JPH08101408A - 図形表示装置および図形表示方法 - Google Patents

図形表示装置および図形表示方法

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JPH08101408A
JPH08101408A JP6238274A JP23827494A JPH08101408A JP H08101408 A JPH08101408 A JP H08101408A JP 6238274 A JP6238274 A JP 6238274A JP 23827494 A JP23827494 A JP 23827494A JP H08101408 A JPH08101408 A JP H08101408A
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inorganic
transparent
electric field
organic composite
composite particles
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JP6238274A
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English (en)
Inventor
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Kazuya Akashi
一弥 明石
Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
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Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
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Publication date
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本願発明は、広い波長域においてほぼ均一の
全く新規な透過光量調節作用を生じさせ得る電気感応型
光機能性流体組成物を用いて任意の図形を表示できる全
く新しい画期的な図形表示装置および図形表示方法を提
供することを目的とする。 【構成】 本願発明は、電界配列効果を有する固体粒子
を電気絶縁性媒体29中に含有してなる電気感応型光機
能性流体組成物と、この電気感応型光機能性流体組成物
を収納し、対向する2面の少なくとも相対向する一部を
透明とした収納体26と、前記相対向する透明部分のそ
れぞれに行列状に形成されて相対向する透明部分の双方
でマトリックス状に配置された透明電極22、23とを
具備してなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は電気感応型光機能性流
体組成物を用いた透過光量の制御機構を有する図形表示
装置および図形表示方法に関するものであり、特に電圧
を印加することによって透過光量を制御して、所望の文
字や図形を表示する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶を用いた表示装置として、図
20に示すように、上下の透明ガラス基板1、2の間に
液晶3を封入してなる構成の液晶パネル4が知られてい
る。この液晶パネル4は、上方のガラス基板1の上に偏
光板5を具備し、上方のガラス基板1の下に共通電極6
を具備するとともに、下方の透明基板2の下に偏光板7
を具備して構成され、下方の透明基板2の液晶側の面
に、液晶駆動用の微細な電気回路が形成されている。図
21に、前記液晶駆動用の微細な電気回路の一般的な構
成を示す。この例は薄膜トランジスタ(TFT)を用い
た駆動回路を示すもので、透明基板2上に形成したゲー
ト電極9をゲート絶縁層10で覆い、その上に形成した
a-Si膜11とエッチストッパ層12を挟むようにソ
ース電極13とドレイン電極14を設け、ドレイン電極
14を画素電極15に接続して形成し、ゲート電極9と
ソース電極13とドレイン電極14とが形成する薄膜ト
ランジスタでスイッチ素子16を構成し、このスイッチ
素子16によって選択的に画素電極15に通電し、画素
電極15が液晶3に作用させる電界により液晶分子の配
向制御を行って液晶分子による表示・非表示を切り換え
るようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在、この種のTFT
を用いた液晶パネルは、コンピュータのディスプレイや
液晶テレビ用、あるいは、各種電気機器の表示パネルな
どとして需要が増大し、それに伴って急速に開発が進め
られている状況にある。ところが、この種の液晶パネル
においては、液晶組成物自体の単価が高価であること、
液晶を駆動する微細な電気回路を製造するには、半導体
集積回路などの微細な電気回路を製造する場合と同等か
それ以上の回路技術を必要とすること、大面積のもので
あっても欠陥が許されないこと、TFT回路の形成以外
にも、偏光板や各種のフィルタなどを必要とすることな
どから、製造のために極めて高い費用がかかり、コスト
が極めて高くなってしまう問題がある。また、液晶は一
度電界を作用させて配向制御を行っても、その電界を取
り去ると直ちに配向状態が崩れてしまうので、液晶によ
る画像の連続表示を行うには、液晶に常に所定の電界を
印加しておく必要があり、その分、駆動電力が必要にな
る問題がある。更に、液晶は特定の波長の光を吸収する
性質があるので、液晶による表示には特定の着色がなさ
れることがあり、この着色のために表示素子としての用
途が限定されてしまう問題がある。
【0004】ところで本発明者らは、従来知られていな
い新規な電界配列性を有する電気感応型光機能性流体組
成物の研究を行っている。この組成物は、例えば、電気
絶縁性の媒体中に固体粒子を分散させて得られる流体で
あり、これに電界を印加すると固体粒子が誘電分極を起
こし、更に誘電分極に基づく静電引力によって互いに電
場方向に配位連結して整列し、鎖状体構造を示す性質を
持っている。また、固体粒子によっては電気泳動性を有
することにより、電界印加時に電極部分に電気泳動して
配列配向し、配列塊状構造を示す性質を示すものもあ
る。このように、電界下における粒子の配向配列を電界
配列効果と呼び、そのような性質を有する固体粒子を電
界配列性粒子と呼ぶこととする。そして本発明者らは、
この新規な構造の電気感応型光機能性流体組成物の研究
を進めることにより本発明に到達した。
【0005】本発明は前記事情に鑑みてなされたもので
あり、広い波長域においてほぼ均一の全く新規な透過光
量調節作用を生じさせ得る電気感応型光機能性流体組成
物を用いて任意の図形を表示できる全く新しい画期的な
図形表示装置および図形表示方法を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題は、電界配列効
果を有する固体粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなる
電気感応型光機能性流体組成物と、この電気感応型光機
能性流体組成物を収納し、対向する2面の少なくとも相
対向する一部を透明とした収納体と、前記相対向する透
明部分のそれぞれに行列状に形成されて相対向する透明
部分の双方でマトリックス状に配置された透明電極とを
具備してなる構造の表示装置によって解決できる。
【0007】さらに、前記固体粒子が、有機高分子化合
物からなる芯体と、電界配列効果を有する無機物(以
下、電界配列性無機物と略す)を含む表層とによって形
成される無機・有機複合粒子であることが好ましい。ま
た、前記電界配列性無機物が、無機イオン交換体、シリ
カゲル、または電気半導体性無機物、もしくはそれらの
混合物であることが好ましい。さらに、前記表層が、電
界配列性無機物とともに色素粒子を含むものや、前記芯
体または電気絶縁性媒体が、色素を含むものであっても
よい。
【0008】また、前記電気絶縁性媒体の動粘度は1〜
3000cStの範囲が好ましく、前記電気絶縁性媒体
中の固体粒子の濃度は0.5〜15重量%の範囲が好ま
しく、透明導電層から電気感応型光機能性流体組成物中
の固体粒子に印加される電圧は、0.1〜5.0kV/m
mの範囲であることが好ましい。
【0009】また、図形表示方法として、対向する2面
の少なくとも相対向する一部を透明とした収納体に、電
界配列効果を有する固体粒子を電気絶縁性媒体中に含有
してなる電気感応型光機能性流体組成物を収納し、この
収納体の透明部分の一部分毎に時間差をもって順次電界
を印可して一部分毎の固体粒子の配列を行い、各部分毎
の透過光量を順次調整することで、表示・非表示を行う
ことができる。
【0010】
【作用】本発明においては、特別な構造の電気感応型光
機能性流体組成物を中空の収納体に満たし、この収納体
の透明部分に行列状に形成されたマトリックス状の透明
電極に通電して透明電極の交差部分の電気感応型光機能
性流体組成物に電圧を印加することで、縦列と横列の透
明電極の任意の交差部分に対応する電気感応型光機能性
流体組成物中の無機・有機複合粒子などの固体粒子が特
定の方向に配向する。これにより、電圧が印加されてい
ない状態では、収納体中に分散している固体粒子が光を
乱反射して、前記透明部分が不透明に見えるが、電圧が
印加されると、固体粒子が鎖状に配位連結して鎖状体を
形成し、この鎖状体が電界方向に平行して配列するの
で、その間隙を光が透過し、透明に見えるようになる。
これにより、透明部分と不透明部分を作成することがで
き、これにより任意の図形を表示できるようになる。
【0011】前記無機・有機複合粒子の配列を制御して
透明状態と不透明状態を切り換える場合、無機・有機複
合粒子あるいは電気絶縁性媒体の少なくとも一方に着色
がなされている場合は、その着色された状態で透明と不
透明の切り換えがなされる。例えば、無機・有機複合粒
子が白色の粒子であれば、白濁した不透明状態と透明状
態を切り換えることになる。
【0012】前記電気感応型光機能性流体組成物におい
て、好ましい表示を行うためには、前記電気絶縁性媒体
の動粘度は1〜3000cStの範囲が好ましく、電気
絶縁性媒体中の固体粒子の濃度は0.5〜15重量%の
範囲が好ましく、透明電極から固体粒子に印可する電界
は0.1〜5.0kv/mmの範囲が好ましい。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。図1(A)は本発明の表示装置の一例を示
すもので、この例の表示装置Aは、一対の透明基板2
0、20を所定の間隔をあけて平行に配置し、これらの
間に液体状の電気感応型光機能性流体組成物21を封入
して構成されたものである。前記上方の透明基板20の
下面には、図1(A)の紙面に直角な方向に沿う短冊状
の複数の透明電極22が整列形成され、下方の透明基板
20の上面には、図1(A)の紙面左右方向に伸びる短
冊状の複数の透明電極23が整列形成されていて、図1
(A)に示す上方の透明電極22・・・と下方の透明電極
23・・・は、図2に示すように平面視するとマトリック
ス状に配置されている。また、透明基板20、20の外
周縁部には図1(A)に示すようにシール部材25が装
着され、透明基板20、20とシール部材25により形
成される板状の中空の透明の収納体26の内部に電気感
応型光機能性流体組成物21が封入されている。
【0014】更に、図2に示すようにマトリックス状に
配置された透明電極22・・・、23・・・の各々の端部は、
引出線を介してそれぞれ電圧供給源X1、X2・・・Xn、Y
1、Y2・・・Ynに接続され、透明電極22・・・あるいは透
明電極23・・・のそれぞれに独立に正または負の電圧を
印加することができるようになっている。
【0015】前記透明基板20、20は、内部に電気感
応型光機能性流体組成物21を収納できるとともに運搬
や設置などに耐える強度を有する必要があるので、各種
のガラス基板、アクリル樹脂などからなる透明樹脂基板
等から構成することが好ましい。なお、透明基板20、
20は全体が透明である必要はなく、光を通過させる部
分のみを透明とした構造としても良い。従って、周縁部
のみを不透明の金属枠、樹脂枠などから構成し、その枠
の内部に透明のガラス基板や樹脂基板を嵌め込んだ構成
にしても良い。また、その形状は特に限定されるもので
はないが、通常は板状のものが用いられる。前記透明電
極22・・・、23…を構成する透明導電膜としては、透
明性と導電性を有するものであれば任意であり、具体的
にはITO(インジウム錫酸化物)が挙げられる。
【0016】前記電気感応型光機能性流体組成物21
は、基本的に、電気絶縁性媒体29中に図1(B)に示
す構造の無機・有機複合粒子30が分散されてなるもの
であり、この無機・有機複合粒子30は、有機高分子化
合物からなる芯体31と、この芯体31の表面を覆った
電界配列性無機物32からなる表層33とによって形成
されている。
【0017】このような電界配列性無機物32としては
種々のものが知られているが、好ましい例としては多価
金属の水酸化物、ハイドロタルサイト類、多価金属の酸
性塩、ヒドロキシアパタイト、ナシコン型化合物、粘土
鉱物、チタン酸カリウム類、ヘテロポリ酸塩または不溶
性フェロシアン化物からなる無機イオン交換体及びシリ
カゲルと電気半導体性無機物を挙げることができる。こ
のような電界配列性無機物32が、有機高分子化合物か
らなる芯体31上に表層33を形成するとき、電気感応
型光機能性流体組成物21に電界配列効果がもたらされ
る。また、上記の無機・有機複合粒子30は、芯体31
と同時に表層33を形成する方法によって製せられたも
のであることが好ましい。
【0018】前記無機・有機複合粒子30の芯体31と
して使用し得る有機高分子化合物の例としては、ポリ
(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エス
テル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、AB
S樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、アイオノマ
ー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂等の1種または2種以上の混合物
または共重合物を挙げることができる。
【0019】無機・有機複合粒子30の表層33として
使用し得る好ましい電界配列性無機物32は無機イオン
交換体、電気半導体性無機物またはシリカゲルである。
これらはその固体粒子を電気絶縁性媒体29中に分散す
るとき、優れた電界配列効果を現す。無機イオン交換体
の例としては(1)多価金属の水酸化物、(2)ハイド
ロタルサイト類、(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒド
ロキシアパタイト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘
土鉱物、(7)チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ
酸塩、及び(9)不溶性フェロシアン化物を挙げること
ができる。
【0020】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOx(OH)y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、及び水酸化
鉄等である。ここで、例えば水酸化チタンとは含水酸化
チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、TiO
(OH)2)及び水酸化チタン(別名オルソチタン酸ま
たはαチタン酸、Ti(OH)4)の双方を含むもので
あり、他の化合物についても同様である。
【0021】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNi等である。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タン及びモリブデン酸錫等である。
【0022】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイト等で
ある。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO43のようなも
のが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置換
したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイト等であり、特にセピオライトが好ましい。
【0023】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.5
2O・TiO2・2H2O、及びK2O・2.5TiO2
2H2O等である。なお、上記化合物のうち、aまたは
bが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数である
化合物を酸処理し、KとHとを置換することによって容
易に合成される。
【0024】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、及びタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタン等の重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)等であり、bは4または3であり、aはAの価
数であり、pは0〜b/aの正数である。) これらには例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6]及びK
2Co[Fe(CN)6]等の不溶性フェロシアン化合物
が含まれる。
【0025】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2)y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を表
す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類に
より異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を示
すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM2
アルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷移
金属または希土類金属等、H+以外の金属イオンのいず
れか任意のものである。OH基を有する無機イオン交換
体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にOH-
であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4等や
錯イオン等、OH-以外の陰イオン全般の内の任意のも
のである。
【0026】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体等も本発明
に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具体
例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr
2(PO43の加熱により得られるHZr2(PO43
ハイドロタルサイトの高温加熱処理物(500〜700
℃で加熱処理したもの)等がある。これらの無機イオン
交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層とし
て用いることもできる。なお、上記の無機イオン交換体
として、多価金属の水酸化物、及び多価金属の酸性塩を
用いることが特に好ましい。
【0027】前記無機・有機複合粒子30の表層33と
して使用し得る他の好ましい電界配列性無機物32は、
電気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cmの金
属酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオ
ン交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種に金
属ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの有無
に拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他の支
持体上に電気半導体層として施したもの等である。
【0028】以下に、他の好ましい電界配列性無機物に
ついてさらに詳しく説明する。 (A)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)等である。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブ等である。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタン
(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、T
iO(OH)2 )およびオルソチタン酸(別名αチタン
酸、Ti(OH)4 )を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)等を挙げることができる。
【0029】(D)多価金属の水酸化物:先に(1)で
記載したものと同等。 (E)ハイドロタルサイト類:先に(2)で記載したも
のと同等。 (F)多価金属の酸性塩:先に(3)で記載したものと
同等。 (G)ヒドロキシアパタイト:先に(4)で記載したも
のと同等。 (H)ナシコン型化合物:先に(5)で記載したものと
同等。 (I)粘土鉱物:先に(6)で記載したものと同等。 (J)チタン酸カリウム類:先に(7)で記載したもの
と同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:先に(8)で記載したものと同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:先に(9)で記載した
ものと同等。
【0030】(M)金属ドーピング電界配列性無機物:
これは上記電界配列性無機物32(A)〜(L)の電気
伝導度を上げるために、アンチモン(Sb)等の金属を
電界配列性無機物32にドーピングしたものであって、
例としてはアンチモン(Sb)ドーピング酸化錫(Sn
2 )等を挙げることができる。 (N)他の支持体上に電気半導体層として電界配列性無
機物32を施したもの:例えば支持体として酸化チタ
ン、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ等の無機物粒
子、またはポリエチレン、ポリプロピレン等の有機高分
子粒子を用い、これに電気半導体層としてアンチモン
(Sb)ドーピング酸化錫(SnO2 )を施したもの等
を挙げることができる。このように電界配列性無機物3
2が施された粒子は全体として電界配列性無機物となっ
ている。 これらの電界配列性無機物32は、1種類だけでなく、
2種類またはそれ以上を同時に表層として用いることも
できる。
【0031】前記の電気感応型光機能性流体組成物21
に用いる電気絶縁性媒体29としては従来知られている
電気粘性流体に使用されているものが全て使用可能であ
る。例えば、塩化ジフェニル、セバチン酸ブチル、芳香
族ポリカルボン酸高級アルコールエステル、ハロフェニ
ルアルキルエーテル、トランス油、塩化パラフィン、弗
素系オイル、またはシリコン系オイルやフルオロシリコ
ンオイル等、電気絶縁性及び電気絶縁破壊強度が高く、
化学的に安定でかつ無機・有機複合粒子30を安定に分
散させ得るものであればいずれの流体も使用可能であ
り、またそれらの混合物を使用することもできる。
【0032】この電気絶縁性媒体29は、目的に応じて
着色することもできる。着色する場合は、選択された電
気絶縁性媒体29に可溶であってその電気的特性を損な
わない種類と量の油溶性染料または分散性染料を用いる
ことが好ましい。電気絶縁性媒体29には、この他に、
分散剤、界面活性剤、粘度調製剤、酸化防止剤、安定剤
などが含まれていてもよい。
【0033】このような無機・有機複合粒子30は種々
な方法によって製造することができる。例えば、有機高
分子化合物からなる粒子状の芯体31と微粒子状の電界
配列性無機物32をジェット気流によって搬送し、衝突
させる方法がある。この場合は粒子状の芯体31の表面
に電界配列性無機物32の微粒子が高速度で衝突し、固
着して表層33を形成する。また、別の製法例として
は、粒子状の芯体31を気体中に浮遊させておき、電界
配列性無機物32の溶液を霧状にしてその表面に噴霧す
る方法がある。この場合はその溶液が芯体31の表面に
付着し乾燥することによって表層33が形成される。
【0034】しかし、無機・有機複合粒子30を製造す
る好ましい製法例は、芯体31と同時に表層33を形成
する方法である。この方法は、例えば、芯体31を形成
する有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で乳化重
合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒子状と
した電界配列性無機物32を上記モノマー中、または重
合媒体中に存在させて行う、というものである。重合媒
体としては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒との混
合物を使用することができ、また有機系の貧溶媒を使用
することもできる。この方法によれば、重合媒体の中で
モノマーが重合して芯体粒子を形成すると同時に、微粒
子状の電界配列性無機物32が芯体31の表面に層状に
配向してこれを被覆し、表層33を形成する。
【0035】乳化重合または懸濁重合によって無機・有
機複合粒子を製造する場合には、モノマーの疎水性の性
質と電界配列性無機物32の親水性の性質を組み合わせ
ることによって、電界配列性無機物32の微粒子の大部
分を芯体粒子の表面に配向させることができる。この芯
体31と表層33との同時形成方法によれば、有機高分
子化合物からなる芯体粒子31の表面に電界配列性無機
物粒子32が緻密かつ強固に接着し、堅牢な無機・有機
複合粒子30が形成される。
【0036】本発明に使用する無機・有機複合粒子30
の形状は必ずしも球形であることを要しないが、粒子状
の芯体31が調節された乳化・懸濁重合方法によって製
造された場合は、得られる無機・有機複合粒子30の形
状はほぼ球形となる。しかも球形状であれば、透過光量
を調節する際に光を全方向に散乱させることができるの
で、不定形のものよりも球形状のものが有利になる。無
機・有機複合粒子30の粒径は特に限定されるものでは
ないが、0.1〜500μm、特に5〜200μm程度
とすることが好ましい。この際の微粒子状の電界配列性
無機物32の粒径は特に限定されるものではないが、好
ましくは0.005〜100μmであり、さらに好まし
くは0.01〜10μmである。以上のような大きさに
形成することで無機・有機複合粒子30の比重を1.1
〜1.2程度に容易に調整することができ、これにより
電気絶縁性媒体29とほぼ同等の比重を有するようにな
り、均一分散させることができる。
【0037】このような無機・有機複合粒子30におい
て、表層33を形成する電界配列性無機物32と芯体3
1を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限定され
るものではないが、(電界配列性無機物):(有機高分
子化合物)比で(1〜60):(99〜40)の範囲、
特に(4〜30):(96〜70)の範囲であることが
好ましい。ここで、電界配列性無機物32の重量比が1
%未満では得られた電気感応型光機能性流体組成物の電
界配列効果が不充分であり、60%を超えると得られた
電気感応型光機能性流体組成物16に過大な電流が流れ
るようになる。これらの無機・有機複合粒子30の比重
は、芯体31に比較的比重の小さな有機高分子化合物を
使用することから、表層33を形成する電界配列性無機
物32の比重と比べて相対的に小さくすることができ
る。用いる有機高分子化合物と電界配列性無機物の種類
と比率とによって、無機・有機複合粒子30の比重は自
在に調整可能であるが、一般的に、用いる電気絶縁性媒
体との関係から比重1.0〜2.0程度に調整される。こ
の場合、電気絶縁性媒体との比重差が大きいと、媒体中
で電界配列性粒子が重力沈降し、均一分散ができなくな
ることもある。
【0038】上記の無機・有機複合粒子30の表層33
または芯体31は色素を含むものであってもよい。表層
33に用いることのできる色素は顔料である。この顔料
は、芯体31上に、上記の方法により電界配列性無機物
32からなる表層33を形成する際、電界配列性無機物
32に混合して用いて、表層33に含ませることが好ま
しい。芯体31に色素を含ませる場合は、一般に合成樹
脂用として知られている染料または顔料のいずれも使用
可能である。この色素は、予め芯体31を形成するモノ
マー中に混合した後にモノマーを重合するか、または芯
体31となる合成樹脂に練り込んで芯体31中に含ませ
ることができる。表層33または芯体31、またはその
双方に色素を含む無機・有機複合粒子30は、これを用
いることによって、得られた電気感応型光機能性流体組
成物16の電界無負荷時の散乱光を任意の色に着色する
ことができる。
【0039】上記のような各種の方法、特に芯体31と
表層33を同時に形成する方法によって製造された無機
・有機複合粒子30は一般に、その表層33の全部また
は一部分が有機高分子物質や、製造工程で使用された分
散剤、乳化剤その他の添加物質の薄膜で覆われていて、
電界配列性無機物32微粒子の電界配列効果が充分に発
揮されないこともある。この不活性物質の薄膜は該粒子
表面を研磨することによって容易に除去し得る。
【0040】この無機・有機複合粒子30表面の研磨
は、種々な方法で行うことができる。例えば、無機・有
機複合粒子30を水などの分散媒体中に分散させて、こ
れを攪拌する方法によって行うことができる。この際、
分散媒体中に砂粒やボールなどの研磨材を混入して無機
・有機複合粒子30と共に攪拌する方法、あるいは研削
砥石を用いて攪拌する方法等によって行うこともでき
る。例えばまた、分散媒体を使用せず、無機・有機複合
粒子30と上記のような研磨材と、研削砥石を用いて乾
式で攪拌して行うこともできる。
【0041】さらに好ましい研磨方法は、無機・有機複
合粒子30をジェット気流等によって気流攪拌する方法
である。これは該粒子自体を相互に気相において激しく
衝突させて研磨する方法であり、他の研磨材を必要とせ
ず、粒子表面から剥離した不活性物質を分級によって容
易に分離し得る点で好ましい方法である。上記のジェッ
ト気流攪拌においては、それに用いられる装置の種類、
攪拌速度、無機・有機複合粒子30の材質等により研磨
条件を特定するのが難しいが、一般的には6000rp
mの攪拌速度で0.5〜15分程度ジェット気流攪拌す
るのが好ましい。
【0042】本発明に用いる電気感応型光機能性流体組
成物21は上記の無機・有機複合粒子30を、必要なら
分散剤等、他の成分と共に電気絶縁性媒体29中に均一
に攪拌混合して製造することができる。この攪拌機とし
ては、液状分散媒に固体粒子を分散させるために通常使
用されるものがいずれも使用できる。
【0043】次に本発明に係る表示装置に用いる場合に
有効な無機・有機複合粒子濃度と電気絶縁性媒体29の
動粘度と印加電界について説明する。本発明において用
いる電気感応型光機能性流体組成物21中における無機
・有機複合粒子30の粒子濃度は、特に限定されるもの
ではないが0.5〜15重量%であることが好ましい。
その粒子濃度が0.5重量%未満では充分な透過光制御
効果が得られず、15重量%以上では粒子濃度が濃すぎ
て大量の無機・有機複合粒子30が電気感応型光機能性
流体組成物21の全体に分散することになるので、後述
の如く電圧を印加して無機・有機複合粒子30・・・を配
向制御しても透明感が得られなくなるおそれがある。
【0044】次に、本発明において用いる電気絶縁性媒
体29の動粘度は、1〜3000cStの範囲であるこ
とが好ましい。動粘度が1cStより小さいと、分散媒
中に揮発成分が多量に混在し、電気感応型光機能性流体
の貯蔵安定性の面で不足を生じ、動粘度が3000cS
tより大きいと調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜
けにくくなり、取り扱いに支障を来すので好ましくな
い。なお、この動粘度の範囲は、10〜1000cSt
がより好ましい範囲、10〜100cStが更に好まし
い範囲となる。
【0045】次に、電気感応型光機能性流体組成物21
に印加する電圧として例えば、0. 1〜 5.0kV/m
mの範囲で任意の電圧をかけることができるが、この範
囲よりも大きな電圧を印加するようにしても良い。ま
た、この印加電界の範囲において、0.25〜1.5kV
/mmの範囲とすることがより好ましい。
【0046】次に、図1(A)に示す構成の表示装置を
使用して所望の図形表示を得る原理について説明する。
図3は、下方の透明電極23の上に3つの透明電極22
が配置された部分の拡大図であって、この図の状態のよ
うに、上方で中央に位置する透明電極22に通電しない
状態とすると、その透明電極22の下の電気感応型光機
能性流体組成物21には電界が作用しないので電気絶縁
性媒体29中において無機・有機複合粒子30はランダ
ムに浮遊することになる。この状態でこの部分を通過し
ようとする光は無機・有機複合粒子30の存在により種
々の方向に散乱されるので、この部分は不透明状態とな
る。例えば、電界配列性無機物32として水酸化チタン
系のものを用いた場合は白濁した色調、例えば白色の磨
りガラスのように見える。また、無機・有機複合粒子3
0の表層33と芯体31のいずれか、または両方の色素
が含有されている場合は、収納体26は、前記色素によ
って着色された不透明状態の磨りガラスのように見え
る。ここで、無機・有機複合粒子30が球形状であれ
ば、光の散乱が全方向になされるので、特定の方向に光
が収束されたりするおそれが少ない。
【0047】次に、図3の上方で左右の透明電極22、
22と下方の透明電極23に通電すると、これらの透明
電極22、22と下方の透明電極23とにより挟まれた
領域に存在する電気感応型光機能性流体組成物21には
電界が作用するので、無数の無機・有機複合粒子30を
透明電極22、23間で透明電極22、23に垂直な方
向に鎖状に結合させて鎖状体30’とすることができる
と同時に各鎖状体30’を相互に離間させて平行に配向
させることができる。
【0048】即ち、電気絶縁性媒体29中に分散された
無機・有機複合粒子30の割合は前述した如く10重量
%前後以下の量であって全体としては少ないので、これ
らが配向して鎖状体30’を構成すると、鎖状体30’
どうしの間には無機・有機複合粒子30の直径よりもか
なり広い間隔があくことになり、これによりこの部分の
厚さ方向に入射された光は、ほとんど減衰することなく
通過するようになる。従って収納体26を透明状態とす
ることができる。以上の操作によって、透明電極22、
23に通電するか否かによって、透明電極22、23の
交差部分の領域を不透明な状態から透明な状態に変化さ
せることができ、これにより透明部分と不透明部分によ
る表示ができる。
【0049】ここで例えば、アルファベットのLの文字
を表示したい場合は、図4に示すように、電圧供給源X
2に接続された透明電極23と電圧供給源Y4に接続され
た透明電極22に通電してこれらの交差部分の電気感応
型光機能性流体組成物21を透明とし、その後に電圧印
加を停止した後で短い時間差をもって電圧供給源X3
接続された透明電極23と電圧供給源Y4に接続された
透明電極22に通電してこれらの交差部分の電気感応型
光機能性流体組成物21を透明とし、同じ操作を所定の
時間差をもってX4とY4の組み合わで、次にX4とY5
組み合わせで、次にX4とY6の組み合わせで順次行うこ
とで所定時間経過後に、図4に示すようにLの文字を表
示できる。この場合、電界配列性無機物32として酸化
チタン系のものを用いた場合は、白濁した色調の背景の
中に、透明の表示でLの文字を図4に示すように表示す
ることができる。また、前記のような通電操作の他に、
電圧供給源X2、X3、X4、Y4を用いて電圧を印可し、
その後電圧印加を停止した後で時間差をあけて電圧供給
源X4、Y5、Y6を用いて電圧を印可することによって
も前記の場合と同様にLの文字を表示することができ
る。このように表示のための電圧印加順序は適宜選択す
ることができる。
【0050】ところで、一度電圧を印加して無機・有機
複合粒子30・・・の配向を行うと、無機・有機複合粒子
30・・・は電圧を切ってもしばらくの間その状態を維持
しようとするので、前記透明電極22、23への通電を
短時間で切り換えて行えば、図4のような文字表示を電
圧の間欠的印加操作で実現することができる。なお、無
電界時の無機・有機複合粒子30の配向状態の維持時間
は、無機・有機複合粒子30の種類とそれを分散させて
いる電気絶縁性媒体29の動粘度に応じて適宜調節する
ことができる。例えば、電気絶縁性媒体29の動粘度を
低くすれば維持時間を短縮することができ、動粘度を高
くすれば維持時間を長くすることができる。
【0051】従って前記構成の表示装置Aを例えば、電
圧供給源からの電力のオンオフの切り替えにより電気感
応型光機能性流体組成物21を容易に不透明な状態から
透明状態に切り換えることができるようになり、透明電
極22・・・、23・・・に対する電圧印加の方法に応じて所
望の文字、数字、図形などを表示することができるよう
になる。しかも、前記表示装置Aにあっては、0.1〜
5.0kV/mmの電圧で、高々数mA/m2 という極
めて少ない電流で駆動できるので、10W/m2程度も
電力があれば充分に駆動することができ、省電力構造と
することができる。更に、透明電極22、23に通電と
同時に無機・有機複合粒子30を配列できるので、充分
な応答性を得ることができる。また、電気感応型光機能
性流体組成物16による透過光量制御を行うならば、特
定の周波数の光を吸収することなく全波長域で均一に透
過光量の制御ができるので、光吸収に起因する発熱など
のおそれがなく、エネルギー的に無駄のない表示装置が
できる。更に、一度電圧を印加して無機・有機複合粒子
30・・・の配向を行うと、無機・有機複合粒子30・・・は
電圧を切ってもしばらくの間その状態を維持するので、
印加する電圧は間欠的で良くなり、その分省エネルギー
駆動ができる特徴も有している。
【0052】このような表示装置Aは、電界配列効果を
有する固体粒子を電気絶縁性媒体29中に含有してなる
電気感応型光機能性流体組成物21と、この電気感応型
光機能性流体組成物21を収納し、対向する2面の少な
くとも相対向する一部を透明とした中空の収納体26と
を具備し、収納体26に透明電極26を形成したもので
あるので、構造が簡単であり製造単価も液晶を用いた従
来装置よりも遥かに低コストで提供できる。ちなみに、
先に説明した電気感応型光機能性流体組成物21は通常
の液晶材料よりも単価において1/10以下と極めて低
廉である。また、液晶を用いた装置においては、液晶駆
動のための種々の微細電気回路や制御回路および駆動用
LSIなどを用いる必要があるが、本発明に係る表示装
置Aにあっては、先にも説明した通り短冊状の透明電極
22・・・、23・・・を形成するといった簡単な構成で良
い。
【0053】ところで、前記の実施例においては短冊状
の透明電極22・・・、23・・・を単純に交差させた形状の
マトリックス配列としたが、この電極の配列形状はその
他の任意の配列形状で良い。例えば、図5に示すよう
に、縦側の透明電極40・・・、41・・・を横側の透明電極
42・・・の半分程度の長さの短冊状に形成し、透明電極
40、41を縦に並べ、それに対して透明電極42を交
差させて配置することによりマトリックス状に配列した
構成でも良い。また、図6に示すように、横側の透明電
極50を幅広に形成し、縦側の透明電極51を前記透明
電極50よりも小さく形成して上下の透明電極50にま
たがるように間欠的に配置し、これをもってマトリック
ス状に配置する構成としても良い。
【0054】次に図7は、図2を基に先に説明したマト
リックス構造の透明電極22、23を用いた場合のパル
ス駆動回路の一例を示す。この例の駆動回路において、
各透明電極はタイミングゲート(TG)を介して選択ス
イッチ60または61に接続され、選択スイッチ60は
リングカウンタ62に接続され、選択スイッチ61はデ
ータラッチ63とシフトレジスタ64に接続され、リン
グカウンタ62からの出力とA/D変換器65からの出
力がフレームメモリ66を介してシフトレジスタ67に
入力されるようになっていて、所望の入力パルス信号に
応じてどの列と行の透明電極に通電するか否かを切り換
えることができるようになっている。以上のような構成
にすることで、適当な周期のパルスコード信号を入力す
ることで、順次連続的に透明電極22・・・、23・・・を選
択して電圧を印加し、所望の位置の電気感応型光機能性
流体組成物21に電界を印可して透明、不透明による表
示・非表示を切り換えることで、任意の図形を表示する
ことができるようになる。
【0055】ところで、前記の実施例においては、電界
の印加によって無機・有機複合粒子が1列の鎖状体を形
成してそれぞれ平行に配列する現象について説明した
が、無機・有機複合粒子の数が1重量%を超えて多くな
ると、1列の鎖状体ではなく、鎖状体が複数列相互に接
合して図8の如くカラムCを構成して配列するようにな
る。このカラムCにおいては左右の鎖状体の無機・有機
複合粒子は1つずつずれて互い違いに隣接する。これに
ついて本発明者らは、図9に示す如く+極部分と−極部
分に誘電分極している無機・有機複合粒子30・・・が互
い違いに隣接して+極部分と−極部分とが引き合って配
列した方がエネルギー的に安定なためであると推定して
いる。
【0056】従って、無機・有機複合粒子の含有量が多
い場合は、多数のカラムCが電極の間に形成されること
になり、このカラムCの生成により透過光量を増大させ
る機構が作用する。そして、この場合、多量の無機・有
機複合粒子が複数のカラムCにまとまるので、隣接する
カラムCどうしの間隔は大きくあくことにあり、透過光
量の増大機能は顕著になる。
【0057】ところで、前記無機・有機複合粒子の粒径
を前述した如く0.1〜500μmの範囲、好ましく
は、5〜200μmの範囲としたのは、本願発明の無機
・有機複合粒子が機能上、光散乱型粒子あるいは光反射
型粒子であることに起因している。周知の如く可視光の
波長は380〜780nm、即ち、0.38〜0.78μ
mであるので、この程度の波長の光を散乱あるいは反射
させて前記の透過光制御を行うには、前記無機・有機複
合粒子の粒径を最低でも0.1μm以上、好ましくは5
μm以上とすることが必要になる。
【0058】これに対し、ブラウン運動を起こすような
可視光の波長よりも小さな粒径、例えば、5nm〜数1
0nm(=0.005〜0.02μm)程度の誘電性の超
微粒子を電気絶縁性媒体中に分散させた場合、電界によ
りこの超微粒子を配向させ得ることも考えられるが、そ
の場合の光透過機構は前記の本願発明の例とは全く異な
り、無電界時に超微粒子が分散して光を完全に透過さ
せ、電界印加時に超微粒子が配向して光を散乱させて減
衰することになり、全く異なった挙動を示すことになる
ので好ましくない。
【0059】次に、前記のような超微粒子で誘電性を示
すものとしてTiBaO4の超微粒子を考えることがで
きるが、TiBaO4は比重が4〜6の範囲の物質であ
り、重いので、仮にTiBaO4粒子を光反射型にする
目的でその粒径を大きしようとしても、電気絶縁性媒体
中で媒体との比重差により重力沈降するようになり、均
一分散させることは到底できない。また、前記TiBa
4粒子を電気絶縁性媒体中に均一に分散させるために
は、比重の大きな電気絶縁性媒体が要求されるが、比重
4〜6程度の電気絶縁性媒体は存在しない。これに対し
て本願発明の無機・有機複合粒子30は、前述したよう
に比重を1.2前後に容易に調整することができるの
で、一般に知られる多種類の電気絶縁性媒体を利用する
ことができる。次に、着色性の面から見ると、前記超微
粒子に着色することは困難であり、また、仮に着色でき
たとしても、粒子径が小さすぎるので、電気絶縁性媒体
に分散させた超微粒子の色を知覚可能なように発色させ
ることはできない。従って前記超微粒子を用いた場合
は、電気絶縁性媒体の色のみを発現させることができ、
着色パターンは1つのみしか実現できない。例えば、赤
色透明と赤色不透明との間での変化のみが実現可能とな
る。
【0060】これに対して本願発明によれば、媒体を赤
色透明、無機・有機複合粒子を白色とした場合に、白濁
不透明〜赤色透明の変色を実現でき、媒体を無色透明、
無機・有機複合粒子を青色とした場合に、青色不透明〜
無色透明の変色を実現でき、媒体を赤色、無機・有機複
合粒子を青色とした場合に、紫不透明〜赤色透明の変色
を実現でき、媒体を薄青色、粒子を黄色にした場合に黄
緑色不透明〜薄青色透明を実現できる。また、着色する
部分を見ても、無機・有機複合粒子の芯体と表層と電気
絶縁性媒体のいずれにも着色することができ、着色バリ
エーションを容易に付けることができる。なお、無機・
有機複合粒子の芯体の表面は無機物で覆われるが、無機
物どうしの隙間から色が漏れるので、芯体に着色した場
合の色も電気感応型光機能性流体の色に有効に反映され
る。
【0061】また、無機・有機複合粒子の表層に対して
着色するには、無機・有機複合粒子を製造する場合に用
いる電界配列性無機物の中に必要数量の着色無機顔料を
混ぜて均一に混合し、これを用いて前述した方法で無機
・有機複合粒子を製造すれば良い。このようにして製造
した無機・有機複合粒子は、例えば、図10に示すよう
に、芯体31の周囲に付着されている電界配列性無機物
の中の一部が着色無機顔料32’で置換された構造を有
するようになる。これによって、無機・有機複合粒子3
0に着色することができる。
【0062】以下、実験例を示し、本発明の効果を明ら
かにする。 (実験例)ガラス基板の内面に、ITO(インジウム錫
酸化物)膜からなる幅数cmの短冊状の透明電極を複数
本形成した厚さ1.0mmのITOガラスを2枚用意
し、2枚のガラスを各々の透明電極どうしを直角にクロ
スするように向き合わせた状態で2mmの間隔で平行に
対向させ、その周縁部を樹脂製のシール部材でシールし
た。次にシール部材の一部に注入孔を形成しておき、こ
こから液状の電気感応型光機能性流体組成物を注入し、
注入後に注入孔を塞いで図1(A)に示す構成の図形表
示装置とした。
【0063】ここで、用いた電気感応型光機能性流体組
成物の製造工程を以下に説明する。まず、無機イオン交
換体である水酸化チタン(一般名;含水酸化チタン、石
原産業株式会社製、C−II)40g、アクリル酸ブチ
ル300g、1,3−ブチレングリコールジメタクリレ
ート100g及び重合開始剤の混合物を、第三リン酸カ
ルシウムを分散安定化剤として含有する1800mlの
水中に分散し、60℃で1時間攪拌下に懸濁重合を行っ
た。得られた生成物を濾過、酸洗浄し、さらに水洗後、
乾燥して無機・有機複合粒子30を得た。
【0064】上記で得られた無機・有機複合粒子をジェ
ット気流攪拌機(株式会社奈良機械製作所製ハイブリダ
イザー)を用いてジェット気流攪拌し、表面研磨してな
る無機・有機複合粒子を得た。このものの比重は1.1
57、平均粒径は13.7μmであった。前記無機・有
機複合粒子を、種々の動粘度のシリコーン油(東芝シリ
コーン株式会社製、TSF451シリーズ)中に、その
含有率が種々の重量%となるように均一に分散し、シリ
コーン油の動粘度が一定で種々の粒子濃度の流体組成物
と、粒子濃度が一定で種々の動粘度のシリコーン油を電
気絶縁性媒体とした電気感応型光機能性流体組成物を得
た。
【0065】前記種々の電気感応型光機能性組成物を用
いて行った透過光制御実験の結果を図11〜図15に示
す。実験は、透明の収納体において、縦列の透明電極と
横列の透明電極の交差した部分に入射した光の強度と、
交差部分を通過した光の強度をそれぞれ光センサで検出
し、それぞれを比較した結果を増加光としてdBm表示
することで行った。この場合、3.2dBmの増加が生
じると光パワーで2.09倍の増加を意味し、4.2dB
mの増加が生じると光パワーで2.63倍の増加を意味
する。図11は、シリコン油(ベースオイル)の動粘度
が10cStの場合において、無機・有機複合粒子濃度
と印加電界をパラメータにとった際の増加光を測定した
結果を示す。同様に図12はシリコン油の動粘度が50
cStの場合の同様な試験結果、図13はシリコン油の
動粘度が100cStの場合の同様な試験結果を示す。
【0066】図11〜図13に示す結果から、0.5〜
15重量%の無機・有機複合粒子濃度においては、0.
25〜1.5kV/mmの範囲で印加電界を大きくする
方が増加光のdBm値が増加している。従って本発明を
実施することで透過光量の制御を行えることが実証でき
た。次に、無機・有機複合粒子濃度が1.0重量%では
印加電界を3kV/mmとしても増加光の割合は少な
い。よって、無機・有機複合粒子濃度を2.5重量%以
上とすることが好ましいことが判明した。
【0067】次に図14と図15は、無機・有機複合粒
子濃度を5.0重量%に固定した場合において、シリコ
ン油の動粘度と印加電界をパラメータにとって増加光を
測定した試験の結果と、同様な試験で無機・有機複合粒
子濃度を7.5重量%とした場合の試験結果を示してい
る。図14と図15に示す結果から、いずれの動粘度の
シリコン油においても0.5〜3kV/mmの範囲で印
加電界を大きくする方が増加光のdBm値が増加してい
ることが判明した。従って本発明を実施することで透過
光量の制御を行えることが実証できるとともに、印加電
界は0.25〜1.5kV/mmの範囲内で大きい方がよ
り大きな増加光とすることができることが判明した。
【0068】次に表1と表2は、動粘度50cStのシ
リコン油(ベースオイル)を用い、無機・有機複合粒子
30の濃度を5.0重量%とした場合に得られた増加光
について、透過光の波長毎に透過光量を調査した結果を
示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】表1と表2に示す結果から、本発明に係る
表示装置を用いて透過光量の制御を行う場合、400〜
1100nmの広い波長域において均一な増加光が得ら
れており、本発明により、広範な光波長域において均一
の透過光量の調節ができることが明らかになった。な
お、通常、可視光の波長域は380〜780nmとされ
ているので、可視光の波長のほぼ全域と、それよりも波
長の長い赤外線領域において、本発明の装置は均一な透
過光制御性能を有することが明らかになった。
【0072】一方、前記表示装置のガラス板の縦列と横
列の透明電極に対し、図4を基に説明した場合と同様
に、各電圧供給源から、X2とY4、X3とY4、X4
4、X4とY5、X4とY6の順の組み合わせで数秒おき
に通電したところ、白濁した背景の中に透明の「L」の
文字を表示できることを確認でき、表示装置として十分
実用的なことが判明した。
【0073】次に図16は、動粘度10cStのシリコ
ーン油に7重量%の無機・有機複合粒子を分散させた電
気感応型光機能性流体組成物を用いた場合において、電
極への通電時間と透過光量の変化割合の関係を示すもの
である。透過光量の測定は、電気感応型光機能性流体組
成物を満たした透明ガラス収納体の上方の光源から光を
投入し、収納体の下方に光センサを設置し、この光セン
サが受けた光パワーを分析したものである。この図16
から明らかなように、測定開始後約1秒後に通電を始め
て、それとほぼ同時に透過光量が増大し始め、3〜4秒
で透過光量が最大になって安定することが明らかであ
る。
【0074】図17は、動粘度10cStのシリコーン
油に対し、青色に着色した無機・有機複合粒子を4重量
%添加した電気感応型光機能性流体組成物を用いて透過
光量測定を行った場合の透過光量の周波数依存性を示
す。無機・有機複合粒子の着色は、無機・有機複合粒子
を製造する際にその表層を構成する電界配列性無機物の
20重量%を青色顔料に置換することで行った。図17
において、E=0kVで示される曲線は、無電界時の透
過光量を示し、E=2kVで示される曲線は、2kVの
電位を電極に印加した際の透過光量を示す。
【0075】図17の両曲線の比較により明らかなよう
に、無電界時に波長の短い青色系の光を多く透過させた
青色系の電気感応型光機能性流体組成物が、電界付加時
に広い波長域で広く光を透過させるように変化してお
り、青色から無色透明に変化したことが明らかである。
【0076】図18は、青色の染料を0.1重量%添加
したジメチルシリコン油の電気絶縁性媒体を用い、この
電気絶縁性媒体のみ(無機・有機複合粒子を含まないも
の)の過光量測定を行った場合の透過光量の周波数依存
性を説明するためのものである。なお、この電気絶縁性
媒体は肉眼では薄い青色に見える媒体である。図18に
おいて、光源スペクトルと媒体スペクトルとを比較して
明らかなように、短波長の青色を示すスペクトル以外の
部分で光の吸収がなされていることが明らかであり、こ
のことから電気絶縁性媒体は青色を多く透過しているの
で、電気絶縁性媒体が青色になっていることが明らかで
ある。
【0077】図19は、青色の染料を0.1重量%添加
したジメチルシリコン油を電気絶縁性媒体に用い、それ
に対して黄色に着色した無機・有機複合粒子を5重量%
分散させて電気感応型光機能性流体組成物を形成し、こ
れを用いて過光量測定を行った場合の透過光量の周波数
依存性を説明するためのものである。無機・有機複合粒
子を着色する際に用いた手段は前記の例と同等であり、
今回は黄色の顔料(ファーストエロー:大日精化工業株
式会社製、NLファーストエロー5G(S))を用い
た。図19は光源スペクトルとE=0kV/mmの場合
の透過光スペクトルとE=1kV/mmの場合の透過光
スペクトルをそれぞれ示す。この図から、無電界時に青
色と黄色の混合色の黄緑色不透明であったものが、電界
印加時に無色透明に近い青色透明状態に変化したことが
わかる。以上のことから、本発明によれば、種々のバリ
エーションの色を電気感応型光機能性流体組成物に付け
ることができ、その色をそれとは異なった色の透明状態
または同じ色の透明状態あるいは無色透明状態に変更で
きることが明らかになった。
【0078】また、本発明の表示装置は先の例に限定さ
れるものではない。例えば、透明基板20へ光照射可能
な位置に、有色光を発する照明具を設けておけば、前記
照明具から光を照射することによって、透明部分に容易
に着色をすることができる。更に、本発明の表示装置
は、前記収納体26の外部に、電灯、レーザーなどの照
明手段を具備していてもよい。このような照明手段を収
納体26の外部に設けることにより、この照明手段から
供給される光が、透明部分をさらに明るくし、表示を際
だたせることができる。
【0079】更にまた、前記照明手段と前記収納体26
との間に、色付きのパラフィン紙などの、照明手段から
供給される光の着色手段を設けてもよい。このような着
色手段を設けることにより、表示をさらにきわだたせる
ことができる。また、電気絶縁性媒体に適当な着色を施
すことによって、更に様々な呈色を示し、微妙な色合い
を表示できる。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、マ
トリックス状に形成した透明電極に選択的に通電して、
通電部分に対応する部分の電気感応型光機能性流体組成
物に電界を印加することで、前記通電部分のみの固体粒
子を配向させることができ、これによりその部分を透過
する光の量を制御できるので、通電制御を行うのみの操
作で部分的に任意の場所を透明状態と不透明状態に切り
換えることができ、これをもって表示を行うことができ
る。しかも、本発明にあっては、0.1〜5.0kV/m
mの電圧で、数mAm2 という極めて少ない電流で駆動
できるので、10W/m2程度も電力があれば充分に駆
動することができ 、省電力構造とすることが容易な特
徴がある。更に、通電と同時に無機・有機複合粒子を配
列できるので、充分な応答性で図形表示を行うことがで
きる。
【0081】更にまた、電気感応型光機能性流体組成物
による透過光量制御を行うならば、特定の周波数の光を
吸収することなく全波長域で均一に透過光量の制御がで
きるので、光吸収に起因する発熱などのおそれがなく、
エネルギー的に無駄のない透過光量制御を広い波長域で
実現できる。また、一度電圧を印加して固体粒子の配向
を行うと、固体粒子は電圧を切ってもしばらくの間その
状態を維持するので、印加する電圧は間欠的で良くな
り、その分省エネルギー駆動ができる特徴がある。
【0082】次に、本発明装置は、構造が簡単であり製
造単価も液晶を用いた従来装置よりも遥かに低コストで
提供できる。ちなみに、電気感応型光機能性流体組成物
は通常使用されている液晶材料よりも単価において1/
10程度以下と極めて低廉である。また、液晶を用いた
装置では液晶駆動のための種々の制御回路および微細な
電気回路や駆動用LSIを用いる必要があるが、本発明
では先にも説明した通り簡単な構成で実現でき、電圧供
給源まわりの回路等も簡略化できるので実施が容易な特
徴がある。
【0083】更に、電気感応型光機能性流体組成物の電
気絶縁性媒体の動粘度は1〜3000cStの範囲で自
由に設定できるとともに、電気絶縁性媒体中の固体粒子
の濃度は0.5〜15重量%であることが好ましい。こ
の重量%範囲であれば、高 い透過光制御能力を得るこ
とができる。また、電気感応型光機能性流体組成物に印
加する電圧は、0.1〜5.0kV/mmの電圧で、高々
数mA/m2 という少ない電流で十分であり10W/m
2 程度も電力があれば充分に駆動することができるので
省電力駆動することができる。
【0084】また、固体粒子および電気絶縁性媒体の少
なくとも1つに、色素を添加することにより、簡単にカ
ラー表示をすることができる。よって、このような表示
装置を用いれば、このような図形表示装置が従来存在し
なかったことから、図形表示装置として多大な宣伝効果
をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(A)は、本発明に係る図形表示装置の
一実施例を示す断面図、図1(B)は同装置に用いられ
る無機・有機複合粒子の一例を示す断面図である。
【図2】 図1(A)に示す装置に用いられる透明電極
のマトリックス状配置を示す構成図である。
【図3】 図1(A)に示す図形表示装置の透明電極に
対する通電状態部分と非通電状態部分における無機・有
機複合粒子の配向状態および分散状態を示す説明図であ
る。
【図4】 図1(A)に示す構成の装置で文字を表示し
た状態を示す説明図である。
【図5】 本発明の装置に適用する透明電極の他の配置
例を示す構成図である。
【図6】 本発明の装置に適用する透明電極の別の配置
例を示す構成図である。
【図7】 本発明の装置を組み込む図形表示装置の駆動
回路の一例を示す構成図である。
【図8】 無機・有機複合粒子の鎖状体が集合して構成
するカラムを示す図である。
【図9】 図8に示すカラムの電気的結合状態を示す図
である。
【図10】 着色した無機・有機複合粒子を示す図であ
る。
【図11】 実施例の装置において、10cStの動粘
度の電気絶縁性媒体を用いた場合の光透過性を粒子濃度
と印加電界をパラメーターにとって示した図である。
【図12】 実施例の装置において、50cStの動粘
度の電気絶縁性媒体を用いた場合の光透過性を粒子濃度
と印加電界をパラメーターにとって示した図である。
【図13】 実施例の装置において、100cStの動
粘度の電気絶縁性媒体を用いた場合の光透過性を粒子濃
度と印加電界をパラメーターにとって示した図である。
【図14】 実施例の装置において、粒子濃度5.0重
量%の無機・有機複合粒子を用いた場合の光透過性を印
加電界と電気絶縁性媒体の動粘度をパラメーターにとっ
て示した図である。
【図15】 実施例の装置において、粒子濃度7.5重
量%の無機・有機複合粒子を用いた場合の光透過性を印
加電界と電気絶縁性媒体の動粘度をパラメーターにとっ
て示した図である。
【図16】 電圧印加時間と透過光量の関係を示す図で
ある。
【図17】 青色の無機・有機複合粒子を添加した電気
感応型光機能性流体組成物を用いて透過光量測定を行っ
た場合の透過光量の周波数依存性を示す図である。
【図18】 青色の染料を添加した電気絶縁性媒体を用
い、この電気絶縁性媒体のみの過光量測定を行った場合
の透過光量の周波数依存性を示す図である。。
【図19】 青色の染料を添加したジメチルシリコン油
を電気絶縁性媒体に用い、それに対して黄色に着色した
無機・有機複合粒子を分散させて電気感応型光機能性流
体組成物を形成し、これを用いて過光量測定を行った場
合の透過光量の周波数依存性を示す図である。
【図20】 従来の液晶パネルの一構成例を示す構成図
である。
【図21】 従来の液晶駆動回路に用いられる薄膜トラ
ンジスタのスイッチ素子部分の断面図である。
【符号の説明】
A・・・図形表示装置、20・・・透明基板、21・・・電気感
応型光機能性流体組成物、22、23・・・透明電極、2
5・・・シール部材、26・・・収納体、29・・・電気絶縁性
媒体、30・・・無機・有機複合粒子、31・・・芯体、32
・・・電界配列性無機物、33・・・表層、X1、X2、・・・Xn
・・・電圧供給源、Y1、Y2、・・・Yn・・・電圧供給源。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安齊 秀伸 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電界配列効果を有する固体粒子を電気絶
    縁性媒体中に含有してなる電気感応型光機能性流体組成
    物と、この電気感応型光機能性流体組成物を収納し、対
    向する2面の少なくとも相対向する一部を透明とした収
    納体と、前記相対向する透明部分のそれぞれに行列状に
    形成されて相対向する透明部分の双方でマトリックス状
    に配置された透明電極とを具備してなることを特徴とす
    る図形表示装置。
  2. 【請求項2】 前記固体粒子が、有機高分子化合物から
    なる芯体と、電界配列効果を有する無機物を含む表層と
    によって形成される無機・有機複合粒子であることを特
    徴とする請求項1記載の図形表示装置。
  3. 【請求項3】 前記芯体と表層と電気絶縁性媒体の少な
    くとも一つに色素を含むことを特徴とする請求項2記載
    の図形表示装置。
  4. 【請求項4】 対向する2面の少なくとも相対向する一
    部を透明とした収納体に、電界配列効果を有する固体粒
    子を電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型光機能
    性流体組成物を収納し、この収納体の透明部分の一部分
    毎に時間差をもって順次電界を印可して一部分毎の固体
    粒子の配列を行い、各部分毎の透過光量を順次調整する
    ことで表示・非表示を行うことを特徴とする図形表示方
    法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005241978A (ja) * 2004-02-26 2005-09-08 Tokai Univ 表示ユニットおよび表示装置
JP2006301616A (ja) * 2005-03-25 2006-11-02 Bridgestone Corp 情報表示パネル及びそれを用いた情報表示装置
JP2007178881A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Bridgestone Corp 情報表示用パネル
JP2007322998A (ja) * 2006-06-05 2007-12-13 Fuji Xerox Co Ltd 表示媒体、表示素子、及び表示方法

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