JPH08189011A - 鉄道軌道あるいは道路の防音壁 - Google Patents

鉄道軌道あるいは道路の防音壁

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JPH08189011A
JPH08189011A JP156895A JP156895A JPH08189011A JP H08189011 A JPH08189011 A JP H08189011A JP 156895 A JP156895 A JP 156895A JP 156895 A JP156895 A JP 156895A JP H08189011 A JPH08189011 A JP H08189011A
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inorganic
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transparent
voltage
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JP156895A
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English (en)
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Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Moritaka Goto
守孝 後藤
Kenji Furuichi
健二 古市
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
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Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電界配列効果を有する電気感応型光機能性流
体組成物への電圧の印加に反応して、光の透過光量を制
御でき、かつ音波吸収制御もできるようにした鉄道軌道
あるいは道路の防音壁を提供する。 【構成】 音波吸収制御装置31を面方向に複数連結形
成してなり、音波吸収制御装置31は、対向配置された
2面の基板27、28の少なくとも相対向する一部を透
明とした中空の収納体20の内部に、電界配列効果を有
する固体粒子2を電気絶縁性媒体1中に含有してなる電
気感応型光機能性流体組成物が収納され、基板27、2
8の内面に形成された一対の透明導電層17、18が防
音壁30の表裏いずれかの面に臨んで配置され、これら
透明導電層17、18間に所望の電圧を印加する電圧印
加手段13を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電界配列効果に基づい
て、透過光量制御と音波吸収制御の両方を行うことがで
きるようにした鉄道軌道あるいは道路の防音壁に関す
る。
【0002】
【従来の技術】鉄道軌道あるいは道路にあっては、騒音
対策として、車両の走行帯の側部に防音壁が設置され
る。例えば、道路の防音壁は、図21に示すように、走
行帯51の両側部に壁状に立設された防音板52によっ
て騒音を反射して特に側方への放射を防止するものが一
般的である。特に市街地にあっては、全線にわたって走
行帯の両側部に防音壁を立設し、騒音を防音板52によ
って囲まれる領域の内側方向に反射するようになってい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記騒
音壁は、騒音の音波は反射されるのみで殆ど減衰されな
いので、道路周辺への騒音の影響を防止する効果として
は不十分であるといった問題が生じていた。すなわち、
特に市街地においては、道路の近傍に高いビル等の建築
物が鉄道軌道に近接して建てられているので、防音板5
2で反射され、道路の上方から放射された騒音が、これ
ら建築物に当たって散乱し、道路の周辺の騒音が相当大
きなものになっていた。また、ビルが建て込んでいる場
所では、ビルの間で騒音が反響して、影響が一層大きい
ものとなっていた。前記問題に鑑みて、防音壁の高さを
高くするなどの対策がとられているが、防音効果には不
満があった。
【0004】また、前記防音板にかえて吸音板を使用し
て騒音を吸収・制御することが考えられるが、従来の吸
音板は吸音周波数が一定であるため、例えば、道路を走
行する車両53の種類や速度に対応して適切な吸音をす
ることができず、騒音防止効果が十分ではなかった。特
に、車両53の種類や速度、道路における交通量の増
減、道路の周辺の諸環境によって騒音の高レベルの周波
数帯域が吸音板の吸音周波数からずれた場合には、この
高レベルの騒音を殆ど吸収・制御することができず、十
分な騒音防止効果が得られないケースも生じていた。前
記問題は、鉄道軌道の騒音についても同様であり、列車
の種類や走行速度に対応して有効な騒音防止効果を得る
ことは困難なものとなっていた。
【0005】また、前記防音板や吸音板は一般に不透明
であるため、鉄道軌道を走行する列車や道路を走行する
車両53内の乗客等に閉塞感を与えるほか、道路を走行
する車両53からは目的地を確認することができないと
いった問題がある。
【0006】ところで、本発明者らは、従来知られてい
ない新規な電界配列特性を有する電気感応型光機能性流
体組成物の研究を行っている。この流体組成物は、例え
ば、電気絶縁性の媒体中に固体粒子を分散させて得られ
る流体であり、これに電界を印加すると固体粒子が誘電
分極を起こし、さらに誘電分極に基づく静電引力によっ
て互いに電場方向に配位連結して整列し、鎖状体構造を
示す性質を持っている。また、固体粒子によっては電気
泳動して配列配向し、配列塊状構造を示す性質を示すも
のもある。このように、電界下における粒子の配列配向
を電界配列効果と呼び、そのような性質を有する固体粒
子を電界配列性粒子と呼ぶこととする。そして本発明者
らは、この新規な構造の電気感応型光機能性流体組成物
の研究を進めることにより本発明に到達した。
【0007】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
であり、この新規な電界配列効果を有する電気感応型光
機能性流体組成物を用いた音波吸収制御装置を利用して
構成し、電圧の印加に反応して、光の透過光量を制御で
き、かつ音波吸収制御もできるようにした鉄道軌道ある
いは道路の防音壁を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の鉄道軌道あるいは道路の防音壁は、版状の
音波吸収制御装置を面方向に連結して形成されてなり、
前記音波吸収制御装置は、間隙をおいて互いに対向して
配置された2面の基板の少なくとも相対向する一部を透
明とした中空の収納体の内部に、電界配列効果を有する
固体粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型
光機能性流体組成物が収納され、前記基板の内面に一対
の透明導電層が形成され、前記各基板が防音壁の表裏い
ずれかの面に臨んで配置され、前記一対の透明導電層間
に所望の電圧を印加する電圧印加手段を備えることを特
徴とするものである。
【0009】
【作用】本発明の鉄道軌道あるいは道路の防音壁におい
て、音波吸収制御装置の2面の基板の少なくとも相対向
する一部を透明とした中空の収納体の内部には、電気感
応型光機能性流体組成物(以下、Electric A
lignment流体組成物を略して「EA流体」と称
する)が満たされている。この収納体の基板の内面に形
成された一対の透明導電層間に電圧が印加されていない
状態では、EA流体中の電界配列効果(以下「EA効
果」と称する)を有する固体粒子(以下「EA粒子」と
称する)は電気絶縁性媒体中に不規則にランダムに浮遊
・分散しており、これらのEA粒子が光を乱反射するた
めに収納体の透明部分は不透明に見える。そして、電圧
印加手段により一対の透明導電層に電圧を印加すると、
EA粒子は鎖状に配列結合して鎖状体(粒子鎖)を形成
し、この鎖状体が電界方向に平行して配列する。すると
平行に配列した鎖状体の間隙を光が透過するようになる
ので、収納体の透明部分は透明に見えるようになる。ま
たこのように電圧を印加した状態で、一方の基板に音波
(空気振動)を入射させると、この基板が2面の基板の
対向方向に振動するが、鎖状体自体が弾性の性質を持っ
ているため、鎖状体は引っ張られる場合には、向かい合
う粒子同士が引き合って引力を、圧縮される場合には、
撓んで反発力をそれぞれ生じ、電気絶縁性媒体中の鎖状
体の運動により粘性抵抗が生じ、これによって音波の持
つエネルギーの損失(散逸)が起こる。
【0010】すなわち、基板に入射した音波に、鎖状体
を含むEA流体と基板とが共振するのである。このよう
な鎖状体に振動を与える音波周波数は、鎖状体の持つ特
性振動数(鎖状体の弾性と基板の慣性とのバランスから
なる、いわゆる固有振動数と推定される)によって定ま
り、その特性振動数と一致した周波数の音波が基板に入
射すると、鎖状体は共振してその音波を吸収・制御し、
他の周波数の音波は反射されることになる。
【0011】各粒子間に働く引力(鎖状体に生じる応
力)は、一対の透明導電層に印加される電圧の増加に伴
って増大することから、鎖状体自体の弾性率と粘性率が
印加電圧の増加に伴って増大することになり、本発明
は、このことを利用して音波吸収・制御を行なうもので
ある。すなわち、印加電圧を調整して、鎖状体自体の特
性振動数を、入射音波(空気振動)のうち除去したい成
分の振動数に一致させることにより、鎖状体を共振(共
鳴)させ、吸音(除去)したい成分のエネルギーを消費
し、その他の成分を反射させるようにすることができ
る。
【0012】図7はEA粒子30wt%分散系について
電界配列特性(以下、「EA特性」と称する)に及ぼす
電界強度の影響を測定した結果を示すグラフである。こ
のグラフから印加電圧が増加するほど鎖状体に働く応力
は増大することが明かである。EA特性は、誘電分極し
た粒子が電気的引力により電場方向に配列し、鎖状構造
を形成することに起因する。低線断速度では、電気的引
力が支配的であるので、鎖状構造の破壊と再形成がゆる
やかに繰り返される。電場方向に並んだ鎖をそれと直角
方向にせん断破壊させるとき発生する力が降伏応力に相
当する。形成されるすべての鎖の粒子が同じ直径をも
ち、直鎖状に並んで導電層間を結んでいると考えると、
鎖の数は粒子濃度に比例するので、降伏応力も粒子濃度
に比例することになる。図8は本発明の振動系の等価回
路を示したものであり、弾性率Kのコイルばね22と粘
性率Cのダッシュポット23が一対の透明導電層間に並
列に接続されている。
【0013】電圧印加手段は、鉄道軌道あるいは道路の
走行帯において騒音が検知された際に、透明導電層間に
電圧を印加して音波吸収制御装置の吸音周波数を騒音の
高レベル周波数帯域と一致させる。こうすることによ
り、音波吸収制御手段の吸音周波数が騒音の高レベル周
波数帯域に追従して変化するので、走行帯を走行する車
両の走行速度や交通量等に対応して、常に、騒音の高レ
ベル周波数帯域を吸音する。また、車両の通行時には、
EA流体に電圧が印加されることにより、光が透過可能
になるので、鉄道軌道あるいは道路を走行する車両から
防音壁の外側を目視可能である。
【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
して詳細に説明する。先ず、上述のEA流体を用いた本
発明の鉄道軌道あるいは道路の防音壁について説明す
る。図1は本発明を道路に適用した一実施例を示したも
ので、(a)は縦断面図、(b)は収納体の部分破断斜
視図である。本実施例の防音壁30は、長方形版状の音
波吸収制御装置31を面方向に複数上下左右に連結して
構築した壁体である。各音波吸収制御装置31は、EA
流体が満たされている収納体20と、この収納体20の
周縁を囲んで設けられた枠体32とで構成されている。
この音波吸収制御装置31は、道路の走行帯33に沿っ
て所定間隔毎に立設された支柱34によって支持されて
いる。
【0015】収納体20は、一対の透明基板27,28
が間隙(組成物収容空間)をおいて対向配置され、これ
ら一対の透明基板の27,28の内面全面にそれぞれ透
明導電層17,18が形成されている。そしてこれら透
明導電層17,18の間に、上述した本発明の、EA効
果を有するEA粒子2を電気絶縁性媒体1中に含有して
なるEA流体が封入されている。また前記一対の透明基
板27,28の周縁および透明導電層17,18の周縁
には、枠状のシール部材15が固着され、これにより組
成物収納空間が密閉されている。符号13は、一対の透
明導電層17,18間に電圧を印加し、かつ印加電圧を
可変とする電源(電圧印加手段)であり、この電源13
にはスイッチ14が直列に接続されている。このスイッ
チ14をオンにすることにより、一対の透明導電層1
7,18間に電圧を印加することができ、また、スイッ
チ14は、走行帯33に面して設置された騒音検知装置
35と接続され、この騒音検知装置35が検知した騒音
の内、高レベルの周波数帯域に対応して印加電圧を増減
できるようになっている。
【0016】前記一対の透明基板27,28のうち、走
行帯33側に配される透明基板27は、音波に対して柔
軟な部材で構成され、例えばPET(ポリエチレンテレ
フタレート)フィルムが好適に用いられる。一方、外側
に配される透明基板28は、各種のガラス基板、アクリ
ル基板などからなる透明樹脂基板等で構成することが好
ましい。なお、透明基板27,28は全体が透明である
必要はなく、光を通過させる部分のみを透明とした構造
としても良い。従って、周縁部のみを不透明の金属枠、
樹脂枠などから構成し、その枠の内部に透明のガラス基
板や樹脂基板を嵌め込んだ構成にしても良い。また、そ
の形状は特に限定されるものではないが、通常、外観矩
形板状あるいは円形板状とされ、勿論、設置する場所に
合わせて適宜の形状とすることができる。
【0017】本実施例の収納体20において、走行帯3
3側の透明基板であるPETフィルム27は、その周縁
が固定されているが、一対の透明基板27,28の対向
方向(矢印Xで示す上下方向)に振動できるように構成
されている。これにより、音波(空気振動)11がPE
Tフィルム27に入射した場合には、PETフィルム2
7はその内面に形成されている透明導電層17とともに
X方向に振動することができるようになっている。
【0018】次に、図3に本発明に係わる電気感応型光
機能性流体組成物(EA流体)の一具体例を示す。この
EA流体は、電気絶縁性媒体1中に固体粒子であるEA
粒子(電界配列性粒子)2が均一に分散されてなってい
る。このEA粒子2は、有機高分子化合物からなる芯体
3と、電界配列性無機物(以下、「EA無機物」と称す
る)である粒子4からなる表層5とによって形成され、
無機・有機複合粒子を形成している。この具体例におい
て、電気絶縁性媒体1は無色透明のシリコーン油であ
り、無機・有機複合粒子の芯体3を形成する有機高分子
化合物はポリアクリル酸エステルであり、表層5を形成
するEA無機物の粒子4は無機イオン交換体でありかつ
電気半導体性無機物でもある白色の水酸化チタンであ
る。このEA粒子(無機・有機複合粒子)の色は例えば
白色である。また、電気絶縁性媒体1中に含まれるEA
粒子2の割合は例えば7.5重量%である。
【0019】このEA流体を、図4に示すように、離間
して平行に配置した一対の導電層7,8の間に介在させ
る。図5に示すように、この一対の導電層7,8に、電
源9からスイッチ10を介して電圧を印加すると、EA
効果によってEA粒子2が導電体7,8の面と直角の方
向に鎖状に配列して鎖状体(粒子鎖)6を形成する。こ
のとき、各鎖状体6は相互に離間して平行に配向する。
【0020】以下、本発明の鉄道軌道あるいは道路の防
音壁に用いられるEA流体について説明する。本発明に
おけるEA流体に用いられる電気絶縁性媒体1として
は、例えば、塩化ジフェニル、セバチン酸ブチル、芳香
族ポリカルボン酸高級アルコールエステル、ハロフェニ
ルアルキルエーテル、トランス油、塩化パラフィン、弗
素系オイル、またはシリコーン系オイルやフルオロシリ
コーン系オイルなど、電気絶縁性及び電気絶縁破壊強度
が高く、化学的に安定でかつEA粒子を安定に分散させ
得るものであればいずれの流体またはこれらの混合物も
使用可能である。この電気絶縁性媒体1は、目的に応じ
て着色することができる。着色する場合は、選択された
電気絶縁性媒体に可溶であってその電気的特性を損なわ
ない種類と量の油溶性染料または分散性染料を用いるこ
とが好ましい。電気絶縁性媒体1には、この他に分散
剤、界面活性剤、粘度調整剤、酸化防止剤、安定剤など
が含まれていてもよい。
【0021】この電気絶縁性媒体1の動粘度は、1cS
tないし30000cStの範囲内であることが好まし
い。動粘度が1cStより小さいと、EA流体の貯蔵安
定性の面で不足を生じ、動粘度が30000cStより
大きいと、EA粒子の均一分散が困難になるとともに、
調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜けにくくなり、
取り扱いに支障を来すので好ましくない。この観点か
ら、動粘度は10cStないし1000cStの範囲
内、特に10cStないし100cStの範囲内である
ことが好ましい。もちろん、電気絶縁性媒体1の動粘度
は、温度により変化し、この温度影響を印加電圧によっ
て抑制することができる。
【0022】本発明に用いられるEA粒子2は、EA効
果を有する無機・有機複合粒子であれば、元素、有機化
合物、または無機化合物、またはそれらの混合物など、
いずれの素材も使用可能である。その例としては例えば
無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気半導
体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、およびこれ
らを表層として有する粒子を挙げることができる。しか
し、このEA粒子2は、前記実施例に示したように、有
機高分子化合物からなる芯体3と、EA無機物の粒子4
からなる表層5とによって形成された無機・有機複合粒
子であることが特に好ましい。この無機・有機複合粒子
は、比較的比重が重いEA無機物の粒子4からなる表層
5が比較的比重の軽い有機高分子化合物である芯体3に
担持されていて、その粒子全体の比重を電気絶縁性媒体
1に対して近似するように調節できる。従ってこれを電
気絶縁性媒体1に分散して得られたEA流体は、貯蔵安
定性に優れたものとなる。
【0023】EA粒子(無機・有機複合粒子)2の芯体
3として使用し得る有機高分子化合物の例としては、ポ
リ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エ
ステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、AB
S樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、アイオノマ
ー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以上の混合
物または共重合物を挙げることができる。
【0024】表層5を形成するEA無機物である粒子4
としては種々のものが用い得るが、好ましい例としては
無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性無機物と
を挙げることができる。これらの粒子4を用いて有機高
分子化合物からなる芯体3の上に表層5を形成すると
き、得られた無機・有機複合粒子は有用なEA粒子2と
なる。
【0025】前記無機イオン交換体の例としては(1)
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0026】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOx(OH)y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、及び水酸化
鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは含水酸
化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、TiO
(OH)2)及び水酸化チタン(別名オルソチタン酸ま
たはαチタン酸、Ti(OH)4)の双方を含むもので
あり、他の化合物についても同様である。
【0027】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどであ
る。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タン及びモリブデン酸錫などである。
【0028】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタ イト、カドミウムアパタイトなどである。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO43のようなも
のが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置換
したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
【0029】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、及びK2O・2.5TiO
2・2H2Oなどである。なお、前記化合物のうち、aま
たはbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数で
ある化合物を酸処理し、KとHとを置換することによっ
て容易に合成される。
【0030】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、及びタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。)これらに
は例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6]及びK2Co
[Fe(CN)6]などの不溶性フェロシアン化合物が
含まれる。
【0031】前記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2)y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を表
す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類に
より異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を示
すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM2
アルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷移
金属または希土類金属等、H+以外の金属イオンのいず
れか任意のものである。OH基を有する無機イオン交換
体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にOH-
であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4など
や錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意
のものである。
【0032】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO43の加熱により得られるHZr2(PO43
ハイドロタルサイトの高温加熱処理物(500〜700
℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イオ
ン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層と
して用いることもできる。なお、前記の無機イオン交換
体として、多価金属の水酸化物、及び多価金属の酸性塩
を用いることが特に好ましい。
【0033】前記EA粒子(無機・有機複合粒子)2の
表層5として使用し得る電気半導体性無機物の例は、電
気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cmの金属
酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオン
交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種に金属
ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの有無に
拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他の支持
体上に電気半導体層として施したものなどである。
【0034】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2 )及びオルソチタン酸(別名αチタン
酸、Ti(OH)4 )を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピング電界配列性無機物:これは前記の
電気半導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げ
るために、アンチモン(Sb)などの金属をER無機物
にドーピングしたものであって、例としてはアンチモン
(Sb)ドーピング酸化錫(SnO2 )などを挙げるこ
とができる。 (N)他の支持体上に電気半導体層としてEA無機物を
施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シリカ、
アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、または
ポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子粒子を
用い、これに電気半導体層としてアンチモン(Sb)ド
ーピング酸化錫(SnO2)を施したものなどを挙げる
ことができる。このように他の支持体上にEA無機物が
施された粒子も、全体としてEA無機物と見なすことが
できる。これらのEA無機物は、1種類だけでなく、2
種類またはそれ以上を同時に表層として用いることもで
きる。
【0035】EA粒子(無機・有機複合粒子)2は、種
々な方法によって製造することができる。例えば、有機
高分子化合物からなる粒子状の芯体3と微粒子状の粒子
4とを、ジェット気流によって搬送し、衝突させて製造
する方法がある。この場合は粒子状の芯体3の表面に粒
子4の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層5を形成
する。また別の製法例としては、粒子状の芯体3を気体
中に浮遊させ、粒子4の溶液を霧状にしてその表面に噴
霧する方法がある。この場合はその溶液が芯体3の表面
に付着し乾燥することによって表層5が形成される。
【0036】EA粒子(無機・有機複合粒子)2を製造
する特に好ましい製法は、芯体3と同時に表層5を形成
する方法である。この方法は、例えば、芯体3を形成す
る有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で乳化重
合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒子状と
したEA無機物である粒子4を前記モノマー中、または
重合媒体中に存在させるというものである。重合媒体と
しては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒との混合物
を使用することもでき、また有機系の貧溶媒を使用する
こともできる。この方法によれば、重合媒体の中でモノ
マーが重合して芯体粒子3を形成すると同時に、微粒子
状のEA無機物の粒子4が芯体3の表面に層状に配向し
てこれを被覆し、表層5を形成する。
【0037】乳化重合または懸濁重合によってEA粒子
(無機・有機複合粒子)2を製造する場合には、モノマ
ーの疎水性の性質とEA無機物の親水性の性質を組み合
わせることによって、EA無機物の粒子4の大部分を芯
体3の表面に付着させることができる。この芯体3と表
層5との同時形成方法によれば、有機高分子化合物から
なる芯体3の表面にEA無機物の粒子4が緻密かつ強固
に接着し、堅牢なEA粒子(無機・有機複合粒子)2が
形成される。
【0038】本発明に使用するEA粒子2の形状は必ず
しも球形であることを要しないが、粒子状の芯体3が調
節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場合
は、得られるEA粒子2の形状はほぼ球形となる。しか
も球形状であれば、透過光量を調節する際に光を全方向
に散乱させることができるので、不定形のものよりも球
形状のものが有利になる。EA粒子2の粒径は特に限定
されるものではないが、0.1μmないし500μm、
特に5μmないし200μmの範囲内とすることが好ま
しい。この際の微粒子状のEA無機物である粒子4の粒
径は特に限定されるものではないが、好ましくは0.0
05μmないし100μm、さらに好ましくは0.01
μmないし10μmの範囲内とする。
【0039】EA粒子(無機・有機複合粒子)2におい
て、表層5を形成するEA無機物である粒子4と芯体3
を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限定される
ものではないが、保存安定性の高いEA流体を得るため
には、EA無機物の粒子4と有機高分子化合物の芯体3
の合計重量に対して粒子4が1重量%ないし60重量%
の範囲内、特に4重量%ないし30重量%の範囲内とす
ることが好ましい。この芯体3の割合が1重量%未満で
は、得られたEA粒子2のEA特性が不十分となり、6
0重量%を超えると、EA2粒子の比重が過大となって
保存安定性を損なう惧れがある。
【0040】これらのEA粒子2の比重は、芯体3に比
較的比重の小さな有機高分子化合物を使用することか
ら、表層5を形成するEA無機物の粒子4の比重と比べ
て、相対的に小さくすることができる。用いる有機高分
子化合物とEA無機物の、種類と比率とによって、EA
粒子2の比重は自在に調整可能であるが、一般的に、用
いる電気絶縁性媒体1との関係から比重1.0〜2.0
程度に調整される。この場合、電気絶縁性媒体1との比
重差が大きいと、媒体中でEA粒子2が重力沈降し、均
一分散ができなくなることもある。
【0041】前記のEA粒子2の表層5または芯体3は
色素を含むものであってもよい。表層5に用いることの
できる色素は顔料である。この顔料は、芯体3上に、前
記の方法によりEA無機物の粒子4からなる表層5を形
成する際、この粒子4に混合して用いて、表層5に含ま
せることが好ましい。芯体3に色素を含ませる場合は、
一般に合成樹脂用として知られている染料または顔料の
いずれも使用可能である。この色素は、予め芯体3を形
成するモノマー中に混合した後にモノマーを重合する
か、または芯体3となる合成樹脂に練り込んで芯体3中
に含ませることができる。表層5または芯体3、または
その双方に色素を含むEA粒子2は、これを用いること
によって、得られたEA流体の電界無負荷時の散乱光を
任意の色に着色することができる。
【0042】また、本発明のEA流体は、前記のEA粒
子2を、必要なら分散剤、他の成分とともに電気絶縁性
媒体1中に均一に攪拌混合して製造することができる。
この攪拌機としては、液状分散媒に固体粒子を分散させ
るために通常使用されるものがいずれも使用できる。本
発明において用いる電気絶縁性媒体1中におけるEA粒
子2の含有率は、特に限定されるものではないが、0.
5〜15重量 %であることが好ましい。その粒子濃度
が0.5重量%未満では充分なEA効果が得られず、1
5重量%以上では粒子濃度が濃すぎて大量のEA粒子2
がEA流体の全体に分散することになるので、後述の如
く電圧が印加されてEA粒子2・・・が配向制御されても
透明感が得られなくなるおそれがある。ただし、用途等
によって透明感が要求されない場合には、前記電気絶縁
性媒体1中におけるEA粒子2の含有率を、0.5〜7
5重量%、好ましくは5〜50重量%とすることができ
る。この含有率が75重量%以上となると、電圧を印加
しないときのEA流体の初期粘度が過大となって使用が
困難となる。
【0043】前記の各種方法、特に芯体3と表層5とを
同時に形成する方法によって製造されたEA粒子2は、
その表層5の全部または一部分が有機高分子物質や、製
造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添加物質の
薄膜で覆われていて、EA性粒子としてのEA効果が充
分に発揮されない場合がある。この不活性物質の薄膜は
粒子表面を研磨することによって容易に除去することが
できる。従って芯体3と表層5とを同時に形成する場合
には、その表面を研磨することが好ましい。
【0044】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子であるEA
粒子2を水などの分散媒体中に分散させて、これを攪拌
する方法によって行うことができる。この際、分散媒体
中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒子2と
共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌する
方法などによって行うこともできる。例えばまた、分散
媒体を使用せず、EA粒子2と前記のような研磨材また
は研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うこともでき
る。
【0045】さらに好ましい研磨方法は、EA粒子2を
ジェット気流などによって気流攪拌する方法である。こ
れは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨す
る方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの粒
子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法で
ある。前記のジェット気流攪拌においては、それに用い
られる装置の種類、攪拌速度、EA粒子2の材質などに
より研磨条件を選定する必要があるが、一般的には60
00rpmの攪拌速度で0.5min〜15min程度
ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0046】本発明の鉄道軌道あるいは道路の防音壁
は、騒音検知装置35によって騒音を検知した際に、ス
イッチ14が騒音の高レベルの周波数帯域を検出してこ
の周波数帯域に対応して、透明導電層17、18間に電
圧を印加する。ここで、スイッチ14が印加する電圧
は、音波吸収制御装置31の吸音周波数を、騒音の高レ
ベル帯域に一致せしめるものであり、検出される高レベ
ル帯域の変動に合わせてリアルタイムに変動する。こう
することにより、走行帯33を走行する自動車の種類や
速度、通行量などによって、常に、効果的な騒音吸収・
制御がなされる。また、風や、道路周囲の建築物の過密
度など外的環境にも対応して、高い防音効果を発揮する
ことができる。電圧印加時にはEA粒子2が配向される
ので音波吸収制御装置31が透明であり、走行帯33を
走行する車両Cから外の風景等を見ることができ、走行
帯33から遠方にある目的物を発見することも、防音壁
30が無い場合と比較して変わりなく行なうことができ
る。なお、騒音検知装置35において騒音が検知されな
い時には、スイッチ14が印加する電圧は、収納体20
内のEA流体の透明を維持可能な一定の基準値である。
【0047】ここで、騒音が検知されていない時に、ス
イッチ14が印加する電圧をゼロにしておくことも可能
である。この場合、騒音の検知前には、EA流体のEA
粒子2は電気絶縁性媒体1中にランダムに浮遊・不規則
に分散している(図4参照)。この状態では、光はEA
粒子の存在により種々の方向に散乱されるので、収納体
20は不透明な曇ガラス状に見える。例えば、EA無機
物の粒子4として水酸化チタン系のものを用いた場合
は、白濁した色調となる。また、EA粒子2の表層5と
芯体3のいずれか、または両方に色素が含有されている
場合は、収納体20は、前記色素によって着色されてみ
える。ここで、EA粒子2が球形状であれば、光の散乱
が全方向になされるので、特定の方向に光が収束された
りするおそれが少ない。
【0048】次に、騒音検知装置35における騒音の検
知に基づいて、透明導電層17,18に電圧を印加する
と、EA流体中のEA粒子2が鎖状に配列結合して鎖状
体(粒子鎖)6を形成して、この鎖状体6が電界方向に
平行して配列する(図5参照)。即ち、電気絶縁性媒体
1中に分散されたEA粒子2の割合は前述した如く10
重量%前後以下の量であって全体としては少ないので、
これらが配向して鎖状体6を構成すると、鎖状体6どう
しの間にはEA粒子2の直径よりもかなり広い間隔があ
くことになる。これにより収納体20の厚さ方向に入射
された光は、ほとんど減衰することなく収納体20を通
過する。従って収納体20は透明状態となる。再び騒音
が検知されない状態になれば、電圧の印加がオフになっ
て、音波吸収制御装置31が再び不透明な状態になる。
【0049】騒音の検知時以外には印加電圧をオフにし
て音波吸収制御装置31を不透明にしておけば、節電に
なるほか、例えば、道路の路肩に歩道や駐車場が設置さ
れている場合では、車両C通行時以外の電圧印加を停止
するようにすれば、夏季の日光の直射が阻止されるの
で、歩道や駐車場の多目的な利用にも好適である。
【0050】さらに、本発明の音波吸収制御装置31の
透過光量制御に関しては、0.1〜5.0kV/mmの電
圧で、高々数mA/m2 という極めて少ない電流で作動
できる。また、収納体20の透明導電層17,18に電
圧を印加すると同時にEA粒子2を配列させることがで
きるので、充分な応答性が得られる。また、EA流体に
よる透過光量制御を行なうならば、特定の周波数の光を
吸収することなく全波長域で均一に透過光量の制御がで
きるので、光吸収に起因する発熱などのおそれがなく、
エネルギー的無駄もない。
【0051】さらにまた、一度電圧が印加されてEA粒
子2・・・が配向されると、EA粒子2・・・は電圧を切って
もしばらくの間その状態を維持することができる。な
お、電圧を印加しない状態のEA粒子2の配向状態の維
持時間は、EA粒子2の種類と、EA粒子2を分散させ
ている電気絶縁性媒体1の動粘度に応じて適宜調節する
ことができる。即ち、電気絶縁性媒体1の動粘度を低く
すれば維持時間を短縮することができ、動粘度を高くす
れば維持時間を長くすることができる。
【0052】ところで、前記EA粒子2の粒径を前述し
た如く0.1μmないし500μmの範囲、好ましく
は、5μmないし200μmの範囲としたのは、本発明
のEA粒子2が、光散乱型粒子あるいは光反射型粒子と
しての機能を有することに起因している。周知の如く可
視光の波長は380〜780nm、即ち、0.38〜0.
78μmであるので、この程度の波長の光を散乱あるい
は反射させて前記の透過光制御を行うには、前記EA粒
子2の粒径を最低でも0.1μm以上、好ましくは5μ
m以上とすることが必要になる。これに対し、ブラウン
運動を起こすような可視光の波長よりも小さな粒径、例
えば、5nm〜数10nm(=0.005〜0.02μ
m)程度の誘電性の超微粒子を電気絶縁性媒体中に分散
させた場合、電界によりこの超微粒子を配向させ得るこ
とも考えられるが、その場合の光透過機構は前記の本発
明の例とは全く異なり、無電界時に超微粒子が分散して
光を完全に透過させ、電界印加時に超微粒子が配向して
光を散乱させて減衰することになり、全く異なった挙動
を示すことになるので好ましくない。
【0053】次に、前記のような超微粒子で誘電性を示
すものとしてTiBaO4の超微粒子を考えることがで
きるが、TiBaO4は、比重が4〜6の範囲の物質で
あり、重いので、仮にTiBaO4粒子を光反射型にす
る目的でその粒径を大きくしようとしても、電気絶縁性
媒体中で媒体との比重差により重力沈降するようにな
り、均一分散させることは到底できない。また、前記T
iBaO4粒子を電気絶縁性 媒体中に均一に分散させる
ためには、比重の大きな電気絶縁性媒体が要求される
が、比重4〜6程度の電気絶縁性媒体は存在しない。こ
れに対して本発明のEA粒子2は、前述のように芯体3
が有機高分子化合物からなり、表層5がEA無機物の粒
子4からなるものであるので、その比重を1.2前後に
容易に調整することができ、一般に知られる多種類の電
気絶縁性媒体1を利用することができる。
【0054】次に、着色性の面から見ると、前記超微粒
子に着色することは困難であり、また、仮に着色できた
としても、粒子径が小さすぎるので、電気絶縁性媒体に
分散させた超微粒子の色を知覚可能なように発色させる
ことはできない。従って前記超微粒子を用いた場合は、
電気絶縁性媒体の色のみを発現させることができ、着色
パターンは1つのみしか実現できない。例えば、赤色透
明と赤色不透明との間での変化のみが実現可能となる。
これに対して本発明によれば、電気絶縁性媒体1を赤色
透明、EA粒子2を白色とした場合に、白濁不透明〜赤
色透明の変色を実現でき、電気絶縁性媒体1を無色透
明、EA粒子2を青色とした場合に、青色不透明〜無色
透明の変色を実現でき、電気絶縁性媒体1を赤色、EA
粒子2を青色とした場合に、紫不透明〜赤色透明の変色
を実現でき、電気絶縁性媒体1を薄青色、EA粒子2を
黄色にした場合に黄緑色不透明〜薄青色透明を実現でき
る。また、着色する部分を見ても、EA粒子2の芯体3
と表層5と電気絶縁性媒体1のいずれにも着色すること
ができ、着色バリエーションを容易に付けることができ
る。なお、EA粒子2の芯体3の表面はEA無機物の粒
子4で覆われているが、この粒子4どうしの隙間から色
が漏れるので、芯体3に着色した場合の色もEA流体の
色に有効に反映される。
【0055】また、EA粒子2の表層5に対して着色す
るには、EA粒子2を製造する場合に用いるEA無機物
の粒子4の中に必要数量の着色無機顔料を混ぜて均一に
混合し、これを用いて前述した方法でEA粒子2を製造
すれば良い。このようにして製造したEA粒子2は、例
えば、図11に示すように、芯体3の周囲に付着されて
いるEA無機物の粒子4の中の一部が着色無機顔料44
で置換された構造を有するようになる。これによって、
EA粒子2に着色することができる。
【0056】電気絶縁性媒体1やEA粒子2に着色した
場合には、音波吸収制御装置31は電圧印加時に有色透
明である。このようにすることにより、例えば、明け方
や夕方に走行帯33を走行する車両Cの走行方向前方に
太陽がある場合であっても、太陽光線を緩和することが
できる半面、自動車の運転席上部に取り付けられている
太陽光線の直射防止用プレートを使用する必要が無く視
野を狭くしないので、良好な視界を確保することができ
る。また、印加電圧の強度によって音波吸収制御装置3
1の色調が異なる場合には、この色調を判別することに
より、車両C通行量を知ることも可能になる。
【0057】次に、図1に示した鉄道軌道あるいは道路
の防音壁30における騒音吸収・制御を説明する。上述
したように、音波吸収制御装置31を構成する収納体2
0の透明導電層17,18に電圧を印加すると、EA流
体中のEA粒子2が鎖状に配列結合して鎖状体(粒子
鎖)6を形成し、この鎖状体6が電界方向に平行して配
列する(図5参照)。このように電圧を印加した状態
で、走行帯33側の透明基板(PETフィルム)27に
音波(空気振動)11を入射させると、図6の(a),
(b),(c)および(d)の状態が順次起こって、こ
の透明基板27がその内面の透明導電層17とともに矢
印X(図1および図2参照)で示すように対向方向に振
動するが、鎖状体6自体が弾性の性質を持っているた
め、図6の(b)に示すように、鎖状体6は、圧縮され
る場合には、例えば「く」の字状に撓んで反発力を生
じ、図6の(d)に示すように、鎖状体6は、引っ張ら
れる場合には、向かい合うEA粒子2同士が引き合って
引力を生じる。これにより、EA流体中での鎖状体6の
運動により、粘性抵抗が生じ、音波11の持つエネルギ
ーの損失(散逸)が起こる。
【0058】そして、透明基板27の振動にともなっ
て、鎖状体6の引っ張りと圧縮が繰り返されるものであ
り、この結果、鎖状体6自身も振動することになる。す
なわち、透明基板27に入射した音波11に、鎖状体6
を含むEA流体と、透明基板27および透明導電層17
からなる積層体とが共振するのである。このような鎖状
体6に振動を与える音波周波数は、鎖状体6の持つ特性
振動数によって定まり、その特性振動数と一致した周波
数の音波11が透明基板27に入射すると、鎖状体6は
共振して(図2中矢印A,B参照)その音波を吸収・制
御し、他の周波数の音波12は反射されることになる。
【0059】ここで、各EA粒子2間に働く力(鎖状体
6に生じる応力)は一対の透明導電層17,18に印加
される電圧の増加に伴って増大することから、鎖状体6
自体の弾性率と粘性率が印加電圧の増加に伴って増大す
ることになる。本発明は、このことを利用して音波の所
望の成分を除去するものである。すなわち、印加電圧を
調整して、粒子鎖6自体の特性振動数を、透明基板27
に入射した音波(空気振動)のうち除去したい成分(特
定波長の音波)の振動数に一致させることにより、図2
に示すように、鎖状体6を慣性力の作用により左右矢印
A,Bで示すように共振(共鳴)させ、入射音波11の
除去したい成分のエネルギーを消費し、その他の音波成
分(符号12で示す)を反射させるものである。このよ
うに、印加電圧により、入射音波の所望の特定波長の成
分を吸収できる。
【0060】本発明の音波吸収制御装置31の特性周波
数は、EA粒子(固体粒子)2の大きさ、EA粒子2間
に働く弾性力、また透明基板27の固有振動数および透
明基板27,28間の距離等により変化する。本発明で
は、電気絶縁性媒体1中に粒径がほぼ均一な球形状のE
A粒子2が分散されたものであるので(不定形粒子を用
いない)、一定電圧下では上述した反発力や引力が変動
せず、しかも、EA粒子2間に働く弾性力と透明基板2
7の慣性力のバランスにも変動が生じにくい。前記実施
例においては、鎖状体6は「く」の字状に撓むものとさ
れているが、この他に、例えば図9の(a)に示すよう
なS字型、あるいは図9の(b)に示すようなW字型に
撓む場合もあると考えられる。
【0061】また、前記実施例においては、電界の印加
によってEA粒子(無機・有機複合粒子)2が1列の鎖
状体6を形成して平行に配列する現象について説明した
が、EA粒子2の数が数重量%を越えて多くなると、1
列の鎖状体6ではなく、鎖状体6が複数列相互に接合し
て、図10の(a)の如くカラム19を構成して配列す
るようになる。このカラム19においては左右の鎖状体
のEA粒子2は1つずつずれて互い違いに隣接する。こ
れについて本発明者らは、図10の(b)に示すごと
く、+極部分と−極部分に誘電分極しているEA粒子2
が互い違いに隣接して+極部分と−極部分とが引き合っ
て配列した方がエネルギー的に安定なためであると推定
している。従って、EA粒子2の含有量が多い場合は、
多数のカラム19が透明導電層17,18の間に形成さ
れることになり、このカラム19の生成により透過光量
を増大させる機構が作用する。この場合、多量のEA粒
子2が複数のカラム19にまとまるので、隣接するカラ
ム19どうしの間隔は大きくあくことになり、透過光量
の増大機能は顕著になる。
【0062】以下、実施例を示し、本発明の効果を明ら
かにする。 (実施例)ガラス28の一面にITO(インジウム錫酸
化物)膜からなる透明導電層18を被覆して、厚さ1.
0mmのITOガラスを製造した。一方、PETフィル
ム27とITO膜からなる透明導電層17とを積層し
た。これらを、各々の透明導電層17,18どうしを向
き合わせた状態で2mmの間隔で平行に対向させ、周縁
部を樹脂製のシール部材15でシールした。予めシール
部材15の一部に注入孔を形成しておき、ここから液状
のEA流体を注入した後に、注入孔を塞いで収納体20
を作製した。この収納体20の周縁に枠体32を取り付
けて図1に示す防音壁30を構成した。
【0063】ここで、用いたEA流体の製造工程を以下
に説明する。まず、水酸化チタン(一般名;含水酸化チ
タン、石原産業株式会社製、C−II)、アクリル酸ブ
チル、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート及
び重合開始剤の混合物を、第三リン酸カルシウムを分散
安定化剤として含有する水中に分散し、60℃で1時間
攪拌下に懸濁重合を行った。得られた生成物を濾過、酸
洗浄し、さらに水洗後、乾燥してEA粒子2を得た。前
記で得られたEA粒子2をジェット気流攪拌機(株式会
社奈良機械製作所製ハイブリダイザー)を用いてジェッ
ト気流攪拌し、表面研磨してなるEA粒子2を得た。こ
のものの比重は1.157、平均粒径は13.7μmで
あった。前記EA粒子2を、種々の動粘度のシリコーン
油(東芝シリコーン株式会社製、TSF451シリー
ズ)中に、その含有率が種々の重量%となるように均一
に分散し、シリコーン油の動粘度が一定で種々の粒子濃
度のEA流体と、粒子濃度が一定で種々の動粘度のシリ
コーン油を電気絶縁性媒体1としたEA流体を得た。
【0064】前記種々のEA流体を用いて、電圧を印加
した際の透過光の変化を調べる実験を行った。その結果
を図12〜図16に示す。実験は、収納体20に入射し
た光の強度と収納体20を通過した光の強度をそれぞれ
光センサで検出し、それぞれを比較した結果を増加光と
してdBm表示することで行った。この場合、3.2d
Bmの増加が生じると光パワーで2.09倍の増加を意
味し、4.2dBmの増加が生じると光パワーで2.63
倍の増加を意味する。
【0065】図12はシリコーン油(ベースオイル)の
動粘度が10cStの場合において、EA粒子濃度と印
加電界をパラメータにとった際の増加光を測定した結果
を示す。同様に、図13はシリコーン油の動粘度が50
cStの場合の同様な試験結果、図14はシリコーン油
の動粘度が100cStの場合の同様な試験結果を示
す。図12〜図14に示す結果から、0.5〜15重量
%のEA粒子濃度において電圧の印加に対して増加光が
得られた。また0.25〜1.5kV/mmの範囲で印
加電界が大きくなるにつれて増加光のdBm値が増加し
ている。従って本発明を実施することで透過光量の制御
を行うことができることが実証できた。次に、EA粒子
濃度が1.0重量%では印加電界を3kV/mmとして
も増加光の割合は少ない。よって、EA粒子濃度を2.
5重量%以上とすることが好ましいことが判明した。
【0066】次に図15と図16は、EA粒子濃度を
5.0重量%に固定した場合において、シリコーン油の
動粘度と印加電界をパラメータにとって増加光を測定し
た試験の結果と、同様な試験でEA粒子濃度を7.5重
量%とした場合の試験結果を示し ている。図15と図
16に示す結果から、いずれの動粘度のシリコーン油に
おいても電圧の印加に応じて増加光が得られ、0. 5〜
3kV/mmの範囲で印加電界が大きくなるにつれて増
加光のdBm値が増加していることが判明した。従って
本発明を実施することで透過光量の制御を行えることが
実証できるとともに、印加電界は0.25〜1.5kV/
mmの範囲内で大きい方がより大きな増加光が得られる
ことが判明した。
【0067】次に表1と表2は、動粘度50cStのシ
リコーン油(ベースオイル)を用い、EA粒子2の濃度
を5.0重量%とした場合に得られた増加光に ついて、
透過光の波長毎に調査した結果を示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】表1と表2に示す結果から、1.5kV/
mmの電界を印加した時には無電界時に比べて平均4.
2dBm程度の増加光が得られ、しかも400〜110
0nmの広い波長域においてほぼ均一な増加光が得られ
ることが認められた。よって、本発明により、広範な光
波長域についても同様に透過光量の制御が行なえること
が明らかになった。なお、通常、可視光の波長域は48
0〜780nmとされているので、可視光の波長のほぼ
全域と、それよりも波長の長い赤外線領域において、本
発明の防音壁30は透過光量の制御を行なえることが認
められた。
【0071】図17は、動粘度10cStのシリコーン
油に7重量%のEA粒子2を分散させたEA流体を用い
た場合において、透明導電層17,18への通電時間と
透過光量の変化割合の関係を示すものである。透過光量
の測定は、EA流体を満たした収納体20の上方の光源
から光を投入し、収納体20の下方に光センサを設置
し、この光センサが受けた光を波長毎に分析したもので
ある。この図から明らかなように、通電開始から約1秒
後に透過光量が増大し始め、3〜4秒で透過光量が最大
になって安定することが明らかである。
【0072】図18は、動粘度10cStのシリコーン
油に対し、青色に着色したEA粒子2を4重量%添加し
たEA流体を用いて透過光量測定を行った場合の透過光
量の周波数依存性を示す。EA粒子2の着色は、EA粒
子2を製造する際にその表層5を構成するEA無機物の
粒子4の20重量%を青色の顔料に置換することで行っ
た。この図において、E=0kVで示される曲線は、無
電界時の透過光量を示し、E=2kVで示される曲線
は、2kVの電位を電極に印加した際の透過光量を示
す。図18に示された両曲線の比較により明らかなよう
に、無電界時に波長の短い青色系の光を多く透過させた
青色系のEA流体が、電界付加時に広い波長域で広く光
を透過させるように変化しており、青色から無色透明に
変化したことが認められる。
【0073】図19は、青色の染料を0.1重量%添加
したジメチルシリコーン油の電気絶縁性媒体1を用い、
この電気絶縁性媒体1のみ(EA粒子2を含まないも
の)の過光量測定を行った場合の透過光量の周波数依存
性を説明するためのものである。なお、この電気絶縁性
媒体1は肉眼では薄い青色に見える媒体である。図19
において、光源スペクトルと媒体スペクトルを比較して
明らかなように、短波長の青色を示すスペクトル以外の
部分で光の吸収がなされていることが明らかであり、こ
のことから電気絶縁性媒体1は青色を多く透過している
ので、電気絶縁性媒体1が青色になっていることが明ら
かである。
【0074】図20は、青色の染料を0.1重量%添加
したジメチルシリコーン油を電気絶縁性媒体1に用い、
それに対して黄色に着色したEA粒子2を5重量%分散
させてEA流体を形成し、これを用いて透過光量測定を
行った場合の透過光量の周波数依存性を説明するための
ものである。EA粒子2を着色する際に用いた手段は前
記の例と同等であり、今回は黄色の顔料を用いた。図2
0は光源スペクトルとE=0kV/mmの場合の透過光
スペクトルとE=1kV/mmの場合の透過光スペクト
ルをそれぞれ示す。この図から、無電界時に青色と黄色
の混合色の黄緑色不透明であったものが、電界印加時に
無色透明に近い青色透明状態に変化したことがわかる。
以上のことから、本発明によれば、種々のバリエーショ
ンの色をEA流体に付けることができ、その色をそれと
は異なった色の透明状態または同じ色の透明状態あるい
は無色透明状態に変更できることが明らかになった。
【0075】なお、本発明の鉄道軌道あるいは道路の防
音壁は鉄道軌道に適用してもよい。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、版
状の音波吸収制御装置を面方向に連結して形成されてな
り、前記音波吸収制御装置は、間隙をおいて互いに対向
して配置された2面の基板の少なくとも相対向する一部
を透明とした中空の収納体の内部に、EA効果を有する
EA粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなるEA流体が
収納され、前記基板の内面に一対の透明導電層が形成さ
れ、前記各基板が防音壁の表裏いずれかの面に臨んで配
置され、前記一対の透明導電層間に所望の電圧を印加す
る電圧印加手段を備え、騒音を検知した際に、電圧印加
手段が騒音の高レベルの周波数帯域に対応して透明導電
層間に電圧を印加するので、走行帯を走行する車両の種
類や速度、通行量、風、道路周囲の建築物の過密度など
の要因に対応して、高い防音効果を発揮することができ
るとともに、電圧印加時にはEA粒子が配向されて音波
吸収制御装置が透明であり、走行帯を走行する車両から
外の風景等を見ることができ、道路外方にある目的物の
発見等に支障を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の鉄道軌道あるいは道路の防音壁の一
実施例を示すもので(a)は縦断面図、(b)は部分破
断斜視図である。
【図2】 本発明の鉄道軌道あるいは道路の防音壁にお
いて、音波が入射されて鎖状体や一方の基板が共振して
いる状態を示す断面図である。
【図3】 本発明に係わる電気感応型光機能性流体組成
物の一実施例を示す断面図である。
【図4】 本発明に係わる電気感応型光機能性流体組成
物の電源オフ時の態様を示す断面図である。
【図5】 本発明に係わる電気感応型光機能性流体組成
物の電源オン時の態様を示す断面図である。
【図6】 本発明の音波吸収制御装置に、音波が入射さ
れて一方の基板が振動している状態を示す断面図であ
る。
【図7】 電界配列性粒子分散系について電界配列特性
に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示すグラフで
ある。
【図8】 振動系の等価回路を示す図である。
【図9】 本発明の音波吸収制御装置において、鎖状体
の撓み状態の別な例を示す図である。
【図10】 本発明の音波吸収制御装置において、鎖状
体が複数列相互に接合してなるカラムを示す図である。
【図11】 本発明に係わる、表層に着色が施された電
界配列性粒子の例を示す断面図である。
【図12】 本発明において、10cStの動粘度の電
気絶縁性媒体を用いた場合の光透過性を粒子濃度と印加
電界をパラメーターにとって示した図である。
【図13】 本発明において、50cStの動粘度の電
気絶縁性媒体を用いた場合の光透過性を粒子濃度と印加
電界をパラメーターにとって示した図である。
【図14】 本発明において、100cStの動粘度の
電気絶縁性媒体を用いた場合の光透過性を粒子濃度と印
加電界をパラメーターにとって示した図である。
【図15】 本発明において、粒子濃度5.0重量%の
無機・有機複合粒子を用いた場合の光透過性を印加電界
と電気絶縁性媒体の動粘度をパラメーターにとって示し
た図である。
【図16】 本発明において、粒子濃度7.5重量%の
無機・有機複合粒子を用いた場合の光透過性を印加電界
と電気絶縁性媒体の動粘度をパラメーターにとって示し
た図である。
【図17】 本発明において、動粘度10cStのシリ
コーン油に7重量%の無機・有機複合粒子を分散させた
電気感応型光機能性流体組成物を用いた場合の、電極へ
の通電時間と透過光量の変化割合の関係を示した図であ
る。
【図18】 本発明において、動粘度10cStのシリ
コーン油に対し、青色に着色した無機・有機複合粒子を
4重量%添加した電気感応型光機能性流体組成物を用い
て透過光量測定を行った場合の透過光量の周波数依存性
を示した図である。
【図19】 本発明において、青色の染料を0.1重量
%添加したジメチルシリコーン油の電気絶縁性媒体を用
い、この電気絶縁性媒体のみの過光量測定を行った場合
の透過光量の周波数依存性を示した図である。
【図20】 本発明において、光源スペクトルとE=0
kV/mmの場合の透過光スペクトルとE=1kV/m
mの場合の透過光スペクトルとを示した図である。
【図21】 従来の防音壁を示す断面図である。
【符号の説明】
1…電気絶縁性媒体、2…電界配列性粒子(EA粒子、
固体粒子、無機・有機複合粒子)、3…芯体(有機高分
子化合物)、4…粒子(電界配列性無機物の粒子)、5
…表層、6…鎖状体(粒子鎖)、11…入射音波、12
…反射音波、13…電源(電圧印加手段)、14…スイ
ッチ、15…シール部材、17,18…透明導電層、2
0…収納体、27…透明基板(PETフィルム)、28
…透明基板、30…防音壁、31…音波吸収制御装置、
33…走行帯、C…車両
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 守孝 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 古市 健二 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄道軌道あるいは道路において車両
    (C)の走行帯(33)側部に立設される防音壁(3
    0)であって、 版状の音波吸収制御装置(31)を面方向に連結して形
    成されてなり、 前記音波吸収制御装置は、間隙をおいて互いに対向して
    配置された2面の基板(27、28)の少なくとも相対
    向する一部を透明とした中空の収納体(20)の内部
    に、電界配列効果を有する固体粒子(2)を電気絶縁性
    媒体(1)中に含有してなる電気感応型光機能性流体組
    成物が収納され、 前記基板の内面に一対の透明導電層(17、18)が形
    成され、前記各基板が防音壁の表裏いずれかの面に臨ん
    で配置され、 前記一対の透明導電層間に所望の電圧を印加する電圧印
    加手段(13)を備えることを特徴とする鉄道軌道ある
    いは道路の防音壁。
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