JPH08145273A - 配管の騒音防止装置 - Google Patents

配管の騒音防止装置

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JPH08145273A
JPH08145273A JP6291825A JP29182594A JPH08145273A JP H08145273 A JPH08145273 A JP H08145273A JP 6291825 A JP6291825 A JP 6291825A JP 29182594 A JP29182594 A JP 29182594A JP H08145273 A JPH08145273 A JP H08145273A
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sound wave
noise
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pipe
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JP6291825A
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Inventor
Moritaka Goto
守孝 後藤
Kenji Furuichi
健二 古市
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
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Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L55/00Devices or appurtenances for use in, or in connection with, pipes or pipe systems
    • F16L55/04Devices damping pulsations or vibrations in fluids

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンプレッサー等の振動する部材に連結さ
れ、振動する配管によって生じる騒音の周波数変化にも
対応して、この騒音を除去し、かつ部材コストの低減を
実現する配管の騒音防止装置を提供することを目的とし
ている。 【構成】 振動する部材に連結された配管から離間して
該配管を覆う筒状の外枠部を備え、該外枠部の内面に沿
って音波吸収制御部材が設けられ、該音波吸収制御部材
は、電界配列効果を有する固体粒子を電気絶縁性媒体中
に含有してなる電気感応型音波吸収制御用流体組成物
と、間隙をおいて互いに対向し、前記間隙に前記電気感
応型音波吸収制御用流体組成物を収容した一対の電極板
とを備えた構成とされ、前記一対の電極板間に電圧を印
加し且つ該電圧を調整する電圧印加調整手段を備えてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンプレッサー等の振
動する部材に連結された配管によって生じる騒音を好適
に防止することができる配管の騒音防止装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に、空気調和機の室外機等に用いら
れるコンプレッサーには配管が連結されており、この配
管によって冷却・加熱用の媒体がアキュムレータや室内
機に循環される。
【0003】近年、室外機の性能向上に伴って内蔵され
るコンプレッサーの回転速度も高速かつ可変可能にな
り、コンプレッサー自体の振動が大きくなるとともに、
多様な振動を生じるようになった。このようにコンプレ
ッサーが振動すると、連結された配管に振動が伝達され
大きな騒音を発生する問題があった。
【0004】従来、この配管の振動による騒音を防止す
る手段として、次に示すように2つの代表的なものがあ
る。一つは、例えば、特開昭63−259338号公報
に提案されているように、コンプレッサーに連結された
配管の一部を弾性部材を介して室外機の内面に固定する
ものである。他の一つは、振動する配管を囲むように室
外機の内面等に音波吸収材を設け、発生する騒音を吸音
する方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの騒音
防止手段においては、配管の振動による騒音の発生を十
分に除去することができないという問題があった。すな
わち、前者の騒音防止手段では、配管の一部が固定され
ているだけであり、コンプレッサーとアキュムレータ間
の配管の大部分は固定されずに室外機内の空間に振動可
能な状態で配されている。このため、配管の一部しか固
定していない弾性部材では、完全に配管の振動を除去で
きず、除去できなかった振動が配管の他の部分に伝達し
てしまう。このように、伝達した振動によって、細長い
配管が振動し、周囲の空気を振動させて騒音を発生させ
ていた。
【0006】一方、後者の騒音防止手段では、用いられ
る音波吸収材の材質により固有振動数が一定であるた
め、一種類の音波吸収材の場合、その固有振動数と一致
する成分の音波しか吸収できないという問題があった。
このため、コンプレッサーの回転数が可変し、発生する
騒音の周波数も変化する場合、ある周波数に対応した一
種類の音波吸収材によって配管等を囲んでも、この構成
のみでは多様な周波数に変化する騒音に全て対応してこ
れら騒音を除去することができなかった。したがって、
発生する全ての周波数の騒音に対応するためには、多種
類の音波吸収材を設けなければならず、部材コストが大
幅に増大してしまう不都合があった。
【0007】ところで、本発明者らは、従来知られてい
ない新規な電界配列特性(以下、Electric A
lignment特性を略して「EA特性」と称する)
を有する電気感応型音波吸収制御用流体組成物(以下、
Electric Noise−Control流体組
成物を略して「ENC流体組成物」と称する)の研究を
行っている。この流体組成物は、例えば、電気絶縁性の
媒体中に固体粒子を分散させて得られる流体であり、こ
れに電界を印加すると固体粒子が誘電分極を起こし、さ
らに誘電分極に基づく静電引力によって互いに電場方向
に配位連結して整列し、鎖状体構造を示す性質を持って
いる。また、固体粒子によっては電気泳動して配列配向
し、配列塊状構造を示す性質を示すものもある。このよ
うに、電界下における粒子の配列配向を電界配列効果
(以下、Electric Alignment効果を
略して「EA効果」と称する)と呼び、そのような性質
を有する固体粒子を電界配列性粒子(以下、Elect
ric Alignment粒子を略して「EA粒子」
と称する)と呼ぶこととする。そして本発明者らは、こ
の新規な構造のENC流体組成物の研究を進めることに
より本発明に到達した。
【0008】本発明は、上記事情に鑑み、コンプレッサ
ー等の振動する部材に連結され、振動する配管によって
生じる騒音の周波数変化にも対応して、この騒音を除去
し、かつ部材コストの低減を実現する配管の騒音防止装
置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するため、以下の構成を採用した。すなわち、本発明
の配管の騒音防止装置は、振動する部材に連結された配
管から離間して該配管を覆う筒状の外枠部を備え、該外
枠部の内面に沿って音波吸収制御部材が設けられ、該音
波吸収制御部材は、電界配列効果を有する固体粒子を電
気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型音波吸収制御
用流体組成物と、間隙をおいて互いに対向し、前記間隙
に前記電気感応型音波吸収制御用流体組成物を収容した
一対の電極板とを備えた構成とされ、前記一対の電極板
間に電圧を印加し且つ該電圧を調整する電圧印加調整手
段を備えてなることを特徴とするものである。また、本
発明の配管の騒音防止装置において、配管と対向する音
波吸収制御部材の内面に設けられ配管の振動によって発
生する音波の周波数を検出するとともに電気信号として
出力するマイクロホンと、前記電気信号の値に基づいて
電圧印加調整手段を制御する電圧制御装置とを具備した
構成とすることもできる。
【0010】
【作用】請求項1記載の配管の騒音防止装置によれば、
EA効果を有するEA粒子を電気絶縁媒体中に含有して
なるENC流体組成物と、間隙をおいて互いに対向し、
前記間隙に前記ENC流体組成物を収容した一対の電極
板とを備え、外枠部の内面に沿って設けられた音波吸収
制御部材と、一対の電極板間には電圧を印加し且つ該電
圧を調整する電圧印加調整手段とを備えており、一対の
電極板間に電圧が印加されていない状態では、ENC流
体組成物中のEA効果を有するEA粒子は電気絶縁性媒
体中にランダムに浮遊・分散している。電圧印加調整手
段により一対の電極板に電圧を印加すると、EA粒子は
鎖状に配列結合して鎖状体(粒子鎖)を形成し、この鎖
状体が電界方向に平行して配列する。この状態で、一方
の電極板に音波(空気振動)を入射させると、この電極
板が前記対向方向に振動するが、鎖状体自体が弾性の性
質を持っているため、鎖状体は引っ張られる場合には、
向かい合う粒子同士が引き合って引力を、圧縮される場
合には、撓んで反発力をそれぞれ生じ、電気絶縁性媒体
中の鎖状体の運動により粘性抵抗が生じ、これによって
音波の持つエネルギーの損失(散逸)が起こる。
【0011】すなわち、電極板に入射した音波に、鎖状
体を含むENC流体組成物と電極板とが共振するのであ
る。このような鎖状体に振動を与える音波周波数は、鎖
状体の持つ特性振動数(鎖状体の弾性と電極板の慣性と
のバランスからなる、いわゆる固有振動数と推定され
る)によって定まり、その特性振動数と一致した周波数
の音波が電極板に入射すると、鎖状体は共振してその音
波を吸収し、他の周波数の音波は反射されることにな
る。
【0012】各粒子間に働く引力(鎖状体に生じる応
力)は、一対の電極板に印加される電圧の増加に伴って
増大することから、鎖状体自体の弾性率と粘性率が印加
電圧の増加に伴って増大することになる。
【0013】従って、電圧印加調整手段によって、印加
電圧を調整することにより、鎖状体自体の特性振動数
を、入射音波(空気振動)のうち除去したい成分の振動
数に一致させることが出来る。すると、鎖状体は、除去
したい成分の振動数の音波に共振(共鳴)し、その音波
のエネルギーを消費し、その他の成分の音波は反射す
る。図9はEA粒子30wt%分散系についてEA特性
に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示すグラフで
ある。このグラフから印加電圧が増加するほど鎖状体に
働く応力は増大することが明かである。EA特性は、誘
電分極した粒子が電気的引力により電場方向に配列し、
鎖状構造を形成することに起因する。低せん断速度で
は、電気的引力が支配的であるので、鎖状構造の破壊と
再形成がゆるやかに繰り返される。電場方向に並んだ鎖
をそれと直角方向にせん断破壊させるとき発生する力が
降伏応力に相当する。形成されるすべての鎖の粒子が同
じ直径をもち、直鎖状の並んで電極板間を結んでいると
考えると、鎖の数は粒子濃度に比例するので、降伏応力
も粒子濃度に比例することになる。図10に本発明の振
動系の等価回路を示し、すなわち、弾性率Kのコイルば
ね22と粘性率Cのダッシュポット23が一対の電極板
間に並列に接続されている。
【0014】上記のように、電圧印加調整手段によって
印加電圧を選択することにより、配管の振動によって発
生した騒音(音波)の周波数域を選択して、除去したい
周波数域の騒音を除去することができる。上記の音波吸
収制御部材は、振動する配管を覆う外枠部の内面に沿っ
て設けられており、振動する配管の外周に対向して配さ
れるため、配管からの音波を直接的に入射させて除去
し、高い防音効果を得ることができる。振動する部材の
振動周波数が変化した場合、連結された配管の振動も同
時にその周波数が変わるとともに、発生する騒音の周波
数も変化する。この場合には、電圧印加調整手段によっ
て印加電圧を再び選択して、この騒音の周波数域に設定
しなおすことにより、変化した周波数の騒音を除去す
る。また、本発明の配管の騒音防止装置において、音波
吸収制御部材の内面に備え付けたマイクロホンによっ
て、配管によって発生する騒音の周波数を検出し、電気
信号として出力することによって、この電気信号に基づ
いて電圧制御装置が電圧印加調整手段の電圧調整を制御
することができる。したがって、このようにすれば、手
動によって電圧印加調整手段を制御せずにマイクロホン
からの情報をフィードバックして自動的に電圧印加調整
手段を制御することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の第1実施例を図1および図2
に基づいて説明する。図1に示すように、空気調和機の
室外機30は、底板部31上にファン部32、コンプレ
ッサー33およびアキュムレータ34が設置され、キャ
ビネット35により外側が覆われて概略構成されてい
る。
【0016】ファン部32は水平方向に軸線を有して設
けられ、その前方に位置するキャビネット35の前面に
は吹き出し口40が設けられている。また、ファン部3
2後方のキャビネット35の背面には、板状の熱交換器
41が設けられている。コンプレッサー33とアキュム
レータ34は、遮断板42によって互いに遮断されて設
置されている。
【0017】コンプレッサー33の上部には、配管45
の一端が連結され、また配管45の他端はアキュムレー
タ34の上部に連結されている。この配管45は、コン
プレッサー33とアキュムレータ34との間を屈曲して
配設されており、その一部に底板部31上に配された固
定部45aを有している。この固定部45aは、固定部
材46によって、この固定部材46に設けられた弾性部
材に挟持されるとともに、底板部31上に固定されてい
る。
【0018】配管45には、この配管45に沿って屈曲
し、かつ配管45の外周から一定距離離間して覆う円筒
状の騒音防止装置50が設けられている。図2に示すよ
うに、この騒音防止装置50は、配管45と同一軸線を
有し、該配管45を覆う縦割りされた円筒状の外枠部5
1,51と、この外枠部51,51の内面に沿って設け
られ、配管45と同一軸線を有する縦割りされた円筒状
の音波吸収制御部材52,52とを備えている。
【0019】上記のように設けられた音波吸収制御部材
52,52は、次のように構成されている。一対の電極
板17,18が外枠部51,51の内面に沿って設けら
れ、且つ、間隙(組成物収容空間)をおいて対向配置さ
れ、これら一対の電極板17,18間には、上述した本
発明の、EA効果を有するEA粒子2を電気絶縁性媒体
1中に含有してなるENC流体組成物が収容されてい
る。一方の電極板18は外枠部51,51の内面に固定
配置されており、他方の電極板17は、音波に対して柔
軟な例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィ
ルム17aの下面に一様に接着されている。前記一対の
電極板17,18の周縁およびPETフィルム17aの
周縁には、枠状のシール部材15が固着されている。
【0020】一対の電極板17,18およびシール部材
15により形成された空間内に、ENC流体組成物が密
閉された状態で収容されている。また、一方の電極板1
7およびPETフィルム17aは、その周縁が固定され
ているが、一対の電極板17,18の対向方向(矢印X
で示す上下方向)に振動できるように構成されている。
これにより、音波(空気振動)11がPETフィルム1
7aに入射した場合には、PETフィルム17aおよび
一方の電極板17は上下振動することができる。
【0021】以上のように構成された音波吸収制御部材
52,52の一対の電極板17、18間には、その電極
板17、18間に電圧を印加し且つその電圧を調整する
電圧印加調整装置60(電圧印加調節手段)が、電気的
に接続されている。この電圧印加調整装置60は、図示
しない電源に接続されており、電圧の印加をON又はO
FFにするスイッチ14と、その印加電圧を調整する電
圧調整部13とを兼ね備えている。この電圧印加調整装
置60はキャビネット35の前面に取り付けられてい
る。
【0022】ENC流体組成物は、図4に示すように電
気絶縁性媒体1中にEA粒子であるEA粒子(電界配列
性粒子)2が均一に分散されてなっている。このEA粒
子2は、有機高分子化合物からなる芯体3と、電界配列
性無機物(以下、Electric Alignmen
t無機物を略して「EA無機物」と称する)である粒子
4からなる表層5とによって形成され、無機・有機複合
粒子を形成している。この具体例において、電気絶縁性
媒体1は無色透明のシリコーン油であり、無機・有機複
合粒子の芯体3を形成する有機高分子化合物はポリアク
リル酸エステルであり、表層5を形成するEA無機物の
粒子4は無機イオン交換体でありかつ電気半導体性無機
物でもある白色の水酸化チタンである。このEA粒子
(無機・有機複合粒子)の色は例えば白色である。ま
た、電気絶縁性媒体1中に含まれるEA粒子2の割合は
例えば7.5重量%である。
【0023】次に、上記第1実施例の騒音防止装置50
の動作について説明する。コンプレッサー33が作動し
振動を生じた場合、連結されている配管45が共振し、
振動する。配管45の固定部45aは固定部材46によ
り固定され、振動が抑制されているが完全には除去でき
ず、他の部分の配管45に振動を生ずる。細長い配管4
5が空気中において振動すると周囲の空気を振動させて
音波(騒音)を発生し、この音波は、配管45の周囲を
覆っている騒音防止装置50の音波吸収制御部材52,
52に入射する。ところで、図2に示すように、電圧印
加調整装置60のスイッチ14がOFFのとき、一対の
電極板17,18間に電圧が印加されていない状態で
は、ENC流体組成物のEA粒子2が電気絶縁性媒体1
中にランダムに浮遊・不規則に分散している(図6参
照)。
【0024】次に、電圧印加調整装置60のスイッチ1
4をONにして一対の電極板17,18に電圧を印加す
ると、ENC流体組成物中のEA粒子2が鎖状に配列結
合して鎖状体(粒子鎖)6を形成し、この鎖状体6が電
界方向に平行して配列する(図7参照)。この状態で、
一方の電極板17に音波(空気振動)11を入射させる
と、図8の(a),(b),(c)および(d)の状態
が順次起こって、この電極板17がPETフィルム17
aとともに矢印X(図2および図4参照)で示すように
対向方向に振動するが、鎖状体6自体が弾性の性質を持
っているため、図8の(b)に示すように、鎖状体6
は、圧縮される場合には、例えば「く」の字状に撓んで
反発力を生じ、図8の(d)に示すように、鎖状体6
は、引っ張られる場合には、向かい合うEA粒子2同士
が引き合って引力を生じる。これにより、ENC流体組
成物中での鎖状体6の運動により、粘性抵抗が生じ、音
波11の持つエネルギーの損失(散逸)が起こる。
【0025】そして、電極板17の振動にともなって、
鎖状体6の引っ張りと圧縮が繰り返されるものであり、
この結果、鎖状体6自身も振動することになる。すなわ
ち、電極板17に入射した音波11に、鎖状体6を含む
ENC流体組成物と、電極板17とPETフィルム17
aとからなる電極板構造体とが共振するのである。この
ような鎖状体6に振動を与える音波周波数は、鎖状体6
の持つ特性振動数によって定まり、その特性振動数と一
致した周波数の音波11が電極板17に入射すると、鎖
状体17は共振して(図4中矢印A,B参照)その音波
を吸収し、他の周波数の音波12は反射されることにな
る。
【0026】各EA粒子2間に働く力(鎖状体6に生じ
る応力)は一対の電極板17,18に印加される電圧の
増加に伴って増大することから、鎖状体6自体の弾性率
と粘性率が印加電圧の増加に伴って増大することにな
る。本発明は、このことを利用して音波の所望の成分を
除去するものである。すなわち、印加電圧を調整して、
粒子鎖6自体の特性振動数を、電極板17に入射した音
波(空気振動)のうち除去したい成分(特定波長の音
波)の振動数に一致させることにより、図4に示すよう
に、鎖状体6を慣性力の作用により左右矢印A,Bで示
すように共振(共鳴)させ、入射音波11の除去したい
成分のエネルギーを消費し、その他の音波成分(符号1
2で示す)を反射させるものである。このように、印加
電圧により、入射音波の所望の特定波長の成分を吸収で
きる。
【0027】音波吸収制御部材52,52の特性周波数
は、EA粒子(固体粒子)の大きさ、EA粒子間に働く
弾性力、また電極板の固有振動数および電極板間の距離
等により変化する。本発明では、電気絶縁性媒体中に粒
径がほぼ均一な球形状のEA粒子が分散されたものであ
るので(不定形粒子を用いない)、一定電圧下では上述
した反発力や引力が変動せず、しかも、EA粒子間に働
く弾性力と電極板の慣性力のバランスにも変動が生じに
くい。上記実施例においては、鎖状体は「く」の字状に
撓むものとされているが、この他に、例えば図11の
(a)に示すようなS字型、あるいは図11の(b)に
示すようなW字型に撓む場合もあると考えられる。
【0028】また、上記実施例においては、電界の印加
によってEA粒子(無機・有機複合粒子)2が1列の鎖
状体6を形成して平行に配列する現象について説明した
が、EA粒子2の数が数重量%を越えて多くなると、1
列の鎖状体6ではなく、鎖状体6が複数列相互に接合し
て、図12の(a)の如くカラム19を構成して配列す
るようになる。このカラム19においては左右の鎖状体
のEA粒子2は1つずつずれて互い違いに隣接する。こ
れについて本発明者らは、図12の(b)に示すごと
く、+極部分と−極部分に誘電分極しているEA粒子2
が互い違いに隣接して+極部分と−極部分とが引き合っ
て配列した方がエネルギー的に安定なためであると推定
している。さらに、上記実施例においては、一対の電極
板間に直接ENC流体組成物を収容したものを示した
が、これに限らず、ENC流体組成物を十分に含浸させ
た多孔質体を一対の電極板間に収容してもよい。この場
合、多孔質体は、EA効果を損なわないために、連続気
泡を有するものが好ましい。
【0029】上記のように、電圧印加調整装置60の電
圧調整部13によって印加電圧を調整すると、鎖状体6
自体の特性振動数を、図2に示す入射音波(空気振動)
11のうち除去したい成分の振動数に一致させることが
出来る。すると、図6の鎖状体6は、除去したい成分の
振動数の音波に共振(共鳴)し、その音波のエネルギー
を消費する。そして、その他の成分の音波12は図2に
示すように反射されることなる。
【0030】従って、配管45の騒音防止装置50は、
電圧印加調整装置60の電圧調整部13によって印加電
圧を選択することにより、吸音(除去)したい周波数域
を選択して、その周波数域の音波(騒音)を除去するこ
とが出来る。
【0031】以上のことから、騒音防止装置50によれ
ば、配管45の振動によって発生した騒音を、電圧印加
調整装置60の電圧調整部13を調整し、この騒音の周
波数域に選択することで除去できる。この結果、固定部
材46だけでは除去できなかった振動による配管の騒音
が防止され、静かな室外機30を得ることができる。ま
た、コンプレッサー33の回転数が変化し、振動の周波
数が変化した場合、連結された配管45の振動も同時に
変化し、それに伴って発生する騒音の周波数も変化す
る。この場合には、電圧調整部13を調整し、印加電圧
を再び選択して、この騒音の周波数域に設定しなおすこ
とにより騒音の除去を行う。
【0032】次に、本発明の第2実施例を図3を参照し
ながら説明する。なお、この図において、図1および図
2と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略す
る。第2実施例の騒音防止装置54が第1実施例の騒音
防止装置50と異なる点は、音波吸収制御部材52,5
2の内面にマイクロホン55が取り付けられており、こ
のマイクロホン55に電圧制御装置56が電気的に接続
され、かつ、この電圧制御装置56が電気的に電圧印加
調整装置60に接続されている点である。
【0033】このマイクロホン55は、配管45の振動
によって発生した騒音の周波数を検出し、電気信号とし
て電圧制御装置56へと出力するセンサーである。ま
た、電圧制御装置56は、マイクロホン55からの電気
信号を入力し、この電気信号に基づいて電圧印加調整装
置60の電圧調整部13を制御し、電圧を調整するもの
である。
【0034】上記第2実施例の騒音防止装置54の動作
について説明する。配管45が振動することによって発
生した音波(騒音)が、配管45の周囲に放射され、音
波吸収制御部材52,52の内面に設けられたマイクロ
ホン55に達する。このマイクロホン55が入射音波1
1の周波数を検出すると同時に、電圧制御装置56に電
気信号を出力する。この電気信号に基づいて電圧制御装
置56が電圧印加制御装置60の電圧調整部13を制御
し、一対の電極板17,18に印加する電圧を入射音波
11の周波数域に対応して調整する。
【0035】コンプレッサー33の回転数が変化し、こ
れに伴って、配管45から発生する音波の周波数も変化
した場合、マイクロホン55は変化した音波の周波数を
検出することにより、上記と同様に電圧制御装置56は
マイクロホン55からの電気信号に基づいて電圧調整部
13を制御し、この周波数域に対応した電圧に調整、制
御する。このように、マイクロホン55からの検出情報
を基にフィードバックし、電圧調整することにより、発
生する音波の周波数が変化しても、手動により電圧を制
御することなく、自動的にその周波数に対応した電圧に
調整することができる。
【0036】尚、本発明のENC流体組成物に用いる図
6の電気絶縁性媒体1としては、例えば、塩化ジフェニ
ル、セバチン酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級アル
コールエステル、ハロフェニルアルキルエーテル、トラ
ンス油、塩化パラフィン、弗素系オイル、またはシリコ
ーン系オイルやフルオロシリコーン系オイルなど、電気
絶縁性及び電気絶縁破壊強度が高く、化学的に安定でか
つEA粒子を安定に分散させ得るものであればいずれの
流体またはこれらの混合物も使用可能である。この電気
絶縁性媒体1は、目的に応じて着色することができる。
着色する場合は、選択された電気絶縁性媒体に可溶であ
ってその電気的特性を損なわない種類と量の油溶性染料
または分散性染料を用いることが好ましい。電気絶縁性
媒体1には、この他に分散剤、界面活性剤、粘度調整
剤、酸化防止剤、安定剤などが含まれていてもよい。
【0037】この電気絶縁性媒体1の動粘度は、1cS
tないし30000cStの範囲内であることが好まし
い。動粘度が1cStより小さいと、流体組成物の貯蔵
安定性の面で不足を生じ、動粘度が30000cStよ
り大きいと、EA粒子の均一分散が困難になるととも
に、調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜けにくくな
り、取り扱いに支障を来すので好ましくない。この観点
から、動粘度は10cStないし1000cStの範囲
内、特に10cStないし100cStの範囲内である
ことが好ましい。もちろん、電気絶縁性媒体1の動粘度
は、温度により変化し、この温度影響を印加電圧によっ
て抑制することができる。
【0038】本発明に用いられるEA粒子2は、EA効
果を有する無機・有機複合粒子であれば、元素、有機化
合物、または無機化合物、またはそれらの混合物など、
いずれの素材も使用可能である。その例としては例えば
無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気半導
体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、およびこれ
らを表層として有する粒子を挙げることができる。しか
し、このEA粒子2は、上記実施例に示したように、有
機高分子化合物からなる芯体3と、EA無機物の粒子4
からなる表層5とによって形成された無機・有機複合粒
子であることが特に好ましい。この無機・有機複合粒子
は、比較的比重が重いEA無機物の粒子4からなる表層
5が比較的比重の軽い有機高分子化合物である芯体3に
担持されていて、その粒子全体の比重を電気絶縁性媒体
1に対して近似するように調節できる。従ってこれを電
気絶縁性媒体1に分散して得られたENC流体組成物
は、貯蔵安定性に優れたものとなる。
【0039】EA粒子(無機・有機複合粒子)2の芯体
3として使用し得る有機高分子化合物の例としては、ポ
リ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エ
ステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、AB
S樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、アイオノマ
ー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以上の混合
物または共重合物を挙げることができる。
【0040】表層5を形成するEA無機物である粒子4
としては種々のものが用い得るが、好ましい例としては
無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性無機物と
を挙げることができる。これらの粒子4を用いて有機高
分子化合物からなる芯体3の上に表層5を形成すると
き、得られた無機・有機複合粒子は有用なEA粒子2と
なる。
【0041】上記無機イオン交換体の例としては(1)
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0042】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOx(OH)y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、および水酸
化鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは含水
酸化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、Ti
O(OH)2)および水酸化チタン(別名オルソチタン
酸またはαチタン酸、Ti(OH)4)の双方を含むも
のであり、他の化合物についても同様である。
【0043】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどであ
る。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タンおよびモリブデン酸錫などである。
【0044】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイトなど
である。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(HO)Zr2(PO43のような
ものが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置
換したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
【0045】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、及びK2O・2.5TiO
2・2H2Oなどである。なお、上記化合物のうち、aま
たはbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数で
ある化合物を酸処理し、KとHとを置換することによっ
て容易に合成される。
【0046】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、およびタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。) これらには例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6]および
2Co[Fe(CN)6]などの不溶性フェロシアン化
合物が含まれる。
【0047】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2)y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を表
す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類に
より異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を示
すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM2
アルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷移
金属または希土類金属等、H+以外の金属イオンのいず
れか任意のものである。OH基を有する無機イオン交換
体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にOH-
であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4などや
錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意の
ものである。
【0048】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO43の加熱により得られるHZr2(PO43
ハイドロタルサイトの高温 加熱処理物(500〜70
0℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イ
オン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層
として用いることもできる。なお、上記の無機イオン交
換体として、多価金属の水酸化物、及び多価金属の酸性
塩を用いることが特に好ましい。
【0049】上記EA粒子(無機・有機複合粒子)2の
表層5として使用し得る電気半導体性無機物の例は、電
気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cmの金属
酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオン
交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種に金属
ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの有無に
拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他の支持
体上に電気半導体層として施したものなどである。
【0050】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。 ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタン(石原産業社
製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、TiO(OH)
2 )およびオルソチタン酸(別名αチタン酸、Ti(O
H)4 )を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピング電界配列性無機物:これは上記の
電気半導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げ
るために、アンチモン(Sb)などの金属をER無機物
にドーピングしたものであって、例としてはアンチモン
(Sb)ドーピング酸化錫(SnO2 )などを挙げるこ
とができる。 (N)他の支持体上に電気半導体層として電界配列性無
機物を施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シ
リカ、アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、
またはポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子
粒子を用い、これに電気半導体層としてアンチモン(S
b)ドーピング酸化錫(SnO2 )を施したものなどを
挙げることができる。このように他の支持体上に電界配
列性無機物が施された粒子も、全体として電界配列性無
機物と見なすことができる。これらの電界配列性無機物
は、1種類だけでなく、2種類またはそれ以上を同時に
表層として用いることもできる。
【0051】EA粒子(無機・有機複合粒子)2は、種
々な方法によって製造することができる。例えば、有機
高分子化合物からなる粒子状の芯体3と微粒子状の粒子
4とをジェット気流によって搬送し、衝突させて製造す
る方法がある。この場合は粒子状の芯体3の表面に粒子
4の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層5を形成す
る。また別の製法例としては、粒子状の芯体3を気体中
に浮遊させ、粒子4の溶液を霧状にしてその表面に噴霧
する方法がある。この場合はその溶液が芯体3の表面に
付着し乾燥することによって表層5が形成される。
【0052】EA粒子(無機・有機複合粒子)2を製造
する特に好ましい製法は、芯体3と同時に表層5を形成
する方法である。この方法は、例えば、芯体3を形成す
る有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で乳化重
合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒子状と
したEA無機物である粒子4を上記モノマー中、または
重合媒体中に存在させるというものである。重合媒体と
しては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒との混合物
を使用することもでき、また有機系の貧溶媒を使用する
こともできる。この方法によれば、重合媒体の中でモノ
マーが重合して芯体粒子3を形成すると同時に、微粒子
状のEA無機物の粒子4が芯体3の表面に層状に配向し
てこれを被覆し、表層5を形成する。
【0053】乳化重合または懸濁重合によってEA粒子
(無機・有機複合粒子)を製造する場合には、モノマー
の疎水性の性質とEA無機物の親水性の性質を組み合わ
せることによって、EA無機物の粒子4の大部分を芯体
3の表面に付着させることができる。この芯体3と表層
5との同時形成方法によれば、有機高分子化合物からな
る芯体3の表面にEA無機物の粒子4が緻密かつ強固に
接着し、堅牢なEA粒子(無機・有機複合粒子)2が形
成される。
【0054】本発明に使用するEA粒子2の形状は必ず
しも球形であることを要しないが、粒子状の芯体3が調
節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場合
は、得られるEA粒子2の形状はほぼ球形となる。EA
粒子2の粒径は特に限定されるものではないが、0.1
μmないし500μm、特に5μmないし200μmの
範囲内とすることが好ましい。この際の微粒子状のEA
無機物である粒子4の粒径は特に限定されるものではな
いが、好ましくは0.005μmないし100μm、さ
らに好ましくは0.01μmないし10μmの範囲内と
する。
【0055】EA粒子(無機・有機複合粒子)2におい
て、表層5を形成するEA無機物である粒子4と芯体3
を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限定される
ものではないが、保存安定性の高いENC流体組成物を
得るためには、EA無機物の粒子4と有機高分子化合物
の芯体3の合計重量に対して粒子4が1重量%ないし6
0重量%の範囲内、特に4重量%ないし30重量%の範
囲内とすることが好ましい。この芯体3の割合が1重量
%未満では、得られたEA粒子2のEA特性が不十分と
なり、60重量%を超えると、EA粒子2の比重が過大
となって保存安定性を損なう惧れがある。また、本発明
のENC流体組成物は、上記のEA粒子2を、必要なら
分散剤、他の成分とともに電気絶縁性媒体中に均一に攪
拌混合して製造することができる。この攪拌機として
は、液状分散媒に固体粒子を分散させるために通常使用
されるものがいずれも使用できる。電気絶縁性媒体中1
におけるEA粒子2の含有率は、特に限定されるもので
はないが、0.5〜75重量%、特に5〜50重量%で
あることが好ましい。その含有率が1%未満では充分な
EA効果が得られず、75%以上では電圧を印加しない
ときのENC流体組成物の初期粘度が過大となって使用
が困難になる。
【0056】上記の各種方法、特に芯体3と表層5とを
同時に形成する方法によって製造されたEA粒子2は、
その表層5の全部または一部分が有機高分子物質や、製
造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添加物質の
薄膜で覆われていて、電界配列性粒子としてのEA効果
が充分に発揮されない場合がある。この不活性物質の薄
膜は粒子表面を研磨することによって容易に除去するこ
とができる。従って芯体3と表層5とを同時に形成する
場合には、その表面を研磨することが好ましい。
【0057】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子であるEA
粒子2を水などの分散媒体中に分散させて、これを攪拌
する方法によって行うことができる。この際、分散媒体
中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒子2と
共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌する
方法などによって行うこともできる。例えばまた、分散
媒体を使用せず、EA粒子2と上記のような研磨材また
は研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うこともでき
る。
【0058】さらに好ましい研磨方法は、EA粒子2を
ジェット気流などによって気流攪拌する方法である。こ
れは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨す
る方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの粒
子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法で
ある。上記のジェット気流攪拌においては、それに用い
られる装置の種類、攪拌速度、EA粒子2の材質などに
より研磨条件を選定する必要があるが、一般的には60
00rpmの攪拌速度で0.5min〜15min程度
ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0059】本発明のENC流体組成物は、上記のEA
粒子2を、必要なら分散剤など他の成分と共に電気絶縁
性媒体1中に均一に攪拌混合し分散させて製造すること
ができる。この攪拌機としては、液状分散媒に固体粒子
を分散させるために通常使用されるものがいずれも使用
できる。
【0060】なお、上記実施例においては、PETフィ
ルム17aを使用したが、他のプラスチックフィルム等
でも構わない。例えば、PVC(塩化ビニル)フィル
ム、ナイロンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプ
ロピレンフィルム、アクリルフィルム等の各種プラスチ
ックフィルム等でも構わない。
【0061】また、上記実施例においては、騒音防止装
置50,54が用いられる配管45を、コンプレッサー
33に連結された配管45としたが、他の振動するもの
に連結される配管でも構わない。例えば、真空ポンプに
連結された配管でも構わない。更に、外枠部51,51
および音波吸収制御部材52,52を円筒状としたが、
筒状に配管を覆うものなら他の形状でも構わない。例え
ば、断面矩形の筒状としても構わない。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果を奏す
る。 (1)電圧印加調整手段によって一対の電極板への印加
電圧を選択することにより、配管の振動による音波(騒
音)の周波数域を選択して、その周波数域の音波の除去
を行なうことが出来る。また、音波吸収制御部材が、振
動する配管を覆う外枠部の内面に沿って設けられてお
り、振動する配管の外周に対向して配されるため、配管
からの音波が直接的に入射し除去され、高い防音効果を
得ることができる。これらの結果、振動する部材に配管
を連結した装置・機器類の騒音を大幅に低減することが
できる。 (2)振動する部材の振動の周波数が変化したとき、同
時に変化する配管の振動に伴って、発生する音波の周波
数も変化する。この場合、電圧印加調整手段によってこ
の音波の周波数に対応した印加電圧に調整しなおし、変
化した騒音の周波数域を選択して、その周波数域の音波
を除去できる。このように、発生する音波の周波数が変
化する場合にも、容易に対応し除去することができる。 (3)音波の周波数の変化に応じて多種類の音波吸収材
を配管の回りに設ける必要がなく、一種類の本発明の騒
音防止装置で様々な周波数の音波を除去できるので、低
い部材コストで高い防音効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る配管の騒音防止装置の第1実施
例を使用した室外機示す一部を破断した斜視図である。
【図2】 図1のA−A’断面図である。
【図3】 本発明に係る配管の騒音防止装置の第2実施
例を示す拡大断面図である。
【図4】 本発明に係る配管の騒音防止装置の音波吸収
制御部材において、音波が入射されて鎖状体や一方の電
極板が共振している状態を示す断面図である。
【図5】 本発明に係る配管の騒音防止装置のENC流
体組成物の一実施例を示す断面図である。
【図6】 本発明に係る配管の騒音防止装置のENC流
体組成物の電源オフ時の態様を示す断面図である。
【図7】 本発明に係る配管の騒音防止装置のENC流
体組成物の電源オン時の態様を示す断面図である。
【図8】 本発明に係る配管の騒音防止装置の音波吸収
制御部材に、音波が入射されて一方の電極板が振動して
いる状態を示す断面図である。
【図9】 EA粒子分散系についてEA特性に及ぼす電
界強度の影響を測定した結果を示すグラフである。
【図10】 振動系の等価回路を示す図である。
【図11】 本発明に係る配管の騒音防止装置の音波吸
収制御部材において、鎖状体の撓み状態の別な例を示す
図である。
【図12】 本発明に係る配管の騒音防止装置の音波吸
収制御部材において、鎖状体が複数列相互に接合してな
るカラムを示す図である。
【符号の説明】
1…電気絶縁性媒体、2…電界配列性粒子(EA粒子、
固体粒子、無機・有機複合粒子)、4…粒子(電界配列
性無機物の粒子)、17,18…電極板、33…コンプ
レッサー、45…配管、50,54…騒音防止装置、5
1…外枠部、52…音波吸収制御部材、55…マイクロ
ホン、56…電圧制御装置、60…電圧印加調整装置
(電圧印加調整手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 枝村 一弥 東京都港区芝公園2丁目6番15号 藤倉化 成株式会社本社事務所内 (72)発明者 安齊 秀伸 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動する部材に連結された配管から離間
    して該配管を覆う筒状の外枠部を備え、 該外枠部の内面に沿って音波吸収制御部材が設けられ、 該音波吸収制御部材は、電界配列効果を有する固体粒子
    を電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型音波吸収
    制御用流体組成物と、間隙をおいて互いに対向し、前記
    間隙に前記電気感応型音波吸収制御用流体組成物を収容
    した一対の電極板とを備えた構成とされ、 前記一対の電極板間に電圧を印加し且つ該電圧を調整す
    る電圧印加調整手段を備えてなることを特徴とする配管
    の騒音防止装置。
JP6291825A 1994-11-25 1994-11-25 配管の騒音防止装置 Pending JPH08145273A (ja)

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