JP3239807B2 - 水性インクジェット記録液及びそれを使用するインクジェット記録方法 - Google Patents

水性インクジェット記録液及びそれを使用するインクジェット記録方法

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JP3239807B2 JP19284697A JP19284697A JP3239807B2 JP 3239807 B2 JP3239807 B2 JP 3239807B2 JP 19284697 A JP19284697 A JP 19284697A JP 19284697 A JP19284697 A JP 19284697A JP 3239807 B2 JP3239807 B2 JP 3239807B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方式に供する水性インクジェット記録液及びそれを使
用するインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ノズル、 スリットあるいは多孔質フィル
ム等から、液体あるいは溶融固体インクを吐出し、 紙、
布、 フィルム等に記録を行う、 いわゆるインクジェット
方式のプリンターは、 小型で、 安価、 静寂性等種々の利
点があり、 黒色の単色あるいはフルカラーのプリンター
として多く市販されている。 中でも、 圧電素子を用いた
いわゆるピエゾインクジェット方式、 あるいは、 熱エネ
ルギーを作用させて液滴を形成し記録を行う、 いわゆる
熱インクジェット方式は高速印字、 高解像度が得られる
等、 多くの利点を有している。 従来インクジェット記録方式に一般的に用いられている
水溶性染料を含有するインクは、長期保存安定性には優
れているものの、耐水性、耐光性に問題があった。それ
に対し、色材に顔料を用いたインクは、耐水性、 耐光性
に優れ、 かつ高濃度で滲みのない画質を得ることができ
ることから、 非常に有望であり、 近年多くの提案が為さ
れまた実用化されている。 例えば、 特開昭56−147
871号公報では、 少なくとも顔料、 高分子分散剤、 非
イオン性界面活性剤を含有する水性媒体から成る記録液
が提案されている。 米国特許5085698号明細書、
米国特許5221334号明細書では、 AB或いはBA
Bブロックコポリマーを顔料の分散剤として用いること
が提案されている。 米国特許5172133号明細書で
は、 特定の顔料、 水溶性樹脂、 溶媒を用いることが提案
されている。
【0003】顔料を含むインクジェット記録液には上記
のような利点がある一方で、信頼性、画像定着性に問題
があった。それは、顔料が水性媒体に対して不溶であ
り、水性媒体中では分散した状態で存在しているため、
顔料が凝集することが一因となっていた。この顔料の凝
集は、インクを長期に保存した場合や高温で保存した場
合、あるいは、ノズル先端で水等が蒸発し顔料が濃縮さ
れたり、あるいは、溶媒その他のインク添加剤の濃度が
相対的に上昇した場合、あるいは、インク噴射のために
エネルギーパルスが印加されることにより、そのショッ
クによりインク中の分散構造が変化した場合に生じると
考えられる。このような顔料の凝集はインクジェットに
よる記録において、以下のような問題を引き起こすこと
となり、印字ヘッドの寿命が短くなる原因にもなってい
る。
【0004】(1)インクの物性が変化し、印字特性が
それに伴い変化してしまう。 (2)インク流路やノズル先端に堆積することでノズル
が詰まり、吐出不良となる。 (3)インク流路が顔料により汚染されることにより、
インク流路中に気泡が残存しやすくなり、インク噴射性
能の低下および、吐出不良が起きる。 (4)インク流路が顔料により汚染された場合、特に、
熱インクジェット方式においては、ヒーター上に堆積す
ることで、ヒーター上への焦げつき( コゲーション) の
原因とも成り得る。 このため、凝集を抑制する方法として、分散系の安定化
を向上することを目的とした以下のような方法が開示さ
れている。
【0005】イオン性不純物は、顔料表面同士の静電的
反発力を弱めることが知られているため、特定イオン性
不純物を一定量以下に制限し、分子間の静電的反発力に
より顔料の凝集を抑制する方法が特開平5−33139
1号公報等に掲載されている。また、粒子径が小さい方
が分散系が安定することを利用し、インク中の顔料の粒
子径を一定値以下に制限する方法が特開平1−2049
79号公報、および特開平6−1936号公報等に掲載
されている。さらに、一般論として分散剤を中心にした
高分子の立体効果を利用する方法も知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】インクジェット記録装
置使用時には、水および水溶性有機溶媒等がノズル先端
部から蒸発し、インク組成が初期状態から大きく変化す
ることが予測される。しかし、このような濃縮された状
態においても色材が凝集せず、また、インクが過度の増
粘、固化を起こさないような分散安定設計は従来なされ
ていなかった。本発明は、水不溶性色材を分散したイン
クジェット記録液において、インク組成の経時変化に対
しても色材の分散安定性が保たれるようにすることによ
り、長期間の安定性に優れ、印字においては、インク流
路詰まりが無く、コゲーションを防止するとともに、記
録物の定着強度、印字品質、光学濃度、耐水性、耐光性
が良好な水性インクジェット記録液を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】鋭意検討の結果、分散安
定および印字品質を同時に満たすためには、インクジェ
ット記録液が以下の要件を満たすことが不可欠であると
いう結論に至った。すなわち、本発明は、少なくとも
水、水溶性有機溶媒、水不溶性色材を含むインクにおい
て、 (1)ゼータ電位の絶対値が20mV以上、 (2)導電率が、0.05 ないし 0.75 S/m、 (3)分散粒子の数平均粒子径15ないし200nm、 (4)1リットル中に存在する0.5μm以上の粒子数
が、2.5×1011個以下、 であることを特徴とする水性インクジェット記録液、で
ある。また、本発明は好ましくは、水、水溶性有機溶
媒、水不溶性色材を含むインクにおいて、 (1)ゼータ電位の絶対値が20mV以上、 (2)導電率が、0.10 ないし 0.50 S/m、 (3)アルカリ金属イオン濃度が、500ないし300
0ppm、 (4)分散粒子の数平均粒子径が、20ないし80n
m、 (4)分散粒子の体積平均粒子径が、30ないし250
nm、 (5)1リットル中に存在する0.5μm以上の粒子数
が、2.5×1011個以下、 であることを特徴とする水性インクジェット記録液、で
ある。本件発明において、このような結論に到達したの
は、以下のような考察に基づいている。すなわち、通常
のインクジェット記録装置を使用する環境においては、
インク吐出部から水および水溶性有機溶媒等が蒸発する
ため、特に、インク吐出部付近においては、インクの組
成、構造、物性が変化しやすく、ノズル詰まり等の不良
が発生しやすい。ノズル詰まりの対策としては、水分等
が蒸発することにより、水不溶性色材が適当な構造を形
成して凝集するようなインク設計を行い、その凝集構造
体により逆に過度の水分等の蒸発を防止し、印字を行う
際に記録装置に付属するメンテ回復動作( ダミージェッ
ト、バキューム吸引、ワイピング等) によりノズル先端
部の顔料凝集を破壊することにより印字可能とする方法
等も考えられる。本発明においては、インク組成が初期
状態から大きく変化し、濃縮された状態においても色材
が凝集し、インクが増粘、固化しないようなインク設計
を行うこととした。そのためには、水不溶性色材の粒子
径や、導電率等の単独の規定では効果が得られず、イン
ク中において水不溶性色材の表面の遊離電荷状態およ
び、インク状態の経時変化に対する分散安定性を規定す
る必要があるという結論に至った。
【0008】一方、インクジェット記録液は被記録物上
において以下のような挙動を示すと考えられる。 1)水および水溶性有機溶媒が蒸発することより、水不
溶性色材の安定性が低下し、凝集が起きる。 2)被記録物に水不溶性色材が浸透し、水不溶性色材が
被記録物に定着する。 3)被記録物と水不溶性色材との間に静電的相互作用が
働き、水不溶性色材が被記録物に定着する。 被記録物上における色材の凝集が早い場合には、画像滲
みの防止および、高い光学濃度は達成することが出来る
が、その反面、画像定着強度は弱くなると考えられる。
一方、被記録物上においても水不溶性色材が微細分散構
造を保つ場合には、画像定着強度に優れるものの、画像
滲みおよび光学濃度に劣ってしまうと考えられる。よっ
て、画像滲みを防ぎ、高い光学濃度を与え、かつ、優れ
た定着性を達成するためには、水不溶性色材が被記録物
上において適度な凝集構造をとることが必要であると考
えられる。
【0009】このような考察の結果、本件発明は水、水
溶性有機溶媒及び水不溶性色材を含むインクジェット記
録液において、ゼータ電位、導電率、分散粒子の数平均
粒子径、及び1リットル中に存在する0.5μm以上の
粒子数が特定の条件を満たすことにより、分散安定性及
び印字品質を同時に満足することができるという結論に
達した。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、水不溶性色材と
しては、特に限定されるものではないが、有機顔料、無
機顔料、着色ポリマー粒子、水不溶性染料、分散染料、
油溶性染料等が挙げられる。黒色では、ファーネスブラ
ック、 ランプブラック、 アセチレンブラック、 チャンネ
ルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられ、 例
えばRaven 7000、Raven 5750、Raven 525
0、Raven 5000ULTRA II、Raven 3500、Raven
2000、Raven 1500、Raven 1250、Raven 1
200、Raven 1190 ULTRA II 、Raven 1170、
Raven 1255、Raven1080、Raven 1060(以
上コロンビアン・ カーボン社製)、Regal 400R、Rega
l 330R、Regal 660R、Mogul L、Black Pearls
L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 88
0、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 11
00、Monarch 1300、Monarch 1400、( 以上キ
ャボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW
2、Color Black FW2V、ColorBlack 18、Color B
lack FW200、Color Black S150、Color Black
S160、Color Black S170、Pritex35、Prite
xU、 Pritex Vrintex 140U、 Printex140V、S
pecial Black 6、Special Black 5、Special Black
4A、Special Black 4(以上デグッサ社製)、No.
25、No.33、No.40、No.47、No.5
2、No.900、No.2300、MCF-88、MA60
0、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)等を使
用することができるが、 これらに限定されるものではな
い。 また、 マグネタイト、 フェライト等の磁性体微粒子
やチタンブラック等を黒色顔料として用いても良い。
【0011】シアン色にはC.I.Pigment Blue−1、C.I.
Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigmen
t Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:1、C.I.Pigm
entBlue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:34、
C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.
I.Pigment Blue−60、等が挙げられるが、 これらに限
定されるものではない。
【0012】マゼンタ色は、 C.I.Pigment Red 5、C.I.
Pigment Red 7、C.I.Pigment Red12、C.I.Pigment R
ed 48、C.I.Pigment Red 48:1、C.I.Pigment Red
57、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 1
22、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 14
6、C.I.Pigment Red 168、C.I.Pigment Red 18
4、C.I.Pigment Red 202等が挙げられるが、これら
に限定されるものではない。
【0013】黄色は、 C.I.Pigment Yellow−1、C.I.Pi
gment Yellow−2、C.I.Pigment Yellow−3、C.I.Pigm
ent Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pi
gment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.
Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−73、C.
I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−75、
C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−9
3、C.I.Pigment Yellow−95、C.I.Pigment Yellow−
97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.PigmentYellow
−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment
Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pi
gment Yellow−154 等が挙げられるが、これらに限定
されるものではない。 黒色とシアン、 マゼンタ、 イエロ
ーの3原色顔料のほか、 赤、 緑、 青、 茶、 白等の特定色
顔料や、 金、 銀色等の金属光沢顔料、 無色の体質顔料、
プラスチックピグメント等を使用しても良い。 また、 本
発明のために、 新たに合成した顔料でも良い。 さらに、
これらの顔料に対し、 表面処理した顔料も使用できる。
処理方法としては、例えば、 アルコール、 酸、 塩基、シ
ラン化合物等のカップリング剤による処理、 ポリマーグ
ラフト化処理、 プラズマ処理等が挙げられる。
【0014】また、色材全般の好適な構造を一律に議論
することは困難であるが、例えば色材がカーボンブラッ
クの場合、使用するカーボンブラックとしては、粒子径
が15ないし30nm、BET比表面積が70ないし3
00m2 /g、DBP吸油量が0.5ないし1.0×1
-3L/g、揮発分0.5ないし10重量%、灰分0.
01ないし1.0重量%であることが好ましい。上記範
囲から外れたカーボンブラックを使用した場合、インク
中での分散粒子径が大きくなる場合があった。
【0015】本発明において使用する色材としては、有
機および無機不純物の含有量が少ないものが好ましい。
一般に市販されている色材は不純物の含有量が多い。し
たがって、本発明においては不純物の含有量が少ない精
製品を使用することが望ましい。不純物の除去は、 例え
ば、 水洗浄や、 限外濾過膜法、 イオン交換処理、 活性
炭、 ゼオライト等による吸着等の方法で行うことができ
る。 インク中において色材の不純物に由来する無機物の
濃度は500ppm以下であることが好ましく、より好
ましくは、300ppm以下であるが特にこれらに限定
されるものではない。
【0016】本発明のインクジェット記録用インクに用
いられる色材は、 インク重量に対し0.5から20重量
%、好ましくは2から10重量%の範囲で使用される。
【0017】上記の水不溶性色材は、分散剤を用いて分
散されていてもよい。分散剤としては、高分子分散剤、
アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界
面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が使用できるが、含
有している不純物量が少ない分散剤がより好まれる。そ
のため、クリーン環境下で作成した分散剤を用いること
がより好ましい。高分子分散剤としては、 親水性構造部
と疎水性構造部を有する重合体であれば有効に使用でき
る。 親水性構造部と疎水性構造部を有する重合体として
は縮合系重合体と付加重合体が使用できる。 縮合系重合
体としては公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。
付加重合体としてはα, β- エチレン性不飽和基を有す
るモノマーの付加重合体が挙げられる。 親水基を有する
α, β- エチレン性不飽和基を有するモノマーと疎水基
を有するα, β- エチレン性不飽和基を有するモノマー
を適宜組み合わせて共重合することにより目的の高分子
分散剤が得られる。また、 親水基を有するα, β- エチ
レン性不飽和基を有するモノマーの単独重合体も用いる
ことができる。
【0018】親水基を有するα, β- エチレン性不飽和
基を有するモノマーとしては、 カルボキシル基、 スルホ
ン酸基、水酸基、りん酸基等を有するモノマー、 例え
ば、アクリル酸、 メタクリル酸、 クロトン酸、 イタコン
酸、 イタコン酸モノエステル、マレイン酸、 マレイン酸
モノエステル、 フマル酸、 フマル酸モノエステル、 ビニ
ルスルホン酸、 スチレンスルホン酸、 スルホン化ビニル
ナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタ
クリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエ
チルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルア
シドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレー
ト、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げら
れる。
【0019】疎水基を有するα, β- エチレン性不飽和
基を有するモノマーとしては、 スチレン、 α- メチルス
チレン、 ビニルトルエン等のスチレン誘導体、 ビニルシ
クロヘキサン、ビニルナフタレン、 ビニルナフタレン誘
導体、 アクリル酸アルキルエステル、 メタクリル酸アル
キルエステル、 メタクリル酸フェニルエステル、 メタク
リル酸シクロアルキルエステル、 クロトン酸アルキルエ
ステル、 イタコン酸ジアルキルエステル、 マレイン酸ジ
アルキルエステルが挙げられる。
【0020】好ましい共重合体の例としては、 スチレン
−スチレンスルホン酸共重合体、 スチレン−マレイン酸
共重合体、 スチレン−メタクリル酸共重合体、 スチレン
−アクリル酸共重合体、 ビニルナフタレン−マレイン酸
共重合体、 ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、
ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、 アクリル酸ア
ルキルエステル−アクリル酸共重合体、 メタクリル酸ア
ルキルエステル−メタクリル酸共重合体、 スチレン- メ
タクリル酸アルキルエステル- メタクリル酸共重合体、
スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共
重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メ
タクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘ
キシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられ
る。 またこれらの重合体に、 ポリオキシエチレン基、 水
酸基を有するモノマーを適宜共重合しても良い。 また、
酸性官能基を表面に有する顔料との親和性を高め、 分散
安定性を良くするため、 カチオン性の官能基を有するモ
ノマー、 例えばN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト、 N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、 N,N-ジメ
チルアミノメタアクリルアミド、 N,N-ジメチルアミノア
クリルアミド、 N-ビニルピロール、N-ビニルピリジン、
N-ビニルピロリドン、N-ビニルイミダゾール等を適宜共
重合しても良い。 共重合体は、 ランダム、 ブロック、 お
よびグラフト共重合体等いずれの構造でも良い。
【0021】また高分子分散剤としては、 ポリスチレン
スルホン酸、 ポリアクリル酸、 ポリメタクリル酸、 ポリ
ビニルスルホン酸、 ポリアルギン酸、 ポリオキシエチレ
ン-ポリオキシプロピレン- ポリオキシエチレンブロッ
クコポリマー、 ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合
物、 ポリビニルピロリドン、 ポリエチレンイミン、 ポリ
アミン類、 ポリアミド類、ポリビニルイミダゾリン、ア
ミノアルキルアクリレート・ アクリルアミド共重合体、
キトサン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリビニ
ルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチル
セルロース、 カルボキシエチルセルロース等のセルロー
ス誘導体、 多糖類とその誘導体等も使用できる。
【0022】高分子分散剤の分子量としては重量平均分
子量で、2000ないし15000のものが好ましく、
より好ましくは、3500ないし10000である。ま
た、疎水性部分と親水性部分の構造および組成比率は、
色材および溶媒との組み合わせの中から好ましいものを
用いることができる。
【0023】酸性基を遊離基として持つ分散剤において
は、酸性基は、カルボン酸または、スルホン酸が好まし
いが、特にこれらに限定されるものではない。また、両
者を併用しても構わない。これは、カルボン酸およびス
ルホン酸は解離しやすく、適当なpH調整をすることによ
り高い表面電荷密度を得ることが出来るからである。よ
り好ましくは、カルボン酸が使用される。これは、カル
ボン酸を酸性基として用いた方が、被記録材上での色材
の凝集性が適度であり、画像滲み、定着性等の印字品質
に優れるからである。
【0024】これらの重合体の内、 酸を親水基とする重
合体は、 水溶性を高めるため、 塩基性の化合物との塩の
状態で使用することが好ましい。 これらの重合体と塩を
形成する化合物としては、 ナトリウム、 カリウム、 リチ
ウム等のアルカリ金属類、 モノメチルアミン、 ジメチル
アミン、 トリエチルアミン等の脂肪族アミン類、 モノメ
タノールアミン、 モノエタノールアミン、 ジエタノール
アミン、 トリエタノールアミン、 ジイソプロパノールア
ミン等のアルコールアミン類、 アンモニア等が使用でき
る。 好ましくは、ナトリウム、 カリウム、 リチウム等のアル
カリ金属類の塩基性化合物が使用される。これは、アル
カリ金属類の塩基性化合物が強電解質であり、酸の解離
を促進する効果が大きいからである。
【0025】これら分散剤は、単独で用いても、2 種類
以上用いても構わない。分散剤の添加量は、 色材によ
り、 大きく異なるため、 一概には言えないが、 一般に色
材に対し、 合計で0.1から100重量%、好ましく
は、1から50重量%、さらに好ましくは3から20重
量%である。 一方、例えば、 カルボン酸、スルホン酸等の酸性基を表
面に直接配する色材や、アルコール、 酸、 塩基、 シラン
化合物等のカップリング剤による処理、 ポリマーグラフ
ト化処理、 プラズマ処理を施した色材を使用する場合に
は、これら分散剤を用いなくても良い。
【0026】分散剤を用いて色材を分散させる場合に
は、色材および分散剤の組み合わせとして、例えば以下
のものが好適に使用できるが、以下のものに限定される
ものではない。
【0027】
【表1】
【0028】本発明のインクの作製方法としては、 例え
ば、 分散剤が所定量入った水溶液に所定量の色材を添加
し、 十分撹拌後、 分散機を用いて分散を行い、 遠心分離
等で粗大粒子を除いた後、 所定の溶媒、 添加剤等を加え
て撹拌混合、 及び濾過を行い、 インクとする。 この際、
色材の濃厚分散体を作製し、 インク調整時に希釈する方
法も使用できる。 また、分散工程の前に色材の粉砕工程
を設けてもよい。分散機は、 市販のものいずれでも良
い。 例えば、 コロイドミル、 フロージェットミル、 スラ
ッシャーミル、 ハイスピードディスパーザー、 ボールミ
ル、 アトライター、 サンドミル、 サンドグラインダー、
ウルトラファインミル、 アイガーモーターミル、 ダイノ
ーミル、 パールミル、 アジテータミル、 コボルミル、3
本ロール、2本ロール、 エクストリューダー、 ニーダ
ー、 マイクロフルイダイザー、 ラボラトリーホモジナイ
ザー、 超音波ホモジナイザー等があり、 これらを単独で
用いても、 組み合せて用いても良い。 あるいは、 所定の
溶媒、 水、 分散剤を混合後、 色材を添加して、 分散機を
用いて分散させても良い。 また、無機不純物の混入を防
ぐため、分散媒体を使用しない分散方法を用いる方が好
ましく、マイクロフルイダイザーや超音波ホモジナイザ
ー等の使用が適している。本発明においては、超音波ホ
モジナイザーにより分散を行った。
【0029】また、分散剤およびインクの表面張力およ
び濡れ性を調整するため、あるいは、有機不純物を可溶
化し、噴射の信頼性を向上するため等の添加剤として、
種々の界面活性剤を用いることが出来る。 界面活性剤と
しては各種のアニオン性界面活性剤、 ノニオン性界面活
性剤、 カチオン性界面活性剤、 両性界面活性剤等が挙げ
られる。 アニオン性界面活性剤としては、 アルキルベンゼンスル
ホン酸塩、 アルキルフェニルスルホン酸塩、 アルキルナ
フタレンスルホン酸塩、 高級脂肪酸塩、 高級脂肪酸エス
テルの硫酸エステル塩、 高級脂肪酸エステルのスルホン
酸塩、 高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩および
スルホン酸塩、 高級アルキルスルホコハク酸塩、高級ア
ルキルリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキ
サイド付加物のリン酸エステル塩等が使用でき、 例え
ば、 ドデシルベンゼンスルホン酸塩、 ケリルベンゼンス
ルホン酸塩、 イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、 モ
ノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、 モノブ
チルビフェニルスルホン酸塩、 モノブチルビフェニルス
ルホン酸塩、 ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸
塩等が挙げられる。
【0030】ノニオン性界面活性剤としては、 例えば、
ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、 ポリオキ
シエチレンオクチルフェニルエーテル、 ポリオキシエチ
レンドデシルフェニルエーテル、 ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル、 ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、
ソルビタン脂肪酸エステル、 ポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、 アセ
チレングリコール、 アセチレングリコールのオキシエチ
レン付加物、脂肪族アルカノールアミド、グリセリンエ
ステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。
【0031】カチオン性界面活性剤としては、テトラア
ルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコ
ニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等
が挙げられ、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルア
ミン、2 −ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾ
リン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライ
ド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチ
ルピリジウムクロライド等が挙げられる。
【0032】その他、ポリシロキサンオキシエチレン付
加物等のシリコーン系界面活性剤や、パーフルオロアル
キルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸
塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等の
フッ素系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピ
ド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント等も使用
できる。
【0033】これら界面活性剤は、単独で用いても、あ
るいは、複数を混合して用いても良い。添加量は、5 重
量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.0
1ないし3重量%の範囲で使用される。添加量が5重量
%より多い場合には、被記録物へのインクの浸透が促進
され、画像滲みが激しくなる。
【0034】本発明のインクジェット記録用インクに用
いられる水溶性有機溶剤としては、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、 プロピレングリコール、 ブチ
レングリコール、 トリエチレングリコール、1,5−ペ
ンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、 グ
リセリン等の多価アルコール類、 エチレングリコールモ
ノメチルエーテル、 エチレングリコールモノエチルエー
テル、 エチレングリコールモノブチルエーテル、 ジエチ
レングリコールモノメチルエーテル、 ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、 ジエチレングリコールモノブ
チルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテ
ル、 ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の多
価アルコール誘導体、 ピロリドン、 N−メチル−2−ピ
ロリドン、 シクロヘキシルピロリドン、 トリエタノール
アミン等の含窒素溶媒、 エタノール、 イソプロピルアル
コール、 ブチルアルコール、 ベンジルアルコール等のア
ルコール類、 あるいは、 チオジエタノール、 チオジグリ
セロール、 スルホラン、 ジメチルスルホキシド等の含硫
黄溶媒、 炭酸プロピレン、 炭酸エチレン等を用いること
ができる。
【0035】また、特に分散剤を用いて色材を分散して
いる系においては、水溶性有機溶剤には分散剤の疎水性
基との親和性が少ないものを使用することが好まれる。
これは、分散剤の疎水性基と水溶性有機溶媒との溶解性
を低下させることで、分散剤が色材から脱離することを
抑制できるためであると考えられる。水溶性有機溶剤
は、水不溶性色材、分散剤等との組み合わせの中からよ
り適したものを選択することが好ましい。また、使用す
る水溶性有機溶剤は、単独で使用しても、 あるいは2種
類以上を混合して使用しても良い。 水溶性有機溶剤の含
有量は、 インクの1ないし60重量%、好ましくは、5
ないし40重量%で使用される。
【0036】その他、 インク特性制御のため、ポリエチ
レンイミン、 ポリアミン類、 ポリビニルピロリドン、 ポ
リエチレングリコール、 エチルセルロース、 カルボキシ
メチルセルロース等のセルロース誘導体、 多糖類及びそ
の誘導体、 その他水溶性ポリマー、 アクリル系ポリマー
エマルション、 ポリウレタン系エマルション等のポリマ
ーエマルション、 シクロデキストリン、 大環状アミン
類、 デンドリマー、 クラウンエーテル類、 尿素及びその
誘導体、 アセトアミド等を用いることができる。
【0037】また、導電率、pHを調整するため、水酸
化カリウム、 水酸化ナトリウム、 水酸化リチウム等のア
ルカリ金属類の化合物、水酸化アンモニウム、トリエタ
ノールアミン、 ジエタノールアミン、 エタノールアミ
ン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の含
窒素化合物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属類
の化合物、硫酸、塩酸、硝酸等の酸、硫酸アンモニウム
等の強酸と弱アルカリの塩等を使用することができる。
その他必要に応じ、 pH緩衝剤、酸化防止剤、 防カビ
剤、 粘度調整剤、 導電剤、 紫外線吸収剤、 及びキレート
化剤さらに水溶性染料、 分散染料、 油溶性染料等も添加
することができる。
【0038】インクジェット記録液のpHの範囲は3な
いし11、好ましくはpH4.5ないし9.5で使用さ
れるが、この範囲に限定されるものではない。また、色
材表面にアニオン性遊離基を持つインクジェット記録液
においては、pH6ないし11、好ましくはpHは6な
いし9.5、更に好ましくはpHは7.5ないし9.0
で使用される。一方、色材表面にカチオン性遊離基を持
つインクジェット記録液において、pHは4.5ないし
8、好ましくは、pH4.5ないし7.0で使用され
る。
【0039】本発明のインクは、 通常のインクジェット
記録装置は勿論、 インクの紙への定着を補助するための
ヒーター等を搭載した記録装置、 中間転写機構を搭載
し、 中間体にインクを印字後、 紙等の被記録体に転写す
る記録装置で用いることもできる。
【0040】次に本発明のインクジェット記録液を特徴
付ける各要件について説明する。まず、ゼータ電位の基
本原理について以下に示す。一般に、固体が液体中に分
散している系において、固相の表面に遊離電荷がある場
合、固相界面付近の液相には反対電荷の荷電層が電気的
中性を保つように現れる。これは、電気的二重層と呼ば
れ、この電気的二重層による電位差のことをゼータ電位
と呼んでいる。このゼータ電位の測定方法としてはいく
つかの方法が知られているが、例えば、電気泳動法によ
る測定、Electrokinetic Sonic Amplitude法(ESA
法)、Ultrasonic Vibration Potential法(UPA法)
等がある。本発明においては、水性インクジェット記録
液のような濃厚溶液を希釈せずに測定出来るESA法を
用いてゼータ電位を測定した。このESA法の測定原理
は以下の様なものである。つまり、分散溶液に交流電場
をかけた場合、その交流電場により分散質が電気泳動を
行う。この電気泳動により発生する圧力を圧電素子を用
いて測定することにより、以下の式に従ってゼータ電位
を求めることができる。
【数1】 ゼータ電位 = ESA・ η・ G(α)-1/ε・ c ・ Δρ・ V ここで、ESAは、測定によって求まる値で、単位電場
当りの圧力を示す。ηは溶媒の粘度、G( α) -1は慣性
力による作用の補正項、εは溶媒の誘電率、cは溶媒中
の音速、Δρは溶媒と粒子の密度差、Vは粒子の体積分
率を示す。上記各パラメーターに関する検討を行った
が、ηとしてインクの粘度を、εとして水の誘電率を、
Δρには、色材と水の密度差を、Vとして色材の体積分
率を用いることができると判断されたため、本発明にお
いてはこれらのパラメーターを用いてゼータ電位を求め
ることとした。なお、ゼータ電位は、測定装置として、
ESA−8000( Matec Applied Science社製)を用
い、測定は、水性インクジェット記録液400mlで測
定セルを満たし、測定用プローブを規定量浸漬させた状
態で、所定の測定法に従って行った。
【0041】このようにして測定されたインクのゼータ
電位の絶対値が20mV以上の場合に、分散安定性なら
びに印字品質に優れた特性を示すことが見出された。一
方、ゼータ電位の絶対値が20mVよりも小さい場合に
は、記録液の長期保存安定性ならびに、画像定着性等の
印字品質に劣るものであった。このことより、ゼータ電
位の絶対値が20mVより大きい場合には、分散粒子間
に働く静電的反発力により、分散粒子同士の凝集を抑え
ることが出来るが、ゼータ電位が20mV未満の場合に
は凝集を抑えるだけの静電的反発力が得られないと考え
られる。好ましくは、ゼータ電位の絶対値は20mV以
上50mV以下である。これは、ゼータ電位の絶対値が
50mVより大きかったインクにおいて、画像滲みが発
生し、光学濃度が低くなる場合が存在したためで、これ
は、被記録物上において色材の適度な凝集が得られない
ためと考えられる。
【0042】ゼ−タ電位は、水不溶性色剤、水不溶性色
材を分散させるための分散剤、添加する水性有機溶剤、
インク中に存在する電解質等、様々なファクタ−により
支配されているので、ゼータ電位の調節は一義的な方法
によって定まるものではないが、例えば、ある水不溶性
色材と、ある高分子分散剤及びインク中に存在する電解
質をモデルとして考察してみると、高分子分散剤の疎水
基が水不溶性色材の表面に対して吸着している。その吸
着強度は水不溶性色材の表面特性と高分子分散剤分子の
相互作用、すなわち、主として、水不溶性色材の表面特
性と高分子分散剤の疎水基の性質に依存している。両者
の吸着強度が十分大きければ、十分な数の高分子分散剤
分子が、水不溶性色材の表面を覆うことになる。さら
に、高分子分散剤の親水基は、水不溶性色材の最外殻を
形成する形で存在することにより、水不溶性色材が電荷
で覆われる形となる。したがって、水不溶性色材の表面
に存在する親水基の数が多く、かつ親水基の解離度が大
きくなれば、水不溶性色材の表面電荷密度が大きく、ゼ
ータ電位も大きくなる。また、高分子分散剤の親水基の
解離度は、水性媒体中の電解質濃度により決定されるた
め、導電率及びpHを指標とすることで制御することが
できる。一方、水性媒体中に存在する電解質濃度が余り
にも高い場合には、水不溶性色材表面の電荷が、水性媒
体中の電解質により電気的に打ち消されてしまい、ゼー
タ電位は下がることになる。したがって、ゼータ電位の
調節は上記のような、水不溶性色材と高分子分散剤との
吸着強度、水性溶媒中に存在する電解質濃度などのファ
クターを十分考慮して行われる。
【0043】また、導電率が0.05S/mから0.7
5S/mの範囲にある場合、本発明の効果に示したよう
な特性が得られた。導電率が0.05S/m未満である
場合には、長期保存安定性、画像定着性に劣る結果とな
り、これは、色材表面にある電離基の解離が十分に行わ
れないことによると考えられる。一方、導電率が0.7
5S/mより大きい場合にも、長期保存安定性、画像定
着性に劣る結果となった。これは、色材表面の電離基は
解離されるものの、液相に電解質が多く存在することに
より、電気的二重層が圧縮され、粒子間の反発力が弱く
なることによると考えられる。好ましい導電率の範囲
は、0.10S/m以上0.50S/m以下で使用さ
れ、更に好ましくは、0.10S/m以上0.35S/
m以下で使用される。本発明において、導電率は、導電
率計AOL−40−3302(DKK社製)を測定装置
として用いた。水性インクジェット記録液50mlを測
定容器に入れ、測定プローブを規定量浸漬させ、所定の
測定法に従って、測定を行った。導電率は、水性媒体に
溶解している電解質の量、つまり、添加するアルカリ金
属塩等の電解質の量及び水不溶性色材並びに高分子分散
剤等に含有される電解質の量により決定されるので、こ
れらの因子を十分に考慮して調節される。
【0044】分散粒子の数平均粒子径が15ないし20
0nmで、1 リットル中に存在する0.5μm以上の粒
子数が2.5×1011個以下である場合に、インクの分
散安定性ならびに印字品質に優れることが見出された。
分散している色材の数平均粒子径が15nmよりも小さ
い場合には、インク流路内部の汚染がかえって増加する
場合もあり、ノズル詰まりの回復性も悪化する場合も存
在した。また、分散している色材の数平均粒子径が20
0nmよりも大きい場合には、溶液と色材の密度差によ
り、色材が沈降、凝集し、長期保存安定性、ノズル詰ま
り、コゲーション等の特性に劣るだけでなく、被記録物
上においては色材が適度な凝集構造を形成できないた
め、画像定着性にも劣るものであった。一方、1 リット
ル中に存在する0.5μm以上の粒子数が2.5×10
11個よりも多い場合には、色材同士の衝突確率が高くな
り、色材の凝集速度が加速されると考えられ、長期保存
安定性、ノズル詰まり、コゲーション等の特性に劣るも
のであった。分散している色材の数平均粒子径は、好ま
しくは、20ないし150nmであり、更に好ましくは
20ないし80nmである。また、1 リットル中に存在
する0.5μm以上の粒子数は、好ましくは、5×10
10個以下であり、更に好ましくは2.5×1010個以下
である。
【0045】分散粒子の体積平均粒子径は、30ないし
250nmであることが好ましい。分散粒子の体積平均
粒子径が250nmよりも大きい場合には、長期保存安
定性、ノズル詰まり、コゲーション等の特性に劣り、3
0nmよりも小さい場合には、コゲーション、ノズル詰
まり回復性に劣っていた。分散粒子の体積平均粒子径の
範囲は、より好ましくは、30ないし200nmであ
り、更に好ましくは50ないし150nmである。
【0046】本件発明における、粒子サイズの調整、す
なわち数平均粒子径又は体積平均粒子径、及び1 リット
ル中に存在する0.5μm以上の粒子数を調節するに
は、使用する水不溶性色材粒子の粒径の選択、水不溶性
色材の予備的粉砕処理、その粉砕方法、高分子分散剤を
用いて水不溶性色材粒子の分散液を作製する際の高分子
分散剤や分散機等の選択、分散時間等の分散条件、遠心
分離処理、濾過処理等の条件を適宜選択して所望の粒子
サイズ条件を達成する。
【0047】本発明において、数平均粒子径および体積
平均粒子径の測定装置には、マイクロトラックUPA粒
度分析計9340( Leeds & Northrup 社製)を用い
た。その測定は、水性インクジェット記録液4mlを測
定セルに入れ、所定の測定法に従って行った。なお、測
定時に入力するパラメーターとして、粘度には、インク
の粘度を、分散粒子の密度には、色材の密度を入力し
た。この装置は、分散質のブラウン運動を利用して粒子
径を測定するものであり、溶液にレーザー光を照射し、
その散乱光を検出することにより粒子径を測定してい
る。本発明において、0.5μm以上の粒子数は、Accu
sizer TM770 Optical Particle Sizer( Particle Sizi
ng Systems社製 )を測定装置として用いた。その測定
は、水性インクジェット記録液を2μl 秤量し、測定セ
ル中に入れ、所定の測定法に従って行った。なお、測定
時に入力するパラメーターとして、分散粒子の密度に
は、色材の密度を入力した。この装置は、測定部を通過
する粒子を光学的手法を用いて検出するものである。
【0048】特に、その表面に酸性基を遊離基として持
つ顔料を含むインクジェット記録液においては、アルカ
リ金属類の化合物によりpHを調整することが好まし
い。これは、アルカリ金属類の化合物が強電解質であ
り、顔料表面の遊離基を遊離させる効果が大きいためと
考えられる。アルカリ金属イオンのイオン濃度は、50
0ないし3000ppmであることが好ましい。アルカ
リ金属イオン濃度が500ppmより少ない場合には、
ノズル目詰まりおよびコゲーションが発生した。これ
は、顔料表面の酸性基が十分に解離されないことによる
と考えられる。また、3000ppmを超えて存在する
場合には、長期保存安定性、コゲーション、画像定着性
に劣るものであった。これは、電解質が液相に過剰に存
在することから、顔料表面間の静電的反発ポテンシャル
が低下し、顔料の分散安定性が低下すると考えられる。
より好ましくは、アルカリ金属イオン濃度は、500p
pmから2500ppmで使用され、更に好ましくは1
000ppmから2000ppmの範囲で使用される。
【0049】また、Si、Fe、Ca等の無機物は、色
材等に含有されるなどして不純物として混入しやすいも
のであるが、一般に多価の無機物は、カチオン、ノニオ
ン、アニオンを問わず少ない方が良い。これは、色材表
面の遊離電荷による電気的二重層が縮小し、色材間の静
電反発力が低下し、色材の凝集が生じるためである。特
に、Si、Fe、Caは色材を凝集させる効果が大きい
ものであった。キレート化剤、あるいは、カルボン酸、
りん酸基を含む化合物、あるいは、ポリマー類を含む場
合には、無機不純物の混入による色材凝集が緩和される
効果があることも知られており、一概には言えないが、
Si、Fe、Caの記録液中における濃度は、20pp
m以下にすることが好ましい。20ppmより多く存在
する場合には、記録液の長期安定性、インク流路の詰ま
り、コゲーション等の特性に劣るものであった。好まし
くは、Si、Fe、Caの濃度は、10ppm以下であ
る。さらに好ましくは5ppm以下である。
【0050】水溶性有機溶媒の添加量は1重量%以上6
0重量%以下で使用される。水溶性有機溶媒が1 重量%
より少ない場合、ノズル先端における水分蒸発により色
材の凝集が生じてしまい、水溶性有機溶媒が60重量%
より多く存在する場合には、インクジェット記録液の粘
度が高くなることにより、インク噴射性能が低下するこ
ととなる。
【0051】また、顔料を用いたインクジェット記録液
においては、記録液の粘度が1.5ないし10mPa・
sであることが好ましいことが見出された。粘度が1.
5mPa・sよりも小さい場合には、色材の熱運動によ
る色材同士の衝突が活発となるため、色材が凝集すると
考えられる。一方、粘度が10mPa・sより大きい場
合には、記録液の吐出量が低下し、高品位な印字が得ら
れなかった。より好ましい粘度の範囲は1.5mPa・
s以上5.0mPa・s以下であり、更に好ましくは
1.5mPa・s以上4.0mPa・s以下である。本
発明において粘度は、レオマット115(Contraves製)
を測定装置として用いた。その測定は、水性インクジェ
ット記録液10mlを測定容器に入れ、所定の方法で装
置に装着し、測定を行った。測定温度は23℃で行い、
せん断速度は1400s-1で測定した。
【0052】また、印加電流を複数パルスかけることに
より1dropを形成する方法が好ましい。これは、複
数パルスをかけることにより、インクジェット記録液に
与えるストレスを低減することにより、分散構造を変化
させず、色材の凝集を抑制する効果があると考えられ、
コゲーションやノズル詰まり等に効果が見られる。この
方式は、ピエゾ駆動方式や、超音波駆動方式等どの様な
インクジェット方式においても適用可能であるが、熱イ
ンクジェット方式で記録する場合にきわめて良好な効果
が得られる。
【0053】インクは被記録物上においては、水および
水溶性有機溶剤等の蒸発により、色材の分散安定性が低
下する。この際、色材の凝集が早すぎる場合には、画像
滲み防止、高光学濃度等の特性に優れるものの、画像定
着性が劣ることになると考えられる。逆に、色材の分散
が安定で、色材が被記録物上においても凝集が起きない
ような場合には、画像定着性には優れるものの、画像滲
み、光学濃度に劣ることになると考えられる。よって、
画像滲み、光学濃度、定着強度等の全ての印字特性を満
足するためには、色材が被記録物上で適度な凝集構造を
とる必要がある。本発明のように調整された水性インク
ジェット記録液は、印字品質上、画像滲み、光学濃度、
定着強度などの印字特性に優れており、被記録物上にお
いて色材が適度に凝集しているものと考えられる。
【0054】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
る。以下の実施例における水不溶性色材の洗浄、水不溶
性色材の分散液の作製、水性インクジェット記録液の作
製は以下の方法によった。 [水不溶性色材の洗浄方法] 水不溶性色材30重量部にイオン交換水210重量部を
加え、超音波を10分かけた。これを、遠心分離装置
で、遠心分離をし、上澄み液を取り除いた。上記操作を
繰り返すことにより、水不溶性色材を洗浄した。
【0055】[水不溶性色材分散液の作製方法1]水不
溶性色材30重量部に高分子分散剤(例.スチレン−メ
タクリル酸共重合体のアルカリ金属中和塩、スチレン−
スチレンスルホン酸共重合体のアルカリ金属中和塩等)
を3ないし9重量部加え、更に、イオン交換水を加え
て、総量を300重量部とした。この液を超音波ホモジ
ナイザーを用いて分散した。この液を遠心分離装置で、
遠心分離をし、残渣部分100重量部を除去した。この
上澄み液を1μmのフィルターを通過させて、水不溶性
色材の分散液を得た。
【0056】[水不溶性色材分散液の作製方法2]上記
の水不溶性色材分散液の作製方法1において、分散装置
を超音波ホモジナイザーからガラスビーズ/ボールミル
分散に変更しするほかは、作製方法1と同様にして行
い、水不溶性色材の分散液を得た。
【0057】[水不溶性色材分散液の作製方法3]水不
溶性色材をスチールロール粉砕を施したものを使用し、
その他は作製方法2と同様にして行い水不溶性色材の分
散液を得た。
【0058】 [水性インクジェット記録液の作製方法] 水性インクジェット記録液は、水不溶性色材の分散液
に、水溶性有機溶剤、イオン交換水、pH調節剤(水酸
化ナトリウム等)及び界面活性剤等を加え、総量が10
0重量部、水不溶性色材の濃度が所定量となるように調
整し、これを、混合、攪拌し、1μmのフィルターを通
過させることにより、目的とするインクを得た。
【0059】なお、以下の例において、水不溶性色材を
あらかじめ前記の洗浄方法を用いて、洗浄処理をしたも
のは、水不溶性色材の商品名に続けて「/洗浄」と、表
示してある。また、特にことわらない限り、水性インク
ジェット記録液の作製は、上記[水性インクジェット
録液の作製方法]によって作製された。 [実施例1] 水不溶性色材分散液の作製方法1を用いて、以下に示す
組成の水性インクジェット記録液を得た。 カーボンブラック(Black Pearls L/ キャボット社製/ 洗浄) 5重量部 スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸ナトリウム共重合体 0.5重量部 グリセリン 15重量部 界面活性剤(Pluronic PE6400/BASF 社製) 0.03重量部 イソプロピルアルコール 3重量部 水酸化ナトリウム(注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化ナトリウムは最終的に得られるインクのp
Hが8.9になるように添加した。 この記録液は、ゼータ電位−30.3mV、導電率0.
12S/m、数平均粒子径30.5nm、1 リットル中
に存在する0.5μm以上の粒子数は8.2×10
9 個、体積平均粒子径62.5nm、粘度2.9mPa
・s、表面張力45mN/m、pH8.9、Si濃度4
ppm、Fe濃度1ppm、Ca濃度4ppmであっ
た。
【0060】[実施例2]水不溶性色材分散液の作製方
法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット記
録液を得た。 カーボンブラック(Raven 1080/ コロンビアン・ カーボン社製/ 洗浄無し) 5重量部 スチレン−スチレンスルホン酸−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体 0.5重量部 エチレングリコール 15重量部 界面活性剤(Pluronic PE6400/BASF 社製) 0.03重量部 イソプロピルアルコール 3重量部 尿素 3重量部 水酸化ナトリウム (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化ナトリウムは最終的に得られるインクのpHが8.9になるように 添加した。 無機不純物含有量が少ないカーボンブラックを使用し、
カーボンブラックの洗浄を行わずに記録液の調合を行っ
た。なお、ゼータ電位−36.2mV、導電率0.16
S/m、数平均粒子径63.1nm、1リットル中に存
在する0.5μm以上の粒子数は2.1×1010個、体
積平均粒子径131.4nm、粘度2.6mPa・s、
表面張力46mN/m、pH8.9、Si濃度3pp
m、Fe濃度1ppm、Ca濃度3ppmであった。
【0061】[実施例3]水不溶性色材分散液の作製方
法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット記
録液を得た。 カーボンブラック(Black Pearls L/キャボット社製/ 洗浄なし) 5重量部 スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸ナトリウム共重合体 0.5重量部 グリセリン 15重量部 界面活性剤(Pluronic PE6400/BASF 社製) 0.03重量部 イソプロピルアルコール 3重量部 水酸化ナトリウム (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化ナトリウムは最終的に得られるインクのpHが8.8になるように 添加した。 未洗浄カーボンブラックを使用することで、実施例1 と
比較し、無機不純物としてCaの含有量が多くなるよう
に調整した。なお、ゼータ電位−22.5mV、導電率
0.23S/m、数平均粒子径38.4nm、1 リット
ル中に存在する0.5μm以上の粒子数は4.3×10
10個、体積平均粒子径83.9nm、粘度2.9mPa
・s、表面張力44mN/m、pH8.8、Si濃度5
ppm、Fe濃度2ppm、Ca濃度22ppmであっ
た。
【0062】[実施例4]水不溶性色材分散液の作製方
法2を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット記
録液を得た。 カーボンブラック(Black Pearls L/ キャボット社製/ 洗浄) 5重量部 スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸ナトリウム共重合体 0.5重量部 グリセリン 15重量部 界面活性剤(Pluronic PE6400/BASF 社製) 0.03重量部 イソプロピルアルコール 3重量部 尿素 3重量部 水酸化ナトリウム (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化ナトリウムは最終的に得られるインクのpHが8.9になるように 添加した。 この記録液は、分散方法としてガラスビーズ/ボールミ
ル分散を行うことで、無機不純物としてSiの含有量が
多くなるように調整した。なお、ゼータ電位−26.5
mV、導電率0.21S/m、数平均粒子径42.2n
m、1 リットル中に存在する0.5μm以上の粒子数は
5.2×1010個、体積平均粒子径93.3nm、粘度
2.8mPa・s、表面張力45mN/m、pH8.
9、Si濃度23ppm、Fe濃度1ppm、Ca濃度
4ppmであった。
【0063】[実施例5]水不溶性色材分散液の作製方
法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット記
録液を得た。 カーボンブラック(Black Pearls L/ キャボット社製/ 洗浄無し) 5 重量部 スチレン−アクリル酸−アクリル酸カリウム共重合体 1.0重量部 グリセリン 15重量部 界面活性剤(Pluronic PE6400/BASF 社製) 0.03重量部 イソプロピルアルコール 3重量部 尿素 3 重量部 水酸化カリウム (注) イオン交換水 残部 100重量部 (注)水酸化カリウムは最終的に得られるインクのpHが8.1になるように添 加した。 この記録液は、カーボンブラックにスチールロール粉砕
工程をかけることにより、実施例1 と比較し、無機不純
物としてFeの含有量が多くなるように調整した。な
お、ゼータ電位−20.3mV、導電率0.34S/
m、数平均粒子径40.1nm、1 リットル中に存在す
る0.5μm以上の粒子数は5.1×1010個、体積平
均粒子径88.7nm、粘度2.9mPa・s、表面張
力46mN/m、pH8.1、Si濃度4ppm、Fe
濃度25ppm、Ca濃度4ppmであった。
【0064】[比較例1]水不溶性色材分散液の作製方
法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット記
録液を得た。 カーボンブラック(Black Pearls L/ キャボット社製/ 洗浄) 5重量部 スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸ナトリウム共重合体 0.5重量部 グリセリン 15重量部 界面活性剤(Pluronic PE6400/BASF 社製) 0.03重量部 イソプロピルアルコール 3重量部 水酸化ナトリウム (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化ナトリウムは最終的に得られるインクのpHが7.5になるように 添加した。 この記録液では、水酸化ナトリウム量を減量して、pH
が低くなるように調整した。なお、ゼータ電位−12.
7mV、導電率0.07S/m、数平均粒子径82.6
nm、1 リットル中に存在する0.5μm以上の粒子数
は2.9×10 11個、体積平均粒子径211.2nm、
粘度2.9mPa・s、表面張力46mN/m、pH
7.5、Si濃度4ppm、Fe濃度1ppm、Ca濃
度4ppmであった。
【0065】[比較例2]水不溶性色材分散液の作製方
法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット記
録液を得た。 カーボンブラック(Black Pearls L/ キャボット社製/ 洗浄) 5重量部 スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸ナトリウム共重合体 0.5重量部 グリセリン 15重量部 水酸化ナトリウム (注) pH緩衝剤(N,N-Bis(2-hydroxyethyl)-2-aminoethasulfonic acid) 3重量部 界面活性剤(Pluronic PE6400/BASF 社製) 0.03重量部 イソプロピルアルコール 3重量部 尿素 3重量部 イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化ナトリウムは最終的に得られるインクのpHが8.9になるように 添加した。 この記録液は、水酸化ナトリウム量を増量し、さらに、
pH緩衝剤を添加することにより、実施例1 と同程度の
pHで導電率が高くなるように調整した。なお、ゼータ
電位−9.3mV、導電率0.77S/m、数平均粒子
径43.2nm、1 リットル中に存在する0.5μm以
上の粒子数は5.5×1010個、体積平均粒子径87.
3nm、粘度3.0mPa・s、表面張力45mN/
m、pH8.9、Si濃度3ppm、Fe濃度1pp
m、Ca濃度4ppmであった。
【0066】[比較例3]水不溶性色材分散液の作製方
法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット記
録液を得た。 カーボンブラック(Black Pearls L/キャボット社製/ 洗浄) 5重量部 スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸ナトリウム共重合体 0.2重量部 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.3重量部 グリセリン 15重量部 界面活性剤(Pluronic PE6400/BASF 社製) 0.03重量部 イソプロピルアルコール 3重量部 水酸化ナトリウム (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化ナトリウムは最終的に得られるインクのpHが9.0になるように 添加した。 この記録液では、一部ノニオン性分散剤を用いることに
より、実施例1 と同程度のpHで導電率が低くなるよう
に調整した。なお、ゼータ電位−21.1mV、導電率
0.04S/m、数平均粒子径75.1nm、1 リット
ル中に存在する0.5μm以上の粒子数は8.3×10
10個、体積平均粒子径143.2nm、粘度2.9mP
a・s、表面張力44mN/m、pH9.0、Si濃度
4ppm、Fe濃度1ppm、Ca濃度3ppmであっ
た。
【0067】[比較例4]水不溶性色材分散液の作製方
法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット記
録液を得た。 カーボンブラック(Raven 1060/コロンビアン・ カーボン社製/ 洗浄無し) 5重量部 スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸ナトリウム共重合体 0.3重量部 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.2重量部 グリセリン 15重量部 界面活性剤(Pluronic PE6400/BASF 社製) 0.03重量部 pH緩衝剤(N,N-Bis(2-hydroxyethyl)-2-aminoethasulfonic acid) 1.5重量部 イソプロピルアルコール 3重量部 水酸化ナトリウム (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化ナトリウムは最終的に得られるインクのpHが8.9になるように 添加した。 この記録液では、カーボンブラックと分散剤の組み合わ
せにより、粒度が大きくなるように調整した。なお、ゼ
ータ電位−21.1mV、導電率0.40S/m、数平
均粒子径208.0nm、1 リットル中に存在する0.
5μm以上の粒子数は6.2×1011個、体積平均粒子
径330.1nm、粘度2.8mPa・s、表面張力4
6mN/m、pH8.9、Si濃度3ppm、Fe濃度
1ppm、Ca濃度3ppmであった。
【0068】[比較例5]水不溶性色材分散液の作製方
法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット記
録液を得た。 カーボンブラック(Black Pearls L/キャボット社製/ 洗浄) 5重量部 スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸ナトリウム共重合体 0.5重量部 界面活性剤(Pluronic PE6400/BASF 社製) 0.03重量部 イソプロピルアルコール 3重量部 水酸化ナトリウム (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化ナトリウムは最終的に得られるインクのpHが8.9になるように 添加した。 この記録液では、水溶性有機溶剤を用いずに調整した。
なお、ゼータ電位−52.2mV、導電率0.16S/
m、数平均粒子径32.2nm 、1 リットル中に存在
する0.5μm以上の粒子数は1.1×1010個、体積
平均粒子径72.7nm、粘度1.4mPa・s、表面
張力50mN/m、pH8.9、Si濃度2ppm、F
e濃度1ppm、Ca濃度4ppmであった。
【0069】以上の例における水性インクジェット記録
液について、ゼータ電位等の各種物性値を表2に示す。
また、各記録液の保存安定性、長期安定性、ノズル詰ま
り、コゲ−ション、定着強度、耐光性、耐水性、画像滲
み、及び光学濃度の評価結果を表3及び表4に示す
【0070】
【表2】
【0071】[評価方法]インクの保存安定性の評価
は、インクをサンプル管中に注入し、60℃・2時間⇔
−20℃・2時間を5サイクルかけ、ヒート・ コールド
サイクル前後で、インクの0.5μm以上の粗粒数を測
定した。その変化率が、±10%以下のものを○、±3
0%以下のものを△、±30%より大きいものを×とし
て評価した。印字装置には、400dpi、160ノズ
ルの試作プリントヘッドを用い、被記録物には、富士ゼ
ロックスコピー用普通紙を用いて行った。また、以下特
に記載が無い場合、印字および評価は一般環境下(温度
23±0.5℃、湿度55±5%R.H)で行った。
【0072】プリントヘッドでの長期安定性の評価は、
以下のようにして行った。インクジェット記録装置にイ
ンクを充填したインクカートリッジを装着した状態で、
40℃、50%R.Hにて3ヶ月放置した。これを通常
使用条件で印字し、全ジェット印字できたものを○とし
て評価した。一方、通常使用条件で印字抜けなどが発生
したもののうち、バキュームメンテナンスを繰り返すこ
とにより全ジェット印字できるようになったものを△、
バキュームメンテナンスだけでは回復しないノズルが発
生したものを×として評価した。
【0073】ノズル目詰まりの評価は、強制メンテナン
ス後、所定時間放置したプリントヘッドで印字を行い、
印字不良が生じるまでの時間を測定した。評価は、不良
が発生するまでの時間が、900秒以上のものを○、6
0秒以上のものを△、60秒未満のものを×とした。
【0074】コゲーションの評価は、試作インクカート
リッジにインクを充填し、試作インクジェット記録装置
を用いて1×108 pulse印字し、初期印字におけ
る記録物の光学濃度と、1×108 pulse印字後の
記録物の光学濃度をそれぞれ測定した。1 ×108 pu
lse印字前後の光学濃度の変化量の割合が、±5%以
下のものを○、±10%以下のものを△、±10%より
大きいものを×として評価した。なお、光学濃度の測定
は、エックスライト404(エックスライト社製)を用
いて行った。
【0075】試作インクカートリッジに評価インクを充
填し、試作インクジェット記録装置を用いてFX−L紙
(富士ゼロックス社製)に100%カバレッジパターン
を印字し、24時間一般環境下に放置した。この記録物
を使用して、それぞれ定着強度、耐水性、耐光性、画像
滲み、光学濃度の評価を行った。定着強度の評価は、記
録物上に別の白紙のFX−L紙を4.9×107 N/m
2 の荷重で押し付け、白紙のFX−L紙に転写されたイ
ンクについて、予め定めておいた限度見本に照合して、
官能評価による評価を行った。
【0076】耐光性の評価は、記録物にキセノンランプ
を8時間照射し、照射前後の光学濃度の比率が95%以
上のものを○、95%未満のものを×として評価した。
なお、光学濃度の測定は、エックスライト404(エッ
クスライト社製)を用いて行った。
【0077】耐水性の評価は、記録物を水中に1分間浸
漬させた後、24時間一般環境下に放置した。水中への
浸漬前後で光学濃度を測定し、その比率が95%以上の
ものを○、95%未満のものを×として評価した。な
お、光学濃度の測定には、エックスライト404(エッ
クスライト社製)を用いて行った。
【0078】画像滲みは、記録物を予め定めておいた限
度見本に照合して、官能評価により、画像滲みの少ない
ものを○、画像滲みの多いものを×として評価した。
【0079】光学濃度は、記録物をエックスライト40
4(エックスライト社製)を用いて測定し、光学濃度が
1.2以上のものを○、1.2未満のものを×として評
価した。
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】[実施例6]水不溶性色材分散液の作製方
法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット記
録液を得た。 C.I.Pigment Blue 15:3(洗浄) 4重量部 スチレン−スチレンスルホン酸−スチレンスルホン酸カリウム共重合体 1.0重量部 ジエチレングリコール 15重量部 スルホラン 5重量部 界面活性剤(サーフィノール465/日信化学社製) 3重量部 水酸化カリウム (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化カリウムは最終的に得られるインクのpHが9.2になるように添 加した。 この記録液におけるゼータ電位−38.2mV、導電率
0.35S/m、数平均粒子径83.4nm、1 リット
ル中に存在する0.5μm以上の粒子数1.0×1011
個、体積平均粒子径237.6nm、粘度2.9mPa
・s、表面張力34mN/m、pH9.2、Si濃度8
ppm、Fe濃度5ppm、Ca濃度6ppmであっ
た。
【0083】[実施例7]水不溶性色材分散液の作製方
法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット記
録液を得た。 C.I.Pigment Blue 15:3(洗浄) 4重量部 ビニルナフタレン−アクリル酸−アクリル酸カリウム共重合体1.0重量部 ジエチレングリコール 15重量部 スルホラン 5重量部 界面活性剤(サーフィノール485/日信化学社製) 4重量部 水酸化カリウム (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化カリウムは最終的に得られるインクのpHが9.1になるように添 加した。 この記録液におけるゼータ電位−25.4mV、導電率
0.38S/m、数平均粒子径95.0nm、1 リット
ル中に存在する0.5μm以上の粒子数1.3×1011
個、体積平均粒子径247.6nm、粘度3.0mPa
・s、表面張力33mN/m、pH9.1、Si濃度8
ppm、Fe濃度4ppm、Ca濃度4ppmであっ
た。
【0084】[実施例8]水不溶性色材分散液の作製方
法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット記
録液を得た。 C.I.Pigment Blue 15:3(洗浄) 4重量部 2 −エチルヘキシルメタクリレート−ベンジルメタクリレート−アクリル酸− アクリル酸カリウム共重合体 1.0重量部 ジエチレングリコール 15重量部 ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5重量部 界面活性剤(Pluronic PE65 /BASF社製) 3重量部 水酸化カリウム (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化カリウムは最終的に得られるインクのpHが9.0になるように添 加した。 この記録液におけるゼータ電位は、−24.7 mV、導電
率0.33 S/m、数平均粒子径92.8 nm、1 リットル
中に存在する0.5 μm以上の粒子数1.8 ×1011個、
体積平均粒子径245.2nm、粘度3.0mPa・
s、表面張力33mN/m、pH9.0、Si濃度7p
pm、Fe濃度4ppm、Ca濃度7ppmであった。
【0085】[実施例9]水不溶性色材分散液の作製方
法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット記
録液を得た。 C.I.Pigment Red 122 (洗浄) 4重量部 スチレン−スチレンスルホン酸−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体 0.5重量部 プロピレングリコール 15重量部 チオジエタノール 5重量部 界面活性剤(サーフィノール465/日信化学社製) 3重量部 水酸化ナトリウム (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化ナトリウムは最終的に得られるインクのpHが8.9になるように 添加した。 この記録液におけるゼータ電位は、−37.5mV、導
電率0.34S/m、数平均粒子径83.3nm、1 リ
ットル中に存在する0.5μm以上の粒子数9.7×1
10個、体積平均粒子径231.5nm、粘度2.9m
Pa・s、表面張力34mN/m、pH8.9、Si濃
度5ppm、Fe濃度2ppm、Ca濃度3ppmであ
った。
【0086】[実施例10]水不溶性色材分散液の作製
方法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット
記録液を得た。 C.I.Pigment Yellow 17 (洗浄) 4 重量部 スチレン−スチレンスルホン酸−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体 0.5重量部 プロピレングリコール 15重量部 ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5 重量部 界面活性剤(サーフィノール465/日信化学社製) 3 重量部 水酸化ナトリウム (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化ナトリウムは最終的に得られるインクのpHが8.7になるように 添加した。 この記録液におけるゼータ電位は、−36.6mV、導
電率0.35S/m、数平均粒子径86.0nm、1 リ
ットル中に存在する0.5μm以上の粒子数1.1×1
11個、体積平均粒子径234.2nm、粘度2.8m
Pa・s、表面張力35mN/m、pH8.7、Si濃
度6ppm、Fe濃度3ppm、Ca濃度5ppmであ
った。
【0087】[実施例11]水不溶性色材分散液の作製
方法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット
記録液を得た。 カーボンブラック(Black Pearls L/ キャボット社製/ 洗浄) 5重量部 スチレン−アクリル酸−アクリル酸リチウム共重合体 0.5重量部 ジエチレングリコール 10重量部 ジグリセリンエチレンオキサイド付加物 5重量部 尿素 3重量部 界面活性剤(Pluronic PE6400/BASF 社製) 0.1重量部 水酸化リチウム (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化リチウムは最終的に得られるインクのpHが8.7になるように添 加した。 この記録液におけるゼータ電位は、−26.9mV、導
電率0.15S/m、数平均粒子径35.1nm、1 リ
ットル中に存在する0.5μm以上の粒子数1.2×1
10個、体積平均粒子径75.3nm、粘度2.8mP
a・s、表面張力45mN/m、pH8.7、Si濃度
3ppm、Fe濃度1ppm、Ca濃度2ppmであっ
た。
【0088】[実施例12]水不溶性色材分散液の作製
方法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット
記録液を得た。 カーボンブラック(Regal 330R /キャボット社製/ 洗浄) 5重量部 スチレン−スチレンスルホン酸 −メタクリル酸ブロック共重合体ナトリウム中和塩 1.5重量部 チオジエタノール 15重量部 チオ尿素 3重量部 界面活性剤( サーフィノールTG/BASF 社製) 0.1重量部 水酸化ナトリウム (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化ナトリウムは最終的に得られるインクのpHが8.8になるように 添加した。 この記録液におけるゼータ電位は、−33.5mV、導
電率0.18S/m、数平均粒子径43.1nm、1 リ
ットル中に存在する0.5μm以上の粒子数2.3×1
10個、体積平均粒子径83.5nm、粘度2.7mP
a・s、表面張力44mN/m、pH8.8、Si濃度
5ppm、Fe濃度3ppm、Ca濃度4ppmであっ
た。
【0089】[実施例13]水不溶性色材分散液の作製
方法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット
記録液を得た。 カーボンブラック(Raven 5250/コロンビアン・ カーボン社製/ 洗浄) 5重量部 スチレン−ジメチルアミノメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸ナト リウム共重合体 1.0重量部 ジエチレングリコール 20重量部 プロピレングリコールモノブチルエーテル 5重量部 フッ素系界面活性剤( フロラードFC-104/ スリーエム社製) 0.05重量部 t −ブチルアルコール 1.5重量部 尿素 3重量部 水酸化ナトリウム (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化ナトリウムは最終的に得られるインクのpHが8.9になるように 添加した。 この記録液におけるゼータ電位は、−30.0mV、導
電率0.16S/m、数平均粒子径34.1nm、1 リ
ットル中に存在する0.5μm以上の粒子数1.0×1
10個、体積平均粒子径78.2nm、粘度3.2mP
a・s、表面張力45mN/m、pH8.9、Si濃度
4ppm、Fe濃度3ppm、Ca濃度3ppmであっ
た。
【0090】[実施例14]水不溶性色材分散液の作製
方法1を用いて、以下に示す組成の水性インクジェット
記録液を得た。 カーボンブラック(Raven 1060/コロンビアン・ カーボン社製/ 洗浄無し) 5 重量部 ビニルナフタレン−スチレンスルホン酸−スチレンスルホン酸ナトリウム共重 合体 0.5重量部 N−メチル−2−ピロリドン 10重量部 ポリマーエマルション(ジョンクリル450/ジョンソンポリマー社製) 2重量部 トリエタノールアミン (注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)トリエタノールアミンは最終的に得られるインクのpHが8.1になるよ うに添加した。 この記録液におけるゼータ電位は、−41.1mV、導
電率0.10S/m、数平均粒子径60.2nm、1 リ
ットル中に存在する0.5μm以上の粒子数6.4×1
10個、体積平均粒子径140.5nm、粘度3.1m
Pa・s、表面張力51mN/m、pH8.1、Si濃
度3ppm、Fe濃度2ppm、Ca濃度4ppmであ
った。
【0091】[実施例15] 前記の[水性インクジェット記録液の作製方法]に準じ
て、以下に示す組成の水性インクジェット記録液を得
た。 表面処理カーボンブラック(Cab-o-jet-300/キャボット社製) 4 重量部 プロピレングリコール 10重量部 シクロヘキシルピロリドン 5重量部 界面活性剤(Pluronic PE10500/BASF社製) 0.05重量部 イソプロピルアルコール 1.5重量部 尿素 3重量部 水酸化ナトリウム(注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化ナトリウムは最終的に得られるインクのp
Hが8.9になるように添加した。 この記録液におけるゼータ電位は、−22.3mV、導
電率0.13S/m、数平均粒子径43.3nm、1 リ
ットル中に存在する0.5μm以上の粒子数2.0×1
10個、体積平均粒子径90.4nm、粘度2.4mP
a・s、表面張力49mN/m、pH8.9、Si濃度
2ppm、Fe濃度1ppm、Ca濃度2ppmであっ
た。
【0092】[実施例16] 前記の[水性インクジェット記録液の作製方法]に準じ
て、以下に示す組成の水性インクジェット記録液を得
た。 表面処理カーボンブラック(Cab-o-jet-300/キャボット社製) 4重量部 グリセリン 10重量部 スルホラン 5重量部 界面活性剤( サーフィノール485/日信化学社製) 3重量部 n-ブチルアルコール 1.5重量部 チオ尿素 3重量部 トリエタノールアミン(注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)トリエタノールアミンは最終的に得られるインク
のpHが9.0になるように添加した。 この記録液におけるゼータ電位は、−23.4mV、導
電率0.10S/m、数平均粒子径45.2nm、1 リ
ットル中に存在する0.5μm以上の粒子数3.3×1
10個、体積平均粒子径95.3nm、粘度2.5mP
a・s、表面張力48mN/m、pH9.0、Si濃度
2ppm、Fe濃度1ppm、Ca濃度2ppmであっ
た。
【0093】[実施例17] 前記の[水性インクジェット記録液の作製方法]に準じ
て、以下に示す組成の水性インクジェット記録液を得
た。 表面処理カーボンブラック(CW−1 / オリエント社製) 4重量部 エチレングリコール 10重量部 チオジエタノール 5重量部 界面活性剤( サーフィノール485/日信化学社製) 3重量部 チオ尿素 3重量部 t-ブチルアルコール 1.5重量部 水酸化ナトリウム(注) イオン交換水 残部 計100重量部 (注)水酸化ナトリウムは最終的に得られるインクのp
Hが8.8になるように添加した。 この記録液におけるゼータ電位は、−25.1mV、導
電率0.10S/m、数平均粒子径22.9nm、1 リ
ットル中に存在する0.5μm以上の粒子数8.8×1
9 個、体積平均粒子径43.5nm、粘度2.2mP
a・s、表面張力30mN/m、pH8.8、Si濃度
3ppm、Fe濃度1ppm、Ca濃度3ppmであっ
た。実施例6ないし17の各インクは、本発明の請求項
目を全て満たすものであった。また、これらのインク
は、保存安定性、長期安定性、ノズル詰まり、コゲーシ
ョン等の特性に優れ、定着強度、耐光性、耐水性、画像
滲み、光学濃度等の印字品質に優れるものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀之内 京子 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼ ロックス株式会社内 (72)発明者 由井 俊毅 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼ ロックス株式会社内 (72)発明者 橋本 健 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼ ロックス株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−331391(JP,A) 特開 平8−20738(JP,A) 特開 平1−204979(JP,A) 特開 平10−46076(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 11/00 - 11/20

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも水、水溶性有機溶媒、水不溶
    性色材を含む記録液において、 (1)ゼータ電位の絶対値が20mV以上、 (2)導電率が、0.05〜0.75S/m、 (3)分散粒子の数平均粒子径が、15ないし200n
    m、 (4)1リットル中に存在する0.5μm以上の粒子数
    が、2.5×1011個以下、 であることを特徴とする水性インクジェット記録液
  2. 【請求項2】 水不溶性色材が顔料であることを特徴と
    する、請求項1に記載の水性インクジェット記録液。
  3. 【請求項3】 記録液のゼータ電位が−20mV以下で
    あることを特徴とする、請求項1に記載の水性インクジ
    ェット記録液。
  4. 【請求項4】 記録液の導電率が0.10ないし0.5
    0S/mであることを特徴とする、請求項1に記載の水
    性インクジェット記録液。
  5. 【請求項5】 分散粒子の数平均粒子径が、20ないし
    80nmであることを特徴とする、請求項1に記載の水
    性インクジェット記録液。
  6. 【請求項6】 分散粒子の体積平均粒子径が、30ない
    し250nmであることを特徴とする、請求項1に記載
    の水性インクジェット記録液。
  7. 【請求項7】 アルカリ金属イオン濃度が、500ない
    し3000ppmであることを特徴とする、請求項1に
    記載の水性インクジェット記録液。
  8. 【請求項8】 導電率が0.10ないし0.50S/m
    であり、アルカリ金属イオン濃度が500ないし300
    0ppmであり、分散粒子の数平均粒子径が20ないし
    80nmであり、かつ分散粒子の体積平均粒子径が30
    ないし250nmであることを特徴とする、請求項1に
    記載の水性インクジェット記録液。
  9. 【請求項9】 水溶性有機溶媒の含有率が、1ないし6
    0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の水性
    インクジェット記録液。
  10. 【請求項10】 水性インクジェット記録液の粘度が、
    1.5ないし10mPa・sであることを特徴とする、
    請求項1に記載の水性インクジェット記録液。
  11. 【請求項11】 水性インクジェット記録液に含まれる
    Si、Fe、Caの濃度が、それぞれ20ppm以下で
    あることを特徴とする、請求項1に記載の水性インクジ
    ェット記録液。
  12. 【請求項12】 水不溶性色材が、水性インクジェット
    記録液に対し0.5ないし20重量%含まれていること
    を特徴とする請求項1に記載の水性インクジェット記録
  13. 【請求項13】 水性インクジェット記録液が分散剤を
    含有していることを特徴とする、請求項1に記載の水性
    インクジェット記録液。
  14. 【請求項14】 分散剤が水不溶性色材に対し、0.1
    ないし100重量%含まれていることを特徴とする、請
    求項13に記載のインクジェット記録液
  15. 【請求項15】 水性インクジェット記録液のpHが3
    ないし11であることを特徴とする、請求項1に記載の
    水性インクジェット記録液。
  16. 【請求項16】 記録液の液滴を記録信号に応じてオリ
    フィスから吐出させて記録を行うインクジェット記録方
    法において、該記録液として、水、水溶性有機溶媒、水
    不溶性色材を含む水性インクジェット記録液であり、か
    つ、 (1)ゼータ電位の絶対値、が20mV以上、 (2)導電率が、0.05ないし0.75 S/m、 (3)分散粒子の数平均粒子径が、15ないし200n
    m、 (4)1リットル中に存在する0.5μm以上の粒子数
    が、2.5×1011個以下、 である水性インクジェット記録液を用いることを特徴と
    するインクジェット記録方法。
  17. 【請求項17】 加熱方式を用いてインクを吐出させる
    ことを特徴とする、請求項16に記載のインクジェット
    記録方法。
  18. 【請求項18】 液滴を、複数のパルス印加により形成
    することを特徴とする請求項16に記載のインクジェッ
    ト記録方法。
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