JPH08165448A - インクジェット記録用インク組成物 - Google Patents

インクジェット記録用インク組成物

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JPH08165448A
JPH08165448A JP30914494A JP30914494A JPH08165448A JP H08165448 A JPH08165448 A JP H08165448A JP 30914494 A JP30914494 A JP 30914494A JP 30914494 A JP30914494 A JP 30914494A JP H08165448 A JPH08165448 A JP H08165448A
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inorganic
ink
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ink composition
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JP30914494A
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Kazuya Edamura
一弥 枝村
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
Koji Sakurai
宏治 桜井
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Fujikura Kasei Co Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粒子分散型電気レオロジー流体をインクジェ
ット記録用インクとして使用する際に、その電気レオロ
ジー流体の分散媒としてインクジェット記録に好適な低
粘度、高揮発性、高比重の分散媒を得る。 【構成】 分散媒として、パーフルオロアルカン類、フ
ルオロカーボン類、フロン類、ヨウ化フルオロカーボン
類などで、比重が1.0〜2.0、沸点が80〜200
℃、動粘度が0.5〜3.0cStのフルオロカーボン
系電気絶縁性媒体を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、インクジェットプリ
ンターなどのインクジェット記録方式に用いられるイン
ク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式に用いられるイ
ンクとして、電気レオロジー流体(以下、ER流体と略
記する。)を用いる技術が既に提案されている(日本印
刷学会誌,第29巻,第3号,第320〜328頁(1
992年)、電子写真学会誌,第32巻,第3号,第2
30〜235頁(1993年)、特開平6−11509
4号公報等参照)。
【0003】この技術は、ER流体の電界印加による見
かけの粘性増大効果を利用し、このER流体をインクと
して利用するものである。図2は、この技術を模式的に
示すもので、狭いノズル1内に加圧されたER流体から
なるインク2が供給される。ノズル1の先端部は絞られ
てオリフィス状の噴射口3となっている。ノズル1には
相対向する1対の電極4,4が設けられており、これら
電極4,4によりノズル1内のインク2に電界が印加さ
れるようになっている。
【0004】今、電極4,4に電圧を印加すると、ノズ
ル1内のインク2の粘性が瞬時に大きく増加し、このた
めインク2が加圧されているにもかかわらず、インク2
は噴射口3から噴出することがない。ついで、電圧印加
を停止すると、インク2の粘性が瞬時に元に戻り、加圧
力によってインク2が液滴5となって噴射口3から噴出
することになる。かくして、電極4,4への電圧印加の
オン/オフでインク2の噴出口3からの噴出を制御でき
ることになり、オンデマンド方式のインクジェット記録
が行えるものである。
【0005】ところで、インクジェット記録用インクに
要求される特性を考慮すると、第1にスムースな液滴の
形成のためにインクの分散媒は低粘度でなければならな
い。第2に速乾性であるために分散媒は高揮発性でなけ
ればならない。したがって、上述のようにER流体をイ
ンクジェット記録用インクに用いるには、ER流体の分
散媒も当然低粘度で高揮発性でなければならない。
【0006】このような要求を満たす分散媒はどうして
も分子量の小さなものとなってしまい、このようなもの
は自ずと低比重となる。ER流体の分散媒が低比重であ
ると、誘電体粒子を分散媒に分散した粒子分散型ER流
体では、誘電体粒子の沈降の問題が表れる。したがっ
て、粒子分散型ER流体をインクジェット記録用インク
に利用する場合には、ER流体を構成する分散媒には低
粘度、高揮発性、高比重であることが要求される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】よって、この発明にお
ける課題は、インクジェット記録用インクとして用いら
れる粒子分散型ER流体の分散媒として好適な低粘度、
高揮発性、高比重の分散媒を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、フルオロ
カーボン系電気絶縁性媒体を用いることで解決される。
【0009】以下、この発明を詳しく説明する。この発
明のインクジェット記録用インク組成物は、ER流体を
必須成分とするもので、このER流体はフルオロカーボ
ン系電気絶縁性媒体(以下、フルオロカーボン系媒体と
略記する。)を分散媒とし、これに誘電体粒子(以下、
ER粒子と略記する。)を分散したものである。
【0010】本発明で使用される上記フルオロカーボン
系媒体としては、例えばC716,C818などのCn
2n+2で表されるパーフルオロアルカン類(住友3M社製
「フロリナートPF5080」,「フロリナートPF5
070」(商品名)など)、フッ素系不活性液体(住友
3M社製「フロリナートFCシリーズ」(商品名)な
ど)、
【0011】フルオロカーボン類(デュポンジャパンリ
ミテッド社製「クライトックスGPLシリーズ」(商品
名)など)、フロン類(ダイキン工業株式会社製「HC
FC−141b」(商品名)など)、[F(CF2)4CH
2CH2I]、[F(CF2)6I]などのヨウ化フルオロカ
ーボン類(ダイキンファインケミカル研究所製「I−1
420」,「I−1600」(商品名)など)、
【0012】[F(CF2)7CH2NH2]などのアミン系
フルオロカーボン類(ダイキンファインケミカル研究所
製「U−1710(商品名)などの温度5〜40℃の範
囲で液状であり、かつ電気絶縁性であるものが用いられ
る。そして、これらフルオロカーボン系媒体にあって
は、常圧での沸点が80〜200℃の範囲であり、常温
での動粘度が0.5〜3.0cStの範囲にあり、比重
が25℃で1.0〜2.0の範囲にあるものが好まし
い。
【0013】フルオロカーボン系媒体の沸点が80℃未
満になるとインクとしたときの乾燥が速すぎて、ノズル
内で目詰まりを起こしたりする不都合が生じ、200℃
を越えると、インクとしての乾燥性が不足する。また、
動粘度が0.5cSt未満では非電圧印加時にインクが
ノズル先端から自然に流出してしまい、一方3cStを
越えるとインクの噴射がスムーズに行えず、また画質緻
密性も劣る。さらに比重が1.0未満ではER粒子が沈
降し、2.0を越えるとER粒子が逆に浮上して好まし
くない。
【0014】このようなフルオロカーボン系媒体にあっ
ては、低粘度、高揮発性および適切な比重を有するた
め、インク組成物の分散媒体としたとき、乾燥性が良
く、貯蔵安定性に優れ、画質が良好になり、かつ引火性
がなく不燃性であるため、プリンタ機器内での使用、貯
蔵に際しても安全である。また、本発明では上述のフル
オロカーボン系媒体を2種以上混合して、その混合物の
比重、粘度および沸点が上述の範囲内に収まるようにし
て使用することもできる。
【0015】この本発明で用いられるER粒子として
は、特に限定されず、従来のER流体において使用され
てきた電気レオロジー効果を示すもの、例えばシリカ粉
末、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、プラスチック粒
子、小麦粉、コーンスターチなど挙げられるが、この発
明で好適なER粒子としては、有機高分子化合物からな
る芯体と電気レオロジー効果を有する無機物(以下、E
R無機物と略記する。)からなる表層とによって形成さ
れる無機・有機複合粒子が挙げられる。即ち、概念的に
図1に示すように、有機高分子化合物からなる芯体6の
表面をER無機物の微粒子7が層状に密集して被覆し、
表層8を形成しているものである。
【0016】このような無機・有機複合粒子の芯体6と
して使用し得る有機高分子化合物の例としては、ポリ
(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エス
テル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、AB
S樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、アイオノマ
ー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂等の1種または2種以上の混合物
または共重合物を挙げることができる。
【0017】また、無機・有機複合粒子の表層8として
使用し得る好ましいER無機物は無機イオン交換体、シ
リカゲルおよび電気半導体性無機物のうちから選択され
る少なくとも一種からなるものである。これらはその無
機・有機複合粒子を上記フッ素変性シリコーンオイル中
に分散するとき、優れた電気レオロジー効果を現し、良
好なインクとなる。上記無機イオン交換体の例としては
(1)多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト
類、(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタ
イト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、
(7)チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、及
び(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができ
る。
【0018】次に、それぞれの無機イオン交換体につい
て詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOx(OH)y (Mは多価
金属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)
で表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウ
ム、水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アル
ミニウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリ
ブデン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、及び水
酸化鉄等である。ここで、例えば水酸化チタンとは含水
酸化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、Ti
O(OH)2 )及び水酸化チタン(別名オルソチタン酸
またはαチタン酸、Ti(OH)4 )の双方を含むもの
であり、他の化合物についても同様である。
【0019】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNi等である。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タン及びモリブデン酸錫等である。
【0020】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイト等で
ある。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO43 のような
ものが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置
換したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイト等であり、特にセピオライトが好ましい。
【0021】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、及びK2O・2.5TiO
2・2H2O等である。なお、上記化合物のうち、aまた
はbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数であ
る化合物を酸処理し、KとHとを置換することによって
容易に合成される。
【0022】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、及びタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6 ](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタン等の重金属イオン、
Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト(II)等で
あり、bは4または3であり、aはAの価数であり、p
は0〜b/aの正数である。)これらには例えば、Cs
2Zn[Fe(CN)6 ]及びK2Co[Fe(C
N)6 ]等の不溶性フェロシアン化合物が含まれる。
【0023】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1 (M1 は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1 におけるM1 の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1 とは異なるイ
オン種M2 に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1 +yM2 →Rx−(M2 )y+xM1 (ここでx,yはそれぞれイオン種M2 ,M1 の価数を
表す)。M1 はOH基を有する無機イオン交換体の種類
により異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を
示すものでは、一般にM1 はH+ であり、この場合のM
2 はアルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、
遷移金属または希土類金属等、H+ 以外の金属イオンの
いずれか任意のものである。OH基を有する無機イオン
交換体が陰イオン交換性を示すものでは、M1 は一般に
OH- であり、その場合M2 は例えばI、Cl、SC
N、NO2 、Br、F、CH3COO、SO4 またはC
rO4 等や錯イオン等、OH- 以外の陰イオン全般の内
の任意のものである。
【0024】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体等も本発明
に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具体
例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr
2(PO43 の加熱により得られるHZr2(PO43
やハイドロタルサイトの高温加熱処理物(500〜70
0℃で加熱処理したもの)等がある。
【0025】これらの無機イオン交換体は一種類だけで
はなく、多種類を同時に表層8として用いることもでき
る。本発明の固有の効果を充分に発揮させるには、上記
の無機イオン交換体として、多価金属の水酸化物、及び
多価金属の酸性塩を用いることが特に好ましい。
【0026】また、電気半導体性無機物とは電気伝導度
が室温にて103 〜10-11Ω-1/cmの半導体領域に
あり、例としては、金属酸化物、金属水酸化物、また
は、これらおよび上述の無機イオン交換体の少なくとも
いずれかに金属ドーピングを施したものである。
【0027】このような無機・有機複合粒子は種々な方
法によって製造することができる。例えば、有機高分子
化合物からなる芯体6とER無機物の微粒子7をジェッ
ト気流によって搬送し、衝突させる方法がある。この場
合は芯体6の表面にER無機物の微粒子7が高速度で衝
突し、固着して表層8を形成する。また、別の製造例と
しては、芯体6を気体中に浮遊させておき、ER無機物
を含有する溶液を霧状にしてその表面に噴霧する方法が
ある。この場合はER無機物を含有する溶液が芯体6の
表面に付着し乾燥することによって表層8が形成され
る。
【0028】しかし、無機・有機複合粒子を製造する好
ましい製法例は、芯体6と同時に表層8を形成する方法
である。この方法は、例えば、芯体6を形成する有機高
分子化合物のモノマーを重合媒体中で乳化重合、懸濁重
合または分散重合するに際して、ER無機物の微粒子7
を上記モノマー中または重合媒体中に存在させて行うと
いうものである。ここでの重合媒体としては水が好まし
いが、水と水溶性有機溶媒との混合物も使用でき、また
有機系の貧溶媒を使用することもできる。この方法によ
れば、重合媒体の中でモノマーが重合して芯体6を形成
すると同時に、ER無機物の微粒子7が芯体6の表面に
層状に配向してこれを被覆し、表層8を形成する。乳化
重合または懸濁重合によって無機・有機複合粒子を製造
する場合には、モノマーの疎水性の性質とER無機物の
親水性の性質を組み合わせることによって、ER無機物
の微粒子7の大部分を芯体6の表面に配向させることが
できる。この芯体6と表層8との同時形成方法によれ
ば、有機高分子化合物からなる芯体6の表面にER無機
物の粒子7が緻密かつ強固に接着し、堅牢な無機・有機
複合粒子が形成される。
【0029】本発明に使用する無機・有機複合粒子の形
状は必ずしも球形であることを要しないが、芯体6が調
節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場合
は、得られる無機・有機複合粒子の形状はほぼ球形とな
る。無機・有機複合粒子の粒径は特に限定されるもので
はないが、0.1〜500μm、特に5〜200μm程
度とすることが好ましい。このときのER無機物の微粒
子7の粒径は特に限定されるものではないが、好ましく
は0.005〜100μmであり、さらに好ましくは
0.01〜10μmである。
【0030】このような無機・有機複合粒子において、
表層8を形成するER無機物と芯体6を形成する有機高
分子化合物の重量比は特に限定されるものではないが、
(ER無機物):(有機高分子化合物)比で(1〜6
0):(99〜40)の範囲、特に(4〜30):(9
6〜70)の範囲であることが好ましい。ER無機物の
重量比が1%未満では得られたERF組成物のER効果
が不充分であり、60%を超えると得られたERF組成
物に過大な電流が流れるようになる。
【0031】上記のような各種の方法、特に芯体6と表
層8を同時に形成する方法によって製造された無機・有
機複合粒子は一般に、その表層8の全部または一部分が
有機高分子物質や、製造工程で使用された分散剤、乳化
剤その他の添加物質の薄膜で覆われていて、ER無機物
の微粒子7のER効果が充分に発揮されないことが、分
析測定の結果明らかとなった。この不活性物質の薄膜は
該粒子表面を研磨することによって除去し得る。従って
本発明のインク組成物にあっては、その表面を研磨した
無機・有機複合粒子が用いられるのが好ましい。ただ
し、無機・有機複合粒子が芯体6を形成した後で上記の
表層8を形成する方法によって製造された場合は、表層
8の表面に不活性物質がなく、かつER無機物のER効
果が充分に大きいので、研磨は必ずしも必要としない。
【0032】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子を水などの
分散媒体中に分散させて、これを撹拌する方法によって
行うことができる。この際、分散媒体中に砂粒やボール
などの研磨材を混入して無機・有機複合粒子と共に撹拌
する方法、あるいは研削といしを用いて撹拌する方法等
によって行うこともできる。例えばまた、分散媒体を使
用せず、無機・有機複合粒子と上記のような研磨材、研
削といしを用いて乾式で撹拌して行うこともできる。さ
らに好ましい研磨方法は、無機・有機複合粒子をジェッ
ト気流等によって気流撹拌する方法である。これは該粒
子自体を相互に気相において激しく衝突させて研磨する
方法であり、他の研磨材を必要とせず、粒子表面から剥
離した不活性物質を分級によって容易に分離し得る点で
好ましい方法である。上記のジェット気流撹拌において
は、それに用いられる装置の種類、撹拌速度、無機・有
機複合粒子の材質等により研磨条件を特定するのが難し
いが、一般的には6000rpmの撹拌速度で0.5〜
15分程度ジェット気流撹拌するのが好ましい。
【0033】この発明のインクジェット記録用インク組
成物は、上記ER粒子を分散剤、着色剤などの他の添加
物とともに上記フッ素変性シリコーンオイル中に均一に
混合、分散させることによって得られる。ER粒子の分
散剤には液状分散媒に固体粒子を分散させるために通常
使用されるものが使用できる。この発明のインク組成物
中のER粒子の含有率は、特に限定されることはない
が、通常1.0〜60重量%、好ましくは10〜40重
量%とされる。1.0重量%未満ではER効果の発現が
乏しく、インクジェット記録用インクとして機能しなく
なり、60重量%を越えると非電界印加時の組成物の粘
度が過大となってインクとしての流動性を失い、同様に
インクジェット記録用インクとして機能しなくなる。
【0034】また、本インク組成物で用いられる着色剤
としては、黒色以外にカラー記録用として、シアン、マ
ゼンダ、イエローの各色のものが用いられ、上記フッ素
変性シリコーンオイルに溶解する有機染料や着色顔料等
の色素が用いられる。着色剤の添加量は、インク組成物
全量の0.01〜10重量%の範囲で適宜選ばれる。
【0035】また、本発明にあっては、ER粒子自体を
その製造時などにおいて、予め着色しておき、この着色
ER粒子をフッ素変性シリコーンオイルに分散させても
よい。この場合、ER粒子が上述の無機・有機複合粒子
の時には、高分子芯体6および/または表層8に色素を
用いることによって、それぞれ着色できる。高分子芯体
6の着色には、高分子化合物の着色に通常使用される着
色顔料や染料を用いることができ、表層8の着色には粒
子7の電気レオロジー効果に悪影響を与えない着色顔料
や染料が使用される。よって、この着色ER粒子を上述
着色フッ素変性シリコーンオイル中に分散させることに
より、得られるインクジェット記録用インク組成物は任
意に着色が可能である。さらに、本発明のインク組成物
にあっては、必要に応じ、例えば鉱油、有機溶剤、低分
子量合成樹脂、高級アルコール、着色安定剤、粘度調整
剤、乾燥調整剤、酸化防止剤等の種々の添加剤を適宜添
加することができる。
【0036】以下、具体例を示す。 (実施例1)無機イオン交換体である水酸化チタン(一
般名;含水酸化チタン,石原産業株式会社製,C−II)
40g、アクリル酸ブチル300g、1,3−ブチレン
グリコールジメタクリレート100g及び重合開始剤の
混合物を、第三リン酸カルシウム25gを分散安定剤と
して含有する1800mlの水中に分散し、60℃で2
時間撹拌下に懸濁重合を行った。得られた生成物を濾
過、酸洗浄し、さらに水洗後乾燥して無機・有機複合粒
子を得た。この複合粒子をジェット気流撹拌機(株式会
社奈良機械製作所製,ハイブリダイザー)を用いて60
00rpmで5分間ジェット気流撹拌し、表面研磨して
なる無機・有機複合粒子(ER粒子)を得た。このもの
の平均粒径は13.6μmであった。
【0037】このER粒子を、沸点が97℃、粘度が
0.8cSt/25℃、比重1.78/25℃のフルオ
ロカーボン系媒体(住友スリーエム株式会社製,「フロ
リナートFC−77」)中に、その含有率33重量%と
なるように均一に分散し、実施例1のインク組成物(1
−B)を得た。
【0038】このインク組成物(1−B)を二重円筒型
回転粘度計に入れ、25℃において内外円筒間に直流電
圧2kV/mmを印加し、内筒電極に回転力を与え、各
剪断速度(s-1)における剪断応力(Pa)、及び各剪
断速度測定時における内外円筒間の電流値(μA/cm
2 )を測定した。また無電圧印加時の各剪断速度
(s-1)における剪断応力(Pa)も測定した。結果を
表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】(実施例2)実施例1で作成したインク組
成物(1−B)1.0gを、直径6.5cmの円形に切
ったインクジェットプリンター用コート紙(ヒューレッ
トパッカード社製,HP51630P)上へ均一に塗布
し、その揮発性を室温に放置して、指触にて評価した。
結果を表2に示した。
【0041】(実施例3)実施例1で作成した無機・有
機複合粒子を、沸点が174℃、粘度が2.8cSt/
25℃、比重1.88/25℃のフルオロカーボン系媒
体(住友スリーエム株式会社製,「フロリナートFC−
43」)中に、その含有率33重量%となるように均一
に分散し、実施例3のインク組成物(2−B)を得た。
このインク組成物(2−B)1.0gを、実施例2と同
様にコート紙上に塗布し、揮発性を評価した。結果を表
2に示した。
【0042】(比較例1)実施例1で作成した無機・有
機複合粒子を、ケロシンを分散媒として用い、含有率3
3重量%となるように均一に分散し、比較例1のインク
組成物(3−B)を得た。このインク組成物(3−B)
1.0gを、実施例2と同様にコート紙上に塗布し、揮
発性を評価した。結果を表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】◎;完全に乾燥状態。 ○;指触時、僅かに湿り気を感じる。 △;指触時、湿り気を感じ、指先に組成物が少し付着す
る。 ×;指触時、指先に組成物がべっとりと付着し、乾燥状
態を感じられない。
【0045】以上の実施例および比較例の結果から、こ
の発明のインク組成物は、先行技術として先に挙げた日
本印刷学会誌第29巻、第3号、第320〜328頁
(1992年)に開示された灯油(ケロシン)を分散媒
として用いたER流体からなるインク組成物に比べて優
れた揮発性、優れた耐粒子沈降安定性を示し、インクジ
ェット記録用インク組成物として好適であることがわか
る。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のインクジ
ェット記録用インク組成物は、フルオロカーボン系媒体
中にER粒子を分散した粒子分散型ER流体を含有する
ものであるので、優れた揮発性と優れた耐粒子沈降安定
性を示し、インクジェット記録用インク組成物として好
適なものである。
【0047】また、ER粒子として、有機高分子化合物
からなる芯体と電気レオロジー効果を有する無機物から
なる表層とからなる無機・有機複合粒子を用いれば、極
めて高いER効果が得られるため、インク組成物のノズ
ルからの噴射を正確かつ確実に制御することができ、高
品位の印刷物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインク組成物に用いられるER粒子
の好適例である無機・有機複合粒子の構造を模式的に示
す断面図である。
【図2】 ER流体をインクとして使用するインクジェ
ット記録方式の原理を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…ノズル、2…インク、4…電極、6…芯体、7…微
粒子、8…表層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フルオロカーボン系電気絶縁性媒体に誘
    電体粒子を分散してなる粒子分散型電気レオロジー流体
    を含有するインクジェット記録用インク組成物。
  2. 【請求項2】 上記誘電体粒子が、有機高分子化合物か
    らなる芯体と電気レオロジー効果を有する無機物からな
    る表層とによって構成された無機・有機複合粒子である
    請求項1記載のインクジェット記録用インク組成物。
  3. 【請求項3】 上記電気レオロジー効果を有する無機物
    が、無機イオン交換体、シリカゲルおよび電気半導体性
    無機物のうちから選択される1種以上である請求項2記
    載のインクジェット記録用インク組成物。
  4. 【請求項4】 上記フルオロカーボン系電気絶縁性媒体
    の25℃における比重が1.0〜2.0であり、沸点が
    80〜200℃であり、動粘度が0.5〜3.0cSt
    である請求項1記載のインクジェット記録用インク組成
    物。
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