JPH08123439A - ホール - Google Patents
ホールInfo
- Publication number
- JPH08123439A JPH08123439A JP6262966A JP26296694A JPH08123439A JP H08123439 A JPH08123439 A JP H08123439A JP 6262966 A JP6262966 A JP 6262966A JP 26296694 A JP26296694 A JP 26296694A JP H08123439 A JPH08123439 A JP H08123439A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- particles
- sound wave
- inorganic
- voltage
- wave absorption
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Building Environments (AREA)
- Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 ホールの用途に応じて、所望の振動数の音波
を吸収して吸音性を変化させ、所望の音響特性を有する
ように調整することができるホールの提供。 【構成】 中空パネルと、該中空パネルの対向する内壁
に沿ってそれぞれ配設された一対の電極板と、該一対の
電極板の間に収容された、電界配列効果を有する固体粒
子を電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型音波吸
収制御用流体組成物と、上記一対の電極板間に電圧を印
加し、かつ印加電圧を可変とする電圧印加手段とからな
る音波吸収制御装置10を少なくとも具備し、該音波吸
収制御装置10が側壁ならびに天井のうちの所望位置に
配設されてなるホール。 【効果】 音波の吸収したい成分の振動数に合わせて、
ENC流体組成物の特性振動数を設定するために、音波
吸収制御装置の一対の電極にかける印加電圧値を調整す
ることにより、ENC流体組成物を変更することなく、
種々の振動数の音波を吸収できる。
を吸収して吸音性を変化させ、所望の音響特性を有する
ように調整することができるホールの提供。 【構成】 中空パネルと、該中空パネルの対向する内壁
に沿ってそれぞれ配設された一対の電極板と、該一対の
電極板の間に収容された、電界配列効果を有する固体粒
子を電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型音波吸
収制御用流体組成物と、上記一対の電極板間に電圧を印
加し、かつ印加電圧を可変とする電圧印加手段とからな
る音波吸収制御装置10を少なくとも具備し、該音波吸
収制御装置10が側壁ならびに天井のうちの所望位置に
配設されてなるホール。 【効果】 音波の吸収したい成分の振動数に合わせて、
ENC流体組成物の特性振動数を設定するために、音波
吸収制御装置の一対の電極にかける印加電圧値を調整す
ることにより、ENC流体組成物を変更することなく、
種々の振動数の音波を吸収できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音楽、オペラ、舞踊等
の鑑賞などを行うためのホールに関し、さらに詳しくは
電界配列効果に基づいて特性振動数を制御することので
きる電気感応型音波吸収制御用流体組成物を備えた音波
吸収制御装置を具備させることによって、所望の振動数
の音波を吸収できるようにしたものである。
の鑑賞などを行うためのホールに関し、さらに詳しくは
電界配列効果に基づいて特性振動数を制御することので
きる電気感応型音波吸収制御用流体組成物を備えた音波
吸収制御装置を具備させることによって、所望の振動数
の音波を吸収できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来、音楽、オペラ、舞踊等の鑑賞や、
演説等を聴講などを行うためのホールにおいては、主な
使用目的に応じた吸音性や残響時間等の音響特性を備え
るようにするために、アリーナ型、扇型などの種々の型
式の構造のものが建設されており、特に、音波発生源か
ら発せられる音波(空気振動)を遮断するために、例え
ば、穴あき石膏ボード、吸音セメント板等の有孔板や、
ロックウール、グラスウール、スポンジ等の多孔質吸音
板などからなる音波吸収材を用い、これらをホールの天
井や壁などに用いていた。
演説等を聴講などを行うためのホールにおいては、主な
使用目的に応じた吸音性や残響時間等の音響特性を備え
るようにするために、アリーナ型、扇型などの種々の型
式の構造のものが建設されており、特に、音波発生源か
ら発せられる音波(空気振動)を遮断するために、例え
ば、穴あき石膏ボード、吸音セメント板等の有孔板や、
ロックウール、グラスウール、スポンジ等の多孔質吸音
板などからなる音波吸収材を用い、これらをホールの天
井や壁などに用いていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のホー
ルにあっては、僅かな施工誤差や立地条件などから、建
築後に必ずしも目的とする音響特性を備えたホールが得
られるとは限らず、また、ホール内に入った観客数によ
っても音響特性が変化し、さらに、演奏される音楽の種
類等によっても遮断させたい音波の振動数が異り、例え
ば、クラッシックコンサートなどでは低音域の音波の遮
断、ピアノコンサートなどでは中音域から高音域の音波
の遮断が必要である。このため、ホールの用途に応じ
て、所望の振動数の音波を吸収して吸音性を変化させ、
所望の音響特性を有するように調整することができるホ
ールの実現が望まれていた。
ルにあっては、僅かな施工誤差や立地条件などから、建
築後に必ずしも目的とする音響特性を備えたホールが得
られるとは限らず、また、ホール内に入った観客数によ
っても音響特性が変化し、さらに、演奏される音楽の種
類等によっても遮断させたい音波の振動数が異り、例え
ば、クラッシックコンサートなどでは低音域の音波の遮
断、ピアノコンサートなどでは中音域から高音域の音波
の遮断が必要である。このため、ホールの用途に応じ
て、所望の振動数の音波を吸収して吸音性を変化させ、
所望の音響特性を有するように調整することができるホ
ールの実現が望まれていた。
【0004】しかしながら、従来のホールに用いられて
いた音波吸収材にあっては、その材質により固有振動数
が一定であるため、その固有振動数と一致する成分の音
波しか吸収(除去)できず、吸収しようとする音波の成
分を変更する場合は、その音波の振動数に対応して音波
吸収材を異なる材質のものに交換する必要がある。この
ように、固有周波数の異なる音波吸収材を複数種類用意
しておき、吸収すべき音波成分の振動数に対応して、所
定の音波吸収材を選択して用いる必要があるため、結果
的に、吸音装置のコストが嵩んだり、取扱いが煩雑にな
ったりして、信頼性が低いという問題があった。
いた音波吸収材にあっては、その材質により固有振動数
が一定であるため、その固有振動数と一致する成分の音
波しか吸収(除去)できず、吸収しようとする音波の成
分を変更する場合は、その音波の振動数に対応して音波
吸収材を異なる材質のものに交換する必要がある。この
ように、固有周波数の異なる音波吸収材を複数種類用意
しておき、吸収すべき音波成分の振動数に対応して、所
定の音波吸収材を選択して用いる必要があるため、結果
的に、吸音装置のコストが嵩んだり、取扱いが煩雑にな
ったりして、信頼性が低いという問題があった。
【0005】ところで、本発明者らは、従来知られてい
ない新規な電界配列特性を有する電気感応型音波吸収制
御用流体組成物(以下、Electric Noise
−Control流体組成物を略して「ENC流体組成
物」と称する)の研究を行っている。この流体組成物
は、例えば、電気絶縁性の媒体中に固体粒子を分散させ
て得られる流体であり、これに電界を印加すると固体粒
子が誘電分極を起こし、さらに誘電分極に基づく静電引
力によって互いに電場方向に配位連結して整列し、鎖状
体構造を示す性質を持っている。また、固体粒子によっ
ては電気泳動して配列配向し、配列塊状構造を示す性質
を示すものもある。このように、電界下における粒子の
配列配向を電界配列効果(以下、Electric A
lignment効果を略して「EA効果」と称する)
と呼び、そのような性質を有する固体粒子を電界配列性
粒子(以下、電界配列性粒子を略して「EA粒子」と称
する)と呼ぶこととする。そして本発明者らは、この新
規な構造のENC流体組成物の研究を進めることにより
本発明に到達した。
ない新規な電界配列特性を有する電気感応型音波吸収制
御用流体組成物(以下、Electric Noise
−Control流体組成物を略して「ENC流体組成
物」と称する)の研究を行っている。この流体組成物
は、例えば、電気絶縁性の媒体中に固体粒子を分散させ
て得られる流体であり、これに電界を印加すると固体粒
子が誘電分極を起こし、さらに誘電分極に基づく静電引
力によって互いに電場方向に配位連結して整列し、鎖状
体構造を示す性質を持っている。また、固体粒子によっ
ては電気泳動して配列配向し、配列塊状構造を示す性質
を示すものもある。このように、電界下における粒子の
配列配向を電界配列効果(以下、Electric A
lignment効果を略して「EA効果」と称する)
と呼び、そのような性質を有する固体粒子を電界配列性
粒子(以下、電界配列性粒子を略して「EA粒子」と称
する)と呼ぶこととする。そして本発明者らは、この新
規な構造のENC流体組成物の研究を進めることにより
本発明に到達した。
【0006】本発明は、上記従来技術の有する問題点に
鑑みてなされたものであり、EA効果を有し、印加され
る電圧によって特性振動数を変更できる流体組成物を備
えた音波吸収制御装置を少なくとも備えたホールを提供
することによって、ホールの用途に応じて、所望の振動
数の音波を吸収して吸音性を変化させ、所望の音響特性
を有するように調整することができるホールを得ること
を目的としている。
鑑みてなされたものであり、EA効果を有し、印加され
る電圧によって特性振動数を変更できる流体組成物を備
えた音波吸収制御装置を少なくとも備えたホールを提供
することによって、ホールの用途に応じて、所望の振動
数の音波を吸収して吸音性を変化させ、所望の音響特性
を有するように調整することができるホールを得ること
を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明のホールは、中空パネルと、該中空パネルの対
向する内壁に沿ってそれぞれ配設された一対の電極板
と、該一対の電極板の間に収容された、EA効果を有す
るEA粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなるENC流
体組成物と、上記一対の電極板間に電圧を印加し、かつ
印加電圧を可変とする電圧印加手段とからなる音波吸収
制御装置を少なくとも具備し、該音波吸収制御装置が側
壁ならびに天井のうちの所望位置に配設されてなること
を特徴とするものである。
の本発明のホールは、中空パネルと、該中空パネルの対
向する内壁に沿ってそれぞれ配設された一対の電極板
と、該一対の電極板の間に収容された、EA効果を有す
るEA粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなるENC流
体組成物と、上記一対の電極板間に電圧を印加し、かつ
印加電圧を可変とする電圧印加手段とからなる音波吸収
制御装置を少なくとも具備し、該音波吸収制御装置が側
壁ならびに天井のうちの所望位置に配設されてなること
を特徴とするものである。
【0008】
【作用】本発明のホールに用いられる音波吸収制御装置
において、一対の電極板間に電圧が印加されていない状
態では、ENC流体組成物中のEA効果を有するEA粒
子は電気絶縁性媒体中に不規則にランダムに浮遊・分散
している。電圧印加手段により一対の電極板に電圧を印
加すると、EA粒子は鎖状に配列結合して鎖状体(粒子
鎖)を形成し、この鎖状体が電界方向に平行して配列す
る。この状態で、一方の電極板に音波(空気振動)を入
射させると、この電極板が上記対向方向に振動するが、
鎖状体自体が弾性の性質を持っているため、鎖状体は引
っ張られる場合には、向かい合う粒子同士が引き合って
引力を、圧縮される場合には、撓んで反発力をそれぞれ
生じ、電気絶縁性媒体中の鎖状体の運動により粘性抵抗
が生じ、これによって音波の持つエネルギーの損失(散
逸)が起こる。
において、一対の電極板間に電圧が印加されていない状
態では、ENC流体組成物中のEA効果を有するEA粒
子は電気絶縁性媒体中に不規則にランダムに浮遊・分散
している。電圧印加手段により一対の電極板に電圧を印
加すると、EA粒子は鎖状に配列結合して鎖状体(粒子
鎖)を形成し、この鎖状体が電界方向に平行して配列す
る。この状態で、一方の電極板に音波(空気振動)を入
射させると、この電極板が上記対向方向に振動するが、
鎖状体自体が弾性の性質を持っているため、鎖状体は引
っ張られる場合には、向かい合う粒子同士が引き合って
引力を、圧縮される場合には、撓んで反発力をそれぞれ
生じ、電気絶縁性媒体中の鎖状体の運動により粘性抵抗
が生じ、これによって音波の持つエネルギーの損失(散
逸)が起こる。
【0009】すなわち、電極板に入射した音波に、鎖状
体を含むENC流体組成物と電極板とが共振するのであ
る。このような鎖状体に振動を与える音波周波数は、鎖
状体の持つ特性振動数(鎖状体の弾性と電極板の慣性と
のバランスからなる、いわゆる固有振動数と推定され
る)によって定まり、その特性振動数と一致した周波数
の音波が電極板に入射すると、鎖状体は共振してその音
波を吸収し、他の周波数の音波は反射されることにな
る。
体を含むENC流体組成物と電極板とが共振するのであ
る。このような鎖状体に振動を与える音波周波数は、鎖
状体の持つ特性振動数(鎖状体の弾性と電極板の慣性と
のバランスからなる、いわゆる固有振動数と推定され
る)によって定まり、その特性振動数と一致した周波数
の音波が電極板に入射すると、鎖状体は共振してその音
波を吸収し、他の周波数の音波は反射されることにな
る。
【0010】各粒子間に働く引力(鎖状体に生じる応
力)は、一対の電極板に印加される電圧の増加に伴って
増大することから、鎖状体自体の弾性率と粘性率が印加
電圧の増加に伴って増大することになり、本発明は、こ
のことを利用するものである。すなわち、印加電圧を調
整して、鎖状体自体の特性振動数を、入射音波(空気振
動)のうち除去したい成分の振動数に一致させることに
より、鎖状体を共振(共鳴)させ、吸音(除去)したい
成分のエネルギーを消費し、その他の成分を反射させる
ものである。
力)は、一対の電極板に印加される電圧の増加に伴って
増大することから、鎖状体自体の弾性率と粘性率が印加
電圧の増加に伴って増大することになり、本発明は、こ
のことを利用するものである。すなわち、印加電圧を調
整して、鎖状体自体の特性振動数を、入射音波(空気振
動)のうち除去したい成分の振動数に一致させることに
より、鎖状体を共振(共鳴)させ、吸音(除去)したい
成分のエネルギーを消費し、その他の成分を反射させる
ものである。
【0011】よって、本発明のホールにあっては、上述
のような音波吸収制御装置が側壁および天井のうちの所
望位置に配設されたことにより、音波の吸収したい成分
の振動数に合わせて、ENC流体組成物の特性振動数を
設定するために、音波吸収制御装置の一対の電極にかけ
る印加電圧値を調整したり、ENC流体組成物を変更す
ることなく、種々の振動数の音波を吸収できるので、ホ
ールをその用途に応じた音響特性を有するようにするこ
とが可能となる。さらに、音波吸収制御装置の配設数や
配設位置を調整することによっても、ホールをその用途
に応じた音響特性を有するようにすることが可能とな
る。
のような音波吸収制御装置が側壁および天井のうちの所
望位置に配設されたことにより、音波の吸収したい成分
の振動数に合わせて、ENC流体組成物の特性振動数を
設定するために、音波吸収制御装置の一対の電極にかけ
る印加電圧値を調整したり、ENC流体組成物を変更す
ることなく、種々の振動数の音波を吸収できるので、ホ
ールをその用途に応じた音響特性を有するようにするこ
とが可能となる。さらに、音波吸収制御装置の配設数や
配設位置を調整することによっても、ホールをその用途
に応じた音響特性を有するようにすることが可能とな
る。
【0012】図1はEA粒子30wt%分散系について
EA特性に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示す
グラフである。このグラフから印加電圧が増加するほど
鎖状体に働く応力は増大することが明かである。EA特
性は、誘電分極した粒子が電気的引力により電場方向に
配列し、鎖状構造を形成することに起因する。低せん断
速度では、電気的引力が支配的であるので、鎖状構造の
破壊と再形成がゆるやかに繰り返される。電場方向に並
んだ鎖をそれと直角方向にせん断破壊させるとき発生す
る力が降伏応力に相当する。形成されるすべての鎖の粒
子が同じ直径をもち、直鎖状の並んで電極板間を結んで
いると考えると、鎖の数は粒子濃度に比例するので、降
伏応力も粒子濃度に比例することになる。図2に本発明
の振動系の等価回路を示し、すなわち、弾性率Kのコイ
ルばね2と粘性率Cのダッシュポット3が一対の電極板
間に並列に接続されている。
EA特性に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示す
グラフである。このグラフから印加電圧が増加するほど
鎖状体に働く応力は増大することが明かである。EA特
性は、誘電分極した粒子が電気的引力により電場方向に
配列し、鎖状構造を形成することに起因する。低せん断
速度では、電気的引力が支配的であるので、鎖状構造の
破壊と再形成がゆるやかに繰り返される。電場方向に並
んだ鎖をそれと直角方向にせん断破壊させるとき発生す
る力が降伏応力に相当する。形成されるすべての鎖の粒
子が同じ直径をもち、直鎖状の並んで電極板間を結んで
いると考えると、鎖の数は粒子濃度に比例するので、降
伏応力も粒子濃度に比例することになる。図2に本発明
の振動系の等価回路を示し、すなわち、弾性率Kのコイ
ルばね2と粘性率Cのダッシュポット3が一対の電極板
間に並列に接続されている。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
して詳細に説明するが、この実施例ではホールの構造が
扇型である場合について説明する。図3は、本発明のホ
ールの一実施例を示す概略構成図であり、図3中符号1
0は、音波吸収制御装置である。図4は、図3に示した
音波吸収制御装置10のI−I線に沿った横断面図であ
る。上記音波吸収制御装置10は、所望の振動数の音波
を吸収させるための板状のものであり、その外観が三角
形板状であり、横断面が矩形状のものである。この音波
吸収制御装置10は、中空パネル11と、一対の電極板
12,13と、ENC流体組成物15と、可変電源(電
圧印加手段)16から構成されている。
して詳細に説明するが、この実施例ではホールの構造が
扇型である場合について説明する。図3は、本発明のホ
ールの一実施例を示す概略構成図であり、図3中符号1
0は、音波吸収制御装置である。図4は、図3に示した
音波吸収制御装置10のI−I線に沿った横断面図であ
る。上記音波吸収制御装置10は、所望の振動数の音波
を吸収させるための板状のものであり、その外観が三角
形板状であり、横断面が矩形状のものである。この音波
吸収制御装置10は、中空パネル11と、一対の電極板
12,13と、ENC流体組成物15と、可変電源(電
圧印加手段)16から構成されている。
【0014】上記中空パネル11は、表面材17と、こ
の表面材17と間隙をおいて対向配置された裏打ち材1
8と、これら表面材17および裏打ち材18の周縁に固
着された枠状のシール部材19とからなる。上記表面材
17としては、音波に対して柔軟な例えばPET(ポリ
エチレンテレフタレート)フィルムなどが用いられる。
裏打ち材18としては、導電性を有する例えば金属板な
どが好適に用いられる。裏打ち材18が金属板である場
合、この裏打ち材18は電極板13を兼ねるものとな
る。
の表面材17と間隙をおいて対向配置された裏打ち材1
8と、これら表面材17および裏打ち材18の周縁に固
着された枠状のシール部材19とからなる。上記表面材
17としては、音波に対して柔軟な例えばPET(ポリ
エチレンテレフタレート)フィルムなどが用いられる。
裏打ち材18としては、導電性を有する例えば金属板な
どが好適に用いられる。裏打ち材18が金属板である場
合、この裏打ち材18は電極板13を兼ねるものとな
る。
【0015】上記表面材17には、これの内壁に沿って
電極板12が一様に固着され、この電極板12と電極板
13との間に間隙(組成物収容空間)が形成されてい
る。そして、これら一対の電極板12,13間には、上
述したEA効果を有するEA粒子21を電気絶縁性媒体
22中に含有してなるENC流体組成物15が密閉され
た状態で収容されている。また、一方の電極板12およ
び表面材17は、その周縁が固定されているが、一対の
電極板12,13の対向方向(図4中の矢印Xで示す上
下方向)に振動できるように構成されている。これによ
り、音波(空気振動)24が表面材17に入射した場合
には、表面材17および一方の電極板12は上下振動す
ることができる。
電極板12が一様に固着され、この電極板12と電極板
13との間に間隙(組成物収容空間)が形成されてい
る。そして、これら一対の電極板12,13間には、上
述したEA効果を有するEA粒子21を電気絶縁性媒体
22中に含有してなるENC流体組成物15が密閉され
た状態で収容されている。また、一方の電極板12およ
び表面材17は、その周縁が固定されているが、一対の
電極板12,13の対向方向(図4中の矢印Xで示す上
下方向)に振動できるように構成されている。これによ
り、音波(空気振動)24が表面材17に入射した場合
には、表面材17および一方の電極板12は上下振動す
ることができる。
【0016】 符号16は、一対の電極板12,13間
に電圧を印加し、かつ印加電圧を可変とする可変電源
(電圧印加手段)であり、この可変電源16にはスイッ
チ27が直列に接続されている。このスイッチ27をオ
ンにすることにより、一対の電極板12,13間に電圧
を印加することができる。
に電圧を印加し、かつ印加電圧を可変とする可変電源
(電圧印加手段)であり、この可変電源16にはスイッ
チ27が直列に接続されている。このスイッチ27をオ
ンにすることにより、一対の電極板12,13間に電圧
を印加することができる。
【0017】音波吸収制御装置10には、上記可変電源
16と接続された電圧調整ツマミ(図示略)が外部に設
けられており、この電圧調整ツマミにより上記一対の電
極板12,13間に印加する電圧を調整することができ
るようになっている。このような音波吸収制御装置10
は、ホールの側壁ならびに天井の所望位置に固定されて
おり、この時、表面材17側がホール内を向くように固
定されている。
16と接続された電圧調整ツマミ(図示略)が外部に設
けられており、この電圧調整ツマミにより上記一対の電
極板12,13間に印加する電圧を調整することができ
るようになっている。このような音波吸収制御装置10
は、ホールの側壁ならびに天井の所望位置に固定されて
おり、この時、表面材17側がホール内を向くように固
定されている。
【0018】なお、この実施例のホールには、上述した
音波吸収制御装置10以外に、音響特性を調整するため
の、拡散板、反射板、従来用いられていた音波吸収材等
を併用してもよい。また、この実施例では、ホールが扇
型である場合について説明したが、バルコニー型、ワイ
ンヤード型、サークル型などのアリーナ型、シューボッ
クス型、メガホン型、△型、その他の構造であってもよ
い。また、この実施例では、音波吸収制御装置10がホ
ールの側壁ならびに天井の所望位置に固定されている場
合について説明したが、図3に示すように音波吸収制御
装置10の頂部に予めリング28を取り付けておき、こ
のリング28をホールの側壁や天井に設けられたフック
29・・・うちの所望のものに吊下げることによって、音
波吸収制御装置10の配設位置を変更自在としてもよ
い。
音波吸収制御装置10以外に、音響特性を調整するため
の、拡散板、反射板、従来用いられていた音波吸収材等
を併用してもよい。また、この実施例では、ホールが扇
型である場合について説明したが、バルコニー型、ワイ
ンヤード型、サークル型などのアリーナ型、シューボッ
クス型、メガホン型、△型、その他の構造であってもよ
い。また、この実施例では、音波吸収制御装置10がホ
ールの側壁ならびに天井の所望位置に固定されている場
合について説明したが、図3に示すように音波吸収制御
装置10の頂部に予めリング28を取り付けておき、こ
のリング28をホールの側壁や天井に設けられたフック
29・・・うちの所望のものに吊下げることによって、音
波吸収制御装置10の配設位置を変更自在としてもよ
い。
【0019】また、音波吸収制御装置10が、外観三角
形板状である場合について説明したが、勿論、設置する
場所に合わせて外観矩形板状あるいは円形板状の形態、
あるいはその他の適宜の形状であってもよい。また、音
波吸収制御装置10の金属板からなる裏打ち材18が電
極板13を兼ねる場合について説明したが、裏打ち材1
8が導電性を有しない材料から構成されている場合は、
この裏打ち材18の内壁に沿って電極板13が一様に固
着される。
形板状である場合について説明したが、勿論、設置する
場所に合わせて外観矩形板状あるいは円形板状の形態、
あるいはその他の適宜の形状であってもよい。また、音
波吸収制御装置10の金属板からなる裏打ち材18が電
極板13を兼ねる場合について説明したが、裏打ち材1
8が導電性を有しない材料から構成されている場合は、
この裏打ち材18の内壁に沿って電極板13が一様に固
着される。
【0020】また、上記EA粒子21は、有機高分子化
合物からなる芯体と、電界配列性無機物(以下、「EA
無機物」と称する)を含む表層とによって形成された無
機・有機複合粒子である。上記EA無機物は、無機イオ
ン交換体、シリカゲルおよび電気半導体性無機物からな
る群から選ばれた少なくとも一種である。上記EA無機
物が無機イオン交換体である場合、この無機イオン交換
体は、多価金属の水酸化物、ハイドロタルサイト類、多
価金属の酸性塩、ヒドロキシアパタイト、ナシコン型化
合物、粘土鉱物、チタン酸カリウム類、ヘテロポリ酸塩
および不溶性フェロシアン化物からなる群から選ばれた
少なくとも1種であることが好ましい。
合物からなる芯体と、電界配列性無機物(以下、「EA
無機物」と称する)を含む表層とによって形成された無
機・有機複合粒子である。上記EA無機物は、無機イオ
ン交換体、シリカゲルおよび電気半導体性無機物からな
る群から選ばれた少なくとも一種である。上記EA無機
物が無機イオン交換体である場合、この無機イオン交換
体は、多価金属の水酸化物、ハイドロタルサイト類、多
価金属の酸性塩、ヒドロキシアパタイト、ナシコン型化
合物、粘土鉱物、チタン酸カリウム類、ヘテロポリ酸塩
および不溶性フェロシアン化物からなる群から選ばれた
少なくとも1種であることが好ましい。
【0021】上記EA無機物が電気半導体性無機物であ
る場合、この電気半導体性無機物は、室温にて103 Ω
-1cm-1ないし10-11Ω-1cm-1の範囲内の電気伝導
度を有するものであることが好ましい。この電気半導体
性無機物は、金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸
化物、無機イオン交換体、これらの少なくともいずれか
1種に金属ドーピングを施したもの、および金属ドーピ
ングの有無に拘らず、これらの少なくともいずれか1種
を他の支持体上に電気半導体層として施したものからな
る群から選ばれた少なくとも1種であることが好まし
い。
る場合、この電気半導体性無機物は、室温にて103 Ω
-1cm-1ないし10-11Ω-1cm-1の範囲内の電気伝導
度を有するものであることが好ましい。この電気半導体
性無機物は、金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸
化物、無機イオン交換体、これらの少なくともいずれか
1種に金属ドーピングを施したもの、および金属ドーピ
ングの有無に拘らず、これらの少なくともいずれか1種
を他の支持体上に電気半導体層として施したものからな
る群から選ばれた少なくとも1種であることが好まし
い。
【0022】次に、図5に上記ENC流体組成物15の
一具体例を示す。このENC流体組成物15は、電気絶
縁性媒体22中に固体粒子であるEA粒子21が均一に
分散されてなっている。このEA粒子21は、有機高分
子化合物からなる芯体33と、EA無機物である粒子3
4からなる表層35とによって形成され、無機・有機複
合粒子を形成している。この具体例において、電気絶縁
性媒体22は無色透明のシリコーン油であり、無機・有
機複合粒子の芯体33を形成する有機高分子化合物はポ
リアクリル酸エステルであり、表層35を形成するEA
無機物の粒子34は無機イオン交換体でありかつ電気半
導体性無機物でもある白色の水酸化チタンである。この
EA粒子(無機・有機複合粒子)21の色は例えば白色
である。また、電気絶縁性媒体22中に含まれるEA粒
子21の割合は例えば7.5重量%である。
一具体例を示す。このENC流体組成物15は、電気絶
縁性媒体22中に固体粒子であるEA粒子21が均一に
分散されてなっている。このEA粒子21は、有機高分
子化合物からなる芯体33と、EA無機物である粒子3
4からなる表層35とによって形成され、無機・有機複
合粒子を形成している。この具体例において、電気絶縁
性媒体22は無色透明のシリコーン油であり、無機・有
機複合粒子の芯体33を形成する有機高分子化合物はポ
リアクリル酸エステルであり、表層35を形成するEA
無機物の粒子34は無機イオン交換体でありかつ電気半
導体性無機物でもある白色の水酸化チタンである。この
EA粒子(無機・有機複合粒子)21の色は例えば白色
である。また、電気絶縁性媒体22中に含まれるEA粒
子21の割合は例えば7.5重量%である。
【0023】このENC流体組成物15は、図6に示す
ように、離間して平行に配置した一対の電極板12,1
3の間に介在させる。図7に示すように、この一対の電
極板12,13に、可変電源16からスイッチ27を介
して電圧を印加すると、EA効果によってEA粒子21
が電極板12,13の面と直角の方向に鎖状に配列して
鎖状体(粒子鎖)26を形成する。このとき、各鎖状体
36は相互に離間して平行に配向する。
ように、離間して平行に配置した一対の電極板12,1
3の間に介在させる。図7に示すように、この一対の電
極板12,13に、可変電源16からスイッチ27を介
して電圧を印加すると、EA効果によってEA粒子21
が電極板12,13の面と直角の方向に鎖状に配列して
鎖状体(粒子鎖)26を形成する。このとき、各鎖状体
36は相互に離間して平行に配向する。
【0024】次に、上記構成の音波吸収制御装置10の
動作について説明する。図4に示すように、一対の電極
板12,13間に電圧が印加されていない状態では、E
NC流体組成物15のEA粒子21が電気絶縁性媒体2
2中にランダムに浮遊・不規則に分散している(図6参
照)。一対の電極板12,13に電圧を印加すると、E
NC流体組成物15中のEA粒子21が鎖状に配列結合
して鎖状体(粒子鎖)26を形成し、この鎖状体36が
電界方向に平行して配列する(図7参照)。
動作について説明する。図4に示すように、一対の電極
板12,13間に電圧が印加されていない状態では、E
NC流体組成物15のEA粒子21が電気絶縁性媒体2
2中にランダムに浮遊・不規則に分散している(図6参
照)。一対の電極板12,13に電圧を印加すると、E
NC流体組成物15中のEA粒子21が鎖状に配列結合
して鎖状体(粒子鎖)26を形成し、この鎖状体36が
電界方向に平行して配列する(図7参照)。
【0025】この状態で、一方の電極板12に音波(空
気振動)24を入射させると、図8の(a),(b),
(c)および(d)の状態が順次起こって、この電極板
12が表面材17とともに矢印X(図4および図9参
照)で示すように対向方向に振動するが、鎖状体36自
体が弾性の性質を持っているため、図8の(b)に示す
ように、鎖状体36は、圧縮される場合には、例えば
「く」の字状に撓んで反発力を生じ、図8の(d)に示
すように、鎖状体36は、引っ張られる場合には、向か
い合うEA粒子21同士が引き合って引力を生じる。こ
れにより、ENC流体組成物15中での鎖状体36の運
動により、粘性抵抗が生じ、音波24の持つエネルギー
の損失(散逸)が起こる。
気振動)24を入射させると、図8の(a),(b),
(c)および(d)の状態が順次起こって、この電極板
12が表面材17とともに矢印X(図4および図9参
照)で示すように対向方向に振動するが、鎖状体36自
体が弾性の性質を持っているため、図8の(b)に示す
ように、鎖状体36は、圧縮される場合には、例えば
「く」の字状に撓んで反発力を生じ、図8の(d)に示
すように、鎖状体36は、引っ張られる場合には、向か
い合うEA粒子21同士が引き合って引力を生じる。こ
れにより、ENC流体組成物15中での鎖状体36の運
動により、粘性抵抗が生じ、音波24の持つエネルギー
の損失(散逸)が起こる。
【0026】 そして、電極板12の振動にともなっ
て、鎖状体36の引っ張りと圧縮が繰り返されるもので
あり、この結果、鎖状体36自身も振動することにな
る。すなわち、電極板12に入射した音波24に、鎖状
体36を含むENC流体組成物15と、電極板12と表
面材17とからなる電極板構造体とが共振するのであ
る。このような鎖状体36に振動を与える音波周波数
は、鎖状体36の持つ特性振動数によって定まり、その
特性振動数と一致した周波数の音波24が電極板12に
入射すると、鎖状体36は共振して(図9中矢印A,B
参照)その音波を吸収し、他の周波数の音波25は反射
されることになる。
て、鎖状体36の引っ張りと圧縮が繰り返されるもので
あり、この結果、鎖状体36自身も振動することにな
る。すなわち、電極板12に入射した音波24に、鎖状
体36を含むENC流体組成物15と、電極板12と表
面材17とからなる電極板構造体とが共振するのであ
る。このような鎖状体36に振動を与える音波周波数
は、鎖状体36の持つ特性振動数によって定まり、その
特性振動数と一致した周波数の音波24が電極板12に
入射すると、鎖状体36は共振して(図9中矢印A,B
参照)その音波を吸収し、他の周波数の音波25は反射
されることになる。
【0027】各EA粒子21間に働く力(鎖状体36に
生じる応力)は一対の電極板12,13に印加される電
圧の増加に伴って増大することから、鎖状体36自体の
弾性率と粘性率が印加電圧の増加に伴って増大すること
になる。本発明は、このことを利用して音波の所望の成
分を除去するものである。すなわち、印加電圧を調整し
て、粒子鎖26自体の特性振動数を、電極板12に入射
した音波(空気振動)のうち除去したい成分(特定波長
の音波)の振動数に一致させることにより、図9に示す
ように、鎖状体36を慣性力の作用により左右矢印A,
Bで示すように共振(共鳴)させ、入射音波24の除去
したい成分のエネルギーを消費し、その他の音波成分
(符号25で示す)を反射させるものである。このよう
に、印加電圧により、入射音波24の所望の特定波長の
成分を吸収できる。
生じる応力)は一対の電極板12,13に印加される電
圧の増加に伴って増大することから、鎖状体36自体の
弾性率と粘性率が印加電圧の増加に伴って増大すること
になる。本発明は、このことを利用して音波の所望の成
分を除去するものである。すなわち、印加電圧を調整し
て、粒子鎖26自体の特性振動数を、電極板12に入射
した音波(空気振動)のうち除去したい成分(特定波長
の音波)の振動数に一致させることにより、図9に示す
ように、鎖状体36を慣性力の作用により左右矢印A,
Bで示すように共振(共鳴)させ、入射音波24の除去
したい成分のエネルギーを消費し、その他の音波成分
(符号25で示す)を反射させるものである。このよう
に、印加電圧により、入射音波24の所望の特定波長の
成分を吸収できる。
【0028】 音波吸収制御装置10の特性周波数は、
EA粒子(固体粒子)21の大きさ、EA粒子21間に
働く弾性力、また電極板12の固有振動数および一対の
電極板12,13間の距離等により変化する。本発明で
は、電気絶縁性媒体22中に粒径がほぼ均一な球形状の
EA粒子21が分散されたものであるので(不定形粒子
を用いない)、一定電圧下では上述した反発力や引力が
変動せず、しかも、EA粒子21間に働く弾性力と電極
板の慣性力のバランスにも変動が生じにくい。上記実施
例においては、鎖状体36は「く」の字状に撓むものと
されているが、この他に、例えば図10の(a)に示す
ようなS字型、あるいは図10の(b)に示すようなW
字型に撓む場合もあると考えられる。
EA粒子(固体粒子)21の大きさ、EA粒子21間に
働く弾性力、また電極板12の固有振動数および一対の
電極板12,13間の距離等により変化する。本発明で
は、電気絶縁性媒体22中に粒径がほぼ均一な球形状の
EA粒子21が分散されたものであるので(不定形粒子
を用いない)、一定電圧下では上述した反発力や引力が
変動せず、しかも、EA粒子21間に働く弾性力と電極
板の慣性力のバランスにも変動が生じにくい。上記実施
例においては、鎖状体36は「く」の字状に撓むものと
されているが、この他に、例えば図10の(a)に示す
ようなS字型、あるいは図10の(b)に示すようなW
字型に撓む場合もあると考えられる。
【0029】 また、上記実施例においては、電界の印
加によってEA粒子(無機・有機複合粒子)21が1列
の鎖状体36を形成して平行に配列する現象について説
明したが、EA粒子21の数が数重量%を越えて多くな
ると、1列の鎖状体36ではなく、鎖状体36が複数列
相互に接合して、図11の(a)の如くカラム39を構
成して配列するようになる。このカラム39においては
左右の鎖状体のEA粒子21は1つずつずれて互い違い
に隣接する。これについて本発明者らは、図11の
(b)に示すごとく、+極部分と−極部分に誘電分極し
ているEA粒子21が互い違いに隣接して+極部分と−
極部分とが引き合って配列した方がエネルギー的に安定
なためであると推定している。さらに、上記実施例にお
いては、一対の電極板12,13間に直接ENC流体組
成物15を収容したものを示したが、これに限らず、E
NC流体組成物15を十分に含浸させた多孔質体を一対
の電極板12,13間に収容してもよい。この場合、多
孔質体は、EA効果を損なわないために、連続気泡を有
するものが好ましい。
加によってEA粒子(無機・有機複合粒子)21が1列
の鎖状体36を形成して平行に配列する現象について説
明したが、EA粒子21の数が数重量%を越えて多くな
ると、1列の鎖状体36ではなく、鎖状体36が複数列
相互に接合して、図11の(a)の如くカラム39を構
成して配列するようになる。このカラム39においては
左右の鎖状体のEA粒子21は1つずつずれて互い違い
に隣接する。これについて本発明者らは、図11の
(b)に示すごとく、+極部分と−極部分に誘電分極し
ているEA粒子21が互い違いに隣接して+極部分と−
極部分とが引き合って配列した方がエネルギー的に安定
なためであると推定している。さらに、上記実施例にお
いては、一対の電極板12,13間に直接ENC流体組
成物15を収容したものを示したが、これに限らず、E
NC流体組成物15を十分に含浸させた多孔質体を一対
の電極板12,13間に収容してもよい。この場合、多
孔質体は、EA効果を損なわないために、連続気泡を有
するものが好ましい。
【0030】本発明のENC流体組成物15に用いる電
気絶縁性媒体22としては、例えば、塩化ジフェニル、
セバチン酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級アルコー
ルエステル、ハロフェニルアルキルエーテル、トランス
油、塩化パラフィン、弗素系オイル、またはシリコーン
系オイルやフルオロシリコーン系オイルなど、電気絶縁
性及び電気絶縁破壊強度が高く、化学的に安定でかつE
A粒子を安定に分散させ得るものであればいずれの流体
またはこれらの混合物も使用可能である。この電気絶縁
性媒体22は、目的に応じて着色することができる。着
色する場合は、選択された電気絶縁性媒体に可溶であっ
てその電気的特性を損なわない種類と量の油溶性染料ま
たは分散性染料を用いることが好ましい。電気絶縁性媒
体22には、この他に分散剤、界面活性剤、粘度調整
剤、酸化防止剤、安定剤などが含まれていてもよい。
気絶縁性媒体22としては、例えば、塩化ジフェニル、
セバチン酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級アルコー
ルエステル、ハロフェニルアルキルエーテル、トランス
油、塩化パラフィン、弗素系オイル、またはシリコーン
系オイルやフルオロシリコーン系オイルなど、電気絶縁
性及び電気絶縁破壊強度が高く、化学的に安定でかつE
A粒子を安定に分散させ得るものであればいずれの流体
またはこれらの混合物も使用可能である。この電気絶縁
性媒体22は、目的に応じて着色することができる。着
色する場合は、選択された電気絶縁性媒体に可溶であっ
てその電気的特性を損なわない種類と量の油溶性染料ま
たは分散性染料を用いることが好ましい。電気絶縁性媒
体22には、この他に分散剤、界面活性剤、粘度調整
剤、酸化防止剤、安定剤などが含まれていてもよい。
【0031】この電気絶縁性媒体22の動粘度は、1c
Stないし30000cStの範囲内であることが好ま
しい。動粘度が1cStより小さいと、ENC流体組成
物15の貯蔵安定性の面で不足を生じ、動粘度が300
00cStより大きいと、EA粒子の均一分散が困難に
なるとともに、調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜
けにくくなり、取り扱いに支障を来すので好ましくな
い。この観点から、動粘度は10cStないし1000
cStの範囲内、特に10cStないし100cStの
範囲内であることが好ましい。もちろん、電気絶縁性媒
体22の動粘度は、温度により変化し、この温度影響を
印加電圧によって抑制することができる。
Stないし30000cStの範囲内であることが好ま
しい。動粘度が1cStより小さいと、ENC流体組成
物15の貯蔵安定性の面で不足を生じ、動粘度が300
00cStより大きいと、EA粒子の均一分散が困難に
なるとともに、調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜
けにくくなり、取り扱いに支障を来すので好ましくな
い。この観点から、動粘度は10cStないし1000
cStの範囲内、特に10cStないし100cStの
範囲内であることが好ましい。もちろん、電気絶縁性媒
体22の動粘度は、温度により変化し、この温度影響を
印加電圧によって抑制することができる。
【0032】本発明に用いられるEA粒子21は、EA
効果を有する無機・有機複合粒子であれば、元素、有機
化合物、または無機化合物、またはそれらの混合物な
ど、いずれの素材も使用可能である。その例としては例
えば無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気
半導体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、および
これらを表層として有する粒子を挙げることができる。
しかし、このEA粒子21は、上記実施例に示したよう
に、有機高分子化合物からなる芯体33と、EA無機物
の粒子34からなる表層35とによって形成された無機
・有機複合粒子であることが特に好ましい。この無機・
有機複合粒子は、比較的比重が重いEA無機物の粒子3
4からなる表層35が比較的比重の軽い有機高分子化合
物である芯体33に担持されていて、その粒子全体の比
重を電気絶縁性媒体22に対して近似するように調節で
きる。従ってこれを電気絶縁性媒体22に分散して得ら
れたENC流体組成物15は、貯蔵安定性に優れたもの
となる。
効果を有する無機・有機複合粒子であれば、元素、有機
化合物、または無機化合物、またはそれらの混合物な
ど、いずれの素材も使用可能である。その例としては例
えば無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気
半導体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、および
これらを表層として有する粒子を挙げることができる。
しかし、このEA粒子21は、上記実施例に示したよう
に、有機高分子化合物からなる芯体33と、EA無機物
の粒子34からなる表層35とによって形成された無機
・有機複合粒子であることが特に好ましい。この無機・
有機複合粒子は、比較的比重が重いEA無機物の粒子3
4からなる表層35が比較的比重の軽い有機高分子化合
物である芯体33に担持されていて、その粒子全体の比
重を電気絶縁性媒体22に対して近似するように調節で
きる。従ってこれを電気絶縁性媒体22に分散して得ら
れたENC流体組成物15は、貯蔵安定性に優れたもの
となる。
【0033】EA粒子(無機・有機複合粒子)21の芯
体33として使用し得る有機高分子化合物の例として
は、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリ
ル酸エステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴ
ム、ABS樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、ア
イオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニ
ル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以
上の混合物または共重合物を挙げることができる。
体33として使用し得る有機高分子化合物の例として
は、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリ
ル酸エステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴ
ム、ABS樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、ア
イオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニ
ル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以
上の混合物または共重合物を挙げることができる。
【0034】表層35を形成するEA無機物である粒子
34としては種々のものが用い得るが、好ましい例とし
ては無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性無機
物とを挙げることができる。これらの粒子34を用いて
有機高分子化合物からなる芯体33の上に表層35を形
成するとき、得られた無機・有機複合粒子は有用なEA
粒子21となる。
34としては種々のものが用い得るが、好ましい例とし
ては無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性無機
物とを挙げることができる。これらの粒子34を用いて
有機高分子化合物からなる芯体33の上に表層35を形
成するとき、得られた無機・有機複合粒子は有用なEA
粒子21となる。
【0035】上記無機イオン交換体の例としては(1)
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0036】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOx(OH)y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、および水酸
化鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは含水
酸化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、Ti
O(OH)2)および水酸化チタン(別名オルソチタン
酸またはαチタン酸、Ti(OH)4)の双方を含むも
のであり、他の化合物についても同様である。
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOx(OH)y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、および水酸
化鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは含水
酸化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、Ti
O(OH)2)および水酸化チタン(別名オルソチタン
酸またはαチタン酸、Ti(OH)4)の双方を含むも
のであり、他の化合物についても同様である。
【0037】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどであ
る。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タンおよびモリブデン酸錫などである。
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどであ
る。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タンおよびモリブデン酸錫などである。
【0038】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイトなど
である。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO4)3のようなも
のが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置換
したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイトなど
である。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO4)3のようなも
のが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置換
したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
【0039】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2・
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、及びK2O・2.5TiO
2・2H2Oなどである。なお、上記化合物のうち、aま
たはbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数で
ある化合物を酸処理し、KとHとを置換することによっ
て容易に合成される。
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2・
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、及びK2O・2.5TiO
2・2H2Oなどである。なお、上記化合物のうち、aま
たはbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数で
ある化合物を酸処理し、KとHとを置換することによっ
て容易に合成される。
【0040】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE12O40・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、およびタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。) これらには例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6]および
K2Co[Fe(CN)6]などの不溶性フェロシアン化
合物が含まれる。
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、およびタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。) これらには例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6]および
K2Co[Fe(CN)6]などの不溶性フェロシアン化
合物が含まれる。
【0041】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2)y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を
表す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類
により異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を
示すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM2
はアルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷
移金属または希土類金属等、H+以外の金属イオンのい
ずれか任意のものである。OH基を有する無機イオン交
換体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にO
H-であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
O2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4など
や錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意
のものである。
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2)y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を
表す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類
により異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を
示すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM2
はアルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷
移金属または希土類金属等、H+以外の金属イオンのい
ずれか任意のものである。OH基を有する無機イオン交
換体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にO
H-であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
O2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4など
や錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意
のものである。
【0042】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO4)3の加熱により得られるHZr2(PO4)3や
ハイドロタルサイトの高温 加熱処理物(500〜70
0℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イ
オン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層
として用いることもできる。なお、上記の無機イオン交
換体として、多価金属の水酸化物、及び多価金属の酸性
塩を用いることが特に好ましい。
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO4)3の加熱により得られるHZr2(PO4)3や
ハイドロタルサイトの高温 加熱処理物(500〜70
0℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イ
オン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層
として用いることもできる。なお、上記の無機イオン交
換体として、多価金属の水酸化物、及び多価金属の酸性
塩を用いることが特に好ましい。
【0043】上記EA粒子(無機・有機複合粒子)21
の表層35として使用し得る電気半導体性無機物の例
は、電気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cm
の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機
イオン交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種
に金属ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの
有無に拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他
の支持体上に電気半導体層として施したものなどであ
る。
の表層35として使用し得る電気半導体性無機物の例
は、電気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cm
の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機
イオン交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種
に金属ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの
有無に拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他
の支持体上に電気半導体層として施したものなどであ
る。
【0044】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2 )およびオルソチタン酸(別名αチタ
ン酸、Ti(OH)4 )を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピングEA無機物:これは上記の電気半
導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げるため
に、アンチモン(Sb)などの金属をEA無機物にドー
ピングしたものであって、例としてはアンチモン(S
b)ドーピング酸化錫(SnO2 )などを挙げることが
できる。 (N)他の支持体上に電気半導体層としてEA無機物を
施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シリカ、
アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、または
ポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子粒子を
用い、これに電気半導体層としてアンチモン(Sb)ド
ーピング酸化錫(SnO2 )を施したものなどを挙げる
ことができる。このように他の支持体上にEA無機物が
施された粒子も、全体としてEA無機物と見なすことが
できる。これらのEA無機物は、1種類だけでなく、2
種類またはそれ以上を同時に表層として用いることもで
きる。
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2 )およびオルソチタン酸(別名αチタ
ン酸、Ti(OH)4 )を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピングEA無機物:これは上記の電気半
導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げるため
に、アンチモン(Sb)などの金属をEA無機物にドー
ピングしたものであって、例としてはアンチモン(S
b)ドーピング酸化錫(SnO2 )などを挙げることが
できる。 (N)他の支持体上に電気半導体層としてEA無機物を
施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シリカ、
アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、または
ポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子粒子を
用い、これに電気半導体層としてアンチモン(Sb)ド
ーピング酸化錫(SnO2 )を施したものなどを挙げる
ことができる。このように他の支持体上にEA無機物が
施された粒子も、全体としてEA無機物と見なすことが
できる。これらのEA無機物は、1種類だけでなく、2
種類またはそれ以上を同時に表層として用いることもで
きる。
【0045】EA粒子(無機・有機複合粒子)21は、
種々な方法によって製造することができる。例えば、有
機高分子化合物からなる粒子状の芯体33と微粒子状の
粒子34とをジェット気流によって搬送し、衝突させて
製造する方法がある。この場合は粒子状の芯体33の表
面に粒子34の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層
35を形成する。また別の製法例としては、粒子状の芯
体33を気体中に浮遊させ、粒子34の溶液を霧状にし
てその表面に噴霧する方法がある。この場合はその溶液
が芯体33の表面に付着し乾燥することによって表層3
5が形成される。
種々な方法によって製造することができる。例えば、有
機高分子化合物からなる粒子状の芯体33と微粒子状の
粒子34とをジェット気流によって搬送し、衝突させて
製造する方法がある。この場合は粒子状の芯体33の表
面に粒子34の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層
35を形成する。また別の製法例としては、粒子状の芯
体33を気体中に浮遊させ、粒子34の溶液を霧状にし
てその表面に噴霧する方法がある。この場合はその溶液
が芯体33の表面に付着し乾燥することによって表層3
5が形成される。
【0046】EA粒子(無機・有機複合粒子)21を製
造する特に好ましい製法は、芯体33と同時に表層35
を形成する方法である。この方法は、例えば、芯体33
を形成する有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で
乳化重合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒
子状としたEA無機物である粒子34を上記モノマー
中、または重合媒体中に存在させるというものである。
重合媒体としては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒
との混合物を使用することもでき、また有機系の貧溶媒
を使用することもできる。この方法によれば、重合媒体
の中でモノマーが重合して芯体粒子33を形成すると同
時に、微粒子状のEA無機物の粒子34が芯体33の表
面に層状に配向してこれを被覆し、表層35を形成す
る。
造する特に好ましい製法は、芯体33と同時に表層35
を形成する方法である。この方法は、例えば、芯体33
を形成する有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で
乳化重合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒
子状としたEA無機物である粒子34を上記モノマー
中、または重合媒体中に存在させるというものである。
重合媒体としては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒
との混合物を使用することもでき、また有機系の貧溶媒
を使用することもできる。この方法によれば、重合媒体
の中でモノマーが重合して芯体粒子33を形成すると同
時に、微粒子状のEA無機物の粒子34が芯体33の表
面に層状に配向してこれを被覆し、表層35を形成す
る。
【0047】乳化重合または懸濁重合によってEA粒子
(無機・有機複合粒子)21を製造する場合には、モノ
マーの疎水性の性質とEA無機物の親水性の性質を組み
合わせることによって、EA無機物の粒子34の大部分
を芯体33の表面に付着させることができる。この芯体
33と表層35との同時形成方法によれば、有機高分子
化合物からなる芯体33の表面にEA無機物の粒子34
が緻密かつ強固に接着し、堅牢なEA粒子(無機・有機
複合粒子)21が形成される。
(無機・有機複合粒子)21を製造する場合には、モノ
マーの疎水性の性質とEA無機物の親水性の性質を組み
合わせることによって、EA無機物の粒子34の大部分
を芯体33の表面に付着させることができる。この芯体
33と表層35との同時形成方法によれば、有機高分子
化合物からなる芯体33の表面にEA無機物の粒子34
が緻密かつ強固に接着し、堅牢なEA粒子(無機・有機
複合粒子)21が形成される。
【0048】本発明に使用するEA粒子21の形状は必
ずしも球形であることを要しないが、粒子状の芯体33
が調節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場
合は、得られるEA粒子21の形状はほぼ球形となる。
EA粒子21の粒径は特に限定されるものではないが、
0.1μmないし500μm、特に5μmないし200
μmの範囲内とすることが好ましい。この際の微粒子状
のEA無機物である粒子34の粒径は特に限定されるも
のではないが、好ましくは0.005μmないし100
μm、さらに好ましくは0.01μmないし10μmの
範囲内とする。
ずしも球形であることを要しないが、粒子状の芯体33
が調節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場
合は、得られるEA粒子21の形状はほぼ球形となる。
EA粒子21の粒径は特に限定されるものではないが、
0.1μmないし500μm、特に5μmないし200
μmの範囲内とすることが好ましい。この際の微粒子状
のEA無機物である粒子34の粒径は特に限定されるも
のではないが、好ましくは0.005μmないし100
μm、さらに好ましくは0.01μmないし10μmの
範囲内とする。
【0049】EA粒子(無機・有機複合粒子)21にお
いて、表層35を形成するEA無機物である粒子34と
芯体33を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限
定されるものではないが、保存安定性の高いENC流体
組成物15を得るためには、EA無機物の粒子34と有
機高分子化合物の芯体33の合計重量に対して粒子34
が1重量%ないし60重量%の範囲内、特に4重量%な
いし30重量%の範囲内とすることが好ましい。この芯
体33の割合が1重量%未満では、得られたEA粒子2
1のEA特性が不十分となり、60重量%を超えると、
EA粒子21の比重が過大となって保存安定性を損なう
惧れがある。また、本発明のENC流体組成物15は、
上記のEA粒子21を、必要なら分散剤、他の成分とと
もに電気絶縁性媒体22中に均一に攪拌混合して製造す
ることができる。この攪拌機としては、液状分散媒に固
体粒子を分散させるために通常使用されるものがいずれ
も使用できる。電気絶縁性媒体22中におけるEA粒子
21の含有率は、特に限定されるものではないが、0.
5〜75重量%、特に5〜50重量%であることが好ま
しい。その含有率が1%未満では充分なEA効果が得ら
れず、75%以上では電圧を印加しないときのENC流
体組成物15の初期粘度が過大となって使用が困難にな
る。
いて、表層35を形成するEA無機物である粒子34と
芯体33を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限
定されるものではないが、保存安定性の高いENC流体
組成物15を得るためには、EA無機物の粒子34と有
機高分子化合物の芯体33の合計重量に対して粒子34
が1重量%ないし60重量%の範囲内、特に4重量%な
いし30重量%の範囲内とすることが好ましい。この芯
体33の割合が1重量%未満では、得られたEA粒子2
1のEA特性が不十分となり、60重量%を超えると、
EA粒子21の比重が過大となって保存安定性を損なう
惧れがある。また、本発明のENC流体組成物15は、
上記のEA粒子21を、必要なら分散剤、他の成分とと
もに電気絶縁性媒体22中に均一に攪拌混合して製造す
ることができる。この攪拌機としては、液状分散媒に固
体粒子を分散させるために通常使用されるものがいずれ
も使用できる。電気絶縁性媒体22中におけるEA粒子
21の含有率は、特に限定されるものではないが、0.
5〜75重量%、特に5〜50重量%であることが好ま
しい。その含有率が1%未満では充分なEA効果が得ら
れず、75%以上では電圧を印加しないときのENC流
体組成物15の初期粘度が過大となって使用が困難にな
る。
【0050】上記の各種方法、特に芯体33と表層35
とを同時に形成する方法によって製造されたEA粒子2
1は、その表層35の全部または一部分が有機高分子物
質や、製造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添
加物質の薄膜で覆われていて、EA粒子としてのEA効
果が充分に発揮されない場合がある。この不活性物質の
薄膜は粒子表面を研磨することによって容易に除去する
ことができる。従って芯体33と表層35とを同時に形
成する場合には、その表面を研磨することが好ましい。
とを同時に形成する方法によって製造されたEA粒子2
1は、その表層35の全部または一部分が有機高分子物
質や、製造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添
加物質の薄膜で覆われていて、EA粒子としてのEA効
果が充分に発揮されない場合がある。この不活性物質の
薄膜は粒子表面を研磨することによって容易に除去する
ことができる。従って芯体33と表層35とを同時に形
成する場合には、その表面を研磨することが好ましい。
【0051】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子であるEA
粒子21を水などの分散媒体中に分散させて、これを攪
拌する方法によって行うことができる。この際、分散媒
体中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒子2
1と共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌
する方法などによって行うこともできる。例えばまた、
分散媒体を使用せず、EA粒子21と上記のような研磨
材または研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うことも
できる。
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子であるEA
粒子21を水などの分散媒体中に分散させて、これを攪
拌する方法によって行うことができる。この際、分散媒
体中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒子2
1と共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌
する方法などによって行うこともできる。例えばまた、
分散媒体を使用せず、EA粒子21と上記のような研磨
材または研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うことも
できる。
【0052】さらに好ましい研磨方法は、EA粒子21
をジェット気流などによって気流攪拌する方法である。
これは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨
する方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの
粒子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法
である。上記のジェット気流攪拌においては、それに用
いられる装置の種類、攪拌速度、EA粒子21の材質な
どにより研磨条件を選定する必要があるが、一般的には
6000rpmの攪拌速度で0.5min〜15min
程度ジェット気流攪拌することが好ましい。
をジェット気流などによって気流攪拌する方法である。
これは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨
する方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの
粒子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法
である。上記のジェット気流攪拌においては、それに用
いられる装置の種類、攪拌速度、EA粒子21の材質な
どにより研磨条件を選定する必要があるが、一般的には
6000rpmの攪拌速度で0.5min〜15min
程度ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0053】本発明のENC流体組成物15は、上記の
EA粒子21を、必要なら分散剤など他の成分と共に電
気絶縁性媒体21中に均一に攪拌混合し分散させて製造
することができる。この攪拌機としては、液状分散媒に
固体粒子を分散させるために通常使用されるものがいず
れも使用できる。
EA粒子21を、必要なら分散剤など他の成分と共に電
気絶縁性媒体21中に均一に攪拌混合し分散させて製造
することができる。この攪拌機としては、液状分散媒に
固体粒子を分散させるために通常使用されるものがいず
れも使用できる。
【0054】上記実施例のホールにあっては、上述のよ
うな音波吸収制御装置10が側壁および天井のうちの所
望位置に配設されたものであるから、音波24の吸収し
たい成分の振動数に合わせて、ENC流体組成物15の
特性振動数を設定するために、音波吸収制御装置10の
一対の電極12,13にかける印加電圧値を電圧調整ツ
マミにより調整することにより、ENC流体組成物15
を変更することなく、種々の振動数の音波を吸収できる
ので、ホールが演奏される音楽の種類等に応じた音響特
性を有するように調整することが可能となる。さらに、
上記音波吸収制御装置10は取り扱いが容易であるの
で、その配設数や配設位置を変更することによっても、
ホールが演奏される音楽の種類等に応じた音響特性を有
するように調整することが可能となる。
うな音波吸収制御装置10が側壁および天井のうちの所
望位置に配設されたものであるから、音波24の吸収し
たい成分の振動数に合わせて、ENC流体組成物15の
特性振動数を設定するために、音波吸収制御装置10の
一対の電極12,13にかける印加電圧値を電圧調整ツ
マミにより調整することにより、ENC流体組成物15
を変更することなく、種々の振動数の音波を吸収できる
ので、ホールが演奏される音楽の種類等に応じた音響特
性を有するように調整することが可能となる。さらに、
上記音波吸収制御装置10は取り扱いが容易であるの
で、その配設数や配設位置を変更することによっても、
ホールが演奏される音楽の種類等に応じた音響特性を有
するように調整することが可能となる。
【0055】
【発明の効果】本発明のホールにあっては、以上説明し
たとおりに構成されたものであるので、以下に記載する
ような効果を奏する。音波の吸収したい成分の振動数に
合わせて、ENC流体組成物の特性振動数を設定するた
めに、音波吸収制御装置の一対の電極にかける印加電圧
値を調整したり、ENC流体組成物を変更することな
く、種々の振動数の音波を吸収できるので、用途に応じ
た音響特性を有するホールを提供することができるとい
う利点がある。さらに、上記音波吸収制御装置は取り扱
いが容易でので、その配設数や配設位置を変更すること
によっても、ホールが演奏される音楽の種類等に応じた
音響特性を有するように調整することが可能となる。ま
た、上記音波吸収制御装置は、結果的に、上記ENC流
体組成物を用いた低コストでかつ取り扱いが容易なもの
であるので、このような音波吸収制御装置が配設された
ホールの建設コストが嵩むのを避けることが可能であ
る。特に、固体粒子(EA粒子)が、有機高分子化合物
からなる芯体と、EA無機物からなる表層とによって形
成された無機・有機複合粒子からなる場合は、高い保存
安定性を有する実用的なENC流体組成物が得られ、結
果的に、音波吸収制御装置の信頼性がさらに向上するた
め、ホールに所望の音響特性を付与し易い。
たとおりに構成されたものであるので、以下に記載する
ような効果を奏する。音波の吸収したい成分の振動数に
合わせて、ENC流体組成物の特性振動数を設定するた
めに、音波吸収制御装置の一対の電極にかける印加電圧
値を調整したり、ENC流体組成物を変更することな
く、種々の振動数の音波を吸収できるので、用途に応じ
た音響特性を有するホールを提供することができるとい
う利点がある。さらに、上記音波吸収制御装置は取り扱
いが容易でので、その配設数や配設位置を変更すること
によっても、ホールが演奏される音楽の種類等に応じた
音響特性を有するように調整することが可能となる。ま
た、上記音波吸収制御装置は、結果的に、上記ENC流
体組成物を用いた低コストでかつ取り扱いが容易なもの
であるので、このような音波吸収制御装置が配設された
ホールの建設コストが嵩むのを避けることが可能であ
る。特に、固体粒子(EA粒子)が、有機高分子化合物
からなる芯体と、EA無機物からなる表層とによって形
成された無機・有機複合粒子からなる場合は、高い保存
安定性を有する実用的なENC流体組成物が得られ、結
果的に、音波吸収制御装置の信頼性がさらに向上するた
め、ホールに所望の音響特性を付与し易い。
【図1】 EA粒子分散系についてEA特性に及ぼす電
界強度の影響を測定した結果を示すグラフである。
界強度の影響を測定した結果を示すグラフである。
【図2】 振動系の等価回路を示す図である。
【図3】 本発明のホールの一実施例を示す概略構成図
である。
である。
【図4】 図3に示した音波吸収制御装置(音波制振装
置)のI−I線に沿った断面図である。
置)のI−I線に沿った断面図である。
【図5】 本発明に係わるENC組成物の一実施例を示
す断面図である。
す断面図である。
【図6】 本発明に係わるENC組成物の電源オフ時の
態様を示す断面図である。
態様を示す断面図である。
【図7】 本発明に係わるENC組成物の電源オン時の
態様を示す断面図である。
態様を示す断面図である。
【図8】 本発明に用いられる音波吸収制御装置におい
て、音波が入射されて一方の電極板が振動している状態
を示す断面図である。
て、音波が入射されて一方の電極板が振動している状態
を示す断面図である。
【図9】 本発明に用いられる音波吸収制御装置におい
て、音波が入射されて鎖状体や一方の電極板が共振して
いる状態を示す断面図である。
て、音波が入射されて鎖状体や一方の電極板が共振して
いる状態を示す断面図である。
【図10】 本発明に用いられる音波吸収制御装置にお
いて、鎖状体の撓み状態の別な例を示す図である。
いて、鎖状体の撓み状態の別な例を示す図である。
【図11】 本発明に用いられる音波吸収制御装置にお
いて、鎖状体が複数列相互に接合してなるカラムを示す
図である。
いて、鎖状体が複数列相互に接合してなるカラムを示す
図である。
2…コイルばね、3…ダッシュポット、10・・・音波吸
収制御装置、11・・・中空パネル、12・・・電極板、13
・・・電極板、15・・・電気感応型音波吸収制御用流体組成
物(ENC流体組成物)、16・・・可変電源(電圧印加
手段)、17・・・表面材、18・・・裏打ち材、19・・・シ
ール部材、21…電界配列性粒子(EA粒子、固体粒
子、無機・有機複合粒子)、22・・・電気絶縁性媒体、
24・・・音波、25・・・音波、27・・・スイッチ、28・・・
リング、29・・・フック、33…芯体(有機高分子化合
物)、34…粒子(電界配列性無機物の粒子)、35…
表層、36…鎖状体(粒子鎖)、39・・・カラム。
収制御装置、11・・・中空パネル、12・・・電極板、13
・・・電極板、15・・・電気感応型音波吸収制御用流体組成
物(ENC流体組成物)、16・・・可変電源(電圧印加
手段)、17・・・表面材、18・・・裏打ち材、19・・・シ
ール部材、21…電界配列性粒子(EA粒子、固体粒
子、無機・有機複合粒子)、22・・・電気絶縁性媒体、
24・・・音波、25・・・音波、27・・・スイッチ、28・・・
リング、29・・・フック、33…芯体(有機高分子化合
物)、34…粒子(電界配列性無機物の粒子)、35…
表層、36…鎖状体(粒子鎖)、39・・・カラム。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G10K 11/16 15/00 G10K 11/16 D 15/00 M (72)発明者 後藤 守孝 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 古市 健二 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206
Claims (1)
- 【請求項1】 中空パネルと、該中空パネルの対向する
内壁に沿ってそれぞれ配設された一対の電極板と、該一
対の電極板の間に収容された、電界配列効果を有する固
体粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型音
波吸収制御用流体組成物と、上記一対の電極板間に電圧
を印加し、かつ印加電圧を可変とする電圧印加手段とか
らなる音波吸収制御装置を少なくとも具備し、該音波吸
収制御装置が側壁ならびに天井のうちの所望位置に配設
されてなるホール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6262966A JPH08123439A (ja) | 1994-10-26 | 1994-10-26 | ホール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6262966A JPH08123439A (ja) | 1994-10-26 | 1994-10-26 | ホール |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08123439A true JPH08123439A (ja) | 1996-05-17 |
Family
ID=17383027
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6262966A Pending JPH08123439A (ja) | 1994-10-26 | 1994-10-26 | ホール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08123439A (ja) |
-
1994
- 1994-10-26 JP JP6262966A patent/JPH08123439A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH08130128A (ja) | 変圧器 | |
JPH08123439A (ja) | ホール | |
JPH08129389A (ja) | 室内音響の調整構造 | |
JPH08160968A (ja) | 反響調整装置 | |
JPH08123442A (ja) | 吸音装置 | |
JPH08142776A (ja) | 車両の防音構造 | |
JPH08137476A (ja) | リスニングルーム等用の音波抑制装置 | |
JPH08163468A (ja) | テレビジョン受像機 | |
JPH08129391A (ja) | 吸音装置 | |
JPH08115087A (ja) | 音波吸収制御装置および音波吸収制御方法 | |
JPH08145274A (ja) | 送気ダクト | |
JPH08117048A (ja) | 音楽鑑賞用椅子 | |
JPH08154288A (ja) | マイクロフォン | |
JPH08109363A (ja) | 電気感応型音波吸収制御用流体組成物 | |
JPH08140178A (ja) | ホーン型スピーカ | |
JPH08123428A (ja) | 音響フィルター | |
JPH08189103A (ja) | 可変吸音壁 | |
JPH08152229A (ja) | 空気調和機 | |
JPH08160967A (ja) | 可動式吸音壁 | |
JPH08123440A (ja) | ホールの吸音構造 | |
JPH08144422A (ja) | 吸音天井パネル | |
JPH08140172A (ja) | スピーカーボックス | |
JPH08123441A (ja) | 懸垂式吸音装置 | |
JPH08135430A (ja) | 消音器 | |
JPH08137477A (ja) | 吸音パネル |