JPH08160967A - 可動式吸音壁 - Google Patents

可動式吸音壁

Info

Publication number
JPH08160967A
JPH08160967A JP6302532A JP30253294A JPH08160967A JP H08160967 A JPH08160967 A JP H08160967A JP 6302532 A JP6302532 A JP 6302532A JP 30253294 A JP30253294 A JP 30253294A JP H08160967 A JPH08160967 A JP H08160967A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sound absorbing
sound
wall
particles
voltage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6302532A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Moritaka Goto
守孝 後藤
Kenji Furuichi
健二 古市
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Kasei Co Ltd, Fujikura Ltd filed Critical Fujikura Kasei Co Ltd
Priority to JP6302532A priority Critical patent/JPH08160967A/ja
Publication of JPH08160967A publication Critical patent/JPH08160967A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Building Environments (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 室内の音響特性を自在に調整することのでき
る可動式吸音壁を提供する。 【構成】 反射壁23と、反射壁23の室内R側の前方
に、反射壁23に沿って移動自在に支持されて展開、収
納が可能な複数の吸音板30と、吸音板30の室内R側
の前方に、反射壁23に沿って展開、収納が可能な吸音
シート27とを備えてなり、吸音板30は、電界配列効
果を有する固体粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなる
電気感応型音波吸収制御用流体組成物と、間隙をおいて
互いに対向し、この間隙に電気感応型音波吸収制御用流
体組成物を収容した一対の電極板とを備え、さらに、こ
の一対の電極板間に電圧を印加し且つその電圧を調整す
る電圧印加調整手段により構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音波を吸収する吸音壁
に係わり、特に、室内の音響特性を自在に変化させるこ
とができる可動式吸音壁に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、劇場、ホール等は、音楽、演
劇、講演会等多目的な用途に使用される。この場合、劇
場、ホール等の室内は、音楽の演奏が行なわれる場合に
は響きの豊かな音場であることが理想であり、一方講演
が行なわれる場合には講演内容が室内全体にわたって明
瞭に聞き取れるように響きの少ない音場であることが理
想である。また音楽演奏時にも、その演奏内容によって
室内の音響特性を調節できることが望ましい。
【0003】従来、劇場、ホール等の室内には、音響特
性を調節することを目的として、多孔質プラスチック、
グラスウール、フェルト等からなる吸音材が各所に配置
されている。さらに、場合によってはこれら吸音材の配
設位置を状況に応じて変化させることも行なわれてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような音響特性の調節においては、以下に示すような解
決すべき課題を有していた。 (A)音楽演奏時 1)吸音材の吸音特性は、材質、形状で決まるものであ
り、吸音材の配置を変化させる、また吸音材の向きを変
化させるにしても吸音特性を大幅に変化させることは困
難であり、したがって十分な調整ができなかった。 2)吸音材の配置を変化させる、また吸音材の向きを変
化させるには、大きな労力あるいは機械設備を必要とし
た。 (B) 3)多孔質プラスチック、グラスウール、フェルト等か
らなる吸音材は、中、高音域については吸音性能が高い
ものの、低音域の吸音性能が低いため全周波数帯域にわ
たって十分な吸音性能を発揮することができなかった。
【0005】ところで、本発明者らは、従来知られてい
ない新規な電界配列特性(以下、Electric A
lignment特性を略して「EA特性」と称する)
を有する電気感応型音波吸収制御用流体組成物(以下、
Electric Noise−Control流体組
成物を略して「ENC流体組成物」と称する)の研究を
行っている。このENC流体組成物は、例えば、電気絶
縁性の媒体中に固体粒子を分散させて得られる流体であ
り、これに電界を印加すると固体粒子が誘電分極を起こ
し、さらに誘電分極に基づく静電引力によって互いに電
場方向に配位連結して整列し、鎖状体構造を示す性質を
持っている。また、固体粒子によっては電気泳動して配
列配向し、配列塊状構造を示す性質を示すものもある。
このように、電界下における粒子の配列配向を電界配列
効果(以下、Electric Alignment効
果を略して「EA効果」と称する)と呼び、そのような
性質を有する固体粒子を電界配列性粒子(以下、Ele
ctric Alignment粒子を略して「EA粒
子」と称する)と呼ぶこととする。そして本発明者ら
は、この新規な構造のENC流体組成物の研究を進める
ことにより本発明に到達した。
【0006】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであり、EA効果を有し、印加される電圧によって特
性振動数を制御できるENC流体組成物を備えた音波吸
収制御を行なうことにより、音楽演奏や講演等の用途に
応じて室内の音響特性を自在に調整し、快適な音場を実
現することができる可動式吸音壁を提供することを目的
としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明においては、以下の構成を採用した。すなわ
ち、請求項1記載の可動式吸音壁は、反射壁と、該反射
壁の室内側の前方に、該反射壁に沿って移動自在に支持
されて展開、収納が可能な複数の吸音板を備える可動式
吸音壁であって、前記吸音板は、電界配列効果を有する
固体粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型
音波吸収制御用流体組成物と、間隙をおいて互いに対向
し、前記間隙に前記電気感応型音波吸収制御用流体組成
物を収容した一対の電極板とを備え、さらに、前記一対
の電極板間に電圧を印加し且つ該電圧を調整する電圧印
加調整手段とにより構成されることを特徴とする。
【0008】請求項2記載の可動式吸音壁は、前記複数
の吸音板の室内側の前方に、前記反射壁に沿って展開、
収納自在の吸音シートを備えることを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明の可動式吸音壁によれば、吸音板が、E
A効果を有するEA粒子を電気絶縁媒体中に含有してな
るENC流体組成物と、間隙をおいて互いに対向し、前
記間隙に前記ENC流体組成物を収容した一対の電極板
とを備えており、一対の電極板間には電圧を印加し且つ
該電圧を調整する電圧印加調整手段が設けられているの
で、一対の電極板間に電圧が印加されていない状態で
は、ENC流体組成物中のEA効果を有するEA粒子は
電気絶縁性媒体中にランダムに浮遊・分散している。
【0010】電圧印加調整手段により一対の電極板に電
圧を印加すると、EA粒子は鎖状に配列結合して鎖状体
(粒子鎖)を形成し、この鎖状体が電界方向に平行して
配列する。この状態で、一方の電極板に音波(空気振
動)を入射させると、この電極板が前記対向方向に振動
するが、鎖状体自体が弾性の性質を持っているため、鎖
状体は引っ張られる場合には、向かい合う粒子同士が引
き合って引力を、圧縮される場合には、撓んで反発力を
それぞれ生じ、電気絶縁性媒体中の鎖状体の運動により
粘性抵抗が生じ、これによって音波の持つエネルギーの
損失(散逸)が起こる。
【0011】すなわち、電極板に入射した音波に、鎖状
体を含むENC流体組成物と電極板とが共振するのであ
る。このような鎖状体に振動を与える音波周波数は、鎖
状体の持つ特性振動数(鎖状体の弾性と電極板の慣性と
のバランスからなる、いわゆる固有振動数と推定され
る)によって定まり、その特性振動数と一致した周波数
の音波が電極板に入射すると、鎖状体は共振してその音
波を吸収し、他の周波数の音波は反射されることにな
る。
【0012】各粒子間に働く引力(鎖状体に生じる応
力)は、一対の電極板に印加される電圧の増加に伴って
増大することから、鎖状体自体の弾性率と粘性率が印加
電圧の増加に伴って増大することとなり、本発明はこの
ことを利用するものである。すなわち、印加電圧を調整
して、鎖状体自体の特性振動数を、入射音波(空気振
動)のうち除去したい周波数成分に一致させることによ
り、鎖状体を共振(共鳴)させ、吸音(除去)したい成
分のエネルギーを消費し、その他の成分を反射させるも
のである。
【0013】図11は、EA粒子30wt%分散系につ
いてEA特性に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を
示すグラフである。このグラフから印加電圧が増加する
ほど鎖状体に働く応力は増大することが明らかである。
EA特性は、誘電分極した粒子が電気的引力により電場
方向に配列し、鎖状構造を形成することに起因する。低
せん断速度では電気的引力が支配的であるので、鎖状構
造の破壊と再形成がゆるやかに繰り返される。電場方向
に並んだ鎖をそれと直角方向にせん断破壊させるとき発
生する力が降伏応力に相当する。形成される全ての鎖の
粒子が同じ直径をもち、直鎖状に並んで電極板間を結ん
でいると考えると、鎖の数は粒子濃度に比例するので、
降伏応力も粒子濃度に比例することになる。図12は、
この時の振動の等価回路を示したものであり、弾性率K
のコイルばね13と弾性率Cのダッシュポット14が一
対に電極板間に並列に接続されたものと同等であること
を示している。
【0014】したがって、電圧印加調整手段によって印
加電圧を調整することにより、鎖状体自体の特性振動数
を、入射音波(空気振動)のうち除去したい成分の振動
数に一致させることができる。すると、鎖状体は、除去
したい成分の振動数の音波に共振(共鳴)し、その音波
のエネルギーを消費し、その他の成分の音波は反射す
る。
【0015】上記のような性能を有する吸音板を備える
本発明の可動式吸音壁は、以下のように作用することに
よって、劇場、ホール等の室内に、用途に応じた音響特
性をもたせることができる。 (A)音楽演奏時 1)特に吸音を行なわないときには、吸音板を収納し、
反射壁を全面露出させることによって壁面に入射する音
波を全反射する。 2)所望の音域について吸音をおこなうときには、吸音
板を反射壁の前方に展開し、各吸音板について電圧印加
調整手段によって印加電圧を選択することにより、吸音
板に入射する音波のうちの吸音(除去)したい音域を選
択して、吸音を行なう。 (B)講演時 3)吸音板を展開した状態で吸音シートをも展開し、吸
音シートだけでは吸収されにくい音域を吸音板によって
吸音する。
【0016】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1から図10を
参照して説明する。可動式吸音壁20は、図1に示すよ
うに、劇場、ホール等に設けられている。符号21は室
内Rに対面するコンクリート製の壁体であり、この壁体
21には凹所22が形成されている。凹所22の室内R
に向く面には屏風状の凹凸が形成されて反射壁23をな
している。凹所22の両側面には、さらに凹所24、2
4が設けられており、この凹所24には平面視矩形の吸
音板30、30、…がその吸音面31を室内Rに対向さ
せた状態で各3枚ずつ収納されている。吸音板30は、
それぞれ反射壁23に沿って床面25に設けられたレー
ル26上を移動自在に支持されている。そして、これら
吸音板30を凹所24から引き出し、室内R側から見て
重複することのないように展開することで反射壁23を
覆い隠すことができる。
【0017】室内R側から見て凹所22の両脇には、吸
音シート27、27が図示しない天井部から吊るされ、
反射壁23に沿って展開可能に支持されている。吸音シ
ート27は、フェルト等の吸音材からなるものであり、
低音域の吸音性能が低いものの、中・高音域については
高い吸音性能を有している。
【0018】吸音板30は、図2に示すように、吸音面
31側が開口した、断面コの字状のケーシング15を有
しており、ケーシング15は、絶縁材料により形成され
ている。ケーシング15の内部には、一対の電極板1
7、18が、吸音面31に直交する方向に間隙をおいて
対向配置されており、吸音面31側の電極板17には、
音波に対して柔軟な例えばPET(ポリエチレンテレフ
タレート)フィルム17aが一様に接着されている。一
方の電極板17およびPETフィルム17aは、ケーシ
ング15の開口部を閉塞するように設けられており、P
ETフィルム17aの表面が吸音面31となっている。
また、ケーシング15内部の一対の電極板17、18間
には、ENC流体組成物10が密閉された状態で収容さ
れている。
【0019】ENC流体組成物10には、図3に示すよ
うに、電気絶縁性媒体1中にEA粒子2が均一に分散さ
れてなっている。このEA粒子2は、有機高分子化合物
からなる芯体3と、電界配列性無機物(以下、Elec
tric Alignment無機物を略して「EA無
機物」と称する)である粒子4からなる表層5とによっ
て形成され、無機・有機複合粒子を形成している。この
具体例において、電気絶縁性媒体1は無色透明のシリコ
ーン油であり、無機・有機複合粒子の芯体3を形成する
有機高分子化合物はポリアクリル酸エステルであり、表
層5を形成するEA無機物の粒子4は無機イオン交換体
でありかつ電気半導体性無機物でもある白色の水酸化チ
タンである。このEA粒子(無機・有機複合粒子)の色
は例えば白色である。また、電気絶縁性媒体1中に含ま
れるEA粒子2の割合は例えば7.5重量%である。
【0020】また、図2に示すように、一対の電極板1
7、18の間には、電圧印加調整手段40としてスイッ
チ41と電圧可変設定可能な可変電源42とが電気ケー
ブル43を介して接続されている。
【0021】次に、吸音板30による吸音について説明
する。まず、電圧印加調整手段40のスイッチ41が切
れた状態のとき、即ち、図4に示すように、一対の電極
板17、18間に電圧が印加されていない状態では、E
NC流体組成物10中のEA効果を有するEA粒子2は
電気絶縁性媒体中にランダムに浮遊・分散している。
【0022】そして、スイッチ41を入れて一対の電極
板17、18に電圧を印加すると、図5に示すように、
EA粒子2は鎖状に配列結合して鎖状体(粒子鎖)6を
形成し、この鎖状体6が電界方向に平行して配列する。
この状態で、一方の電極板17に、図6に示すように音
波(空気振動)11を入射させると、図7の(a)、
(b)、(c)および(d)の状態が順次起こって、こ
の電極板17がPETフィルム17aとともに矢印X
(図6参照)で示すように対向方向に振動するが、鎖状
体6自体が弾性の性質を持っているため、図7の(b)
に示すように、鎖状体6は、圧縮される場合には、例え
ば「く」の字状に撓んで反発力を生じ、図7の(d)に
示すように、鎖状体6は、引っ張られる場合には、向か
い合うEA粒子2同士が引き合って引力を生じる。これ
により、ENC流体組成物中での鎖状体6の運動によ
り、粘性抵抗が生じ、音波11の持つエネルギーの損失
(散逸)が起こる。
【0023】そして、電極板17の振動にともなって、
鎖状体6の引っ張りと圧縮が繰り返されるものであり、
この結果、鎖状体6自身も振動することになる。すなわ
ち、電極板17に入射した音波11に、鎖状体6を含む
ENC流体組成物と、電極板17とPETフィルム17
aとからなる電極板構造体とが共振するのである。この
ような鎖状体6に振動を与える音波周波数は、鎖状体6
の持つ特性振動数によって定まり、その特性振動数と一
致した周波数の音波11が電極板17に入射すると、鎖
状体6は図6の矢印A、Bに示すように共振してその音
波を吸収し、他の周波数の音波12は反射されることに
なる。
【0024】各EA粒子2間に働く力(鎖状体6に生じ
る応力)は一対の電極板17、18に印加される電圧の
増加に伴って増大することから、鎖状体6自体の弾性率
と粘性率が印加電圧の増加に伴って増大することにな
る。本発明は、このことを利用して音波の所望の成分を
除去するものである。すなわち、印加電圧を調整して、
粒子鎖6自体の特性振動数を、電極板17に入射した音
波(空気振動)11のうち除去したい成分(特定波長の
音波)の振動数に一致させることにより、図6に示すよ
うに、鎖状体6を慣性力の作用により左右矢印A、Bで
示すように共振(共鳴)させ、入射した音波11の除去
したい成分のエネルギーを消費し、その他の音波成分
(符号12で示す)を反射させるものである。このよう
に、吸音板30は、印加電圧を調整することにより、入
射音波の所望の特定波長の成分を吸収できる。
【0025】次に、可動式吸音壁20による吸音につい
て説明する。 (A)音楽演奏時 特に吸音を行なわないときには、吸音板を収納し、反射
壁を全面露出させることによって、壁面に入射する音波
を全反射させる。
【0026】所望の音域について吸音を行なうときに
は、まず、吸音板30を凹所24から引き出し、反射壁
23の前方に重複することなく展開し、反射壁23を覆
い隠す。そして、吸音板30について可変電源42によ
り印加電圧を調整する。これによって、壁面に入射する
音波のうち、除去したい音域を選択して吸音し、その他
の音域にあたる音波は反射させて室内の音響特性の調整
を行なう。このとき、吸音板30の吸音帯域を決定する
印加電圧の設定方式としては、各吸音板30、30、…
の印加電圧を個別に設定し、可動式吸音壁20全体とし
て所望の周波数成分を吸収する。ここで、印加電圧の設
定は、可変電源42を一箇所に集中させて操作を行なう
ようにすると便利である。
【0027】以上のことから、可動式吸音壁20におい
ては、吸音板30、30、…を収納し、反射壁23を露
出させることによって、吸音を抑え、音を全反射させて
響きの豊かな音響特性を得ることができる。また、吸音
板30、30、…を展開し、反射壁23を覆い隠して各
吸音板30について印加電圧の調整を行なうことによっ
て、所望の音域について吸音を行ない、その他の音は反
射させて所望の音響特性を得ることができる。
【0028】また、吸音板30をすべて展開するのでは
なく、一部を凹所24内に残して反射壁23を吸音板3
0の間から露出させるようにしたり、吸音シート27を
引き出して反射壁23または吸音板30の露出面積を調
整することによって、さらに多彩な音響特性を得ること
ができる。
【0029】(B)講演時 まず、吸音板30を凹所24から引き出し、反射壁23
の前方に重複することなく展開し、反射壁23を覆い隠
す。さらに、吸音シート27も展開して吸音板30をも
覆い隠す。そして、吸音シート27によって中・高音域
の吸音を行ない、加えて吸音板30の吸音帯域を低音域
に設定して吸音を行なう。よって、吸音シート27と吸
音板30とを併用することにより、全周波数帯域にわた
って吸音を行ない、響きの少ない音響特性を得ることが
できる。
【0030】なお、本実施例においては、反射壁23を
屏風状に形成したが、これは反射音を拡散させて音の広
がりを持たせるためのものであって、この形状に限定す
るものではなく、他の形状に変更して音の広がりの状態
を変化させてもかまわない。
【0031】本実施例においては、一対の電極板17、
18間に直接ENC流体組成物10を収容したものを示
したが、これに限らず、ENC流体組成物10を十分に
含浸させた多孔質体を一対の電極板17、18間に収容
してもよい。この場合、多孔質体は、EA効果を損なわ
ないために、連続気泡を有するものが好ましい。
【0032】本実施例においては、吸音面51側の電極
板17にはPETフィルム17aを接着したが、これに
代えて、PVC(塩化ビニル)フィルム、ナイロンフィ
ルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィル
ム、アクリルフィルム等の各種プラスチックフィルム等
を用いてもよい。
【0033】本実施例においては、鎖状体は「く」の字
状に撓むものとされているが、この他に、例えば図8の
(a)に示すようなS字型、あるいは図8の(b)に示
すようなW字型に撓む場合もあると考えられる。
【0034】本実施例においては、電界の印加によって
EA粒子(無機・有機複合粒子)2が1列の鎖状体6を
形成して平行に配列する現象について説明したが、EA
粒子2の数が数重量%を越えて多くなると、1列の鎖状
体6ではなく、鎖状体6が複数列相互に接合して、図9
の(a)の如くカラム19を構成して配列するようにな
る。このカラム19においては左右の鎖状体のEA粒子
2は1つずつずれて互い違いに隣接する。これについて
本発明者らは、図9の(b)に示すごとく、+極部分と
−極部分に誘電分極しているEA粒子2が互い違いに隣
接して+極部分と−極部分とが引き合って配列した方が
エネルギー的に安定なためであると推定している。
【0035】図10には、上記実施例の変形例を示す。 〔変形例〕可動式吸音壁120は、吸音板30の側端部
どうしをヒンジで連結して屏風状に折り畳み自在に構成
したものである。連結された吸音板30は、折り畳まれ
て凹所24に収納されることも、引き出されて反射壁2
3の前方に展開されることも可能である。この可動式吸
音壁120によれば、上記実施例にて説明した可動式吸
音壁20を同様の作用、効果を奏することができる。
【0036】ここで、本発明のENC流体組成物に用い
る図3の電気絶縁性媒体1としては、例えば、塩化ジフ
ェニル、セバチン酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級
アルコールエステル、ハロフェニルアルキルエーテル、
トランス油、塩化パラフィン、弗素系オイル、またはシ
リコーン系オイルやフルオロシリコーン系オイルなど、
電気絶縁性及び電気絶縁破壊強度が高く、化学的に安定
でかつEA粒子を安定に分散させ得るものであればいず
れの流体またはこれらの混合物も使用可能である。この
電気絶縁性媒体1は、目的に応じて着色することができ
る。着色する場合は、選択された電気絶縁性媒体に可溶
であってその電気的特性を損なわない種類と量の油溶性
染料または分散性染料を用いることが好ましい。電気絶
縁性媒体1には、この他に分散剤、界面活性剤、粘度調
整剤、酸化防止剤、安定剤などが含まれていてもよい。
【0037】この電気絶縁性媒体1の動粘度は、1cS
tないし30000cStの範囲内であることが好まし
い。動粘度が1cStより小さいと、ENC流体組成物
の貯蔵安定性の面で不足を生じ、動粘度が30000c
Stより大きいと、EA粒子の均一分散が困難になると
ともに、調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜けにく
くなり、取り扱いに支障を来すので好ましくない。この
観点から、動粘度は10cStないし1000cStの
範囲内、特に10cStないし100cStの範囲内で
あることが好ましい。もちろん、電気絶縁性媒体1の動
粘度は、温度により変化し、この温度影響を印加電圧に
よって抑制することができる。
【0038】本発明に用いられるEA粒子2は、EA効
果を有する無機・有機複合粒子であれば、元素、有機化
合物、または無機化合物、またはそれらの混合物など、
いずれの素材も使用可能である。その例としては例えば
無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気半導
体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、およびこれ
らを表層として有する粒子を挙げることができる。しか
し、このEA粒子2は、本実施例に示したように、有機
高分子化合物からなる芯体3と、EA無機物の粒子4か
らなる表層5とによって形成された無機・有機複合粒子
であることが特に好ましい。この無機・有機複合粒子
は、比較的比重が重いEA無機物の粒子4からなる表層
5が比較的比重の軽い有機高分子化合物である芯体3に
担持されていて、その粒子全体の比重を電気絶縁性媒体
1に対して近似するように調節できる。従ってこれを電
気絶縁性媒体1に分散して得られたENC流体組成物
は、貯蔵安定性に優れたものとなる。
【0039】EA粒子(無機・有機複合粒子)2の芯体
3として使用し得る有機高分子化合物の例としては、ポ
リ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エ
ステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、AB
S樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、アイオノマ
ー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以上の混合
物または共重合物を挙げることができる。
【0040】表層5を形成するEA無機物である粒子4
としては種々のものが用い得るが、好ましい例としては
無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性無機物と
を挙げることができる。これらの粒子4を用いて有機高
分子化合物からなる芯体3の上に表層5を形成すると
き、得られた無機・有機複合粒子は有用なEA粒子2と
なる。
【0041】上記無機イオン交換体の例としては(1)
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0042】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOX(OH)Y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、および水酸
化鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは含水
酸化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、Ti
O(OH)2)および水酸化チタン(別名オルソチタン
酸またはαチタン酸、Ti(OH)4)の双方を含むも
のであり、他の化合物についても同様である。
【0043】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどであ
る。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タンおよびモリブデン酸錫などである。
【0044】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイトなど
である。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO43のようなも
のが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置換
したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
【0045】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、及びK2O・2.5TiO
2・2H2Oなどである。なお、上記化合物のうち、aま
たはbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数で
ある化合物を酸処理し、KとHとを置換することによっ
て容易に合成される。
【0046】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、およびタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。) これらには例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6]および
2Co[Fe(CN)6]などの不溶性フェロシアン化
合物が含まれる。
【0047】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2)y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を表
す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類に
より異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を示
すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM2
アルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷移
金属または希土類金属等、H+以外の金属イオンのいず
れか任意のものである。OH基を有する無機イオン交換
体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にOH-
であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4など
や錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意
のものである。
【0048】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO43の加熱により得られるHZr2(PO43
ハイドロタルサイトの高温 加熱処理物(500〜70
0℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イ
オン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層
として用いることもできる。なお、上記の無機イオン交
換体として、多価金属の水酸化物、及び多価金属の酸性
塩を用いることが特に好ましい。
【0049】上記EA粒子(無機・有機複合粒子)2の
表層5として使用し得る電気半導体性無機物の例は、電
気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cmの金属
酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオン
交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種に金属
ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの有無に
拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他の支持
体上に電気半導体層として施したものなどである。
【0050】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2 )およびオルソチタン酸(別名αチタ
ン酸、Ti(OH)4 )を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピングEA無機物:これは上記の電気半
導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げるため
に、アンチモン(Sb)などの金属をEA無機物にドー
ピングしたものであって、例としてはアンチモン(S
b)ドーピング酸化錫(SnO2 )などを挙げることが
できる。 (N)他の支持体上に電気半導体層としてEA無機物を
施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シリカ、
アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、または
ポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子粒子を
用い、これに電気半導体層としてアンチモン(Sb)ド
ーピング酸化錫(SnO2 )を施したものなどを挙げる
ことができる。このように他の支持体上にEA無機物が
施された粒子も、全体としてEA無機物と見なすことが
できる。これらのEA無機物は、1種類だけでなく、2
種類またはそれ以上を同時に表層として用いることもで
きる。
【0051】EA粒子(無機・有機複合粒子)2は、種
々な方法によって製造することができる。例えば、有機
高分子化合物からなる粒子状の芯体3と微粒子状の粒子
4とをジェット気流によって搬送し、衝突させて製造す
る方法がある。この場合は粒子状の芯体3の表面に粒子
4の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層5を形成す
る。また別の製法例としては、粒子状の芯体3を気体中
に浮遊させ、粒子4の溶液を霧状にしてその表面に噴霧
する方法がある。この場合はその溶液が芯体3の表面に
付着し乾燥することによって表層5が形成される。
【0052】EA粒子(無機・有機複合粒子)2を製造
する特に好ましい製法は、芯体3と同時に表層5を形成
する方法である。この方法は、例えば、芯体3を形成す
る有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で乳化重
合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒子状と
したEA無機物である粒子4を上記モノマー中、または
重合媒体中に存在させるというものである。重合媒体と
しては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒との混合物
を使用することもでき、また有機系の貧溶媒を使用する
こともできる。この方法によれば、重合媒体の中でモノ
マーが重合して芯体粒子3を形成すると同時に、微粒子
状のEA無機物の粒子4が芯体3の表面に層状に配向し
てこれを被覆し、表層5を形成する。
【0053】乳化重合または懸濁重合によってEA粒子
(無機・有機複合粒子)を製造する場合には、モノマー
の疎水性の性質とEA無機物の親水性の性質を組み合わ
せることによって、EA無機物の粒子4の大部分を芯体
3の表面に付着させることができる。この芯体3と表層
5との同時形成方法によれば、有機高分子化合物からな
る芯体3の表面にEA無機物の粒子4が緻密かつ強固に
接着し、堅牢なEA粒子(無機・有機複合粒子)2が形
成される。
【0054】本発明に使用するEA粒子2の形状は必ず
しも球形であることを要しないが、粒子状の芯体3が調
節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場合
は、得られるEA粒子2の形状はほぼ球形となる。EA
粒子2の粒径は特に限定されるものではないが、0.1
μmないし500μm、特に5μmないし200μmの
範囲内とすることが好ましい。この際の微粒子状のEA
無機物である粒子4の粒径は特に限定されるものではな
いが、好ましくは0.005μmないし100μm、さ
らに好ましくは0.01μmないし10μmの範囲内と
する。
【0055】EA粒子(無機・有機複合粒子)2におい
て、表層5を形成するEA無機物である粒子4と芯体3
を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限定される
ものではないが、保存安定性の高いENC流体組成物を
得るためには、EA無機物の粒子4と有機高分子化合物
の芯体3の合計重量に対して粒子4が1重量%ないし6
0重量%の範囲内、特に4重量%ないし30重量%の範
囲内とすることが好ましい。この芯体3の割合が1重量
%未満では、得られたEA粒子2のEA特性が不十分と
なり、60重量%を超えると、EA2粒子の比重が過大
となって保存安定性を損なう惧れがある。また、本発明
のENC流体組成物は、上記のEA粒子2を、必要なら
分散剤、他の成分とともに電気絶縁性媒体中に均一に攪
拌混合して製造することができる。この攪拌機として
は、液状分散媒に固体粒子を分散させるために通常使用
されるものがいずれも使用できる。電気絶縁性媒体中1
におけるEA粒子2の含有率は、特に限定されるもので
はないが、0.5〜75重量%、特に5〜50重量%で
あることが好ましい。その含有率が1%未満では充分な
EA効果が得られず、75%以上では電圧を印加しない
ときのENC流体組成物の初期粘度が過大となって使用
が困難になる。
【0056】上記の各種方法、特に芯体3と表層5とを
同時に形成する方法によって製造されたEA粒子2は、
その表層5の全部または一部分が有機高分子物質や、製
造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添加物質の
薄膜で覆われていて、EA粒子としてのEA効果が充分
に発揮されない場合がある。この不活性物質の薄膜は粒
子表面を研磨することによって容易に除去することがで
きる。従って芯体3と表層5とを同時に形成する場合に
は、その表面を研磨することが好ましい。
【0057】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子であるEA
粒子2を水などの分散媒体中に分散させて、これを攪拌
する方法によって行うことができる。この際、分散媒体
中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒子2と
共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌する
方法などによって行うこともできる。例えばまた、分散
媒体を使用せず、EA粒子2と上記のような研磨材また
は研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うこともでき
る。
【0058】さらに好ましい研磨方法は、EA粒子2を
ジェット気流などによって気流攪拌する方法である。こ
れは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨す
る方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの粒
子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法で
ある。上記のジェット気流攪拌においては、それに用い
られる装置の種類、攪拌速度、EA粒子2の材質などに
より研磨条件を選定する必要があるが、一般的には60
00rpmの攪拌速度で0.5min〜15min程度
ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0059】本発明のENC流体組成物は、上記のEA
粒子2を、必要なら分散剤など他の成分と共に電気絶縁
性媒体1中に均一に攪拌混合し分散させて製造すること
ができる。この攪拌機としては、液状分散媒に固体粒子
を分散させるために通常使用されるものがいずれも使用
できる。
【0060】
【発明の効果】本発明の可動式吸音壁によれば、以下の
効果を奏する。 (1)吸音板を収納し、反射壁を露出させることによ
り、音の吸収を抑えて響きの豊かな音響特性を得ること
ができる。また、吸音板を展開し、電圧印加調整手段に
よって印加電圧を調整することにより、吸音板の吸音帯
域を変化させて所望の音響特性を得ることができる。 (2)吸音板や吸音シートの展開の状態を変化させ、反
射壁、吸音板、吸音シートの配置を様々に組み合わせる
ことにより、単に平面に吸音板を配置した状態では得ら
れない多彩な音響特性を有する音場を実現することがで
きる。 (3)吸音板と吸音シートを共にすべて展開し、吸音シ
ートでは吸音しにくい音域に吸音板の吸音帯域を設定す
ることにより、全周波数帯域にわたって吸音を行ない、
響きの少ない音響特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の可動式吸音壁の一実施例を示す断面
図である。
【図2】 本発明の可動式吸音壁を構成する吸音板を示
す概略断面図である。
【図3】 本発明に係わるENC流体組成物を示す断面
図である。
【図4】 本発明に係わるENC流体組成物の電源切時
の態様を示す断面図である。
【図5】 本発明に係わるENC流体組成物の電源入時
の態様を示す断面図である。
【図6】 本発明の可動式吸音壁において、音波が入射
されて鎖状体や一方の電極板が共振している状態を示す
断面図である。
【図7】 本発明の可動式吸音壁において、音波が入射
されて一方の電極板が振動している状態を示す断面図で
ある。
【図8】 本発明の可動式吸音壁において、鎖状体の撓
み状態の別な例を示す図である。
【図9】 本発明の可動式吸音壁において、鎖状体が複
数列相互に接合してなるカラムを示す図である。
【図10】 本発明の可動式吸音壁の変形例を示す断面
図である。
【図11】 電界配列性粒子分散系について、電界配列
特性に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示すグラ
フである。
【図12】 振動系の等価回路を示す図である。
【符号の説明】
2…EA粒子(固体粒子)、10…電気感応型音波吸収
制御要流体組成物(ENC流体組成物)、17…電極
板、18…電極板、20…可動式吸音壁、23…反射
壁、27…吸音シート、30…吸音板、40…電圧印加
調整手段、120…可動式吸音壁
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G10K 11/16 15/00 G10K 15/00 M (72)発明者 後藤 守孝 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 古市 健二 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反射壁と、該反射壁の室内側の前方に、
    該反射壁に沿って移動自在に支持されて展開、収納が可
    能な複数の吸音板とを備える可動式吸音壁であって、 前記吸音板は、電界配列効果を有する固体粒子を電気絶
    縁性媒体中に含有してなる電気感応型音波吸収制御用流
    体組成物と、間隙をおいて互いに対向し、前記間隙に前
    記電気感応型音波吸収制御用流体組成物を収容した一対
    の電極板とを備え、 さらに、前記一対の電極板間に電圧を印加し且つ該電圧
    を調整する電圧印加調整手段とにより構成されることを
    特徴とする可動式吸音壁。
  2. 【請求項2】 前記複数の吸音板の室内側の前方に、前
    記反射壁に沿って展開、収納が可能な吸音シートを備え
    ることを特徴とする請求項1記載の可動式吸音壁。
JP6302532A 1994-12-06 1994-12-06 可動式吸音壁 Pending JPH08160967A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6302532A JPH08160967A (ja) 1994-12-06 1994-12-06 可動式吸音壁

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6302532A JPH08160967A (ja) 1994-12-06 1994-12-06 可動式吸音壁

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08160967A true JPH08160967A (ja) 1996-06-21

Family

ID=17910104

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6302532A Pending JPH08160967A (ja) 1994-12-06 1994-12-06 可動式吸音壁

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08160967A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104631636A (zh) * 2015-01-28 2015-05-20 厦门大学 可变mls吸声扩散体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104631636A (zh) * 2015-01-28 2015-05-20 厦门大学 可变mls吸声扩散体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH08130128A (ja) 変圧器
JPH08160967A (ja) 可動式吸音壁
JPH08160968A (ja) 反響調整装置
JPH08129391A (ja) 吸音装置
JPH08129389A (ja) 室内音響の調整構造
JPH08142776A (ja) 車両の防音構造
JPH08117048A (ja) 音楽鑑賞用椅子
JPH08123442A (ja) 吸音装置
JPH08145274A (ja) 送気ダクト
JPH08154288A (ja) マイクロフォン
JPH08140178A (ja) ホーン型スピーカ
JPH08140172A (ja) スピーカーボックス
JPH08115087A (ja) 音波吸収制御装置および音波吸収制御方法
JPH08152229A (ja) 空気調和機
JPH08123440A (ja) ホールの吸音構造
JPH08146972A (ja) 吸音壁
JPH08144422A (ja) 吸音天井パネル
JPH08130791A (ja) スピーカーボックス
JPH08189103A (ja) 可変吸音壁
JPH08109363A (ja) 電気感応型音波吸収制御用流体組成物
JPH08123428A (ja) 音響フィルター
JPH08123441A (ja) 懸垂式吸音装置
JPH08123439A (ja) ホール
JPH08135430A (ja) 消音器
JPH08194488A (ja) 防音壁およびこれを備えた建造物