JPH08117048A - 音楽鑑賞用椅子 - Google Patents

音楽鑑賞用椅子

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JPH08117048A
JPH08117048A JP6262972A JP26297294A JPH08117048A JP H08117048 A JPH08117048 A JP H08117048A JP 6262972 A JP6262972 A JP 6262972A JP 26297294 A JP26297294 A JP 26297294A JP H08117048 A JPH08117048 A JP H08117048A
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JP
Japan
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chair
particles
fluid composition
voltage
sound absorbing
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JP6262972A
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English (en)
Inventor
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Moritaka Goto
守孝 後藤
Kenji Furuichi
健二 古市
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
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Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸音したい音波の周波数に応じて特性周波数
を設定できて、着席時あるいは空席時に係わらず劇場あ
るいは音楽室の音響特性を好みに設定する。 【構成】 音楽鑑賞用椅子の可動座部Cの芯体としての
電極板33の後端側(背もたれ部側)には水/平軸31
が一体的に固定されている。電極板36は電極板33に
隙間をおいて対向するように設けられ、その隙間にはE
NC流体組成物28aが収容されている。電極板33の
周縁には、縁性材料で形成された枠状のシール部材34
の内周縁が固着され、このシール部材34には電極板3
6の周縁が固着されている。電極板33および電極板3
6には可変電源39により電圧が印加されるように構成
され、この印加電圧のオン/オフは、可変電源39に直
列に接続されたスイッチ40により行われ、印加電圧値
の調整は椅子の脚部に設けた電圧調節つまみ(不図示)
により行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、劇場ホール内あるいは
音楽室内に設置される音楽鑑賞用椅子に関し、特に、吸
音部に、電界配列効果に基づいて特性振動数を制御する
ことのできる電気感応型音波吸収制御用流体組成物を用
いた、音楽鑑賞用椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば劇場ホールあるいは音楽室に使用
する音楽鑑賞用椅子は、観客あるいは鑑賞者の座り心地
の良さを考慮し、背もたれや座部等人体と接触する部分
にクッションを使用している。このクッションは吸音力
に優れており、椅子自体が音を吸収するようになってい
る。さて、観客が着席した時には、観客の被服により吸
音力が更に大となる。このため、着席時と空席時とで劇
場ホール内の残響時間等が異なってくるという問題が生
じる。
【0003】このような問題を解決するため従来から、
音楽鑑賞用椅子の改良が試みられてきた。以下、その一
例を説明する。図15および図16は、従来の音楽鑑賞
用椅子50の一構成例を示す図である。これらの図にお
いて、符号61は反射性材質からなる背面板であり、こ
の背面板61の前面には背もたれ部51が固定されてい
る。背もたれ部51は、ポリウレタン、グラスウール等
の弾力性と吸音力を有する材料からなるクッション体5
3、および、その表面を被うクロス52より形成されて
いる。また、符号62は反射性材質からなる下面板であ
り、この下面板62には固定座部58が固定されてい
る。固定座部58もまた背もたれ部51と同様に、クッ
ション体60およびクロス59から構成されている。一
方、可動座部54は、芯板55の両面にクッション体5
7が固定され、クロス56により被われている。可動座
部54の後端は背もたれ部51および固定座部58の共
通基端部に水平軸63により支持されており、固定座部
58のある側から背もたれ部51のある側へ回動可能と
なっている。符号64は一対の脚部(一方の脚部は不図
示)を示しており、この脚部64は椅子50の両側に備
えられて、上記各構成部を支持している。このような構
成において、観客が着席していない時は、可動座部54
が跳ね上げられる。この結果、可動座部54の下面のク
ッション体57が音源側(すなわち、ステージあるいは
スピーカ側)に対向することとなり、このクッション体
57による吸音が行われる。従って、クッション体57
として吸音力に優れたものを使用することにより、椅子
に観客が着席している時の吸音力に近付けることができ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の音楽鑑賞用椅子において、吸音体はその材質により
固有振動数が一定であるため、その固有振動数に近い成
分の音波しか吸収(除去)できず、このため、音源以外
の振動等により不要な音が鑑賞者に聞こえたり、また、
劇場内における音響特性が不変であり、かつ音楽室内に
おいては、音響特性を鑑賞者個人個人の好みには適合で
きない。さらに、空席時の吸音力を高めるためには、ク
ッション体の表面の背後にある空気層を厚くする必要が
あり、そのためにはクッション体として分厚いものを使
用する必要がある。しかしながら、そのように分厚いク
ッション体を設けることは、椅子として構成することに
困難を伴うばかりか、取り扱いの不便をも招く。また、
クッション体の吸音力を高めるにしても、それには限度
があり、劇場において着席時に劣らない空席時の吸音力
を得ることは困難である。また、空席時において、低周
波域の音波に対する吸音力が劣るという問題点もある。
なお、実開平6−15546号公報には、座部と背もた
れ部と可動座部とを備えた劇場ホール用椅子において、
前記可動座部および固定座部が、該可動座部の前端部が
跳ね上がった状態において前部の少なくとも一部が開口
し、その開口から入射する音波を吸収する吸音トラップ
を形成するものが開示されている。しかし、この椅子の
構造は機構的に複雑であるため、所期の動作が達成でき
ない恐れがある上、製作コストの上昇も避けられない。
【0005】ところで、本発明者らは、従来知られてい
ない新規な電界配列特性を有する電気感応型音波吸収制
御用流体組成物の研究を行っている。この流体組成物
は、例えば、電気絶縁性の媒体中に固体粒子を分散させ
て得られる流体であり、これに電界を印加すると固体粒
子が誘電分極を起こし、さらに誘電分極に基づく静電引
力によって互いに電場方向に配位連結して整列し、鎖状
体構造を示す性質を持っている。また、固体粒子によっ
ては電気泳動して配列配向し、配列塊状構造を示す性質
を示すものもある。このように、電界下における粒子の
配列配向を電界配列効果と呼び、そのような性質を有す
る固体粒子を電界配列性粒子と呼ぶこととする。そして
本発明者らは、この新規な構造の電気感応型音波吸収制
御用流体組成物の研究を進めることにより本発明に到達
した。
【0006】本発明は、上記従来技術の有する問題点に
鑑みてなされたものであり、吸音すべき音波の周波数に
応じて、電圧を印加することにより特性振動数を変更で
きる流体組成物を用いることにより、低周波数域の音波
吸収にも有効であるとともに、着席時あるいは空席時に
係わらず劇場あるいは音楽室の音響特性を好みのものに
設定できる、構造が簡単で低コストな音楽鑑賞用椅子を
提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の音楽鑑賞用椅子は、少なくとも一部が吸音部
になっている座部と、少なくとも一部が吸音部になって
いる背もたれ部と、脚部とを備えた音楽鑑賞用椅子にお
いて、前記座部の吸音部および前記背もたれ部の吸音部
の少なくとも一方が、隙間をおいて互いに対向する一対
の電極板と、前記一対の電極板の前記隙間に収容され
た、電界配列効果を有する固体粒子を電気絶縁性媒体中
に含有してなる電気感応型音波吸収制御用流体組成物
と、前記一対の電極板間に電圧を印加し、かつ印加電圧
を可変とする電圧印加手段と、前記印加電圧を調整する
ための電圧調節つまみとにより構成された流体組成物型
吸音部であることを特徴とするものである。また、前記
座部は、下面の少なくとも一部が前記流体組成物型吸音
部に構成されるとともに前記背もたれ部側に跳ね上がる
ように支持された可動座部と、少なくとも一部が前記流
体組成物型吸音部に構成されるとともに前記可動座部の
下方に固定された固定座部とから構成されている。さら
に、前記吸音部が複数箇所設けられ、各吸音部にそれぞ
れ対応して前記電圧調節手段および前記電圧調節つまみ
を各別に備えている。そして、前記電圧調節つまみが前
記脚部に設けられているものや、前記電極板の外界に露
出される部分にはフィルムが貼り付けられているもの
や、前記電圧印加手段は、前記一対の電極板に接続され
た可変電源と、前記可変電源に直列に接続されたスイッ
チとから構成されているものとすることができる。
【0008】
【作用】本発明の音楽鑑賞用椅子において、流体組成物
型吸音部の一対の電極板間に電圧が印加されていない状
態では、電気感応型音波吸収制御用流体組成物(以下、
Electric Noise−Control流体組
成物を略して「ENC流体組成物」と称する)中の電界
配列効果(以下、Electric Alignmen
t効果を略して「EA効果」と称する)を有する固体粒
子(電界配列性粒子を略して「EA粒子」と称する)は
電気絶縁性媒体中に不規則にランダムに浮遊・分散して
いる。電圧印加手段により一対の電極間に電圧を印加す
ると、EA粒子は鎖状に配列結合して鎖状体(粒子鎖)
を形成し、この鎖状体が電界方向に平行して配列する。
この状態で、一方の電極板に音波(空気振動)を入射さ
せると、この電極板が前記対向方向に振動するが、鎖状
体自体が弾性の性質を持っているため、鎖状体は引っ張
られる場合には、向かい合う粒子同士が引き合って引力
を、圧縮される場合には、撓んで反発力をそれぞれ生
じ、電気絶縁性媒体中の鎖状体の運動により粘性抵抗が
生じ、これによって音波の持つエネルギーの損失(散
逸)が起こり、音波を吸収できる。
【0009】すなわち、一方の電極板に入射した音波
に、鎖状体を含むENC流体組成物と電極板とが共振す
るのである。このような鎖状体に振動を与える音波周波
数は、鎖状体の持つ特性振動数(鎖状体の弾性と外側電
極の慣性とのバランスからなる、いわゆる固有振動数と
推定される)によって定まり、その特性振動数と一致し
た周波数の音波が外側電極に入射すると、鎖状体は共振
してその音波を吸収し、他の周波数の音波は反射される
ことになる。
【0010】各粒子間に働く引力(鎖状体に生じる応
力)は、一対の電極板間に印加される電圧の増加に伴っ
て増大することから、鎖状体自体の弾性率と粘性率が印
加電圧の増加に伴って増大することになり、本発明は、
このことを利用するものである。すなわち、電圧調節つ
まみにより印加電圧を調整して、鎖状体自体の特性振動
数を、入射音波(空気振動)のうち除去したい成分の振
動数に一致させることにより、鎖状体を共振(共鳴)さ
せ、吸音(除去)したい成分のエネルギーを消費し、そ
の他の成分を反射させるものである。
【0011】このように、本発明の音楽鑑賞用椅子にお
いて、印加電圧を変えることにより、吸音すべき音波の
周波数を変更でき、また、音源以外の振動等により発生
した不要な音(不快な音)を吸収できる。そして、空席
時の印加電圧を着席時の印加電圧よりも大きく設定する
ことにより、着席時に劣らない空席時の吸音力を得るこ
とができるとともに、着席時あるいは空席時に係わらず
劇場あるいは音楽室の音響特性を好みに設定できる。
【0012】図11は、対向する一対の電極板間にEA
粒子30wt%分散系を収容させた場合における、電界
配列特性(以下、「EA特性」と称する)に及ぼす電界
強度の影響を測定した結果を示すグラフである。このグ
ラフから印加電圧が増加するほど鎖状体に働く応力は増
大することが明かである。EA特性は、誘電分極した粒
子が電気的引力により電場方向に配列し、鎖状構造を形
成することに起因する。低せん断速度では、電気的引力
が支配的であるので、鎖状構造の破壊と再形成がゆるや
かに繰り返される。電場方向に並んだ鎖をそれと直角方
向にせん断破壊させるとき発生する力が降伏応力に相当
する。形成されるすべての鎖の粒子が同じ直径をもち、
直鎖状の並んで電極板間を結んでいると考えると、鎖の
数は粒子濃度に比例するので、降伏応力も粒子濃度に比
例することになる。図12は上述した電極板振動系の等
価回路を示し、すなわち、この電極板振動系は、弾性率
Kのコイルばね22と粘性率Cのダッシュポット23が
一対の電極板間に並列に接続されてなる等価回路とみな
すことができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の音楽鑑賞用椅子の一実施例に
ついて、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明
の理解を容易にするために、以下、電気感応型音波吸収
制御用流体組成物(ENC流体組成物)、ENC流体組
成物を一対の電極板間に収容させて構成した音波吸収制
御装置および音楽鑑賞用椅子について順次説明する。
【0014】先ず、図5に本発明の音楽鑑賞用椅子に使
用する電気感応型音波吸収制御用流体組成物(ENC流
体組成物)の一具体例を示す。このENC流体組成物
は、電気絶縁性媒体1中に固体粒子であるEA粒子(電
界配列性粒子)2が均一に分散されてなっている。この
EA粒子2は、有機高分子化合物からなる芯体3と、電
界配列性無機物(以下、「EA無機物」と称する)であ
る粒子4からなる表層5とによって形成され、無機・有
機複合粒子を形成している。この具体例において、電気
絶縁性媒体1は無色透明のシリコーン油であり、無機・
有機複合粒子の芯体3を形成する有機高分子化合物はポ
リアクリル酸エステルであり、表層5を形成するEA無
機物の粒子4は無機イオン交換体でありかつ電気半導体
性無機物でもある白色の水酸化チタンである。このEA
粒子(無機・有機複合粒子)の色は例えば白色である。
また、電気絶縁性媒体1中に含まれるEA粒子2の割合
は例えば7.5重量%である。
【0015】 このENC流体組成物は、図6に示すよ
うに、離間して平行に配置した一対の電極板7,8の間
に介在させる。図7に示すように、この一対の電極板
7,8に、電源9からスイッチ10を介して電圧を印加
すると、EA効果によってEA粒子2が電極板7,8の
面と直角の方向に鎖状に配列して鎖状体(粒子鎖)6を
形成する。このとき、各鎖状体6は相互に離間して平行
に配向する。
【0016】 次に、上述したENC流体組成物を対向
する一対の電極板間に収容させて構成した音波吸収制御
装置(音波制振装置)について説明する。図8に示すよ
うに、一対の電極板17,18が間隙(組成物収容空
間)をおいて対向配置され、これら一対の電極板17,
18間には、上述した本発明の、EA効果を有するEA
粒子2を電気絶縁性媒体1中に含有してなるENC流体
組成物が収容されている。一方の(下方の)電極板18
は図示しない固定部材に固定配置されており、他方の電
極板17は、音波に対して柔軟な例えばPET(ポリエ
チレンテレフタレート)フィルム17aの下面に一様に
接着されている。前記一対の電極板17,18の周縁お
よびPETフィルム17aの周縁には、枠状のシール部
材15が固着されている。PETフィルム17aを電極
板17の外周面に貼り付けたことにより、電極板17の
音波入射による振動追従性が高まる。
【0017】 一対の電極板17,18およびシール部
材15により形成された空間内に、本発明のENC流体
組成物が密閉された状態で収容されている。また、一方
の電極板17およびPETフィルム17aは、その周縁
が固定されているが、一対の電極板17,18の対向方
向(矢印Xで示す上下方向)に振動できるように構成さ
れている。これにより、音波(空気振動)11がPET
フィルム17aに入射した場合には、PETフィルム1
7aおよび一方の電極板17は上下振動することができ
る。
【0018】 符号13は、一対の電極板17,18間
に電圧を印加し、かつ印加電圧を可変とする電源(電圧
印加手段)であり、この電源13にはスイッチ14が直
列に接続されている。このスイッチ14をオンにするこ
とにより、一対の電極板17,18間に電圧を印加する
ことができる。この音波吸収制御装置は、通常、外観矩
形板状あるいは円形板状の形態であるが、勿論、設置す
る場所に合わせて適宜の形状とする。
【0019】 次に、上記構成の音波吸収制御装置の動
作について説明する。図8に示すように、一対の電極板
17,18間に電圧が印加されていない状態では、EN
C流体組成物のEA粒子2が電気絶縁性媒体1中にラン
ダムに浮遊・不規則に分散している(図6参照)。一対
の電極板17,18に電圧を印加すると、ENC流体組
成物中のEA粒子2が鎖状に配列結合して鎖状体(粒子
鎖)6を形成し、この鎖状体6が電界方向に平行して配
列する(図7参照)。
【0020】 この状態で、一方の電極板17に音波
(空気振動)11を入射させると、図10の(a),
(b),(c)および(d)の状態が順次起こって、こ
の電極板17がPETフィルム17aとともに矢印X
(図8および図9参照)で示すように対向方向に振動す
るが、鎖状体6自体が弾性の性質を持っているため、図
10の(b)に示すように、鎖状体6は、圧縮される場
合には、例えば「く」の字状に撓んで反発力を生じ、図
10の(d)に示すように、鎖状体6は、引っ張られる
場合には、向かい合うEA粒子2同士が引き合って引力
を生じる。これにより、ENC流体組成物中での鎖状体
6の運動により、粘性抵抗が生じ、音波11の持つエネ
ルギーの損失(散逸)が起こる。
【0021】 そして、電極板17の振動にともなっ
て、鎖状体6の引っ張りと圧縮が繰り返されるものであ
り、この結果、鎖状体6自身も振動することになる。す
なわち、電極板17に入射した音波11に、鎖状体6を
含むENC流体組成物と、電極板17とPETフィルム
17aとからなる電極板構造体とが共振するのである。
このような鎖状体6に振動を与える音波周波数は、鎖状
体6の持つ特性振動数によって定まり、その特性振動数
と一致した周波数の音波11が電極板17に入射する
と、鎖状体17は共振して(図9中矢印A,B参照)そ
の音波を吸収し、他の周波数の音波12は反射されるこ
とになる。
【0022】 各電界配列性粒子2間に働く力(鎖状体
6に生じる応力)は一対の電極板17,18に印加され
る電圧の増加に伴って増大することから、鎖状体6自体
の弾性率と粘性率が印加電圧の増加に伴って増大するこ
とになる。本発明は、このことを利用して音波の所望の
成分を除去するものである。すなわち、印加電圧を調整
して、粒子鎖6自体の特性振動数を、電極板17に入射
した音波(空気振動)のうち除去したい成分(特定波長
の音波)の振動数に一致させることにより、図9に示す
ように、鎖状体6を慣性力の作用により左右矢印A,B
で示すように共振(共鳴)させ、入射音波11の除去し
たい成分のエネルギーを消費し、その他の音波成分(符
号12で示す)を反射させるものである。このように、
印加電圧により、入射音波の所望の特定波長の成分を吸
収できる。
【0023】 音波吸収制御装置の特性周波数は、EA
粒子(固体粒子)の大きさ、EA粒子間に働く弾性力、
また電極板の固有振動数および電極板間の距離等により
変化する。本発明では、電気絶縁性媒体中に粒径がほぼ
均一な球形状のEA粒子が分散されたものであるので
(不定形粒子を用いない)、一定電圧下では上述した反
発力や引力が変動せず、しかも、EA粒子間に働く弾性
力と電極板の慣性力のバランスにも変動が生じにくい。
上記実施例においては、鎖状体は「く」の字状に撓むも
のとされているが、この他に、例えば図13の(a)に
示すようなS字型、あるいは図13の(b)に示すよう
なW字型に撓む場合もあると考えられる。
【0024】 また、上記実施例においては、電界の印
加によってEA粒子(無機・有機複合粒子)2が1列の
鎖状体6を形成して平行に配列する現象について説明し
たが、EA粒子2の数が数重量%を越えて多くなると、
1列の鎖状体6ではなく、鎖状体6が複数列相互に接合
して、図14の(a)の如くカラム19を構成して配列
するようになる。このカラム19においては左右の鎖状
体のEA粒子2は1つずつずれて互い違いに隣接する。
これについて本発明者らは、図14の(b)に示すごと
く、+極部分と−極部分に誘電分極しているEA粒子2
が互い違いに隣接して+極部分と−極部分とが引き合っ
て配列した方がエネルギー的に安定なためであると推定
している。
【0025】 次に、本発明の音楽鑑賞用椅子の一実施
例について説明する。図1および図2は、それぞれこの
音楽鑑賞用椅子の空席時および着席時の側面図、図3の
(a)および(b)はそれぞれ可動座部および背もたれ
部(または固定座部)の断面図、図4は電圧印加手段の
操作パネルを示す図である。先ず、図1および図2に示
すように、この音楽鑑賞用椅子の概略構造について、背
もたれ部Aは背面基板30を備え、この背面基板30の
前面には、クッション体および該クッション体の表面を
覆うクロスからなる公知の背面基板25aが固定されて
いる。また、背面基板30の後面には本発明の特徴であ
る流体組成物型吸音部26が設けられている。流体組成
物型吸音部26の詳細構造は、後述するが、一対の電極
板37(一方の電極板は不図示)間にENC流体組成物
26aを収容したものである。また、固定座部Bは反射
性材料からなる下面基板29を備え、この下面基板29
の上面全域には本発明の特徴である流体組成物型吸音部
27が設けられている。この流体組成物型吸音部27も
背もたれ部Aと同様に、一対の電極板37(一方の電極
板は不図示)間にENC流体組成物27aを収容したも
のである。一方、可動座部Cは、芯板としての電極板3
3を備え、この電極板33の上面には、クッション体お
よび該クッション体の表面を覆うクロスからなる公知の
座面基板25bが固定されている。また、電極板33の
下面全域には本発明の特徴である流体組成物型吸音部2
8が設けられている。この流体組成物型吸音部28も背
もたれ部Aと同様に、一対の電極板33(一方の電極板
は不図示)間にENC流体組成物28aを収容したもの
である。
【0026】 可動座部Cの後端は、背もたれ部Aおよ
び固定座部Bの共通基端部(不図示)に水平軸31によ
り支持されており、固定座部Bのある側から背もたれ部
Aのある側へ回動可能となっている。符号32は一対の
脚部(一方の脚部は不図示)を示しており、この脚部3
2は椅子の両側に備えられており、上記各構成部や着席
時の人の体重を支持するものである。このような構成に
おいて、観客が着席していない時は(図1参照)、可動
座部Cが跳ね上げられる。この結果、可動座部Cが音源
側(すなわち、ステージあるいはスピーカ側)に対向す
ることとなり、可動座部Cの流体組成物型吸音部28に
よる吸音が行われる。可動座部Cの流体組成物型吸音部
28に印加する電圧により吸音力を優れたものとするこ
とにより、空席時の椅子全体の吸音力を、椅子に観客
(音楽鑑賞者)24が着席している時(図2参照)の吸
音力に近付けることができる。
【0027】 音楽鑑賞用椅子の詳細構造については、
図3の(a)に示すように、可動座部Cの芯体としての
電極板33の後端側(背もたれ部側)には水平軸31が
一体的に固定されている。電極板36は電極板33に間
隙をおいて対向するように設けられ、その内部にはEN
C流体組成物28aが収容されている。電極板33の周
縁には、縁性材料で形成された枠状のシール部材34の
内周縁が固着され、一方、このシール部材34の外周縁
には上記電極板36の周縁が固着されている。これによ
り、電極板33と電極板36とは電気的に不導通である
とともに、電極板33,36間に収容されているENC
流体組成物28aは外部に漏れることがない。電極板3
6の外周面にはPET(ポリエチレンテレフタレート)
フィルム35が被覆されている。前記水平軸31の両端
部は電極板36およびPETフィルム35を貫通してい
るが、ENC流体組成物28aが外部に漏れないよう
に、前記貫通部にはそれぞれシール部材(不図示)がは
め込まれている。電極板33,36には可変電源39に
より電圧が印加されるように構成され、この印加電圧の
オン/オフは、可変電源39に直列に接続されたスイッ
チ40により行われる。可変電源39およびスイッチ4
0により電圧印加手段が構成されている。
【0028】 また、図1および図2に示すように、印
加電圧値の調整は例えば回転式の電圧調節つまみ44に
より容易の行うことができる。符号45は操作パネルを
示し、この操作パネル45は上記スイッチ30や電圧調
節つまみ44を備え、例えば音楽鑑賞者24が操作しや
すいように椅子の脚部32の側面に設けられる。なお、
図4中符号44は操作パネル45に刻設された電圧の目
盛りを示している。
【0029】 図3の(b)に示すように、背もたれ部
Aおよび固定座部Bについては、大きさが異なるのみ
で、構成は同一であるので、ここでは背もたれ部Aにつ
いて説明する。電極板37は背面基板30(図1および
図2参照)の前面に固定されている。この電極板37の
周縁には、縁性材料で形成された枠状のシール部材38
の内周縁が固着されている。一方、電極板41は電極板
37の一面を覆うように間隔をおいて対向しており、こ
の電極板41の周縁はシール部材38の外周縁に固着さ
れている。これにより、電極板37と電極板41とは電
気的に不導通であるとともに、電極板37,41間に収
容されているENC流体組成物26aは外部に漏れるこ
とがない。電極板41の外周面にはPET(ポリエチレ
ンテレフタレート)フィルム39が被覆されている。電
極板37および41間には可変電源42により電圧が印
加されるように構成され、この印加電圧のオン/オフ
は、可変電源42に直列に接続されたスイッチ43によ
り行われる。また、図1および図2に示すように、この
スイッチ43や印加電圧値を調整するための電圧調節つ
まみは、上記と同様に脚部32に備え付けられた操作パ
ネル46に設けられている。なお、符号47は固定座部
B用の操作パネルを示している。
【0030】 上記実施例においては、音楽鑑賞用椅子
が例えば音楽室に設置される場合のように、背もたれ
部、固定座部および可動座部に、それぞれ各別に可変電
源、スイッチおよぼ電圧調節つまみ等を設け、各別に印
加電圧のオン・オフや印加電圧値を調整できるものを示
したが、これに限らず、劇場において使用される場合に
は、は一つの電源、スイッチおよび電圧調節つまみを兼
用し、これらを劇場の管理者が操作するようにしてもよ
い。
【0031】図1乃至図3に示したように、本発明の音
楽鑑賞用椅子は、例えば劇場や音楽室に設置されるもの
であるが、着席時には固定座部Bおよび可動座部Cの流
体組成物型吸音部27,28は、人体の体重がかかるた
め、吸音作用はない。したがって、前記騒音を吸音した
り音響特性を設定する場合には、背もたれ部Aの流体組
成物型吸音部26に対応するスイッチ43のみをオンに
するとともに、電圧調節つまみにより印加電圧を調整す
る。一方、空席時には、前記騒音を吸音したり音響特性
を設定する場合には、各スイッチ39,43をオンにす
るとともに、各電圧調節つまみ48により、吸音したい
音波の周波数に合わせて印加電圧を設定する。上述した
音波吸収制御装置の作用と同様に、外側の電極板36,
41に音波が入射することにより、外側の電極板36,
41は振動する。外側の電極板36,41に入射した音
波に、鎖状体を含むENC流体組成物26a,27a,
28aと電極板36,41とが共振する。このような鎖
状体に振動を与える音波周波数は、鎖状体の持つ特性振
動数(鎖状体の弾性と電極板の慣性とのバランスからな
る、いわゆる固有振動数と推定される)によって定ま
り、その特性振動数と一致した周波数の音波が電極板3
6,41に入射すると、鎖状体は共振してその音波を吸
収し、他の周波数の音波は反射されることになる。
【0032】このように、所望の振動数の付近の成分の
音波を吸収でき、このため、音源以外の振動等により発
生した不要な音(不快な音)が鑑賞者に聞こえることは
ない。また、劇場内における音響特性を変化させること
ができ、かつ音楽室内においては、音響特性を鑑賞者個
人個人の好みに適合できる。さらに、可動座部や固定座
部においては、ENC流体組成物は吸音性の他にクッシ
ョン性も兼ね備えるので、椅子としての機能も充分にあ
る。劇場において、空席時の印加電圧を着席時の印加電
圧よりも大きく設定することにより、着席時に劣らない
空席時の吸音力を得ることができるとともに、着席時あ
るいは空席時に係わらず劇場あるいは音楽室の音響特性
を好みに設定できる。
【0033】 本発明の音楽鑑賞用椅子は、可動座部
を有しない椅子にも適用できることは言うまでもない。
また、下面板の下面に流体組成物型吸音部を設けてもよ
い。さらに、上記実施例のような、背もたれ部、固定座
部および可動座部の全てにENC流体組成物を用いるも
のに限らず、ENC流体組成物を、背もたれ部、固定座
部および可動座部のいずれか1つの一部分に用いてもよ
い。上記実施例においては、一対の電極板間に直接EN
C流体組成物を収容したものを示したが、これに限ら
ず、ENC流体組成物を十分に含浸させた多孔質体を一
対の電極板間に収容してもよい。この場合、多孔質体
は、EA効果を損なわないために、連続気泡を有するも
のが好ましい。
【0034】本発明のENC流体組成物に用いる電気絶
縁性媒体1としては、例えば、塩化ジフェニル、セバチ
ン酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級アルコールエス
テル、ハロフェニルアルキルエーテル、トランス油、塩
化パラフィン、弗素系オイル、またはシリコーン系オイ
ルやフルオロシリコーン系オイルなど、電気絶縁性及び
電気絶縁破壊強度が高く、化学的に安定でかつEA粒子
を安定に分散させ得るものであればいずれの流体または
これらの混合物も使用可能である。この電気絶縁性媒体
1は、目的に応じて着色することができる。着色する場
合は、選択された電気絶縁性媒体に可溶であってその電
気的特性を損なわない種類と量の油溶性染料または分散
性染料を用いることが好ましい。電気絶縁性媒体1に
は、この他に分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、酸化防
止剤、安定剤などが含まれていてもよい。
【0035】この電気絶縁性媒体1の動粘度は、1cS
tないし30000cStの範囲内であることが好まし
い。動粘度が1cStより小さいと、流体組成物の貯蔵
安定性の面で不足を生じ、動粘度が30000cStよ
り大きいと、EA粒子の均一分散が困難になるととも
に、調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜けにくくな
り、取り扱いに支障を来すので好ましくない。この観点
から、動粘度は10cStないし1000cStの範囲
内、特に10cStないし100cStの範囲内である
ことが好ましい。もちろん、電気絶縁性媒体1の動粘度
は、温度により変化し、この温度影響を印加電圧によっ
て抑制することができる。
【0036】本発明に用いられるEA粒子2は、EA効
果を有する無機・有機複合粒子であれば、元素、有機化
合物、または無機化合物、またはそれらの混合物など、
いずれの素材も使用可能である。その例としては例えば
無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気半導
体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、およびこれ
らを表層として有する粒子を挙げることができる。しか
し、このEA粒子2は、上記実施例に示したように、有
機高分子化合物からなる芯体3と、EA無機物の粒子4
からなる表層5とによって形成された無機・有機複合粒
子であることが特に好ましい。この無機・有機複合粒子
は、比較的比重が重いEA無機物の粒子4からなる表層
5が比較的比重の軽い有機高分子化合物である芯体3に
担持されていて、その粒子全体の比重を電気絶縁性媒体
1に対して近似するように調節できる。従ってこれを電
気絶縁性媒体1に分散して得られたENC流体組成物
は、貯蔵安定性に優れたものとなる。
【0037】EA粒子(無機・有機複合粒子)2の芯体
3として使用し得る有機高分子化合物の例としては、ポ
リ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エ
ステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、AB
S樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、アイオノマ
ー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以上の混合
物または共重合物を挙げることができる。
【0038】表層5を形成するEA無機物である粒子4
としては種々のものが用い得るが、好ましい例としては
無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性無機物と
を挙げることができる。これらの粒子4を用いて有機高
分子化合物からなる芯体3の上に表層5を形成すると
き、得られた無機・有機複合粒子は有用なEA粒子2と
なる。
【0039】上記無機イオン交換体の例としては(1)
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0040】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOx(OH)y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、および水酸
化鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは含水
酸化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、Ti
O(OH)2)および水酸化チタン(別名オルソチタン
酸またはαチタン酸、Ti(OH)4)の双方を含むも
のであり、他の化合物についても同様である。
【0041】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどであ
る。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タンおよびモリブデン酸錫などである。
【0042】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイトなど
である。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO43のようなも
のが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置換
したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
【0043】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、及びK2O・2.5TiO
2・2H2Oなどである。なお、上記化合物のうち、aま
たはbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数で
ある化合物を酸処理し、KとHとを置換することによっ
て容易に合成される。
【0044】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、およびタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。) これらには例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6]および
2Co[Fe(CN)6]などの不溶性フェロシアン化
合物が含まれる。
【0045】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2)y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を表
す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類に
より異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を示
すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM2
アルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷移
金属または希土類金属等、H+以外の金属イオンのいず
れか任意のものである。OH基を有する無機イオン交換
体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にOH-
であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4など
や錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意
のものである。
【0046】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO43の加熱により得られるHZr2(PO43
ハイドロタルサイトの高温 加熱処理物(500〜70
0℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イ
オン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層
として用いることもできる。なお、上記の無機イオン交
換体として、多価金属の水酸化物、及び多価金属の酸性
塩を用いることが特に好ましい。
【0047】上記EA粒子(無機・有機複合粒子)2の
表層5として使用し得る電気半導体性無機物の例は、電
気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cmの金属
酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオン
交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種に金属
ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの有無に
拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他の支持
体上に電気半導体層として施したものなどである。
【0048】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2 )およびオルソチタン酸(別名αチタ
ン酸、Ti(OH)4 )を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピング電界配列性無機物:これは上記の
電気半導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げ
るために、アンチモン(Sb)などの金属をER無機物
にドーピングしたものであって、例としてはアンチモン
(Sb)ドーピング酸化錫(SnO2 )などを挙げるこ
とができる。 (N)他の支持体上に電気半導体層として電界配列性無
機物を施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シ
リカ、アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、
またはポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子
粒子を用い、これに電気半導体層としてアンチモン(S
b)ドーピング酸化錫(SnO2 )を施したものなどを
挙げることができる。このように他の支持体上に電界配
列性無機物が施された粒子も、全体として電界配列性無
機物と見なすことができる。これらの電界配列性無機物
は、1種類だけでなく、2種類またはそれ以上を同時に
表層として用いることもできる。
【0049】EA粒子(無機・有機複合粒子)2は、種
々な方法によって製造することができる。例えば、有機
高分子化合物からなる粒子状の芯体3と微粒子状の粒子
4とをジェット気流によって搬送し、衝突させて製造す
る方法がある。この場合は粒子状の芯体3の表面に粒子
4の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層5を形成す
る。また別の製法例としては、粒子状の芯体3を気体中
に浮遊させ、粒子4の溶液を霧状にしてその表面に噴霧
する方法がある。この場合はその溶液が芯体3の表面に
付着し乾燥することによって表層5が形成される。
【0050】EA粒子(無機・有機複合粒子)2を製造
する特に好ましい製法は、芯体3と同時に表層5を形成
する方法である。この方法は、例えば、芯体3を形成す
る有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で乳化重
合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒子状と
した電界配列性無機物である粒子4を上記モノマー中、
または重合媒体中に存在させるというものである。重合
媒体としては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒との
混合物を使用することもでき、また有機系の貧溶媒を使
用することもできる。この方法によれば、重合媒体の中
でモノマーが重合して芯体粒子3を形成すると同時に、
微粒子状のEA無機物の粒子4が芯体3の表面に層状に
配向してこれを被覆し、表層5を形成する。
【0051】乳化重合または懸濁重合によってEA粒子
(無機・有機複合粒子)を製造する場合には、モノマー
の疎水性の性質と電界配列性無機物の親水性の性質を組
み合わせることによって、電界配列性無機物の粒子4の
大部分を芯体3の表面に付着させることができる。この
芯体3と表層5との同時形成方法によれば、有機高分子
化合物からなる芯体3の表面にEA無機物の粒子4が緻
密かつ強固に接着し、堅牢なEA粒子(無機・有機複合
粒子)2が形成される。
【0052】本発明に使用するEA粒子2の形状は必ず
しも球形であることを要しないが、粒子状の芯体3が調
節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場合
は、得られるEA粒子2の形状はほぼ球形となる。EA
粒子2の粒径は特に限定されるものではないが、0.1
μmないし500μm、特に5μmないし200μmの
範囲内とすることが好ましい。この際の微粒子状のEA
無機物である粒子4の粒径は特に限定されるものではな
いが、好ましくは0.005μmないし100μm、さ
らに好ましくは0.01μmないし10μmの範囲内と
する。
【0053】EA粒子(無機・有機複合粒子)2におい
て、表層5を形成するEA無機物である粒子4と芯体3
を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限定される
ものではないが、保存安定性の高いENC流体組成物を
得るためには、EA無機物の粒子4と有機高分子化合物
の芯体3の合計重量に対して粒子4が1重量%ないし6
0重量%の範囲内、特に4重量%ないし30重量%の範
囲内とすることが好ましい。この芯体3の割合が1重量
%未満では、得られたEA粒子2のEA特性が不十分と
なり、60重量%を超えると、EA2粒子の比重が過大
となって保存安定性を損なう惧れがある。また、本発明
のENC流体組成物は、上記のEA粒子2を、必要なら
分散剤、他の成分とともに電気絶縁性媒体中に均一に攪
拌混合して製造することができる。この攪拌機として
は、液状分散媒に固体粒子を分散させるために通常使用
されるものがいずれも使用できる。電気絶縁性媒体中1
におけるEA粒子2の含有率は、特に限定されるもので
はないが、0.5〜75重量%、特に5〜50重量%で
あることが好ましい。その含有率が1%未満では充分な
EA効果が得られず、75%以上では電圧を印加しない
ときのENC流体組成物の初期粘度が過大となって使用
が困難になる。
【0054】上記の各種方法、特に芯体3と表層5とを
同時に形成する方法によって製造されたEA粒子2は、
その表層5の全部または一部分が有機高分子物質や、製
造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添加物質の
薄膜で覆われていて、電界配列性粒子としての電界配列
効果が充分に発揮されない場合がある。この不活性物質
の薄膜は粒子表面を研磨することによって容易に除去す
ることができる。従って芯体3と表層5とを同時に形成
する場合には、その表面を研磨することが好ましい。
【0055】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子であるEA
粒子2を水などの分散媒体中に分散させて、これを攪拌
する方法によって行うことができる。この際、分散媒体
中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒子2と
共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌する
方法などによって行うこともできる。例えばまた、分散
媒体を使用せず、EA粒子2と上記のような研磨材また
は研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うこともでき
る。
【0056】さらに好ましい研磨方法は、EA粒子2を
ジェット気流などによって気流攪拌する方法である。こ
れは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨す
る方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの粒
子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法で
ある。上記のジェット気流攪拌においては、それに用い
られる装置の種類、攪拌速度、EA粒子2の材質などに
より研磨条件を選定する必要があるが、一般的には60
00rpmの攪拌速度で0.5min〜15min程度
ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0057】本発明のENC流体組成物は、上記のEA
粒子2を、必要なら分散剤など他の成分と共に電気絶縁
性媒体1中に均一に攪拌混合し分散させて製造すること
ができる。この攪拌機としては、液状分散媒に固体粒子
を分散させるために通常使用されるものがいずれも使用
できる。
【0058】
【発明の効果】本発明は、以上説明したとおりに構成さ
れているので、以下に記載するような効果を奏する。本
発明の音楽鑑賞用椅子において、音波の吸収したい成分
の振動数に合わせて、電界配列効果を有する流体組成物
の特性振動数を設定することにより、流体組成物を変更
することなく、周波数域に係わらず、所望の振動数の音
波を吸収できる。結果的に、劇場や音楽室において所望
も音響特性を得ることができ、構造が簡単でかつコスト
の安い音楽鑑賞用椅子を提供できる。また、各吸音部に
それぞれ対応して電圧調節手段および電圧調節つまみを
各別に備えることにより、椅子全体の吸音特性を微調整
できる。さらに、電圧調節つまみを椅子の脚部に設ける
ことにより、鑑賞者が椅子に座ったままで電圧調整を容
易に行える。そして、電極板の外周面にフィルムを貼り
付けることにより、電極板の音波入射による振動追従性
が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の音楽鑑賞用椅子の一実施例の空席時
の縦断面図である。
【図2】 本発明の音楽鑑賞用椅子の一実施例の着席時
の縦断面図である。
【図3】 (a)は図1および図2に示した背もたれ部
の拡大断面図、(b)は図1および図2に示した可動座
部及び座部の拡大断面図である。
【図4】 電圧印加手段の操作パネルを示す図である。
【図5】 電気感応型音波吸収制御用流体組成物の一実
施例を示す断面図である。
【図6】 電気感応型音波吸収制御用流体組成物の電源
オフ時の態様を示す断面図である。
【図7】 電気感応型音波吸収制御用流体組成物の電源
オン時の態様を示す断面図である。
【図8】 電気感応型音波吸収制御用流体組成物を備え
た音波吸収制御装置(音波制振装置)の断面図である。
【図9】 電気感応型音波吸収制御用流体組成物を備え
た音波吸収制御装置において、音波が入射されて共振し
ている状態を示す断面図である。
【図10】 電気感応型音波吸収制御用流体組成物を備
えた音波吸収制御(音波制振)装置に、音波が入射され
て一方の電極板が振動している状態を示す断面図であ
る。
【図11】 電界配列性粒子分散系について電界配列特
性に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示すグラフ
である。
【図12】 振動系の等価回路を示す図である。
【図13】 電気感応型音波吸収制御用流体組成物を備
えた音波吸収制御装置において、鎖状体の撓み状態の別
な例を示す図である。
【図14】 電気感応型音波吸収制御用流体組成物を備
えた音波吸収制御装置において、鎖状体が複数列相互に
接合してなるカラムを示す図である。
【図15】 従来の音楽鑑賞用椅子の一例の空席時の縦
断面図である。
【図16】 従来の音楽鑑賞用椅子の一例の着席時の縦
断面図である。
【符号の説明】
1…電気絶縁性媒体、2…電界配列性粒子(EA粒子、
固体粒子、無機・有機複合粒子)、3…芯体(有機高分
子化合物)、4…粒子(電界配列性無機物の粒子)、5
…表層、6…鎖状体(粒子鎖)、7,8…電極板、9…
電源、10…スイッチ、11…入射音波、12…反射音
波、13…電源(電圧印加手段)、14…スイッチ、1
5…シール部材、17,18…電極板、17a…PET
(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、19…カラ
ム、20,21…鎖状体(粒子鎖)、22…コイルば
ね、23…ダッシュポット、24…鑑賞者、25a…背
面基板、25b…座面基板、26…流体組成物型吸音
部、26a…ENC流体組成物、27…流体組成物型吸
音部、27a…ENC流体組成物、28…流体組成物型
吸音部、28a…ENC流体組成物、29…下面基板、
30…背面基板、31…水平軸、32…脚部、33…電
極板(芯板)、34…シール部材、35…PETフィル
ム、36…電極板、37…電極板、38…シール部材、
39…可変電源、40…スイッチ、41…電極板、42
…可変電源、43…スイッチ、44…電圧調節つまみ、
45,46,47…操作パネル、49…目盛り、A…背
もたれ部、B…固定座部、C…可動座部、D…電圧印加
手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G10K 11/162 (72)発明者 後藤 守孝 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 古市 健二 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一部が吸音部になっている座
    部(B,C)と、少なくとも一部が吸音部になっている
    背もたれ部(A)と、脚部(32)とを備えた音楽鑑賞
    用椅子において、 前記座部(B,C)の吸音部および前記背もたれ部
    (A)の吸音部の少なくとも一方が、隙間をおいて互い
    に対向する一対の電極板(33,36),(37,4
    1)と、前記一対の電極板(33,36),(37,4
    1)の前記隙間に収容された、電界配列効果を有する固
    体粒子(2)を電気絶縁性媒体(1)中に含有してなる
    電気感応型音波吸収制御用流体組成物(26a,27
    a,28a)と、前記一対の電極板(33,36),
    (37,41)間に電圧を印加し、かつ印加電圧を可変
    とする電圧印加手段(D)と、前記印加電圧を調整する
    ための電圧調節つまみ(44)とにより構成された流体
    組成物型吸音部(26,27,28)であることを特徴
    とする音楽鑑賞用椅子。
  2. 【請求項2】 前記座部(B,C)は、下面の少なくと
    も一部が前記流体組成物型吸音部(28)に構成される
    とともに前記背もたれ部(A)側に跳ね上がるように支
    持された可動座部(C)と、少なくとも一部が前記流体
    組成物型吸音部(27)に構成されるとともに前記可動
    座部(C)の下方に固定された固定座部(B)とから構
    成されている請求項1に記載の音楽鑑賞用椅子。
  3. 【請求項3】 前記吸音部が複数箇所設けられ、各吸音
    部にそれぞれ対応して前記電圧調節手段(D)および前
    記電圧調節つまみ(44)を各別に備えている請求項1
    または2に記載の音楽鑑賞用椅子。
  4. 【請求項4】 前記電圧調節つまみ(44)が前記脚部
    (32)に設けられている請求項1乃至3のいずれか1
    項に記載の音楽鑑賞用椅子。
  5. 【請求項5】 前記電極板(36,41)の外表面には
    フィルム(35,39)が貼り付けられている請求項1
    乃至4のいずれか1項に記載の音楽鑑賞用椅子。
  6. 【請求項6】 前記電圧印加手段(D)は、前記一対の
    電極板(33,36),(37,41)に接続された可
    変電源(39,42)と、前記可変電源(39,42)
    に直列に接続されたスイッチ(40,43)とから構成
    されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の音楽
    鑑賞用椅子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016193656A (ja) * 2015-03-31 2016-11-17 テイ・エス テック株式会社 覚醒維持装置付きシート
JP2016193039A (ja) * 2015-03-31 2016-11-17 テイ・エス テック株式会社 椅子
US10486571B2 (en) 2015-03-27 2019-11-26 Ts Tech Co., Ltd. Chair

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