JPH08154288A - マイクロフォン - Google Patents

マイクロフォン

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JPH08154288A
JPH08154288A JP6291824A JP29182494A JPH08154288A JP H08154288 A JPH08154288 A JP H08154288A JP 6291824 A JP6291824 A JP 6291824A JP 29182494 A JP29182494 A JP 29182494A JP H08154288 A JPH08154288 A JP H08154288A
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JP
Japan
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sound
particles
microphone
inorganic
absorbing material
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Application number
JP6291824A
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English (en)
Inventor
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Moritaka Goto
守孝 後藤
Kenji Furuichi
健二 古市
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
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Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
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Publication date
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  • Obtaining Desirable Characteristics In Audible-Bandwidth Transducers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 用途あるいは使用場所等の使用条件に応じて
異なる周波数の雑音、騒音を確実に低減させ、S−N比
を得る。 【構成】 マイクロフォンユニット32の外周に、マイ
クロフォンユニット32を中心として球面状に形成され
た遮音板33を設ける。遮音板33の内面側にEA効果
を有するEA粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなるE
NC流体組成物を収容した吸音材34を貼り付ける。吸
音材34を構成するENC流体組成物へ電圧を印加し、
かつ印加電圧を調整する可変電源13を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高騒音下等の様々な
環境にて使用されるマイクロフォンに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、高騒音下においても使用する
ことができるマイクロフォンとして、遮音板によって騒
音の影響を低減するものがある。特に、特開平2−16
6900号には、その公報に、遮音板の外側に遮音材を
設け、周囲の騒音の影響をさらに低減させる技術が示さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記マイク
ロフォンにあっては、屋外で用いる場合に、遮音板に風
が当り低周波数の風きり音が生じてしまい、この風きり
音をマイクロフォンユニットで捕えられてしまうという
問題があった。この場合、この低周波数の風きり音を吸
音する吸音材を遮音板の内面側に貼り付けることが考え
られるが、用途に応じては、低周波数の音を捕える必要
がるため、内面側に低周波数の吸音材を貼り付けること
には問題があった。
【0004】ところで、本発明者らは、従来知られてい
ない新規な電界配列特性(以下、「EA特性」と称す
る)を有する電気感応型音波吸収制御用流体組成物(以
下、Electric Noise−Control流
体組成物を略して「ENC流体組成物」と称する)の研
究を行っている。このENC流体組成物は、例えば、電
気絶縁性の媒体中に固体粒子を分散させて得られる流体
であり、これに電界を印加すると固体粒子が誘電分極を
起こし、さらに誘電分極に基づく静電引力によって互い
に電場方向に配位連結して整列し、鎖状体構造を示す性
質を持っている。また、固体粒子によっては電気泳動し
て配列配向し、配列塊状構造を示す性質を示すものもあ
る。このように、電界下における粒子の配列配向を電界
配列効果(以下、Electric Alignmen
t効果を略して「EA効果」と称する)と呼び、そのよ
うな性質を有する固体粒子を電界配列性粒子(以下、電
界配列性粒子を略して「EA粒子」と称する)と呼ぶこ
ととする。そして本発明者らは、この新規な構造のEN
C流体組成物の研究を進めることにより本発明に到達し
た。
【0005】この発明は、上記事情に鑑みてなされたも
ので、あらゆる環境において、必要な音を確実に集音す
ることが可能なマイクロフォンを提供することを目的と
している。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載のマイクロフォンは、マイクロフォン
ユニットと、このマイクロフォンユニットの周囲に設け
られ、外部からの騒音を遮る遮音板とを有するマイクロ
フォンであって、前記遮音板に、EA効果を有するEA
粒子が電気絶縁媒体中に含有されたENC流体組成物を
収容してなる吸音材が設けられ、該吸音材を構成する前
記ENC流体組成物に電圧を印加し、かつ印加電圧を調
整する電圧印加手段が設けられてなることを特徴として
いる。請求項2記載のマイクロフォンは、請求項1記載
のマイクロフォンにおいて、前記遮音板が、前記マイク
ロフォンユニットを中心として球面形状に形成されてな
ることを特徴としている。請求項3記載のマイクロフォ
ンは、請求項2記載のマイクロフォンにおいて、前記吸
音材が、前記遮音板の内面側に設けられていることを特
徴としている。請求項4記載のマイクロフォンは、請求
項2記載のマイクロフォンにおいて、前記吸音材が、前
記遮音板の外面側に設けられていることを特徴としてい
る。請求項5記載のマイクロフォンは、請求項2記載の
マイクロフォンにおいて、前記吸音材が、前記遮音材の
内面及び外面にそれぞれ設けられていることを特徴とし
ている。
【0007】
【作用】請求項1記載のマイクロフォンによれば、電圧
印加手段から吸音材を構成するENC流体組成物へ電圧
を印加するとともに、印加する電圧値を調整することに
より、吸音したい音が低減される。即ち、用途に応じて
低減したい音の周波数が変わったとしても、印加する電
圧値を調整することにより、その周波数の音が確実に低
減される。
【0008】つまり、吸音材は、電圧が印加されていな
い状態では、ENC流体組成物中のEA効果を有するE
A粒子は電気絶縁性媒体中にランダムに浮遊・分散して
いる。電圧印加手段により一対の電極板に電圧を印加す
ると、EA粒子は鎖状に配列結合して鎖状体(粒子鎖)
を形成し、この鎖状体が電界方向に平行して配列する。
この状態で、一方の電極板に音波(空気振動)を入射さ
せると、この電極板が前記対向方向に振動するが、鎖状
体自体が弾性の性質を持っているため、鎖状体は引っ張
られる場合には、向かい合う粒子同士が引き合って引力
を、圧縮される場合には、撓んで反発力をそれぞれ生
じ、電気絶縁性媒体中の鎖状体の運動により粘性抵抗が
生じ、これによって音波の持つエネルギーの損失(散
逸)が起こる。
【0009】即ち、電極板に入射した音波に、鎖状体を
含むENC流体組成物と電極板とが共振するのである。
このような鎖状体に振動を与える音波周波数は、鎖状体
の持つ特性振動数(鎖状体の弾性と電極板の慣性とのバ
ランスからなる、いわゆる固有振動数と推定される)に
よって定まり、その特性振動数と一致した周波数の音波
が電極板に入射すると、鎖状体は共振してその音波を吸
収し、他の周波数の音波は反射されることになる。各粒
子間に働く引力(鎖状体に生じる応力)は、一対の電極
板に印加される電圧の増加に伴って増大することから、
鎖状体自体の弾性率と粘性率が印加電圧の増加に伴って
増大することになり、本発明は、このことを利用するも
のである。すなわち、印加電圧を調整して、鎖状体自体
の特性振動数を、入射音波(空気振動)のうち除去した
い成分の振動数に一致させることにより、鎖状体を共振
(共鳴)させ、吸音(除去)したい成分のエネルギーを
消費し、その他の成分を反射させるものである。
【0010】図8はEA粒子30wt%分散系について
EA特性に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示す
グラフである。このグラフから印加電圧が増加するほど
鎖状体に働く応力は増大することが明かである。EA特
性は、誘電分極した粒子が電気的引力により電場方向に
配列し、鎖状構造を形成することに起因する。低せん断
速度では、電気的引力が支配的であるので、鎖状構造の
破壊と再形成がゆるやかに繰り返される。電場方向に並
んだ鎖をそれと直角方向にせん断破壊させるとき発生す
る力が降伏応力に相当する。形成されるすべての鎖の粒
子が同じ直径をもち、直鎖状の並んで電極板間を結んで
いると考えると、鎖の数は粒子濃度に比例するので、降
伏応力も粒子濃度に比例することになる。図9に振動系
の等価回路を示し、すなわち、弾性率Kのコイルばね2
2と粘性率Cのダッシュポット23が一対の電極板間に
並列に接続されている。請求項2記載のマイクロフォン
によれば、遮音板によって前方側からの音がマイクロフ
ォンユニットによって、良好に捕えられる。請求項3記
載のマイクロフォンによれば、遮音板の内面側に設けら
れた吸音材によって、マイクロフォンによって集音され
る音の内、集音したくない周波数の音が低減される。請
求項4記載のマイクロフォンによれば、遮音板の外面側
に設けられた吸音材によって、外部からの騒音の内、特
に低減したい周波数の騒音の低減が可能となる。請求項
5記載のマイクロフォンによれば、外部からの騒音及び
集音する音の内、それぞれ特に低減したい周波数の音を
吸音材によってそれぞれ低減させることが可能となる。
【0011】
【実施例】以下、本発明のマイクロフォンの実施例を図
によって説明する。図1において、符号31は、本実施
例のマイクロフォンである。このマイクロフォン31
は、マイクロフォンユニット32と、このマイクロフォ
ンユニット32の外周に設けられた遮音板33と、この
遮音板33の内面に貼り付けられた、ENC流体組成物
を有する吸音材34とから概略構成されている。遮音板
33は、その形状が、前記マイクロフォンユニット32
を中心として球面状に形成されており、これらマイクロ
フォンユニット32と遮音板33とが支持フレーム35
によって連結されている。即ち、この遮音板33を有す
るマイクロフォン31によれば、遮音板33の内面側が
反射面とされて、この反射面によって、前方側からの音
が反射されて、マイクロフォンユニット32に集められ
るようになっている。
【0012】そして、この遮音板33によって、前方以
外からの音が遮音され、周囲の騒音による集音の妨害を
確実に低減することができるようになっている。さら
に、このマイクロフォン31によれば、遮音板33の内
面側に設けられたENC流体組成物を有する吸音材34
によって、遮音板33に風が当たることにより生じる低
周波数の風きり音が低減されるようになっている。ここ
で、この吸音材34を構成するENC流体組成物には、
可変電源(電圧印加手段)13から電圧が印加されるよ
うになっており、この可変電源13に設けられたツマミ
36を回すことにより、印加電圧を調整することができ
るようになっている。そして、この可変電源13から印
加する電圧を調整することにより、吸音材34が吸音す
る音の周波数が変更されるようになっている。
【0013】次に、上記吸音材34を構成するENC流
体組成物について説明する。図4には、ENC流体組成
物の一具体例が示されている。このENC流体組成物
は、電気絶縁性媒体1中に固体粒子であるEA粒子2が
均一に分散されてなっている。このEA粒子2は、有機
高分子化合物からなる芯体3と、電界配列性無機物(以
下、「EA無機物」と称する)である粒子4からなる表
層5とによって形成され、無機・有機複合粒子を形成し
ている。この具体例において、電気絶縁性媒体1は無色
透明のシリコーン油であり、無機・有機複合粒子の芯体
3を形成する有機高分子化合物はポリアクリル酸エステ
ルであり、表層5を形成するEA無機物の粒子4は無機
イオン交換体でありかつ電気半導体性無機物でもある白
色の水酸化チタンである。このEA粒子(無機・有機複
合粒子)の色は例えば白色である。また、電気絶縁性媒
体1中に含まれるEA粒子2の割合は例えば7.5重量
%である。
【0014】このENC流体組成物は、図5に示すよう
に、離間して平行に配置した一対の電極板7,8の間に
介在させる。図6に示すように、この一対の電極板7,
8に、電源9からスイッチ10を介して電圧を印加する
と、EA効果によってEA粒子2が電極板7,8の面と
直角の方向に鎖状に配列して鎖状体(粒子鎖)6を形成
する。このとき、各鎖状体6は相互に離間して平行に配
向する。
【0015】次に、上述したENC流体組成物を用いた
音波吸収制御装置(音波制振装置)について説明する。
図2に示すように、一対の電極板17,18が間隙(組
成物収容空間)をおいて対向配置され、これら一対の電
極板17,18間には、上述した本発明の、EA効果を
有するEA粒子2を電気絶縁性媒体1中に含有してなる
ENC流体組成物が収容されている。一方の(下方の)
電極板18は図示しない固定部材に固定配置されてお
り、他方の電極板17は、フィルム17aの下面に一様
に接着されている。前記一対の電極板17,18の周縁
およびフィルム17aの周縁には、枠状のシール部材1
5が固着されている。なお、フィルム17aとしては、
音波に対して柔軟なたとえばPET(ポリエチレンテレ
フタレート)フィルム、PVC(塩化ビニル)フィル
ム、ナイロンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプ
ロピレンフィルム、アクリルフィルムなどの各種プラス
チックフィルムなどが用いられる。
【0016】一対の電極板17,18およびシール部材
15により形成された空間内に、本発明のENC流体組
成物が密閉された状態で収容されている。また、一方の
電極板17およびフィルム17aは、その周縁が固定さ
れているが、一対の電極板17,18の対向方向(矢印
Xで示す上下方向)に振動できるように構成されてい
る。これにより、音波(空気振動)11がフィルム17
aに入射した場合には、フィルム17aおよび一方の電
極板17は上下振動することができる。
【0017】可変電源13は、一対の電極板17,18
間に電圧を印加し、かつ印加電圧を調整するものであ
り、この可変電源13にはスイッチ14が直列に接続さ
れている。このスイッチ14をオンにすることにより、
一対の電極板17,18間に電圧を印加することができ
る。この音波吸収制御装置は、通常、外観矩形板状ある
いは円形板状の形態であるが、勿論、設置する場所に合
わせて適宜の形状とする。
【0018】次に、上記構成の音波吸収制御装置の動作
について説明する。図2に示すように、一対の電極板1
7,18間に電圧が印加されていない状態では、ENC
流体組成物のEA粒子2が電気絶縁性媒体1中にランダ
ムに浮遊・分散している(図5参照)。一対の電極板1
7,18に電圧を印加すると、ENC流体組成物中のE
A粒子2が鎖状に配列結合して鎖状体(粒子鎖)6を形
成し、この鎖状体6が電界方向に平行して配列する(図
6参照)。
【0019】この状態で、一方の電極板17に音波(空
気振動)11を入射させると、図7の(a),(b),
(c)および(d)の状態が順次起こって、この電極板
17がフィルム17aとともに矢印X(図2および図3
参照)で示すように対向方向に振動するが、鎖状体6自
体が弾性の性質を持っているため、図7の(b)に示す
ように、鎖状体6は、圧縮される場合には、例えば
「く」の字状に撓んで反発力を生じ、図7の(d)に示
すように、鎖状体6は、引っ張られる場合には、向かい
合うEA粒子2同士が引き合って引力を生じる。これに
より、ENC流体組成物中での鎖状体6の運動により、
粘性抵抗が生じ、音波11の持つエネルギーの損失(散
逸)が起こる。
【0020】そして、電極板17の振動にともなって、
鎖状体6の引っ張りと圧縮が繰り返されるものであり、
この結果、鎖状体6自身も振動することになる。すなわ
ち、電極板17に入射した音波11に、鎖状体6を含む
ENC流体組成物と、電極板17とフィルム17aとか
らなる電極板構造体とが共振するのである。このような
鎖状体6に振動を与える音波周波数は、鎖状体6の持つ
特性振動数によって定まり、その特性振動数と一致した
周波数の音波11が電極板17に入射すると、鎖状体1
7は共振して(図3中矢印A,B参照)その音波を吸収
し、他の周波数の音波12は反射されることになる。
【0021】各EA粒子2間に働く力(鎖状体6に生じ
る応力)は一対の電極板17,18に印加される電圧の
増加に伴って増大することから、鎖状体6自体の弾性率
と粘性率が印加電圧の増加に伴って増大することにな
る。本発明は、このことを利用して音波の所望の成分を
除去するものである。すなわち、印加電圧を調整して、
粒子鎖6自体の特性振動数を、電極板17に入射した音
波(空気振動)のうち除去したい成分(特定波長の音
波)の振動数に一致させることにより、図6に示すよう
に、鎖状体6を慣性力の作用により左右矢印A,Bで示
すように共振(共鳴)させ、入射音波11の除去したい
成分のエネルギーを消費し、その他の音波成分(符号1
2で示す)を反射させるものである。このように、印加
電圧により、入射音波の所望の特定波長の成分を吸収で
きる。
【0022】音波吸収制御装置の特性周波数は、EA粒
子(固体粒子)の大きさ、EA粒子間に働く弾性力、ま
た電極板の固有振動数および電極板間の距離等により変
化する。本実施例では、電気絶縁性媒体中に粒径がほぼ
均一な球形状のEA粒子が分散されたものであるので
(不定形粒子を用いない)、一定電圧下では上述した反
発力や引力が変動せず、しかも、EA粒子間に働く弾性
力と電極板の慣性力のバランスにも変動が生じにくい。
上記実施例においては、鎖状体は「く」の字状に撓むも
のとされているが、この他に、例えば図10の(a)に
示すようなS字型、あるいは図10の(b)に示すよう
なW字型に撓む場合もあると考えられる。
【0023】また、上記実施例においては、電界の印加
によってEA粒子(無機・有機複合粒子)2が1列の鎖
状体6を形成して平行に配列する現象について説明した
が、EA粒子2の数が数重量%を越えて多くなると、1
列の鎖状体6ではなく、鎖状体6が複数列相互に接合し
て、図11の(a)の如くカラム19を構成して配列す
るようになる。このカラム19においては左右の鎖状体
のEA粒子2は1つずつずれて互い違いに隣接する。こ
れについて本発明者らは、図11の(b)に示すごと
く、+極部分と−極部分に誘電分極しているEA粒子2
が互い違いに隣接して+極部分と−極部分とが引き合っ
て配列した方がエネルギー的に安定なためであると推定
している。さらに、上記実施例においては、一対の電極
板間に直接ENC流体組成物を収容したものを示した
が、これに限らず、ENC流体組成物を十分に含浸させ
た多孔質体を一対の電極板間に収容してもよい。この場
合、多孔質体は、EA効果を損なわないために、連続気
泡を有するものが好ましい。
【0024】本発明のENC流体組成物に用いる電気絶
縁性媒体1としては、例えば、塩化ジフェニル、セバチ
ン酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級アルコールエス
テル、ハロフェニルアルキルエーテル、トランス油、塩
化パラフィン、弗素系オイル、またはシリコーン系オイ
ルやフルオロシリコーン系オイルなど、電気絶縁性及び
電気絶縁破壊強度が高く、化学的に安定でかつEA粒子
を安定に分散させ得るものであればいずれの流体または
これらの混合物も使用可能である。この電気絶縁性媒体
1は、目的に応じて着色することができる。着色する場
合は、選択された電気絶縁性媒体に可溶であってその電
気的特性を損なわない種類と量の油溶性染料または分散
性染料を用いることが好ましい。電気絶縁性媒体1に
は、この他に分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、酸化防
止剤、安定剤などが含まれていてもよい。
【0025】この電気絶縁性媒体1の動粘度は、1cS
tないし30000cStの範囲内であることが好まし
い。動粘度が1cStより小さいと、ENC流体組成物
の貯蔵安定性の面で不足を生じ、動粘度が30000c
Stより大きいと、EA粒子の均一分散が困難になると
ともに、調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜けにく
くなり、取り扱いに支障を来すので好ましくない。この
観点から、動粘度は10cStないし1000cStの
範囲内、特に10cStないし100cStの範囲内で
あることが好ましい。もちろん、電気絶縁性媒体1の動
粘度は、温度により変化し、この温度影響を印加電圧に
よって抑制することができる。
【0026】本発明に用いられるEA粒子2は、EA効
果を有する無機・有機複合粒子であれば、元素、有機化
合物、または無機化合物、またはそれらの混合物など、
いずれの素材も使用可能である。その例としては例えば
無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気半導
体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、およびこれ
らを表層として有する粒子を挙げることができる。しか
し、このEA粒子2は、上記実施例に示したように、有
機高分子化合物からなる芯体3と、EA無機物の粒子4
からなる表層5とによって形成された無機・有機複合粒
子であることが特に好ましい。この無機・有機複合粒子
は、比較的比重が重いEA無機物の粒子4からなる表層
5が比較的比重の軽い有機高分子化合物である芯体3に
担持されていて、その粒子全体の比重を電気絶縁性媒体
1に対して近似するように調節できる。従ってこれを電
気絶縁性媒体1に分散して得られたENC流体組成物
は、貯蔵安定性に優れたものとなる。
【0027】EA粒子(無機・有機複合粒子)2の芯体
3として使用し得る有機高分子化合物の例としては、ポ
リ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エ
ステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、AB
S樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、アイオノマ
ー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以上の混合
物または共重合物を挙げることができる。
【0028】表層5を形成するEA無機物である粒子4
としては種々のものが用い得るが、好ましい例としては
無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性無機物と
を挙げることができる。これらの粒子4を用いて有機高
分子化合物からなる芯体3の上に表層5を形成すると
き、得られた無機・有機複合粒子は有用なEA粒子2と
なる。
【0029】上記無機イオン交換体の例としては(1)
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0030】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOx(OH)y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、および水酸
化鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは含水
酸化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、Ti
O(OH)2)および水酸化チタン(別名オルソチタン
酸またはαチタン酸、Ti(OH)4)の双方を含むも
のであり、他の化合物についても同様である。
【0031】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどであ
る。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タンおよびモリブデン酸錫などである。
【0032】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイトなど
である。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO43のようなも
のが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置換
したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
【0033】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、及びK2O・2.5TiO
2・2H2Oなどである。なお、上記化合物のうち、aま
たはbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数で
ある化合物を酸処理し、KとHとを置換することによっ
て容易に合成される。
【0034】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、およびタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。) これらには例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6]および
2Co[Fe(CN)6]などの不溶性フェロシアン化
合物が含まれる。
【0035】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2)y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を表
す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類に
より異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を示
すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM2
アルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷移
金属または希土類金属等、H+以外の金属イオンのいず
れか任意のものである。OH基を有する無機イオン交換
体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にOH-
であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4など
や錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意
のものである。
【0036】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO43の加熱により得られるHZr2(PO43
ハイドロタルサイトの高温 加熱処理物(500〜70
0℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イ
オン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層
として用いることもできる。なお、上記の無機イオン交
換体として、多価金属の水酸化物、及び多価金属の酸性
塩を用いることが特に好ましい。
【0037】上記EA粒子(無機・有機複合粒子)2の
表層5として使用し得る電気半導体性無機物の例は、電
気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cmの金属
酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオン
交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種に金属
ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの有無に
拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他の支持
体上に電気半導体層として施したものなどである。
【0038】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2)およびオルソチタン酸(別名αチタ
ン酸、Ti(OH)4)を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピング電界配列性無機物:これは上記の
電気半導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げ
るために、アンチモン(Sb)などの金属をER無機物
にドーピングしたものであって、例としてはアンチモン
(Sb)ドーピング酸化錫(SnO2)などを挙げるこ
とができる。 (N)他の支持体上に電気半導体層としてEA無機物を
施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シリカ、
アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、または
ポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子粒子を
用い、これに電気半導体層としてアンチモン(Sb)ド
ーピング酸化錫(SnO2)を施したものなどを挙げる
ことができる。このように他の支持体上にEA無機物が
施された粒子も、全体としてEA無機物と見なすことが
できる。これらのEA無機物は、1種類だけでなく、2
種類またはそれ以上を同時に表層として用いることもで
きる。
【0039】EA粒子(無機・有機複合粒子)2は、種
々な方法によって製造することができる。例えば、有機
高分子化合物からなる粒子状の芯体3と微粒子状の粒子
4とをジェット気流によって搬送し、衝突させて製造す
る方法がある。この場合は粒子状の芯体3の表面に粒子
4の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層5を形成す
る。また別の製法例としては、粒子状の芯体3を気体中
に浮遊させ、粒子4の溶液を霧状にしてその表面に噴霧
する方法がある。この場合はその溶液が芯体3の表面に
付着し乾燥することによって表層5が形成される。
【0040】EA粒子(無機・有機複合粒子)2を製造
する特に好ましい製法は、芯体3と同時に表層5を形成
する方法である。この方法は、例えば、芯体3を形成す
る有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で乳化重
合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒子状と
したEA無機物である粒子4を上記モノマー中、または
重合媒体中に存在させるというものである。重合媒体と
しては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒との混合物
を使用することもでき、また有機系の貧溶媒を使用する
こともできる。この方法によれば、重合媒体の中でモノ
マーが重合して芯体粒子3を形成すると同時に、微粒子
状のEA無機物の粒子4が芯体3の表面に層状に配向し
てこれを被覆し、表層5を形成する。
【0041】乳化重合または懸濁重合によってEA粒子
(無機・有機複合粒子)を製造する場合には、モノマー
の疎水性の性質とEA無機物の親水性の性質を組み合わ
せることによって、EA無機物の粒子4の大部分を芯体
3の表面に付着させることができる。この芯体3と表層
5との同時形成方法によれば、有機高分子化合物からな
る芯体3の表面にEA無機物の粒子4が緻密かつ強固に
接着し、堅牢なEA粒子(無機・有機複合粒子)2が形
成される。
【0042】本発明に使用するEA粒子2の形状は必ず
しも球形であることを要しないが、粒子状の芯体3が調
節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場合
は、得られるEA粒子2の形状はほぼ球形となる。EA
粒子2の粒径は特に限定されるものではないが、0.1
μmないし500μm、特に5μmないし200μmの
範囲内とすることが好ましい。この際の微粒子状のEA
無機物である粒子4の粒径は特に限定されるものではな
いが、好ましくは0.005μmないし100μm、さ
らに好ましくは0.01μmないし10μmの範囲内と
する。
【0043】EA粒子(無機・有機複合粒子)2におい
て、表層5を形成するEA無機物である粒子4と芯体3
を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限定される
ものではないが、保存安定性の高いENC流体組成物を
得るためには、EA無機物の粒子4と有機高分子化合物
の芯体3の合計重量に対して粒子4が1重量%ないし6
0重量%の範囲内、特に4重量%ないし30重量%の範
囲内とすることが好ましい。この芯体3の割合が1重量
%未満では、得られたEA粒子2のEA特性が不十分と
なり、60重量%を超えると、EA2粒子の比重が過大
となって保存安定性を損なう惧れがある。また、本発明
のENC流体組成物は、上記のEA粒子2を、必要なら
分散剤、他の成分とともに電気絶縁性媒体中に均一に攪
拌混合して製造することができる。この攪拌機として
は、液状分散媒に固体粒子を分散させるために通常使用
されるものがいずれも使用できる。電気絶縁性媒体中1
におけるEA粒子2の含有率は、特に限定されるもので
はないが、0.5〜75重量%、特に5〜50重量%で
あることが好ましい。その含有率が1%未満では充分な
EA効果が得られず、75%以上では電圧を印加しない
ときのENC流体組成物の初期粘度が過大となって使用
が困難になる。
【0044】上記の各種方法、特に芯体3と表層5とを
同時に形成する方法によって製造されたEA粒子2は、
その表層5の全部または一部分が有機高分子物質や、製
造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添加物質の
薄膜で覆われていて、EA粒子としてのEA効果が充分
に発揮されない場合がある。この不活性物質の薄膜は粒
子表面を研磨することによって容易に除去することがで
きる。従って芯体3と表層5とを同時に形成する場合に
は、その表面を研磨することが好ましい。
【0045】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子であるEA
粒子2を水などの分散媒体中に分散させて、これを攪拌
する方法によって行うことができる。この際、分散媒体
中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒子2と
共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌する
方法などによって行うこともできる。例えばまた、分散
媒体を使用せず、EA粒子2と上記のような研磨材また
は研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うこともでき
る。
【0046】さらに好ましい研磨方法は、EA粒子2を
ジェット気流などによって気流攪拌する方法である。こ
れは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨す
る方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの粒
子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法で
ある。上記のジェット気流攪拌においては、それに用い
られる装置の種類、攪拌速度、EA粒子2の材質などに
より研磨条件を選定する必要があるが、一般的には60
00rpmの攪拌速度で0.5min〜15min程度
ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0047】本発明のENC流体組成物は、上記のEA
粒子2を、必要なら分散剤など他の成分と共に電気絶縁
性媒体1中に均一に攪拌混合し分散させて製造すること
ができる。この攪拌機としては、液状分散媒に固体粒子
を分散させるために通常使用されるものがいずれも使用
できる。
【0048】以上、説明したように、上記実施例のマイ
クロフォン31によれば、可変電源13から吸音材34
を構成するENC流体組成物へ電圧を印加することによ
り、遮音板33に設けられた吸音材34によって集音し
たくない周波数の音を確実に低減させることができ、さ
らには、ツマミ36を回して印加する電圧値を調整する
ことにより、用途に応じて低減したい音の周波数が変わ
ったとしても、その周波数に合わせて、吸音材34によ
って低減する音の周波数も調整することができる。
【0049】なお、上記実施例では、遮音材33の内面
側に吸音材34を貼り付けたが、この吸音材34は、遮
音材33の内面に限らず、図12に示すように、遮音材
33の外面、あるいは図13に示すように、遮音材33
の内外面の両面に貼り付けても良く、遮音材33の外面
に貼り付けた場合は、外部からの騒音の内、特に低減し
たい音を効率良く低減することができ、また、両面に設
けることにより、さらに、集音する音の内、捕えたくな
い音を効率良く低減させることができる。また、遮音板
33の形状も上記実施例のものに限定されることなく、
例えば、図14に示すように、音を取り入れる部分にだ
け孔部37をあけた球体に形成することにより、外部か
らの騒音をさらに確実に低減させることができる。
【0050】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明のマイク
ロフォンによれば、下記の効果を得ることができる。請
求項1記載のマイクロフォンによれば、電圧印加手段か
らENC流体組成物へ電圧を印加することにより、遮音
板に設けられた吸音材によって集音したくない音の周波
数を確実に低減させることができ、さらには、印加する
電圧値を調整することにより、用途に応じて低減したい
音の周波数が変わったとしても、その周波数に合わせ
て、吸音材によって低減する音の周波数も調整すること
ができる。即ち、外部からの騒音だけでなく、遮音材に
風が当たることにより生じる低周波数の風きり音も低減
させることができ、SN比の大きな優れたマイクロフォ
ンとすることができる。請求項2記載のマイクロフォン
によれば、遮音材によって前方側からの音を確実に集音
することができる。請求項3記載のマイクロフォンによ
れば、音を捕える際に、遮音板によって集められる音の
内、低減したい周波数の音を吸音材によって低減させる
ことができる。請求項4記載のマイクロフォンによれ
ば、外部からの騒音の内、特に低減したい周波数の音を
吸音材によって低減させることができる。請求項5記載
のマイクロフォンによれば、外部からの騒音及び集めら
れる音の内、それぞれ特に低減したい周波数の音を吸音
材によってそれぞれ低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例のマイクロフォンの構成及び
構造を説明するマイクロフォンの一部を断面視した斜視
図である。
【図2】 電気感応型音波吸収制御用流体組成物を備え
た音波吸収制御装置(音波制振装置)の断面図である。
【図3】 音波吸収制御装置において、音波が入射され
て鎖状体や一方の電極板が共振している状態を示す断面
図である。
【図4】 本発明に係わる電気感応型音波吸収制御用流
体組成物の一実施例を示す断面図である。
【図5】 本発明に係わる電気感応型音波吸収制御用流
体組成物の電源オフ時の態様を示す断面図である。
【図6】 本発明に係わる電気感応型音波吸収制御用流
体組成物の電源オン時の態様を示す断面図である。
【図7】 音波吸収制御装置に、音波が入射されて一方
の電極板が振動している状態を示す断面図である。
【図8】 電界配列性粒子分散系について電界配列特性
に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示すグラフで
ある。
【図9】 振動系の等価回路を示す図である。
【図10】 音波吸収制御装置において、鎖状体の撓み
状態の別な例を示す図である。
【図11】 音波吸収制御装置において、鎖状体が複数
列相互に接合してなるカラムを示す図である。
【図12】 本発明の他の実施例のマイクロフォンの構
成及び構造を説明するマイクロフォンの一部を断面視し
た斜視図である。
【図13】 本発明の他の実施例のマイクロフォンの構
成及び構造を説明するマイクロフォンの一部を断面視し
た斜視図である。
【図14】 本発明の他の実施例のマイクロフォンの構
成及び構造を説明するマイクロフォンの一部を断面視し
た斜視図である。
【符号の説明】
1…電気絶縁性媒体、2…EA粒子(固体粒子)、13
……可変電源(電圧印加手段)、31…マイクロフォ
ン、32…マイクロフォンユニット、33…遮音板、3
4…吸音材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 守孝 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 古市 健二 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイクロフォンユニットと、このマイク
    ロフォンユニットの周囲に設けられ、外部からの騒音を
    遮る遮音板とを有するマイクロフォンであって、 前記遮音板に、電界配列効果を有する固体粒子が電気絶
    縁媒体中に含有された電気感応型音波吸収制御用流体組
    成物を収容してなる吸音材が設けられ、 該吸音材を構成する前記電気感応型音波吸収制御用流体
    組成物に電圧を印加し、かつ印加電圧を調整する電圧印
    加手段が設けられてなることを特徴とするマイクロフォ
    ン。
  2. 【請求項2】 前記遮音板は、前記マイクロフォンユニ
    ットを中心として球面形状に形成されてなることを特徴
    とする請求項1記載のマイクロフォン。
  3. 【請求項3】 前記吸音材は、前記遮音板の内面側に設
    けられていることを特徴とする請求項2記載のマイクロ
    フォン。
  4. 【請求項4】 前記吸音材は、前記遮音板の外面側に設
    けられていることを特徴とする請求項2記載のマイクロ
    フォン。
  5. 【請求項5】 前記吸音材は、前記遮音材の内面及び外
    面にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項2
    記載のマイクロフォン。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7609843B2 (en) 2003-10-20 2009-10-27 Hajime Hatano Sound collector
CN110225426A (zh) * 2019-07-12 2019-09-10 宜昌快马仕网络科技有限公司 一种降噪麦克风
CN115604613A (zh) * 2022-12-01 2023-01-13 杭州兆华电子股份有限公司(Cn) 一种基于隔音箱实现的声干扰消除方法

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US7609843B2 (en) 2003-10-20 2009-10-27 Hajime Hatano Sound collector
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