JP2002241653A - 記録用水性顔料インク、その製造装置及びその製造方法 - Google Patents

記録用水性顔料インク、その製造装置及びその製造方法

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JP2002241653A
JP2002241653A JP2001037157A JP2001037157A JP2002241653A JP 2002241653 A JP2002241653 A JP 2002241653A JP 2001037157 A JP2001037157 A JP 2001037157A JP 2001037157 A JP2001037157 A JP 2001037157A JP 2002241653 A JP2002241653 A JP 2002241653A
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ink
recording
dispersion
water
pigment
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JP2001037157A
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Yoichi Takezawa
洋一 竹沢
Ichiro Fujii
一郎 藤井
Kiyoto Motoyama
清人 本山
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水系媒体中での顔料の分散性やその後の保存
安定性に優れ、さらには耐水性、耐候性にも優れた顔料
系の記録用水性インクを提供する。 【解決手段】 少なくとも、水と、水溶性有機溶剤を含
む分散媒体と、顔料とを含有する記録用水性顔料インク
において、このインクの誘電正接ε''/ε' が最大値を
とる時の印加電圧のピーク周波数fp' が150kHz以上
であることを特徴とする記録用水性顔料インクにより、
上記の課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録装置などに好適に用いられる、着色剤に顔料を用いた
記録用水性顔料インク、その製造装置及びその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、最近、急速に普
及しつつある記録方法であり、記録用水性顔料インクを
加熱あるいは加圧といった方法により小液滴としてノズ
ルから吐出させることで、それを紙等の被記録材に付着
させて記録を行うものである。
【0003】記録用水性顔料インクの色材としては、こ
れまで染料が使用されていたが、被記録材の耐水・耐候
性の面から考えると、染料よりも顔料を用いる方が有利
である。また、液状媒体としては、普通紙上への滲みの
面から考えると、非水系媒体よりも水系媒体を用いる方
が有利である。
【0004】しかし、顔料は本質的に水に不溶であるた
め、水性インク中に安定に分散させるための分散処理が
必要となる。そこで、記録用水性顔料インクの色材に顔
料を用い、この顔料を水系媒体に分散して記録用水性顔
料インクを作製する試みが成された(特開平5-263029号
公報等)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、顔料を水系媒
体中に分散した記録用水性顔料インクは不均一系である
ため、長期保存下での顔料の凝集が問題となり、目詰ま
り等が発生しやすいという問題があった。すなわち、色
材として顔料を用いた記録用インクは、これまで、顔料
の分散性、その後の保存安定性に問題があり、満足する
特性が得られていないことが多かった。
【0006】顔料を安定に分散させるためには、また、
保存安定性に優れた記録用水性顔料インクを得るために
は、顔料の分散状態を測定して評価することが重要にな
り、従来、分散系の分散程度を評価するために様々な方
法が提案されている。
【0007】例えば、低濃度の記録用インクの分散安定
性を評価する際に有用なパラメータとしてはゼータ電位
がある。具体的には、図4に示すように、記録用インク
中の個々の粒子101の表面には、ステルン層と呼ばれる
粒子表面の固定層102と、その周囲の反対符号の拡散電
機層103とからなる二重層が形成されている。この二重
層の界面電位はゼータ電位と呼ばれ、粒子間の反発力と
して作用する。一方、粒子間には、ファン・デル・ワー
ルス力による吸引力も存在するため、粒子の分散状態が
安定であるか否かは、ゼータ電位による反発力と、ファ
ン・デル・ワールス力による吸引力との組み合わせによ
り決まる。すなわち、ゼータ電位が高ければ、粒子間の
反発力が大きくなって分散状態は安定であり、ゼータ電
位が低ければ、粒子間の反発力が小さくなって相対的に
吸引力が高くなり、粒子の凝集が生じ易くなる。
【0008】しかしながら、現実の記録用インクのよう
な高濃度のインクではゼータ電位の測定が困難である。
そのため、ゼータ電位により安定性を評価する場合、低
濃度の記録用インクでの現象や理論を拡張して推論せざ
るを得ない。
【0009】ところが、高濃度の記録用インクは、低濃
度の記録用インクとはレオロジー特性等の点で異なり、
実際の記録用インクにおける分散状態の安定性が低濃度
の記録用インクと一致するとは限らない。また、実験室
レベルと生産レベルとでは、インクの分散に使用される
分散装置が異なる場合があり、両レベルでのインクの分
散状態が一致しない場合もある。したがって、実験室レ
ベルで測定されたゼータ電位を生産レベルでのインク分
散状態の安定性評価に用いることは困難である。
【0010】これらの状況から、従来は、記録用水性顔
料インクのような高濃度の記録用インクにおける分散安
定性を、希釈等の処理を加えることなく正確に評価する
ことができなかった。このため、顔料の分散性が良好で
保存安定性に優れた記録用水性顔料インクを得ることは
困難であった。
【0011】本発明の1つの目的は、水系媒体中での顔
料の分散性やその後の保存安定性に優れ、さらには耐水
性、耐候性にも優れた顔料系の記録用水性インクを提供
することにある。
【0012】また、本発明の別の目的は、記録用水性顔
料インクのような高濃度の記録用インクにおける分散安
定性を、希釈等の状態変化を加えることなく、実験室レ
ベルと生産レベルとの双方において同一の基準で正確に
評価することのできる記録用インクの分散性評価方法を
提供することにある。
【0013】さらに、本発明の別の目的は、目標とする
分散状態の記録用水性顔料インクを確実に得ることがで
きる製造装置及び製造方法を提供することにある。
【0014】加えて、本発明の別の目的は、記録用水性
顔料インクの経時変化である顔料の再凝集による分散性
の劣化を解消し、インクジェット記録時におけるヘッド
詰まり等の不具合を防止することができる記録用水性顔
料インクの製造装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明による上述した目
的を達成するための記録用水性顔料インクの分散性評価
方法の発明は、記録用水性顔料インクに周波数を変えて
交流電圧を印加し、記録用インクの交流電圧に対する電
気的特性のうち記録用インクの分散状態に応じて周波数
依存性が異なる電気的特性を測定し、測定した電気的特
性の周波数依存性に基づいて記録用インクの分散状態を
評価することを特徴とする。
【0016】また、本発明は、前記電気的特性が、記録
用インクの誘電正接であることを特徴とする。
【0017】本発明においては、記録用水性顔料インク
に周波数を変えて交流電圧を印加した際の記録用インク
の誘電正接が測定される。交流電圧を印加した際の記録
用インクの誘電正接は、記録用インクにおける分散状態
に応じて印加する交流電圧の異なる周波数域においてピ
ークをとる。したがって、誘電正接のピーク時の周波数
を測定することにより、記録用インクにおける分散状態
をより正確に評価することができる。
【0018】請求項1に記載した本発明の記録用水性顔
料インクは、少なくとも、水と、水溶性有機溶剤を含む
分散媒体と、顔料とを含有するから記録用水性顔料イン
クから構成され、このインクの誘電正接ε''/ε' が最
大値をとる時の印加電圧のピーク周波数fp' が150k
Hz以上であることを特徴とするものである。
【0019】請求項2に記載した本発明の記録用水性顔
料インクは、インクジェットプリンター用のものである
ことを特徴とするものである。
【0020】請求項3に記載した本発明の記録用水性顔
料インクの製造方法は、少なくとも、水と、水溶性有機
溶剤を含む分散媒体と、顔料とを混合した後に、周波数
を変えて交流電圧を印加した状態で、顔料の分散状態に
応じて周波数依存性が異なる電気的特性を測定しつつ、
測定した電気的特性の周波数依存性が予め定められた状
態になるまで分散作業を行うことを特徴とする。
【0021】この請求項3に記載した発明においては、
記録用水性顔料インクの製造時に、電気的特性の周波数
依存性が予め定められた状態になるまで分散作業が継続
して行われる。この電気的特性は、顔料の分散状態に応
じて周波数依存性が異なる。したがって、顔料の分散状
態が目標とする状態になるまで分散作業が継続され、目
標とする分散状態の安定した記録用水性顔料インクを製
造することができる。
【0022】さらに、本発明の目的を達成するための請
求項4に記載した記録用水性顔料インクの製造装置の発
明は、顔料を分散媒体中に分散させるための分散部と、
この分散部に収納された記録用水性顔料インクを分散部
の外部において循環させるための循環部と、この循環部
の一部において、そのインクの交流電圧に対する電気的
特性のうちそのインクの分散状態に応じて周波数依存性
が異なる電気的特性に基づいてそのインクの分散状態を
測定する分散性測定部と、この分散性測定部が所定の分
散状態を測定した時に分散部内のそのインクを排出する
ための排出部とが設けられていることを特徴とする。
【0023】この請求項4に記載した発明においては、
記録用水性顔料インクの分散状態に応じて周波数依存性
が異なる交流電圧に対する電気的特性に基づいて、分散
部で分散処理中のそのインクの分散状態を測定し、所定
の分散状態を測定した際に分散部内のそのインクが排出
部から外部に排出される。したがって、分散性測定部が
測定する所定の分散状態として、記録用水性顔料インク
における顔料の分散性が安定的に維持される程度の分散
状態を設定しておくことにより、分散性が一定に維持さ
れる記録用水性顔料インクを安定して得ることができ
る。
【0024】また、請求項5に記載した発明は、前記循
環部が、一部において着脱可能にされた配管によって構
成されているとともに、着脱可能にされたその配管の一
部に前記分散性測定部の電極が配置されていることを特
徴とする請求項4に記載の記録用水性顔料インクの製造
装置である。
【0025】請求項5に記載した発明においては、分散
部内の分散性液体が循環される配管において着脱可能に
された一部に分散性測定部の電極が配置されている。し
たがって、配管の一部に着脱操作を行うことによって、
分散性測定部の電極の清掃等によるメンテナンスを容易
に行うことができる。
【0026】さらに、請求項6に記載した発明は、前記
排出部を介して記録用水性顔料インクが排出される部分
にも、そのインクの分散性を測定するために前記分散性
測定部と同様の電極が配置されていることを特徴とする
記録用水性顔料インクの製造装置である。
【0027】この請求項6に記載した発明においては、
排出部を介して分散性液体である記録用インクが排出さ
れる時に、分散性測定部の電極において分散状態を示す
電気的特性が測定される。そして、その測定結果による
分散性に問題があれば、排出部からの分散性液体の排出
を阻止することができる。これにより、分散部による分
散性の誤検出に起因する、所定の分散性を有しない記録
用水性顔料インクの誤排出を防止することができる。
【0028】さらにまた、本発明の目的を達成するため
の請求項7に記載した記録用水性顔料インクの製造装置
の発明は、記録用水性顔料インクに対して分散処理を行
うための分散部と、この分散部に収納されたそのインク
の交流電圧に対する電気的特性のうちそのインクの分散
状態に応じて周波数依存性が異なる電気的特性に基づい
てそのインクの分散状態を測定するための分散性測定部
と、この分散性測定部が所定の分散状態を測定した際に
分散部内のそのインクの分散処理を実行するための分散
処理部とが設けられていることを特徴とする。
【0029】この請求項7に記載した発明においては、
分散系液体の分散状態に応じて周波数依存性が異なる交
流電圧に対する電気的特性に基づいてその分散系液体の
分散状態を測定し、所定の分散状態を測定した際にその
分散系液体が循環する循環路において分散系液体が分散
処理を受ける。したがって、分散系液体において常に安
定した分散性を得ることができる。
【0030】請求項8に記載した発明は、前記分散性測
定部が前記分散処理部を動作させる記録用水性顔料イン
クの所定の分散状態が、顔料が再凝集する前の状態での
そのインクの電気的特性の値に設定されていることを特
徴とする記録用水性顔料インクの製造装置である。
【0031】この請求項8に記載した発明においては、
記録用水性顔料インクにおいて顔料の再凝集が生じる前
の状態を分散性測定部で正確に測定することができる。
したがって、記録用水性顔料インクの顔料が再凝集する
前にそのインクに対する分散処理が行われる。よって、
分散系液体において常に安定した分散性を得ることがで
きる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に、本発明による各種の実施
の形態を図面等を参照して詳細に説明する。なお、本発
明はこれらによって限定されるものではない。
【0033】図1は、本発明における第1の実施の形態
に係る、記録用水性顔料インクの分散性評価方法を適用
した分散性測定装置の構成を示す概略図である。この分
散性測定装置1は、測定の対象となるインク2を収納す
る絶縁性のセル3、このセル3を挟んで対向する一対の
電極4、インク2に交流電圧を印加した際のインピーダ
ンスを測定するインピーダンス測定機5、電極4とイン
ピーダンス測定機5とを接続して交流印加電圧及び印加
電圧に対する応答信号の経路となるケーブル6、インピ
ーダンス測定機5の測定結果に所定の演算処理を加える
ことによりインク2の分散状態を計測するためのデータ
を求める演算装置7、及びこの演算装置7における演算
処理により得られたデータを表示する表示装置8により
構成されている。
【0034】図1に示す分散性測定装置1では、電極4
の形状を平行平板電極とし、セル3を一対の電極4に挟
まれた箱形形状としているが、セル3及び電極4の形状
及び設置位置はこれに限るものではなく、これらの材質
も特に指定されるものではない。また、演算装置7及び
表示装置8は、パーソナルコンピュータによって構成す
ることができ、演算装置7における演算処理手順はフロ
ッピディスク等の媒体から供給することができる。
【0035】以下に、測定装置1による記録用水性顔料
インクの分散性の測定方法について、実例等を示して詳
述する。
【0036】まず、カーボンブラック(CAB-O-JET300
キャボット社製)5重量%、ポリビニルアルコール(東
京化成社製)3重量%、エチレングリコール15重量
%、グリセリン5重量%、蒸留水72重量%を混合し、
ダイノミルにより分散させて記録用水性顔料インクを調
製した。このインクをセル3に収納し、これに種々の周
波数の交流電圧を印加して、それぞれの応答信号を測定
した。この結果得られた誘電率ε' 及び誘電正接ε''/
ε' の周波数依存度をそれぞれ図2及び図3に示す。
【0037】図2及び図3において、分散状態が比較的
長期間にわたって安定である、分散安定性の高い記録用
水性顔料インクの結果を実線で、また、1週間以上経過
後にゲル化した、分散安定性の低い記録用水性顔料イン
クの結果を破線でそれぞれ示した。
【0038】図2から明らかなように、分散安定性の高
い記録用水性顔料インクの誘電率εa' は、分散安定性
の低い記録用水性顔料インクの誘電率εb' に比較し
て、印加電圧の周波数に対する依存度がより高い。すな
わち、分散安定性の高い記録用水性顔料インクの誘電率
εa' は、印加する交流電圧の周波数を低周波数から高
周波数へ変化させた際に、分散安定性の低い記録用水性
顔料インクの誘電率εb' よりも著しい変化が生じる。
したがって、特定周波数(例えば150kHz)の交流電
圧を印加した際の誘電率ε' を測定することにより、記
録用水性顔料インクの分散安定性を評価することができ
る。
【0039】一方、図3から明らかなように、分散安定
性の高い記録用水性顔料インクの誘電正接εa''/ε
a' のピークfpa' は、分散安定性の低い記録用水性顔
料インクの誘電正接εb''/εb' のピークfpb' より
も高周波側に現れる。したがって、誘電正接ε''/ε'
が最大値をとる時の印加電圧のピーク周波数fp' を測定
することにより、記録用水性顔料インクの分散安定性を
評価することができる。
【0040】なお、複素誘電率の実部ε' 及び虚部ε''
の周波数依存性は、論理的にはそれぞれ下記の式
(1)及び式(2)により表される。
【0041】 ε' =E+Δε/(1+ω2τ2) …(1) ただし、E=ε∞ ε'' =ωτΔε/(1+ω2τ2) …(2) ここに、ωの周波数fにより、ωはω=2πfで与えら
れる。
【0042】式(1)より、誘電率ε' は、低周波側で
εl=E+Δεとなるが、周波数fpを超えた高周波側で
はεh=Eに減少する。この現象を誘電飽和現象と呼
ぶ。誘電飽和現象は、電気的に中性な系に外部交流電場
がかかると、低周波側では系中の電荷(双極子)が充分
に移動(配向)して高い誘電率が観測されるが、高周波
域では外部電場の変化が激しいために系中の電荷が充分
に移動できず、誘電率が低くなるものと考えられる。
【0043】ここで、図2におけるεa' とεb' との
周波数依存性の違いは、式(1)において、εa' での
fpが、εb' でのfpよりも高いことを反映している。し
かし、図2では、fp=1/2πτよりも高周波側のみ
を表しており、誘電飽和現象を論じる際に使用されるパ
ラメータのうち、εl及びfpの値をとり難い。
【0044】一方、誘電正接ε''/ε' の周波数依存性
は、式(2)を式(1)で除すことにより、式(3)に
よって表される。 ε''/ε' =(Δε/E){ωτ/(1+Δε/E+ω2τ2)} …(3 )
【0045】ピーク周波数は、fp' =(1/2πτ)
(1+Δε/E)1/2=fp(1+Δε/E)1/2で最大
値ε''/ε' max=(Δε/E)/2(1+Δε/
E)1/2 をとり、図3に示す曲線を得る。ただし、図3
では半値幅が論理値よりも大きいため、ピークの幅は論
理値よりも広い。
【0046】ここに、ピーク周波数fp' とピーク周波数
fp' における誘電正接の最大値ε''/ε' maxとは測
定により得ることができ、これらの測定値を、上記ピー
ク周波数fp' 及び誘電正接の最大値ε''/ε' maxの
式に代入することにより、fp、εl及びεhを求めるこ
とができる。したがって、ピーク周波数fp' は誘電飽和
現象を説明する際のパラメータとして使用することがで
きる。
【0047】図3において、分散安定性の高い記録用水
性顔料インクのピーク周波数fpa'が分散安定性の低い記
録用水性顔料インクのピーク周波数fpb' よりも高い値
を示しているのは、分散安定性の高い記録用水性顔料イ
ンク中の粒子は、分散安定性の低い記録用水性顔料イン
クの粒子に比較して、周囲の粒子との間の静電的反発力
が大きいために移動し易く、外部電場の激しい変化に追
随し易いことによるものと考えられる。
【0048】以上のように、記録用水性顔料インクの誘
電正接の周波数依存性を測定し、誘電正接が最大値をと
るピーク周波数fp' を求めることにより、記録用水性顔
料インクの分散安定性を評価することができる。
【0049】本発明者が鋭意検討した結果、このように
して測定された記録用水性顔料インクのピーク周波数f
p' が150kHz以上であれば、分散性が良好で、また
分散安定性に優れていることが判明した。一方、ピーク
周波数fp' が150kHzよりも小さい場合には、記録用
水性顔料インクに分散させた顔料が沈降するなど、保存
安定性に劣っていた。
【0050】このことから、ピーク周波数fp' が150
kHz以上である場合には分散粒子間に働く静電的反発力
により、分散粒子同士の凝集を抑えることができるが、
ピーク周波数fp' が150kHzよりも小さい場合には凝
集を抑えるだけの静電的反発力が得られないと考えられ
る。
【0051】このピーク周波数fp' は、顔料、この顔料
を分散させるための分散剤、添加する水性有機溶剤、イ
ンク中に存在する電解質等、様々なファクターにより支
配されているので、ピーク周波数fp' の調節は一義的な
方法によって定まるものではない。しかし、例えば、あ
る界面活性剤を分散剤として使用し、インク中に存在す
る電解質をモデルとして考察してみると、分散剤の疎水
基が顔料の表面に対して吸着している。
【0052】その吸着強度は、顔料の表面特性と分散剤
分子の相互作用とに、つまり顔料の表面特性と分散剤の
疎水基の性質とに依存している。両者の吸着強度が充分
大きければ、充分な分散剤分子が顔料の表面を覆うこと
になる。さらに、分散剤の親水基が顔料の最外殻を形成
する形で存在することにより、顔料が電荷で覆われる形
となる。
【0053】したがって、顔料の表面に存在する親水基
の数が多く、かつその親水基の解離度が大きくなれば、
顔料の表面電荷密度が大きく、ピーク周波数fp' も高く
なる。また、分散剤の親水基の解離度は、水性媒体中の
電解質濃度により決定されるため、導電率及びpHを指標
とすることで、制御することができる。一方、水性媒体
中に存在する電解質の濃度が余りにも高い場合には、表
面の電荷が、水性媒体中の電解質により電気的に打ち消
されてしまい、ピーク周波数fp' が下がることになる。
【0054】したがって、ピーク周波数fp' の調節は、
上記のような、顔料と分散剤との吸着強度、水性溶媒中
に存在する電解質濃度などのファクターを充分考慮して
行われ、本発明の記録用水性顔料インクでは、ピーク周
波数fp' が150kHz以上になるように調整される。
【0055】図5は、本発明における第2の実施の形態
に係る記録用水性顔料インクの製造装置を示す図であ
る。
【0056】この実施の形態に係る製造装置10は、有
機電子写真感光体に用いられる記録用水性顔料インク等
の記録用インクの分散処理を行うミル11、このミル1
1からその外部を経由してミル11に戻る循環路12、
この循環路12内に記録用水性顔料インクを循環させる
ポンプ13、循環路12中の記録用水性顔料インクを排
出口18に導くバルブ14、循環路12の一部に配置さ
れた電極17a、バルブ14と排出口18との間に配置
された電極17b、これらの電極17a,17bを介し
て記録用水性顔料インクの分散性を測定する分散性測定
装置16、及び分散性測定装置16の測定結果に基づい
てバルブ14を動作させるバルブ駆動装置19を備えて
なる。
【0057】製造装置10を用いて記録用水性顔料イン
クを製造する場合には、記録用水性顔料インクを構成す
る顔料、水及び溶剤等の混合物を投入口15からミル1
1内に投入し、ミル11、ポンプ13及び分散性測定装
置16を動作させる。これによって、混合物がミル11
内において混合され、溶剤中に顔料及び水等を分散させ
る分散処理が行われるとともに、ミル11内の記録用水
性顔料インクの一部が循環路12中を循環する。
【0058】この時、バルブ14は閉じられており、記
録用水性顔料インクが排出口18に導かれることはな
く、記録用インクは循環路12を循環しつつ、ミル11
内において分散処理を繰り返し受ける。この間におい
て、分散性測定装置16は、循環路12中に配置された
電極17aに交流電圧を印加した際の誘電正接の周波数
fp' を測定する。
【0059】分散性測定装置16は、周波数fp' の測定
値が所定値に達すると、バルブ駆動装置19に対して検
出信号を出力する。バルブ駆動装置19は、分散性測定
装置16から検出信号の入力を受けると、バルブ14を
動作させて、循環路12と排出口18との間を開放す
る。バルブ14が循環路12と排出口18との間を開放
すると、ミル11及び循環路12内の分散性液体が排出
口18から外部に排出される。
【0060】なお、分散性測定装置16は、排出口18
から排出される分散性液体の周波数fp' を電極17bを
介して測定している。そして、排出中の記録用水性顔料
インクにおける周波数fp' の測定値が所定値に一致しな
い場合には、バルブ駆動装置19を介してバルブ14を
閉鎖する。これによって、電極17aによる誤検出等に
起因して、所定の分散性を有しない記録用水性顔料イン
クが排出されてしまうことを防止している。
【0061】前述のように、記録用水性顔料インクの誘
電正接ε''/ε' は、図3に示した周波数依存性を呈
し、記録用水性顔料インクにおける顔料の分散性が向上
するに伴って、周波数fp' のピークが高周波側に移動す
る。また、記録用水性顔料インクの周波数fp' の測定値
がどの程度であれば、顔料の分散性を長期間にわたって
安定に保つことができるかは、実験的に求めることがで
きる。
【0062】そこで、顔料の分散性を長期間にわたって
安定に保つことができる程度の周波数を所定値として分
散性測定装置16に設定しておくことで、長期間にわた
って分散性が維持される記録用水性顔料インクを製造装
置10により安定して製造することができ、このインク
を排出口18を介して供給することができる。
【0063】以下に、図5の製造装置10を用いて記録
用水性顔料インクを調製する一例を示す。
【0064】カーボンブラック(CAB-O-JET300 キャボ
ット社製)5重量%、ポリビニルアルコール(東京化成
社製)3重量%、エチレングリコール15重量%、グリ
セリン5重量%、蒸留水72重量%を混合し、ホモジナ
イザーにより分散させて記録用水性顔料インクを調製し
た。
【0065】この調製作業における分散時間と分散系液
体の周波数との関係を図6に示した。図6から明らかな
ように、分散時間が長くなるにしたがって、分散系液体
の周波数が高周波側に移動する。また、ミル11として
サイドミルを用いた場合には、ビーズ量、ディスク回転
数及び液体流速等の分散条件によって、ミル11の分散
効率が変化する。ミル11の分散効率が変化した場合に
は、分散系液体がミル11を通過する回数が一定であっ
ても、分散系液体の周波数すなわち分散性は、当然変化
する。
【0066】したがって、調製する分散系液体の分散性
を分散時間や分散条件の制御によって一定に維持しよう
とすれば、極めて高い精度の煩雑な制御が要求されると
ともに、良好な分散性を維持する分散系液体を得るため
の分散時間及び分散条件を決定するための実験に多大な
費用及び時間を必要とする。
【0067】一般的に、分散時間は長い方が分散に有利
であるが、生産コストを考慮した場合、必要以上の時間
をかけて分散を行うことは好ましくない。このため、保
存安定性に優れた記録用水性顔料インクが得られる分散
時間を充分に把握して、分散時間及び分散条件を決定す
ることが必要である。
【0068】この実施の形態に係る製造装置10では、
調製している分散系液体自体からピーク周波数fp' を測
定することによって、分散状態を容易に把握することが
でき、分散時間や分散条件の煩雑な制御、及び分散時間
や分散条件の最適値を決定するための実験が不要とな
り、製造コストを著しく削減することができる。
【0069】図7は、上述した製造装置10における循
環路12の要部の構成を示しており、図7(A)は循環
路12の要部の側面断面図であり、図7(B)は図7
(A)におけるX−X部の矢視断面図である。
【0070】互いに嵌合する円筒状の外側配管21及び
内側配管22が、循環路12の一部に着脱可能に配置さ
れている。外側配管21の内周面の一部には軸方向(液
体が流れる方向)の溝部25が形成されており、内側配
管22の外周面の一部には溝部25に対向する溝部26
が形成されている。これらの溝部25及び26により、
両端において循環路12の内部に開放(連通)した通路
27が構成されている。この通路27を構成する外側配
管21の溝部25及び内側配管22の溝部26のそれぞ
れには、電極17aを構成する電極板23及び24が貼
付されている。
【0071】このような構成により、循環路12内を通
過する記録用水性顔料インクは、外側配管21及び内側
配管22が配置されている部分において、内側配管22
の内部及び通路27を通過する。そして、通路27内を
通過した記録用インクの周波数が電極板23及び24を
介して測定される。また、循環路12から外側配管21
及び内側配管22を一体的に取り外して、外側配管21
と内側配管22とを分離することにより、電極板23及
び24を露出させることができる。これによって、電極
板23及び24の清掃等のメンテナンスを極めて容易に
行うことができる。
【0072】なお、測定を行う電極17aとは別にバル
ブ14付近に設けた測定用の電極17bにおいても、図
7に示すような構成を呈している。そのため、必要に応
じてメンテナンス等を同様に簡単に行うことができる。
【0073】次に、本発明における第2の実施の形態に
係る別の形態、特に記録用水性顔料インクの分散性を知
るための測定用の電極17aについて説明する。これ
は、図8にその一例が、特に記録用インクの循環路の要
部構成が示されている。
【0074】図8においては、循環路12を構成する円
筒状の配管31の一部は、循環路12に対して着脱可能
に設けられている。この配管31の内周面には凹部32
が形成されている。この凹部32には、電極板33を設
けた2枚の取付板34が一定間隔を置いて嵌入されてお
り、2枚の取付板34におけるそれぞれの電極板33は
互いに対向している。
【0075】この構成により、循環路12内を通過する
記録用水性顔料インクの一部が配管31の一部において
2枚の電極板33の間を通過する間に、記録用インクの
周波数が電極板33を介して測定される。また、循環路
12から配管31の一部を取り外すことにより、電極板
33を露出させることができ、電極板33の清掃等のメ
ンテナンスを極めて容易に行うことができる。このよう
な構成のものにおいても、図5に示す電極17bをその
まま適用することができる。
【0076】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明
をさらに具体的に説明する。
【0077】(実施例1)下記に示したような、カーボ
ンブラック、エチレングリコール、グリセリン、蒸留水
からなる水系媒体及びポリビニルアルコールを、超音波
処理を行いながらホモジナイザーを用いて1時間分散
し、更に必要に応じて、2μmのメンブランフィルター
にて減圧濾過を行い、ゴミや粗大粒子を除去して、記録
用水性顔料インクを作製した。また、分散時間を10
分、30分、2時間にそれぞれ変更したものも作製し
て、比較した。 カーボンブラック(CAB-O-JET300 キャボット社製) 5重量% ポリビニルアルコール(東京化成社製) 3重量% エチレングリコール 15重量% グリセリン 5重量% 蒸留水 残量
【0078】(実施例2)実施例1と同様の方法で、以
下の材料から記録用水性顔料インクを作製した。また、
分散時間を10分、30分、2時間にそれぞれ変更した
ものも作製して、比較した。 黄色顔料(Pigment Yellow 74 CI社製) 5重量% ポリビニルアルコール(東京化成社製) 3重量% ジメチルアミノエタノール 2重量% ジエチレングリコール 5重量% グリセリン 5重量% イソプロピルアルコール 2重量% 蒸留水 残量
【0079】(実施例3)実施例1と同様の方法で、以
下の材料から記録用水性顔料インクを作製した。また、
分散時間を10分、30分、2時間にそれぞれ変更した
ものも作製して、比較した。 赤色顔料(Pigment Red 122 CI社製) 5重量% スチレン−アクリル共重合体(Joncry60 ジョンソンポリマー社製) 3重量% ジメチルアミノエタノール 2重量% 2−ピロリドン 10重量% イソプロピルアルコール 2重量% 蒸留水 残量
【0080】(比較例1)実施例1と同様の方法で、以
下の材料から記録用水性顔料インクを作製した。 カーボンブラック(MA7 三菱化学社製) 5重量% ポリビニルピロリドン(K-30:ISP社製) 4重量% ジメチルアミノエタノール 2重量% ジエチレングリコール 8重量% 2−ピロリドン 8重量% 蒸留水 残量
【0081】(比較例2)実施例1と同様の方法で、以
下の材料から記録用水性顔料インクを作製した。 カーボンブラック(CAB-O-JET300) 5重量% ポリエチレンイミン(Lupasol P BASF社製) 3重量% ジメチルアミノエタノール 2重量% ジエチレングリコール 8重量% 2−ピロリドン 8重量% 蒸留水 残量
【0082】実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた
記録用水性顔料インクを用いて、記録用インクの誘電正
接ε''/ε' が最大値をとる時の印加電圧のピーク周波
数fp'を測定した。
【0083】また、記録用水性顔料インクの保存安定性
試験として、各記録用インクをガラス容器に密閉し、5
0℃で1週間放置した後に顔料の沈降の有無を調べた。
顔料粒子の凝集が起こったものを×、起こらなかったも
のを○とした。
【0084】これらの結果を表1〜表5に示した。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】実施例1〜3において、同組成であっても
分散時間を長くしたものは、記録用水性顔料インクの誘
電正接ε''/ε' が最大値をとる時の印加電圧のピーク
周波数fp' が150kHzよりも大きく、作製したこれら
の記録用水性顔料インクでは、顔料の沈降または沈殿物
の析出が認められず、保存安定性は高いものであった。
【0091】これに対し、実施例1〜3と同組成で分散
時間を10分〜30分と短くしたものについては、ピー
ク周波数fp' が150kHzよりも小さく、また作製した
記録用水性顔料インクにおいて顔料の沈降が認められ
た。これらについては、顔料の分散時間が短すぎて安定
した分散状態ではなかったために、保存安定性試験中に
顔料が沈降したものと考えられる。
【0092】これらの結果から、記録用水性顔料インク
のピーク周波数fp' が150kHzよりも大きい場合には
保存安定性が優れていることが確認できた。
【0093】これに対し、比較例1〜2では、分散時間
が長かったにもかかわらずピーク周波数fp' が150k
Hzよりも小さく、保存性試験では顔料の沈降が認められ
た。これは、比較例1〜2で選択した顔料または他の成
分が顔料の分散安定性に悪影響を与えたためと考えられ
る。
【0094】このように、記録用水性顔料インクの誘電
正接ε''/ε' が最大値をとる時の印加電圧のピーク周
波数fp' を測定することで記録用水性顔料インクの分散
安定性を評価することが可能であり、本発明は、記録用
水性顔料インクの顔料分散安定性や保存安定性の評価を
行う上で、非常に有用であることがわかった。
【0095】
【発明の効果】請求項1に記載した発明によれば、少な
くとも、水と、水溶性有機溶剤を含む分散媒体と、顔料
とを含有する記録用水性顔料インクにおいて、このイン
クの誘電正接ε''/ε' が最大値をとる時の印加電圧の
ピーク周波数fp' が150kHz以上であれば、分散安定
性に優れた記録用水性顔料インクを得ることができる。
【0096】請求項2に記載した発明によれば、分散安
定性にすぐれた記録用水性顔料インクをインクジェット
プリンターに使用することができる。
【0097】請求項3に記載した発明によれば、水と分
散媒体と顔料とを混合した後に、周波数を変えて交流電
圧を印加した状態で、顔料の分散状態に応じて周波数依
存性が異なる電気的特性を測定しつつ、測定した電気的
特性の周波数依存性が予め定められた状態になるまで分
散作業を行うことで、分散安定性に優れた記録用水性顔
料インクを得ることができる。
【0098】請求項4に記載した発明によれば、顔料を
分散媒体中に分散させるための分散部と、この分散部に
収納された記録用水性顔料インクを分散部の外部におい
て循環させるための循環部と、この循環部の一部におい
て、そのインクの交流電圧に対する電気的特性のうちそ
のインクの分散状態に応じて周波数依存性が異なる電気
的特性に基づいてそのインクの分散状態を測定する分散
性測定部と、この分散性測定部が所定の分散状態を測定
した時に分散部内のそのインクを排出するための排出部
とが設けられていることで、分散安定性に優れた記録用
水性顔料インクを得ることができる。
【0099】請求項5に記載した発明によれば、前記循
環部が、一部において着脱可能にされた配管によって構
成されているとともに、着脱可能にされたその配管の一
部に前記分散性測定部の電極が配置されていることによ
って、分散安定性に優れた記録用水性顔料インクを得る
ことができる。
【0100】請求項6に記載した発明によれば、前記排
出部を介して記録用水性顔料インク排出される部分に
も、そのインクの分散制を測定するために前記分散性測
定部の電極が配置されていることによって、分散安定性
に優れた記録用水性顔料インクを得ることができる。
【0101】請求項7に記載した発明によれば、記録用
水性顔料インクに対して分散処理を行うための分散部
と、この分散部に収納されたそのインクの交流電圧に対
する電気的特性のうちそのインクの分散状態に応じて周
波数依存性が異なる電気的特性に基づいてそのインクの
分散状態を測定するための分散性測定部と、この分散性
測定部が所定の分散状態を測定した際に分散部内のその
インクの分散処理を実行するための分散処理部とが設け
られていることによって、分散安定性に優れた記録用水
性顔料インクを得ることができる。
【0102】請求項8に記載した発明によれば、前記分
散性測定部が前記分散処理部を動作させる記録用水性顔
料インクの所定の分散状態は、顔料が再凝集する前の状
態でのそのインクの電気的特性の値に設定されているこ
とによって、分散安定性に優れた記録用水性顔料インク
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明における第1の実施の形態に係
る一例である、分散系液体の分散性測定方法を適用した
分散性測定装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の分散系液体の分散性測定方法
により測定した分散系液体の誘電率の周波数依存性を示
す図である。
【図3】図3は、本発明の分散系液体の分散性測定方法
により測定した分散系液体の誘電正接の周波数依存性を
示す図である。
【図4】図4は、分散系液体における分散材料の粒子の
帯電状態を説明する図である。
【図5】図5は、本発明における第2の実施の形態に係
る分散系液体を製造するための製造装置の構成を説明す
るための図である。
【図6】図6は、図5に示した製造装置において、製造
中の分散系液体の分散時間と周波数との関係を示す図で
ある。
【図7】図7は、図5に示した製造装置において、分散
系液体の循環路に設けられた分散性を測定するための電
極の一形態を示す図である。すなわち、図7(A)は循
環路の要部の側面断面図であり、図7(B)は図7
(A)におけるX−X部の矢視断面図である。
【図8】図8は、図5に示した製造装置において、分散
性液体の循環路に設けられた分散性を測定するための電
極の他の形態を示す図である。
【符号の説明】
1 測定装置 2 インク 3 セル 5 インピーダンス測定機 6 ケーブル 10 製造装置(分散系液体の製造装置) 11 ミル(分散部/分散処理部) 12 循環路 16 分散性測定装置 17a 測定用の電極 17b 測定用の電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本山 清人 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2C056 FC02 2H086 BA52 BA53 BA55 BA60 4J039 AD03 AD06 AD10 BA04 BC07 BC08 BC10 BC11 BC35 BC50 BE01 BE12 BE22 CA06 EA24 EA34 EA38 EA41 EA44 GA24

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、水と、水溶性有機溶剤を含
    む分散媒体と、顔料とを含有する記録用水性顔料インク
    において、このインクの誘電正接ε''/ε'が最大値を
    とる時の印加電圧のピーク周波数fp' が150kHz以上
    であることを特徴とする記録用水性顔料インク。
  2. 【請求項2】 前記インクが、インクジェットプリンタ
    ー用のものであることを特徴とする請求項1に記載の記
    録用水性顔料インク。
  3. 【請求項3】 少なくとも、水と、水溶性有機溶剤を含
    む分散媒体と、顔料とを混合した後に、周波数を変えて
    交流電圧を印加した状態で、顔料の分散状態に応じて周
    波数依存性が異なる電気的特性を測定しつつ、測定した
    電気的特性の周波数依存性が予め定められた状態になる
    まで分散作業を行うことを特徴とする記録用水性顔料イ
    ンクの製造方法。
  4. 【請求項4】 顔料を分散媒体中に分散させるための分
    散部と、この分散部に収納された記録用水性顔料インク
    を分散部の外部において循環させるための循環部と、こ
    の循環部の一部において、そのインクの交流電圧に対す
    る電気的特性のうちそのインクの分散状態に応じて周波
    数依存性が異なる電気的特性に基づいてそのインクの分
    散状態を測定するための分散性測定部と、この分散性測
    定部が所定の分散状態を測定した時に分散部内のそのイ
    ンクを排出するための排出部とが設けられていることを
    特徴とする記録用水性顔料インクの製造装置。
  5. 【請求項5】 前記循環部が、一部において着脱可能に
    された配管によって構成されているとともに、着脱可能
    にされたその配管の一部に前記分散性測定部の電極が配
    置されていることを特徴とする請求項4に記載の記録用
    水性顔料インクの製造装置。
  6. 【請求項6】 前記排出部を介して記録用水性顔料イン
    クが排出される部分にも、そのインクの分散性を測定す
    るために前記分散性測定部と同様の電極が配置されてい
    ることを特徴とする請求項4に記載の記録用水性顔料イ
    ンクの製造装置。
  7. 【請求項7】 記録用水性顔料インクに対して分散処理
    を行うための分散部と、この分散部に収納されたそのイ
    ンクの交流電圧に対する電気的特性のうちそのインクの
    分散状態に応じて周波数依存性が異なる電気的特性に基
    づいてそのインクの分散状態を測定するための分散性測
    定部と、この分散性測定部が所定の分散状態を測定した
    際に分散部内のそのインクの分散処理を実行するための
    分散処理部とが設けられていることを特徴とする記録用
    水性顔料インクの製造装置。
  8. 【請求項8】 前記分散性測定部が前記分散処理部を動
    作させる記録用水性顔料インクの所定の分散状態は、顔
    料が再凝集する前の状態でのそのインクの電気的特性の
    値に設定されていることを特徴とする請求項7に記載の
    記録用水性顔料インクの製造装置。
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