JPH08146972A - 吸音壁 - Google Patents

吸音壁

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JPH08146972A
JPH08146972A JP6291831A JP29183194A JPH08146972A JP H08146972 A JPH08146972 A JP H08146972A JP 6291831 A JP6291831 A JP 6291831A JP 29183194 A JP29183194 A JP 29183194A JP H08146972 A JPH08146972 A JP H08146972A
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Japan
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sound absorbing
particles
sound
voltage
inorganic
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Application number
JP6291831A
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English (en)
Inventor
Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Moritaka Goto
守孝 後藤
Kenji Furuichi
健二 古市
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
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Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 残響調整を容易に行い得る吸音壁を提供す
る。 【構成】 壁体3の室内R側に吸音板6とこの吸音板6
の室内R側への露出状態を調節する調節手段5とが設け
られてなり、吸音板6は、一対の対向する電極板と、該
一対の電極板間に配設されると共に電界配列効果を有す
る固体粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応
型音波吸収制御用流体組成物と、前記一対の電極板間に
電圧を印加しかつ該電圧を調整する電圧印加調整手段と
を具備してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音波を吸収する吸音壁
に係わるものであり、特に、残響調整を容易に行い得る
吸音壁に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、劇場・ホール・市民会館等は、
音楽、演劇、講演会等多目的な用途に使用される。この
場合、劇場・ホール・市民会館等の室内は、音楽演奏時
には響きの豊かな音場であることが理想的であり、逆に
講演時には講演内容が明瞭に伝達されるよう響きの少な
い音場であることが理想的である。また一口に音楽演奏
時といっても、演奏内容によって音の響き具合、すなわ
ち残響時間を調整できることが望ましい。
【0003】従来、上記残響調整を行うことを目的とし
て、多孔質プラスチック、グラスウール、フェルト等か
らなる吸音材が各所に配置されている。場合によって
は、これら吸音材の向きを可変とすることも行われてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
残響調整においては、以下の解決すべき課題を有してい
た。 (A)音楽演奏時 1)吸音材の吸音特性は、材質・形状で決まるものであ
り、吸音材の配置を変化させる、また吸音材の向きを変
化させるにしても吸音特性を大幅に変化させることは困
難であり、十分な残響調整ができなかった。2)吸音材
の配置を変化させる、また吸音材の向きを変化させるに
は、大きな労力あるいは機械設備を必要とした。 (B)講演時 3)多孔質プラスチック、グラスウール、フェルト等か
らなる吸音材は、中・高音域については吸音性能が高い
ものの低音域の吸音性能が低いため全周波数帯域にわた
って十分な吸音性能を得ることができなかった。
【0005】ところで、本発明者らは、従来知られてい
ない新規な電界配列特性(Electric Alig
nment特性を略して、以下、「EA特性」と称す
る)を有する電気感応型音波吸収制御用流体組成物(E
lectric Noise−Control流体組成
物を略して、以下、「ENC流体組成物」と称する)の
研究を行っている。このENC流体組成物は、例えば、
電気絶縁性媒体中に固体粒子を分散させて得られる流体
であり、これに電圧を印加すると固体粒子が誘電分極を
起こし、さらに誘電分極に基づく静電引力によって互い
に電場方向に配位連結して整列し、鎖状体構造を示す性
質をもっている。また、固体粒子によっては電気泳動し
て配列配向し、配列塊状構造を示す性質を示すものもあ
る。このように電界下における粒子の配列配向を電界配
列効果(ElectricAlignment効果を略
して、以下、「EA効果」と称する)と呼び、そのよう
な性質を有する固体粒子を電界配列性粒子(Elect
ric Alignment粒子を略して、以下、「E
A粒子」と称する)と呼ぶこととする。そして本発明者
らは、この新規な構造のENC流体組成物の研究を進め
ることにより本発明に到達した。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、EA効果を有し、印加される電圧によって特性振動
数を制御できるENC流体組成物を備えた音波吸収制御
を行うことにより、以下の特性を有することで残響調整
を容易に行い得る吸音壁を提供することを目的としてい
る。 (a)所望の吸音特性が得られる。 (b)吸音特性の制御を容易になし得る。 (c)全周波数帯域にわたって十分な吸音性能が得られ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明においては、以下の構成を採用した。すなわ
ち、請求項1記載の吸音壁は、壁体の室内側に吸音板と
該吸音板の前記室内側への露出状態を調節する調節手段
とが設けられてなり、前記吸音板は、一対の対向する電
極板と、該一対の電極板間に配設されると共に電界配列
効果を有する固体粒子を電気絶縁性媒体中に含有してな
る電気感応型音波吸収制御用流体組成物と、前記一対の
電極板間に電圧を印加しかつ該電圧を調整する電圧印加
調整手段とを具備してなることを特徴としている。ま
た、請求項2記載の吸音壁は、請求項1記載の吸音壁に
おいて、前記調節手段は、前記吸音板を被覆する吸音シ
ートと、該吸音シートを移動させる移動機構とを具備し
てなることを特徴としている。
【0008】
【作用】本発明の吸音壁においては、吸音板が、一対の
電極板と、これら一対の電極板間に配設されると共にE
A効果を有するEA粒子を電気絶縁媒体中に含有してな
るENC流体組成物と、一対の電極板間に電圧を印加し
かつ該電圧を調整する電圧印加調整手段が設けられた構
成とされている。このとき、一対の電極板間に電圧が印
加されていない状態では、ENC流体組成物中のEA効
果を有するEA粒子は、電気絶縁性媒体中にランダムに
浮遊・分散している。
【0009】電圧印加調整手段により一対の電極板にあ
る電圧を印加すると、EA粒子は鎖状に配列結合して鎖
状体(粒子鎖)を形成し、この鎖状体が電界方向に対し
て平行に配列する。この状態で、一方の電極板に音波
(空気振動)を入射させると、この電極板がこれら電極
板の対向方向に振動するが、鎖状体自体が弾性の性質を
持っているため、鎖状体は引っ張られる場合には、向か
い合う粒子同士が引き合って引力を、圧縮される場合に
は、撓んで反発力をそれぞれ生じ、電気絶縁性媒体中の
鎖状体の運動により粘性抵抗が生じ、これによって音波
の持つエネルギーの損失(散逸)が起こる。
【0010】すなわち、電極板に入射した音波に、鎖状
体を含むENC流体組成物と電極板とが共振するのであ
る。このような鎖状体に振動を与える音波周波数は、鎖
状体の持つ特性振動数(鎖状体の弾性と電極板の慣性と
のバランスからなる、いわゆる固有振動数と推定され
る)によって定まり、その特性振動数と一致した周波数
の音波が電極板に入射すると、鎖状体は共振してその音
波を吸収し、他の周波数の音波は反射されることにな
る。
【0011】各粒子間に働く引力(鎖状体に生じる応
力)は、一対の電極板に印加される電圧の増加に伴って
増大することから、鎖状体自体の弾性率と粘性率が印加
電圧の増加に伴って増大することになり、本発明は、こ
のことを利用するものである。すなわち、印加電圧を調
整して、鎖状体自体の特性振動数を、入射音波(空気振
動)のうち除去したい周波数成分に一致させることによ
り、鎖状体を共振(共鳴)させ、吸音(除去)したい成
分のエネルギーを消費し、その他の成分を反射させるも
のである。
【0012】図9はEA粒子30wt%分散系について
EA特性に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示す
グラフである。このグラフから印加電圧が増加するほど
鎖状体に働く応力は増大することが明らかである。EA
特性は、誘電分極した粒子が電気的引力により電場方向
に配列し、鎖状構造を形成することに起因する。低せん
断速度では、電気的引力が支配的であるので、鎖状構造
の破壊と再形成がゆるやかに繰り返される。電場方向に
並んだ鎖をそれと直角方向にせん断破壊させるとき発生
する力が降伏応力に相当する。形成されるすべての鎖の
粒子が同じ直径をもち、直鎖状に並んで電極板間を結ん
でいると考えると、鎖の数は粒子濃度に比例するので、
降伏応力も粒子濃度に比例することになる。図10は、
この時の振動の等価回路を示したものであり、弾性率K
のコイルばねと粘性率Cのダッシュポットが一対の電極
板間に並列に接続されたものと同等であることを示して
いる。
【0013】したがって、電圧印加調整手段によって印
加電圧を調整することにより、鎖状体自体の特性振動数
を、入射音波(空気振動)のうち除去したい周波数成分
に一致させることができる。すると、鎖状体は、除去し
たい周波数成分の音波に共振(共鳴)し、その音波のエ
ネルギーを消費し、その他の成分の音波は反射する。よ
って、本発明の吸音壁によれば、印加電圧を調整するこ
とで、吸音板にて吸音する周波数成分を選択することが
できる。
【0014】また、調節手段にて吸音板の室内側への露
出状態を調節する。これにより、吸音特性の設定の自由
度を高めることができる。このとき、吸音板の室内側へ
の露出状態の調節手段が吸音シートとこの吸音シートの
移動機構とを具備するので、移動機構にて吸音シートの
移動を行い、吸音板の露出状態の調節を任意に行うこと
ができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1は、本発明の吸音壁の一実施例を示すもの
で、符号1は吸音壁である。吸音壁1は、劇場・ホール
・市民会館等の床2上に立設された壁体3であって、室
内R側に向けて凹部4が形成されると共に、この凹部4
を露出または被覆する調節手段5を備え、凹部4内面に
吸音板6が貼着された構成とされている。
【0016】上記吸音板6は、図2に示すように、複数
の平面視矩形の吸音部6a、6a…に分割されて構成さ
れている。各吸音部6aは、絶縁材料からなると共にそ
の一面が開口面とされた箱状のケーシング6bの内部
に、一対の電極板7、8が、開口面に直交する方向に間
隙をおいて対向配置されており、開口面側が室内R側と
なるよう配置されている。開口面側の電極板7表面に
は、音波に対して柔軟な例えばPET(ポリエチレンテ
レフタレート)フィルム9が一様に接着されている。一
方の電極板7およびPETフィルム9は、ケーシング6
bの開口面を閉塞するように設けられており、これら電
極板7およびPETフィルム9は、一体となって電極板
7、8の対向方向に振動自在とされている。また、ケー
シング6b内部の一対の電極板7、8間には、ENC流
体組成物10が密閉された状態で収容されている。
【0017】上記ENC流体組成物10は、図3に示す
ように電気絶縁性媒体11中にEA粒子12が均一に分
散されてなっている。このEA粒子12は、有機高分子
化合物からなる芯体13と、電界配列性無機物(Ele
ctric Alignment無機物を略して、以
下、「EA無機物」と称する)である粒子14からなる
表層15とによって形成され、無機・有機複合粒子を形
成している。この具体例において、電気絶縁性媒体11
は無色透明のシリコーン油であり、無機・有機複合粒子
の芯体13を形成する有機高分子化合物はポリアクリル
酸エステルであり、表層15を形成するEA無機物の粒
子14は無機イオン交換体でありかつ電気半導体性無機
物でもある白色の水酸化チタンである。このEA粒子
(無機・有機複合粒子)の色は例えば白色である。ま
た、電気絶縁性媒体11中に含まれるEA粒子12の割
合は例えば7.5重量%である。
【0018】また、図2に示すように一対の電極板7、
8間には、電圧印加調整手段20としてスイッチ21お
よび電圧可変設定可能な可変電源22が電気ケーブル2
3を介して接続されている。
【0019】一方、前記調節手段5は、凹部4を露出ま
たは被覆することにより、吸音板6の室内R側への露出
状態を調節するものであり、吸音シート5aと、この吸
音シート5aの巻取り・繰り出しを行う巻取り装置5b
(移動機構)から構成されている。吸音シート5aは、
多孔質プラスチック、グラスウール、フェルト等の吸音
部材からなるものであり、低音域の吸音性能が低いもの
の中・高音域については高い吸音性能を有しているもの
である。そして、吸音シート5aは、巻取り装置5bに
より巻取り・繰り出しされて凹部4を露出・被覆するよ
う上下動自在とされ、凹部4を全開状態5c、全閉状態
5d、半開状態5eあるいは任意の位置での開状態とす
ることができる。
【0020】次に、上記吸音部6aによる吸音について
述べる。図4に示すように、一対の電極板7、8間に電
圧が印加されていない状態では、ENC流体組成物10
のEA粒子12は、電気絶縁性媒体11中にランダムに
浮遊・分散した状態にある。そして、一対の電極板7、
8に電圧を印加すると、図5に示すように、ENC流体
組成物10中のEA粒子12が鎖状に配列結合して鎖状
体(粒子鎖)25を形成し、この鎖状体25が電界方向
に対して平行に配列する。
【0021】この状態で、一方の電極板7に音波(空気
振動)30を入射させると、図6の(a)、(b)、
(c)および(d)の状態が順次起こって、この電極板
7がPETフィルム9と一体となって電極板7、8の対
向方向に振動するが、鎖状体25自体が弾性の性質を持
っているため、図6の(b)に示すように、鎖状体25
は、圧縮される場合には、例えば「く」の字状に撓んで
反発力を生じ、逆に引っ張られる場合には、図6の
(d)に示すように、鎖状体25は、向かい合うEA粒
子12同士が引き合って引力を生じる。これにより、E
NC流体組成物10中での鎖状体25の運動により、粘
性抵抗が生じ、音波30の持つエネルギーの損失(散
逸)が起こる。
【0022】そして、電極板7の振動にともなって、鎖
状体25の引っ張りと圧縮が繰り返されるものであり、
この結果、鎖状体25自身も振動することになる。すな
わち、電極板7に入射した音波30に、鎖状体25を含
むENC流体組成物10と、電極板7とPETフィルム
9とからなる電極板構造体とが共振するのである。この
ような鎖状体25に振動を与える音波周波数は、鎖状体
25の持つ特性振動数によって定まり、その特性振動数
と一致した周波数の音波30が電極板7に入射すると、
図7矢印A、Bに示すように鎖状体25が共振してその
音波30を吸収し、他の周波数の音波31は反射される
ことになる。
【0023】各EA粒子12間に働く力(鎖状体25に
生じる応力)は一対の電極板7、8間に印加される電圧
の増加に伴って増大することから、鎖状体25自体の弾
性率と粘性率が印加電圧の増加に伴って増大することに
なる。本発明は、このことを利用して音波の所望の成分
を除去するものである。すなわち、印加電圧を調整し
て、鎖状体25自体の特性振動数を、電極板7に入射し
た音波(空気振動)のうち除去したい成分(特定波長の
音波)の周波数に一致させることにより、図7に示すよ
うに、鎖状体25を慣性力の作用により左右矢印A、B
で示すように共振(共鳴)させ、入射音波30の除去し
たい成分のエネルギーを消費し、その他の音波成分(符
号31で示す)を反射させるものである。このように、
印加電圧により、入射音波の所望の特定波長の成分を吸
収できる。
【0024】次に上記吸音壁1による吸音について述べ
る。 (A)音楽演奏時 上述の如く残響調整を行えることが望ましい。吸音壁1
においては、吸音板6において可変電源22によって印
加電圧を調整することによりある周波数成分の吸音を行
う。これにより、鎖状体25自体の特性振動数を、吸音
したい周波数成分に一致させることができる。このと
き、鎖状体25は、その周波数成分の音波に共振(共
鳴)し、その周波数成分を有する音波のエネルギーを消
費することにより吸収を行う。このとき、吸音板6の吸
音帯域を決定する印加電圧の設定方式に関しては、各吸
音部6a、6a…の印加電圧を個別に設定し、吸音板6
全体としての吸音分布を所望の吸音特性となるようにす
る。ここで、印加電圧の設定は、可変電源22を1ヶ所
に集中させて操作を行う方式とするのが便利である。さ
らに、上記可変電源22の操作を任意の位置から行える
よう無線方式とするとなお好ましい。一方、吸音シート
5aによる吸音は、巻取り装置5bの操作により行う。
【0025】以上のことから、吸音壁1においては、電
圧印加調整手段20を調整することにより、吸音板6の
吸音帯域を変化させることができ、かつ、調節手段5に
て吸音板6の室内R側への露出状態を調節できるので、
所望の吸音特性を得ることができ、しかも、吸音板6の
吸音帯域の調整は、電圧印加調整手段20の操作により
容易に行うことができる。よって、吸音壁1において
は、残響調整を容易に行うことができる。
【0026】また、吸音板6の室内R側への露出状態の
調節手段5が吸音シート5aとこの吸音シート5aの巻
取り装置5bからなるので、吸音板6の露出状態の調節
を任意に行うことができる。しかも、任意の露出状態で
の吸音板6の露出は、吸音シート5aの巻取り装置5b
の操作により容易に行うことができる。
【0027】(B)講演時 上述の如く全周波数帯域にわたって吸音を行えることが
望ましい。吸音壁1においては、凹部4を吸音シート5
aにより全閉とし中・高音域の吸音を行う。加えて、吸
音板6の吸音帯域を低音域に設定し、吸音板6にて低音
域の吸音を行う。
【0028】この吸音板6による吸音と吸音シート5a
による吸音とを併用することにより全周波数帯域にわた
る吸音を行うことができる。
【0029】また、図12、13には、上記実施例の変
形例1ないし5を示す。 〔変形例1〕図12(a)に変形例1の平断面図を示
す。吸音壁110は、室内R側に向けて凹部111が形
成された壁体112であって、凹部111内には、前記
吸音板6と同一の吸音板113が貼着されている。そし
て、吸音板113の室内R側への露出状態は、吸音シー
ト114の移動により調節される。吸音壁110によれ
ば、上記吸音壁1と同様の作用・効果を奏することがで
きる。
【0030】〔変形例2〕図12(b)に変形例2の平
断面図を示す。吸音壁120は、回転自在な角柱121
を有する壁体122であって、角柱121表面には、前
記吸音板6と同一の吸音板123が貼着されている。そ
して、吸音板123の室内R側への露出状態は、角柱1
21の回転により調節される。吸音壁120によれば、
上記吸音壁1と同様の作用・効果を奏することができ
る。
【0031】〔変形例3〕図13(a)に変形例3の平
断面図を示す。吸音壁130は、室内R側に向けて凹部
131が形成された壁体132であって、凹部131内
には、前記吸音板6と同一の吸音板133が貼着されて
いる。また、凹部131には、回転自在な回転壁134
が設けられ、回転壁134表面には、前記吸音板6と同
一の吸音板135が貼着されている。そして、吸音板1
33、135の室内R側への露出状態は、回転壁134
の回転により調節される。吸音壁130によれば、上記
吸音壁1と同様の作用・効果を奏することができる。
【0032】〔変形例4〕図13(b)に変形例4の側
断面図を示す。吸音壁140は、室内R側に向けて凹部
141が形成された壁体142であって、凹部141内
には上下動自在に保持された可動体143が配設されて
いる。可動体143表面には、前記吸音板6と同一の吸
音板144が貼着されている。そして、吸音板144の
室内R側への露出状態は、可動体143の上下動により
調節される。吸音壁140によれば、上記吸音壁1と同
様の作用・効果を奏することができる。
【0033】〔変形例5〕図13(c)に変形例5の側
断面図を示す。吸音壁150は、室内R側に向けて凹部
151が形成された壁体152であって、凹部151内
には上下動自在かつ回転自在に保持された可動壁体15
3が配設されている。可動壁体153表面には、前記吸
音板6と同一の吸音板154が貼着されている。そし
て、吸音板154の室内R側への露出状態は、可動壁体
153の上下動および回転により調節される。吸音壁1
50によれば、上記吸音壁1と同様の作用・効果を奏す
ることができる。
【0034】ところで、吸収する音波の特性周波数は、
EA粒子12の大きさ、EA粒子12間に働く弾性力、
また電極板7の固有振動数および電極板7、8間の距離
等により変化する。本実施例では、電気絶縁性媒体11
中に粒径がほぼ均一な球形状のEA粒子12が分散され
たものであるので(不定形粒子を用いない)、一定電圧
下では上述した反発力や引力が変動せず、しかも、EA
粒子12間に働く弾性力と電極板7の慣性力のバランス
にも変動が生じにくい。上記実施例においては、鎖状体
は「く」の字状に撓むものとされているが、この他に、
例えば図8の(a)に示すようなS字型、あるいは図8
の(b)に示すようなW字型に撓む場合もあると考えら
れる。
【0035】また、上記実施例においては、電圧の印加
によってEA粒子(無機・有機複合粒子)12が1列の
鎖状体25を形成して平行に配列する現象について説明
したが、EA粒子12の数が数重量%を越えて多くなる
と、1列の鎖状体25ではなく、鎖状体25が複数列相
互に接合して、図9の(a)の如くカラム26を構成し
て配列するようになる。このカラム26においては左右
の鎖状体のEA粒子12は1つずつずれて互い違いに隣
接する。これについて本発明者らは、図9の(b)に示
すごとく、+極部分と−極部分に誘電分極しているEA
粒子12が互い違いに隣接して+極部分と−極部分とが
引き合って配列した方がエネルギー的に安定なためであ
ると推定している。さらに、上記実施例においては、一
対の電極板7、8間にENC流体組成物10を収容した
ものを示したが、これに限らず、ENC流体組成物10
を十分に含浸させた多孔質体を一対の電極板7、8間に
収容してもよい。この場合、多孔質体は、EA効果を損
なわないために、連続気泡を有するものが好ましい。
【0036】なお、本発明のENC流体組成物10に用
いる電気絶縁性媒体11としては、例えば、塩化ジフェ
ニル、セバチン酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級ア
ルコールエステル、ハロフェニルアルキルエーテル、ト
ランス油、塩化パラフィン、弗素系オイル、またはシリ
コーン系オイルやフルオロシリコーン系オイルなど、電
気絶縁性および電気絶縁破壊強度が高く、化学的に安定
でかつEA粒子を安定に分散させ得るものであればいず
れの流体またはこれらの混合物も使用可能である。この
電気絶縁性媒体11は、目的に応じて着色することがで
きる。着色する場合は、選択された電気絶縁性媒体に可
溶であってその電気的特性を損なわない種類と量の油溶
性染料または分散性染料を用いることが好ましい。電気
絶縁性媒体11には、この他に分散剤、界面活性剤、粘
度調整剤、酸化防止剤、安定剤などが含まれていてもよ
い。
【0037】この電気絶縁性媒体11の動粘度は、1c
Stないし30000cStの範囲内であることが好ま
しい。動粘度が1cStより小さいと、ENC流体組成
物10の貯蔵安定性の面で不足を生じ、動粘度が300
00cStより大きいと、EA粒子12の均一分散が困
難になるとともに、調整時に気泡を巻き込み、その気泡
が抜けにくくなり、取り扱いに支障を来すので好ましく
ない。この観点から、動粘度は10cStないし100
0cStの範囲内、特に10cStないし100cSt
の範囲内であることが好ましい。もちろん、電気絶縁性
媒体11の動粘度は、温度により変化し、この温度影響
を印加電圧によって抑制することができる。
【0038】本発明に用いられるEA粒子12は、EA
効果を有する無機・有機複合粒子であれば、元素、有機
化合物、または無機化合物、またはそれらの混合物な
ど、いずれの素材も使用可能である。その例としては例
えば無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気
半導体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、および
これらを表層として有する粒子を挙げることができる。
しかし、このEA粒子12は、上記実施例に示したよう
に、有機高分子化合物からなる芯体13と、EA無機物
の粒子14からなる表層15とによって形成された無機
・有機複合粒子であることが特に好ましい。この無機・
有機複合粒子は、比較的比重が重いEA無機物の粒子1
4からなる表層15が比較的比重の軽い有機高分子化合
物である芯体13に担持されていて、その粒子全体の比
重を電気絶縁性媒体11に対して近似するように調節で
きる。したがってこれを電気絶縁性媒体11に分散して
得られたENC流体組成物は、貯蔵安定性に優れたもの
となる。
【0039】EA粒子(無機・有機複合粒子)12の芯
体13として使用し得る有機高分子化合物の例としては
ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸
エステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、A
BS樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、アイオノ
マー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹
脂、ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以上の
混合物または共重合物を挙げることができる。
【0040】表層15を形成するEA無機物である粒子
14としては種々のものを用い得るが、好ましい例とし
ては無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性無機
物とを挙げることができる。これらの粒子14を用いて
有機高分子化合物からなる芯体13の上に表層15を形
成するとき、得られた無機・有機複合粒子は有用なEA
粒子12となる。
【0041】上記無機イオン交換体の例としては(1)
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0042】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOx(OH)y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、および水酸
化鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは含水
酸化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、Ti
O(OH)2 )および水酸化チタン(別名オルソチタン
酸またはαチタン酸、Ti(OH)4 )の双方を含むも
のであり、他の化合物についても同様である。
【0043】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O (Mは二価の金属である)で表さ
れ、例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどで
ある。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タンおよびモリブデン酸錫などである。
【0044】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイトなど
である。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO43のようなも
のが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置換
したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
【0045】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O (aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、およびK2O・2.5Ti
2・2H2Oなどである。なお、上記化合物のうち、a
またはbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数
である化合物を酸処理し、KとHとを置換することによ
って容易に合成される。
【0046】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、およびタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。) これらには例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6] およ
びK2Co[Fe(CN)6]などの不溶性フェロシアン
化合物が含まれる。
【0047】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。すなわち、前述の無機イオン交
換体をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を
表す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を表
す)。M1 はOH基を有する無機イオン交換体の種類に
より異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を示
すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM2
アルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷移
金属または希土類金属等、H+以外の金属イオンのいず
れか任意のものである。OH基を有する無機イオン交換
体が陰イオン交換性を示すものでは、M1 は一般にOH
-であり、その場合M2 は例えばI、Cl、SCN、N
2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4など
や錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意
のものである。
【0048】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO43の加熱により得られるHZr2(PO43
ハイドロタルサイトの高温加熱処理物(500〜700
℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イオ
ン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層と
して用いることもできる。なお、上記の無機イオン交換
体として、多価金属の水酸化物、および多価金属の酸性
塩を用いることが特に好ましい。
【0049】上記EA粒子(無機・有機複合粒子)12
の表層15として使用し得る電気半導体性無機物の例
は、電気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cm
の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機
イオン交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種
に金属ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの
有無に拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他
の支持体上に電気半導体層として施したものなどであ
る。
【0050】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2 )およびオルソチタン酸(別名αチタ
ン酸、Ti(OH)4)を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピングEA無機物:これは上記の電気半
導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げるため
に、アンチモン(Sb)などの金属をEA無機物にドー
ピングしたものであって、例としてはアンチモン(S
b)ドーピング酸化錫(SnO2)などを挙げることが
できる。 (N)他の支持体上に電気半導体層としてEA無機物を
施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シリカ、
アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、または
ポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子粒子を
用い、これに電気半導体層としてアンチモン(Sb)ド
ーピング酸化錫(SnO2 )を施したものなどを挙げる
ことができる。このように他の支持体上にEA無機物が
施された粒子も、全体としてEA無機物と見なすことが
できる。これらのEA無機物は、1種類だけでなく、2
種類またはそれ以上を同時に表層として用いることもで
きる。
【0051】EA粒子(無機・有機複合粒子)12は、
種々な方法によって製造することができる。例えば、有
機高分子化合物からなる粒子状の芯体13と微粒子状の
粒子14とをジェット気流によって搬送し、衝突させて
製造する方法がある。この場合は粒子状の芯体13の表
面に粒子14の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層
15を形成する。また別の製法例としては、粒子状の芯
体13を気体中に浮遊させ、粒子14の溶液を霧状にし
てその表面に噴霧する方法がある。この場合はその溶液
が芯体13の表面に付着し乾燥することによって表層1
5が形成される。
【0052】EA粒子(無機・有機複合粒子)12を製
造する特に好ましい製法は、芯体13と同時に表層15
を形成する方法である。この方法は、例えば、芯体13
を形成する有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で
乳化重合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒
子状としたEA無機物である粒子14を上記モノマー
中、または重合媒体中に存在させるというものである。
重合媒体としては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒
との混合物を使用することもでき、また有機系の貧溶媒
を使用することもできる。この方法によれば、重合媒体
の中でモノマーが重合して芯体粒子13を形成すると同
時に、微粒子状のEA無機物の粒子14が芯体13の表
面に層状に配向してこれを被覆し、表層15を形成す
る。
【0053】乳化重合または懸濁重合によってEA粒子
(無機・有機複合粒子)を製造する場合には、モノマー
の疎水性の性質とEA無機物の親水性の性質を組み合わ
せることによって、EA無機物の粒子14の大部分を芯
体13の表面に付着させることができる。この芯体13
と表層15との同時形成方法によれば、有機高分子化合
物からなる芯体13の表面にEA無機物の粒子14が緻
密かつ強固に接着し、堅牢なEA粒子(無機・有機複合
粒子)12が形成される。
【0054】本発明に使用するEA粒子12の形状は必
ずしも球形であることを要しないが、粒子状の芯体13
が調節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場
合は、得られるEA粒子12の形状はほぼ球形となる。
EA粒子12の粒径は特に限定されるものではないが、
0.1μmないし500μm、特に5μmないし200
μmの範囲内とすることが好ましい。この際の微粒子状
のEA無機物である粒子14の粒径は特に限定されるも
のではないが、好ましくは0.005μmないし100
μm、さらに好ましくは0.01μmないし10μmの
範囲内とする。
【0055】EA粒子(無機・有機複合粒子)12にお
いて、表層15を形成するEA無機物である粒子14と
芯体13を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限
定されるものではないが、保存安定性の高いENC流体
組成物10を得るためには、EA無機物の粒子14と有
機高分子化合物の芯体13の合計重量に対して粒子14
が1重量%ないし60重量%の範囲内、特に4重量%な
いし30重量%の範囲内とすることが好ましい。この芯
体13の割合が1重量%未満では、得られたEA粒子1
2のEA特性が不十分となり、60重量%を超えると、
EA粒子12の比重が過大となって保存安定性を損なう
惧れがある。また、ENC流体組成物10は、上記のE
A粒子12を、必要なら分散剤、他の成分とともに電気
絶縁性媒体中に均一に攪拌混合して製造することができ
る。この攪拌機としては、液状分散媒に固体粒子を分散
させるために通常使用されるものがいずれも使用でき
る。電気絶縁性媒体中11におけるEA粒子12の含有
率は、特に限定されるものではないが、0.5〜75重
量%、特に5〜50重量%であることが好ましい。その
含有率が1重量%未満では充分なEA効果が得られず、
75重量%以上では電圧を印加しないときのENC流体
組成物10の初期粘度が過大となって使用が困難にな
る。
【0056】上記の各種方法、特に芯体13と表層15
とを同時に形成する方法によって製造されたEA粒子1
2は、その表層15の全部または一部分が有機高分子物
質や、製造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添
加物質の薄膜で覆われていて、EA粒子としてのEA効
果が充分に発揮されない場合がある。この不活性物質の
薄膜は粒子表面を研磨することによって容易に除去する
ことができる。したがって芯体13と表層15とを同時
に形成する場合には、その表面を研磨することが好まし
い。
【0057】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子であるEA
粒子12を水などの分散媒体中に分散させて、これを攪
拌する方法によって行うことができる。この際、分散媒
体中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒子1
2と共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌
する方法などによって行うこともできる。例えばまた、
分散媒体を使用せず、EA粒子12と上記のような研磨
材または研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うことも
できる。
【0058】さらに好ましい研磨方法は、EA粒子12
をジェット気流などによって気流攪拌する方法である。
これは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨
する方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの
粒子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法
である。上記のジェット気流攪拌においては、それに用
いられる装置の種類、攪拌速度、EA粒子12の材質な
どにより研磨条件を選定する必要があるが、一般的には
6000rpmの攪拌速度で0.5min〜15min
程度ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0059】上記ENC流体組成物10は、上記のEA
粒子12を、必要なら分散剤など他の成分と共に電気絶
縁性媒体11中に均一に攪拌混合し分散させて製造する
ことができる。この攪拌機としては、液状分散媒に固体
粒子を分散させるために通常使用されるものがいずれも
使用できる。
【0060】なお、上記吸音壁1において、吸音板6の
表面形態は、平坦面を例示したが、これに代えて屏風形
・波形等の拡散面であっても良い。また、上記実施例に
おけるPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム
9に代えて、PVC(ポリ塩化ビニル)フィルム、ナイ
ロンフィルム、アクリルフィルム等の各種プラスチック
フィルム等、音波に対して柔軟であり、ケーシング6b
の開口面の閉塞性が良好な種々のフィルムが使用可能で
ある。
【0061】
【発明の効果】本発明の吸音壁によれば、以下の効果を
奏する。 (1)電圧印加調整手段を調整することにより、吸音板
の吸音帯域を変化させることができ、かつ、調節手段に
て吸音板の室内側への露出状態を調節できるので、所望
の吸音特性を有する吸音壁を得ることができる。これに
より残響調整が可能である。 (2)しかも、吸音板の吸音帯域の調整は、電圧印加調
整手段にて容易に行うことができる。これにより残響調
整を容易に行い得る。 (3)吸音板の吸音帯域を低音域に設定すれば、この吸
音板による吸音と中・高音域の吸音性能の高い吸音シー
トによる吸音とを併用させて全周波数帯域にわたって吸
音を行い得る吸音壁が得られる。 (4)吸音板の室内側への露出状態の調節手段は、吸音
シートとこの吸音シートの移動機構とを具備するので、
吸音板の露出状態の調節を任意に行うことができる。 (5)しかも、任意の露出状態での吸音板の露出は、吸
音シートの移動機構の操作により容易に行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の吸音壁の一実施例を示す断面図であ
る。
【図2】 同吸音壁の吸音板を示す断面図である。
【図3】 本発明に係わるところのENC流体組成物の
一実施例を示す断面図である。
【図4】 同ENC流体組成物の電源オフ時の態様を示
す断面図である。
【図5】 同ENC流体組成物の電源オン時の態様を示
す断面図である。
【図6】 本発明の吸音壁の一実施例に使用される吸音
板における一方の電極の振動を説明する説明図である。
【図7】 同吸音板における共振形態を示す説明図であ
る。
【図8】 同吸音板における他の共振形態を示す説明図
である。
【図9】 同吸音板におけるEA粒子の配列形態を示す
説明図である。
【図10】 EA粒子分散系についてEA特性に及ぼす
電界強度の影響を測定した結果を示すグラフである。
【図11】 同EA粒子分散系における振動の等価回路
である。
【図12】 本発明の吸音壁の変形例を示すものであ
り、(a)は変形例1を示す平断面図であり、(b)は
変形例2を示す平断面図である。
【図13】 本発明の吸音壁の変形例を示すものであ
り、(a)は変形例3を示す平断面図であり、(b)は
変形例4を示す側断面図であり、(c)は変形例5を示
す側断面図である。
【符号の説明】
1…吸音壁、3…壁体、5…調節手段、5a…吸音シー
ト、5b…巻取り装置(移動機構)、6…吸音板、7…
電極板、8…電極板、10…ENC流体組成物、11…
電気絶縁性媒体、12…EA粒子、20…電圧印加調整
手段、110…吸音壁、112…壁体、113…吸音
板、114…吸音シート、120…吸音壁、122…壁
体、123…吸音板、130…吸音壁、132…壁体、
133…吸音板、135…吸音板、140…吸音壁、1
42…壁体、144…吸音板、150…吸音壁、152
…壁体、154…吸音板、R…室内。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G10K 15/00 G10K 15/00 M (72)発明者 後藤 守孝 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 古市 健二 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 壁体の室内側に吸音板と該吸音板の前記
    室内側への露出状態を調節する調節手段とが設けられて
    なり、 前記吸音板は、一対の対向する電極板と、該一対の電極
    板間に配設されると共に電界配列効果を有する固体粒子
    を電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型音波吸収
    制御用流体組成物と、前記一対の電極板間に電圧を印加
    しかつ該電圧を調整する電圧印加調整手段とを具備して
    なることを特徴とする吸音壁。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の吸音壁において、 前記調節手段は、前記吸音板を被覆する吸音シートと、 該吸音シートを移動させる移動機構とを具備してなるこ
    とを特徴とする吸音壁。
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