JPH08140178A - ホーン型スピーカ - Google Patents

ホーン型スピーカ

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JPH08140178A
JPH08140178A JP27541294A JP27541294A JPH08140178A JP H08140178 A JPH08140178 A JP H08140178A JP 27541294 A JP27541294 A JP 27541294A JP 27541294 A JP27541294 A JP 27541294A JP H08140178 A JPH08140178 A JP H08140178A
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horn
particles
speaker
sound absorbing
sound
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JP27541294A
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English (en)
Inventor
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Moritaka Goto
守孝 後藤
Kenji Furuichi
健二 古市
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
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Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ホーン型スピーカの音響伝達路に発生するピ
ーク・ディップの発生を抑え、高い周波数領域まで平坦
な特性を得る。 【構成】 ホーン50の内面に、印加電圧により吸音周
波数が変化する吸音材61を張り、この吸音材61に可
変電源13を接続し、ホーン50内の音響伝達路52に
発生するピークが、このピークを吸収するスリット5
3,54の位置からずれても、吸音材61への印加電圧
を調整することにより常にそのピークを吸音して除去す
るよう構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、スピーカボックス内
に音響伝達路を形成するホーンが設けられたホーン型ス
ピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】スピーカは、音響伝達路をどう形成する
かで様々な形式のものがあるが、その一つとして、音源
であるスピーカユニットを構成する振動板の前方に、漸
次拡径するホーンを設けたホーン型スピーカがある。こ
のホーン型スピーカによれば、大きな音圧が得られるこ
とや、特定の方向に音を伝えられる等の利点があり、従
来より多く用いられている。特開平1ー135295号
公報や特開平1ー276997号公報には、その一例が
示されており、この場合のホーン型スピーカは、スピー
カユニットの振動板の前面にスピーカボックスに相当す
る音響管が配置され、音響管の内部にホーンを構成する
仕切り板が設けられ、音響管と仕切り板との間に吸音材
が充填され、仕切り板には、音響管の開口部と、スピー
カユニットの振動板前面から3分の1の長さに当たる部
分との2箇所にスリットが形成された構成となってい
る。
【0003】このようなスピーカにおいては、上記スリ
ットがあることにより、従来あった定在波による特定周
波数のピーク・ディップの発生が抑えられ、高い周波数
領域まで平坦な特性が得られるといった効果を得てい
る。すなわち、スリットが設けられた位置は、粒子速度
が他の部分よりも大きくなる位置であり、スピーカユニ
ットの振動板から放射されて音響管の開口部まで導かれ
た音波のうちの一部が、急激な音響インピーダンスの変
化により反射波となって振動板側に帰る現象が起こった
ときに、定在波が発生する周波数の音波すなわち特定周
波数であるピークを、スリットを通してより効率的に吸
音材が吸音して除去するといった作用を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報のスピーカの
構成によれば、仕切り板の材質は共振しにくい剛体であ
ることが望ましいことは自明である。ところが、上述し
た定在波が発生する周波数のピークは、たとえば、温
度、湿度等の環境条件により変動が生じるものなので、
仕切り板が剛体であると吸音すべき特定周波数であるピ
ークが決定されてしまうから、そのピークを除去するこ
とができなくなるといった新たな問題が想定される。
【0005】ところで、本発明者らは、従来知られてい
ない新規な電界配列特性(以下、「EA特性」と称す
る)を有する電気感応型音波吸収制御用流体組成物(以
下、Electric Noise−Control流
体組成物を略して「ENC流体組成物」と称する)の研
究を行っている。このENC流体組成物は、たとえば、
電気絶縁性の媒体中に固体粒子を分散させて得られる流
体であり、これに電界を印加すると固体粒子が誘電分極
を起こし、さらに誘電分極に基づく静電引力によって互
いに電場方向に配位連結して整列し、鎖状体構造を示す
性質を持っている。また、固体粒子によっては電気泳動
して配列配向し、配列塊状構造を示す性質を示すものも
ある。このように、電界下における粒子の配列配向を電
界配列効果(以下、Electric Alignme
nt効果を略して「EA効果」と称する)と呼び、その
ような性質を有する固体粒子を電界配列性粒子(以下、
電界配列性粒子を略して「EA粒子」と称する)と呼ぶ
こととする。そして本発明者らは、この新規な構造のE
NC流体組成物の研究を進めることにより本発明に到達
した。
【0006】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あって、EA効果を有し、印加される電圧によって特性
振動数を変更できるENC流体組成物を備えた吸音材に
よって、常にピーク・ディップの発生が抑えられ、高い
周波数領域まで平坦な特性が得られるホーン型スピーカ
を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1のホーン型スピーカは、スピーカ
ボックスに、スピーカユニットを構成する振動板の音響
伝達路を構成するホーンが設けられ、スピーカボックス
とホーンとの間に吸音層が設けられたホーン型スピーカ
において、前記ホーンには、電界配列効果を有する固体
粒子が電気絶縁性媒体中に含有された電気感応型音波吸
収制御用流体組成物を収容してなる吸音材が張られ、該
吸音材に、吸音材を構成する前記電気感応型音波吸収制
御用流体組成物に電圧を印加し、かつ印加電圧を調整す
る電圧印加手段が接続されていることを特徴としてい
る。また、請求項2記載のホーン型スピーカは、請求項
1記載のホーン型スピーカにおいて、ホーンの、スピー
カボックスの開口部に当たる部分と、前記振動板側で前
記音響伝達路の約3分の1の部分とに、周方向に沿った
スリットが形成されていることを特徴としている。ま
た、請求項3記載のホーン型スピーカは、請求項1また
は請求項2記載のホーン型スピーカにおいて、前記ホー
ンが、前記吸音材で形成されてなることを特徴としてい
る。
【0008】
【作用】本発明の請求項1記載のホーン型スピーカによ
れば、ホーンの内面に張られた吸音材が、ホーン内の定
在波が発生する周波数の音波すなわち特定周波数である
ピークを吸音して除去する。ここで、たとえば、温度、
湿度等の環境条件により特定周波数の音の周波数が変動
した場合は、電圧印加手段から吸音材を構成するENC
流体組成物に所定値の電圧を印加する。このようにする
と吸音材による吸音周波数が変わり、環境条件によって
変動したピークが除去される。
【0009】つまり、吸音材は、電圧が印加されていな
い状態では、ENC流体組成物中のEA効果を有するE
A粒子は電気絶縁性媒体中にランダムに浮遊・分散して
いる。電圧印加手段により一対の電極板に電圧を印加す
ると、EA粒子は鎖状に配列結合して鎖状体(粒子鎖)
を形成し、この鎖状体が電界方向に平行して配列する。
この状態で、一方の電極板に音波(空気振動)を入射さ
せると、この電極板が前記対向方向に振動するが、鎖状
体自体が弾性の性質を持っているため、鎖状体は引っ張
られる場合には、向かい合う粒子同士が引き合って引力
を、圧縮される場合には、撓んで反発力をそれぞれ生
じ、電気絶縁性媒体中の鎖状体の運動により粘性抵抗が
生じ、これによって音波の持つエネルギーの損失(散
逸)が起こる。
【0010】すなわち、電極板に入射した音波に、鎖状
体を含むENC流体組成物と電極板とが共振するのであ
る。このような鎖状体に振動を与える音波周波数は、鎖
状体の持つ特性振動数(鎖状体の弾性と電極板の慣性と
のバランスからなる、いわゆる固有振動数と推定され
る)によって定まり、その特性振動数と一致した周波数
の音波が電極板に入射すると、鎖状体は共振してその音
波を吸収し、他の周波数の音波は反射されることにな
る。各粒子間に働く引力(鎖状体に生じる応力)は、一
対の電極板に印加される電圧の増加に伴って増大するこ
とから、鎖状体自体の弾性率と粘性率が印加電圧の増加
に伴って増大することになり、本発明は、このことを利
用するものである。すなわち、印加電圧を調整して、鎖
状体自体の特性振動数を、入射音波(空気振動)のうち
除去したい成分の振動数に一致させることにより、鎖状
体を共振(共鳴)させ、吸音(除去)したい成分のエネ
ルギーを消費し、その他の成分を反射させるものであ
る。
【0011】図9はEA粒子30wt%分散系について
EA特性に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示す
グラフである。このグラフから印加電圧が増加するほど
鎖状体に働く応力は増大することが明かである。EA特
性は、誘電分極した粒子が電気的引力により電場方向に
配列し、鎖状構造を形成することに起因する。低せん断
速度では、電気的引力が支配的であるので、鎖状構造の
破壊と再形成がゆるやかに繰り返される。電場方向に並
んだ鎖をそれと直角方向にせん断破壊させるとき発生す
る力が降伏応力に相当する。形成されるすべての鎖の粒
子が同じ直径をもち、直鎖状の並んで電極板間を結んで
いると考えると、鎖の数は粒子濃度に比例するので、降
伏応力も粒子濃度に比例することになる。図10に振動
系の等価回路を示し、すなわち、弾性率Kのコイルばね
22と粘性率Cのダッシュポット23が一対の電極板間
に並列に接続されている。
【0012】請求項2記載のホーン型スピーカによれ
ば、粒子速度が他の部分よりも大きくなる位置にスリッ
トが形成されたことにより、この部分のピークがスリッ
トを通して吸音層に吸音されて除去される。環境条件の
変化によりピークにずれが生じたら、吸音材へ印加する
電圧を調整して吸音材の吸音周波数を、変動したピーク
に一致させ、ピークを除去する。請求項3記載のホーン
型スピーカによれば、ホーン自体を吸音材で構成するか
ら、吸音効率が向上し、かつ従来のホーンの製造が省け
て製造コストの低減が図られる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の吸音装置の一実施例を図によ
って説明する。図1は、本実施例のホーン型スピーカ
(以下単にスピーカと略称する)40を示しており、符
号41は、スピーカ40の外殻を形成するスピーカボッ
クスである。このスピーカボックス41は、縦長の直方
体状に形成された前側スピーカボックス42の背面に、
これよりも小型の後側スピーカボックス43が付けられ
たもので、後側スピーカボックス43の中がバックキャ
ビティ44とされている。バックキャビティ44内に
は、前側スピーカボックス42の背板42aに固定され
た高音用スピーカユニット45、中低音用スピーカユニ
ット46がそれぞれ収納されている。各スピーカユニッ
ト45,46は、フレーム47、振動板48、マグネッ
ト49等から構成されており、振動板48が前側スピー
カボックス42の開口に向く状態で、フレーム47が前
側スピーカボックス42の背板42aに固定されてい
る。振動板48の前面には、前側スピーカボックス42
の開口に向かって湾曲しながら各径するホーン50が設
けられ、ホーン50と前側スピーカボックス42との間
には、グラスウール等の材料による吸音層51が設けら
れている。
【0014】上記ホーン50により、各スピーカユニッ
ト45,46の振動板48と前側スピーカボックス42
の開口部にわたって音響伝達路52が形成されている。
ホーン50の、前側スピーカボックス42の開口部に当
たる部分と、振動板48側で前記音響伝達路52の3分
の1の部分には、周方向に沿ったスリット53,54が
形成されている。そして、上記スピーカ40には、本発
明に係る吸音装置60が設けられている。この吸音装置
60は、ホーン50の内面に張られたENC流体組成物
を有する吸音材61と、この吸音材61に接続された可
変電源(電圧印加手段)13とから構成されている。可
変電源13は、吸音材61を構成するENC流体組成物
へ電圧を印加し、かつ前側スピーカボックス42の背板
42aの下部に取り付けられたツマミ62を回すことに
より印加電圧を調整するようになっている。
【0015】上記構成のスピーカ40によれば、各スピ
ーカユニット45,46の振動板48の音はバックキャ
ビティ3に閉じられるが、振動板48の前面の音は、音
響伝達路52を通して放射される。ここで、前側スピー
カボックス42の開口部で生じる急激な音響インピーダ
ンスの変化により、開口まで導かれた音波の一部が反射
波となって振動板48の前面に帰ってこようとする。可
変電源13から吸音材61に電圧が印加されていない場
合は、振動板48の前面に帰ってくる上記反射波を、吸
音層51が吸収し、前側スピーカボックス42内に定在
波の発生を防止する。そして、反射波のうち、粒子速度
が大きくなる前側スピーカボックス42の開口部および
音響伝達路52の振動板48から3分の1の部分に、定
在波が発生する周波数の音波すなわち特定周波数である
ピークが生じやすいのであるが、そのピークは、各スリ
ット53,54を通して吸音層51が吸音して除去す
る。その結果、定在波による周波数のピーク・ディップ
の発生が抑えられ、高い周波数領域まで平坦な特性が得
られる。また、可変電源13から吸音材61に所定値の
電圧が印加された場合は、ホーン50の内面に張られた
吸音材61が、上記ピークを吸音して除去する。
【0016】次に、上記吸音材61を構成するENC流
体組成物について説明する。図5には、ENC流体組成
物の一具体例が示されている。このENC流体組成物
は、電気絶縁性媒体1中に固体粒子であるEA粒子2が
均一に分散されてなっている。このEA粒子2は、有機
高分子化合物からなる芯体3と、電界配列性無機物(以
下、「EA無機物」と称する)である粒子4からなる表
層5とによって形成され、無機・有機複合粒子を形成し
ている。この具体例において、電気絶縁性媒体1は無色
透明のシリコーン油であり、無機・有機複合粒子の芯体
3を形成する有機高分子化合物はポリアクリル酸エステ
ルであり、表層5を形成するEA無機物の粒子4は無機
イオン交換体でありかつ電気半導体性無機物でもある白
色の水酸化チタンである。このEA粒子(無機・有機複
合粒子)の色はたとえば白色である。また、電気絶縁性
媒体1中に含まれるEA粒子2の割合はたとえば7.5
重量%である。
【0017】このENC流体組成物は、図6に示すよう
に、離間して平行に配置した一対の電極板7,8の間に
介在させる。図7に示すように、この一対の電極板7,
8に、電源9からスイッチ10を介して電圧を印加する
と、EA効果によってEA粒子2が電極板7,8の面と
直角の方向に鎖状に配列して鎖状体(粒子鎖)6を形成
する。このとき、各鎖状体6は相互に離間して平行に配
向する。
【0018】次に、上述したENC流体組成物を用いた
音波吸収制御装置(音波制振装置)について説明する。
図3に示すように、一対の電極板17,18が間隙(組
成物収容空間)をおいて対向配置され、これら一対の電
極板17,18間には、上述した本発明の、EA効果を
有するEA粒子2を電気絶縁性媒体1中に含有してなる
ENC流体組成物が収容されている。一方の(下方の)
電極板18は図示しない固定部材に固定配置されてお
り、他方の電極板17は、音波に対して柔軟なたとえば
PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム17a
の下面に一様に接着されている。前記一対の電極板1
7,18の周縁およびPETフィルム17aの周縁に
は、枠状のシール部材15が固着されている。
【0019】一対の電極板17,18およびシール部材
15により形成された空間内に、本発明のENC流体組
成物が密閉された状態で収容されている。また、一方の
電極板17およびPETフィルム17aは、その周縁が
固定されているが、一対の電極板17,18の対向方向
(矢印Xで示す上下方向)に振動できるように構成され
ている。これにより、音波(空気振動)11がPETフ
ィルム17aに入射した場合には、PETフィルム17
aおよび一方の電極板17は上下振動することができ
る。
【0020】符号13は、一対の電極板17,18間に
電圧を印加し、かつ印加電圧を調整する電源(電圧印加
手段)であり、この電源13にはスイッチ14が直列に
接続されている。このスイッチ14をオンにすることに
より、一対の電極板17,18間に電圧を印加すること
ができる。この音波吸収制御装置は、通常、外観矩形板
状あるいは円形板状の形態であるが、勿論、設置する場
所に合わせて適宜の形状とする。
【0021】次に、上記構成の音波吸収制御装置の動作
について説明する。図3に示すように、一対の電極板1
7,18間に電圧が印加されていない状態では、ENC
流体組成物のEA粒子2が電気絶縁性媒体1中にランダ
ムに浮遊・分散している(図6参照)。一対の電極板1
7,18に電圧を印加すると、ENC流体組成物中のE
A粒子2が鎖状に配列結合して鎖状体(粒子鎖)6を形
成し、この鎖状体6が電界方向に平行して配列する(図
7参照)。
【0022】この状態で、一方の電極板17に音波(空
気振動)11を入射させると、図8の(a),(b),
(c)および(d)の状態が順次起こって、この電極板
17がPETフィルム17aとともに矢印X(図3およ
び図4参照)で示すように対向方向に振動するが、鎖状
体6自体が弾性の性質を持っているため、図8の(b)
に示すように、鎖状体6は、圧縮される場合には、たと
えば「く」の字状に撓んで反発力を生じ、図8の(d)
に示すように、鎖状体6は、引っ張られる場合には、向
かい合うEA粒子2同士が引き合って引力を生じる。こ
れにより、ENC流体組成物中での鎖状体6の運動によ
り、粘性抵抗が生じ、音波11の持つエネルギーの損失
(散逸)が起こる。
【0023】そして、電極板17の振動にともなって、
鎖状体6の引っ張りと圧縮が繰り返されるものであり、
この結果、鎖状体6自身も振動することになる。すなわ
ち、電極板17に入射した音波11に、鎖状体6を含む
ENC流体組成物と、電極板17とPETフィルム17
aとからなる電極板構造体とが共振するのである。この
ような鎖状体6に振動を与える音波周波数は、鎖状体6
の持つ特性振動数によって定まり、その特性振動数と一
致した周波数の音波11が電極板17に入射すると、鎖
状体17は共振して(図4中矢印A,B参照)その音波
を吸収し、他の周波数の音波12は反射されることにな
る。
【0024】各EA粒子2間に働く力(鎖状体6に生じ
る応力)は一対の電極板17,18に印加される電圧の
増加に伴って増大することから、鎖状体6自体の弾性率
と粘性率が印加電圧の増加に伴って増大することにな
る。本発明は、このことを利用して音波の所望の成分を
除去するものである。すなわち、印加電圧を調整して、
粒子鎖6自体の特性振動数を、電極板17に入射した音
波(空気振動)のうち除去したい成分(特定波長の音
波)の振動数に一致させることにより、図7に示すよう
に、鎖状体6を慣性力の作用により左右矢印A,Bで示
すように共振(共鳴)させ、入射音波11の除去したい
成分のエネルギーを消費し、その他の音波成分(符号1
2で示す)を反射させるものである。このように、印加
電圧により、入射音波の所望の特定波長の成分を吸収で
きる。
【0025】音波吸収制御装置の特性周波数は、EA粒
子(固体粒子)の大きさ、EA粒子間に働く弾性力、ま
た電極板の固有振動数および電極板間の距離等により変
化する。本実施例では、電気絶縁性媒体中に粒径がほぼ
均一な球形状のEA粒子が分散されたものであるので
(不定形粒子を用いない)、一定電圧下では上述した反
発力や引力が変動せず、しかも、EA粒子間に働く弾性
力と電極板の慣性力のバランスにも変動が生じにくい。
上記実施例においては、鎖状体は「く」の字状に撓むも
のとされているが、この他に、たとえば図11の(a)
に示すようなS字型、あるいは図11の(b)に示すよ
うなW字型に撓む場合もあると考えられる。
【0026】また、上記実施例においては、電界の印加
によってEA粒子(無機・有機複合粒子)2が1列の鎖
状体6を形成して平行に配列する現象について説明した
が、EA粒子2の数が数重量%を越えて多くなると、1
列の鎖状体6ではなく、鎖状体6が複数列相互に接合し
て、図12の(a)の如くカラム19を構成して配列す
るようになる。このカラム19においては左右の鎖状体
のEA粒子2は1つずつずれて互い違いに隣接する。こ
れについて本発明者らは、図12の(b)に示すごと
く、+極部分と−極部分に誘電分極しているEA粒子2
が互い違いに隣接して+極部分と−極部分とが引き合っ
て配列した方がエネルギー的に安定なためであると推定
している。さらに、上記実施例においては、一対の電極
板間に直接ENC流体組成物を収容したものを示した
が、これに限らず、ENC流体組成物を十分に含浸させ
た多孔質体を一対の電極板間に収容してもよい。この場
合、多孔質体は、EA効果を損なわないために、連続気
泡を有するものが好ましい。
【0027】本発明のENC流体組成物に用いる電気絶
縁性媒体1としては、たとえば、塩化ジフェニル、セバ
チン酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級アルコールエ
ステル、ハロフェニルアルキルエーテル、トランス油、
塩化パラフィン、弗素系オイル、またはシリコーン系オ
イルやフルオロシリコーン系オイルなど、電気絶縁性お
よび電気絶縁破壊強度が高く、化学的に安定でかつEA
粒子を安定に分散させ得るものであればいずれの流体ま
たはこれらの混合物も使用可能である。この電気絶縁性
媒体1は、目的に応じて着色することができる。着色す
る場合は、選択された電気絶縁性媒体に可溶であってそ
の電気的特性を損なわない種類と量の油溶性染料または
分散性染料を用いることが好ましい。電気絶縁性媒体1
には、この他に分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、酸化
防止剤、安定剤などが含まれていてもよい。
【0028】この電気絶縁性媒体1の動粘度は、1cS
tないし30000cStの範囲内であることが好まし
い。動粘度が1cStより小さいと、ENC流体組成物
の貯蔵安定性の面で不足を生じ、動粘度が30000c
Stより大きいと、EA粒子の均一分散が困難になると
ともに、調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜けにく
くなり、取り扱いに支障を来すので好ましくない。この
観点から、動粘度は10cStないし1000cStの
範囲内、特に10cStないし100cStの範囲内で
あることが好ましい。もちろん、電気絶縁性媒体1の動
粘度は、温度により変化し、この温度影響を印加電圧に
よって抑制することができる。
【0029】本発明に用いられるEA粒子2は、EA効
果を有する無機・有機複合粒子であれば、元素、有機化
合物、または無機化合物、またはそれらの混合物など、
いずれの素材も使用可能である。その例としてはたとえ
ば無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気半
導体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、およびこ
れらを表層として有する粒子を挙げることができる。し
かし、このEA粒子2は、上記実施例に示したように、
有機高分子化合物からなる芯体3と、EA無機物の粒子
4からなる表層5とによって形成された無機・有機複合
粒子であることが特に好ましい。この無機・有機複合粒
子は、比較的比重が重いEA無機物の粒子4からなる表
層5が比較的比重の軽い有機高分子化合物である芯体3
に担持されていて、その粒子全体の比重を電気絶縁性媒
体1に対して近似するように調節できる。従ってこれを
電気絶縁性媒体1に分散して得られたENC流体組成物
は、貯蔵安定性に優れたものとなる。
【0030】EA粒子(無機・有機複合粒子)2の芯体
3として使用し得る有機高分子化合物の例としては、ポ
リ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エ
ステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、AB
S樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、アイオノマ
ー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以上の混合
物または共重合物を挙げることができる。
【0031】表層5を形成するEA無機物である粒子4
としては種々のものが用い得るが、好ましい例としては
無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性無機物と
を挙げることができる。これらの粒子4を用いて有機高
分子化合物からなる芯体3の上に表層5を形成すると
き、得られた無機・有機複合粒子は有用なEA粒子2と
なる。
【0032】上記無機イオン交換体の例としては(1)
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0033】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。これらの化合物は、一般式
MOx(OH)y(Mは多価金属であり、xは零以上の数
であり、yは正数である)で表され、例えば、水酸化チ
タン、水酸化ジルコニウム、水酸化ビスマス、水酸化
錫、水酸化鉛、水酸化アルミニウム、水酸化タンタル、
水酸化ニオブ、水酸化モリブデン、水酸化マグネシウ
ム、水酸化マンガン、および水酸化鉄などである。ここ
で、例えば水酸化チタンとは含水酸化チタン(別名メタ
チタン酸またはβチタン酸、TiO(OH)2)および
水酸化チタン(別名オルソチタン酸またはαチタン酸、
Ti(OH)4)の双方を含むものであり、他の化合物
についても同様である。
【0034】(2)ハイドロタルサイト類。これらの化
合物は、一般式M13Al6(OH)43(CO)3・12H
2O(Mは二価の金属である)で表され、例えば二価の
金属MがMg、CaまたはNiなどである。 (3)多価金属の酸性塩。これらは例えばリン酸チタ
ン、リン酸ジルコニウム、リン酸錫、リン酸セリウム、
リン酸クロム、ヒ酸ジルコニウム、ヒ酸チタン、ヒ酸
錫、ヒ酸セリウム、アンチモン酸チタン、アンチモン酸
錫、アンチモン酸タンタル、アンチモン酸ニオブ、タン
グステン酸ジルコニウム、バナジン酸チタン、モリブデ
ン酸ジルコニウム、セレン酸チタンおよびモリブデン酸
錫などである。
【0035】(4)ヒドロキシアパタイト。これらは例
えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、ストロンチ
ウムアパタイト、カドミウムアパタイトなどである。 (5)ナシコン型化合物。これらには例えば(H3O)
Zr2(PO43のようなものが含まれるが、本発明に
おいてはH3OをNaと置換したナシコン型化合物も使
用できる。 (6)粘土鉱物。これらは例えばモンモリロナイト、セ
ピオライト、ベントナイトなどであり、特にセピオライ
トが好ましい。
【0036】(7)チタン酸カリウム類。これらは一般
式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0<a≦1を満
たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす正数であり、
nは正数である)で表され、例えばK2・TiO2・2H
2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.5K2O・Ti
2・2H2O、及びK2O・2.5TiO2・2H2Oな
どである。なお、上記化合物のうち、aまたはbが整数
でない化合物はaまたはbが適当な整数である化合物を
酸処理し、KとHとを置換することによって容易に合成
される。
【0037】(8)ヘテロポリ酸塩。これらは一般式H
3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ素、ゲルマニウ
ム、またはケイ素であり、Eはモリブデン、タングステ
ン、またはバナジウムであり、nは正数である)で表さ
れ、例えばモリブドリン酸アンモニウム、およびタング
ストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。これらは次の一般式で
表される化合物である。Mb-pxaA[E(CN)6](M
はアルカリ金属または水素イオン、Aは亜鉛、銅、ニッ
ケル、コバルト、マンガン、カドミウム、鉄(III)
またはチタンなどの重金属イオン、Eは鉄(II)、鉄
(III)、またはコバルト(II)などであり、bは
4または3であり、aはAの価数であり、pは0〜b/
aの正数である。)これらには例えば、Cs2Zn[F
e(CN)6]およびK2Co[Fe(CN)6]などの
不溶性フェロシアン化合物が含まれる。
【0038】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2)y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を表
す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類に
より異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を示
すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM2
アルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷移
金属または希土類金属等、H+以外の金属イオンのいず
れか任意のものである。OH基を有する無機イオン交換
体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にOH-
であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4など
や錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意
のものである。
【0039】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO43の加熱により得られるHZr2(PO43
ハイドロタルサイトの高温 加熱処理物(500〜70
0℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イ
オン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層
として用いることもできる。なお、上記の無機イオン交
換体として、多価金属の水酸化物、及び多価金属の酸性
塩を用いることが特に好ましい。
【0040】上記EA粒子(無機・有機複合粒子)2の
表層5として使用し得る電気半導体性無機物の例は、電
気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cmの金属
酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオン
交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種に金属
ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの有無に
拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他の支持
体上に電気半導体層として施したものなどである。
【0041】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2)およびオルソチタン酸(別名αチタ
ン酸、Ti(OH)4)を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピング電界配列性無機物:これは上記の
電気半導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げ
るために、アンチモン(Sb)などの金属をER無機物
にドーピングしたものであって、例としてはアンチモン
(Sb)ドーピング酸化錫(SnO2)などを挙げるこ
とができる。 (N)他の支持体上に電気半導体層としてEA無機物を
施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シリカ、
アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、または
ポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子粒子を
用い、これに電気半導体層としてアンチモン(Sb)ド
ーピング酸化錫(SnO2)を施したものなどを挙げる
ことができる。このように他の支持体上にEA無機物が
施された粒子も、全体としてEA無機物と見なすことが
できる。これらのEA無機物は、1種類だけでなく、2
種類またはそれ以上を同時に表層として用いることもで
きる。
【0042】EA粒子(無機・有機複合粒子)2は、種
々な方法によって製造することができる。たとえば、有
機高分子化合物からなる粒子状の芯体3と微粒子状の粒
子4とをジェット気流によって搬送し、衝突させて製造
する方法がある。この場合は粒子状の芯体3の表面に粒
子4の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層5を形成
する。また別の製法例としては、粒子状の芯体3を気体
中に浮遊させ、粒子4の溶液を霧状にしてその表面に噴
霧する方法がある。この場合はその溶液が芯体3の表面
に付着し乾燥することによって表層5が形成される。
【0043】EA粒子(無機・有機複合粒子)2を製造
する特に好ましい製法は、芯体3と同時に表層5を形成
する方法である。この方法は、たとえば、芯体3を形成
する有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で乳化重
合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒子状と
したEA無機物である粒子4を上記モノマー中、または
重合媒体中に存在させるというものである。重合媒体と
しては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒との混合物
を使用することもでき、また有機系の貧溶媒を使用する
こともできる。この方法によれば、重合媒体の中でモノ
マーが重合して芯体粒子3を形成すると同時に、微粒子
状のEA無機物の粒子4が芯体3の表面に層状に配向し
てこれを被覆し、表層5を形成する。
【0044】乳化重合または懸濁重合によってEA粒子
(無機・有機複合粒子)を製造する場合には、モノマー
の疎水性の性質とEA無機物の親水性の性質を組み合わ
せることによって、EA無機物の粒子4の大部分を芯体
3の表面に付着させることができる。この芯体3と表層
5との同時形成方法によれば、有機高分子化合物からな
る芯体3の表面にEA無機物の粒子4が緻密かつ強固に
接着し、堅牢なEA粒子(無機・有機複合粒子)2が形
成される。
【0045】本発明に使用するEA粒子2の形状は必ず
しも球形であることを要しないが、粒子状の芯体3が調
節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場合
は、得られるEA粒子2の形状はほぼ球形となる。EA
粒子2の粒径は特に限定されるものではないが、0.1
μmないし500μm、特に5μmないし200μmの
範囲内とすることが好ましい。この際の微粒子状のEA
無機物である粒子4の粒径は特に限定されるものではな
いが、好ましくは0.005μmないし100μm、さ
らに好ましくは0.01μmないし10μmの範囲内と
する。
【0046】EA粒子(無機・有機複合粒子)2におい
て、表層5を形成するEA無機物である粒子4と芯体3
を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限定される
ものではないが、保存安定性の高いENC流体組成物を
得るためには、EA無機物の粒子4と有機高分子化合物
の芯体3の合計重量に対して粒子4が1重量%ないし6
0重量%の範囲内、特に4重量%ないし30重量%の範
囲内とすることが好ましい。この芯体3の割合が1重量
%未満では、得られたEA粒子2のEA特性が不十分と
なり、60重量%を超えると、EA2粒子の比重が過大
となって保存安定性を損なう惧れがある。また、本発明
のENC流体組成物は、上記のEA粒子2を、必要なら
分散剤、他の成分とともに電気絶縁性媒体中に均一に攪
拌混合して製造することができる。この攪拌機として
は、液状分散媒に固体粒子を分散させるために通常使用
されるものがいずれも使用できる。電気絶縁性媒体中1
におけるEA粒子2の含有率は、特に限定されるもので
はないが、0.5〜75重量%、特に5〜50重量%で
あることが好ましい。その含有率が1%未満では充分な
EA効果が得られず、75%以上では電圧を印加しない
ときのENC流体組成物の初期粘度が過大となって使用
が困難になる。
【0047】上記の各種方法、特に芯体3と表層5とを
同時に形成する方法によって製造されたEA粒子2は、
その表層5の全部または一部分が有機高分子物質や、製
造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添加物質の
薄膜で覆われていて、EA粒子としてのEA効果が充分
に発揮されない場合がある。この不活性物質の薄膜は粒
子表面を研磨することによって容易に除去することがで
きる。従って芯体3と表層5とを同時に形成する場合に
は、その表面を研磨することが好ましい。
【0048】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。たとえば、無機・有機複合粒子であるE
A粒子2を水などの分散媒体中に分散させて、これを攪
拌する方法によって行うことができる。この際、分散媒
体中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒子2
と共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌す
る方法などによって行うこともできる。たとえばまた、
分散媒体を使用せず、EA粒子2と上記のような研磨材
または研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うこともで
きる。
【0049】さらに好ましい研磨方法は、EA粒子2を
ジェット気流などによって気流攪拌する方法である。こ
れは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨す
る方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの粒
子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法で
ある。上記のジェット気流攪拌においては、それに用い
られる装置の種類、攪拌速度、EA粒子2の材質などに
より研磨条件を選定する必要があるが、一般的には60
00rpmの攪拌速度で0.5min〜15min程度
ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0050】本発明のENC流体組成物は、上記のEA
粒子2を、必要なら分散剤など他の成分と共に電気絶縁
性媒体1中に均一に攪拌混合し分散させて製造すること
ができる。この攪拌機としては、液状分散媒に固体粒子
を分散させるために通常使用されるものがいずれも使用
できる。
【0051】以上、説明したように、本実施例のスピー
カ40によれば、音響伝達路52内の定在波が発生する
いわゆるピークは、通常であればスリット53,54を
通して吸音層51に吸音される。そして、たとえば、温
度、湿度等の環境条件によりピークの周波数が変動して
そのピークが生じる位置がずれた場合は、ツマミ62で
可変電源13からの吸音材61への電圧を適宜に調整す
る。このようにすると吸音材61による吸音周波数が変
わり、環境条件によって変動したピークが吸音材61に
より除去される。つまり、吸音材61の吸音周波数が変
わることを利用して、環境条件等の様々な要因によって
変動する音響伝達路52内の特定周波数であるピークに
ずれが生じたら、そのピークに吸音材61の吸音周波数
を合わせ、環境の変動にかかわらず常にピークを除去で
きるわけである。このように、従来より形成されている
スリット53,54に加えて上記吸音装置60を設けた
ことにより、吸音効率すなわちピークの除去効率が大幅
に向上する。また、ツマミ62で吸音材61への印加電
圧を適宜に調整することにより、聴取者の好みの周波数
域を調整して好みの音に調整することも可能である。
【0052】図2は本発明の他の実施例を示しており、
この場合、前記ホーン50自体が前記吸音材61で形成
されており、このホーン50に、前記スリット53,5
4が形成されている。この実施例によれば、上記実施例
と同様の作用効果を示す他、ホーン自体が吸音材で構成
されるから、吸音効率が向上し、かつ従来のホーンの製
造が省けて製造コストが低減するといった利点を有す
る。
【0053】なお、上記実施例では、振動板の前面にス
ピーカユニットの音を放射するホーンが設けられたホー
ン型スピーカに本発明を適用した例であるが、本発明
は、上記実施例のようなバックキャビティから、音響伝
達路を前方に取り回し、その音響伝達路をホーンで形成
したいわゆるバックロード形式のホーン型スピーカにも
適用できる。
【0054】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明のホーン
型スピーカによれば、下記の効果を得ることができる。
請求項1記載のホーン型スピーカによれば、たとえば、
温度、湿度等の環境変化等の様々な要因によって音響伝
達路内に生じるピークの周波数が変動しても、それに応
じて吸音材への印加電圧を適宜に調整することにより、
常にピーク・ディップの発生が抑えられ、高い周波数領
域まで平坦な特性が得られる。また、請求項2記載のホ
ーン型スピーカによれば、特に粒子速度が他の部分より
も大きくなる位置にスリットが形成されたことにより、
吸音効率すなわちピーク除去の効率が大幅に向上する。
また、請求項3記載のホーン型スピーカによれば、ホー
ン自体を吸音材で構成するから、吸音効率が向上し、か
つ従来のホーンの製造が省けて製造コストの低減が図ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例のホーン型スピーカの側断
面図である。
【図2】 本発明の他の実施例のホーン型スピーカの側
断面図である。
【図3】 電気感応型音波吸収制御用流体組成物を備え
た音波吸収制御装置(音波制振装置)の断面図である。
【図4】 音波吸収制御装置において、音波が入射され
て鎖状体や一方の電極板が共振している状態を示す断面
図である。
【図5】 本発明に係わる電気感応型音波吸収制御用流
体組成物の一実施例を示す断面図である。
【図6】 本発明に係わる電気感応型音波吸収制御用流
体組成物の電源オフ時の態様を示す断面図である。
【図7】 本発明に係わる電気感応型音波吸収制御用流
体組成物の電源オン時の態様を示す断面図である。
【図8】 音波吸収制御装置に、音波が入射されて一方
の電極板が振動している状態を示す断面図である。
【図9】 電界配列性粒子分散系について電界配列特性
に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示すグラフで
ある。
【図10】 振動系の等価回路を示す図である。
【図11】 音波吸収制御装置において、鎖状体の撓み
状態の別な例を示す図である。
【図12】 音波吸収制御装置において、鎖状体が複数
列相互に接合してなるカラムを示す図である。
【符号の説明】
1…電気絶縁性媒体、2…EA粒子(固体粒子)、13
…可変電源(電圧印加手段)、40…ホーン型スピー
カ、41…スピーカボックス、42…前側スピーカボッ
クス、43…後側スピーカボックス、45,46…スピ
ーカユニット、48…スピーカユニットの振動板、50
…ホーン、51…吸音層、52…音響伝達路、53,5
4…スリット、60…吸音装置、61…吸音材、62…
ツマミ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 守孝 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 古市 健二 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピーカボックス(41)に、スピーカ
    ユニット(45,46)を構成する振動板(48)の音
    響伝達路(52)を構成するホーン(50)が設けら
    れ、スピーカボックス(41)とホーン(50)との間
    に吸音層(51)が設けられたホーン型スピーカ(4
    0)において、 前記ホーン(50)には、電界配列効果を有する固体粒
    子(2)が電気絶縁性媒体(1)中に含有された電気感
    応型音波吸収制御用流体組成物を収容してなる吸音材
    (61)が張られ、該吸音材(61)に、吸音材(6
    1)を構成する前記電気感応型音波吸収制御用流体組成
    物に電圧を印加し、かつ印加電圧を調整する電圧印加手
    段(13)が接続されていることを特徴とするホーン型
    スピーカ。
  2. 【請求項2】 前記ホーン(50)の、スピーカボック
    ス(41)の開口部に当たる部分と、前記振動板(4
    8)側で前記音響伝達路(52)の約3分の1の部分と
    に、周方向に沿ったスリット(53,54)が形成され
    ていることを特徴とする請求項1記載のホーン型スピー
    カ。
  3. 【請求項3】 前記ホーン(50)が、前記吸音材(6
    1)で形成されてなることを特徴とする請求項1、2の
    いずれか1項記載のホーン型スピーカ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007072859A1 (ja) * 2005-12-22 2007-06-28 Tadashi Masuda スピーカ装置
KR20210029375A (ko) * 2019-09-06 2021-03-16 삼성전자주식회사 음향 출력 장치 및 이를 포함하는 디스플레이 장치

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