JP2019206635A - 塗料組成物、自動車用シール材及び自動車用シール材の塗装方法 - Google Patents

塗料組成物、自動車用シール材及び自動車用シール材の塗装方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自動車用シール材の軽量化の要求と、遮音性向上の要求とに同時に応えることができるようにする。【解決手段】自動車用シール材の表面に塗布される塗料組成物において、プルシアンブルー5を含有している。【選択図】図2

Description

本発明は、塗料組成物、その塗料組成物が表面に塗布された自動車用シール材及び自動車用シール材の塗装方法に関する。
従来より、例えば自動車にはシール材としてウエザーストリップが配設されている。ウエザーストリップにおいては、耐摩耗性、滑り性(摺動性)などの機能付与を目的として、表面に塗料が塗布されている。特許文献1では、ポリウレタン、フッ素樹脂、シリコーンオイル、メルカプトシリコーン、ハロゲン化剤及び溶剤を含む塗料組成物をウエザーストリップに塗布することによって耐摩耗性を向上させるようにしており、これら組成物のうち、フッ素樹脂の一部をガラス繊維、カーボン繊維などに置き換えることも開示されている。
また、特許文献2には、建築物の屋根材に塗布する遮熱防音塗料がりん片状顔料を含む合成エマルジョン塗料であることが開示されている。
特開平4−8778号公報 特開2003−238879号公報
ところで、自動車の燃費向上を目的として自動車に使用される部品単位での軽量化が求められている。ウエザーストリップの場合、ウエザーストリップを構成するゴム材料の比重を小さくすることによって軽量化を図ることができるが、ゴム材料の比重を小さくすると遮音性能が低下して車室外の騒音が透過しやすくなるという問題がある。つまり、ウエザーストリップの軽量化と遮音性能の両立は難しい。
特に、近年では、電気自動車のようにエンジン音を発しない自動車が増えてきており、このような自動車の場合、自動車自体が発する音が減っているので、従来問題とされなかった外部からの小さな音の侵入も遮音対象となってくる。このため、ウエザーストリップの遮音性能に対する要求は厳しくなっている。
この点、特許文献1では、フッ素樹脂、ガラス繊維、カーボン繊維などを含む塗料をウエザーストリップに塗布するようにしているが、この塗料は耐摩耗性を向上させることを目的としたものであり、ウエザーストリップの遮音性向上について寄与するものであるか不明である。
また、特許文献2には、りん片状顔料を含む遮熱防音塗料を建築物の屋根材に塗布するようにしているが、これは雨音などの振動音を遮断するものであるとともに、ウエザーストリップのような弾性変形するものが塗装対象物とはなっておらず、このような塗料でウエザーストリップを塗装したとしてもウエザーストリップの遮音性向上について寄与するものであるか不明である。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自動車用シール材の軽量化の要求と、遮音性向上の要求とに同時に応えることができるようにすることにある。
上記目的を達成するために、本発明では、プルシアンブルーを含有した塗料組成物とした。
第1の発明は、自動車用シール材の表面に塗布される塗料組成物において、プルシアンブルーを含有していることを特徴とする。
この構成によれば、プルシアンブルーを含有している塗料組成物が自動車用シール材の表面に塗布されることにより、プルシアンブルーを含有している塗膜が自動車用シール材の表面に形成される。塗膜中にプルシアンブルーが存在していることにより、遮音性が高くなる。その理由は、例えば、プルシアンブルー単独、または塗膜中の樹脂とプルシアンブルーとの複合化によって塗膜の内部損失が大きくなり、遮音性が高くなるものと推測される。この塗膜によって車室外からの騒音の侵入が抑制されるので、自動車用シール材の材料の比重を小さくして軽量化を図る場合に遮音性が高まることになる。
第2の発明は、ウレタン樹脂及びシリコーン樹脂の少なくとも一方を含有した水性塗料組成物であることを特徴とする。
この構成によれば、自動車用シール材の耐摩耗性及び滑り性の向上に有利なる。
第3の発明は、前記塗料組成物の主要樹脂成分(塗膜形成主要素)100質量部に対して前記プルシアンブルーが0.2質量部以上20質量部以下になるように含有されていることを特徴とする。
プルシアンブルーの含有量の下限としては、0.5質量部がより好ましい。一方、プルシアンブルーの含有量の上限としては、10質量部がより好ましい。ここで主要樹脂成分とは、塗装乾燥後に塗膜を形成する主要有効成分のことであり、塗膜形成要素又は塗膜組成物と言い換えることもできる。
プルシアンブルーの含有量が少なくなると、塗膜におけるプルシアンブルーの分散による遮音性の向上効果が薄れてくる。その観点から、当該含有量は前記下限以上であることが好ましい。一方、プルシアンブルーの含有量が多くなると塗膜から脱落するプルシアンブルーが多くなる。その観点から、当該含有量は前記上限以下であることが好ましい。
第4の発明は、セルロース繊維を更に含有していることを特徴とする。
この構成によれば、遮音性がより一層高まり、摩擦係数も小さくなるため滑り性に優れる。
第5の発明は、前記塗料組成物がゴムスポンジ材の表面に塗布されていることを特徴とする自動車用シール材である。
この構成によれば、自動車用シール材の材料の比重を小さくして軽量化を図る場合に遮音性を向上させることができる。自動車用シール材としては、例えばドアウエザーストリップ、ドアオープニングシール、トランク用シール材、ガラスランチャンネル、ドアパネルのドア装備品組付用のサービスホールを塞ぐシール材などを挙げることができる。
ここで、前記ゴムスポンジ材はEPDMよりなり、比重が0.7以下である。
一般に、遮音材の比重が小さくなると、質量法則により遮音性が低下する。しかし、比重が小さくなるほど遮音性は確かに低下するものの、プルシアンブルーが存在する塗膜により、比重の低下に伴う遮音性の低下が抑制される。すなわち、軽量化と遮音性向上という相反する要求を同時に応える上で有利になる。
第6の発明は、自動車用シール材の表面にプルシアンブルー含有塗膜を形成する塗装方法であって、プルシアンブルーを水に分散させたプルシアンブルー含有分散液を前記自動車用シール材の表面に塗布する工程と、前記自動車用シール材における前記プルシアンブルー含有分散液の塗布面に、水性塗料をウェットオンウェットで塗布する工程とを備えていることを特徴とする自動車用シール材の塗装方法。
この塗装方法によれば、塗装後の前記自動車用シール材の表面に触れたときにプルシアンブルーが塗膜から脱落し難くなる。これにより、長期間に亘って高い遮音性能を得ることができる。
本発明によれば、自動車用シール材の表面に塗布される塗料組成物がプルシアンブルーを含有しているので、自動車用シール材の軽量化の要求と、遮音性向上の要求とに同時に応えることができる。
本発明の実施形態に係るウエザーストリップを示す一部断面にした斜視図である。 本発明の実施形態(実施例1)に係るウエザーストリップの一部を示す拡大断面図である。 耐摩耗試験の概要を示す斜視図である。 ウエザーストリップのサンプルの作製方法を説明する一部断面にした斜視図である。 透過音測定試験設備の概要を示す断面図である。 実施例2に係る図2相当図である。 実施例3に係る図2相当図である。 実施例4に係る図2相当図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1に概略的に示すウエザーストリップ(ドアウエザーストリップ)1は、本発明の実施形態に係る自動車用シール材である。自動車用シール材は、ウエザーストリップ1に限られるものではなく、図示しないが、例えば、ドアオープニングシール、トランク用シール材、ガラスランチャンネル、ドアパネルのドア装備品組付用のサービスホールを塞ぐシール材などであってもよく、その形状や大きさは特に限定されない。
ウエザーストリップ1は、車体のドア用開口部(図示せず)の周縁部と、ドア(図示せず)の周縁部との間に介在し、車体ドア用開口部の周縁部と、ドアの周縁部との間をシールするための部材であり、環状をなしている。ウエザーストリップ1は、ドアの周縁部に取り付けることができるようになっている。
ウエザーストリップ1は、ドアの周縁部に取り付けられる取付基部2と、中空シール部3とを備えており、取付基部2と中空シール部3とは例えば押出成形法のような成形方法によって一体成形されている。取付基部2及び中空シール部3は、ゴムスポンジ材4(図2に示す)で構成されている。
取付基部2は、図示しないファスナや両面テープ等の周知の固定手段によってドアの周縁部に取り付けられる。中空シール部3は、ドアが閉状態にあるときにドアの周縁部によって車体に押し付けられて弾性変形し、これによりシール性が得られるようになっている。図1に示す中空シール部3の断面形状は一例であり、図示した形状に限定されるものではない。中空シール部3は、図2に示すように、ゴムスポンジ材4の表面がプルシアンブルー5を分散して含有する塗膜(樹脂塗膜)6によって覆われてなる。
ゴムスポンジ材4のゴム材料としては、例えば、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)を好ましく用いることができる。例えば、IR(イソプレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、熱可塑性エストラマー(オレフィン系またはスチレン系熱可塑性エストラマー)、軟質のポリ塩化ビニルなど、他のゴム材料ないしゴム様弾性を有する他の弾性材料を用いることもできる。ゴムスポンジ材4の材料は複数種を混合したものであってもよい。また、ウエザーストリップ1は、部分的に、ソリッド状の材料(非発泡材料)で形成してもよい。
塗膜6によって覆われるゴムスポンジ材4は、比重が0.7以下であることが好ましい。ゴムスポンジ材4の比重は、0.6以下がより好ましく、さらに好ましいのは0.5以下である。ゴムスポンジ材4は、ウエザーストリップ1の大部分を構成する材料であることから、このゴムスポンジ材4の比重を0.7以下とすることで、ウエザーストリップ1を大幅に軽量化することができる。
塗膜6の樹脂成分(塗膜形成要素)としては、ウレタン樹脂又はシリコーン樹脂を好ましく用いることができる。ウレタン樹脂とシリコーン樹脂を併用してもよい。例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂など、他の樹脂を用いてもよい。
塗膜6は、塗膜形成要素である樹脂とプルシアンブルーとの化学的結合による界面接着を得る観点から、カルボジイミド、イソシアネート、シランカップリング剤等のカップリング剤を含有することができる。
プルシアンブルー5は、青色顔料であり、ヘキサシアノ鉄(II)酸塩(フェロシアン化物)の溶液に硫酸鉄(II)を加えて白色沈殿物を作り、この白色沈殿物を塩素酸ナトリウムで酸化することによって得ることができるものである。プルシアンブルー5は、立方体に近い形状の粒子であるが、その形状は特に定まっておらず、不定形である。
また、プルシアンブルー5としては、粒径がナノサイズ(1nm以上1000nm以下)のものを好ましく採用することができる。プルシアンブルー5の平均粒径は、5nm以上30nm以下がより好ましい。プルシアンブルー5は、親水性を有するものと、疎水性を有するものとがあるが、いずれのものも本実施形態で使用することができる。
また、実施形態に係る塗料組成物の主要樹脂成分(塗膜形成要素)100質量部に対してプルシアンブルー5が0.5質量部以上10質量部以下になるように含有されており、より好ましくは、1質量部以上7質量部以下である。
<ウエザーストリップ1の製造方法>
上記ウエザーストリップ1は、ゴムスポンジ材4の表面に塗膜6を塗装によって形成することで得ることができる。その塗装方法としては、次の塗装方法を採用することができる。
[塗装方法]
主要樹脂成分(塗膜形成要素)を水に分散させた水性塗料にプルシアンブルー5を混合して、プルシアンブルー含有塗料組成物を調製する第1工程と、プルシアンブルー含有塗料をゴムスポンジ材4の表面に塗布する第2工程と、該第2工程で得られた塗膜を乾燥硬化させる第3工程とを備えている。プルシアンブルー含有塗料の塗布には、例えば図4に示す塗装ガン(スプレーガン)13等用いることができ、或いはブレード等を用いてもよい。
この塗装方法によれば、図2に示すように、プルシアンブルー5が全体にわたって均等に分散した樹脂塗膜6を得ることができる。
<実施例・比較例>
[実施例1]
実施例1は上述の塗装方法によってゴムスポンジ材の表面にプルシアンブルー含有樹脂塗膜を形成するケースである。
表1の配合からなるプルシアンブルー含有塗料及び厚さ2mmの押出加硫成形されたEPDMゴムスポンジ板(比重0.48)を準備した。このプルシアンブルー含有塗料は、水性塗料にプルシアンブルーを混合したものである。水性塗料の主要樹脂成分(塗膜形成要素)100質量部に対するプルシアンブルーの含有量は5質量部である。使用したプルシアンブルーの粒径は10nm以上20nm以下である。
Figure 2019206635
シンナーを用いてゴムスポンジ板の表面を脱脂した後、図4に示すような塗装ガン13によって表1の配合からなるプルシアンブルー含有塗料をゴムスポンジ板に塗布した。しかる後、オーブンにて90℃の温度に10分間保持することにより、塗膜の乾燥硬化を行なった。
以上によって得た遮音性スポンジ材(自動車用シール材に相当)の樹脂塗膜は、乾燥膜厚が6〜9μmであった。
[比較例1]
比較例1は、表1に示すとおり、実施例1の配合からプルシアンブルーが取り除かれた形の配合の水性塗料であり、実施例1と同じゴムスポンジ板を準備し、実施例1と同様にしてプルシアンブルーを含有しない樹脂塗膜を形成した。
Figure 2019206635
[物性評価]
実施例1及び比較例1の遮音性スポンジ材(評価用塗装サンプル)の物性を調べた。結果を表2に示す。
表2の耐摩耗性は、図3に示す要領で耐摩耗性試験用ガラス摩耗子(t=3.5mm)を備えた学振式摩耗試験器(ストローク:150mm、スピード:60回/分)を用いて試験し、評価用塗装サンプルの塗装面が摩耗あるいは剥離し、基材が露出したときの回数を調べた。この回数が多いほど塗膜の耐摩耗性が優れていることを示す。
表3の静摩擦係数及び動摩擦係数は以下の手順で求めた。ヘイドン試験器(HEIDON TRIBOGEAR TYPE32,測定子:ガラス時計皿,荷重:20N)を用い、摺動速度1000mm/minにて2回摺動させた後、3回目に摺動させた測定値を取得した。これらの摩擦係数が小さいほど塗膜の滑り性が優れていることを示す。
プルシアンブルーが樹脂塗膜中に分散した実施例1は、プルシアンブルー不含有の比較例1に比べて、耐摩耗性及び摩擦係数は変わらないことがわかる。
<実施例2>
図6は、実施例2を示すものであり、実施例2では、表3に示す配合からなるプルシアンブルー5を水に分散させたプルシアンブルー分散液(プルシアンブルー含有分散液)をウエザーストリップの表面に塗布する工程と、上記ウエザーストリップにおける上記プルシアンブルー分散液の塗布面に、水性塗料をウェットオンウェットで塗布する工程を行った。
Figure 2019206635
ここで、ウェットオンウェットで塗布するとは、表3に示す配合からなる水性塗料を塗布する段階で、プルシアンブルーが水で濡れている状態であればよく、水性塗料を塗布する前に過剰な水分を除去する工程を含んでもよい。ここに、「ウェットオンウェット」は、先に塗布したプルシアンブルーの塗布層の全体にわたって、プルシアンブルーが水で濡れている状態で水性塗料の塗布を行なうことを意味する。
プルシアンブルー分散液の塗布後、水性塗料を塗布することで、図6に示すように、プルシアンブルー5がゴムスポンジ材4側に偏在して塗膜6の表面に出にくくなるので、塗装後のウエザーストリップ1の表面に触れたときにプルシアンブルー5が塗膜6から脱落し難くなる。これにより、長期間に亘って高い遮音性能を得ることができる。
<比較例2〜4>
実施例1と同様、比較例1の配合の水性塗料に、表4に示す資材を塗料組成物の主要樹脂成分(塗膜形成要素)100質量部に対して5質量部含有させ、実施例1と同じゴムスポンジ板を準備し、実施例1と同様にして樹脂塗膜を形成した。
Figure 2019206635
<遮音性評価>
[実施例1、2と比較例1〜4の比較]
実施例1、2と比較例1〜4の塗料を使用し、前記した各々の方法で、ウエザーストリップ1の中空シール部3の表面に塗装を施したサンプルを作製し、遮音性を評価した。ウエザーストリップ1は厚さ2mmの押出しスポンジ材(比重0.48)である。
図5は遮音性試験設備を示す。上下の治具21、22間にウエザーストリップ1を挟んでその全高が34%低くなるように圧縮し、残響室側に音源(残響室内90dB均一)を配置し、無響室側に無指向マイク23を配置して透過音を測定した。治具21、22の残響室側には遮蔽板24、25を設けた。測定周波数は100Hz〜10000Hzである。
透過音の測定により、実施例1、2は、比較例1に比べて、2000Hz〜3500Hzの周波数の範囲において音圧が低くなり、特に、2500Hz及びその近傍では、最大で3dB程度音圧が低くなることがわかった。
また、実施例1、2は、比較例2〜4に比べて、2000Hz〜3500Hzの周波数の範囲において音圧が低くなり、特に、2500Hz及びその近傍では、最大で3dB程度音圧が低くなることがわかった。
このように、プルシアンブルーは透過音の音圧を下げたものの、比較例2〜4は比較例1と変わらず、プルシアンブルー以外の資材に音圧を下げる効果は認められなかった。尚、親水性のプルシアンブルーを含有した塗料と、疎水性のプルシアンブルーを含有した塗料とを比較したとき、透過音の測定結果には殆ど差が無かった。
以上説明したように、この実施形態によれば、プルシアンブルーを含有している塗料組成物を自動車用シール材の表面に塗布することにより、プルシアンブルーを含有している塗膜を自動車用シール材の表面に形成することができる。塗膜中にプルシアンブルーが存在していることにより、塗膜の内部損失が大きくなり、遮音性が高くなる。この塗膜の形成によって車室外からの騒音の侵入を抑制できるので、自動車用シール材の材料の比重を小さくして軽量化を図る場合に遮音性を高めることができる。
<実施例3>
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
上記実施形態では、プルシアンブルーを含有した塗料組成物について説明したが、これに限らず、図7に示す実施例3のように、塗料組成物がセルロース繊維7を更に含有していてもよい。実施例3は、水性塗料の主要樹脂成分(塗膜形成要素)100質量部に対してプルシアンブルー5及びセルロース繊維7を各々5質量部含有させた配合の塗料を塗装したものである。これは、液状の塗料にプルシアンブルー5及びセルロース繊維7を混合し、イオン交換水で適宜希釈など調整して塗装した。
セルロース繊維7はパルプ等の植物原料から得られる繊維である。セルロース繊維7の原料となるパルプとしては、化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ等を採用することができる。
化学パルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)等の広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)等の針葉樹クラフトパルプ(NKP)等が挙げられる。
機械パルプとしては、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)等が挙げられる。
古紙パイプは、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙、更紙古紙等から製造される。古紙パルプを脱墨処理した脱墨パルプ(DIP)を採用することもできる。
上記パルプは一種単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。その他の植物原料としては、リンターパルプ、麻、バガス、ケナフ、エスパルト草、竹、籾殻、わら等から得られるパルプなどが挙げられる。また、パルプの原料となる木材、麻、バガス、ケナフ、エスパルト草、竹、籾殻、わら等を直接植物原料として用いることもできる。
また、セルロース繊維7としては、繊維径がナノサイズ(1nm以上1000nm以下)から20μm以下程度のものを好ましく採用することができる。セルロース繊維7の繊維長は、1μm以上100μm以下であることが好ましい。セルロース繊維7の比表面積は5m/g以上600m/g以下であることが好ましい。
このようなセルロース繊維7は、通常、植物原料(繊維原料)を公知の方法により解繊することにより得ることができる。パルプを植物原料として用いた場合の製造方法として、例えば水分散状態のパルプを機械的処理による解繊に付してよく、酵素処理、酸処理等の化学的処理による解繊に付してもよい。機械的処理による解繊方法としては、例えばパルプを回転する砥石間で磨砕するグラインダー法、高圧ホモジナイザーを用いた対向衝突法、ボールミル、ロールミル、カッターミル等を用いる粉砕法などが挙げられる。通常、パルプが解繊されて得られるセルロース繊維7が所望のサイズになるまで、解繊処理が繰り返し行われる。パルプ以外の植物原料の場合も、同様の方法でセルロース繊維7を得ることができる。
樹脂塗膜6におけるセルロース繊維7の含有量は、0.2質量%以上50質量%以下であることが好ましい。樹脂塗膜6にはセルロース繊維7の原料に係る植物由来のヘミセルロースやリグニンなどが残存していても構わない。
プルシアンブルー5及びセルロース繊維7の両方を含有する塗料組成物を、上記実施例1と同様、ゴムスポンジ板及びウエザーストリップ1の中空シール部3の表面に塗装し、サンプルを作製した(実施例3)。実施例3では、プルシアンブルー5とセルロース繊維7とが分散した水性塗料をゴムスポンジ材の表面に塗布するので、図7に示すように、塗膜6の全体にプルシアンブルー5及びセルロース繊維7を存在させることができる。
<実施例4>
下記表5に示す実施例4は、実施例3とは別の方法により、プルシアンブルー5及びセルロース繊維7を塗膜に含有させる例である。すなわち、実施例3や実施例4のように、セルロース繊維7を塗膜に含有させる場合、通常行う手法として、実施例3のように液状の塗料の状態で混合して含有塗料を調整して塗装する。しかし、この手法では塗料粘度が非常に上がり塗装し難くなると言う課題がある。そこで、セルロース繊維7を水に分散させたセルロース分散液をウエザーストリップの表面に塗布する工程と、上記ウエザーストリップにおける上記セルロース分散液の塗布面に、セルロース繊維7を含有させていない水性塗料をウェットオンウェットで塗布する工程とすることで、この課題が解決できると考えられている。
Figure 2019206635
実施例4では、セルロース繊維7だけでなく、プルシアンブルー5も水に分散させ、セルロース・プルシアンブルー分散液(プルシアンブルー含有分散液)をウエザーストリップの表面に塗布する工程と、上記ウエザーストリップにおける上記セルロース・プルシアンブルー分散液の塗布面に、表5の組成からなる水性塗料をウェットオンウェットで塗布する工程を行った。その後、乾燥させることにより、図8に示すような塗膜6が形成される。
上記実施例1と同様にゴムスポンジ板及びウエザーストリップ1の中空シール部3の表面に、各々の条件及び方法によって、ウエザーストリップ1の中空シール部3の表面に塗装を施した物性評価用のサンプルを作製した。
セルロース分散液またはセルロース・プルシアンブルー分散液の塗布では、シンナーを用いてウエザーストリップ1の中空シール部3の表面を脱脂した後、塗装ガンによってセルロース分散液またはセルロース・プルシアンブルー分散液を中空シール部3に塗布し、続いて、乾燥工程を設けることなく、セルロース分散液またはセルロース・プルシアンブルー分散液の塗布面に表5の組成からなる水性塗料を塗装ガンで塗布した。しかる後、オーブンにて90℃の温度に10分間保持することにより、塗膜の乾燥硬化を行なった。すなわち、ウェットオンウェットの塗装方法でサンプルを作成した。塗装ガンの吹き付け回数などを調整して塗布量を調整し、セルロース分散液では、水性塗料の主要樹脂成分(塗膜形成要素)100質量部に対してセルロース繊維が1〜3質量部となるようにした。また、セルロース・プルシアンブルー分散液では、水性塗料の主要樹脂成分(塗膜形成要素)100質量部に対してセルロース繊維及びプルシアンブルーが各々1〜3質量部となるようにした。厚さ2mmの押出加硫成形されたEPDMゴムスポンジ板(比重0.48)の表面に塗装を施したサンプルを作製し、耐摩耗性と摩擦係数を測定した。また、ウエザーストリップ1の中空シール部3の表面に塗装を施したサンプルを作製し、遮音性を評価した。ウエザーストリップ1は厚さ2mmの押出しスポンジ材(比重0.48)である。
上記表2のとおり、実施例3、4について、実施例1と同様に耐摩耗性と摩擦係数を測定した結果、プルシアンブルー5及びセルロース繊維7の両方を含有する実施例3、4の場合は、水性塗料(比較例1)に比べて、耐摩耗性は変わらず、摩擦係数が小さくなっており、滑り性が優れることがわかる。
遮音性評価をした結果、プルシアンブルー5及びセルロース繊維7の両方を含有する実施例3、4の場合は、水性塗料(比較例1)に比べて、2000Hz〜4000Hzの周波数の範囲において音圧が低くなり、特に、2500Hz〜3000Hz及びその近傍では、4dB程度音圧が低くなることがわかった。
表5に示すセルロース繊維7のみを分散させたセルロース分散液を用い、これに水性塗料を重ねて塗装したウェットオンウェットによるウエザーストリップ1への塗装サンプル(比較例5)との比較では、プルシアンブルー5及びセルロース繊維7の両方を含有する実施例3、4は、2500Hz〜3000Hzの周波数の範囲において音圧が低くなり、最大で2dB程度音圧が低くなることがわかった。
セルロース繊維7は、広葉樹晒クラフトパルプを原料とする2%セルロース繊維スラリーをイオン交換水で希釈したものを使用し、セルロース繊維の繊維径は数十nmであり、繊維長は1〜100μmである。
[セルロース繊維の繊維径の影響]
セルロース繊維の繊維径がそれぞれ10nm、100nm、1μm、10μmである各2%セルロース繊維スラリーを用い、実施例1の条件及び方法により、セルロース繊維の繊維径が異なる各ウエザーストリップを作製した。そうして、それらウエザーストリップの透過音を図5に示す設備で測定した。
その結果、多少ばらつきはあるが、セルロース繊維の繊維径が異なっても略同じ遮音特性が得られることを確認した。
以上説明したように、本発明は、例えば自動車用ウエザーストリップに適用することができる。
1 ウエザーストリップ(自動車用シール材)
2 取付基部
3 中空シール部
4 ゴムスポンジ材
5 プルシアンブルー
6 塗膜
7 セルロース繊維

Claims (6)

  1. 自動車用シール材の表面に塗布される塗料組成物において、
    プルシアンブルーを含有していることを特徴とする塗料組成物。
  2. 請求項1に記載の塗料組成物において、
    ウレタン樹脂及びシリコーン樹脂の少なくとも一方を含有した水性塗料組成物であることを特徴とする塗料組成物。
  3. 請求項1または2に記載の塗料組成物において、
    前記塗料組成物の主要樹脂成分100質量部に対して前記プルシアンブルーが0.2質量部以上20質量部以下になるように含有されていることを特徴とする塗料組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載の塗料組成物において、
    セルロース繊維を更に含有していることを特徴とする塗料組成物。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載の塗料組成物がゴムスポンジ材の表面に塗布されていることを特徴とする自動車用シール材。
  6. 自動車用シール材の表面にプルシアンブルー含有塗膜を形成する塗装方法であって、
    プルシアンブルーを水に分散させたプルシアンブルー含有分散液を前記自動車用シール材の表面に塗布する工程と、
    前記自動車用シール材における前記プルシアンブルー含有分散液の塗布面に、水性塗料をウェットオンウェットで塗布する工程とを備えていることを特徴とする自動車用シール材の塗装方法。
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