JPH08190386A - 乗り物の騒音低減装置 - Google Patents

乗り物の騒音低減装置

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JPH08190386A
JPH08190386A JP7000859A JP85995A JPH08190386A JP H08190386 A JPH08190386 A JP H08190386A JP 7000859 A JP7000859 A JP 7000859A JP 85995 A JP85995 A JP 85995A JP H08190386 A JPH08190386 A JP H08190386A
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JP
Japan
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sound wave
particles
wave absorption
voltage
absorption control
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Application number
JP7000859A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Furuichi
健二 古市
Moritaka Goto
守孝 後藤
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
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Publication date
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Publication of JPH08190386A publication Critical patent/JPH08190386A/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T30/00Transportation of goods or passengers via railways, e.g. energy recovery or reducing air resistance

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  • Vehicle Interior And Exterior Ornaments, Soundproofing, And Insulation (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 客室内のスペースファクタに影響を与えるこ
と無く客室内全体に亘って騒音を低減させることができ
る乗り物の騒音低減装置を提供する。 【構成】 乗り物の室27内を形成する壁部25に、該
壁部25に沿って延在する音波吸収制御体が設けられ、
該音波吸収制御体は、電界配列効果を有する固体粒子を
電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型音波吸収制
御用流体組成物と、間隙をおいて互いに対向し、前記間
隙に前記電気感応型音波吸収制御用流体組成物を収容し
た一対の電極板とを備えた構成とされ、更に、前記一対
の電極板間に電圧を印加し且つ該電圧を制御する電圧印
加制御手段60が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、旅客用航空機、鉄道車
両、バス等の旅客用乗り物の室内の騒音を低減させるた
めの乗り物の騒音低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】旅客用航空機等の旅客用乗り物において
は、乗客に対して快適な環境を確保する等の見地から、
室内の騒音を低減させるために各種の対策が講じられて
いる。従来、この種の騒音を低減させる一般的な手段と
しては、乗り物の壁部内に吸音材を充填することが広く
行なわれているが、騒音低減効果が十分には得られない
という難点があった。そこで、騒音低減性能の向上を図
った装置として、図14に示す装置(特開平5−289
676号公報)が提案されている。この図に示す装置
は、客室内の客席1Aと客席1Aとの間等に防音構造の
仕切り板2Aを設置して客室内を複数個のブロックに分
け、各ブロック内の客席1A毎に減音装置3Aを配設し
たものであり、減音装置3Aは、指向性をもち、乗客近
くの騒音を検出できる位置・方向に取り付けられるマイ
クと、その検出騒音を分析するとともにその騒音を打ち
消す2次音発生のための信号を発生する制御器と、2次
音発生用のスピーカとで構成されている。この装置は、
各ブロック内の騒音をマイクで捕捉してこれを制御器に
入力し、該制御器によりスピーカから騒音を打ち消す2
次音、すなわち騒音と逆位相の音を発生させるものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の装置におい
ては、客室内を複数の仕切り板で仕切ることになるた
め、仕切り板によって客室が狭くなると共に、客室内の
見通しが悪くなるという問題があった。また、スピーカ
により2次音を発生させるため、騒音低減効果が局所的
になる傾向が有り当該効果が室内全体に亘って得難いと
いう問題があった。
【0004】ところで、本発明者らは、従来知られてい
ない新規な電界配列特性(以下、Electric A
lignment特性を略して「EA特性」と称する)
を有する電気感応型音波吸収制御用流体組成物(以下、
Electric Noise−Control流体組
成物を略して「ENC流体組成物」と称する)の研究を
行っている。この流体組成物は、例えば、電気絶縁性の
媒体中に固体粒子を分散させて得られる流体であり、こ
れに電界を印加すると固体粒子が誘電分極を起こし、さ
らに誘電分極に基づく静電引力によって互いに電場方向
に配位連結して整列し、鎖状体構造を示す性質を持って
いる。また、固体粒子によっては電気泳動して配列配向
し、配列塊状構造を示す性質を示すものもある。このよ
うに、電界下における粒子の配列配向を電界配列効果
(以下、Electric Alignment効果を
略して「EA効果」と称する)と呼び、そのような性質
を有する固体粒子を電界配列性粒子(以下、Elect
ric Alignment粒子を略して「EA粒子」
と称する)と呼ぶこととする。そして本発明者らは、こ
の新規な構造のENC流体組成物の研究を進めることに
より本発明に到達した。
【0005】本発明は、上記事情に鑑み、客室内のスペ
ースファクタに影響を与えること無く客室内全体に亘っ
て騒音を低減させることができる乗り物の騒音低減装置
を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するため、以下の構成を採用した。すなわち、本発明
の請求項1記載の乗り物の騒音低減装置は、乗り物の室
内を形成する壁部に、該壁部に沿って延在する音波吸収
制御体が設けられ、該音波吸収制御体は、電界配列効果
を有する固体粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなる電
気感応型音波吸収制御用流体組成物と、間隙をおいて互
いに対向し、前記間隙に前記電気感応型音波吸収制御用
流体組成物を収容した一対の電極板とを備えた構成とさ
れ、更に、前記一対の電極板間に電圧を印加し且つ該電
圧を制御する電圧印加制御手段が設けられていることを
特徴とするものである。
【0007】請求項2記載の乗り物の騒音低減装置は、
請求項1記載のものに関し、前記音波吸収制御体は、前
記壁部に沿って互いに隣接する複数の単位音波吸収制御
体からなり、前記電圧印加制御手段は、該複数の単位音
波吸収制御体に対して各別に電圧を印加しかつ該電圧を
変化させるよう構成されていることを特徴とするもので
ある。
【0008】
【作用】本発明の請求項1記載の乗り物の騒音低減装置
によれば、EA効果を有するEA粒子を電気絶縁媒体中
に含有してなるENC流体組成物と、間隙をおいて互い
に対向し、前記間隙に前記ENC流体組成物を収容した
一対の電極板とを備えた音波吸収制御体と、一対の電極
板間に電圧を印加し且つ該電圧を制御する電圧印加制御
手段とを備えており、一対の電極板間に電圧が印加され
ていない状態では、ENC流体組成物中のEA効果を有
するEA粒子は電気絶縁性媒体中にランダムに浮遊・分
散している。電圧印加制御手段により一対の電極板に電
圧を印加すると、EA粒子は鎖状に配列結合して鎖状体
(粒子鎖)を形成し、この鎖状体が電界方向に平行して
配列する。この状態で、一方の電極板に音波(空気振
動)を入射させると、この電極板が前記対向方向に振動
するが、鎖状体自体が弾性の性質を持っているため、鎖
状体は引っ張られる場合には、向かい合う粒子同士が引
き合って引力を、圧縮される場合には、撓んで反発力を
それぞれ生じ、電気絶縁性媒体中の鎖状体の運動により
粘性抵抗が生じ、これによって音波の持つエネルギーの
損失(散逸)が起こる。
【0009】すなわち、電極板に入射した音波に、鎖状
体を含むENC流体組成物と電極板とが共振するのであ
る。このような鎖状体に振動を与える音波周波数は、鎖
状体の持つ特性振動数(鎖状体の弾性と電極板の慣性と
のバランスからなる、いわゆる固有振動数と推定され
る)によって定まり、その特性振動数と一致した周波数
の音波が電極板に入射すると、鎖状体は共振して前記音
波を吸収することになる。
【0010】各粒子間に働く引力(鎖状体に生じる応
力)は、一対の電極板に印加される電圧の増加に伴って
増大することから、鎖状体自体の弾性率と粘性率が印加
電圧の増加に伴って増大することになる。
【0011】従って、電圧印加制御手段によって、印加
電圧を制御することにより、鎖状体を含有してなる音波
吸収制御体自体の特性振動数を、入射音波(空気振動)
のうち除去したい成分の振動数に一致させることが出来
る。すると、鎖状体は、除去したい成分の振動数の音波
により共振(共鳴)し、その音波のエネルギーを消費す
る。図10はEA粒子30wt%分散系についてEA特
性に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示すグラフ
である。このグラフから印加電圧が増加するほど鎖状体
に働く応力は増大することが明かである。EA特性は、
誘電分極した粒子が電気的引力により電場方向に配列
し、鎖状構造を形成することに起因する。低せん断速度
では、電気的引力が支配的であるので、鎖状構造の破壊
と再形成がゆるやかに繰り返される。電場方向に並んだ
鎖をそれと直角方向にせん断破壊させるとき発生する力
が降伏応力に相当する。形成されるすべての鎖の粒子が
同じ直径をもち、直鎖状に並んで電極板間を結んでいる
と考えると、鎖の数は粒子濃度に比例するので、降伏応
力も粒子濃度に比例することになる。図11に本発明の
振動系の等価回路を示し、すなわち、弾性率Kのコイル
ばね22と粘性率Cのダッシュポット23が一対の電極
板間に並列に接続されている。
【0012】上記のように、電圧印加制御手段によって
印加電圧を選択し、適宜周波数帯域を選択することによ
り、客室内を複数の仕切り板で仕切る等することなく、
乗り物の客室内に侵入する騒音を効果的に低減させるこ
とができる。
【0013】本発明の請求項2記載の乗り物の騒音低減
装置によれば、上記に加えて、音波吸収制御板体を複数
の単位音波吸収制御体で構成し、各単位音波吸収制御板
に対して電圧印加制御手段から各別の電圧を印加しかつ
その大きさを制御するため、各部で発生する騒音の周波
数帯域に適合した吸音がなされる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の乗り物の騒音低減装置の実施
例を図面に基づいて説明する。ここで説明する実施例
は、この発明を旅客用航空機に適用した場合の例であ
る。図1は、旅客用航空機の要部を示しており、図にお
いて符号25は航空機の胴体を形成する壁部である。壁
部25により形成される空間内の底部には床26が設け
られ、この床26の上方が客室27とされると共に該床
26上に客席28,28,…が設置されている。壁部2
5は、図2に示すように、機外側に位置する外壁29と
客室27内側に位置する内壁30との間に音波吸収制御
板(音波吸収制御体)39および不燃性材料からなる吸
音材40を配置した構成とされている。音波吸収制御板
39は、一対の電極板17,18を一定の間隔を隔てて
配置すると共にこれら電極板17,18の周縁部を枠体
(図示せず)に固定し、該電極板17,18を該枠体に
より支持すると共に該電極板17,18間に形成される
間隙の周縁部を該枠体により封止し、そして該間隙(組
成物収容空間)に上述したEA効果を有するEA粒子2
を電気絶縁性媒体1中に含有してなるENC流体組成物
を収容したものである。
【0015】この場合、電極板17,18のうち音波を
受ける外壁29側の電極17は、音波に対して柔軟な例
えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム1
7a(図5参照)に電極本体を構成する導体層を設けて
なるものである。これにより、電極板17に音波(空気
振動)が入射した場合には、電極板17およびフィルム
17aが厚み方向に振動することができるようになって
いる。そして、音波吸収制御板39の電極板17,18
には、可変電源13,スイッチ14を備えた電圧印加制
御装置(電圧印加制御手段)60から電圧が印加される
ようになっている。電圧印加制御装置60は、客席2
8,28,…から離間した図示せぬ搭乗員室等に設けら
れており、スイッチ14により電極板17,18への電
圧の印加をON,OFFすることができ、調整つまみ
(図示せず)を操作することにより該印加する電圧を変
化させることができる。
【0016】ENC流体組成物は、図6に示すように電
気絶縁性媒体1中にEA粒子であるEA粒子(電界配列
性粒子)2が均一に分散されてなっている。このEA粒
子2は、有機高分子化合物からなる芯体3と、電界配列
性無機物(以下、Electric Alignmen
t無機物を略して「EA無機物」と称する)である粒子
4からなる表層5とによって形成され、無機・有機複合
粒子を形成している。この具体例において、電気絶縁性
媒体1は無色透明のシリコーン油であり、無機・有機複
合粒子の芯体3を形成する有機高分子化合物はポリアク
リル酸エステルであり、表層5を形成するEA無機物の
粒子4は無機イオン交換体でありかつ電気半導体性無機
物でもある白色の水酸化チタンである。このEA粒子
(無機・有機複合粒子)の色は例えば白色である。ま
た、電気絶縁性媒体1中に含まれるEA粒子2の割合は
例えば7.5重量%である。
【0017】次に、上記乗り物の騒音低減装置の作用に
ついて説明する。航空機が離陸、高々度飛行、着陸する
間において、特にエンジン音等の騒音は音波吸収制御板
39に入射する。図2に示すように、電圧印加制御装置
60のスイッチ14がOFFのとき、一対の電極板1
7,18間に電圧が印加されていない状態では、ENC
流体組成物のEA粒子2が電気絶縁性媒体1中にランダ
ムに浮遊・不規則に分散している(図7参照)。
【0018】次に、電圧印加制御装置60のスイッチ1
4をONにして一対の電極板17,18に電圧を印加す
ると、ENC流体組成物中のEA粒子2が鎖状に配列結
合して鎖状体(粒子鎖)6を形成し、この鎖状体6が電
界方向に平行して配列する(図8参照)。この状態で、
図5に示すように、一方の電極板17に音波(空気振
動)11を入射させると、図9の(a),(b),
(c)および(d)の状態が順次起こって、この電極板
17がPETフィルム17aとともに矢印X(図5参
照)で示すように対向方向に振動するが、鎖状体6自体
が弾性の性質を持っているため、図9の(b)に示すよ
うに、鎖状体6は、圧縮される場合には、例えば「く」
の字状に撓んで反発力を生じ、図9の(d)に示すよう
に、鎖状体6は、引っ張られる場合には、向かい合うE
A粒子2同士が引き合って引力を生じる。これにより、
ENC流体組成物中での鎖状体6の運動により、粘性抵
抗が生じ、音波11の持つエネルギーの損失(散逸)が
起こる。
【0019】そして、電極板17の振動にともなって、
鎖状体6の引っ張りと圧縮が繰り返されるものであり、
この結果、鎖状体6自身も振動することになる。すなわ
ち、電極板17に入射した音波11に、鎖状体6を含む
ENC流体組成物と、電極板17とPETフィルム17
aとからなる電極板構造体とが共振するのである。この
ような鎖状体6に振動を与える音波周波数は、鎖状体6
の持つ特性振動数によって定まり、その特性振動数と一
致した周波数の音波11が電極板17に入射すると、鎖
状体6は共振して(図5中矢印A,B参照)その音波が
吸収されることになる。
【0020】各EA粒子2間に働く力(鎖状体6に生じ
る応力)は一対の電極板17,18に印加される電圧の
増加に伴って増大することから、鎖状体6自体の弾性率
と粘性率が印加電圧の増加に伴って増大することにな
る。本発明は、このことを利用して音波の所望の成分を
除去するものである。すなわち、印加電圧を制御して、
粒子鎖状体6を含有してなる音波吸収制御体自体の特性
振動数を、電極板17に入射した音波(空気振動)のう
ち除去したい成分(特定波長の音波)の振動数に一致さ
せることにより、図5に示すように、鎖状体6を慣性力
の作用により左右矢印A,Bで示すように共振(共鳴)
させ、入射音波11の除去したい成分のエネルギーを消
費させるものである。このように、印加電圧により、入
射音波の所望の特定波長の成分を吸収できる。
【0021】音波吸収制御板39の特性周波数は、EA
粒子(固体粒子)の大きさ、EA粒子間に働く弾性力、
また電極板の固有振動数および電極板間の距離等により
変化する。本発明では、電気絶縁性媒体中に粒径がほぼ
均一な球形状のEA粒子が分散されたものであるので
(不定形粒子を用いない)、一定電圧下では上述した反
発力や引力が変動せず、しかも、EA粒子間に働く弾性
力と電極板の慣性力のバランスにも変動が生じにくい。
上記実施例においては、鎖状体は「く」の字状に撓むも
のとされているが、この他に、例えば図12の(a)に
示すようなS字型、あるいは図12の(b)に示すよう
なW字型に撓む場合もあると考えられる。
【0022】また、上記実施例においては、電界の印加
によってEA粒子(無機・有機複合粒子)2が1列の鎖
状体6を形成して平行に配列する現象について説明した
が、EA粒子2の数が数重量%を越えて多くなると、1
列の鎖状体6ではなく、鎖状体6が複数列相互に接合し
て、図13の(a)の如くカラム19を構成して配列す
るようになる。このカラム19においては左右の鎖状体
のEA粒子2は1つずつずれて互い違いに隣接する。こ
れについて本発明者らは、図13の(b)に示すごと
く、+極部分と−極部分に誘電分極しているEA粒子2
が互い違いに隣接して+極部分と−極部分とが引き合っ
て配列した方がエネルギー的に安定なためであると推定
している。さらに、上記実施例においては、一対の電極
板間に直接ENC流体組成物を収容したものを示した
が、これに限らず、ENC流体組成物を十分に含浸させ
た多孔質体を一対の電極板間に収容してもよい。この場
合、多孔質体は、EA効果を損なわないために、連続気
泡を有するものが好ましい。
【0023】上記のように、電圧印加制御装置60によ
って印加電圧を制御すると、鎖状体6を含有してなる音
波吸収制御体自体の特性振動数を、入射音波(空気振
動)11のうち除去したい成分の振動数(周波数)に一
致させることが出来る。すると、図8の鎖状体6は、除
去したい成分の振動数の音波により共振(共鳴)し、そ
の音波のエネルギーを消費する。このように、この装置
は、電圧印加制御装置60によって印加電圧を選択する
ことにより、音波を効果的に吸収することができる。
【0024】したがって、この装置によれば、次のよう
な操作を行なうことにより、エンジン等から発生される
耳ざわりな騒音を壁部25内の音波吸収制御板39によ
り吸収することができる。すなわち、航空機において、
離着陸時と高々度飛行時に発生する音波は、そのレベル
が一定値以上の成分について、周波数帯域が異なってい
る。したがって、離着陸時と高々度飛行時に音波吸収制
御板39の電極板17,18に印加する電圧を異ならせ
て、これら電極板17,18に騒音の周波数帯域に対応
して適切に設定した値を印加すれば、吸音効果をより向
上させることができ、客室27内の騒音を低減させるこ
とができる。
【0025】なお、上記の実施例においては、音波吸収
制御板39の電極板17,18に印加する電圧を人手に
より操作するように構成したが、これを自動的に騒音の
周波数帯域に追従させるようにしてもよい。例えば、図
3に示すように、客室内に設けたマイク31により客室
内の騒音を捕捉し、このマイク31の出力に基づいて電
圧印加制御装置60により電極板17,18に印加する
電圧を制御するようにする。このように構成すれば、客
室27内の騒音の波形に追従して音波吸収制御板39が
リアルタイムで最大の吸音特性を得ることができ、より
効果的な騒音の低減を図ることができる。
【0026】また、別の実施例として、図4に示すよう
に、音波吸収制御板39を壁部25に沿って互いに隣接
する複数の単位音波吸収制御板(単位音波吸収制御体)
39a,39a,…から構成し、各単位音波吸収制御板
39a,39a,…に対して、電圧印加制御装置60か
ら各別の電圧を印加しかつその大きさを制御するように
構成してもよい。この場合、例えば、単位音波吸収制御
板39a,39a,…は、客室27の長手方向(飛行方
向)に向けて互いに隣接するよう配置する。勿論、各客
席毎に設けてもよい。このように構成すれば、各単位音
波吸収制御板39a,39a,…において、航空機の各
部で発生する騒音の周波数帯域に適合した吸音がなさ
れ、効果的に騒音を減少させることができる。なお、こ
の発明の適用対象は、航空機に限られることなく、鉄道
車両、バス等の各種の乗り物に適用することができる。
【0027】ここで、本発明のENC流体組成物に用い
る図6の電気絶縁性媒体1としては、例えば、塩化ジフ
ェニル、セバチン酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級
アルコールエステル、ハロフェニルアルキルエーテル、
トランス油、塩化パラフィン、弗素系オイル、またはシ
リコーン系オイルやフルオロシリコーン系オイルなど、
電気絶縁性及び電気絶縁破壊強度が高く、化学的に安定
でかつEA粒子を安定に分散させ得るものであればいず
れの流体またはこれらの混合物も使用可能である。この
電気絶縁性媒体1は、目的に応じて着色することができ
る。着色する場合は、選択された電気絶縁性媒体に可溶
であってその電気的特性を損なわない種類と量の油溶性
染料または分散性染料を用いることが好ましい。電気絶
縁性媒体1には、この他に分散剤、界面活性剤、粘度調
整剤、酸化防止剤、安定剤などが含まれていてもよい。
【0028】この電気絶縁性媒体1の動粘度は、1cS
tないし30000cStの範囲内であることが好まし
い。動粘度が1cStより小さいと、ENC流体組成物
の貯蔵安定性の面で不足を生じ、動粘度が30000c
Stより大きいと、EA粒子の均一分散が困難になると
ともに、調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜けにく
くなり、取り扱いに支障を来すので好ましくない。この
観点から、動粘度は10cStないし1000cStの
範囲内、特に10cStないし100cStの範囲内で
あることが好ましい。もちろん、電気絶縁性媒体1の動
粘度は、温度により変化し、この温度影響を印加電圧に
よって抑制することができる。
【0029】本発明に用いられるEA粒子2は、EA効
果を有する無機・有機複合粒子であれば、元素、有機化
合物、または無機化合物、またはそれらの混合物など、
いずれの素材も使用可能である。その例としては例えば
無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気半導
体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、およびこれ
らを表層として有する粒子を挙げることができる。しか
し、このEA粒子2は、本実施例に示したように、有機
高分子化合物からなる芯体3と、EA無機物の粒子4か
らなる表層5とによって形成された無機・有機複合粒子
であることが特に好ましい。この無機・有機複合粒子
は、比較的比重が重いEA無機物の粒子4からなる表層
5が比較的比重の軽い有機高分子化合物である芯体3に
担持されていて、その粒子全体の比重を電気絶縁性媒体
1に対して近似するように調節できる。従ってこれを電
気絶縁性媒体1に分散して得られたENC流体組成物
は、貯蔵安定性に優れたものとなる。
【0030】EA粒子(無機・有機複合粒子)2の芯体
3として使用し得る有機高分子化合物の例としては、ポ
リ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エ
ステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、AB
S樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、アイオノマ
ー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以上の混合
物または共重合物を挙げることができる。
【0031】表層5を形成するEA無機物である粒子4
としては種々のものが用い得るが、好ましい例としては
無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性無機物と
を挙げることができる。これらの粒子4を用いて有機高
分子化合物からなる芯体3の上に表層5を形成すると
き、得られた無機・有機複合粒子は有用なEA粒子2と
なる。
【0032】上記無機イオン交換体の例としては(1)
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0033】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOX(OH)Y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、および水酸
化鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは含水
酸化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、Ti
O(OH)2)および水酸化チタン(別名オルソチタン
酸またはαチタン酸、Ti(OH)4)の双方を含むも
のであり、他の化合物についても同様である。
【0034】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどであ
る。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タンおよびモリブデン酸錫などである。
【0035】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイトなど
である。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO43のようなも
のが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置換
したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
【0036】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、及びK2O・2.5TiO
2・2H2Oなどである。なお、上記化合物のうち、aま
たはbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数で
ある化合物を酸処理し、KとHとを置換することによっ
て容易に合成される。
【0037】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、およびタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。) これらには例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6]および
2Co[Fe(CN)6]などの不溶性フェロシアン化
合物が含まれる。
【0038】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2)y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を表
す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類に
より異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を示
すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM2
アルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷移
金属または希土類金属等、H+以外の金属イオンのいず
れか任意のものである。OH基を有する無機イオン交換
体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にOH-
であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4など
や錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意
のものである。
【0039】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO43の加熱により得られるHZr2(PO43
ハイドロタルサイトの高温加熱処理物(500〜700
℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イオ
ン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層と
して用いることもできる。なお、上記の無機イオン交換
体として、多価金属の水酸化物、及び多価金属の酸性塩
を用いることが特に好ましい。
【0040】上記EA粒子(無機・有機複合粒子)2の
表層5として使用し得る電気半導体性無機物の例は、電
気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cmの金属
酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオン
交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種に金属
ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの有無に
拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他の支持
体上に電気半導体層として施したものなどである。
【0041】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2 )およびオルソチタン酸(別名αチタ
ン酸、Ti(OH)4 )を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピングEA無機物:これは上記の電気半
導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げるため
に、アンチモン(Sb)などの金属をEA無機物にドー
ピングしたものであって、例としてはアンチモン(S
b)ドーピング酸化錫(SnO2 )などを挙げることが
できる。 (N)他の支持体上に電気半導体層としてEA無機物を
施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シリカ、
アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、または
ポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子粒子を
用い、これに電気半導体層としてアンチモン(Sb)ド
ーピング酸化錫(SnO2 )を施したものなどを挙げる
ことができる。このように他の支持体上にEA無機物が
施された粒子も、全体としてEA無機物と見なすことが
できる。これらのEA無機物は、1種類だけでなく、2
種類またはそれ以上を同時に表層として用いることもで
きる。
【0042】EA粒子(無機・有機複合粒子)2は、種
々な方法によって製造することができる。例えば、有機
高分子化合物からなる粒子状の芯体3と微粒子状の粒子
4とをジェット気流によって搬送し、衝突させて製造す
る方法がある。この場合は粒子状の芯体3の表面に粒子
4の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層5を形成す
る。また別の製法例としては、粒子状の芯体3を気体中
に浮遊させ、粒子4の溶液を霧状にしてその表面に噴霧
する方法がある。この場合はその溶液が芯体3の表面に
付着し乾燥することによって表層5が形成される。
【0043】EA粒子(無機・有機複合粒子)2を製造
する特に好ましい製法は、芯体3と同時に表層5を形成
する方法である。この方法は、例えば、芯体3を形成す
る有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で乳化重
合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒子状と
したEA無機物である粒子4を上記モノマー中、または
重合媒体中に存在させるというものである。重合媒体と
しては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒との混合物
を使用することもでき、また有機系の貧溶媒を使用する
こともできる。この方法によれば、重合媒体の中でモノ
マーが重合して芯体粒子3を形成すると同時に、微粒子
状のEA無機物の粒子4が芯体3の表面に層状に配向し
てこれを被覆し、表層5を形成する。
【0044】乳化重合または懸濁重合によってEA粒子
(無機・有機複合粒子)を製造する場合には、モノマー
の疎水性の性質とEA無機物の親水性の性質を組み合わ
せることによって、EA無機物の粒子4の大部分を芯体
3の表面に付着させることができる。この芯体3と表層
5との同時形成方法によれば、有機高分子化合物からな
る芯体3の表面にEA無機物の粒子4が緻密かつ強固に
接着し、堅牢なEA粒子(無機・有機複合粒子)2が形
成される。
【0045】本発明に使用するEA粒子2の形状は必ず
しも球形であることを要しないが、粒子状の芯体3が調
節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場合
は、得られるEA粒子2の形状はほぼ球形となる。EA
粒子2の粒径は特に限定されるものではないが、0.1
μmないし500μm、特に5μmないし200μmの
範囲内とすることが好ましい。この際の微粒子状のEA
無機物である粒子4の粒径は特に限定されるものではな
いが、好ましくは0.005μmないし100μm、さ
らに好ましくは0.01μmないし10μmの範囲内と
する。
【0046】EA粒子(無機・有機複合粒子)2におい
て、表層5を形成するEA無機物である粒子4と芯体3
を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限定される
ものではないが、保存安定性の高いENC流体組成物を
得るためには、EA無機物の粒子4と有機高分子化合物
の芯体3の合計重量に対して粒子4が1重量%ないし6
0重量%の範囲内、特に4重量%ないし30重量%の範
囲内とすることが好ましい。この芯体3の割合が1重量
%未満では、得られたEA粒子2のEA特性が不十分と
なり、60重量%を超えると、EA2粒子の比重が過大
となって保存安定性を損なう惧れがある。また、本発明
のENC流体組成物は、上記のEA粒子2を、必要なら
分散剤、他の成分とともに電気絶縁性媒体中に均一に攪
拌混合して製造することができる。この攪拌機として
は、液状分散媒に固体粒子を分散させるために通常使用
されるものがいずれも使用できる。電気絶縁性媒体中1
におけるEA粒子2の含有率は、特に限定されるもので
はないが、0.5〜75重量%、特に5〜50重量%で
あることが好ましい。その含有率が1%未満では充分な
EA効果が得られず、75%以上では電圧を印加しない
ときのENC流体組成物の初期粘度が過大となって使用
が困難になる。
【0047】上記の各種方法、特に芯体3と表層5とを
同時に形成する方法によって製造されたEA粒子2は、
その表層5の全部または一部分が有機高分子物質や、製
造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添加物質の
薄膜で覆われていて、EA粒子としてのEA効果が充分
に発揮されない場合がある。この不活性物質の薄膜は粒
子表面を研磨することによって容易に除去することがで
きる。従って芯体3と表層5とを同時に形成する場合に
は、その表面を研磨することが好ましい。
【0048】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子であるEA
粒子2を水などの分散媒体中に分散させて、これを攪拌
する方法によって行うことができる。この際、分散媒体
中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒子2と
共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌する
方法などによって行うこともできる。例えばまた、分散
媒体を使用せず、EA粒子2と上記のような研磨材また
は研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うこともでき
る。
【0049】さらに好ましい研磨方法は、EA粒子2を
ジェット気流などによって気流攪拌する方法である。こ
れは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨す
る方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの粒
子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法で
ある。上記のジェット気流攪拌においては、それに用い
られる装置の種類、攪拌速度、EA粒子2の材質などに
より研磨条件を選定する必要があるが、一般的には60
00rpmの攪拌速度で0.5min〜15min程度
ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0050】本発明のENC流体組成物は、上記のEA
粒子2を、必要なら分散剤など他の成分と共に電気絶縁
性媒体1中に均一に攪拌混合し分散させて製造すること
ができる。この攪拌機としては、液状分散媒に固体粒子
を分散させるために通常使用されるものがいずれも使用
できる。
【0051】なお、上記実施例においては、PETフィ
ルム17aを使用したが、他のプラスチックフィルム等
でも構わない。例えば、PVC(塩化ビニル)フィル
ム、ナイロンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプ
ロピレンフィルム、アクリルフィルム等の各種プラスチ
ックフィルム等でも構わない。
【0052】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の乗り物の騒音低
減装置によれば、次のような効果を奏する。電圧印加制
御手段によって印加電圧を選択し、適宜周波数帯域を選
択することにより、客室内を複数の仕切り板で仕切った
りスピーカにより2次音を発生させることなく、乗り物
の客室内に侵入する騒音を効果的に低減することができ
る。したがって、客室内のスペースファクタに影響を与
えること無く客室全体に亘って良好に騒音を低減させる
ことができる。
【0053】本発明の請求項2記載の乗り物の騒音低減
装置によれば、上記に加えて、次のような効果を奏す
る。音波吸収制御板体を複数の単位音波吸収制御体で構
成し、各単位音波吸収制御板に対して電圧印加制御手段
から各別の電圧を印加しかつその大きさを制御すれば、
各部で発生する騒音の周波数帯域に適合した吸音がなさ
れ、さらに、効果的に騒音を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る乗り物の騒音低減装置の一実施
例を示す平断面図である。
【図2】 本発明に係る乗り物の騒音低減装置の一実施
例を示す部分拡大平断面図である。
【図3】 本発明に係る乗り物の騒音低減装置の一実施
例の変形を示すブロック図である。
【図4】 本発明に係る乗り物の騒音低減装置の別の実
施例を示す平断面図である。
【図5】 本発明に係る乗り物の騒音低減装置の音波吸
収制御板において、音波が入射されて鎖状体や一方の電
極板が共振している状態を示す断面図である。
【図6】 本発明に係る乗り物の騒音低減装置のENC
流体組成物の一実施例を示す断面図である。
【図7】 本発明に係る乗り物の騒音低減装置のENC
流体組成物の電源オフ時の態様を示す断面図である。
【図8】 本発明に係る乗り物の騒音低減装置のENC
流体組成物の電源オン時の態様を示す断面図である。
【図9】 本発明に係る乗り物の騒音低減装置の音波吸
収制御板に、音波が入射されて一方の電極板が振動して
いる状態を示す断面図である。
【図10】 EA粒子分散系についてEA特性に及ぼす
電界強度の影響を測定した結果を示すグラフである。
【図11】 振動系の等価回路を示す図である。
【図12】 本発明に係る乗り物の騒音低減装置の音波
吸収制御板において、鎖状体の撓み状態の別な例を示す
図である。
【図13】 本発明に係る乗り物の騒音低減装置の音波
吸収制御板において、鎖状体が複数列相互に接合してな
るカラムを示す図である。
【図14】 従来の乗り物の騒音低減装置の一例を示す
平断面図である。
【符号の説明】
1…電気絶縁性媒体、2…電界配列性粒子(EA粒子、
固体粒子、無機・有機複合粒子)、4…粒子(電界配列
性無機物の粒子)、17,18…電極板、39…音波吸
収制御板(音波吸収制御体)、単位音波吸収制御板(単
位音波吸収制御体)、60…電圧印加制御装置(電圧印
加制御手段)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B61D 17/18 49/00 ZAB A B64C 1/40 G10K 11/16 (72)発明者 枝村 一弥 東京都港区芝公園2丁目6番15号 藤倉化 成株式会社本社事務所内 (72)発明者 安齊 秀伸 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乗り物の室内を形成する壁部に、該壁部
    に沿って延在する音波吸収制御体が設けられ、 該音波吸収制御体は、電界配列効果を有する固体粒子を
    電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型音波吸収制
    御用流体組成物と、間隙をおいて互いに対向し、前記間
    隙に前記電気感応型音波吸収制御用流体組成物を収容し
    た一対の電極板とを備えた構成とされ、 更に、前記一対の電極板間に電圧を印加し且つ該電圧を
    制御する電圧印加制御手段が設けられていることを特徴
    とする乗り物の騒音低減装置。
  2. 【請求項2】 前記音波吸収制御体は、前記壁部に沿っ
    て互いに隣接する複数の単位音波吸収制御体からなり、 前記電圧印加制御手段は、該複数の単位音波吸収制御体
    に対して各別に電圧を印加しかつ該電圧を変化させるよ
    う構成されていることを特徴とする請求項1記載の乗り
    物の騒音低減装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019206635A (ja) * 2018-05-29 2019-12-05 西川ゴム工業株式会社 塗料組成物、自動車用シール材及び自動車用シール材の塗装方法
EP3696082A1 (en) * 2019-02-14 2020-08-19 The Boeing Company Moisture control systems and methods for controlling moisture in an aircraft

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