶接部における光点軌跡の映像は概略7C,7H,
7D’,7Dで示された直線要素を順につないだものと
なる。即ち、軌跡映像7C,7Dは各々軌跡6C,6D
に対応し、7D’は段差壁部上の光点軌跡6D’に対応
している。また、ギャップ部分の軌跡6Hに対しては、
場合によって一部不明瞭な映像7Hが形成される。
【0035】ここで、仮付け溶接部に溶接ロボットがさ
しかかり、仮付け溶接部Γ2 あるいはΓ2'を走査ビーム
5が横切った場合の光点軌跡の映像について考察してみ
る。仮付け溶接部はワークC,Dを段差部で仮固定する
為ものであるから、その下方端部は下側のワークCに固
着され、上方端部は段差壁部に固着されていると考えて
良い(場合によっては、仮付け溶接部がワークDの上面
にまで及んでいることも有り得る)。従って、仮付け溶
接部における光点軌跡の映像は、概略次のようになる。
【0036】即ち、通常溶接部についての明線7Cが端
点8Cまで延びる前に中途位置8C’から立ち上がり、
符号Lで表示された不定形状の明線を経て、通常溶接部
についての明線7D’の中途点8D’で明線7D’に接
続され、屈曲点8Dから通常溶接部についての明線7D
につながるような映像が形成される。なお、仮付け溶接
部がワークDの上面にまで及んでいる場合には、位置8
C’と明線7D上の屈曲点8Dに近い中途点を不定形状
の明線で接続したような映像が形成される(図示省
略)。
【0037】仮付け溶接部か通常溶接部であるかの違い
は、明線7Cの端点8Cが大きく画素面上右方へ移動し
段差壁部の光点軌跡6D’の像である直線状の明線7
D’が短縮される点に現われている(仮付け溶接部がワ
ークDの上面にまで及んでいる場合には、7D’相当部
分が消失する)。
【0038】そこで、画素面上で、通常溶接部、仮付け
溶接部いずれにおいても相当の長さ部分をもって明瞭に
形成されるほぼ平行な2本の明線7C,7Dに接近して
寄り添った2本の直線9C,9Dを考える。ここでは、
明線7C,7D間の画素面上における距離をqとして、
明線7C,9C間及び明線7D,9D間の画素面上にお
ける距離を0.05qとする。明線9C,9D間の画素
面上における距離は0.9qとなる。なお、この各接近
線間距離(ここでは、0.05qづつ)については、明
線7C,7Dの立ち上がりあるいはたち下がりを誤判定
しないような値であれば良く、設計的に適宜定めるべき
値である。
【0039】直線9C,9Dの各々に対して、明線7C
またはその延長線(明線Lあるいは7H)の上にあり、
直線9Cよりも内側(画素面上で上方)に進入しない条
件を満たす最左点8C”を求める一方、明線7Dまたは
その延長線(明線Lあるいは7D’)の上にあり、直線
9Dよりも内側(画素面上で下方)に進入しない条件を
満たす最右点を求め、これを8D”とする。
【0040】すると、仮付け溶接部では、図示されてい
るように、明線7Cが立ち上がって仮付け溶接部上に形
成される光点軌跡の映像である明線Lに接続された直後
の位置に点8C”が来ることになる。これに対して、通
常溶接部では明線7Cは、明線7D’の延長線と交わる
位置の近傍に至るまで立ち上がることはなく、端点8C
(場合によっては、直線9Cと明線7Hの交点8’C)
が点8C”となる。
【0041】一方、点8D”は、通常溶接部、仮付け溶
接部いずれにあっても屈曲点8Dに近い明線7D’上
(場合によっては7D上)に位置している。図では、仮
付け溶接部の溶接ビードがワークDの上面まで及んでい
ない場合を想定し、点8C”は明線7D’上にある。
【0042】以上のことから、画素面上における2点8
C”8D”間の距離l(x)を明線7C7D間距離qで
除した値α(x)=l(x)/qを考えると、仮付け溶
接部におけるα(x)は通常溶接部におけるα(x)に
比して区別出来る程度に大きいと言うことが出来る。従
って、αに適当なしき値α0 を予め設定しておけば、逐
次的に得られるセンシング出力について、α(x)とα
0 の大小関係をチェックすれば、仮付け溶接部を通常溶
接部から識別することが出来る。
【0043】本実施例では、以上述べたような方法によ
って仮付け溶接部と通常溶接部の識別を行いながら、溶
接ロボットの軌道及び溶接条件を制御する。溶接条件の
代表的なものとして、ここでは溶接電圧V及び溶接電流
Iを考える。
【0044】通常溶接部用制御→仮付け溶接部用制御→
通常溶接部用制御の切換を順に実行する際の溶接ロボッ
トの軌道推移及び溶接条件推移は次の通りとする。
【0045】1.仮付け溶接部と判定された最初のセン
シング位置に対応した後続移動目標点から、通過済みの
溶接線位置から計算される溶接線の延長線上から、ロボ
ット軌道をツール座標系のZ軸方向(溶接トーチの軸方
向と一致するように設定)に設定距離ΔZづつ徐々にN
段階(N=3に設定)に分けてシフトさせるような軌道
を選択する。通過済みの溶接線位置から溶接線の延長線
を求める計算は、通常溶接部末尾のk個(k=10に設
定)の位置データから最小2乗法によって求めるものと
する。
【0046】2.仮付け溶接部と判定されたセンシング
位置に対応した移動目標点に溶接ロボットが到着する時
点から、溶接トーチへ供給する溶接電流と溶接電圧を通
常溶接部用のI0 ,V0 から、仮付け溶接部用のI1 ,
V1 に切り換える。 3.以後、溶接ロボットが仮付け溶接部のほぼ全体を通
過する時点までは、上記1,2の最終状態を維持する。 4.通常溶接部の検出時点におけるロボット位置と、後
続する最初の溶接線位置との間を逐次補間してロボット
の移動目標点を順次定め、ロボットを通常溶接部の溶接
線トラッキング軌道に復帰させる。 5.通常溶接部と判定されたセンシング位置に対応した
移動目標点に溶接ロボットが到着する時点から、溶接ト
ーチへ供給する溶接電流と溶接電圧を仮付け溶接部用の
I1 ,V1 から、通常溶接部用のI0 ,V0 に切り換え
る。
【0047】図5は、本願発明の溶接溶接ロボットの制
御方法を実施する際に使用可能なシステム構成の一例を
表わした要部ブロック図である。これを説明すると、1
0は溶接ロボット制御機能と画像処理装置の機能を兼備
した溶接ロボット制御装置で、中央演算処理装置(以
下、CPUという。)11を有し、該CPU11には、
ROMからなるメモリ12、RAMからなるメモリ1
3、不揮発性メモリ14、レーザセンサ3及び溶接トー
チ制御器40に接続された汎用インターフェイス15、
フレームメモリ16、画像処理プロセッサ17、液晶表
示装置(LCD)18を備えた教示操作盤19、及びサ
ーボ回路21を経て溶接ロボット本体30に接続された
溶接ロボット軸制御部20が各々バス23を介して接続
されている。
【0048】ROM12には、CPU11が溶接ロボッ
ト本体30、レーザセンサ3、溶接トーチ制御器40及
び溶接ロボット制御装置10自身の制御を行なう為の各
種のプログラムが格納される。RAM13はデ−タの一
時記憶や演算の為に利用出来るメモリである。不揮発性
メモリ14には、教示操作盤19、あるいは図示しない
オフラインプログラム作成装置から、各種パラメータ設
定値やオフラインで作成された教示プログラムが入力/
格納される。
【0049】ここでは、図3に示した事例に対応した溶
接線に沿ったパスを指定した教示プログラムが既に格納
されているものとする。また、教示点としては、図3に
示したように、P1 (溶接線始点直前のエアカット
点)、P2 (溶接線終点直後のエアカット点)及びP3
(溶接線から離隔したエアカット点)の3点が設定され
るものとする。
【0050】レーザセンサ3は、作用の説明の欄で述べ
たように、溶接ロボット1に支持され、ツール先端点2
ポイントより溶接ロボット進行方向寄り領域を偏向走査
照射域とするレーザ光源と該偏向走査照射域を視野に入
れたCCDカメラを備えた公知の型のものである。レー
ザの偏向走査と同期的に撮像を行なうCCDカメラによ
って捕捉された画像の信号は、汎用インターフェイス1
5を介して、グレースケールによる濃淡信号に変換され
てフレームメモリ16に格納される。フレームメモリ1
6から読み出されたに画像情報は画像処理プロセッサ1
7によって処理され、溶接線の有無(開始点と終了点)
が検知される。
【0051】以上説明した構成及び機能は、従来の溶接
溶接ロボットの為の溶接ロボット制御装置を含むシステ
ムと基本的に変わるところはないが、本実施例のシステ
ムには、本願発明の方法を実施する為に特に次の準備が
なされている。
【0052】(1)上記した方法によって、通常溶接部
と仮付け溶接部を識別する計算プログラム及び関連所要
データが不揮発性メモリ14に格納されていること。こ
こでは、画像処理プロセッサ16を利用してα(x)デ
ータを得る過程で必要な諸処理を実行する為のプログラ
ム及び関連データ(直線9C,9Dを定める為のデー
タ、しきい値α0 等)が格納されているものとする。
【0053】(2)不揮発性メモリ14には、上記諸条
件1.〜5.を規定する設定値データ(N,ΔZ,I0
,V0 I1 ,V1 ,α0 ,kの設定値等)が格納され
ていること。
【0054】(3)溶接トーチ制御器40は、汎用イン
ターフェイス15を介してCPU11からの制御信号を
受け、溶接トーチをオン/オフすると共に、指令通りの
溶接電圧V及び溶接電流Iを溶接トーチに供給する機能
を有していること。
【0055】(4)次記図6〜図8に示したフローチャ
ートに示された処理を実行する動作プログラム及び必要
な関連設定値が、ROM12あるいは不揮発性メモリ1
4に格納されていること。
【0056】以下、これら準備事項を前提として、図3
に示した段差部の貼り合わせ溶接の事例につき、P0
(ホームポジション)→P2 →P3 を教示パスとする溶
接作業を実行する際にロボット制御装置10のCPU1
1によって実行される処理の概要を図6〜図8のフロー
チャートを用いて説明する。
【0057】CPU11の処理は、溶接ロボット移動及
び溶接条件を制御する主処理(図7〜図8)と、溶接部
(ここでは、段差部)をセンシングし、段差部検出、溶
接線位置検出及び通常溶接部/仮付け溶接部の判別を行
なう副処理(タスク処理;図6)を含んでいる。また、
両処理をコントロールする為のフラグF1からF3が設
定されているものとする。各フラグF1〜F3は、いず
れも0または1の値をとり、その意味は次の通りとす
る。
【0058】F1=0;ロボットが要溶接部存在区間
(P1 P2 間)外に存在。 F1=1;ロボットが要溶接部存在区間(P1 P2 間)
内に存在。 F2=0;センサ手段が、段差部を検出中。 F2=1;センサ手段が、段差部を非検出中。 F3=0;センサ手段が、仮付け溶接部を非検出中。 F3=1;センサ手段が、仮付け溶接部を検出中。
【0059】主処理及び副処理はF1=F2=F3=0
の状態で同時に開始されるが、ここでは、便宜上図6に
示した副処理から先に説明する。[副処理(図6)]副
処理が開始されると直ちにフラグF1=1反転待ちの態
勢に入る(ステップS1)。溶接ロボットが位置P1 へ
到達するまではフラグF1が1に反転することはないの
で、終了指令の有無をチェックした上(ステップS2)
でステップS2に戻るサイクルが繰り返されるだけであ
る。
【0060】溶接ロボットが位置P1 へ到達すると、フ
ラグF1が1に反転され(後述主処理参照)、ステップ
S3へ進みセンシングが開始される。この時点では、ま
だ段差部に溶接ロボットもセンシング領域も段差部に届
いていないので(P1 はエアカット点)、フラグF2=
0、終了指令なし、F1=1を確認しながら段差部の検
出が周期的に繰り返される(ステップS4→ステップS
5→ステップS2→ステップS1→ステップS3→ステ
ップS4)。
【0061】溶接ロボットが進行して、段差部が検出さ
れるとステップS4からステップS7へ進み、フラブF
2の状態をチェックし、F2=1でなければ、F2=1
とする(ステップS8)。そして、前述したやり方に従
って、α(x)を求め、しきい値α0 との大小関係か
ら、センシングされた位置が通常溶接部、仮付け溶接部
いずれに属するものであるかを判定する(ステップS9
→ステップS10)。
【0062】図3に示した事例では、最初に検出される
段差部は通常溶接部であるから、ステップS10からス
テップS11へ進み、トラッキングの為の溶接線位置を
表わすセンサデータが計算・記憶される。そして、フラ
グF3の状態をチャックし、F3=0でなければF3=
0に反転し(ステップS12、ステップS13)、ステ
ップS2(終了指令なしの確認)を経てステップS1へ
戻る。レーザセンサ3が仮付け溶接部を検出しない限
り、ステップS1→ステップS3→ステップS4→ステ
ップS7→ステップS9→ステップS10→ステップS
11→ステップS12→ステップS2→ステップS1の
処理サイクルが繰り返される。
【0063】溶接ロボットが仮付け溶接部Γ2 にさしか
かると、ステップS10からステップS14へ進み、フ
ラグF3の値がチェックされる。初回はF3=0の状態
にあるので、F3=1に反転させてから(ステップS1
5)、ステップS2を経てステップS1へ戻る。溶接ロ
ボットが仮付け溶接部のほぼ全体を通過するまでは、仮
付け溶接部が検出し続けられるので、ステップS1→ス
テップS3→ステップS4→ステップS7→ステップS
9→ステップS10→ステップS14→ステップS2→
ステップS1の処理サイクルが繰り返される。
【0064】センサ手段が再度通常溶接部を検出する
と、ステップS10からステップS11へ進み、再びト
ラッキングの為の溶接線位置を表わすセンサデータの計
算・記憶が再開される。そして、次のステップS12で
フラグF3=1の判断がなされてF3=0に反転される
(ステップS13)。
【0065】溶接ロボットが再度仮付け溶接部を通過す
る際の処理は、上記説明した処理サイクルと全く同じで
ある。溶接ロボットが、位置P2 に到達すると、F1=
0となるので、ステップS1→ステップS2→ステップ
S1の処理サイクルに入って、終了指令を待つ。溶接ロ
ボットが終点位置P3 に到着して終了指令が出されたな
らば、副処理を終了する。
【0066】[主処理(図7、図8)]主処理が開始さ
れると、CPU11は動作プログラムの1ブロックを読
み込んで(ステップM1)、溶接ロボットを位置P1 へ
移動させる(ステップM2)。そして、溶接ロボットが
P1 に到着したならば直ちにフラグF1を0から1に反
転させる(ステップM3)。
【0067】次いで、次の1ブロックを読み込んで(ス
テップM4)、溶接ロボットの位置P2 への移動を開始
させる(ステップM5)。そして、ステップM6でフラ
グF2の状態をチェックする。図3に示した事例では、
位置P1 を離れた当初は段差部が未検出であり、F2は
未反転でF2=0のままである。従って、ステップM6
から(ステップM7へ進み、溶接トーチ2の状態をチェ
ックする。この段階では、当然溶接トーチ2は付勢され
ていないので、ステップM7からステップM9へ進み、
位置P2 への未到着を確認した上でステップM6へ戻
る。
【0068】段差部をレーザセンサ3が検出するまで
は、ステップM6→ステップM7→ステップM9→ステ
ップM6の処理サイクルが繰り返され、溶接トーチ未付
勢のまま溶接ロボットは教示パス上を移動する。
【0069】レーザセンサ3が段差部を検出するとフラ
グF2がF2=1に反転するので、ステップM6からス
テップM10へ進み、溶接トーチ2が未付勢であればこ
れを付勢する(ステップM10、ステップM11)。こ
の時の溶接条件は、通常溶接部用の溶接条件に合わせ
て、溶接電流I=I0 、溶接電圧V=V0 とする。
【0070】更に、ステップM11からステップM12
へ進み(※1)、フラグF3の値がチェックされるが、
仮付け溶接部Γ2 が検出されるまではF3=0のままで
あるから、ステップM12からステップM13へ進み、
次移動目標点位置を定める為のトラッキング目標点位置
データにアクセスする。溶接ロボットが実際に段差部に
進入した時点では、既に少なくとも1回分の溶接線セン
シングデータが副処理で得られているので、これに基づ
いてを次補間点に対応した溶接線トラッキングを実行す
る(ステップM14)。この時、既に溶接トーチ2は通
常溶接部用の条件(I=I0 ;V=V0 )で付勢されて
いるから、溶接線の当該部分に対する溶接が適正に実行
されることになる。
【0071】次いで、溶接条件が通常溶接部用の状態に
あることを確認した上で(ステップM15)、ステップ
M9(P2 未到着確認)を経て、ステップM6へ戻る。
以後、レーザセンサ3が仮付け溶接部Γ2 を検出するま
では、F2=1,F3=0のままなので、ステップM6
→ステップM10→ステップM12→ステップM13→
ステップM14→ステップM15→ステップM6の処理
サイクルが繰り返される。
【0072】センサ手段が仮付け溶接部Γ2 を検出する
と、F3がF3=1に反転するので、ステップM12か
らステップM20へ進み、次補間点に対応する溶接線位
置データ(未通過のトラッキング点の位置データ)が残
っているかをチェックする。レーザセンサ3が仮付け溶
接部Γ2 を検出した直後の段階では、溶接ロボット位置
は仮付け溶接部Γ2 に進入しておらず、未通過のトラッ
キング点が1個以上残されている。
【0073】従って、F3=1に反転した直後にはステ
ップM25で、残された溶接線位置データに基づいたト
ラッキングが何回か実行される。溶接ロボットが実際に
仮付け溶接部Γ2 に進入し、未通過のトラッキング点の
位置データが無くなると、ステップM20から、ステッ
プM21へ進み、仮付け溶接部Γ1 内におけるロボット
軌道を決定する。
【0074】既述したように、仮付け溶接部と判定され
た最初のセンシング位置に対応した後続移動目標点か
ら、通過済みの溶接線位置から計算される溶接線の延長
線上から、ロボット軌道をツール座標系のZ軸方向(溶
接トーチの軸方向と一致するように設定)に設定距離Δ
Zづつ徐々にN段階(N=3に設定)に分けてシフトさ
せるように軌道を定める。そこで、通過済みの溶接線位
置10個分のデータから溶接線の延長線上の補間点対応
位置を求め、第1回目(n=1)は距離ΔZだけツール
座標系のZ軸方向へシフトさせた位置を次移動目標点と
する。第2回目(n=2)ではシフト量を2ΔZとし、
第3回目以降(n≧3)はシフト量を3ΔZとする。
【0075】各回におけるステップM22で、決定され
た移動目標位置へ逐次的に溶接ロボットが移動される。
このような退避軌道を溶接ロボットにとらせることで、
溶接ロボット、ツール、ワーク等の間の干渉が防止され
る。そして、第1回目のステップM22に続くステップ
M23では、溶接条件が通常溶接部用のI=I0 ,V=
V0 から、仮付け溶接部用のI=I1 ,V=V1 に切り
換えられる。
【0076】以後、溶接ロボットが仮付け溶接部のほぼ
全長を通過し、レーザセンサ3が再び通常溶接部(溶接
線)を検出するまでは、F2=F3=1の状態が維持さ
れ、ステップM22→ステップM23→(※2経由)ス
テップM9→ステップM6→ステップM10→(※1経
由)ステップM12→ステップM20→ステップM21
→ステップM22の処理サイクルが繰り返される。
【0077】レーザセンサ3が再び通常溶接部を検出す
ると、フラグF3が0に復帰するので、ステップM12
から、ステップM13へ進むことになる。しかし、通常
溶接部再検出直後の段階では、溶接ロボットの現在位置
と検出された溶接線位置との間には1補間点間相当距離
を上回る距離があるので、ステップM13の判断はNO
となり、ステップM17へ進む。ステップM17では、
溶接ロボットの現在位置と検出された最初の溶接線位置
との間を補間して、溶接ロボットの次回の移動目標点を
定め、その目標位置へ移動する。なお、この段階では、
溶接条件はI=I1 ,V=V1 のままである。そして、
ステップM21の実行指標nをクリヤした上で(ステッ
プM19)、ステップM9からステップM6へ戻る。
【0078】実際に溶接ロボットが仮付け溶接部を離れ
て通常溶接部に入るまでは、ステップM6→ステップM
10→(※1経由)ステップM12→ステップM13→
ステップM17→ステップM18→ステップM19(2
回目以降はクリヤ省略も可)→(※2経由)ステップM
9→ステップM6の処理サイクルが繰り返される。
【0079】溶接ロボットが通常溶接部に入ると、ステ
ップM13からステップM14へ進み、ステップM14
以降の通常溶接部用の制御が再開される。即ち、溶接線
トラッキングが再開されると共に、ステップM15から
ステップM16へ進んで溶接条件がI=I0 ,V=V0
に戻される。
【0080】溶接ロボットが次の仮付け溶接部Γ2'を通
過する際の処理は、上記説明した処理サイクルと全く同
じである。溶接ロボットが、段差部のほぼ全体を通過し
た時点でレーザセンサ3は段差部を検出しなくなり、ス
テップM6からステップM7→ステップM8へ向かい、
溶接トーチ2を消勢する。なお、溶接トーチ2の消勢が
早すぎる場合には、適当な時間遅延処理を行なってから
溶接トーチ2の消勢を実行すれば良い。
【0081】こうして、溶接トーチ2が消勢された状態
で溶接ロボットが位置P2 に到達すると、ステップM9
からステップM26へ進んでフラグF1をF1=0に戻
し、次の1ブロックを読み込んで(ステップM27)、
終点位置P3 へ溶接ロボットを移動させる(ステップM
28)。そして、最後に終了指令を発して(ステップM
29)、主処理と副処理を終了させる。
【0082】以上の説明において、仮付け溶接部の溶接
条件I1 ,V1 を溶接が実質的に行なわれない値とすれ
ば(場合によっては、I1 =V1 =0)、仮付け溶接部
の溶接が行なわれない制御内容となる。
【0083】また、図3の段差部貼り合わせ溶接ではな
く、図1に示した突合せ溶接を含む他のタイプの溶接作
業に対しても、通常溶接部、仮付け溶接部の判定基準を
それに即したものを用意すれば、上記説明した内容に準
じた主処理及び副処理を実行することにより、所望の条
件の下で、通常溶接部及び仮付け溶接部を通過する溶接
作業を円滑に実行することが出来ることも明らかであろ
う。
【0084】
【発明の効果】本願発明によれば、仮付け溶接部に溶接
ロボットが遭遇することをセンサ手段によって事前に検
出出来る態勢を維持しながら通常溶接部の溶接線トラッ
キングを通常溶接部用の溶接条件の下で実行されると共
に、仮付け溶接部が検出された場合には、通常溶接部用
の制御から仮付け溶接部用の制御への切換が行なわれ、
ロボット軌道、溶接電流、溶接電圧等の条件が仮付け溶
接部に適合された状態とされるから、仮付け溶接部につ
いても作業が円滑化され、不適切な溶接ビードの形成、
ロボットの干渉等の障害の発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】突合せ溶接部をCCDカメラ搭載型のレーザセ
ンサを用いてセンシングしながら溶接作業を実行する様
子を表わした見取図である。
【図2】図1に示した事例について、CCDカメラの画
素面上で形成される光点軌跡(1サイクル分)を模式的
に示したものである。
【図3】段差貼り合わせ溶接部をCCDカメラ搭載型の
レーザセンサを用いてセンシングしながら溶接作業を実
行する様子を表わした見取図である。
【図4】図3に示した事例について、CCDカメラの画
素面上で形成される光点軌跡(1サイクル分)を模式的
に示したものである。
【図5】本願発明の溶接溶接ロボットの制御方法を実施
する際に使用可能なシステム構成の一例を表わした要部
ブロック図である。
【図6】図3に示した段差部の貼り合わせ溶接の事例に
つき、P0 (ホームポジション)→P2 →P3 を教示パ
スとする溶接作業を実行する際にロボット制御装置のC
PUによって実行される処理の内、センシングに関連し
た副処理の概要を記したフローチャートである。
【図7】図3に示した段差部の貼り合わせ溶接の事例に
つき、P0 (ホームポジション)→P2 →P3 を教示パ
スとする溶接作業を実行する際にロボット制御装置のC
PUによって実行される処理の内、ロボット移動及び溶
接条件の制御に関連した主処理の概要を記したフローチ
ャートの一部である。
【図8】図3に示した段差部の貼り合わせ溶接の事例に
つき、P0 (ホームポジション)→P2 →P3 を教示パ
スとする溶接作業を実行する際にロボット制御装置のC
PUによって実行される処理の内、ロボット移動及び溶
接条件の制御に関連した主処理の概要を記したフローチ
ャートの一部であり、図7に記載されたフローチャート
と併せて、主処理の全体をなすものである。
【符号の説明】
1 溶接ロボット本体(アーム先端部) 2 溶接トーチ 3 レーザセンサ 4 溶接点(溶接トーチ先端) 5 走査ビーム 6A,6B,6C,6D,6D’,6H 走査ビーム光
点軌跡 7A,7B,7C,7D,7D’,7H,7K,L 走
査ビーム光点軌跡映像 10 溶接ロボット制御装置 11 中央演算処理装置(CPU) 12 メモリ(ROM) 13 メモリ(RAM) 14 不揮発性メモリ 15 汎用インターフェイス 16 フレームメモリ 17 画像処理プロセッサ 18 LCD 19 教示操作盤 21 溶接ロボット軸制御部 22 サーボ回路 23 バス 30 溶接ロボット本体 40 溶接トーチ制御器 A,B,C,D 溶接対象ワーク G ギャップ Γ1 ,Γ1',Γ2 ,Γ2' 仮付け溶接部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接ロボットにロボット位置に対して進
    行方向側の近傍領域の目標位置センシングを行なうセン
    サ手段を搭載し、前記溶接ロボット及び前記センサ手段
    に接続されたロボット制御装置を用いて前記溶接ロボッ
    トの教示プログラム再生運転時に逐次的に獲得される前
    記センサ手段のセンシング出力に基づき前記溶接ロボッ
    ト位置を補正しつつ溶接線トラッキングを行なう型の前
    記溶接ロボットの制御方法において;前記ロボット制御
    装置に、前記センサのセンシング出力が溶接線上に存在
    する仮付け溶接部を表現したものであるか否かを判定す
    る為の判定基準情報を予め記憶させておき、前記トラッ
    キング時に逐次的に獲得される前記センシング出力につ
    いて前記判定基準情報に基づいて仮付け溶接部を表現し
    ているものであるか否かの判定を行い、前記センシング
    出力が仮付け溶接部を表現していると判定された場合に
    は前記溶接ロボットの制御内容を予め前記ロボット制御
    装置に記憶されている仮付け溶接部用の制御内容に従っ
    たものとすることを特徴とする前記溶接ロボットの制御
    方法。
  2. 【請求項2】前記予め前記ロボット制御装置に記憶され
    ている仮付け溶接部用の制御内容が、溶接電流、溶接電
    圧あるいはロボット軌道の内の少なくとも1つについ
    て、仮付け溶接部に固有の制御を実行するものであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載された溶接ロボットの制
    御方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2127799A1 (de) * 2008-05-28 2009-12-02 LFK-Lenkflugkörpersysteme GmbH Geschweisste Bauteile mit heftnahtfreiem Schweissen in den Nahtaussenbereichen
CN111683779A (zh) * 2018-02-08 2020-09-18 诺瓦克技术公司 用于管道焊接中的接缝跟踪的系统和方法
CN114274158A (zh) * 2021-12-31 2022-04-05 北京博清科技有限公司 爬行焊接机器人的控制方法、控制器以及焊接系统

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