JPH08211421A - 電気感応型光機能性流体組成物 - Google Patents

電気感応型光機能性流体組成物

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JPH08211421A
JPH08211421A JP7208718A JP20871895A JPH08211421A JP H08211421 A JPH08211421 A JP H08211421A JP 7208718 A JP7208718 A JP 7208718A JP 20871895 A JP20871895 A JP 20871895A JP H08211421 A JPH08211421 A JP H08211421A
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inorganic
electric field
composition
weight
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JP7208718A
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English (en)
Inventor
Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Kazuya Akashi
一弥 明石
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
Keita Okamura
恵太 岡村
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Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電界を印加するとき、電界配列効果に基づい
て光学特性を制御することができる電気感応型光機能性
流体組成物を得る。 【構成】 組成物が電気絶縁性媒体1中に電界配列効果
を有する固体粒子2を含有してなる。この固体粒子2
は、好ましくは有機高分子化合物からなる芯体3と電界
配列効果を有する無機物4を含む表層5とによって形成
された無機・有機複合粒子からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界を印加すると
きの電界配列効果に基づいて透光性を制御することがで
きる電気感応型光機能性流体組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】電界を印加することによって光学特性を
制御し得る電気感応型光機能性流体組成物として、従来
から液晶組成物、エレクトロクロミック組成物などが知
られている。これらは、例えば離間して対向して配列さ
れる2枚の透明電極の間に挟んで電界を印加すると、液
晶組成物の場合は透過光の偏光的性質を変化させ、また
エレクトロクロミック組成物の場合は特定波長の透過光
を吸収する等の電気感応型の光機能性を有するものであ
り、このような特性を利用して各種表示装置、光シャッ
ター等に広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の電気感
応型光機能性流体組成物は、例えば液晶組成物の場合に
は、表示装置(いわゆるLCD等)の製造に際して、偏
向子、ガラス基板、透明電極、分子配向膜等の付属部材
を必要とし、また透明電極の間隔の厳密な管理が要され
る等の多くの要因から、表示面積の増大に伴って製品コ
ストが著しく上昇し、またエレクトロクロミック組成物
の場合は現状では応答性が鈍くかつ色が特定されるなど
の解決すべき課題があった。
【0004】一方、従来から特異な振る舞いを示す電気
感応型流体が知られる。この流体組成物は、例えば電気
絶縁性の媒体中に電界配列効果を有する固体粒子(以
下、電界配列性粒子(若しくは単にEA粒子)という)
を分散させて得られる流体である。この流体組成物は電
界を印加すると、その粘度が著しく増大し、場合によっ
ては固化する性質を持つ、いわゆる電界配列効果(以
下、単にEA効果ともいう)を有するものである。すな
わち、この流体組成物は、電界の印加によって剪断流動
に対する大きな抵抗を安定的に発生するので、クラッ
チ、ダンパ、ショックアブソーバ、バルブ、アクチュエ
ータ、バイブレータ、プリンタ、または振動素子等の機
器の動力伝達用または制動用等への応用が期待されてい
る。
【0005】このようなEA効果は、上記流体組成物を
対向して配設される電極の間に介在させて、この電極間
に電圧を印加するとき、電極間に生ずる電界の作用によ
って組成物中に分散している固体粒子が分極し、さらに
分極に基づく静電引力によって互いに電界方向に配位連
結して外部剪断流動に抵抗する結果として発現するもの
とされている。
【0006】上述したように、この電気感応型流体組成
物については、力学的作用についてのみ知られ、その光
学的作用については従来全く知られていなかった。
【0007】本発明は、このようなEA効果を有する流
体組成物に、特異な光学的作用があることを本願発明者
らが発見したことに基づくものであり、これにより上記
課題を解決することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願発明の請求項1記載の電気感応型光機能性流体
組成物(以下「電界配列性組成物(若しくはEA組成
物)」ともいう)は、電気絶縁性媒体中に電界配列効果
(EA効果)を有する固体粒子(電界配列性粒子(EA
粒子))を含有してなることを要旨とする。
【0009】このEA粒子は、有機高分子化合物からな
る芯体と電界配列効果(EA効果)を有する無機物(以
下、単に電界配列性無機物(若しくはEA無機物)とい
う)を含む表層とによって形成された無機・有機複合粒
子であることが好ましい。このEA無機物は、無機イオ
ン交換体、シリカゲル及び電気半導体無機物からなる群
から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【0010】上記の無機・有機複合粒子の表層は、EA
無機物と共に色素粒子を含むものであってもよい。ま
た、芯体が色素を含むものであってもよい。また、EA
無機物が無機イオン交換体である場合、この無機イオン
交換体は、多価金属の水酸化物、ハイドロタルサイト
類、多価金属の酸性塩、ヒドロキシアパタイト、ナシコ
ン型化合物、粘土鉱物、チタン酸カリウム類、ヘテロポ
リ酸塩および不溶性フェロシアン化物からなる群から選
ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【0011】また、EA無機物が電気半導体性無機物で
ある場合、この電気半導体性無機物は、室温にて103
Ω-1cm-1ないし10-11 Ω-1cm-1の範囲内の電気伝
導度を有するものであることが好ましい。この電気半導
体性無機物は、金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化水
酸化物、無機イオン交換体、これらの少なくともいずれ
か1種に金属ドーピングを施したもの、および金属ドー
ピングの有無に拘らず、これらの少なくともいずれか1
種を他の支持体上に電気半導体層として施したものから
なる群から選ばれた少なくとも1種であることが好まし
い。
【0012】上記の電気絶縁性媒体は、1cStないし
3000cStの範囲内の動粘度を有するものであるこ
とが好ましい。この電気絶縁性媒体は、無色透明であっ
ても着色していてもよい。また染料などを用いて任意の
色に着色したものを用いることもできる。電気絶縁性媒
体中のEA粒子の濃度は、0.5重量%ないし15重量
%の範囲内であることが好ましい。EA組成物は、電界
が印加されない状態では分散しているEA粒子が光を乱
反射して透過しないから不透明に見えるが、電界が印加
されると、組成物中のEA粒子が鎖状に配位連結して鎖
状体を形成し、この鎖状体が電界方向に平行して配列す
るので、その間隙を光が透過し、透明に見えるようにな
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施の一形態
例を図面を参照して説明する。図1は本発明に係る電界
配列性組成物(EA組成物)の構成を模式的に示す断面
図である。
【0014】図1に示すように、本例のEA組成物は、
電気絶縁性媒体1中にEA粒子2が均一に分散され、こ
のEA粒子2は有機高分子化合物からなる芯体3と多数
の電界配列性無機物の粒子(以下、単にEA無機物とい
う)4からなる表層5とによって形成される無機・有機
複合粒子により構成される。
【0015】このEA粒子2の形状は、図1ではEA粒
子2の外形及び芯体3、EA無機物4共に球体としてい
るが必ずしも球形であることを要しない。しかしなが
ら、球形であれば、透過光量を調節する際に光を全方向
に均一に散乱させることができるので、不定形のものよ
りも安定した特性を得る上で有利である。
【0016】またEA粒子2の粒径は特に限定されるも
のではないが、0.1μmないし500μm、特に5μ
mないし200μmの範囲内とすることが好ましく、微
粒子状のEA無機物4の粒径は特に限定されるものでは
ないが、好ましくは0.005μmないし100μm、
特に0.01μmないし10μmの範囲内とすることが
好ましい。なお、EA粒子2の芯体3の周囲には、多数
のEA無機物4が緻密かつ強固に固着されるが、実際に
は図1に示されるように全てのEA無機物4同士が接触
することはなく、間隙が生じている。そのため、後述す
るように芯体3の色が、EA組成物の色に影響を与える
ことになる。
【0017】さらに、表層5を形成するEA無機物4と
芯体3を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限定
されるものではないが、保存安定性の高いEA組成物を
得るためには、EA無機物と有機高分子化合物の合計重
量に対してEA無機物が1重量%ないし60重量%の範
囲内、特に4重量%ないし30重量%の範囲内とするこ
とが好ましい。また、このEA無機物3の割合が1重量
%未満では、得られたEA粒子2のEA特性が不十分と
なり、一方、60重量%を超えるとEA粒子2の比重が
過大となって保存安定性を損なう惧れが生じるようにな
る。
【0018】この具体例において、電気絶縁性媒体1は
無色透明のシリコーン油であり、無機・有機複合粒子の
芯体3を形成する有機高分子化合物はポリアクリル酸エ
ステルであり、表層5を形成するEA無機物4は無機イ
オン交換体でありかつ電気半導体性無機物でもある白色
の水酸化チタンである。この無機・有機複合粒子の色は
白色である。また、電気絶縁性媒体1中に含まれるEA
粒子2の割合は7.5重量%である。
【0019】一般に本発明のEA組成物の色は、使用す
る電気絶縁性媒体1の色と、これに分散されたEA粒子
2の色との組み合せによって決まる。用いる電気絶縁性
媒体1が無色透明であればEA組成物はEA粒子2の色
と同色を呈する。上記具体例の場合は、電気絶縁性媒体
1が無色透明であり、かつEA粒子2すなわち無機・有
機複合粒子が白色であるので、このEA組成物としては
白色不透明を呈することになる。以下、特に特定しない
限り電気絶縁性媒体1の色は無色透明であり、EA粒子
2は不透明・有色であるものとする。また、EA粒子2
の色は、芯体3とEA無機物4のそれぞれの色によって
決定されるが、通常はEA無機物4の色が芯体3の色よ
りも大きく影響する。
【0020】このEA組成物は、図2に示すように、離
間して平行に配置した1対の透明電極10−10の間に
介在させ、一方の透明電極10の外側から観察すると、
電圧オフ時に電極面は不透明であり、かつEA組成物の
色と同色を呈している。
【0021】この透明電極10−10に、図3に示すよ
うに、電極11からスイッチ12を介して電圧を印加す
ると、EA効果によってEA粒子2が透明電極10−1
0の面と直角の方向に鎖状に配列して鎖状体6を形成す
る。このとき、各鎖状体6は相互に離間して平行に配向
する。
【0022】電気絶縁性媒体1中に含まれるEA粒子2
が鎖状体6を形成して互いに離間して配向すると、透明
電極10の一方から垂直に入射した光はこれら鎖状体6
の間隙部を散乱されずに透過することができるようにな
る。従って、この電極面は透明に見えることになる。す
なわち、スイッチ12をオン/オフすることによって、
電極面をEA粒子の色に対応して、白色、黒色を含む有
色不透明から透明に変化させることができ、かつその透
過光量を調節することができる。
【0023】本発明のEA組成物に用いる電気絶縁性媒
体1としては、従来知られているEA流体に使用されて
いるものが全て使用可能である。例えば、塩化ジフェニ
ル、セバチン酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級アル
コールエステル、ハロフェニルアルキルエーテル、トラ
ンス油、塩化パラフィン、弗素系オイル、またはシリコ
ーン系オイルやフルオロシリコーン系オイルなど、電気
絶縁性及び電気絶縁破壊強度が高く、化学的に安定でか
つEA粒子を安定に分散させ得るものであればいずれの
流体またはこれらの混合物も使用可能である。
【0024】この電気絶縁性媒体1は、目的に応じて着
色することができる。着色する場合は、選択された電気
絶縁性媒体に可溶であってその電気的特性を損なわない
種類と量の油溶性染料または分散性染料を用いることが
好ましい。また、電気絶縁性媒体1には、この他に分散
剤、界面活性剤、粘度調整剤、酸化防止剤、安定剤など
が含まれていてもよい。この電気絶縁性媒体1の動粘度
は、1cStないし3000cStの範囲内であること
が好ましい。動粘度が1cStより小さいと、EA組成
物の貯蔵安定性の面で不足を生じ、動粘度が3000c
Stより大きいと調整時に気泡を巻き込み、その気泡が
抜けにくくなり、取り扱いに支障を来すので好ましくな
い。この観点から、動粘度は10cStないし1000
cStの範囲内、特に10cStないし100cStの
範囲内であることが好ましい。
【0025】本発明に用いられるEA粒子2は、EA効
果を有する固体粒子であれば、元素、有機化合物、また
は無機化合物、またはそれらの混合物など、いずれの素
材も使用可能である。その例としては例えば無機イオン
交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気半導体性無機
物、カーボンブラックなどの粒子、およびこれらを表層
として有する粒子を挙げることができる。
【0026】しかし、このEA粒子2は、上記の実施例
に示したように、有機高分子化合物からなる芯体3とE
A無機物4からなる表層5とによって形成された無機・
有機複合粒子であることが特に好ましい。この無機・有
機複合粒子は、比較的比重が重いEA無機物の表層5が
比較的比重の軽い有機高分子化合物に担持されていて、
その粒子全体の比重を電気絶縁性媒体に対して近似する
ように調節できる。従ってこれを電気絶縁性媒体に分散
して得られたEA組成物は、貯蔵安定性に優れたものと
なる。
【0027】この無機・有機複合粒子2の芯体3として
使用し得る有機高分子化合物の例としては、ポリ(メ
タ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル
−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、ABS樹
脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、アイオノマー、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、ポリ
カーボネート樹脂などの1種または2種以上の混合物ま
たは共重合物を挙げることができる。
【0028】表層5を形成するEA無機物4としては種
々のものが用い得るが、好ましい例としては無機イオン
交換体とシリカゲルと電気半導体性無機物とを挙げるこ
とができる。これらのEA無機物4を用いて有機高分子
化合物からなる芯体3の上に表層5を形成するとき、得
られた無機・有機複合粒子は有用なEA粒子2となる。
【0029】無機イオン交換体の例としては(1)多価
金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、(3)
多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイト、
(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)チタ
ン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および(9)
不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0030】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物 これらの化合物は、一般式MOx (OH)y (Mは多価
金属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)
で表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウ
ム、水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アル
ミニウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリ
ブデン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、および
水酸化鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは
含水酸化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、
TiO(OH)2 )および水酸化チタン(別名オルソチ
タン酸またはαチタン酸、Ti(OH)4 )の双方を含
むものであり、他の化合物についても同様である。
【0031】(2)ハイドロタルサイト類 これらの化合物は、一般式M13Al6 (OH)43(C
O)3 ・12H2 O(Mは二価の金属である)で表さ
れ、例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどで
ある。
【0032】(3)多価金属の酸性塩 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タンおよびモリブデン酸錫などである。
【0033】(4)ヒドロキシアパタイト これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイトなど
である。
【0034】(5)ナシコン型化合物 これらには例えば(H3 O)Zr2 (PO4 3 のよう
なものが含まれるが、本発明においてはH3 OをNaを
置換したナシコン型化合物も使用できる。
【0035】(6)粘土鉱物 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
【0036】(7)チタン酸カリウム類 これらは一般式aK2 O・bTiO2 ・nH2 O(aは
0<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満た
す正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
・TiO2 ・2H2 O、K2 O・2TiO2 ・2H
2 O、0.5K2 O・TiO2 ・2H2 O、及びK2
・2.5TiO2 ・2H2 Oなどである。なお、上記化
合物のうち、aまたはbが整数でない化合物はaまたは
bが適当な整数である化合物を酸処理し、KとHとを置
換することによって容易に合成される。
【0037】(8)ヘテロポリ酸塩 これらは一般式H3 AE1240・nH2 O(Aはリン、
ヒ素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブ
デン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正
数である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、およびタングストリン酸アンモニウムである。
【0038】(9)不溶性フェロシアン化物 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6 ](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。)
【0039】これらには例えば、Cs2 Zn[Fe(C
N)6 ]およびK2 Co[Fe(CN)6 ]などの不溶
性フェロシアン化合物が含まれる。
【0040】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。
【0041】即ち、前述の無機イオン交換体をR−M1
(M1 は、イオン交換サイトのイオン種を表す)と表す
と、R−M1 におけるM1 の一部または全部を、下記の
イオン交換反応によって、M1 とは異なるイオン種M2
に置換した置換型無機イオン交換体もまた、本発明にお
ける無機イオン交換体である。
【0042】 xR−M1 +yM2 →Rx−(M2 )y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2 、M1 の価数を
表す)。
【0043】M1 はOH基を有する無機イオン交換体の
種類により異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換
性を示すものでは、一般にM1 はH+ であり、この場合
のM2 はアルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金
属、遷移金属または希土類金属等、H+ 以外の金属イオ
ンのいずれか任意のものである。
【0044】OH基を有する無機イオン交換体が陰イオ
ン交換性を示すものでは、M1 は一般にOH- であり、
その場合M2 は例えばI、Cl、SCN、NO2 、B
r、F、CH3 COO、SO4 またはCrO4 などや錯
イオンなど、OH- 以外の陰イオン全般の内の任意のも
のである。
【0045】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3 O)Zr
2 (PO4 3 の加熱により得られるHZr2 (P
4 3 やハイドロタルサイトの高温加熱処理物(50
0〜700℃で加熱処理したもの)などがある。
【0046】これらの無機イオン交換体は一種類だけで
はなく、多種類を同時に表層として用いることもでき
る。なお、上記の無機イオン交換体として、多価金属の
水酸化物、及び多価金属の酸性塩を用いることが特に好
ましい。
【0047】前記無機・有機複合粒子2の表層5として
使用し得る電気半導体性無機物の例は、電気伝導度が、
室温にて103 〜10-11 Ω-1/cmの金属酸化物、金
属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオン交換体、ま
たはこれらの少なくともいずれか1種に金属ドーピング
したもの、もしくは金属ドーピングの有無に拘わらず、
これらの少なくともいずれか1種を他の支持体上に電気
半導体層として施したものなどである。
【0048】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。
【0049】ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタン
(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、T
iO(OH)2 )およびオルソチタン酸(別名αチタン
酸、Ti(OH)4 )を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸化塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピング電界配列性無機物:これは上記の
電気半導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げ
るために、アンチモン(Sb)などの金属をEA無機物
にドーピングしたものであって、例としてはアンチモン
(Sb)ドーピング酸化錫(SnO2 )などを挙げるこ
とができる。
【0050】(N)他の支持体上に電気半導体層として
EA無機物を施したもの:例えば支持体として酸化チタ
ン、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物
粒子、またはポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機
高分子粒子を用い、これに電気半導体層としてアンチモ
ン(Sb)ドーピング酸化錫(SnO2 )を施したもの
などを挙げることができる。このように他の支持体上に
EA無機物が施された粒子も、全体としてEA無機物と
見なすことができる。これらのEA無機物は、1種類だ
けでなく、2種類またはそれ以上を同時に表層として用
いることもできる。
【0051】無機・有機複合粒子2は、種々な方法によ
って製造することができる。例えば、有機高分子化合物
からなる粒子状の芯体3と微粒子状のEA無機物4とを
ジェット気流によって搬送し、衝突させて製造する方法
がある。この場合は粒子状の芯体3の表面にEA無機物
4の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層5を形成す
る。また別の製造例としては、粒子状の芯体3を気体中
に浮遊させ、EA無機物4の溶液を霧状にしてその表面
に噴霧する方法がある。この場合はその溶液が芯体3の
表面に付着し乾燥することによって表層5が形成され
る。
【0052】無機・有機複合粒子3を製造する特に好ま
しい製法は、芯体3と同時に表層5を形成する方法であ
る。この方法は、例えば、芯体3を形成する有機高分子
化合物のモノマーを重合媒体中で乳化重合、懸濁重合ま
たは分散重合するに際して、微粒子状としたEA無機物
4を上記モノマー中、または重合媒体中に存在させると
いうものである。
【0053】重合媒体としては水が好ましいが、水と水
溶性有機媒体との混合物を使用することもでき、また有
機系の貧溶媒を使用することもできる。この方法によれ
ば、重合媒体の中でモノマーが重合して芯体粒子3を形
成すると同時に、微粒子状のEA無機物4が芯体3の表
面に層状に配向してこれを被覆し、表層5を形成する。
乳化重合または懸濁重合によって無機・有機複合粒子を
製造する場合には、モノマーの疎水性の性質とEA無機
物の親水性の性質を組み合わせることによって、EA無
機物の微粒子の大部分を芯体粒子3の表面に付着させる
ことができる。
【0054】この芯体3と表層5との同時形成方法によ
れば、有機高分子化合物からなる芯体粒子3の表面にE
A無機物粒子4が緻密かつ強固に接着し、堅牢な無機・
有機複合粒子が形成される。
【0055】本発明に使用する無機・有機複合粒子2の
形状は必ずしも球形であることを要しないが、粒子状の
芯体3が調節された乳化・懸濁重合方法によって製造さ
れた場合は、得られる無機・有機複合粒子2の形状はほ
ぼ球形となる。しかも球形であれば、透過光量を調節す
る際に光を全方向に均一的に散乱させることができるの
で、例えば表示装置として利用した場合には不定形のも
のよりも表示面の表示をより均一にすることができ有利
になる。
【0056】また、無機・有機複合粒子2の粒径は特に
限定されるものではないが、0.1μmないし500μ
m、特に5μmないし200μmの範囲内とすることが
好ましい。この際の微粒子状のEA無機物4の粒径は特
に限定されるものではないが、好ましくは0.005μ
mないし100μm、さらに好ましくは0.01μmな
いし10μmの範囲内とする。
【0057】さらに、無機・有機複合粒子2において、
表層5を形成するEA無機物4と芯体3を形成する有機
高分子化合物の重量比は特に限定されるものではない
が、保存安定性の高いEA組成物を得るためには、EA
無機物と有機高分子化合物の合計重量に対してEA無機
物が1重量%ないし60重量%の範囲内、特に4重量%
ないし30重量%の範囲内とすることが好ましい。この
EA無機物3の割合が1重量%未満では、得られたEA
粒子のEA特性が不十分となり、60重量%を超えると
EA粒子の比重が過大となって保存安定性を損なう惧れ
がある。
【0058】上記の無機・有機複合粒子の表層5または
芯体3は色素を含むものであっても良い。表層5に用い
ることのできる色素は顔料である。この顔料は、芯体3
上に上記の方法によりEA無機物4からなる表層5を形
成する際、EA無機物4に混合して用いて表層5に含ま
せることが好ましい。
【0059】芯体3に色素を含ませる場合は、一般に合
成樹脂用として知られている染料または顔料のいずれも
使用可能である。この色素は、予め芯体3を形成するモ
ノマー中に混合した後にモノマーを重合するか、または
芯体3となる合成樹脂に練り込んで芯体中に含ませるこ
とができる。
【0060】表層5または芯体3、またはその双方に色
素を含む無機・有機複合粒子2は、これを用いることに
よって、得られたEA組成物の電界無負荷時の散乱光を
任意の色に着色することができる。
【0061】上記の各種方法、特に芯体3と表層5とを
同時に形成する方法によって製造された無機・有機複合
粒子2は、その表層5の全部または一部分が有機高分子
物質や、製造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の
添加物質の薄膜で覆われていて、EA粒子としてのEA
効果が充分に発揮されない場合がある。この不活性物質
の薄膜は粒子表面を研磨することによって容易に除去す
ることができる。従って芯体3と表層5とを同時に形成
する場合には、その表面を研磨することが好ましい。
【0062】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子2を水など
の分散媒体中に分散させて、これを攪拌する方法によっ
て行うことができる。この際、分散媒体中に砂粒やボー
ルなどの研磨材を混入して無機・有機複合粒子3と共に
攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌する方法
などによって行うこともできる。例えばまた、分散媒体
を使用せず、無機・有機複合粒子3と上記のような研磨
材または研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うことも
できる。さらに好ましい研磨方法は、無機・有機複合粒
子をジェット気流などによって気流攪拌する方法であ
る。これは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて
研磨する方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済
みの粒子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい
方法である。上記のジェット気流攪拌においては、それ
に用いられる装置の種類、攪拌速度、無機・有機複合粒
子の材質などにより研磨条件を選定する必要があるが、
一般的には6000rpmの攪拌速度で0.5min〜
15min程度ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0063】本発明のEA組成物は、上記のEA粒子2
を、必要なら分散剤など他の成分と共に電気絶縁性媒体
1中に均一に攪拌混合し分散させて製造することができ
る。この攪拌機としては、液状分散媒に固体粒子を分散
させるために通常使用されるものがいずれも使用でき
る。
【0064】透過光量の制御に用いる場合に有効なEA
粒子2の電気絶縁性媒体1中における濃度は、特に限定
されるものではないが、0.5重量%ないし15重量%
の範囲内であることが好ましい。粒子濃度が0.5重量
%未満では粒子密度が過小であって電界無印加時にも透
明感があって電界印加時とのコントラストが十分に得ら
れず、15重量%を越えると、粒子密度が過大となり、
電界を印加してEA粒子を配向制御しても十分な透明感
が得られなくなる惧れがある。この観点から、EA粒子
2の電気絶縁性媒体1中の濃度は、2.5重量%ないし
10重量%の範囲内とすることが更に好ましい。
【0065】EA組成物に印加する電界としては、例え
ば0.1kV/mm以上とすることが好ましい。特に
0.25kV/mm〜1.5kV/mmの範囲とするこ
とが好ましい。この電界のオン/オフによって本発明の
EA組成物は、電界の方向に光透過性のコントラストを
変化させる。
【0066】
【実施例】
(実施例1)無機イオン交換体である水酸化チタン(一
般名:含水酸化チタン、石原産業株式会社製、C−I
I)40g、アクリル酸ブチル300g、1,3−ブチ
レングリコールジメタクリレート100gおよび重合開
始剤の混合物を、第三リン酸カルシウムを分散安定化剤
として含有する1800mlの水中に分散し、60℃で
1時間攪拌下に懸濁重合を行った。
【0067】得られた生成物を瀘過、酸洗浄し、さらに
水洗後乾燥して無機・有機複合粒子を得た。得られた無
機・有機複合粒子をジェット気流攪拌機(株式会社奈良
機械製作所製ハイブリダイザー)を用いて4000rp
mの3分間ジェット気流攪拌し、表面研磨して無機・有
機複合粒子からなる白色のEA粒子2を得た。
【0068】このEA粒子2の含水率はカールフィッシ
ャー滴定法で0.65重量%であった。また平均粒径は
16.4μmであった。
【0069】このEA粒子2を、種々の動粘度のシリコ
ーン油(東芝シリコーン株式会社製、TSF451シリ
ーズ)中に、その含有度が種々の重量%となるように均
一に分散し、実施例1のEA組成物を得た。これらはい
ずれも白色不透明であった。
【0070】(試験例)実施例1のEA組成物を図2に
示した透明電極10−10間に介在させ、電圧をオン/
オフして、その都度、透明電極10−10に垂直に入射
する光の強度と、これを透過した光の強度とをそれぞれ
光センサで検出し、その差を増加光としてdBmで表示
した。この場合、3.2dBmの増加は光パワーで2.
09倍の増加に相当し、4.2dBmの増加は光パワー
で2.63倍の増加に相当する。この結果を図4〜図8
に示す。
【0071】図4はシリコーン油(ベースオイル)の動
粘度が10cStの場合において、EA粒子濃度と印加
電界をパラメータとして増加光を測定した結果を示す。
同様に図5はシリコーン油の動粘度が50cStの場合
の同様な測定結果、図6はシリコーン油の動粘度が10
0cStの場合の同様な測定結果を示す。
【0072】図4〜図6に示す結果から、0.5〜15
重量%のEA粒子濃度においては、0.25〜1.5k
V/mmの範囲で印加電界が大きくなるに従い増加光の
dBm値が増加している。従って本発明のEA組成物を
用いるとき、電界の印加によって不透明から透明へと透
過光量の制御を行えることが実証できた。次に、EA粒
子濃度が1.0重量%では印加電界を3kV/mmとし
ても増加光の割合は少ない。よって、EA粒子濃度を
2.5重量%以上とすることが好ましいことがわかる。
【0073】次に図7と図8は、EA粒子濃度を5.0
重量%に固定した場合に、シリコーン油の動粘度と印加
電界をパラメータとして増加光を測定した試験の結果
と、同様な試験でEA粒子濃度を7.5重量%とした場
合の試験結果を示している。
【0074】図7と図8に示す結果から、いずれの動粘
度のシリコーン油においても0.25〜1.5kV/m
mの範囲で、印加電界が大きくなるに従い増加光のdB
m値が増加していることがわかる。従って本発明のEA
組成物を用いることで、透過光量の制御を階調的に行え
ることが実証できたとともに、印加電界は0.25〜
1.5kV/mmの範囲内で、大きくするに従いより大
きな増加光が得られることがわかる。
【0075】次に表1と表2は、動粘度50cStの無
色透明のシリコーン油(ベースオイル)を用い、EA粒
子2の濃度を5.0重量%とした場合に得られた増加光
を、透過光の波長毎に測定した結果を示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】 表1と表2に示す結果から、実施例1のEA組成物を用
いて透過光量の制御を行う場合、400nm〜1100
nmの広い波長域において均一な増加光が得られてお
り、広範な波長領域において均一に透過光量の調節がで
きることが明らかになった。通常、可視光の波長域は4
80〜780nmとされているので、可視光の波長のほ
ぼ全域と、それよりも波長の長い赤外線領域において、
実施例1のEA組成物は均一な透過光制御性能を有する
ことが明らかになった。この結果は、実施例1のベース
オイルが無色透明な場合のものであって、ベースオイル
が着色していれば、透明時にはこのベースオイルの透過
光の色が認められる。
【0078】(実施例2)実施例1のEA粒子2の処方
において、水酸化チタン40gの代わりに平均粒径0.
04μmのシリカゲル(新日鉄化学株式会社製、エスク
ォーツM−40005)80gを用いた以外は実施例1
と同様にして表面研磨前の無機・有機複合粒子を得た。
この複合粒子を6000rpmで5分間ジェット気流攪
拌し、表面研磨して無機・有機複合粒子からなる白色の
EA粒子2を得た。
【0079】このEA粒子2の含水率はカールフィッシ
ャー滴定法で0.91重量%であった。また平均粒径は
13.5μmであった。
【0080】このEA粒子2を、実施例1と同様時シリ
コーン油中に分散し、実施例2のEA組成物を得た。こ
れらはいずれも白色不透明であった。
【0081】この各試料を、実施例1の場合と同様に透
明電極10−10間に介在させ、電圧をオン/オフして
透光性の変化を観察した。いずれの場合も電圧オフ時に
は電極板表面が白色不透明であったが、電圧をオンにす
ると、いずれの場合も透明に変化した。
【0082】これにより、EA効果を有する誘電体であ
るシリカゲルを無機・有機複合粒子の表層として用いた
場合も光学特性を制御し得ることがわかる。
【0083】(実施例3)実施例1のEA粒子2の処方
において、水酸化チタン40gの代わりに水酸化チタン
32gと青色顔料のフタロシアニンブルー(大日精化工
業株式会社製、シアニンブルーS−32)8gとの混合
物を用いた以外は実施例1と同様にして表面研磨時の無
機・有機複合粒子を得た。この複合粒子を実施例1と同
様にジェット気流攪拌し、表面研磨して青色のEA粒子
2を得た。
【0084】このEA粒子2の含水率はカールフィッシ
ャー滴定法で0.91重量%であった。また平均粒径は
14.0μmであった。
【0085】このEA粒子2を、実施例1と同様にシリ
コーン油中に分散し、実施例3のEA組成物を得た。こ
れらはいずれも青色不透明であった。
【0086】この各試料を、実施例1の場合と同様に透
明電極10−10間に介在させ、電圧をオン/オフして
透光性の変化を観察した。いずれの場合も電圧オフ時に
は電極板表面が青色不透明に着色していたが、電圧をオ
ンにすると、いずれの場合も透明に変化した。
【0087】これにより、無機・有機複合粒子が青色に
着色されていても、白色の無機・有機複合粒子の場合と
同様に光学特性を制御することができ、この実施例では
青色不透明から透明へと変化させ得ることがわかった。
【0088】(実施例4)実施例1のEA粒子2の処方
において、水酸化チタン40gの代わりに水酸化チタン
32gと青色顔料のファーストエロー(大日精化工業株
式会社製、NLファーストエロー5G(S))8gとの
混合物を用いた以外は実施例1と同様にして表面研磨前
の無機・有機複合粒子を得た。この複合粒子を実施例1
と同様にジェット気流攪拌し、表面研磨して黄色のEA
粒子2を得た。
【0089】このEA粒子2の含水率はカールフィッシ
ャー滴定法で0.89重量%であった。また平均粒径は
14.2μmであった。
【0090】このEA粒子2を、実施例1と同様にシリ
コーン油中に分散し、実施例4のEA組成物を得た。こ
れらはいずれも黄色不透明であった。
【0091】この各試料を、実施例1の場合と同様に透
明電極10−10間に介在させ、電圧をオン/オフして
透光性の変化を観察した。いずれの場合も電圧オフ時に
は電極板表面がそれぞれ黄色不透明に着色していたが、
電圧をオンにすると、いずれの場合も透明に変化した。
【0092】これにより、EA粒子2が黄色に着色され
ていれば、電圧をオン/オフして光学特性を黄色不透明
から透明へと変化させ得ることがわかった。
【0093】(実施例5)実施例1のEA粒子2の処方
において、水酸化チタン40gの代わりに水酸化チタン
20gと電気半導体無機物である黒色四酸化三鉄(Fe
3 4 )20gとの混合物を用いた以外は実施例1と同
様にして表面研磨前の無機・有機複合粒子を得た。この
複合粒子を実施例1と同様にジェット気流攪拌し、表面
研磨して黒灰色のEA粒子2を得た。
【0094】このEA粒子2の含水率はカールフィッシ
ャー滴定法で0.66重量%であった。また平均粒径は
15.4μmであった。
【0095】このEA粒子2を、実施例1と同様にシリ
コーン油中に分散し、実施例5のEA組成物を得た。こ
れらはいずれも黒色であった。
【0096】この各試料を、実施例1の場合と同様に透
明電極10−10間に介在させ、電圧をオン/オフして
透光性の変化を観察した。いずれの場合も電圧オフ時に
は電極板表面がそれぞれ黒色不透明に着色していたが、
電圧をオンにすると、いずれの場合も透明に変化した。
【0097】これにより、EA粒子2が黒色に着色され
ていれば、電圧をオン/オフすることによって光学特性
を黒色不透明から透明へと変化させ得ることがわかっ
た。
【0098】(実施例6)実施例1のEA粒子2の処方
において、水酸化チタン40gの代わりに電気半導体無
機物である赤色三酸化二鉄(Fe2 3 )40gを用い
た以外は実施例1と同様にして表面研磨前の無機・有機
複合粒子を得た。この複合粒子を実施例1と同様にジェ
ット気流攪拌し、表面研磨して赤橙色のEA粒子2を得
た。
【0099】このEA粒子2の含水率はカールフィッシ
ャー滴定法で0.76重量%であった。また平均粒径は
13.9μmであった。
【0100】このEA粒子2を、実施例1と同様にシリ
コーン油中に分散し、実施例6のEA組成物を得た。こ
れらはいずれも赤色であった。
【0101】この各試料を、実施例1の場合と同様に透
明電極10−10間に介在させ、電圧をオン/オフして
透光性の変化を観察した。いずれの場合も電圧オフ時に
は電極板表面がそれぞれ赤色不透明に着色していたが、
電圧をオンにすると、いずれの場合も透明に変化した。
これにより、EA粒子2が赤色に着色されていれば、電
圧をオン/オフによって光学特性を赤色不透明から透明
へと変化させ得ることがわかった。
【0102】以上の実施例を通して、本発明のEA組成
物は、電界無印加時にはEA粒子2の固有色に対応して
白色および黒色を含む有色不透明であり、これに電界を
印加するときは、電界強度に対応して透明性が増大する
方向に光学特性を変化させ得ることが明らかとなった。
【0103】(実施例7)次に、図9ないし図14を参
照して、印加する電界をパラメータとしたときの波長と
透過光量との関係について説明する。ここで、EA粒子
2の粒子色を青とするとき、図9はEA粒子2の粒子濃
度が7重量%、EAF厚1.1mmの場合であり、図1
0は同粒子濃度が3重量%、EAF厚1.1mmの場合
であり、図11は同粒子濃度が7重量%、EAF厚0.
6mmの場合であり、図12は同粒子濃度が3重量%、
EAF厚0.6mmの場合であり、図13は同粒子濃度
が7重量%、EAF厚0.3mmの場合であり、図14
は同粒子濃度が3重量%、EAF厚0.3mmの場合で
ある。なお、EAF厚とは、EA組成物の厚みであり、
透明電極10−10間距離に等しい。また、電気絶縁性
媒体1にはジメチルシリコンオイル(東芝シリコーン株
式会社製、TSF451−10)を用いた。
【0104】まず、図9を参照するに、電圧が印加され
ないとき、すなわち電圧オフ時(図中、太実線で示す)
には、電極板表面がそれぞれ青色不透明に着色されてい
るが、電圧を加えていくと、徐々に赤みが増すとともに
透明性が増大する方向に光学特性が変化して、0.45
kV/mm以上でほとんど、オン状態における透明に近
い状態となった。なお、この結果は、ベースオイルが無
色透明な場合のものであって、ベースオイルが着色して
いれば、透明時にはこのベースオイルの透過光の色が認
められることになる。また、図10に示すように粒子濃
度を3重量%(EAF厚1.1mm)とすると、0.1
8kV/mmで図9に示す0.45kV/mmと同程度
の透過光量が得られた。一方、図11に示すようにEA
F厚0.6mm(粒子濃度7重量%)としても、0.1
7kV/mmで図9に示す0.45kV/mmと同程度
の透過光量が得られた。
【0105】さらに、図12に示す粒子濃度3重量%、
EAF厚0.6mmのとき、及び図13に示す粒子濃度
7重量%、EAF厚0.3mmのときには電圧オフ時
で、図9に示す0.45kV/mmと同程度の透過光量
が得られ、電圧のオン/オフによって光学特性を徐々に
変化させ実用に供するのは困難であることが判明した。
また、図14に示す粒子濃度3重量%、EAF厚0.3
mmでは、電圧のオン/オフによる光学特性の実用的な
変更は困難であることが判明した。
【0106】以上の実施例により、本発明のEA組成物
は、粒子濃度及びEAF厚を適宜選択することにより、
電界の段階的変更に対応して、EA組成物の色調及び透
明性といった光学的特性を徐々に変更可能であることが
明らかになった。
【0107】
【発明の効果】本発明のEA組成物は、電気絶縁性媒体
中にEA粒子を含有してなるものであるので、これに電
界を印加すればEA粒子が電界の方向に配向し、これに
より透過光量を制御することができる。この制御は、E
A組成物の媒体が電気絶縁性であるのできわめて微少な
電力消費で行うことができる。特にEA粒子が、有機高
分子化合物からなる芯体とEA無機物からなる表層とに
よって形成された無機・有機複合粒子からなる場合は、
高い保存安定性を有する実用的なEA組成物が得られ
る。表層または芯体またはその双方が色素を含むもので
あれば、電界無印加時の不透明色を任意の色に着色する
ことができる。このような利点を有する本発明のEA組
成物は、電界のオン/オフによる面光シャッター、各種
表示装置などとして有利に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るEA組成物の一実施例の構成を模
式的に示す断面図である。
【図2】本発明のEA組成物の電源オフ時の態様を示す
断面図である。
【図3】本発明のEA組成物の電源オン時の態様を示す
断面図である。
【図4】本発明の実施例において、ベースオイルの動粘
度が10cStである場合の粒子濃度と印加電界と増加
光との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例において、ベースオイルの動粘
度が50cStである場合の粒子濃度と印加電界と増加
光との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例において、ベースオイルの動粘
度が100cStである場合の粒子濃度と印加電界と増
加光との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例において、粒子濃度が5.0重
量%である場合のベースオイル動粘度と印加電界と増加
光との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の実施例において、粒子濃度が7.5重
量%である場合のベースオイル動粘度と印加電界と増加
光との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の実施例において、電界をパラメータと
したときの、粒子色が青、粒子濃度が7重量%、EAF
厚1.1mmであるときの波長と透過光量との関係とを
示すグラフである。
【図10】本発明の実施例において、電界をパラメータ
としたときの、粒子色が青、粒子濃度が3重量%、EA
F厚1.1mmであるときの波長と透過光量との関係と
を示すグラフである。
【図11】本発明の実施例において、電界をパラメータ
としたときの、粒子色が青、粒子濃度が7重量%、EA
F厚0.6mmであるときの波長と透過光量との関係と
を示すグラフである。
【図12】本発明の実施例において、電界をパラメータ
としたときの、粒子色が青、粒子濃度が3重量%、EA
F厚0.6mmであるときの波長と透過光量との関係と
を示すグラフである。
【図13】本発明の実施例において、電界をパラメータ
としたときの、粒子色が青、粒子濃度が7重量%、EA
F厚0.3mmであるときの波長と透過光量との関係と
を示すグラフである。
【図14】本発明の実施例において、電界をパラメータ
としたときの、粒子色が青、粒子濃度が3重量%、EA
F厚0.3mmであるときの波長と透過光量との関係と
を示すグラフである。
【符号の説明】 1 電気絶縁性媒体 2 電界配列性粒子(EA粒子) 3 芯体 4 電界配列性無機物(EA無機物) 5 表層 6 鎖状体 10 透明電極 11 電源 12 スイッチ
フロントページの続き (72)発明者 枝村 一弥 東京都港区芝公園2丁目6番15号 藤倉化 成株式会社本社事務所内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206 (72)発明者 岡村 恵太 埼玉県越ヶ谷市谷中町2丁目312−1

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気絶縁性媒体中に電界配列効果を有す
    る固体粒子を含有してなることを特徴とする電気感応型
    光機能性流体組成物。
  2. 【請求項2】 前記固体粒子が、有機高分子化合物から
    なる芯体と電界配列効果を有する無機物を含む表層とに
    よって形成された無機・有機複合粒子であることを特徴
    とする請求項1記載の電気感応型光機能性流体組成物。
  3. 【請求項3】 前記固体粒子の表層を構成する無機物
    が、無機イオン交換体、シリカゲルおよび電気半導体性
    無機物からなる群から選ばれた少なくとも1種であるこ
    とを特徴とする請求項2記載の電気感応型光機能性流体
    組成物。
  4. 【請求項4】 前記固体粒子の表層が、電界配列効果を
    有する無機物と共に色素粒子を含むものであることを特
    徴とする請求項2または請求項3記載の電気感応型光機
    能性流体組成物。
  5. 【請求項5】 前記固体粒子の芯体が色素を含むもので
    あることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれ
    か1項記載の電気感応型光機能性流体組成物。
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JP (1) JPH08211421A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005062602A (ja) * 2003-08-18 2005-03-10 Fuji Xerox Co Ltd 表示デバイス用粒子群、画像表示デバイス、、画像形成装置、及び表示デバイス用粒子の製造方法
JP2008064992A (ja) * 2006-09-06 2008-03-21 Tdk Corp 光透過調整装置および表示装置

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