JPH0726284A - 電気レオロジー流体組成物 - Google Patents

電気レオロジー流体組成物

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JPH0726284A
JPH0726284A JP5175706A JP17570693A JPH0726284A JP H0726284 A JPH0726284 A JP H0726284A JP 5175706 A JP5175706 A JP 5175706A JP 17570693 A JP17570693 A JP 17570693A JP H0726284 A JPH0726284 A JP H0726284A
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一弥 枝村
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    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10MLUBRICATING COMPOSITIONS; USE OF CHEMICAL SUBSTANCES EITHER ALONE OR AS LUBRICATING INGREDIENTS IN A LUBRICATING COMPOSITION
    • C10M171/00Lubricating compositions characterised by purely physical criteria, e.g. containing as base-material, thickener or additive, ingredients which are characterised exclusively by their numerically specified physical properties, i.e. containing ingredients which are physically well-defined but for which the chemical nature is either unspecified or only very vaguely indicated
    • C10M171/001Electrorheological fluids; smart fluids

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い電気レオロジー効果を有すると共に、保
存安定性に優れ耐用期間が長く、摩耗性が少なく、環境
温度や湿度の影響を受けず、電流値が安定しかつ消費電
力が少ない電気レオロジー流体組成物を得る。 【構成】 有機高分子化合物からなる芯体1と、電気伝
導度が室温にて103 〜10-11 Ω-1/cmの半導体領
域にある電気半導体性無機物微粒子2からなる表層3と
によって形成された無機・有機複合粒子を電気絶縁性媒
体中に分散させてなる。この無機・有機複合粒子は芯体
1と表層3とを同時に形成する方法によって製せられた
ものである。この無機・有機複合粒子は表面が研磨され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はクラッチ、ダンパ、ショ
ックアブソーバ、バルブ、アクチュエータ、バイブレー
タ、プリンタ、または振動素子等の機器の動力伝達用ま
たは制動用等に使用できる電気レオロジー流体組成物に
関するものであり、特に外部電界の印加によって剪断流
動に対する大きな抵抗を安定的に発生する電気レオロジ
ー流体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、電気レオロジー流体(以下、
「ER流体」という)と呼ばれる組成物は知られてい
る。この組成物は例えば電気絶縁性の媒体中に固体粒子
を分散させて得られる流体であり、これに外部電界を加
えるとその粘度が著しく増大し、場合によっては固化す
る性質を持つ、いわゆる電気レオロジー効果(以下、
「ER効果」という)を有する流体組成物である。
【0003】このようなER効果はウインズロー効果と
も呼ばれ、組成物を電極の間に挿入して電圧を印加する
とき、電極間に生ずる電場の作用によって組成物中に分
散している固体粒子が分極し、さらに分極に基づく静電
引力によって互いに電場方向に配位連結して外部剪断流
動に抵抗する結果発現するものとされている。ER流体
は上記のようなER効果を有するために、クラッチ、ダ
ンパ、ショックアブソーバ、バルブ、アクチュエータ、
バイブレータ、プリンタ、または振動素子等のような電
気制御による機器の動力伝導用または制動用等としての
応用が期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし従来から知られ
ているER流体には様々な問題があった。従来のER流
体としては例えば、シリコーン油、塩化ジフェニル、ま
たはトランス油等の電気絶縁性油の中にシリカゲル、セ
ルロース、でんぷん、大豆カゼイン、ポリスチレン系イ
オン交換樹脂等のように、粒子の表面に水を吸着保有す
る固体粒子を分散させたものが知られている。しかしこ
れらは、電圧印加中の外部剪断流動に対する抵抗力(以
下、「剪断抵抗」という)が不充分であり、また高い印
加電圧を必要とし、消費電力が大であり、固体粒子の吸
湿等によって時として異常電流が流れたり、粒子が泳動
して一方の電極に凝集したりするうえに、保存安定性も
乏しいものであった。さらに、加熱によって上記粒子に
吸着されていた水が脱離したり蒸発したりして粒子の含
水率が変化すると、これによって電気レオロジー特性
(以下、「ER特性」という)が変化し、従って耐熱
性、耐湿性が乏しい等の問題もあった。
【0005】これらの問題を解決しようとして、例えば
固体粒子として半導体を含む電気伝導度の低い無機固体
粒子を電気絶縁油に分散させて使用するもの(特開平2
−91194号公報)や、多価金属の水酸化物、ハイド
ロタルサイト類、多価金属の酸性塩、ヒドロキシアパタ
イト、ナシコン型化合物、粘土鉱物、チタン酸カリウム
類、ヘテロポリ酸塩または不溶性フェロシアン化物から
なる無機イオン交換体粒子を電気絶縁油に分散させて使
用するもの(特開平3−200897号公報)等が提案
されている。
【0006】しかしこれらの無機固体粒子は分散媒とな
る電気絶縁性油との比重差が大きいため経時的に沈降を
起こし、容易に再分散できない程度に沈降凝集する等、
保存安定性に乏しかった。またこれらの無機固体粒子は
きわめて硬質であるために電圧印加用の電極や機器壁と
の摩擦によってこれを摩耗するという欠点があり、さら
にこの摩耗によって生じた摩耗粉がER流体中に浮遊す
る等によって使用中にER特性が変化し、時として、ま
たは突然に、異常な大電流が流れる等、耐用期間が短い
という問題もあった。また特に無機イオン交換体の中に
は電気伝導度が大きいものがあり、これを使用した場合
は、電極に電圧を印加したとき、ER流体に過大な電流
が流れて異常発熱し、また過大な電力を消費するという
不都合もあった。
【0007】一方、固体粒子として比重1.2以下の物
質を芯材とし、水中で解離可能なアニオン性基またはカ
チオン性基を有する有機高分子化合物をこの芯材に被覆
して得られる粒子を電気絶縁油に分散させて使用するも
のも提案されている(特開平3−162494号公
報)。しかしこの場合は、粒子が含水性であるために、
使用中の系の温度が上昇するなどして粒子の含水率が変
化すると、その電気伝導度や分極率が変化し、結果とし
て組成物のER特性が環境湿度によって変化する等の問
題があった。
【0008】従って本発明の目的は、高いER効果を有
すると共に保存安定性に優れ耐用期間が長く、摩耗性が
少なく、環境温度や湿度の影響を受けず、電流値が安定
してかつ消費電力が少ない電気レオロジー流体組成物を
提供することによって上記の課題を解決することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、有機高分
子化合物からなる芯体と、電気伝導度が室温にて103
〜10-11 Ω-1/cmの半導体領域にある電気半導体性
無機物からなる表層とによって形成された無機・有機複
合粒子を電気絶縁性媒体中に分散させてなる電気レオロ
ジー流体組成物を提供することによって解決できる。
【0010】上記において、電気半導体性無機物は、金
属酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオ
ン交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種に金
属ドーピングを施したもの、もしくは金属ドーピングの
有無に拘らず、これらの少なくともいずれか1種を他の
支持体上に電気半導体層として施したものから選ばれた
少なくとも1種であることが好ましい。
【0011】また上記において、無機・有機複合粒子
は、芯体と表層とを同時に形成する方法によって製せら
れたものであることが好ましい。この場合、上記の無機
・有機複合粒子は、その表面を研磨してなるものである
ことが好ましい。
【0012】上記のように、本発明の電気レオロジー流
体組成物は、基本的に電気絶縁性媒体中に無機・有機複
合粒子が分散されてなるものであり、この無機・有機複
合粒子は、有機高分子化合物からなる芯体と、上記の電
気半導体性無機物(以下「ER無機物」という)からな
る表層とによって形成されるものである。この構成を有
する本発明の電気レオロジー流体組成物は、優れたER
効果を有するとともに、耐用期間が長く、かつ機器を摩
耗することも少ないものであることが確認された。
【0013】次に本発明を構成する各成分について詳し
く説明する。無機・有機複合粒子の芯体として使用し得
る有機高分子化合物の例としては、例えばポリ(メタ)
アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル−ス
チレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、ABS樹脂、ナ
イロン、ポリビニルブチレート、アイオノマー、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂等の1種または2種以上の混合物または共重
合物を挙げることができる。また、上記の有機高分子化
合物として、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の官
能基を含有するものも使用することができ、このような
官能基含有有機高分子化合物はER効果を向上させるこ
とができる点で好ましいものである。
【0014】無機・有機複合粒子の表層として使用し得
る好ましいER無機物は、電気伝導度が室温にて103
〜10-11 Ω-1/cmの金属酸化物、金属水酸化物、金
属酸化水酸化物、無機イオン交換体、またはこれらの少
なくともいずれか1種に金属ドーピングを施したもの、
もしくは金属ドーピングの有無に拘らず、これらの少な
くともいずれか1種を他の支持体上に電気半導体層とし
て施したもの等である。これらER無機物のなかで、無
機イオン交換体の例としては、例えば多価金属の水酸化
物、ハイドロタルサイト類、多価金属の酸性塩、ヒドロ
キシアパタイト、ナシコン型化合物、粘土鉱物、チタン
酸カリウム類、ヘテロポリ酸塩、及び不溶性フェロシア
ン化物を挙げることができる。これらはその固体粒子を
電気絶縁性媒体中に分散するとき、優れた電気レオロジ
ー効果を現すものである。
【0015】以下に、それぞれのER無機物についてさ
らに詳しく説明する。 (1)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)等である。 (2)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブ等である。ここで、水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2 )およびオルソチタン酸(別名αチタ
ン酸、Ti(OH)4 )を含むものである。 (3)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)等を挙げることができる。
【0016】(4)多価金属の水酸化物:この化合物
は、一般式MOx (OH)y (Mは多価金属であり、x
は零以上の数であり、yは正数である)で表されるもの
であり、例えば、水酸化ジルコニウム、水酸化ビスマ
ス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニウム、水酸化
タンタル、水酸化モリブデン、水酸化マグネシウム、水
酸化マンガン、水酸化鉄等である。 (5)ハイドロタルサイト類:この化合物は、一般式M
13Al6 (OH)43(CO)3 ・12H2 O(Mは 二
価の金属である)で表されるものであり、例えば二価の
金属MがMg、CaまたはNi等であるものである。 (6)多価金属の酸性塩:この例としては、例えばリン
酸チタン、リン酸ジルコニウム、リン酸錫、リン酸セリ
ウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニウム、ヒ酸チタン、
ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン酸チタン、アンチモ
ン酸錫、アンチモン酸タンタル、アンチモン酸ニオブ、
タングステン酸ジルコニウム、バナジン酸チタン、モリ
ブデン酸ジルコニウム、セレン酸チタン、モリブデン酸
錫等を挙げることができる。
【0017】(7)ヒドロキシアパタイト:例えばカル
シウムアパタイト、鉛アパタイト、ストロンチウムアパ
タイト、カドミウムアパタイト等である。 (8)ナシコン型化合物:これには例えば(H3 O)Z
2 (PO43 等が含まれるが、このH3 OをNaと
置換したナシコン型化合物も本発明に使用できるもので
ある。 (9)粘土鉱物:例えばモンモリロナイト、セピオライ
ト、ベントナイト等であるが、特にセピオライトが好ま
しい。 (10)チタン酸カリウム類:これは一般式aK2 O・
bTiO2 ・nH2 O(aは0<a≦1を満たす正数
であり、bは1≦b≦6を満たす正数であり、nは正数
である)で表されるものであり、例えばK2 ・TiO2
・2H2 O、K2O・2TiO2 ・2H2 O、0.5K2 O・
TiO2 ・2H2 O、K2 O・2.5TiO2 ・2H2
O等である。 なお、上記の一般式で、aまたはbが整数でない化合物
はaまたはbが適当な整数である化合物を酸処理し、K
とHとを置換することによって容易に合成される。
【0018】(11)ヘテロポリ酸塩:これは一般式H
3 AE1240・nH2 O(Aはリン、ヒ素、ゲルマニウ
ム、またはケイ素であり、Eはモリブデン、タングステ
ン、またはバナジウムであり、nは正数である)で表さ
れるものであり、例えばモリブドリン酸アンモニウム、
及びタングストリン酸アンモニウム等が含まれる。 (12)不溶性フェロシアン化物:これは次の一般式で
表される化合物である。Mb-pxa A[E(CN)6
(式中、Mはアルカリ金属または水素イオン、Aは亜
鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カドミウム、
鉄(III)またはチタン等の重金属イオン、Eは鉄
(II)、鉄(III)、またはコバルト(II)等で
あり、bは4または3であり、aはAの価数であり、p
は0〜b/aの正数である。) これらには例えば、Cs2 Zn[Fe(CN)6 ]及び
2 Co[Fe(CN)6 ]等の不溶性フェロシアン化
合物が含まれる。
【0019】上記(4)〜(9)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、「置換型無機イ
オン交換体」という)も、本発明における無機イオン交
換体に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交
換体をR−M1 (M1 は、イオン交換サイトのイオン種
を表す)と表すと、R−M1 におけるM1 の一部または
全部を、下記のイオン交換反応によって、M1 とは異な
るイオン種M2 に置換した置換型無機イオン交換体もま
た、本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1 +yM2 →Rx−(M2 )y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2 、M1 の価数を
表す)。M1 はOH基を有する無機イオン交換体の種類
により異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を
示すものでは、一般にM1 はH+ であり、この場合のM
2 はアルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、
遷移金属または希土類金属等、H+ 以外の金属イオンの
少なくともいずれか1種である。OH基を有する無機イ
オン交換体が陰イオン交換性を示すものでは、M1 は一
般にOH- であり、その場合M2 は例えばI、Cl、S
CN、NO2 、Br、F、CH3 COO、SO4 または
CrO4 等や錯イオン等、OH- 以外の陰イオン全般の
内の少なくともいずれか1種である。
【0020】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体等も本発明
に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具体
例としてはナシコン型化合物、例えば(H3 O)Zr2
(PO43 の加熱により得られるHZr2 (PO4
3 やハイドロタルサイトの高温 加熱処理物(500〜
700℃で加熱処理したもの)等がある。
【0021】(13)金属ドーピングER無機物:これ
は上記ER無機物(1)〜(12)の電気伝導度を上げ
るために、アンチモン(Sb)等の金属をER無機物に
ドーピングしたものであって、例としてはアンチモン
(Sb)ドーピング酸化錫(SnO2 )等を挙げること
ができる。 (14)他の支持体上に電気半導体層としてER無機物
を施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シリ
カ、アルミナ、シリカ−アルミナ等の無機物粒子、また
はポリエチレン、ポリプロピレン等の有機高分子粒子を
用い、これに電気半導体層としてアンチモン(Sb)ド
ーピング酸化錫(SnO2 )を施したもの等を挙げるこ
とができる。このようにER無機物が施された粒子は全
体としてER無機物となっている。
【0022】これらのER無機物は、1種類だけではな
く、2種類またはそれ以上を同時に表層として用いるこ
ともできる。本発明の固有の効果を充分に発揮させるに
は、上記(1)〜(14)に例示したER無機物の中で
も、(1)金属酸化物、(2)金属水酸化物、(3)金
属酸化水酸化物、(4)多価金属の水酸化物、(13)
金属ドーピングER無機物、または(14)他の支持体
上に電気半導体層としてER無機物を施したもの、を用
いることが特に好ましい。
【0023】本発明の組成物に用いる電気絶縁性媒体と
しては、従来のER流体に使用されているものがいずれ
も使用可能である。例えば、塩化ジフェニル、セバチン
酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級アルコールエステ
ル、ハロフェニルアルキルエーテル、トランス油、塩化
パラフィン、フッ素系オイル、またはシリコーン系オイ
ル等、電気絶縁性及び電気絶縁破壊強度が高く、化学的
に安定でかつ無機・有機複合粒子を安定に分散させ得る
ものであればいずれの流体も使用可能であり、またそれ
らの混合物を使用することもできる。
【0024】本発明に用いる無機・有機複合粒子は、有
機高分子化合物からなる芯体とER無機物からなる表層
とによって形成されている。即ち、概念的に図1に示す
ように、有機高分子化合物からなる芯体1の表面をER
無機物の微粒子2が層状に密集して被覆し、表層3を形
成している。
【0025】このような無機・有機複合粒子は種々な方
法によって製造することができる。例えば、有機高分子
化合物からなる芯体粒子1とER無機物の微粒子2をジ
ェット気流によって搬送し、衝突させる方法がある。こ
の場合は芯体粒子1の表面にER無機物微粒子2が高速
度で衝突し、固着して表層3を形成する。また、別の製
法例としては、芯体粒子1を気体中に浮遊させておき、
ER無機物の溶液を霧状にしてその表面に噴霧する方法
がある。この場合はその溶液が芯体粒子1の表面に付着
し乾燥することによって表層3が形成される。
【0026】しかし、無機・有機複合粒子を製造する好
ましい製法例は、芯体1と表層3とを同時に形成する方
法である。この方法は、例えば、芯体1を形成する有機
高分子化合物のモノマーを重合媒体中で乳化重合、懸濁
重合または分散重合するに際して、ER無機物の微粒子
2を上記モノマー中、または重合媒体中に存在させて行
う、というものである。重合媒体としては水が好ましい
が、水と水溶性有機溶媒との混合物も使用でき、また有
機系の貧溶媒を使用することもできる。この方法によれ
ば、重合媒体の中でモノマーが重合して芯体粒子1を形
成すると同時に、ER無機物微粒子2が芯体粒子1の表
面に層状に配向してこれを被覆し、表層3を形成する。
【0027】乳化重合または懸濁重合によって無機・有
機複合粒子を製造する場合には、モノマーの疎水性の性
質とER無機物の親水性の性質とを組み合わせることに
よって、ER無機物の微粒子の大部分を芯体粒子の表面
に配向させることができる。この芯体1と表層3との同
時形成方法によれば、有機高分子化合物からなる芯体粒
子1の表面にER無機物粒子2が緻密かつ強固に接着
し、堅牢な無機・有機複合粒子が形成される。
【0028】本発明に使用する無機・有機複合粒子の形
状は必ずしも球形であることを要しないが、芯体粒子が
調節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場合
は、得られる無機・有機複合粒子の形状はほぼ球形とな
る。無機・有機複合粒子の粒径は特に限定されるもので
はないが、0.1〜500μm、特に5〜200μm程
度とすることが好ましい。このときのER無機物微粒子
2の粒径は特に限定されるものではないが、好ましくは
0.005〜100μmであり、さらに好ましくは0.
01〜10μmである。
【0029】上記の無機・有機複合粒子において、表層
3を形成するER無機物と芯体1を形成する有機高分子
化合物との重量比(%)は特に限定されるものではない
が、(ER無機物):(有機高分子化合物)比で(1〜
60):(99〜40)の範囲、特に(4〜30):
(96〜70)の範囲であることが好ましい。ER無機
物の重量比が1%未満では得られたER流体組成物のE
R効果が不充分であり、60%を超えると得られた流体
組成物に過大な電流が流れるようになる。
【0030】上記のような各種の方法、特に芯体1と表
層3とを同時に形成する方法によって製造された無機・
有機複合粒子は一般に、その表層3の全部または一部分
が有機高分子物質や、製造工程で使用された分散剤、乳
化剤その他の添加物質の薄膜で覆われていて、ER無機
物微粒子のER効果が充分に発揮されないことが、分析
測定の結果明かとなった(実施例14参照)。この不活
性物質の薄膜はその粒子表面を研磨することによって除
去し得る。従って本発明の好ましい電気レオロジー流体
組成物にあっては、その表面を研磨した無機・有機複合
粒子が用いられる。ただし、無機・有機複合粒子が芯体
1を形成した後で上記の表層3を形成する方法によって
製造された場合は、表層3の表面に不活性物質が存在せ
ず、かつER無機物のER効果が充分に大きいので、研
磨は必ずしも必要としない。
【0031】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子を水などの
分散媒体中に分散させて、これを攪拌する方法によって
行うことができる。この際、分散媒体中に砂粒やボール
などの研磨材を混入して無機・有機複合粒子と共に攪拌
する方法、あるいは研削といしを用いて攪拌する方法等
によって行うこともできる。例えばまた、分散媒体を使
用せず、無機・有機複合粒子と上記のような研磨材、研
削といしを用いて乾式で攪拌して行うこともできる。
【0032】さらに好ましい研磨方法は、無機・有機複
合粒子をジェット気流等によって気流攪拌する方法であ
る。これは該粒子自体を相互に気相において激しく衝突
させて研磨する方法であり、他の研磨材を必要とせず、
粒子表面から剥離した不活性物質を分級によって容易に
分離し得る点で好ましい方法である。上記のジェット気
流攪拌においては、それに用いられる装置の種類、攪拌
速度、無機・有機複合粒子の材質等により研磨条件を特
定するのが難しいが、一般的には6000rpmの攪拌
速度で0.5〜15分程度ジェット気流攪拌するのが好
ましい。
【0033】本発明の電気レオロジー流体組成物は上記
の無機・有機複合粒子を、必要なら分散剤等、他の成分
と共に電気絶縁性媒体中に均一に攪拌混合して製造する
ことができる。この攪拌機としては、液状分散媒に固体
粒子を分散させるために通常使用されるものがいずれも
使用できる。本発明の電気レオロジー流体組成物中にお
ける無機・有機複合粒子の含有率は、特に限定されるも
のではないが1〜75重量%、特に10〜60重量%で
あることが好ましい。その含有率が1%未満では充分な
ER効果が得られず、75%以上では電圧を印加しない
ときの組成物の初期粘度が過大となって使用が困難にな
る。
【0034】以上のように構成された本発明の電気レオ
ロジー流体組成物は、電気絶縁性媒体中に分散している
固体粒子の表層がER無機物からなるのでER効果を有
している。この無機・有機複合粒子は、強力なER効果
を有するER無機物からなる表層によって形成されてい
るので、これを用いる本発明のER流体組成物は低い印
加電圧によっても大きい剪断抵抗を発生する。またER
無機物として電気伝導度の大きいものを使用する場合に
は、無機・有機複合粒子の芯体物質に対する表層物質の
量比を調節することができるから、それによって電気伝
導度を調整することができ、ER流体組成物の荷電時に
おける異常発熱や電力消費を抑制することができる。
【0035】本発明における無機・有機複合粒子は芯体
が有機高分子化合物からなるので、その比重を上記電気
絶縁性媒体の比重に近似させることができ、それによっ
て上記粒子の沈降が長期間にわたって防止できる。また
この無機・有機複合粒子は芯体が有機高分子化合物であ
るから、硬質な無機物からなる表層を有するにも係わら
ず全体として軟質であり、流動中に電極や機器壁を摩耗
することがない。
【0036】本発明の一実施態様においては、無機・有
機複合粒子が芯体と同時に表層を形成する方法によって
製せられているので、芯体と表層との結合が強力であ
り、使用中の摩擦等によって表層が剥離して特性を変化
させることなく、耐用期間が長い。この際、無機・有機
複合粒子の表面が研磨されるので、その表層を形成する
ER無機物の活性が妨げられることなく、高いER効果
を維持することができる。
【0037】ER無機物として非水系の電気半導体性無
機物を使用する場合には、無機・有機複合粒子はウォー
ターフリー型の分散粒子となり、得られるER流体組成
物もウォーターフリー型ER流体組成物とすることがで
きる。ここでウォーターフリー型とは、ER効果を付与
するために積極的に水を添加していないという意味であ
って、系内に全く水を含まないということではない。こ
のウォーターフリー型ER流体組成物は、使用中に温度
が上昇しても、またこのために含水量が変化してもER
特性を安定に維持できるという利点がある。
【0038】本発明のER流体組成物は優れたER効果
と良好な安定性及び低摩耗性を有するので、電気制御の
動力伝導素子または制動素子として、クラッチ、ダン
パ、ショックアブソーバ、バルブ、アクチュエータ、バ
イブレータ、プリンタ、または振動素子等の機器に有利
に使用できる。
【0039】本発明の組成物中には上記以外の成分を添
加することもできる。それらの例としては上記媒体中へ
の無機・有機複合粒子の分散性を向上し、または流体組
成物の電圧印加時の粘度を調節して剪断抵抗力を向上す
るための高分子分散剤、界面活性剤、及び高分子増粘剤
等を挙げることができる。また本発明による流体組成物
は、その特性が損なわれない範囲で、例えばシリコーン
油、塩化ジフェニル、トランス油等の電気絶縁性油中に
セルロース、でんぷん、大豆カゼイン、ポリスチレン系
イオン交換樹脂、ポリアクリル酸塩架橋体、アジリジン
化合物の重合体またはその架橋物のいずれかからなる固
体粒子を分散させてなる従来のER流体と混合して使用
することもできる。
【0040】
【実施例】次に本発明を実施例によってさらに詳しく説
明する。 (実施例1)アンチモンドーピング酸化錫(石原産業株
式会社製、SN−100、電気伝導度:1.0×100
Ω-1/cm)40g、アクリル酸ブチル300g、1,
3−ブチレングリコールジメタクリレート100g、お
よび重合開始剤の混合物を、第三リン酸カルシウム25
gを分散安定化剤として含有する1800mlの水中に
分散し、60℃で1時間攪拌下に懸濁重合を行った。得
られた生成物を濾過したのち、必要に応じて酸洗浄し、
さらに水洗後、乾燥して無機・有機複合粒子(1−A)
を得た。このものの含水率はカールフィッシャー滴定法
で0.30重量%であった。また平均粒径は23.2μ
mであった。上記で得られた無機・有機複合粒子(1−
A)をジェット気流攪拌機(株式会社奈良機械製作所製
ハイブリダイザー)を用いて6000rpmで5分間ジ
ェット気流攪拌し、表面研磨してなる無機・有機複合粒
子(1−B)を得た。このものの含水率は0.41重量
%、平均粒径は25.3μmであった。
【0041】無機・有機複合粒子(1−A)及び(1−
B)を、室温における粘度が1Pa・Sのシリコーン油
(東芝シリコーン株式会社製、TSF451−100
0)中に、その含有率が33重量%となるように均一に
分散し、それぞれ実施例1−A及び1−BのER流体組
成物を得た。このER流体組成物をそれぞれ二重円筒型
回転粘度計に入れ、25℃において内外円筒間に直流電
圧を印加し、内筒電極に回転力を与え、各剪断速度(s
ec-1)における剪断応力(Pa)、および各剪断応力
測定時における内外円筒間の電流値(μA/cm2)を
測定した。なお、実施例1−BのER流体組成物は剪断
応力測定時の電流値が高くなりすぎるため、印加電圧を
1KV/mmとした。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】(実施例2)実施例1で用いたアンチモン
ドーピング酸化錫のかわりに、アンチモンドーピング酸
化錫を表面に施したルチル型酸化チタン(石原産業株式
会社製、タイペークET−300W、電気伝導度:5.
0×10-2Ω-1/cm)40gを用いた以外は実施例1
と同様にして、表面研磨前の無機・有機複合粒子(2−
A)を得た。このものの含水率は0.36重量%、平均
粒径は13.2μmであった。次にこれを実施例1と同
様にジェット気流攪拌し、表面研磨した無機・有機複合
粒子(2−B)を得た。このものの含水率は0.28重
量%、平均粒径は15.0μmであった。無機・有機複
合粒子(2−A)、(2−B)を実施例1と同様にシリ
コーン油中に33重量%となるように均一に分散して、
それぞれ実施例2−A、2−BのER流体組成物を得
た。この流体組成物のER効果を実施例1と同様に測定
した。結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】(実施例3)実施例1で用いたアンチモン
ドーピング酸化錫のかわりに、水酸化チタン(一般名:
含水酸化チタン、石原産業株式会社製、C−II、電気
伝導度:9.1×10-6Ω-1/cm)40gを用いた以
外は実施例1と同様にして、表面研磨前の無機・有機複
合粒子(3−A)を得た。このものの含水率は0.66
重量%、平均粒径は17.3μmであった。次にこれを
実施例1と同様にジェット気流攪拌し、表面研磨した無
機・有機複合粒子(3−B)を得た。このものの含水率
は0.72重量%、平均粒径は17.3μmであった。
無機・有機複合粒子(3−A)、(3−B)を実施例1
と同様にシリコーン油中に33重量%となるように均一
に分散して、それぞれ実施例3−A、3−BのER流体
組成物を得た。この流体組成物のER効果を実施例1と
同様に測定した。結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】(実施例4)実施例1で用いたアンチモン
ドーピング酸化錫のかわりに、水酸化ニオブ(三井金属
鉱業株式会社製、水酸化ニオブ、電気伝導度:1.0×
10-7Ω-1/cm)を用いた以外は実施例1と同様にし
て、表面研磨前の無機・有機複合粒子(4−A)を得
た。このものの含水率は1.86重量%、平均粒径は1
5.7μmであった。次にこれを実施例1と同様にジェ
ット気流攪拌し、表面研磨した無機・有機複合粒子(4
−B)を得た。このものの含水率は1.10重量%、平
均粒径は15.4μmであった。無機・有機複合粒子
(4−A)、(4−B)を実施例1と同様にシリコーン
油中に含有率33重量%となるように均一に分散して、
それぞれ実施例4−A、4−BのER流体組成物を得
た。この流体組成物のER効果を実施例1と同様に測定
した。結果を表4に示す。
【0048】
【表4】
【0049】(実施例5)実施例1で用いたアンチモン
ドーピング酸化錫のかわりに、アモルファス型二酸化チ
タン(出光興産株式会社製、出光チタニアIT−PC、
電気伝導度:9.1×10-11 Ω-1/cm)40gを用
いた以外は実施例1と同様にして、表面研磨前の無機・
有機複合粒子(5−A)を得た。このものの含水率は
1.24重量%、平均粒径は18.0μmであった。次
にこれを実施例1と同様にジェット気流攪拌し、表面研
磨した無機・有機複合粒子(5−B)を得た。このもの
の含水率は0.94重量%、平均粒径は17.9μmで
あった。無機・有機複合粒子(5−A)、(5−B)を
実施例1と同様にシリコーン油中に33重量%となるよ
うに均一に分散して、それぞれ実施例5−A、5−Bの
ER流体組成物を得た。この流体組成物のER効果を実
施例1と同様に測定した。結果を表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】(実施例6)実施例1で用いたアンチモン
ドーピング酸化錫のかわりに、アモルファス型二酸化チ
タン(出光興産株式会社製、出光チタニアIT−S、電
気伝導度:7.7×10-11 Ω-1/cm)40gを用い
た以外は実施例1と同様にして、表面研磨前の無機・有
機複合粒子(6−A)を得た。このものの含水率は0.
66重量%、平均粒径は16.1μmであった。次にこ
れを実施例1と同様にジェット気流攪拌し、表面研磨し
た無機・有機複合粒子(6−B)を得た。このものの含
水率は0.58重量%、平均粒径は16.9μmであっ
た。無機・有機複合粒子(6−A)、(6−B)を実施
例1と同様にシリコーン油中に33重量%となるように
均一に分散して、それぞれ実施例6−A、6−BのER
流体組成物を得た。この流体組成物のER効果を実施例
1と同様に測定した。結果を表6に示す。
【0052】
【表6】
【0053】(実施例7)実施例1で用いたアンチモン
ドーピング酸化錫のかわりに、FeO(OH)(一般
名:ゲーサイト、石原産業株式会社製、ゲーサイトA、
電気伝導度:9.4×10-8Ω-1/cm)40gを用い
た以外は実施例1と同様にして、表面研磨前の無機・有
機複合粒子(7−A)を得た。このものの含水率は0.
42重量%、平均粒径は10.1μmであった。次にこ
れを実施例1と同様にジェット気流攪拌し、表面研磨し
た無機・有機複合粒子(7−B)を得た。このものの含
水率は0.68重量%、平均粒径は10.1μmであっ
た。無機・有機複合粒子(7−A)、(7−B)を実施
例1と同様にシリコーン油中に33重量%となるように
均一に分散して、それぞれ実施例7−A、7−BのER
流体組成物を得た。この流体組成物のER効果を実施例
1と同様に測定した。結果を表7に示す。
【0054】
【表7】
【0055】(実施例8)実施例1で用いたアンチモン
ドーピング酸化錫のかわりに、実施例3で用いた水酸化
チタン20gと実施例4で用いた水酸化ニオブ20gと
を混合して用いた以外は実施例1と同様にして、表面研
磨前の無機・有機複合粒子(8−A)を得た。このもの
の含水率は0.89重量%、平均粒径は17.8μmで
あった。次にこれを実施例1と同様にジェット気流攪拌
し、表面研磨した無機・有機複合粒子(8−B)を得
た。このものの含水率は0.59重量%、平均粒径は2
0.0μmであった。このものを実施例1と同様にシリ
コーン油中に33重量%となるように均一に分散して、
それぞれ実施例8−A、8−BのER流体組成物を得
た。この流体組成物のER効果を実施例1と同様に測定
した。結果を表8に示す。
【0056】
【表8】
【0057】(実施例9)実施例3で用いた水酸化チタ
ン40g、アクリル酸ブチル260g、ヒドロキシエチ
ルメタクリレート40g、1,3−ブチレングリコール
ジメタクリレート100g、および重合開始剤の混合物
を、第三リン酸カルシウム25gを分散安定化剤として
含有する1800mlの水中に分散し、60℃で1時間
攪拌下に懸濁重合を行った。得られた生成物を濾過した
のち、必要に応じて酸洗浄し、さらに水洗後、乾燥して
無機・有機複合粒子(9−A)を得た。このものの含水
率はカールフィッシャー滴定法で1.00重量%であっ
た。また平均粒径は16.3μmであった。上記で得ら
れた無機・有機複合粒子(9−A)をジェット気流攪拌
機(株式会社奈良機械製作所製ハイブリダイザー)を用
いて6000rpmで5分間ジェット気流攪拌し、表面
研磨してなる無機・有機複合粒子(9−B)を得た。こ
のものの含水率は0.64重量%、平均粒径は15.4
μmであった。無機・有機複合粒子(9−A)、(9−
B)を、室温における粘度が1Pa・Sのシリコーン油
(東芝シリコーン株式会社製、TSF451−100
0)中に、その含有率が33重量%となるように均一に
分散し、それぞれ実施例9−A及び9−BのER流体組
成物を得た。この組成物を二重円筒型回転粘度計に入
れ、25℃において内外円筒間に直流電圧を印加し、内
筒電極に回転力を与え、各剪断速度(sec-1)におけ
る剪断応力(Pa)、および各剪断応力測定時における
内外円筒間の電流値(μA/cm2 )を測定した。結果
を表9に示す。
【0058】
【表9】
【0059】(実施例10)実施例9で用いたヒドロキ
シエチルメタクリレートのかわりに、メタクリル酸40
gを用いた以外は実施例9と同様にして、表面研磨前の
無機・有機複合粒子(10−A)を得た。このものの含
水率は1.44重量%、平均粒径は18.0μmであっ
た。次にこれを実施例9と同様にジェット気流攪拌し、
表面研磨した無機・有機複合粒子(10−B)を得た。
このものの含水率は0.91重量%、平均粒径は17.
0μmであった。無機・有機複合粒子(10−A)、
(10−B)を実施例9と同様にシリコーン油中に33
重量%となるように均一に分散して、それぞれ実施例1
0−A、10−BのER流体組成物を得た。この流体組
成物のER効果を実施例9と同様に測定した。結果を表
10に示す。
【0060】
【表10】
【0061】(実施例11)実施例3で用いた水酸化チ
タン40gのかわりに、同じ水酸化チタン80gを用い
た以外は実施例3と同様にして、表面研磨前の無機・有
機複合粒子(11−A)および表面研磨した無機・有機
複合粒子(11−B)を得た。この無機・有機複合粒子
(11−A)を用いて実施例11−AのER流体組成物
を、また無機・有機複合粒子(11−B)を用いて実施
例11−BのER流体組成物をそれぞれ得た。次いで実
施例1と同様にして各剪断速度(sec-1)における剪
断応力(Pa)、およびその時点の電流値(μA/cm
2 )を測定した。結果を表11に示す。
【0062】
【表11】
【0063】(実施例12)上記実施例11−BのER
流体組成物を密栓付き透明容器に入れ、室温に放置して
その沈降状態を目視観察した。この結果を実施例12と
して表12に示す。 (比較例1)実施例11−BのER流体組成物における
無機・有機複合粒子(11−B)のかわりに水酸化チタ
ンの単体粉末を5.5重量%含有せしめて、これを比較
例1のER流体組成物とした。このものについて、実施
例12と同様にして沈降状態を目視観察した。この結果
を実施例12と比較して表12に示す。
【0064】
【表12】
【0065】(実施例13)実施例11−BのER流体
組成物について、JIS H8682(アルミニウム及
びアルミニウム合金の陽極酸化被膜の耐摩耗性試験方
法)に準じて往復運動平面摩耗試験を行った。即ち、J
IS H4000 A1050Pのアルミニウム板上
で、摩擦輪に代えて4cm2 の摩擦摺動子上にガーゼ1
0枚を重ね、流体組成物1gを乗せ、55g/cm2
荷重下に10往復させ、アルミニウム板の表面状態を目
視にて観察評価した。この結果を実施例13として表1
3に示す。 (比較例2)実施例11−AのER流体組成物における
無機・有機複合粒子(11−A)のかわりに水酸化チタ
ンの単体粉末をシリコーン油中に含有率33重量%とな
るように均一に分散して、比較例2の流体組成物を得
た。得られた流体組成物について、実施例13と同様な
方法で往復運動平面摩耗試験を行った。この結果を実施
例13と比較して表13に示す。
【0066】
【表13】
【0067】(実施例14)実施例3で得た表面研磨前
の無機・有機複合粒子(3−A)および表面研磨後の無
機・有機複合粒子(3−B)について、高分解能X線光
電子分光装置(英国VGサイエンティフィック社製、E
SCALAB MKII)にて、炭素・酸素・チタン原
子の表面原子比を測定(測定条件は励起源:Mg(K
α)、出力:260W)し、表面研磨前の複合粒子(3
−A)の測定結果を実施例14−Aとし、表面研磨後の
複合粒子(3−B)の測定結果を実施例14−Bとし
て、それぞれ表14に示す。
【0068】
【表14】
【0069】表14の結果から、ジェット気流攪拌を行
った無機・有機複合粒子(3−B)は、ジェット気流攪
拌を行わない無機・有機複合粒子(3−A)に比較し、
表面炭素原子比は小さく、チタン原子の比が大きい。こ
れは表3において、研磨前の無機・有機複合粒子(3−
A)より、ジェット気流攪拌を行った無機・有機複合粒
子(3−B)を用いるER流体組成物のほうが、より高
いER効果を示す事実と対応している。この結果から、
上記実施例に示された、芯体と表層との同時形成法によ
って製造された無機.有機複合粒子にあっては、その表
層の一部分が芯体物質または分散・乳化剤等の添加物質
の薄膜で覆われている可能性があり、その表層の被膜が
ジェット気流攪拌による摩擦研磨で除去されることによ
って、ER無機物粒子層の有効活性面積が増大し、ER
流体組成物とした時に、より高いER効果を現すものと
考えられる。
【0070】以上の結果から、本発明の実施例であるE
R流体組成物が、いずれも優れたER効果と耐熱性、安
定性、低摩耗性を有しかつ消費電力が少ないことは明か
である。
【0071】
【発明の効果】本発明のER流体組成物は、有機高分子
化合物からなる芯体とER無機物からなる表層とによっ
て形成される無機・有機複合粒子、または有機高分子化
合物からなる芯体とER無機物からなる表層とによって
形成された粒子の表面を研磨して得られる無機・有機複
合粒子を、電気絶縁性媒体中に分散させてなるものであ
るので、高いER効果を有すると共に、経時安定性に優
れ、摩耗性が少ないので電極や機器壁を摩耗せず、また
電圧印加中に流れる電流が少ないので異常発熱の危険が
なくかつ消費電力が少なく経済的である。本発明の好ま
しい実施態様においては、上記無機・有機複合粒子が芯
体と同時に表層を形成する方法によって製せられるもの
であるので、堅牢な無機・有機複合粒子が得られ、従っ
てこれを用いた本発明の電気レオロジー流体組成物は使
用中の摩耗劣化が少なく、耐用期間が長い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電気レオロジー流体組成物に用いら
れる無機・有機複合粒子を示す断面図である。
【符号の説明】
1…芯体、2…ER無機物微粒子、3…表層。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 10:08 10:16 20:06 30:06 40:14 70:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機高分子化合物からなる芯体と、電気
    伝導度が室温にて103 〜10-11 Ω-1/cmの半導体
    領域にある電気半導体性無機物からなる表層とによって
    形成された無機・有機複合粒子を電気絶縁性媒体中に分
    散させてなることを特徴とする電気レオロジー流体組成
    物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電気レオロジー流体組成
    物であって、上記電気半導体性無機物が金属酸化物、金
    属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオン交換体、ま
    たはこれらの少なくともいずれか1種に金属ドーピング
    を施したもの、もしくは金属ドーピングの有無に拘ら
    ず、これらの少なくともいずれか1種を他の支持体上に
    電気半導体層として施したものから選ばれた少なくとも
    1種であることを特徴とする電気レオロジー流体組成
    物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の電気レオロジー
    流体組成物であって、無機・有機複合粒子が芯体と表層
    とを同時に形成する方法によって製せられたものである
    ことを特徴とする電気レオロジー流体組成物。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の電気レオロジー流体組成
    物であって、上記の無機・有機複合粒子がその表面を研
    磨してなるものであることを特徴とする電気レオロジー
    流体組成物。
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