JPH08129391A - 吸音装置 - Google Patents

吸音装置

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JPH08129391A
JPH08129391A JP6267895A JP26789594A JPH08129391A JP H08129391 A JPH08129391 A JP H08129391A JP 6267895 A JP6267895 A JP 6267895A JP 26789594 A JP26789594 A JP 26789594A JP H08129391 A JPH08129391 A JP H08129391A
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JP
Japan
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sound absorbing
particles
sound
voltage
fluid composition
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Application number
JP6267895A
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English (en)
Inventor
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Moritaka Goto
守孝 後藤
Kenji Furuichi
健二 古市
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
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Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 音響空間の音響特性を簡単且つ自在に変化さ
せることができる吸音装置を提供する。 【構成】 複数の吸音板50を屏風状に折曲自在に連結
してなり、吸音板50は、電界配列効果を有する固体粒
子を電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型音波吸
収制御用流体組成物と、間隙をおいて互いに対向し、前
記間隙に前記電気感応型音波吸収制御用流体組成物を収
容した一対の電極板とを備え、更に、吸音板50には、
その一対の電極板間に電圧を印加し且つ該電圧を調整す
る電圧コントローラー60が接続されて構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オーディオルーム等の
音響空間に設置して、その空間の音響特性を変化させる
吸音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】オーディオルーム等の音響空間の壁、
床、天井等には、その音響特性を特徴付ける吸音材が取
り付けられている。吸音材とは、音を吸収させることを
目的に作られた材料であり、その吸音の仕組みによっ
て、多孔質形吸音材、板振動形吸音材、共鳴形吸音材等
に分けられる。実際の音響空間おいては、これらの吸音
材を組み合わせて配設することによってその音響空間独
自の音響特性を実現させている。
【0003】ところで、吸音材はその材質、形状等によ
って効果的に吸音を行なう周波数の帯域が限定されるの
で、音響特性を変化させる場合には、その音響特性に見
合った吸音材に交換する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、一旦音響空間
に配設された吸音材を交換するには大がかりな工事が必
要となり、また、所望する音響特性を得るには、様々な
吸音材を持込み、その組み合わせや配設位置を変化させ
るなど、その調節作業にも大変な手間がかかるといった
課題がある。
【0005】ところで、本発明者らは、従来知られてい
ない新規な電界配列特性(以下、Electric A
lignment特性を略して「EA特性」と称する)
を有する電気感応型音波吸収制御用流体組成物(以下、
Electric Noise−Control流体組
成物を略して「ENC流体組成物」と称する)の研究を
行っている。このENC流体組成物は、例えば、電気絶
縁性の媒体中に固体粒子を分散させて得られる流体であ
り、これに電界を印加すると固体粒子が誘電分極を起こ
し、さらに誘電分極に基づく静電引力によって互いに電
場方向に配位連結して整列し、鎖状体構造を示す性質を
持っている。また、固体粒子によっては電気泳動して配
列配向し、配列塊状構造を示す性質を示すものもある。
このように、電界下における粒子の配列配向を電界配列
効果(以下、「EA効果」と称する)と呼び、そのよう
な性質を有する固体粒子を電界配列性粒子(以下、「E
A粒子」と称する)と呼ぶこととする。そして本発明者
らは、この新規な構造のENC流体組成物の研究を進め
ることにより本発明に到達した。
【0006】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、EA効果を有し、印加される電圧によって特性
振動数を制御できるENC流体組成物を備えた音波吸収
制御を行ない、音響空間の音響特性を簡単且つ自在に変
化させることのできる吸音装置を提供することを目的と
している。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の吸音装置
は、複数の吸音板を屏風状に折曲自在に連結してなる吸
音装置であって、前記吸音板は、EA効果を有するEA
粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなるENC流体組成
物と、間隙をおいて互いに対向し、前記間隙に前記EN
C流体組成物を収容した一対の電極板とを備え、更に、
前記一対の電極板間に電圧を印加し且つ該電圧を調整す
る電圧印加調整手段とにより構成されることを特徴とす
る。
【0008】請求項2記載の吸音装置は、電界配列効果
を有する固体粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなる電
気感応型音波吸収制御用流体組成物と、間隙をおいて互
いに対向し、前記間隙に前記電気感応型音波吸収制御用
流体組成物を収容した一対の電極板とを備え、更に、前
記一対の電極板間に電圧を印加し且つ該電圧を調整する
電圧印加調整手段とにより構成されている吸音板と、該
吸音板の吸音面に沿って配設された、展開、収縮自在な
反射板とにより構成されることを特徴とする。
【0009】
【作用】請求項1記載の吸音装置によれば、吸音板が、
EA効果を有するEA粒子を電気絶縁媒体中に含有して
なるENC流体組成物と、間隙をおいて互いに対向し、
前記間隙に前記ENC流体組成物を収容した一対の電極
板とを備えており、一対の電極板間には電圧を印加し且
つ該電圧を調整する電圧印加調整手段が設けられている
ので、一対の電極板間に電圧が印加されていない状態で
は、ENC流体組成物中のEA効果を有するEA粒子は
電気絶縁性媒体中にランダムに浮遊・分散している。
【0010】電圧印加調整手段により一対の電極板に電
圧を印加すると、EA粒子は鎖状に配列結合して鎖状体
(粒子鎖)を形成し、この鎖状体が電界方向に平行して
配列する。この状態で、一方の電極板に音波(空気振
動)を入射させると、この電極板が前記対向方向に振動
するが、鎖状体自体が弾性の性質を持っているため、鎖
状体は引っ張られる場合には、向かい合う粒子同士が引
き合って引力を、圧縮される場合には、撓んで反発力を
それぞれ生じ、電気絶縁性媒体中の鎖状体の運動により
粘性抵抗が生じ、これによって音波の持つエネルギーの
損失(散逸)が起こる。
【0011】すなわち、電極板に入射した音波に、鎖状
体を含むENC流体組成物と電極板とが共振するのであ
る。このような鎖状体に振動を与える音波周波数は、鎖
状体の持つ特性振動数(鎖状体の弾性と電極板の慣性と
のバランスからなる、いわゆる固有振動数と推定され
る)によって定まり、その特性振動数と一致した周波数
の音波が電極板に入射すると、鎖状体は共振してその音
波を吸収し、他の周波数の音波は反射されることにな
る。
【0012】各粒子間に働く引力(鎖状体に生じる応
力)は、一対の電極板に印加される電圧の増加に伴って
増大することから、鎖状体自体の弾性率と粘性率が印加
電圧の増加に伴って増大することになる。
【0013】従って、電圧印加調整手段によって印加電
圧を調整することにより、鎖状体自体の特性振動数を、
入射音波(空気振動)のうち除去したい成分の振動数に
一致させることが出来る。すると、鎖状体は、除去した
い成分の振動数の音波に共振(共鳴)し、その音波のエ
ネルギーを消費し、その他の成分の音波は反射する。よ
って、本発明の吸音装置によれば、電圧印加調整手段に
よって印加電圧を選択することにより、吸音(除去)し
たい音域を選択して、吸音(除去)したい音域について
吸音を行なうことが出来る。
【0014】更に、各吸音板は、屏風状に折曲自在に連
結されているので、屏風を閉じたり開いたりする要領で
連結された吸音板の形態を変化させることで、吸音され
ない音波の反射する方向を変化させることが出来る。
【0015】請求項2記載の吸音装置によれば、請求項
1記載の吸音装置と同様に、電圧印加調整手段によって
印加電圧を選択することにより、吸音(除去)したい音
域を選択して、吸音(除去)したい音域について吸音を
行なうことが出来、更に、反射板を展開、収縮すること
によって吸音板の露出面積を増減させることにより、そ
の吸音率を変化させることが出来る。
【0016】
【実施例】以下、本発明の第1実施例について図1から
図10を参照して詳細に説明する。図1のように、吸音
装置30は、脚32、32によって垂直に立つ基板31
と、この基板31に取り付けられた複数の吸音板50
と、各吸音板50に印加する電圧を可変調節する電圧コ
ントローラー60とからなる。
【0017】基板31は、吸音板50を支持する長方形
状の部材である。この基板31には、その一方の長辺側
に脚32、32が取り付けられており、基板31はこの
脚32、32を床等の配設面に配して垂直に立てられて
いる。配設面に立てられた基板31の上辺部及び下辺部
には、基板31の一方の面側に向けて突出部33、34
が設けられている。これら突出部33、34はともに基
板31に対して垂直に、且つ基板31の長方向に沿って
一定の幅で設けられている。突出部33の下側及び突出
部34の上側には、その長方向に沿ってレール溝35、
36が設けられている。
【0018】吸音板50は、長方形状で、その長辺の長
さは突出部33、34間の距離にほぼ等しく、短辺の長
さは基板31の長方向の長さのほぼ6分の1であり、一
方の面には吸音面51が設けられている。そして、6枚
の吸音板50a、50b、50c、50d、50e、5
0fが吸音面51を同じ方向に向けて並べられ、向い合
う長辺どうしをそれぞれ折曲自在に連結されることによ
って、屏風状の連結吸音板52を構成している。連結吸
音板52は、平面状に延されると基板31とほぼ同じ大
きさである。
【0019】連結吸音板52には、図2に示すように、
5箇所の連結部分が設けられている。これらの連結部分
のうち、連結吸音板52の一方の端から2つ目、吸音板
50bと50cとの連結部分53の両端部には、連結部
分の配設方向に向けて突出する軸55a、55bが設け
られ、一方の端から4つ目、吸音板50dと50eとの
連結部分54の両端部にも、連結部分の配設方向に向け
て突出する軸56a、56bが設けられている。さらに
連結吸音板52の両端の吸音板50aと50bの両短辺
部には、連結部分が構成されていない長辺部寄りに軸5
5、56と同様の軸57a、57b、58a、58bが
設けられている。
【0020】連結吸音板52は、軸57a、55a、5
6a、58aを基板31に設けられたレール溝35に、
軸57b、55b、56b、58bをレール溝36にそ
れぞれ摺動自在に配置されている。これにより、連結吸
音板52は、基板31に沿って屏風を閉じたり開いたり
する要領でその形態を変化させることができる。
【0021】吸音板50は、図3に示すように、吸音面
51側が開口した、断面コの字形のケーシング15を有
しており、ケーシング15は、絶縁材料により形成され
ている。ケーシング15内部には、一対の電極板17、
18が、吸音面51に直交する方向に間隙をおいて対向
配置されており、吸音面51側の電極板17には、音波
に対して柔軟な例えばPET(ポリエチレンテレフタレ
ート)フィルム17aが一様に接着されている。一方の
電極板17及びPETフィルム17aは、ケーシング1
5の開口部を閉塞するように設けられており、PETフ
ィルム17aの表面が吸音面51となっている。また、
ケーシング15内部の一対の電極板17、18間には、
ENC流体組成物10が密閉された状態で収容されてい
る。
【0022】ENC流体組成物10は、図4に示すよう
に電気絶縁性媒体1中にEA粒子2が均一に分散されて
なっている。このEA粒子2は、有機高分子化合物から
なる芯体3と、電界配列性無機物(以下、「EA無機
物」と称する)である粒子4からなる表層5とによって
形成され、無機・有機複合粒子を形成している。この具
体例において、電気絶縁性媒体1は無色透明のシリコー
ン油であり、無機・有機複合粒子の芯体3を形成する有
機高分子化合物はポリアクリル酸エステルであり、表層
5を形成するEA無機物の粒子4は無機イオン交換体で
ありかつ電気半導体性無機物でもある白色の水酸化チタ
ンである。このEA粒子(無機・有機複合粒子)の色は
例えば白色である。また、電気絶縁性媒体1中に含まれ
るEA粒子2の割合は例えば7.5重量%である。
【0023】また、図3に示すように一対の電極板1
7、18間には、その電極板17、18間に電圧を印加
し且つその電圧を調整する電圧コントローラー60が、
図1に示すように電気ケーブル61を介して接続されて
おり、電圧コントローラー60は、図示しない電源に接
続されている。また、電圧コントローラー60は、電圧
の印加をON又はOFFにするスイッチ60aと、その
印加電圧を調整するダイヤル60bとを備えている。
【0024】吸音装置30は以上のような構成を有して
おり、オーディオルーム等の音響空間に設置して使用す
る。
【0025】次に、吸音装置30の動作について説明す
る。まず、電圧コントローラー60のスイッチ60aが
OFFのとき、即ち、図5に示すように一対の電極板1
7、18間に電圧が印加されていない状態では、ENC
流体組成物10中のEA効果を有するEA粒子2は電気
絶縁性媒体中にランダムに浮遊・分散している。
【0026】次に、電圧コントローラー60のスイッチ
60aをONにして一対の電極板17、18に電圧を印
加すると、図6に示すようにEA粒子2は鎖状に配列結
合して鎖状体(粒子鎖)6を形成し、この鎖状体6が電
界方向に平行して配列する。この状態で、一方の電極板
17に、図7に示すように音波(空気振動)11を入射
させると、図8の(a)、(b)、(c)および(d)
の状態が順次起こって、この電極板17がPETフィル
ム17aとともに矢印X(図7参照)で示すように対向
方向に振動するが、鎖状体6自体が弾性の性質を持って
いるため、図8の(b)に示すように、鎖状体6は、圧
縮される場合には、例えば「く」の字状に撓んで反発力
を生じ、図8の(d)に示すように、鎖状体6は、引っ
張られる場合には、向かい合うEA粒子2同士が引き合
って引力を生じる。これにより、ENC流体組成物中で
の鎖状体6の運動により、粘性抵抗が生じ、音波11の
持つエネルギーの損失(散逸)が起こる。
【0027】そして、電極板17の振動にともなって、
鎖状体6の引っ張りと圧縮が繰り返されるものであり、
この結果、鎖状体6自身も振動することになる。すなわ
ち、電極板17に入射した音波11に、鎖状体6を含む
ENC流体組成物と、電極板17とPETフィルム17
aとからなる電極板構造体とが共振するのである。この
ような鎖状体6に振動を与える音波周波数は、鎖状体6
の持つ特性振動数によって定まり、その特性振動数と一
致した周波数の音波11が電極板17に入射すると、鎖
状体6は共振して(図7中矢印A、B参照)その音波を
吸収し、他の周波数の音波12は反射されることにな
る。
【0028】各EA粒子2間に働く力(鎖状体6に生じ
る応力)は一対の電極板17、18に印加される電圧の
増加に伴って増大することから、鎖状体6自体の弾性率
と粘性率が印加電圧の増加に伴って増大することにな
る。本発明は、このことを利用して音波の所望の成分を
除去するものである。すなわち、印加電圧を調整して、
粒子鎖6自体の特性振動数を、電極板17に入射した音
波(空気振動)11のうち除去したい成分(特定波長の
音波)の振動数に一致させることにより、図7に示すよ
うに、鎖状体6を慣性力の作用により左右矢印A、Bで
示すように共振(共鳴)させ、入射した音波11の除去
したい成分のエネルギーを消費し、その他の音波成分
(符号12で示す)を反射させるものである。このよう
に、印加電圧により、入射音波の所望の特定波長の成分
を吸収できる。
【0029】従って、電圧コントローラー60のダイヤ
ル60bによって印加電圧を調整すると、鎖状体6自体
の特性振動数を、入射した音波(空気振動)11のうち
除去したい成分の振動数に一致させることが出来る。す
ると、図7に示すように、鎖状体6は、除去したい成分
の振動数の音波に共振(共鳴)し、その音波のエネルギ
ーを消費する。そして、その他の成分の音波12は反射
されることなる。
【0030】すなわち、本実施例の吸音装置30は、電
圧コントローラー60のダイヤル60bによって印加電
圧を選択することにより、吸音(除去)したい音域を選
択してその音域の音の吸音を行なうことが出来、吸音装
置30が設置された音響空間の音響特性を自在に変化さ
せることが出来る。
【0031】また、本実施例の吸音装置30は、音響空
間に固定されるものではなく、床等の配設面に置いて使
用するものなので、設置工事等の必要がなく、また、音
響空間内における配設位置を移動、他の音響空間への移
設も簡単である。
【0032】また、本実施例の吸音装置30によれば、
6枚の吸音板50を屏風状に連結し、屏風を閉じたり開
いたりする要領でその形態を変化させることができるの
で、入射する音波11の方向に対する吸音板50の配設
角度を変化させて吸音されない音波12の反射する方向
を変化させることが出来、より多彩に音響特性を変化さ
せることが出来る。
【0033】尚、本実施例においては、鎖状体は「く」
の字状に撓むものとされているが、この他に、例えば図
9の(a)に示すようなS字型、あるいは図9の(b)
に示すようなW字型に撓む場合もあると考えられる。
【0034】また、本実施例においては、電界の印加に
よってEA粒子(無機・有機複合粒子)2が1列の鎖状
体6を形成して平行に配列する現象について説明した
が、EA粒子2の数が数重量%を越えて多くなると、1
列の鎖状体6ではなく、鎖状体6が複数列相互に接合し
て、図10の(a)の如くカラム19を構成して配列す
るようになる。このカラム19においては左右の鎖状体
のEA粒子2は1つずつずれて互い違いに隣接する。こ
れについて本発明者らは、図10の(b)に示すごと
く、+極部分と−極部分に誘電分極しているEA粒子2
が互い違いに隣接して+極部分と−極部分とが引き合っ
て配列した方がエネルギー的に安定なためであると推定
している。
【0035】また、本実施例においては、一対の電極板
間に直接ENC流体組成物を収容したものを示したが、
これに限らず、ENC流体組成物を十分に含浸させた多
孔質体を一対の電極板間に収容してもよい。この場合、
多孔質体は、EA効果を損なわないために、連続気泡を
有するものが好ましい。
【0036】また、本実施例においては、吸音面51側
の電極板17にはPETフィルム17aを接着したが、
これに代えて、PVC(塩化ビニル)フィルム、ナイロ
ンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフ
ィルム、アクリルフィルム等の各種プラスチックフィル
ム等を用いてもよい。
【0037】更に、本実施例においては、基板31が配
設面に垂直に立つように構成したが、その配設角度は垂
直に限るものではなく、脚32の取り付け部分に取り付
け角度の調整機構を設けて基板31の配設面に対する傾
斜角を変えられるように構成してもよい。また、連結吸
音板52は6枚の吸音板にて構成されているが、吸音板
50の数量は特に限定されるものではない。
【0038】ここで、本発明のENC流体組成物に用い
る図4の電気絶縁性媒体1としては、例えば、塩化ジフ
ェニル、セバチン酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級
アルコールエステル、ハロフェニルアルキルエーテル、
トランス油、塩化パラフィン、弗素系オイル、またはシ
リコーン系オイルやフルオロシリコーン系オイルなど、
電気絶縁性及び電気絶縁破壊強度が高く、化学的に安定
でかつEA粒子を安定に分散させ得るものであればいず
れの流体またはこれらの混合物も使用可能である。この
電気絶縁性媒体1は、目的に応じて着色することができ
る。着色する場合は、選択された電気絶縁性媒体に可溶
であってその電気的特性を損なわない種類と量の油溶性
染料または分散性染料を用いることが好ましい。電気絶
縁性媒体1には、この他に分散剤、界面活性剤、粘度調
整剤、酸化防止剤、安定剤などが含まれていてもよい。
【0039】この電気絶縁性媒体1の動粘度は、1cS
tないし30000cStの範囲内であることが好まし
い。動粘度が1cStより小さいと、ENC流体組成物
の貯蔵安定性の面で不足を生じ、動粘度が30000c
Stより大きいと、EA粒子の均一分散が困難になると
ともに、調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜けにく
くなり、取り扱いに支障を来すので好ましくない。この
観点から、動粘度は10cStないし1000cStの
範囲内、特に10cStないし100cStの範囲内で
あることが好ましい。もちろん、電気絶縁性媒体1の動
粘度は、温度により変化し、この温度影響を印加電圧に
よって抑制することができる。
【0040】本発明に用いられるEA粒子2は、EA効
果を有する無機・有機複合粒子であれば、元素、有機化
合物、または無機化合物、またはそれらの混合物など、
いずれの素材も使用可能である。その例としては例えば
無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気半導
体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、およびこれ
らを表層として有する粒子を挙げることができる。しか
し、このEA粒子2は、本実施例に示したように、有機
高分子化合物からなる芯体3と、EA無機物の粒子4か
らなる表層5とによって形成された無機・有機複合粒子
であることが特に好ましい。この無機・有機複合粒子
は、比較的比重が重いEA無機物の粒子4からなる表層
5が比較的比重の軽い有機高分子化合物である芯体3に
担持されていて、その粒子全体の比重を電気絶縁性媒体
1に対して近似するように調節できる。従ってこれを電
気絶縁性媒体1に分散して得られたENC流体組成物
は、貯蔵安定性に優れたものとなる。
【0041】EA粒子(無機・有機複合粒子)2の芯体
3として使用し得る有機高分子化合物の例としては、ポ
リ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エ
ステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、AB
S樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、アイオノマ
ー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以上の混合
物または共重合物を挙げることができる。
【0042】表層5を形成するEA無機物である粒子4
としては種々のものが用い得るが、好ましい例としては
無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性無機物と
を挙げることができる。これらの粒子4を用いて有機高
分子化合物からなる芯体3の上に表層5を形成すると
き、得られた無機・有機複合粒子は有用なEA粒子2と
なる。
【0043】上記無機イオン交換体の例としては(1)
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0044】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOX(OH)Y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、および水酸
化鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは含水
酸化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、Ti
O(OH)2)および水酸化チタン(別名オルソチタン
酸またはαチタン酸、Ti(OH)4)の双方を含むも
のであり、他の化合物についても同様である。
【0045】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどであ
る。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タンおよびモリブデン酸錫などである。
【0046】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイトなど
である。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO43のようなも
のが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置換
したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
【0047】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、及びK2O・2.5TiO
2・2H2Oなどである。なお、上記化合物のうち、aま
たはbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数で
ある化合物を酸処理し、KとHとを置換することによっ
て容易に合成される。
【0048】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、およびタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。) これらには例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6]および
2Co[Fe(CN)6]などの不溶性フェロシアン化
合物が含まれる。
【0049】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2)y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を表
す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類に
より異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を示
すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM
アルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷移
金属または希土類金属等、H以外の金属イオンのいず
れか任意のものである。OH基を有する無機イオン交換
体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にOH-
であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4など
や錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意
のものである。
【0050】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO43の加熱により得られるHZr2(PO43
ハイドロタルサイトの高温加熱処理物(500〜700
℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イオ
ン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層と
して用いることもできる。なお、上記の無機イオン交換
体として、多価金属の水酸化物、及び多価金属の酸性塩
を用いることが特に好ましい。
【0051】上記EA粒子(無機・有機複合粒子)2の
表層5として使用し得る電気半導体性無機物の例は、電
気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cmの金属
酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオン
交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種に金属
ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの有無に
拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他の支持
体上に電気半導体層として施したものなどである。
【0052】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2)およびオルソチタン酸(別名αチタ
ン酸、Ti(OH)4)を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピングEA無機物:これは上記の電気半
導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げるため
に、アンチモン(Sb)などの金属をEA無機物にドー
ピングしたものであって、例としてはアンチモン(S
b)ドーピング酸化錫(SnO2)などを挙げることが
できる。 (N)他の支持体上に電気半導体層としてEA無機物を
施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シリカ、
アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、または
ポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子粒子を
用い、これに電気半導体層としてアンチモン(Sb)ド
ーピング酸化錫(SnO2)を施したものなどを挙げる
ことができる。このように他の支持体上にEA無機物が
施された粒子も、全体としてEA無機物と見なすことが
できる。これらのEA無機物は、1種類だけでなく、2
種類またはそれ以上を同時に表層として用いることもで
きる。
【0053】EA粒子(無機・有機複合粒子)2は、種
々な方法によって製造することができる。例えば、有機
高分子化合物からなる粒子状の芯体3と微粒子状の粒子
4とをジェット気流によって搬送し、衝突させて製造す
る方法がある。この場合は粒子状の芯体3の表面に粒子
4の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層5を形成す
る。また別の製法例としては、粒子状の芯体3を気体中
に浮遊させ、粒子4の溶液を霧状にしてその表面に噴霧
する方法がある。この場合はその溶液が芯体3の表面に
付着し乾燥することによって表層5が形成される。
【0054】EA粒子(無機・有機複合粒子)2を製造
する特に好ましい製法は、芯体3と同時に表層5を形成
する方法である。この方法は、例えば、芯体3を形成す
る有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で乳化重
合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒子状と
したEA無機物である粒子4を上記モノマー中、または
重合媒体中に存在させるというものである。重合媒体と
しては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒との混合物
を使用することもでき、また有機系の貧溶媒を使用する
こともできる。この方法によれば、重合媒体の中でモノ
マーが重合して芯体粒子3を形成すると同時に、微粒子
状のEA無機物の粒子4が芯体3の表面に層状に配向し
てこれを被覆し、表層5を形成する。
【0055】乳化重合または懸濁重合によってEA粒子
(無機・有機複合粒子)を製造する場合には、モノマー
の疎水性の性質とEA無機物の親水性の性質を組み合わ
せることによって、EA無機物の粒子4の大部分を芯体
3の表面に付着させることができる。この芯体3と表層
5との同時形成方法によれば、有機高分子化合物からな
る芯体3の表面にEA無機物の粒子4が緻密かつ強固に
接着し、堅牢なEA粒子(無機・有機複合粒子)2が形
成される。
【0056】本発明に使用するEA粒子2の形状は必ず
しも球形であることを要しないが、粒子状の芯体3が調
節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場合
は、得られるEA粒子2の形状はほぼ球形となる。EA
粒子2の粒径は特に限定されるものではないが、0.1
μmないし500μm、特に5μmないし200μmの
範囲内とすることが好ましい。この際の微粒子状のEA
無機物である粒子4の粒径は特に限定されるものではな
いが、好ましくは0.005μmないし100μm、さ
らに好ましくは0.01μmないし10μmの範囲内と
する。
【0057】EA粒子(無機・有機複合粒子)2におい
て、表層5を形成するEA無機物である粒子4と芯体3
を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限定される
ものではないが、保存安定性の高いENC流体組成物を
得るためには、EA無機物の粒子4と有機高分子化合物
の芯体3の合計重量に対して粒子4が1重量%ないし6
0重量%の範囲内、特に4重量%ないし30重量%の範
囲内とすることが好ましい。この芯体3の割合が1重量
%未満では、得られたEA粒子2のEA特性が不十分と
なり、60重量%を超えると、EA2粒子の比重が過大
となって保存安定性を損なう惧れがある。また、本発明
のENC流体組成物は、上記のEA粒子2を、必要なら
分散剤、他の成分とともに電気絶縁性媒体中に均一に攪
拌混合して製造することができる。この攪拌機として
は、液状分散媒に固体粒子を分散させるために通常使用
されるものがいずれも使用できる。電気絶縁性媒体中1
におけるEA粒子2の含有率は、特に限定されるもので
はないが、0.5〜75重量%、特に5〜50重量%で
あることが好ましい。その含有率が1%未満では充分な
EA効果が得られず、75%以上では電圧を印加しない
ときのENC流体組成物の初期粘度が過大となって使用
が困難になる。
【0058】上記の各種方法、特に芯体3と表層5とを
同時に形成する方法によって製造されたEA粒子2は、
その表層5の全部または一部分が有機高分子物質や、製
造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添加物質の
薄膜で覆われていて、EA粒子としてのEA効果が充分
に発揮されない場合がある。この不活性物質の薄膜は粒
子表面を研磨することによって容易に除去することがで
きる。従って芯体3と表層5とを同時に形成する場合に
は、その表面を研磨することが好ましい。
【0059】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子であるEA
粒子2を水などの分散媒体中に分散させて、これを攪拌
する方法によって行うことができる。この際、分散媒体
中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒子2と
共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌する
方法などによって行うこともできる。例えばまた、分散
媒体を使用せず、EA粒子2と上記のような研磨材また
は研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うこともでき
る。
【0060】さらに好ましい研磨方法は、EA粒子2を
ジェット気流などによって気流攪拌する方法である。こ
れは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨す
る方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの粒
子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法で
ある。上記のジェット気流攪拌においては、それに用い
られる装置の種類、攪拌速度、EA粒子2の材質などに
より研磨条件を選定する必要があるが、一般的には60
00rpmの攪拌速度で0.5min〜15min程度
ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0061】本発明のENC流体組成物は、上記のEA
粒子2を、必要なら分散剤など他の成分と共に電気絶縁
性媒体1中に均一に攪拌混合し分散させて製造すること
ができる。この攪拌機としては、液状分散媒に固体粒子
を分散させるために通常使用されるものがいずれも使用
できる。
【0062】次に、本発明の第2実施例について図11
を参照して説明する。本実施例の吸音装置130は、第
1実施例の吸音装置30について、形態はそのままに、
基板31の連結吸音板52に対向する面全体に吸音板1
40を配設し、更に、各吸音板50を石膏ボード等から
なる反射板150に交換して連結反射板152を構成し
たものである。
【0063】本実施例の吸音装置130によれば、ま
ず、連結反射板152を収縮して吸音板140の露出面
積を最大にしたうえで印加電圧を選択することにより、
吸音(除去)したい音域を選択してその音域の吸音を行
なうことが出来る。そして、連結反射板152を徐々に
展開して吸音板140の露出面積を狭めることにより、
吸音板140に入射する音波の量を減少させて吸音率を
下げることが出来る。また、連結反射板152を展開し
て吸音板140をすべて覆った状態から、連結反射板1
52を徐々に収縮して吸音率を上げることも勿論可能で
ある。すなわち、本実施例の吸音装置130によれば、
吸音したい音域を保ったうえで吸音板140に入射する
音波の量を増減させてその吸音率を変化させることが出
来る。
【0064】尚、本実施例においては、反射板150は
連結されて屏風状に構成されているが、例えばシャッタ
ーのように、吸音板の吸音面に沿って展開、収縮自在な
構成を有するものであれば他の形態のものでもよい。
【0065】
【発明の効果】請求項1記載の吸音装置よれば、電圧印
加調整手段によって印加電圧を選択することにより、吸
音(除去)したい音域を選択して、その音域の吸音を効
果的に行なうことが出来る。更に、複数の吸音板を屏風
状に連結し、屏風を閉じたり開いたりする要領でその形
態を変化させることができる構成としたので、入射する
音波の方向に対する吸音板の配設角度を変化させて吸音
されない音波の反射する方向を変化させることが出来
る。従って、音響空間の音響特性を簡単な操作で多彩に
変化させることが出来る。
【0066】請求項2記載の吸音装置によれば、電圧印
加調整手段によって印加電圧を選択することにより、吸
音(除去)したい音域を選択して、その音域の吸音を効
果的に行なうことが出来る。更に、反射板を展開、収縮
することによって吸音板の露出面積を増減させることが
できる構成としたので、吸音板に入射する音波の量を増
減させてその吸音率を変化させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の吸音装置の第1実施例を示す斜視図
である。
【図2】 図1の吸音装置の分解斜視図である。
【図3】 図1の吸音板の拡大断面図である。
【図4】 本発明に係わるENC流体組成物の一実施例
を示す断面図である。
【図5】 本発明に係わるENC流体組成物の電源オフ
時の態様を示す断面図である。
【図6】 本発明に係わるENC流体組成物の電源オン
時の態様を示す断面図である。
【図7】 本発明の吸音装置において、音波が入射され
て鎖状体や一方の電極板が共振している状態を示す断面
図である。
【図8】 本発明の吸音装置において、音波が入射され
て一方の電極板が振動している状態を示す断面図であ
る。
【図9】 本発明の吸音装置において、鎖状体の撓み状
態の別な例を示す図である。
【図10】 本発明の吸音装置において、鎖状体が複数
列相互に接合してなるカラムを示す図である。
【図11】 本発明の吸音装置の第2実施例を示す斜視
図である。
【符号の説明】
2…EA粒子(固体粒子)、10…電気感応型音波吸収
制御用流体組成物(ENC流体組成物)、17…電極
板、18…電極板、30…吸音装置、50…吸音板、6
0…電圧コントローラー、130…吸音装置、140…
吸音板、150…反射板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G10K 11/162 15/00 G10K 11/16 A 15/00 M (72)発明者 後藤 守孝 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 古市 健二 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の吸音板を屏風状に折曲自在に連結
    してなる吸音装置であって、 前記吸音板は、電界配列効果を有する固体粒子を電気絶
    縁性媒体中に含有してなる電気感応型音波吸収制御用流
    体組成物と、間隙をおいて互いに対向し、前記間隙に前
    記電気感応型音波吸収制御用流体組成物を収容した一対
    の電極板とを備え、 更に、前記一対の電極板間に電圧を印加し且つ該電圧を
    調整する電圧印加調整手段とにより構成されることを特
    徴とする吸音装置。
  2. 【請求項2】 電界配列効果を有する固体粒子を電気絶
    縁性媒体中に含有してなる電気感応型音波吸収制御用流
    体組成物と、間隙をおいて互いに対向し、前記間隙に前
    記電気感応型音波吸収制御用流体組成物を収容した一対
    の電極板とを備え、更に、前記一対の電極板間に電圧を
    印加し且つ該電圧を調整する電圧印加調整手段とにより
    構成されている吸音板と、 該吸音板の吸音面に沿って配設された、展開、収縮自在
    な反射板とにより構成されることを特徴とする吸音装
    置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112037750A (zh) * 2020-08-28 2020-12-04 武汉理工大学 一种主动声学超材料结构单元、控制系统及声学超材料板
JP2021117135A (ja) * 2020-01-28 2021-08-10 株式会社日立製作所 音波制御器および音響機器
CN117552594A (zh) * 2023-11-02 2024-02-13 北京市建筑工程装饰集团有限公司 一种具有吸声扩散体造型的装饰墙体及其施工方法

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