JPH08189013A - 鉄道軌道あるいは道路の騒音吸収構造 - Google Patents

鉄道軌道あるいは道路の騒音吸収構造

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JPH08189013A
JPH08189013A JP7001574A JP157495A JPH08189013A JP H08189013 A JPH08189013 A JP H08189013A JP 7001574 A JP7001574 A JP 7001574A JP 157495 A JP157495 A JP 157495A JP H08189013 A JPH08189013 A JP H08189013A
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JP
Japan
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particles
noise
sound wave
voltage
fluid composition
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JP7001574A
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English (en)
Inventor
Kenji Furuichi
健二 古市
Moritaka Goto
守孝 後藤
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
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Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電界配列効果を有し、印加される電圧によっ
て特性振動数を変更できる電気感応型音波吸収制御用流
体組成物を備え、効果的を騒音を吸収・制御することが
できる鉄道軌道あるいは道路の騒音吸収構造を提供す
る。 【構成】 鉄道軌道あるいは道路を走行する走行体39
の走行領域Gの周囲に、電界配列効果を有する固体粒子
2が電気絶縁性媒体1中に含有された電気感応型音波吸
収制御用流体組成物を収容してなる音波吸収制御装置3
5が設置されてなり、上記音波吸収制御装置35は上記
電気感応型音波吸収制御用流体組成物に電圧を印加し、
かつ印加電圧を調整する電圧印加手段13(36)と接
続されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば、鉄道軌道あ
るいは道路において所定の周波数の音波を吸収・制御し
て騒音を防止する鉄道軌道あるいは道路の騒音吸収構造
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄道軌道あるいは道路の騒音対策として
は、走行体の走行軌跡の両側部に壁状に立設された遮音
板によって騒音を反射して特に側方への放射を防止する
ことが一般的である。図14は、高架式の鉄道軌道にお
ける騒音防止構造を示す図であって、図中符号1は橋
脚、2はスラブ、3は遮音材である。この騒音防止構造
は橋脚1間に架設されたスラブ2の幅方向両端部にパネ
ル状の遮音板3を立設して、スラブ2の長手方向に沿っ
た遮音壁を形成したものである。この騒音防止構造にお
いては、電車4の走行による騒音は、上記遮音板3によ
って囲まれる領域の内側方向に反射され、高架側方への
放射が防止されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記騒
音防止構造にあっては、騒音の音波は反射されるのみで
殆ど減衰されないので、鉄道軌道周辺への騒音の影響を
防止する効果としては不十分であるといった問題が生じ
ていた。すなわち、特に市街地においては、スラブ2よ
りも高いビル等の建築物が鉄道軌道に近接して建てられ
ているので、スラブ2上方に反射された騒音がこれら建
築物に当たって散乱し、スラブ2の下方においても騒音
が相当大きなものになっていた。ビルが建て込んでいる
場所では、ビルの間で騒音が反響によって影響が一層大
きいものとなっていた。
【0004】また、上記問題に鑑みて、上記遮音板3に
かえて吸音板を使用して騒音を吸収・制御することが考
えられるが、従来の吸音板は吸音周波数が一定であるた
め、例えば、鉄道軌道を走行する電車4の種類や速度に
対応して適切な吸音をすることができず、騒音防止効果
が十分ではなかった。特に、上記電車4の種類、速度や
鉄道軌道およびその周辺の諸環境によって騒音の高レベ
ルの周波数帯域が吸音板の吸音周波数からずれた場合に
は、この高レベルの騒音を殆ど吸収・制御することがで
きず、十分な騒音防止効果が得られず、騒音防止効果が
殆ど得られないケースも生じていた。上記問題は、道路
の騒音についても同様であり、道路を走行する車両の種
類や交通量の増減に対応して有効な騒音防止効果を得る
ことは困難なものとなっていた。
【0005】ところで、本発明者らは、従来知られてい
ない新規な電界配列特性(以下、「EA特性」と称す
る)を有する電気感応型音波吸収制御用流体組成物(以
下、Electric Noise−Control流
体組成物を略して「ENC流体組成物」と称する)の研
究を行っている。このENC流体組成物は、例えば、電
気絶縁性の媒体中に固体粒子を分散させて得られる流体
であり、これに電界を印加すると固体粒子が誘電分極を
起こし、さらに誘電分極に基づく静電引力によって互い
に電場方向に配位連結して整列し、鎖状体構造を示す性
質を持っている。また、固体粒子によっては電気泳動し
て配列配向し、配列塊状構造を示す性質を示すものもあ
る。このように、電界下における粒子の配列配向を電界
配列効果(以下、Electric Alignmen
t効果を略して「EA効果」と称する)と呼び、そのよ
うな性質を有する固体粒子を電界配列性粒子(以下、電
界配列性粒子を略して「EA粒子」と称する)と呼ぶこ
ととする。そして本発明者らは、この新規な構造のEN
C流体組成物の研究を進めることにより本発明に到達し
た。
【0006】この発明は、上記事情に鑑みてなされたも
ので、EA効果を有し、印加される電圧によって特性振
動数を変更できるENC流体組成物を備えた鉄道軌道あ
るいは道路の騒音吸収構造を提供することによって上記
の問題点を解決することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の鉄道軌道あるいは道路の騒音吸収構
造は、鉄道軌道あるいは道路を走行する走行体の走行領
域の周囲に、EA効果を有する固体粒子が電気絶縁性媒
体中に含有されたENC流体組成物を収容してなる音波
吸収制御装置が設置されてなり、上記音波吸収制御装置
は上記ENC流体組成物に電圧を印加し、かつ印加電圧
を調整する電圧印加手段と接続されていることを特徴と
している。請求項2記載の鉄道軌道あるいは道路の騒音
吸収構造は、電圧印加手段に走行体を検知する走行体検
知手段が接続されていることを特徴としている。請求項
3記載の鉄道軌道あるいは道路の騒音吸収構造は、電圧
印加手段に騒音を検知する騒音検知手段が接続されてい
ることを特徴としている。
【0008】
【作用】請求項1記載の鉄道軌道あるいは道路の騒音吸
収構造によれば、電圧印加手段がENC流体組成物に所
定値の電圧を印加することによって、音波吸収制御装置
が特定周波数の音波を低減する。ここで、例えば、走行
体の速度や種類等によって音の周波数が変動した場合
は、電圧印加手段から音波吸収制御装置を構成するEN
C流体組成物に所定値の電圧を印加する。このようにす
ると、この音波吸収制御装置による吸音周波数が変わ
り、諸条件によって変動した特定周波数の音波が低減さ
れる。
【0009】つまり、音波吸収制御装置は、電圧が印加
されていない状態では、ENC流体組成物中のEA効果
を有するEA粒子は電気絶縁性媒体中にランダムに浮遊
・分散している。電圧印加手段により一対の電極板に電
圧を印加すると、EA粒子は鎖状に配列結合して鎖状体
(粒子鎖)を形成し、この鎖状体が電界方向に平行して
配列する。この状態で、一方の電極板に音波(空気振
動)を入射させると、この電極板が上記対向方向に振動
するが、鎖状体自体が弾性の性質を持っているため、鎖
状体は引っ張られる場合には、向かい合う粒子同士が引
き合って引力を、圧縮される場合には、撓んで反発力を
それぞれ生じ、電気絶縁性媒体中の鎖状体の運動により
粘性抵抗が生じ、これによって音波の持つエネルギーの
損失(散逸)が起こる。
【0010】即ち、電極板に入射した音波に、鎖状体を
含むENC流体組成物と電極板とが共振するのである。
このような鎖状体に振動を与える音波周波数は、鎖状体
の持つ特性振動数(鎖状体の弾性と電極板の慣性とのバ
ランスからなる、いわゆる固有振動数と推定される)に
よって定まり、その特性振動数と一致した周波数の音波
が電極板に入射すると、鎖状体は共振してその音波を吸
収・制御し、他の周波数の音波は反射されることにな
る。各粒子間に働く引力(鎖状体に生じる応力)は、一
対の電極板に印加される電圧の増加に伴って増大するこ
とから、鎖状体自体の弾性率と粘性率が印加電圧の増加
に伴って増大することになり、本発明は、このことを利
用するものである。すなわち、印加電圧を調整して、鎖
状体自体の特性振動数を、入射音波(空気振動)のうち
除去したい成分の振動数に一致させることにより、鎖状
体を共振(共鳴)させ、吸音(除去)したい成分のエネ
ルギーを消費し、その他の成分を反射させるものであ
る。
【0011】図10はEA粒子30wt%分散系につい
てEA特性に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示
すグラフである。このグラフから印加電圧が増加するほ
ど鎖状体に働く応力は増大することが明かである。EA
特性は、誘電分極した粒子が電気的引力により電場方向
に配列し、鎖状構造を形成することに起因する。低せん
断速度では、電気的引力が支配的であるので、鎖状構造
の破壊と再形成がゆるやかに繰り返される。電場方向に
並んだ鎖をそれと直角方向にせん断破壊させるとき発生
する力が降伏応力に相当する。形成されるすべての鎖の
粒子が同じ直径をもち、直鎖状の並んで電極板間を結ん
でいると考えると、鎖の数は粒子濃度に比例するので、
降伏応力も粒子濃度に比例することになる。図11に振
動系の等価回路を示し、すなわち、弾性率Kのコイルば
ね22と粘性率Cのダッシュポット23が一対の電極板
間に並列に接続されている。
【0012】請求項2記載の鉄道軌道あるいは道路の騒
音吸収構造によれば、走行体検知手段の発信した走行体
検知信号の受信時に電圧印加手段がENC流体組成物に
所定値の電圧を印加することによって、音波吸収制御装
置が特定周波数の音波を低減する。ここで、例えば、走
行体検知手段が検知する走行体の速度や種類等によって
音の周波数が変動した場合は、電圧印加手段から音波吸
収制御装置を構成するENC流体組成物に所定値の電圧
を印加する。このようにすると、この音波吸収制御装置
による吸音周波数が変わり、諸条件によって変動した特
定周波数の音波が低減される。
【0013】請求項3記載の鉄道軌道あるいは道路の騒
音吸収構造によれば、騒音検知手段が騒音を検知した際
に電圧印加手段がENC流体組成物に所定値の電圧を印
加することによって、音波吸収制御装置が特定周波数の
音波を低減する。ここで、騒音検知手段で騒音の特に高
レベルの周波数帯域を検出するようにすれば、例えば走
行体の走行速度や種類、風等の諸環境によって騒音の高
レベル周波数帯域が変動した場合は、電圧印加手段から
音波吸収制御装置を構成するENC流体組成物に所定値
の電圧を印加する。このようにすると、この音波吸収制
御装置による吸音周波数が変わり、諸条件によって変動
した特定周波数の音波が低減される。
【0014】
【実施例】以下、本発明の鉄道軌道あるいは道路の騒音
吸収構造の第1実施例を図によって説明する。図1及び
図2は、本発明の鉄道軌道あるいは道路の騒音吸収構造
を高架式の鉄道軌道に適用した例であって、図中符号3
1は橋脚、32はスラブ、33は側壁、34は騒音吸収
装置である。この騒音吸収装置34は、鉄道軌道のスラ
ブ32上面および側壁33内側面に多数固定されたパネ
ル状の音波吸収制御装置35と、これら音波吸収制御装
置35に接続された可変電源(電圧印加手段)36と、
この可変電源36に接続され、互いに光信号を授受可能
な対を成す走行体検知手段としての発光ダイオード(以
下「LED」と略称する)37およびフォトダイオード
(以下「PD」と略称する)38とから構成されたもの
である。
【0015】上記音波吸収制御装置35は、レールRの
間にも取り付けられている。音波吸収制御装置35の内
部には、ENC流体組成物が設けられている。上記LE
D37およびPD38は、スラブ32上面においてその
幅方向に互いに離間して配置されている。そして、上記
可変電源36は、LED37、PD38間においてレー
ルR上の走行領域Gに電車39の存在を検知した際に上
記音波吸収制御装置35を構成するENC流体組成物へ
電圧を印加するようになっている。即ち、上記構成の騒
音吸収構造によれば、可変電源36から電圧が印加され
ていない場合は、それぞれの騒音吸収装置34自体が持
つ吸音周波数の音波の低減を行ない、可変電源36から
所定値の電圧が印加された場合は、その印加された電圧
の値に対応した周波数の音波の低減もできるようになっ
ている。
【0016】次に、上記音波吸収制御装置35を構成す
るENC流体組成物について説明する。図6には、EN
C流体組成物の一具体例が示されている。このENC流
体組成物は、電気絶縁性媒体1中に固体粒子であるEA
粒子2が均一に分散されてなっている。このEA粒子2
は、有機高分子化合物からなる芯体3と、電界配列性無
機物(以下、「EA無機物」と称する)である粒子4か
らなる表層5とによって形成され、無機・有機複合粒子
を形成している。この具体例において、電気絶縁性媒体
1は無色透明のシリコーン油であり、無機・有機複合粒
子の芯体3を形成する有機高分子化合物はポリアクリル
酸エステルであり、表層5を形成するEA無機物の粒子
4は無機イオン交換体でありかつ電気半導体性無機物で
もある白色の水酸化チタンである。このEA粒子(無機
・有機複合粒子)の色は例えば白色である。また、電気
絶縁性媒体1中に含まれるEA粒子2の割合は例えば
7.5重量%である。
【0017】このENC流体組成物は、図7に示すよう
に、離間して平行に配置した一対の電極板7,8の間に
介在させる。図8に示すように、この一対の電極板7,
8に、電源9からスイッチ10を介して電圧を印加する
と、EA効果によってEA粒子2が電極板7,8の面と
直角の方向に鎖状に配列して鎖状体(粒子鎖)6を形成
する。このとき、各鎖状体6は相互に離間して平行に配
向する。
【0018】次に、上述したENC流体組成物を用いた
本発明の音波吸収制御装置(音波制振装置)について説
明する。図4に示すように、一対の電極板17,18が
間隙(組成物収容空間)をおいて対向配置され、これら
一対の電極板17,18間には、上述した本発明の、E
A効果を有するEA粒子2を電気絶縁性媒体1中に含有
してなるENC流体組成物が収容されている。一方の
(下方の)電極板18は図示しない固定部材に固定配置
されており、他方の電極板17は、音波に対して柔軟な
例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム
17aの下面に一様に接着されている。上記一対の電極
板17,18の周縁及びPETフィルム17aの周縁に
は、枠状のシール部材15が固着されている。
【0019】一対の電極板17,18及びシール部材1
5により形成された空間内に、本発明のENC流体組成
物が密閉された状態で収容されている。また、一方の電
極板17及びPETフィルム17aは、その周縁が固定
されているが、一対の電極板17,18の対向方向(矢
印Xで示す上下方向)に振動できるように構成されてい
る。これにより、音波(空気振動)11がPETフィル
ム17aに入射した場合には、PETフィルム17a及
び一方の電極板17は上下振動することができる。
【0020】可変電源13は、一対の電極板17,18
間に電圧を印加し、かつ印加電圧を調整するものであ
り、この電源13にはスイッチ14が直列に接続されて
いる。このスイッチ14をオンにすることにより、一対
の電極板17,18間に電圧を印加することができる。
この音波吸収制御装置は、通常、外観矩形板状あるいは
円形板状の形態であるが、勿論、設置する場所に合わせ
て適宜の形状とする。
【0021】次に、上記構成の音波吸収制御装置の動作
について説明する。図4に示すように、一対の電極板1
7,18間に電圧が印加されていない状態では、ENC
流体組成物のEA粒子2が電気絶縁性媒体1中にランダ
ムに浮遊・分散している(図7参照)。一対の電極板1
7,18に電圧を印加すると、ENC流体組成物中のE
A粒子2が鎖状に配列結合して鎖状体(粒子鎖)6を形
成し、この鎖状体6が電界方向に平行して配列する(図
8参照)。
【0022】この状態で、一方の電極板17に音波(空
気振動)11を入射させると、図9の(a),(b),
(c)及び(d)の状態が順次起こって、この電極板1
7がPETフィルム17aとともに矢印X(図4及び図
5参照)で示すように対向方向に振動するが、鎖状体6
自体が弾性の性質を持っているため、図9の(b)に示
すように、鎖状体6は、圧縮される場合には、例えば
「く」の字状に撓んで反発力を生じ、図9の(d)に示
すように、鎖状体6は、引っ張られる場合には、向かい
合うEA粒子2同士が引き合って引力を生じる。これに
より、ENC流体組成物中での鎖状体6の運動により、
粘性抵抗が生じ、音波11の持つエネルギーの損失(散
逸)が起こる。
【0023】そして、電極板17の振動にともなって、
鎖状体6の引っ張りと圧縮が繰り返されるものであり、
この結果、鎖状体6自身も振動することになる。すなわ
ち、電極板17に入射した音波11に、鎖状体6を含む
ENC流体組成物と、電極板17とPETフィルム17
aとからなる電極板構造体とが共振するのである。この
ような鎖状体6に振動を与える音波周波数は、鎖状体6
の持つ特性振動数によって定まり、その特性振動数と一
致した周波数の音波11が電極板17に入射すると、鎖
状体6は共振して(図5中矢印A,B参照)その音波を
吸収・制御し、他の周波数の音波12は反射されること
になる。
【0024】各EA粒子2間に働く力(鎖状体6に生じ
る応力)は一対の電極板17,18に印加される電圧の
増加に伴って増大することから、鎖状体6自体の弾性率
と粘性率が印加電圧の増加に伴って増大することにな
る。本発明は、このことを利用して音波の所望の成分を
除去するものである。すなわち、印加電圧を調整して、
粒子鎖6自体の特性振動数を、電極板17に入射した音
波(空気振動)のうち除去したい成分(特定波長の音
波)の振動数に一致させることにより、図8に示すよう
に、鎖状体6を慣性力の作用により左右矢印A,Bで示
すように共振(共鳴)させ、入射音波11の除去したい
成分のエネルギーを消費し、その他の音波成分(符号1
2で示す)を反射させるものである。このように、印加
電圧により、入射音波の所望の特定波長の成分を吸収・
制御できる。
【0025】音波吸収制御装置の特性周波数は、EA粒
子(固体粒子)の大きさ、EA粒子間に働く弾性力、ま
た電極板の固有振動数及び電極板間の距離等により変化
する。本実施例では、電気絶縁性媒体中に粒径がほぼ均
一な球形状のEA粒子が分散されたものであるので(不
定形粒子を用いない)、一定電圧下では上述した反発力
や引力が変動せず、しかも、EA粒子間に働く弾性力と
電極板の慣性力のバランスにも変動が生じにくい。上記
実施例においては、鎖状体は「く」の字状に撓むものと
されているが、この他に、例えば図12の(a)に示す
ようなS字型、あるいは図12の(b)に示すようなW
字型に撓む場合もあると考えられる。
【0026】また、上記実施例においては、電界の印加
によってEA粒子(無機・有機複合粒子)2が1列の鎖
状体6を形成して平行に配列する現象について説明した
が、EA粒子2の数が数重量%を越えて多くなると、1
列の鎖状体6ではなく、鎖状体6が複数列相互に接合し
て、図13の(a)の如くカラム19を構成して配列す
るようになる。このカラム19においては左右の鎖状体
のEA粒子2は1つずつずれて互い違いに隣接する。こ
れについて本発明者らは、図13の(b)に示すごと
く、+極部分と−極部分に誘電分極しているEA粒子2
が互い違いに隣接して+極部分と−極部分とが引き合っ
て配列した方がエネルギー的に安定なためであると推定
している。さらに、上記実施例においては、一対の電極
板間に直接ENC流体組成物を収容したものを示した
が、これに限らず、ENC流体組成物を十分に含浸させ
た多孔質体を一対の電極板間に収容してもよい。この場
合、多孔質体は、EA効果を損なわないために、連続気
泡を有するものが好ましい。
【0027】本発明のENC流体組成物に用いる電気絶
縁性媒体1としては、例えば、塩化ジフェニル、セバチ
ン酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級アルコールエス
テル、ハロフェニルアルキルエーテル、トランス油、塩
化パラフィン、弗素系オイル、またはシリコーン系オイ
ルやフルオロシリコーン系オイルなど、電気絶縁性及び
電気絶縁破壊強度が高く、化学的に安定でかつEA粒子
を安定に分散させ得るものであればいずれの流体または
これらの混合物も使用可能である。この電気絶縁性媒体
1は、目的に応じて着色することができる。着色する場
合は、選択された電気絶縁性媒体に可溶であってその電
気的特性を損なわない種類と量の油溶性染料または分散
性染料を用いることが好ましい。電気絶縁性媒体1に
は、この他に分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、酸化防
止剤、安定剤などが含まれていてもよい。
【0028】この電気絶縁性媒体1の動粘度は、1cS
tないし30000cStの範囲内であることが好まし
い。動粘度が1cStより小さいと、ENC流体組成物
の貯蔵安定性の面で不足を生じ、動粘度が30000c
Stより大きいと、EA粒子の均一分散が困難になると
ともに、調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜けにく
くなり、取り扱いに支障を来すので好ましくない。この
観点から、動粘度は10cStないし1000cStの
範囲内、特に10cStないし100cStの範囲内で
あることが好ましい。もちろん、電気絶縁性媒体1の動
粘度は、温度により変化し、この温度影響を印加電圧に
よって抑制することができる。
【0029】本発明に用いられるEA粒子2は、EA効
果を有する無機・有機複合粒子であれば、元素、有機化
合物、または無機化合物、またはそれらの混合物など、
いずれの素材も使用可能である。その例としては例えば
無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気半導
体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、及びこれら
を表層として有する粒子を挙げることができる。しか
し、このEA粒子2は、上記実施例に示したように、有
機高分子化合物からなる芯体3と、EA無機物の粒子4
からなる表層5とによって形成された無機・有機複合粒
子であることが特に好ましい。この無機・有機複合粒子
は、比較的比重が重いEA無機物の粒子4からなる表層
5が比較的比重の軽い有機高分子化合物である芯体3に
担持されていて、その粒子全体の比重を電気絶縁性媒体
1に対して近似するように調節できる。従ってこれを電
気絶縁性媒体1に分散して得られたENC流体組成物
は、貯蔵安定性に優れたものとなる。
【0030】EA粒子(無機・有機複合粒子)2の芯体
3として使用し得る有機高分子化合物の例としては、ポ
リ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エ
ステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、AB
S樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、アイオノマ
ー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以上の混合
物または共重合物を挙げることができる。
【0031】表層5を形成するEA無機物である粒子4
としては種々のものが用い得るが、好ましい例としては
無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性無機物と
を挙げることができる。これらの粒子4を用いて有機高
分子化合物からなる芯体3の上に表層5を形成すると
き、得られた無機・有機複合粒子は有用なEA粒子2と
なる。
【0032】上記無機イオン交換体の例としては(1)
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、及び
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0033】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOx(OH)y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、及び水酸化
鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは含水酸
化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、TiO
(OH)2)及び水酸化チタン(別名オルソチタン酸ま
たはαチタン酸、Ti(OH)4)の双方を含むもので
あり、他の化合物についても同様である。
【0034】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどであ
る。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タン及びモリブデン酸錫などである。
【0035】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイトなど
である。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO43のようなも
のが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置換
したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
【0036】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、及びK2O・2.5TiO
2・2H2Oなどである。なお、上記化合物のうち、aま
たはbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数で
ある化合物を酸処理し、KとHとを置換することによっ
て容易に合成される。
【0037】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、及びタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。)これらに
は例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6]及びK2Co
[Fe(CN)6]などの不溶性フェロシアン化合物が
含まれる。
【0038】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2)y+xM (ここでx、yはそれぞれイオン種M、M1の価数を
表す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類
により異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を
示すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM2
はアルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷
移金属または希土類金属等、H+以外の金属イオンのい
ずれか任意のものである。OH基を有する無機イオン交
換体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にO
-であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4など
や錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意
のものである。
【0039】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO43の加熱により得られるHZr2(PO43
ハイドロタルサイトの高温加熱処理物(500〜700
℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イオ
ン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層と
して用いることもできる。なお、上記の無機イオン交換
体として、多価金属の水酸化物、及び多価金属の酸性塩
を用いることが特に好ましい。
【0040】上記EA粒子(無機・有機複合粒子)2の
表層5として使用し得る電気半導体性無機物の例は、電
気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cmの金属
酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオン
交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種に金属
ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの有無に
拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他の支持
体上に電気半導体層として施したものなどである。
【0041】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2 )及びオルソチタン酸(別名αチタン
酸、Ti(OH)4 )を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピング電界配列性無機物:これは上記の
電気半導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げ
るために、アンチモン(Sb)などの金属をER無機物
にドーピングしたものであって、例としてはアンチモン
(Sb)ドーピング酸化錫(SnO2 )などを挙げるこ
とができる。 (N)他の支持体上に電気半導体層としてEA無機物を
施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シリカ、
アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、または
ポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子粒子を
用い、これに電気半導体層としてアンチモン(Sb)ド
ーピング酸化錫(SnO2)を施したものなどを挙げる
ことができる。このように他の支持体上にEA無機物が
施された粒子も、全体としてEA無機物と見なすことが
できる。これらのEA無機物は、1種類だけでなく、2
種類またはそれ以上を同時に表層として用いることもで
きる。
【0042】EA粒子(無機・有機複合粒子)2は、種
々な方法によって製造することができる。例えば、有機
高分子化合物からなる粒子状の芯体3と微粒子状の粒子
4とをジェット気流によって搬送し、衝突させて製造す
る方法がある。この場合は粒子状の芯体3の表面に粒子
4の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層5を形成す
る。また別の製法例としては、粒子状の芯体3を気体中
に浮遊させ、粒子4の溶液を霧状にしてその表面に噴霧
する方法がある。この場合はその溶液が芯体3の表面に
付着し乾燥することによって表層5が形成される。
【0043】EA粒子(無機・有機複合粒子)2を製造
する特に好ましい製法は、芯体3と同時に表層5を形成
する方法である。この方法は、例えば、芯体3を形成す
る有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で乳化重
合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒子状と
したEA無機物である粒子4を上記モノマー中、または
重合媒体中に存在させるというものである。重合媒体と
しては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒との混合物
を使用することもでき、また有機系の貧溶媒を使用する
こともできる。この方法によれば、重合媒体の中でモノ
マーが重合して芯体粒子3を形成すると同時に、微粒子
状のEA無機物の粒子4が芯体3の表面に層状に配向し
てこれを被覆し、表層5を形成する。
【0044】乳化重合または懸濁重合によってEA粒子
(無機・有機複合粒子)を製造する場合には、モノマー
の疎水性の性質とEA無機物の親水性の性質を組み合わ
せることによって、EA無機物の粒子4の大部分を芯体
3の表面に付着させることができる。この芯体3と表層
5との同時形成方法によれば、有機高分子化合物からな
る芯体3の表面にEA無機物の粒子4が緻密かつ強固に
接着し、堅牢なEA粒子(無機・有機複合粒子)2が形
成される。
【0045】本発明に使用するEA粒子2の形状は必ず
しも球形であることを要しないが、粒子状の芯体3が調
節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場合
は、得られるEA粒子2の形状はほぼ球形となる。EA
粒子2の粒径は特に限定されるものではないが、0.1
μmないし500μm、特に5μmないし200μmの
範囲内とすることが好ましい。この際の微粒子状のEA
無機物である粒子4の粒径は特に限定されるものではな
いが、好ましくは0.005μmないし100μm、さ
らに好ましくは0.01μmないし10μmの範囲内と
する。
【0046】EA粒子(無機・有機複合粒子)2におい
て、表層5を形成するEA無機物である粒子4と芯体3
を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限定される
ものではないが、保存安定性の高いENC流体組成物を
得るためには、EA無機物の粒子4と有機高分子化合物
の芯体3の合計重量に対して粒子4が1重量%ないし6
0重量%の範囲内、特に4重量%ないし30重量%の範
囲内とすることが好ましい。この芯体3の割合が1重量
%未満では、得られたEA粒子2のEA特性が不十分と
なり、60重量%を超えると、EA2粒子の比重が過大
となって保存安定性を損なう惧れがある。また、本発明
のENC流体組成物は、上記のEA粒子2を、必要なら
分散剤、他の成分とともに電気絶縁性媒体中に均一に攪
拌混合して製造することができる。この攪拌機として
は、液状分散媒に固体粒子を分散させるために通常使用
されるものがいずれも使用できる。電気絶縁性媒体中1
におけるEA粒子2の含有率は、特に限定されるもので
はないが、0.5〜75重量%、特に5〜50重量%で
あることが好ましい。その含有率が1%未満では充分な
EA効果が得られず、75%以上では電圧を印加しない
ときのENC流体組成物の初期粘度が過大となって使用
が困難になる。
【0047】上記の各種方法、特に芯体3と表層5とを
同時に形成する方法によって製造されたEA粒子2は、
その表層5の全部または一部分が有機高分子物質や、製
造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添加物質の
薄膜で覆われていて、EA粒子としてのEA効果が充分
に発揮されない場合がある。この不活性物質の薄膜は粒
子表面を研磨することによって容易に除去することがで
きる。従って芯体3と表層5とを同時に形成する場合に
は、その表面を研磨することが好ましい。
【0048】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子であるEA
粒子2を水などの分散媒体中に分散させて、これを攪拌
する方法によって行うことができる。この際、分散媒体
中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒子2と
共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌する
方法などによって行うこともできる。例えばまた、分散
媒体を使用せず、EA粒子2と上記のような研磨材また
は研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うこともでき
る。
【0049】さらに好ましい研磨方法は、EA粒子2を
ジェット気流などによって気流攪拌する方法である。こ
れは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨す
る方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの粒
子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法で
ある。上記のジェット気流攪拌においては、それに用い
られる装置の種類、攪拌速度、EA粒子2の材質などに
より研磨条件を選定する必要があるが、一般的には60
00rpmの攪拌速度で0.5min〜15min程度
ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0050】本発明のENC流体組成物は、上記のEA
粒子2を、必要なら分散剤など他の成分と共に電気絶縁
性媒体1中に均一に攪拌混合し分散させて製造すること
ができる。この攪拌機としては、液状分散媒に固体粒子
を分散させるために通常使用されるものがいずれも使用
できる。
【0051】上記騒音吸収構造は、図1及び図2に示す
ように、走行体検知手段を構成するLED37とPD3
8との間で電車39を検知した際に上記PD38が走行
体検知信号を発信し、この走行体検知信号を可変電源3
6が受信した際に、音波吸収制御装置35に可変電源3
6が電圧を印加する。ここで、電車39には旅客、貨物
等といった種類があり、これら種類によって発生する騒
音の周波数が異なるが、例えば電車39にLED等の光
源を取り付け、この光源の光をPD38で受光するよう
にすれば電車39の種類を検知することが可能となり、
上記可変電源36が電車39の種類に応じて異なる電圧
を音波吸収制御装置35に印加することにより音波吸収
制御装置35の吸音周波数を変更して、発生する騒音を
効率良く低減することができる。また、可変電源36に
電車39の走行速度の計測手段を設ければ、電車39の
走行速度に応じて可変電源36における印加電圧を調整
することができ、騒音の低減を一層効果的に行なうこと
ができる。
【0052】したがって、本発明の鉄道軌道あるいは道
路の騒音吸収構造によれば、音波吸収制御装置35によ
って特定周波数の騒音そのものを効果的に低減するの
で、従来の騒音を反射する構造に比して周囲への騒音の
影響を大幅に低減することができる。
【0053】以下、本発明の鉄道軌道あるいは道路の騒
音吸収構造の第2実施例を図3を参照して説明する。本
実施例は道路への適用例であって、図3に示すように、
走行帯40(走行領域)の両側部に立設した側壁41の
内側面に固定された上記音波吸収制御装置35と同様の
構成の音波吸収制御装置42と、可変電源43(電圧印
加手段)と、側壁41の内側に設置され騒音の高レベル
周波数帯域を検出する騒音検知手段としての高レベル帯
域検出器44とからなる騒音吸収装置45を有する騒音
吸収構造を構成する。
【0054】この騒音吸収構造は、上記高レベル帯域検
出器44で検出した検出信号に基づいて、上記可変電源
43がリアルタイムで音波吸収制御装置42の印加電圧
を変更することにより、常時、高レベル帯域の騒音を吸
収・吸収する。したがって、上記騒音吸収構造によれ
ば、走行帯40を走行する走行体としての自動車46の
種類や交通量の増減に関係無く、高レベル帯域検出器4
4で検出した高レベル帯域の騒音を吸収・制御するので
高い騒音防止効果を得ることができる。本実施例の騒音
吸収装置45は、上記第1実施例の鉄道軌道にも適用す
ることができる。
【0055】なお、上記第2実施例では、走行帯40の
中央分離体に音波吸収制御装置42を取り付けてもよ
く、このようにした場合、騒音の吸収効果を一層向上す
ることができる。高レベル帯域検出器44で検出する騒
音の高レベル帯域は、人体に不快感をおよぼす特定範囲
の周波数帯域に限定してもよい。また、上記各実施例に
おいて、地下やトンネルなどの走行領域上方に閉塞物が
ある場合には、該閉塞物の内面側にも音波吸収制御装置
35、42を設置することにより、一層高い騒音吸収効
果が得られる。この場合、走行体内における騒音が大幅
に低減されて、走行体の居住性も向上することができ
る。
【0056】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、下記の効果を得ることができる。請求項1記載の鉄
道軌道あるいは道路の騒音吸収構造によれば、電圧印加
手段によって音波吸収制御装置を構成するENC流体組
成物に所定値の電圧を印加することにより、音波吸収制
御装置による吸音周波数を変えることができるので、鉄
道軌道あるいは道路を走行する走行体の種類や速度、交
通量等の環境変化によって変動する特定周波数の騒音を
確実に低減させることができ、高い騒音防止効果を得る
ことができる。
【0057】請求項2記載の鉄道軌道あるいは道路の騒
音吸収構造によれば、走行体検知手段で走行体を検知す
ることにより、発生する騒音の周波数を特定して、この
周波数の騒音を音波吸収制御装置で吸収・制御するの
で、高い騒音防止効果を効率良く得ることができる。
【0058】請求項3記載の鉄道軌道あるいは道路の騒
音吸収構造によれば、騒音検知手段で騒音そのものを検
知して、リアルタイムで吸収・制御すべき特定周波数の
騒音を音波吸収制御装置で吸収・制御するので、高い騒
音防止効果を一層効率良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の鉄道軌道あるいは道路の騒音吸収構
造の第1実施例を説明する断面図である。
【図2】 本発明の鉄道軌道あるいは道路の騒音吸収構
造の第1実施例を説明する平面図である。
【図3】 本発明の鉄道軌道あるいは道路の騒音吸収構
造の第2実施例を説明する断面図である。
【図4】 電気感応型音波吸収制御用流体組成物を備え
た音波吸収制御装置(音波制振装置)の断面図である。
【図5】 音波吸収制御装置において、音波が入射され
て鎖状体や一方の電極板が共振している状態を示す断面
図である。
【図6】 本発明に係わる電気感応型音波吸収制御用流
体組成物の一実施例を示す断面図である。
【図7】 本発明に係わる電気感応型音波吸収制御用流
体組成物の電源オフ時の態様を示す断面図である。
【図8】 本発明に係わる電気感応型音波吸収制御用流
体組成物の電源オン時の態様を示す断面図である。
【図9】 音波吸収制御装置に、音波が入射されて一方
の電極板が振動している状態を示す断面図である。
【図10】 電界配列性粒子分散系について電界配列特
性に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示すグラフ
である。
【図11】 振動系の等価回路を示す図である。
【図12】 音波吸収制御装置において、鎖状体の撓み
状態の別な例を示す図である。
【図13】 音波吸収制御装置において、鎖状体が複数
列相互に接合してなるカラムを示す図である。
【図14】 従来の騒音防止構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1…電気絶縁性媒体、2…EA粒子(固体粒子)、13
…可変電源(電圧印加手段)、35…音波吸収制御装
置、36…電圧印加手段(可変電源)、37…走行体検
知手段(発光ダイオード)、38…走行体検知手段(フ
ォトダイオード)、39…走行体(電車)、40…走行
領域(走行帯)、42…音波吸収制御装置、43…電圧
印加手段(可変電源)、44…騒音検知手段(高レベル
帯域検出器)、46…走行体(自動車)、G…走行領
域。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G10K 11/162 G10K 11/16 A (72)発明者 枝村 一弥 東京都港区芝公園2丁目6番15号 藤倉化 成株式会社本社事務所内 (72)発明者 安齊 秀伸 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄道軌道あるいは道路を走行する走行体
    (39、46)の走行領域(G、40)の周囲に、電界
    配列効果を有する固体粒子(2)が電気絶縁性媒体
    (1)中に含有された電気感応型音波吸収制御用流体組
    成物を収容してなる音波吸収制御装置(35、42)が
    設置されてなり、 上記音波吸収制御装置は上記電気感応型音波吸収制御用
    流体組成物に電圧を印加し、かつ印加電圧を調整する電
    圧印加手段(13、36、43)と接続されていること
    を特徴とする鉄道軌道あるいは道路の騒音吸収構造。
  2. 【請求項2】 電圧印加手段に走行体を検知する走行体
    検知手段(37、38)が接続されていることを特徴と
    する請求項1記載の鉄道軌道あるいは道路の騒音吸収構
    造。
  3. 【請求項3】 電圧印加手段に騒音を検知する騒音検知
    手段(44)が接続されていることを特徴とする請求項
    1または2記載の鉄道軌道あるいは道路の騒音吸収構
    造。
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