JPH08130128A - 変圧器 - Google Patents

変圧器

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JPH08130128A
JPH08130128A JP6267896A JP26789694A JPH08130128A JP H08130128 A JPH08130128 A JP H08130128A JP 6267896 A JP6267896 A JP 6267896A JP 26789694 A JP26789694 A JP 26789694A JP H08130128 A JPH08130128 A JP H08130128A
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JP
Japan
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particles
transformer
electrode plates
sound absorbing
sound
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Application number
JP6267896A
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English (en)
Inventor
Moritaka Goto
守孝 後藤
Kenji Furuichi
健二 古市
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
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Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
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Publication date
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Publication of JPH08130128A publication Critical patent/JPH08130128A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低騒音化を達成し得る変圧器を提供する。 【構成】 変圧器本体2と、この変圧器本体2を格納す
るケース3とを備える変圧器1において、ケース3の内
面には、吸音板6が貼着され、この吸音板6は、一対の
対向する電極板7、8と、これら一対の電極板7、8間
に配設されEA粒子12を電気絶縁性媒体11中に含有
してなるENC流体組成物10と、一対の電極板7、8
間に電圧を印加しかつ可変調整する電圧印加調整手段2
0とを具備してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、変圧器に係わるもので
あり、特に、外部への騒音の漏洩を低く抑えることがで
きる低騒音形の変圧器に関する。
【0002】
【従来の技術】変圧器を励磁運転すると振動が発生し、
この振動は、外部へ伝搬され騒音となる。この振動の発
生要因は、主に、鉄心の磁歪振動と、けい素鋼帯の積層
間あるいは継ぎ目部の電気吸引力である。また、変圧器
本体において発生する振動の周波数は、電源周波数の偶
数倍であること、例えば、電源周波数が50Hzである
場合には、100Hz、200Hz、…等の低周波帯域
であることが知られている。しかしながら、実際に観測
される騒音は、変圧器本体の設置状況、例えば、変圧器
本体が格納されるケースの振動状況、変圧器本体が設置
されるケース床面の振動状況、ケースの共振等により影
響を受け、設置の状況ごとに異なるものである。また、
これら変圧器においては、ケースの内面に多孔質プラス
チック、グラスウール、フェルト等からなる周知の吸音
部材を貼着することにより、騒音の低減を図っている。
【0003】一方、変圧器においては、温度上昇の上限
が定められており、そのため、冷却が不可欠となる。大
容量の変圧器においては、通常、冷却油の自然循環ある
いは強制循環により冷却を行うのであるが、小・中容量
の変圧器にあっては、保守・点検の容易さおよび安全性
の面から自然循環あるいは強制循環による空冷式とされ
ることが多い。かかる空冷式変圧器は、乾式変圧器と称
されている。乾式変圧器のうち、自然循環による空冷式
のものは、小容量の変圧器に多用される傾向にある。
【0004】上記乾式変圧器のうち自然循環による空冷
式のものにあっては、空冷のための通風孔を変圧器本体
を格納するケースに設ける構成が不可欠となり、騒音の
外部への漏洩をもたらすこととなるという問題があっ
た。この問題に際し、通風孔からの直接漏洩音に対して
は、特開平2−105507号公報に反射板により位相
をずらして干渉により打ち消す技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の変圧器にお
いては、ケースの内面に吸音部材を貼着することによ
り、騒音の低減を図っているが、これら周知の吸音部材
では、低周波帯域に対しての吸音効果が十分ではなく、
十分に騒音レベルを低減させることができないという問
題があった。このため、低周波帯域に対して有効な吸音
部材の開発が望まれていた。さらに好ましくは、上記従
来の変圧器において実際に観測される騒音は、前述の如
く、設置状況ごとに異なるものであるので、実際に観測
される騒音に合わせて有効的に吸音し得る吸音部材が要
望されていた。
【0006】一方、変圧器の中でも、とりわけ、自然循
環による空冷式の乾式変圧器においては、通風孔が不可
欠であり、通風孔からの騒音漏洩が大きいという問題が
あり、上記公報における技術によっても、変圧器本体が
格納されるケースの内面にて反射し通風孔から外部に漏
洩する間接漏洩音に対して十分な解決策が施されていな
いという問題があった。すなわち、前記間接漏洩音は、
ケース内面に貼着された吸音部材により、反射されては
いるものの、多孔質プラスチック、グラスウール、フェ
ルト等からなる周知の吸音部材では、低周波帯域に対し
て吸音効果が小さいため十分な吸音効果を達成すること
ができず、間接漏洩音の騒音レベルを十分に低減できな
いという問題があった。
【0007】ところで、本発明者らは、従来知られてい
ない新規な電界配列特性(Electric Alig
nment特性を略して、以下、「EA特性」と称す
る)を有する電気感応型音波吸収制御用流体組成物(E
lectric Noise−Control流体組成
物を略して、以下、「ENC流体組成物」と称する)の
研究を行っている。このENC流体組成物は、例えば、
電気絶縁性媒体中に固体粒子を分散させて得られる流体
であり、これに電圧を印加すると固体粒子が誘電分極を
起こし、さらに誘電分極に基づく静電引力によって互い
に電場方向に配位連結して整列し、鎖状体構造を示す性
質をもっている。また、固体粒子によっては電気泳動し
て配列配向し、配列塊状構造を示す性質を示すものもあ
る。このように、電界下における粒子の配列配向を電界
配列効果(以下、「EA効果」と称する)と呼び、その
ような性質を有する固体粒子を電界配列性粒子(以下、
「EA粒子」と称する)と呼ぶこととする。そして本発
明者らは、この新規な構造のENC流体組成物の研究を
進めることにより本発明に到達した。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、EA効果を有し、印加される電圧によって特性振動
数を制御できるENC流体組成物を備えた音波吸収制御
を行い、設置の状況によって異なる変圧器からの騒音を
効率的に吸音することによって低騒音化を達成し得る変
圧器を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明においては、以下の構成を採用した。すなわ
ち、請求項1記載の変圧器においては、変圧器本体と、
該変圧器本体を格納するケースとを備える変圧器におい
て、前記ケースの内面には、吸音板が貼着され、該吸音
板は、一対の対向する電極板と、該一対の電極板間に配
設されると共にEA粒子を電気絶縁性媒体中に含有して
なるENC流体組成物と、前記一対の電極板間に電圧を
印加しかつ該電圧を可変調整する電圧印加調整手段とを
具備してなることを特徴としている。
【0010】また、請求項2記載の変圧器においては、
請求項1記載の変圧器において、前記ケースには、通風
孔が設けられ、前記変圧器本体と前記通風孔との間に
は、前記吸音板が貼着された遮蔽板が設けられているこ
とを特徴としている。
【0011】
【作用】請求項1記載の変圧器においては、吸音板が、
一対の電極板と、これら一対の電極板間に配設されると
共にEA効果を有するEA粒子を電気絶縁媒体中に含有
してなるENC流体組成物と、一対の電極板間に電圧を
印加しかつ該電圧を可変調整する電圧印加調整手段が設
けられた構成とされている。このとき、一対の電極板間
に電圧が印加されていない状態では、ENC流体組成物
中のEA効果を有するEA粒子は、電気絶縁性媒体中に
ランダムに浮遊・分散している。
【0012】電圧印加調整手段により一対の電極板にあ
る電圧を印加すると、EA粒子は鎖状に配列結合して鎖
状体(粒子鎖)を形成し、この鎖状体が電界方向に対し
て平行に配列する。この状態で、一方の電極板に音波
(空気振動)を入射させると、この電極板が前記対向方
向に振動するが、鎖状体自体が弾性の性質を持っている
ため、鎖状体は引っ張られる場合には、向かい合う粒子
同士が引き合って引力を、圧縮される場合には、撓んで
反発力をそれぞれ生じ、電気絶縁性媒体中の鎖状体の運
動により粘性抵抗が生じ、これによって音波の持つエネ
ルギーの損失(散逸)が起こる。
【0013】すなわち、電極板に入射した音波に、鎖状
体を含むENC流体組成物と電極板とが共振するのであ
る。このような鎖状体に振動を与える音波周波数は、鎖
状体の持つ特性振動数(鎖状体の弾性と電極板の慣性と
のバランスからなる、いわゆる固有振動数と推定され
る)によって定まり、その特性振動数と一致した周波数
の音波が電極板に入射すると、鎖状体は共振してその音
波を吸収し、他の周波数の音波は反射されることにな
る。
【0014】各粒子間に働く引力(鎖状体に生じる応
力)は、一対の電極板に印加される電圧の増加に伴って
増大することから、鎖状体自体の弾性率と粘性率が印加
電圧の増加に伴って増大することになり、本発明は、こ
のことを利用するものである。すなわち、印加電圧を調
整して、鎖状体自体の特性振動数を、入射音波(空気振
動)のうち除去したい成分の振動数に一致させることに
より、鎖状体を共振(共鳴)させ、吸音(除去)したい
成分のエネルギーを消費し、その他の成分を反射させる
ものである。
【0015】図9はEA粒子30wt%分散系について
EA特性に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示す
グラフである。このグラフから印加電圧が増加するほど
鎖状体に働く応力は増大することが明かである。EA特
性は、誘電分極した粒子が電気的引力により電場方向に
配列し、鎖状構造を形成することに起因する。低せん断
速度では、電気的引力が支配的であるので、鎖状構造の
破壊と再形成がゆるやかに繰り返される。電場方向に並
んだ鎖をそれと直角方向にせん断破壊させるとき発生す
る力が降伏応力に相当する。形成されるすべての鎖の粒
子が同じ直径をもち、直鎖状の並んで電極板間を結んで
いると考えると、鎖の数は粒子濃度に比例するので、降
伏応力も粒子濃度に比例することになる。図10に本発
明の振動系の等価回路を示したものであり、弾性率Kの
コイルばねと粘性率Cのダッシュポットが一対の電極板
間に並列に接続されたものと同等であることを示してい
る。
【0016】したがって、電圧印加調整手段によって印
加電圧を調整することにより、鎖状体自体の特性振動数
を、入射音波(空気振動)のうち除去したい成分の振動
数に一致させることができる。すると、鎖状体は、除去
したい成分の振動数の音波に共振(共鳴)し、その音波
のエネルギーを消費し、その他の成分の音波は反射す
る。よって、本発明の吸音板によれば、印加電圧を調整
することで、設置の状況ごとに異なる変圧器の騒音に対
して、実際に観測される周波数に合わせて吸音する音域
を選択することができる。
【0017】また、請求項2記載の変圧器においては、
変圧器本体と通風孔との間には、吸音板が貼着された遮
蔽板が設けられているので、変圧器本体による騒音が通
風孔を通して直接的に外部へと漏洩することはない。さ
らに、通風孔から外部へと漏洩する音は、ケース内面あ
るいは遮蔽板表面において吸音板により吸音された音で
あるので、十分な減衰を受けている。したがって、ケー
スに通風孔が設けられていても、この通風孔を通して変
圧器本体による騒音が外部に漏洩することはない。
【0018】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1は、本発明の変圧器の一実施例を示すもの
で、符号1は、変圧器、2は変圧器本体、3はケースで
ある。変圧器本体2は、鉄心2aおよびコイル2bから
主に構成され、防振ゴム2cを介してケース3上に設置
されている。ケース3は、防振ゴム4を介してその脚部
3aが床5上に固定されている。ケース3は、変圧器本
体2をその内部に格納すると共にその壁体3bには複数
の通風孔3cが形成されている。さらに、通風孔3cの
内側には、遮蔽板3dが変圧器本体2から見て通風孔3
cを覆うよう固定されている。
【0019】このとき、ケース3の壁体3b内面および
遮蔽板3d表面には、吸音板6が貼着されている。この
吸音板6は、図2に示すように、絶縁材料からなると共
にその一面が開口面とされた箱状のケーシング6aの内
部に、一対の電極板7、8が、開口面に直交する方向に
間隙をおいて対向配置されており、開口面側の電極板7
表面には、音波に対して柔軟な例えばPET(ポリエチ
レンテレフタレート)フィルム9が一様に接着されてい
る。一方の電極板7およびPETフィルム9は、ケーシ
ング6aの開口面を閉塞するように設けられており、こ
れら電極板7およびPETフィルム9は、一体となって
電極板7、8の対向方向に振動自在とされている。ま
た、ケーシング6a内部の一対の電極板7、8間には、
ENC流体組成物10が密閉された状態で収容されてい
る。
【0020】上記ENC流体組成物10は、図3に示す
ように電気絶縁性媒体11中にEA粒子12が均一に分
散されてなっている。このEA粒子12は、有機高分子
化合物からなる芯体13と、電界配列性無機物(以下、
「EA無機物」と称する)である粒子14からなる表層
15とによって形成され、無機・有機複合粒子を形成し
ている。この具体例において、電気絶縁性媒体11は無
色透明のシリコーン油であり、無機・有機複合粒子の芯
体13を形成する有機高分子化合物はポリアクリル酸エ
ステルであり、表層15を形成するEA無機物の粒子1
4は無機イオン交換体でありかつ電気半導体性無機物で
もある白色の水酸化チタンである。このEA粒子(無機
・有機複合粒子)の色は例えば白色である。また、電気
絶縁性媒体11中に含まれるEA粒子12の割合は例え
ば7.5重量%である。
【0021】また、図2に示すように一対の電極板7、
8間には、電圧印加調整手段20としてスイッチ21お
よび電圧可変設定可能な可変電源22が電気ケーブル2
3を介して接続されている。上記構成を有する吸音板6
は、適度な大きさに分割されてケース3の壁体3b内面
および遮蔽板3d表面に貼着されている。
【0022】次に、上記吸音板6による吸音について述
べる。図4に示すように、一対の電極板7、8間に電圧
が印加されていない状態では、ENC流体組成物10の
EA粒子12は、電気絶縁性媒体11中にランダムに浮
遊・分散した状態にある。そして、一対の電極板7、8
に電圧を印加すると、図5に示すように、ENC流体組
成物10中のEA粒子12が鎖状に配列結合して鎖状体
(粒子鎖)25を形成し、この鎖状体25が電界方向に
対して平行に配列する。
【0023】この状態で、一方の電極板7に音波(空気
振動)30を入射させると、図6の(a)、(b)、
(c)および(d)の状態が順次起こって、この電極板
7がPETフィルム9と一体となって電極板7、8の対
向方向に振動するが、鎖状体25自体が弾性の性質を持
っているため、図6の(b)に示すように、鎖状体25
は、圧縮される場合には、例えば「く」の字状に撓んで
反発力を生じ、逆に引っ張られる場合には、図6の
(d)に示すように、鎖状体25は、向かい合うEA粒
子12同士が引き合って引力を生じる。これにより、E
NC流体組成物10中での鎖状体25の運動により、粘
性抵抗が生じ、音波30の持つエネルギーの損失(散
逸)が起こる。
【0024】そして、電極板7の振動にともなって、鎖
状体25の引っ張りと圧縮が繰り返されるものであり、
この結果、鎖状体25自身も振動することになる。すな
わち、電極板7に入射した音波30に、鎖状体25を含
むENC流体組成物10と、電極板7とPETフィルム
9とからなる電極板構造体とが共振するのである。この
ような鎖状体25に振動を与える音波周波数は、鎖状体
25の持つ特性振動数によって定まり、その特性振動数
と一致した周波数の音波30が電極板7に入射すると、
図7矢印A、Bに示すように鎖状体25が共振してその
音波30を吸収し、他の周波数の音波31は反射される
ことになる。
【0025】各EA粒子12間に働く力(鎖状体25に
生じる応力)は一対の電極板7、8に印加される電圧の
増加に伴って増大することから、鎖状体25自体の弾性
率と粘性率が印加電圧の増加に伴って増大することにな
る。本発明は、このことを利用して音波の所望の成分を
除去するものである。すなわち、印加電圧を調整して、
鎖状体25自体の特性振動数を、電極板7に入射した音
波(空気振動)のうち除去したい成分(特定波長の音
波)の振動数に一致させることにより、図7に示すよう
に、鎖状体25を慣性力の作用により左右矢印A、Bで
示すように共振(共鳴)させ、入射音波30の除去した
い成分のエネルギーを消費し、その他の音波成分(符号
31で示す)を反射させるものである。このように、印
加電圧により、入射音波の所望の特定波長の成分を吸収
できる。
【0026】以上を総括すると、可変電源22によって
印加電圧を調整することにより、鎖状体25自体の特性
振動数を、図2に示す入射音波(空気振動)30のうち
除去したい成分の周波数に一致させることができる。こ
のとき、鎖状体25は、除去したい成分の周波数の音波
に共振(共鳴)し、その周波数成分を有する音波のエネ
ルギーを消費し、その他の周波数成分の音波31は図2
に示すように反射されることなる。
【0027】よって、上記吸音板6においては、電圧印
加調整手段20にて印加電圧を調整することにより、吸
音(除去)したい音域を選択して、その音域の吸音を行
なうことができる。
【0028】以上のことから、変圧器1においては、変
圧器本体2から発生し設置の状況ごとに異なる騒音に対
して、実際に観測される騒音の音域に合わせて、電圧印
加調整手段20を調整することにより、吸音板6の吸音
帯域を選択し、その音域の音波を効率よく吸音すること
ができ、変圧器1の低騒音化を達成することができる。
【0029】また、変圧器1においては、遮蔽板3d
が、騒音源である変圧器本体2から見て通風孔3cを覆
うよう固定されているので、変圧器本体2からの騒音が
通風孔3cを通して直接的に外部へと漏洩することはな
い。また、通風孔3cを通して外部へと間接的に漏洩す
る騒音は、吸音板6により吸音を受けた音であるので、
ケース3の壁体3b内面および遮蔽板3d表面には、吸
音板6が貼着されていることから、騒音レベルを十分に
低く抑えることができる。したがって、ケース3に通風
孔3cが設けられていても、この通風孔3cを通して変
圧器本体2による騒音が外部に漏洩することはない。
【0030】上述の遮蔽板3dは、変圧器本体2と通風
孔3cの間に、変圧器本体2から見て通風孔3cを覆う
よう配設されているが、通風性能を何ら妨げるものでは
なく、図1矢印で示すように、十分な通風経路を確保し
ている。
【0031】ところで、吸収する音波の特性周波数は、
EA粒子12の大きさ、EA粒子12間に働く弾性力、
また電極板7の固有振動数および電極板7、8間の距離
等により変化する。本実施例では、電気絶縁性媒体11
中に粒径がほぼ均一な球形状のEA粒子12が分散され
たものであるので(不定形粒子を用いない)、一定電圧
下では上述した反発力や引力が変動せず、しかも、EA
粒子12間に働く弾性力と電極板7の慣性力のバランス
にも変動が生じにくい。上記実施例においては、鎖状体
は「く」の字状に撓むものとされているが、この他に、
例えば図8の(a)に示すようなS字型、あるいは図8
の(b)に示すようなW字型に撓む場合もあると考えら
れる。
【0032】また、上記実施例においては、電圧の印加
によってEA粒子(無機・有機複合粒子)12が1列の
鎖状体25を形成して平行に配列する現象について説明
したが、EA粒子12の数が数重量%を越えて多くなる
と、1列の鎖状体25ではなく、鎖状体25が複数列相
互に接合して、図9の(a)の如くカラム26を構成し
て配列するようになる。このカラム26においては左右
の鎖状体のEA粒子12は1つずつずれて互い違いに隣
接する。これについて本発明者らは、図9の(b)に示
すごとく、+極部分と−極部分に誘電分極しているEA
粒子12が互い違いに隣接して+極部分と−極部分とが
引き合って配列した方がエネルギー的に安定なためであ
ると推定している。さらに、上記実施例においては、一
対の電極板7、8間にENC流体組成物10を収容した
ものを示したが、これに限らず、ENC流体組成物10
を十分に含浸させた多孔質体を一対の電極板間に収容し
てもよい。この場合、多孔質体は、EA効果を損なわな
いために、連続気泡を有するものが好ましい。
【0033】なお、本発明のENC流体組成物10に用
いる図3の電気絶縁性媒体11としては、例えば、塩化
ジフェニル、セバチン酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸
高級アルコールエステル、ハロフェニルアルキルエーテ
ル、トランス油、塩化パラフィン、弗素系オイル、また
はシリコーン系オイルやフルオロシリコーン系オイルな
ど、電気絶縁性および電気絶縁破壊強度が高く、化学的
に安定でかつEA粒子を安定に分散させ得るものであれ
ばいずれの流体またはこれらの混合物も使用可能であ
る。この電気絶縁性媒体11は、目的に応じて着色する
ことができる。着色する場合は、選択された電気絶縁性
媒体に可溶であってその電気的特性を損なわない種類と
量の油溶性染料または分散性染料を用いることが好まし
い。電気絶縁性媒体11には、この他に分散剤、界面活
性剤、粘度調整剤、酸化防止剤、安定剤などが含まれて
いてもよい。
【0034】この電気絶縁性媒体11の動粘度は、1c
Stないし30000cStの範囲内であることが好ま
しい。動粘度が1cStより小さいと、ENC流体組成
物の貯蔵安定性の面で不足を生じ、動粘度が30000
cStより大きいと、EA粒子の均一分散が困難になる
とともに、調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜けに
くくなり、取り扱いに支障を来すので好ましくない。こ
の観点から、動粘度は10cStないし1000cSt
の範囲内、特に10cStないし100cStの範囲内
であることが好ましい。もちろん、電気絶縁性媒体11
の動粘度は、温度により変化し、この温度影響を印加電
圧によって抑制することができる。
【0035】本発明に用いられるEA粒子12は、EA
効果を有する無機・有機複合粒子であれば、元素、有機
化合物、または無機化合物、またはそれらの混合物な
ど、いずれの素材も使用可能である。その例としては例
えば無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気
半導体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、および
これらを表層として有する粒子を挙げることができる。
しかし、このEA粒子12は、上記実施例に示したよう
に、有機高分子化合物からなる芯体13と、EA無機物
の粒子14からなる表層15とによって形成された無機
・有機複合粒子であることが特に好ましい。この無機・
有機複合粒子は、比較的比重が重いEA無機物の粒子1
4からなる表層15が比較的比重の軽い有機高分子化合
物である芯体13に担持されていて、その粒子全体の比
重を電気絶縁性媒体11に対して近似するように調節で
きる。したがってこれを電気絶縁性媒体11に分散して
得られたENC流体組成物は、貯蔵安定性に優れたもの
となる。
【0036】EA粒子(無機・有機複合粒子)12の芯
体13として使用し得る有機高分子化合物の例として
は、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリ
ル酸エステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴ
ム、ABS樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、ア
イオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニ
ル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以
上の混合物または共重合物を挙げることができる。
【0037】表層15を形成するEA無機物である粒子
14としては種々のものを用い得るが、好ましい例とし
ては無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性無機
物とを挙げることができる。これらの粒子14を用いて
有機高分子化合物からなる芯体13の上に表層15を形
成するとき、得られた無機・有機複合粒子は有用なEA
粒子12となる。
【0038】上記無機イオン交換体の例としては(1)
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0039】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOx(OH)y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、および水酸
化鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは含水
酸化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、Ti
O(OH)2)および水酸化チタン(別名オルソチタン
酸またはαチタン酸、Ti(OH)4)の双方を含むも
のであり、他の化合物についても同様である。
【0040】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどであ
る。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タンおよびモリブデン酸錫などである。
【0041】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイトなど
である。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO43のようなも
のが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置換
したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
【0042】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、およびK2O・2.5Ti
2・2H2Oなどである。なお、上記化合物のうち、a
またはbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数
である化合物を酸処理し、KとHとを置換することによ
って容易に合成される。
【0043】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、およびタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。) これらには、例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6]およ
びK2Co[Fe(CN)6]などの不溶性フェロシアン
化合物が含まれる。
【0044】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。すなわち、前述の無機イオン交
換体をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を
表す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を表
す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類に
より異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を示
すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM2
アルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷移
金属または希土類金属等、H+以外の金属イオンのいず
れか任意のものである。OH基を有する無機イオン交換
体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にOH-
であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4など
や錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意
のものである。
【0045】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO43の加熱により得られるHZr2(PO43
ハイドロタルサイトの高温加熱処理物(500〜700
℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イオ
ン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層と
して用いることもできる。なお、上記の無機イオン交換
体として、多価金属の水酸化物、および多価金属の酸性
塩を用いることが特に好ましい。
【0046】上記EA粒子(無機・有機複合粒子)12
の表層15として使用し得る電気半導体性無機物の例
は、電気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cm
の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機
イオン交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種
に金属ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの
有無に拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他
の支持体上に電気半導体層として施したものなどであ
る。
【0047】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2 )およびオルソチタン酸(別名αチタ
ン酸、Ti(OH)4 )を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピングEA無機物:これは上記の電気半
導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げるため
に、アンチモン(Sb)などの金属をEA無機物にドー
ピングしたものであって、例としてはアンチモン(S
b)ドーピング酸化錫(SnO2)などを挙げることが
できる。 (N)他の支持体上に電気半導体層としてEA無機物を
施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シリカ、
アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、または
ポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子粒子を
用い、これに電気半導体層としてアンチモン(Sb)ド
ーピング酸化錫(SnO2)を施したものなどを挙げる
ことができる。このように他の支持体上にEA無機物が
施された粒子も、全体としてEA無機物と見なすことが
できる。これらのEA無機物は、1種類だけでなく、2
種類またはそれ以上を同時に表層として用いることもで
きる。
【0048】EA粒子(無機・有機複合粒子)12は、
種々な方法によって製造することができる。例えば、有
機高分子化合物からなる粒子状の芯体13と微粒子状の
粒子14とをジェット気流によって搬送し、衝突させて
製造する方法がある。この場合は粒子状の芯体13の表
面に粒子14の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層
15を形成する。また別の製法例としては、粒子状の芯
体13を気体中に浮遊させ、粒子14の溶液を霧状にし
てその表面に噴霧する方法がある。この場合はその溶液
が芯体13の表面に付着し乾燥することによって表層1
5が形成される。
【0049】EA粒子(無機・有機複合粒子)12を製
造する特に好ましい製法は、芯体13と同時に表層15
を形成する方法である。この方法は、例えば、芯体13
を形成する有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で
乳化重合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒
子状としたEA無機物である粒子14を上記モノマー
中、または重合媒体中に存在させるというものである。
重合媒体としては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒
との混合物を使用することもでき、また有機系の貧溶媒
を使用することもできる。この方法によれば、重合媒体
の中でモノマーが重合して芯体粒子13を形成すると同
時に、微粒子状のEA無機物の粒子14が芯体13の表
面に層状に配向してこれを被覆し、表層15を形成す
る。
【0050】乳化重合または懸濁重合によってEA粒子
(無機・有機複合粒子)を製造する場合には、モノマー
の疎水性の性質とEA無機物の親水性の性質を組み合わ
せることによって、EA無機物の粒子14の大部分を芯
体13の表面に付着させることができる。この芯体13
と表層15との同時形成方法によれば、有機高分子化合
物からなる芯体13の表面にEA無機物の粒子14が緻
密かつ強固に接着し、堅牢なEA粒子(無機・有機複合
粒子)12が形成される。
【0051】本発明に使用するEA粒子12の形状は必
ずしも球形であることを要しないが、粒子状の芯体13
が調節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場
合は、得られるEA粒子12の形状はほぼ球形となる。
EA粒子12の粒径は特に限定されるものではないが、
0.1μmないし500μm、特に5μmないし200
μmの範囲内とすることが好ましい。この際の微粒子状
のEA無機物である粒子14の粒径は特に限定されるも
のではないが、好ましくは0.005μmないし100
μm、さらに好ましくは0.01μmないし10μmの
範囲内とする。
【0052】EA粒子(無機・有機複合粒子)12にお
いて、表層15を形成するEA無機物である粒子14と
芯体13を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限
定されるものではないが、保存安定性の高いENC流体
組成物を得るためには、EA無機物の粒子14と有機高
分子化合物の芯体13の合計重量に対して粒子14が1
重量%ないし60重量%の範囲内、特に4重量%ないし
30重量%の範囲内とすることが好ましい。この芯体1
3の割合が1重量%未満では、得られたEA粒子12の
EA特性が不十分となり、60重量%を超えると、EA
粒子12の比重が過大となって保存安定性を損なう惧れ
がある。また、本発明のENC流体組成物は、上記のE
A粒子12を、必要なら分散剤、他の成分とともに電気
絶縁性媒体中に均一に攪拌混合して製造することができ
る。この攪拌機としては、液状分散媒に固体粒子を分散
させるために通常使用されるものがいずれも使用でき
る。電気絶縁性媒体中11におけるEA粒子12の含有
率は、特に限定されるものではないが、0.5〜75重
量%、特に5〜50重量%であることが好ましい。その
含有率が1重量%未満では充分なEA効果が得られず、
75重量%以上では電圧を印加しないときのENC流体
組成物の初期粘度が過大となって使用が困難になる。
【0053】上記の各種方法、特に芯体13と表層15
とを同時に形成する方法によって製造されたEA粒子1
2は、その表層15の全部または一部分が有機高分子物
質や、製造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添
加物質の薄膜で覆われていて、EA粒子としてのEA効
果が充分に発揮されない場合がある。この不活性物質の
薄膜は粒子表面を研磨することによって容易に除去する
ことができる。したがって芯体13と表層15とを同時
に形成する場合には、その表面を研磨することが好まし
い。
【0054】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子であるEA
粒子12を水などの分散媒体中に分散させて、これを攪
拌する方法によって行うことができる。この際、分散媒
体中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒子1
2と共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌
する方法などによって行うこともできる。例えばまた、
分散媒体を使用せず、EA粒子12と上記のような研磨
材または研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うことも
できる。
【0055】さらに好ましい研磨方法は、EA粒子12
をジェット気流などによって気流攪拌する方法である。
これは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨
する方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの
粒子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法
である。上記のジェット気流攪拌においては、それに用
いられる装置の種類、攪拌速度、EA粒子12の材質な
どにより研磨条件を選定する必要があるが、一般的には
6000rpmの攪拌速度で0.5min〜15min
程度ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0056】本発明のENC流体組成物は、上記のEA
粒子12を、必要なら分散剤など他の成分と共に電気絶
縁性媒体11中に均一に攪拌混合し分散させて製造する
ことができる。この攪拌機としては、液状分散媒に固体
粒子を分散させるために通常使用されるものがいずれも
使用できる。
【0057】なお、上記実施例においては、ケース3に
通風孔3cが設けられる変圧器について例示を行った
が、本発明は、この種の変圧器に限定されるものではな
く、強制循環形空冷式変圧器、湿式変圧器等の変圧器に
も適用することができる。また、変圧器1においては、
ケース3に設ける通風孔3cの個数、位置、形状につい
ては、何ら限定されるものではなく、通風性能を考慮し
て適宜設ければよい。また、上記実施例におけるPET
(ポリエチレンテレフタレート)フィルム9に代えて、
PVC(ポリ塩化ビニル)フィルム、ナイロンフィル
ム、アクリルフィルム等の各種プラスチックフィルム
等、音波に対して柔軟であり、ケーシング6aの開口面
の閉塞性が良好な種々のフィルムが使用可能である。
【0058】
【発明の効果】請求項1記載の変圧器によれば、変圧器
本体から発生し設置状況ごとに異なる騒音に対して、実
際に観測される音域に合わせて、電圧印加調整手段を調
整することにより、吸音板の吸音帯域を変化させること
ができ、騒音が有する音域の音波を効率よく吸音するこ
とができるため、低騒音形の変圧器を得ることができ
る。
【0059】また、請求項2記載の変圧器によれば、変
圧器本体と通風孔との間には、吸音板が貼着された遮蔽
板が設けられているので、変圧器本体による騒音の通風
孔からの直接的な漏洩を防止することができる。さら
に、通風孔から外部へと漏洩する騒音は、吸音板により
吸音された音であるので、十分に減衰を受けており、し
たがって、ケースに通風孔が設けられていても、この通
風孔を通して騒音が外部に漏洩することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の変圧器の一実施例を示す断面図であ
る。
【図2】 同変圧器の要部を示す断面図である。
【図3】 本発明に係わるところのENC流体組成物の
一実施例を示す断面図である。
【図4】 同ENC流体組成物の電源オフ時の態様を示
す断面図である。
【図5】 同ENC流体組成物の電源オン時の態様を示
す断面図である。
【図6】 本発明の変圧器の一実施例に使用される吸音
板における一方の電極の振動を説明する説明図である。
【図7】 同吸音板における共振形態を示す説明図であ
る。
【図8】 同吸音板における他の共振形態を示す説明図
である。
【図9】 同吸音板におけるEA粒子の配列形態を示す
説明図である。
【図10】 EA粒子分散系についてEA特性に及ぼす
電界強度の影響を測定した結果を示すグラフである。
【図11】 同EA粒子分散系における振動の等価回路
である。
【符号の説明】
1…変圧器、2…変圧器本体、3…ケース、3c…通風
孔、3d…遮蔽板、6…吸音板、7…電極板、8…電極
板、10…ENC流体組成物、11…電気絶縁性媒体、
12…EA粒子、20…電圧印加調整手段。
フロントページの続き (72)発明者 枝村 一弥 東京都港区芝公園2丁目6番15号 藤倉化 成株式会社本社事務所内 (72)発明者 安齊 秀伸 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変圧器本体と、該変圧器本体を格納する
    ケースとを備える変圧器において、 前記ケースの内面には、吸音板が貼着され、 該吸音板は、一対の対向する電極板と、該一対の電極板
    間に配設されると共に電界配列効果を有する固体粒子を
    電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型音波吸収制
    御用流体組成物と、前記一対の電極板間に電圧を印加し
    かつ該電圧を可変調整する電圧印加調整手段とを具備し
    てなることを特徴とする変圧器。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の変圧器において、 前記ケースには、通風孔が設けられ、 前記変圧器本体と前記通風孔との間には、前記吸音板が
    貼着された遮蔽板が設けられていることを特徴とする変
    圧器。
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