JPH08127293A - 車両用音波吸収制御装置およびこれを備えた車両と車両用音波吸収制御方法 - Google Patents

車両用音波吸収制御装置およびこれを備えた車両と車両用音波吸収制御方法

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JPH08127293A
JPH08127293A JP6267884A JP26788494A JPH08127293A JP H08127293 A JPH08127293 A JP H08127293A JP 6267884 A JP6267884 A JP 6267884A JP 26788494 A JP26788494 A JP 26788494A JP H08127293 A JPH08127293 A JP H08127293A
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wave absorption
vehicle
sound wave
absorption control
particles
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JP6267884A
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English (en)
Inventor
Kenji Furuichi
健二 古市
Moritaka Goto
守孝 後藤
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
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Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 印加される電圧によって特定振動数を変更で
きる電気感応型音波吸収制御用流体組成物を備えた車両
用音波吸収制御装置および制御方法を提供する。 【構成】 電界配列効果を有する固体粒子を電気絶縁性
媒体に含有してなる電気感応型音波吸収制御用流体組成
物40と、隙間をあけて互いに対向して設けられ、前記
電気感応型音波吸収制御用流体組成物40を収容した一
対の電極板3、4と、前記電極板3、4に所望の電圧を
印加できる可変電源6または固定電源とからなる車両用
音波吸収制御装置10。そして、前記電極板3、4に所
望の電圧を印加して前記固体粒子を配列させ、特定周波
数の音波を吸収させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電界配列効果に基づい
て特性振動数を制御することのできる電気感応型音波吸
収制御用流体組成物を備えた車両用音波吸収制御装置お
よびこれを具備した車両と車両用音波吸収制御方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】車内にはエンジンルームから漏れてくる
音、外部から侵入してくる音、オーディオシステムから
流れてくる音、話声など、多種多様な音が混在している
ことが多く、場合によってはこれらの音が騒音となり、
車内の環境の快適さが低下するなどの問題が生じてい
た。そこで、従来より、車内の騒音を低減させるべく、
車内に各種の音波吸収材を付設することがなされてい
る。前記音波吸収材としては、ポリウレタン、ポリプロ
ピレン、ポリスチレンなどの樹脂発泡体をビニールレザ
ー、ビニールシート、織布などで被覆した内張り材や、
ハニカム部材などが挙げられる。これらの音波吸収材
は、車内占有面積が小であり、かつ、比較的軽いなどの
利点を有しているため、車内に取り付ける音波吸収材と
しては好適である。よって、前記音波吸収材を車内、特
に車両の天井部に貼設することが、車内の騒音緩和手段
となっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の音波吸
収材は、その材質により固有振動数が一定であるため、
その固有振動数と一致する成分の音波しか吸収(除去)
できず、吸収しようとする音波の成分を変更する場合
は、その音波の振動数に対応して音波吸収材を異なる材
質のものに交換する必要がある。よって、多種多様の音
が混在している車内用として用いるには、固有周波数の
異なる音波吸収材を複数種類用意しておき、吸収すべき
音波成分の振動数に対応して、所定の音波吸収材を選択
して用いる必要があるため、結果的に、吸音装置のコス
トが嵩んだり、取扱いが煩雑になったりして、信頼性が
低くなるという問題点があった。
【0004】ところで、本発明者らは、従来知られてい
ない新規な電界配列特性(EA特性と略す)を有する電
気感応型音波吸収制御用流体組成物(以下、Elect
ric Noise−Control流体組成物を略し
て「ENC流体組成物」と称す)の研究を行っている。
このENC流体組成物は、例えば、電気絶縁性媒体中に
固体粒子を分散させて得られる流体であり、これに電圧
を印加すると固体粒子が誘電分極を起こし、さらに誘電
分極に基づく静電引力によって互いに電場方向に配位連
結して整列し、鎖状体構造を示す性質を持っている。ま
た、固体粒子によっては電気泳動して配列し、配列塊状
構造を示す性質を示すものもある。このように、電界下
における粒子の配列を電界配列効果(以下、Elect
ric Alignment効果を略して「EA効果」
と称す)と呼び、そのような性質を有する固体粒子を電
界配列性粒子(以下、EA粒子と略す)と呼ぶこととす
る。そして本発明者らは、この新規な構造のENC流体
組成物の研究を進めることにより本発明に到達した。
【0005】本発明は、上記従来技術の有する問題点に
鑑みてなされたものであり、EA効果を有し、印加され
る電圧によって特性振動数を変更できるENC流体組成
物を備えた車両用音波吸収制御装置とこれを具備した車
両、および車両用音波吸収制御方法を提供することによ
って上記の問題点を解決することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的は、車両の天
井部に設けられた車両用音波吸収制御装置であって、E
NC流体組成物と、隙間をあけて互いに対向して設けら
れ、かつ前記隙間に前記ENC流体組成物を収容した一
対の電極板と、前記一対の電極板間に所望の電圧を印加
する可変電源または固定電源とを具備してなる車両用音
波吸収制御装置によって達成できる。さらに、前記一対
の電極板間に形成された隙間に、前記ENC流体組成物
を含浸した多孔質体が収容された車両用音波吸収制御装
置によっても達成できる。
【0007】また、前記固体粒子は、有機高分子化合物
からなる芯体と、EA効果を有する無機物である電界配
列性無機物(以下、EA無機物を略す)を含む表層とに
よって形成された無機・有機複合粒子である。さらに、
前記EA無機物は、無機イオン交換体、シリカゲルおよ
び電気半導体性無機物からなる群から選ばれた少なくと
も一種である。そして、前記電気絶縁体媒体中の前記固
体粒子の濃度は、0.5〜75重量%の範囲とされてい
る。
【0008】EA無機物が無機イオン交換体である場
合、この無機イオン交換体は、多価金属の水酸化物、ハ
イドロタルサイト類、多価金属の酸性塩、ヒドロキシア
パタイト、ナシコン型化合物、粘土鉱物、チタン酸カリ
ウム類、ヘテロポリ酸塩および不溶性フェロシアン化物
からなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好
ましい。
【0009】また、EA無機物が電気半導体性無機物で
ある場合、この電気半導体性無機物は、室温にて103
Ω-1cm-1ないし10-11Ω-1cm-1の範囲内の電気伝
導度を有するものであることが好ましい。この電気半導
体性無機物は、金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化水
酸化物、無機イオン交換体、これらの少なくともいずれ
か1種に金属ドーピングを施したもの、および金属ドー
ピングの有無に拘らず、これらの少なくともいずれか1
種を他の支持体上に電気半導体層として施したものから
なる群から選ばれた少なくとも1種であることが好まし
い。
【0010】本発明の車両用音波吸収制御方法は、EN
C流体組成物に電圧を印加して、前記EA粒子の粒子鎖
を形成するものである。また、可変電源により、前記印
加電圧を適宜調整してもよい。また、予め最適電圧が調
整された固定電源にて所定の電圧を印加してもよい。さ
らに、前記電極板間にENC流体組成物を含浸した多孔
質体を設けてもよい。 また、遮音効果に優れた車両を
製造するには、前記車両用音波吸収制御装置を車内の天
井部に取り付けることが好ましい。
【0011】
【作用】本発明の車両用音波吸収制御装置において、一
対の電極板間に電圧が印加されていない状態では、EN
C流体組成物中のEA粒子は、電気絶縁性媒体中にラン
ダムに浮遊・分散している。可変電源または固定電源に
より一対の電極板に所望の電圧を印加すると、前記EA
粒子は鎖状に配列結合して鎖状体(粒子鎖)を形成し、
この鎖状体が電界方向に平行して配列する。この状態
で、一方の電極板に音波(空気振動)を入射させると、
この電極板が前記対向方向に振動するが、鎖状体自体が
弾性の性質を持っているため、鎖状体は引っ張られる場
合には、向かい合う粒子同士が引き合って引力を、圧縮
される場合には、撓んで反発力をそれぞれ生じ、電気絶
縁性媒体中の鎖状体の運動により粘性抵抗が生じ、これ
によって音波の持つエネルギーの損失(散逸)が起こ
る。
【0012】すなわち、電極板に入射した音波に、鎖状
体を含むENC流体組成物と電極板とが共振するのであ
る。このような鎖状体に振動を与える音波周波数は、鎖
状体の持つ特性振動数(鎖状体の弾性と電極板の慣性と
のバランスからなる、いわゆる固有振動数と推定され
る)によって定まり、その特性振動数と一致した周波数
の音波が電極板に入射すると、鎖状体は共振してその音
波を吸収し、他の周波数の音波は反射されることにな
る。
【0013】各粒子間に働く引力(鎖状体に生じる応
力)は、一対の電極板に印加される電圧の増加に伴って
増大することから、鎖状体自体の弾性率と粘性率が印加
電圧の増加に伴って増大することになり、本発明は、こ
のことを利用するものである。すなわち、印加電圧を調
整して、鎖状体自体の特性振動数を、入射音波(空気振
動)のうち除去したい成分の振動数に一致させることに
より、鎖状体を共振(共鳴)させ、吸音(除去)したい
成分のエネルギーを消費し、その他の成分を反射させる
ものである。
【0014】図13は固EA粒子30wt%分散系につ
いてEA特性に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を
示すグラフである。このグラフから印加電圧が増加する
ほど鎖状体に働く応力は増大することが明かである。E
A特性は、誘電分極した粒子が電気的引力により電場方
向に配列し、鎖状構造を形成することに起因する。低線
断速度では、電気的引力が支配的であるので、鎖状構造
の破壊と再形成がゆるやかに繰り返される。電場方向に
並んだ鎖をそれと直角方向にせん断破壊させるとき発生
する力が降伏応力に相当する。形成されるすべての鎖の
粒子が同じ直径をもち、直鎖状の並んで電極板間を結ん
でいると考えると、鎖の数は粒子濃度に比例するので、
降伏応力も粒子濃度に比例することになる。図14に本
発明の振動系の等価回路を示し、すなわち、弾性率Kの
コイルばね22と粘性率Cのダッシュポット23が一対
の電極板間に並列に接続されている。
【0015】
【実施例】以下、本発明の車両用音波吸収制御装置につ
いて説明する。この車両用音波吸収制御装置は、図1に
示すように、一対のフィルム1、2が間隙をおいて対向
配置され、前記フィルム1、2のそれぞれ内側に電極板
3、4が設けられ、これら一対の電極板3、4間に、E
A効果を有するEA粒子を電気絶縁性媒体中に含有して
なるENC流体組成物が収容されているものである。そ
して、前記一対の電極板3、4の周縁および一対のフィ
ルム1、2の周縁には、枠状のシール部材5が固着さ
れ、ENC流体組成物40が外部に流出しないようにな
っている。
【0016】 また、前記各電極板3、4は、電圧を印
加し、かつ印加電圧を可変とする電源6(可変電源)に
接続されている。この電源6にはスイッチ7が直列に接
続されており、このスイッチ7をオンにすることによ
り、一対の電極板3、4間に電圧を印加し、スイッチ7
をオフにすることにより電圧の印加を停止できるように
なっている。
【0017】上述した車両用音波吸収制御装置10は、
図2および図3に示すように、天井パネル11の内壁に
設けられ、下方側のフィルム2の下面には、吸音効果を
向上させ、さらに前記車両用音波吸収制御装置10を保
護するために、ハニカム板12が取り付けられている。
そして、ハニカム板12の下面はポリウレタン、ポリプ
ロピレン、ポリスチレンなどの樹脂発泡体をビニールレ
ザー、ビニールシート、織布などで被覆した公知の内張
り材13で被覆され、車両用音波吸収制御装置10およ
びハニカム板12が外部から見えないようになってい
る。
【0018】前記フィルム1、2としては、電極板3、
4が他部材、例えば天井パネル11あるいはハニカム板
12と直接接して、電極板3、4が損傷を受けることが
ないように、またENC流体組成物40の流出が生じな
いように、車両用音波吸収制御装置10の密封性を向上
できるものであれば任意であり、具体的にはPET(ポ
リエチレンテレフタレート)フィルム、PVC(塩化ビ
ニル)フィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンフィ
ルム、ポリプロピレンフィルム、アクリルフィルムなど
の各種プラスチックフィルムなどが用いられる。ハニカ
ム材12としては、紙性、樹脂製など、公知の任意のも
のを使用することができ、その形状も限定されるもので
はない。
【0019】前記ENC流体組成物40は、図4に示す
ように、電気絶縁性媒体30中に固体粒子であるEA粒
子31が均一に分散されてなるものである。このEA粒
子31は、有機高分子化合物からなる芯体32と、EA
無機物33である粒子34からなる表層35とによって
形成され、無機・有機複合粒子36を形成している。こ
の具体例において、電気絶縁性媒体30は無色透明のシ
リコーン油であり、無機・有機複合粒子36の芯体32
を形成する有機高分子化合物はポリアクリル酸エステル
であり、表層35を形成するEA無機物33の粒子34
は無機イオン交換体でありかつ電気半導体性無機物でも
ある白色の水酸化チタンである。このEA粒子31(無
機・有機複合粒子36)の色は例えば白色である。ま
た、電気絶縁性媒体30中に含まれるEA粒子31の割
合は例えば7.5重量%である。
【0020】本発明のENC流体組成物40に用いる電
気絶縁性媒体30としては、例えば、塩化ジフェニル、
セバチン酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級アルコー
ルエステル、ハロフェニルアルキルエーテル、トランス
油、塩化パラフィン、弗素系オイル、またはシリコーン
系オイルやフルオロシリコーン系オイルなど、電気絶縁
性及び電気絶縁破壊強度が高く、化学的に安定でかつE
A粒子31を安定に分散させ得るものであればいずれの
流体またはこれらの混合物も使用可能である。この電気
絶縁性媒体30は、目的に応じて着色することができ
る。着色する場合は、選択された電気絶縁性媒体30に
可溶であってその電気的特性を損なわない種類と量の油
溶性染料または分散性染料を用いることが好ましい。電
気絶縁性媒体30には、この他に分散剤、界面活性剤、
粘度調整剤、酸化防止剤、安定剤などが含まれていても
よい。
【0021】この電気絶縁性媒体30の動粘度は、1c
Stないし30000cStの範囲内であることが好ま
しい。動粘度が1cStより小さいと、流体組成物の貯
蔵安定性の面で不足を生じ、動粘度が30000cSt
より大きいと、EA粒子31の均一分散が困難になると
ともに、調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜けにく
くなり、取り扱いに支障を来すので好ましくない。この
観点から、動粘度は10cStないし1000cStの
範囲内、特に10cStないし100cStの範囲内で
あることが好ましい。もちろん、電気絶縁性媒体30の
動粘度は、温度により変化し、この温度影響を印加電圧
によって抑制することができる。
【0022】本発明に用いられるEA粒子31は、EA
効果を有する無機・有機複合粒子36であれば、元素、
有機化合物、または無機化合物、またはそれらの混合物
など、いずれの素材も使用可能である。その例としては
例えば無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電
気半導体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、およ
びこれらを表層35として有する粒子を挙げることがで
きる。しかし、このEA粒子31は、上記実施例に示し
たように、有機高分子化合物からなる芯体32と、EA
無機物33の粒子34からなる表層35とによって形成
された無機・有機複合粒子36であることが特に好まし
い。この無機・有機複合粒子は、比較的比重が重いEA
無機物33の粒子34からなる表層35が比較的比重の
軽い有機高分子化合物である芯体32に担持されてい
て、その粒子全体の比重を電気絶縁性媒体30に対して
近似するように調節できる。従ってこれを電気絶縁性媒
体30に分散して得られたENC流体組成物40は、貯
蔵安定性に優れたものとなる。
【0023】EA粒子31(無機・有機複合粒子36)
の芯体32として使用し得る有機高分子化合物の例とし
ては、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アク
リル酸エステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴ
ム、ABS樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、ア
イオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニ
ル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以
上の混合物または共重合物を挙げることができる。
【0024】表層35を形成するEA無機物33である
粒子34としては種々のものが用い得るが、好ましい例
としては無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性
無機物とを挙げることができる。これらの粒子34を用
いて有機高分子化合物からなる芯体32の上に表層35
を形成するとき、得られた無機・有機複合粒子36は有
用なEA粒子31となる。
【0025】上記無機イオン交換体の例としては(1)
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0026】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOx(OH)y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、および水酸
化鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは含水
酸化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、Ti
O(OH)2)および水酸化チタン(別名オルソチタン
酸またはαチタン酸、Ti(OH)4)の双方を含むも
のであり、他の化合物についても同様である。
【0027】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどであ
る。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タンおよびモリブデン酸錫などである。
【0028】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイトなど
である。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO43のようなも
のが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置換
したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
【0029】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、及びK2O・2.5TiO
2・2H2Oなどである。なお、上記化合物のうち、aま
たはbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数で
ある化合物を酸処理し、KとHとを置換することによっ
て容易に合成される。
【0030】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、およびタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。) これらには例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6]および
2Co[Fe(CN)6]などの不溶性フェロシアン化
合物が含まれる。
【0031】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2)y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を表
す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類に
より異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を示
すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM2
アルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷移
金属または希土類金属等、H+以外の金属イオンのいず
れか任意のものである。OH基を有する無機イオン交換
体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にOH-
であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4など
や錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意
のものである。
【0032】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO43の加熱により得られるHZr2(PO43
ハイドロタルサイトの高温加熱処理物(500〜700
℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イオ
ン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層3
5として用いることもできる。なお、上記の無機イオン
交換体として、多価金属の水酸化物、及び多価金属の酸
性塩を用いることが特に好ましい。
【0033】上記EA粒子31(無機・有機複合粒子3
6)の表層35として使用し得る電気半導体性無機物の
例は、電気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/c
mの金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無
機イオン交換体、またはこれらの少なくともいずれか1
種に金属ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピング
の有無に拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を
他の支持体上に電気半導体層として施したものなどであ
る。
【0034】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2 )およびオルソチタン酸(別名αチタ
ン酸、Ti(OH)4 )を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピングEA無機物:これは上記の電気半
導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上げるため
に、アンチモン(Sb)などの金属をER無機物にドー
ピングしたものであって、例としてはアンチモン(S
b)ドーピング酸化錫(SnO2 )などを挙げることが
できる。 (N)他の支持体上に電気半導体層としてEA無機物を
施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シリカ、
アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、または
ポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子粒子を
用い、これに電気半導体層としてアンチモン(Sb)ド
ーピング酸化錫(SnO2 )を施したものなどを挙げる
ことができる。このように他の支持体上にEA無機物が
施された粒子も、全体としてEA無機物33と見なすこ
とができる。これらのEA無機物は、1種類だけでな
く、2種類またはそれ以上を同時に表層として用いるこ
ともできる。
【0035】EA粒子31(無機・有機複合粒子36)
は、種々な方法によって製造することができる。例え
ば、有機高分子化合物からなる粒子状の芯体32と微粒
子状の粒子34とをジェット気流によって搬送し、衝突
させて製造する方法がある。この場合は粒子状の芯体3
2の表面に粒子34の微粒子が高速度で衝突し、固着し
て表層35を形成する。また別の製法例としては、粒子
状の芯体32を気体中に浮遊させ、粒子34の溶液を霧
状にしてその表面に噴霧する方法がある。この場合はそ
の溶液が芯体32の表面に付着し乾燥することによって
表層35が形成される。
【0036】EA粒子31(無機・有機複合粒子36)
を製造する特に好ましい製法は、芯体32と同時に表層
35を形成する方法である。この方法は、例えば、芯体
32を形成する有機高分子化合物のモノマーを重合媒体
中で乳化重合、懸濁重合または分散重合するに際して、
微粒子状としたEA無機物33である粒子34を上記モ
ノマー中、または重合媒体中に存在させるというもので
ある。重合媒体としては水が好ましいが、水と水溶性有
機溶媒との混合物を使用することもでき、また有機系の
貧溶媒を使用することもできる。この方法によれば、重
合媒体の中でモノマーが重合して芯体32を形成すると
同時に、微粒子状のEA無機物33の粒子34が芯体3
2の表面に層状に配向してこれを被覆し、表層35を形
成する。
【0037】乳化重合または懸濁重合によってEA粒子
31(無機・有機複合粒子36)を製造する場合には、
モノマーの疎水性の性質とEA無機物33の親水性の性
質を組み合わせることによって、EA無機物33の粒子
34の大部分を芯体32の表面に付着させることができ
る。この芯体32と表層35との同時形成方法によれ
ば、有機高分子化合物からなる芯体32の表面にEA無
機物33の粒子34が緻密かつ強固に接着し、堅牢なE
A粒子31(無機・有機複合粒子36)が形成される。
【0038】本発明に使用するEA粒子31の形状は必
ずしも球形であることを要しないが、粒子状の芯体32
が調節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場
合は、得られるEA粒子31の形状はほぼ球形となる。
EA粒子31の粒径は特に限定されるものではないが、
0.1μmないし500μm、特に5μmないし200
μmの範囲内とすることが好ましい。この際の微粒子状
のEA無機物33である粒子34の粒径は特に限定され
るものではないが、好ましくは0.005μmないし1
00μm、さらに好ましくは0.01μmないし10μ
mの範囲内とする。
【0039】EA粒子31(無機・有機複合粒子36)
において、表層35を形成するEA無機物33である粒
子34と芯体32を形成する有機高分子化合物の重量比
は特に限定されるものではないが、保存安定性の高いE
NC流体組成物40を得るためには、EA無機物33の
粒子34と有機高分子化合物の芯体32の合計重量に対
して粒子34が1重量%ないし60重量%の範囲内、特
に4重量%ないし30重量%の範囲内とすることが好ま
しい。この芯体32の割合が1重量%未満では、得られ
たEA粒子31のEA特性が不十分となり、60重量%
を超えると、EA粒子31の比重が過大となって保存安
定性を損なう惧れがある。また、本発明のENC流体組
成物40は、上記のEA粒子31を、必要なら分散剤、
他の成分とともに電気絶縁性媒体30中に均一に攪拌混
合して製造することができる。この攪拌機としては、液
状分散媒に固体粒子を分散させるために通常使用される
ものがいずれも使用できる。電気絶縁性媒体30中にお
けるEA粒子31の含有率は、特に限定されるものでは
ないが、0.5〜75重量%、特に5〜50重量%であ
ることが好ましい。その含有率が1%未満では充分なE
A効果が得られず、75%以上では電圧を印加しないと
きのENC流体組成物40の初期粘度が過大となって使
用が困難になる。
【0040】上記の各種方法、特に芯体32と表層35
とを同時に形成する方法によって製造されたEA粒子3
1は、その表層35の全部または一部分が有機高分子物
質や、製造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添
加物質の薄膜で覆われていて、EA粒子31としてのE
A効果が充分に発揮されない場合がある。この不活性物
質の薄膜は粒子表面を研磨することによって容易に除去
することができる。従って芯体32と表層35とを同時
に形成する場合には、その表面を研磨することが好まし
い。
【0041】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子36である
EA粒子31を水などの分散媒体中に分散させて、これ
を攪拌する方法によって行うことができる。この際、分
散媒体中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒
子31と共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて
攪拌する方法などによって行うこともできる。例えばま
た、分散媒体を使用せず、EA粒子31と上記のような
研磨材または研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うこ
ともできる。
【0042】さらに好ましい研磨方法は、EA粒子31
をジェット気流などによって気流攪拌する方法である。
これは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨
する方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの
粒子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法
である。上記のジェット気流攪拌においては、それに用
いられる装置の種類、攪拌速度、EA粒子31の材質な
どにより研磨条件を選定する必要があるが、一般的には
6000rpmの攪拌速度で0.5min〜15min
程度ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0043】本発明のENC流体組成物40は、上記の
EA粒子31を、必要なら分散剤など他の成分と共に電
気絶縁性媒体30中に均一に攪拌混合し分散させて製造
することができる。この攪拌機としては、液状分散媒に
固体粒子を分散させるために通常使用されるものがいず
れも使用できる。
【0044】 次に、上記構成の車両用音波吸収制御装
置10の動作および車両用音波吸収制御方法について説
明する。図5に示すように、一対の電極板3、4間に電
圧が印加されていない状態では、ENC流体組成物40
のEA粒子31が電気絶縁性媒体30中にランダムに浮
遊・分散している。そして、一対の電極板3、4に電圧
を印加すると、図6に示すように、ENC流体組成物4
0中のEA粒子31が鎖状に配列結合して鎖状体(粒子
鎖)41を形成し、この鎖状体41が電界方向に平行し
て配列する。
【0045】 この状態で、図1に示すように、一方の
電極板4に音波(空気振動)42を入射させると、図7
の(a),(b),(c)および(d)の状態が順次起
こって、この電極板4がフィルム2とともに図1に記載
の矢印Xで示すように対向方向に振動するが、鎖状体4
1自体が弾性の性質を持っているため、図7の(b)に
示すように、鎖状体41は、圧縮される場合には、例え
ば「く」の字状に撓んで反発力を生じ、図7の(d)に
示すように、鎖状体41は、引っ張られる場合には、向
かい合うEA粒子31同士が引き合って引力を生じる。
これにより、ENC流体組成物40中での鎖状体41の
運動により、粘性抵抗が生じ、音波42の持つエネルギ
ーの損失(散逸)が起こる。
【0046】 そして、電極板4の振動にともなって、
鎖状体41の引っ張りと圧縮が繰り返されるものであ
り、この結果、鎖状体41自身も振動することになる。
すなわち、電極板41に入射した音波42に、鎖状体4
1を含むENC流体組成物40と、電極板4とフィルム
2とからなる電極板構造体とが共振するのである。この
ような鎖状体41に振動を与える音波周波数は、鎖状体
41の持つ特性振動数によって定まり、その特性振動数
と一致した周波数の音波42が電極板4に入射すると、
図8中の矢印A、Bの方向に鎖状体41は共振してその
音波42を吸収し、他の周波数の音波43は反射される
ことになる。
【0047】 各EA粒子31間に働く力(鎖状体41
に生じる応力)は一対の電極板3、4に印加される電圧
の増加に伴って増大することから、鎖状体41自体の弾
性率と粘性率が印加電圧の増加に伴って増大することに
なる。本発明は、このことを利用して音波42の所望の
成分を除去するものである。すなわち、印加電圧を調整
して、粒子鎖41自体の特性振動数を、電極板4に入射
した音波42(空気振動)のうち除去したい成分(特定
波長の音波)の振動数に一致させることにより、図8に
示すように、鎖状体41を慣性力の作用により左右矢印
A,Bで示すように共振(共鳴)させ、入射音波の除去
したい成分のエネルギーを消費し、その他の音波成分
(符号43で示す)を反射させるものである。このよう
に、印加電圧により、入射音波の所望の特定波長の成分
を吸収できる。
【0048】 車両用音波吸収制御装置10の特性周波
数は、EA粒子31の大きさ、EA粒子31間に働く弾
性力、また電極板3、4の固有振動数および電極板3、
4間の距離等により変化する。本発明では、電気絶縁性
媒体30中に粒径がほぼ均一な球形状のEA粒子31が
分散されたものであるので(不定形粒子を用いない)、
一定電圧下では上述した反発力や引力が変動せず、しか
も、EA粒子31…間に働く弾性力と電極板3、4の慣
性力のバランスにも変動が生じにくい。上記実施例にお
いては、鎖状体41は「く」の字状に撓むものとされて
いるが、この他に、例えば図9の(a)に示すようなS
字型、あるいは図9の(b)に示すようなW字型に撓む
場合もあると考えられる。
【0049】 また、上記実施例においては、電圧の印
加によってEA粒子31(無機・有機複合粒子36)が
1列の鎖状体41を形成して平行に配列する現象につい
て説明したが、EA粒子31の数が数重量%を越えて多
くなると、1列の鎖状体41ではなく、鎖状体41が複
数列相互に接合して、図10の(a)の如くカラム44
を構成して配列するようになる。このカラム44におい
ては左右の鎖状体41のEA粒子31は1つずつずれて
互い違いに隣接する。これについて本発明者らは、図1
0の(b)に示すごとく、+極部分と−極部分に誘電分
極しているEA粒子31が互い違いに隣接して+極部分
と−極部分とが引き合って配列した方がエネルギー的に
安定なためであると推定している。
【0050】この例の車両用音波吸収制御装置10にあ
っては、車両の天井部に設けられた車両用音波吸収制御
装置10であって、ENC流体組成物40と、隙間をお
いて互いに対向して設けられ、かつ前記隙間に前記EN
C流体組成物40を収容した一対の電極板3、4と、前
記一対の電極板3、4間に所望の電圧を印加する可変電
源とを具備してなるものであるので、電極板3、4間に
印加した電圧によりEA粒子31が配列結合して鎖状体
41を形成し、この鎖状体41に生じる応力は、印加さ
れる電圧の大きさによって可変とすることができるた
め、印加電圧値を調整することにより、音波の吸収した
い成分の振動数に合わせて、ENC流体組成物40の特
性振動数を設定することができる。よって、ENC流体
組成物40を変更することなく、種々の周波数の音波4
2を吸収でき、結果的に、このENC流体組成物40を
用いて低コストでかつ取扱の容易な車両用音波吸収制御
装置10を提供できる。特に、EA粒子31が、有機高
分子化合物からなる芯体32と、EA無機物33からな
る表層35とによって形成された無機・有機複合粒子3
6からなる場合は、高い保存安定性を有する実用的なE
NC流体組成物40が得られ、結果的に、車両用音波吸
収制御装置10の信頼性がさらに向上する。
【0051】次に、本発明の第2の例を説明する。この
例の車両用音波吸収制御装置10が先の例と異なる点
は、ENC流体組成物40が多孔質体に含浸されて、こ
の多孔質体が電極板3、4間に収納されている点であ
る。前記多孔質体としては、スポンジ、発泡ポリスチレ
ン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレンなどの発泡
樹脂などが挙げられる。この他にも、前記多孔質体を作
る高分子材料としては、ウレタン、ブタジエンラバー、
天然ゴム、天然ゴム+ブタジエンラバー、塩化ビニル、
ポリブタジエン、アクリルニトリル、ウタジエンラバー
などが挙げられ、これらに適宜な発泡剤を添加して多孔
質体としてもよい。なお、多孔質体の種類は、適度な弾
性力を有し、かつENC流体組成物40の含浸が可能な
ものであれば、特に限定されるものではない。
【0052】また、電圧を印加した際に、EA粒子31
は多孔質体の孔の内部に配列するため、EA粒子31の
配列が円滑に進行するように、添加する発泡剤の種類や
量を調整して、多孔質体の内在する孔の大きさや発泡倍
率などを調節しておくことが好ましい。
【0053】次に、この例の車両用音波吸収制御装置1
0の動作および車両用音波吸収制御方法について説明す
る。図11に示すように、一対の電極板3、4に電圧が
印加されていない状態では、ENC流体組成物40中の
EA粒子31が多孔質体45の孔の内部にランダムに浮
遊・分散している。そして、この状態のものに電圧を印
加すると、図12に示すように、多孔質体45に内在す
る孔の内部に配列して鎖状体41を形成する。この鎖状
体41は、形成される孔の大きさによってそれぞれの長
さが異なるが、各々の鎖状体41に印加されている電圧
は同じであるため、前記鎖状体41に生じる応力、すな
わちEA粒子31同士の引力は同じである。
【0054】したがってこの例の車両用音波吸収制御装
置10においても、印加する電圧によって所望の周波数
の音波を吸収することができ、先の例の車両用音波吸収
制御装置10と同等の効果が得られる。さらに、ENC
流体組成物40が多孔質体45に含浸されているので、
ENC流体組成物40を流体のまま使用するよりも、悪
路走行中の車両の振動などによるENC流体組成物40
の流出の恐れが低減し、より振動特性が良好になる。
【0055】また、本発明の車両用音波吸収制御装置1
0は先の例に限定されるものではなく、内貼り材13、
ハニカム材12の種類や形状などは任意である。もちろ
ん、車両用音波吸収制御装置10の車両への取付方法な
ども任意である。さらに、車内にこもる音の周波数が車
両の設計段階あるいは製造段階において予測できる場合
は、使用する電源は可変電源ではなく、固定電源として
もよい。この場合、前記固定電源をスタートスイッチに
連動させておけば、スタートスイッチを入れてエンジン
の始動が始まると同時に各電極板3、4に最適電圧が印
加されて、車内の雑音を自動的に除去できる。
【0056】次に、本発明の車両について説明する。こ
の車両は、上述した車両用音波吸収制御装置10が天井
部に取り付けられたものである。車両の種類としては、
自家用車、トラック、電車車両など、あらゆるものに使
用できる。このような車両にあっては、印加電圧値によ
って所望の振動数の音波を吸収することができるため、
車内の騒音が緩和され、車内環境をより快適に保持する
ことができる。
【0057】
【発明の効果】本発明は、以上説明したとおりに構成さ
れているので、以下に記載するような効果を奏する。音
波の吸収したい成分の振動数に合わせて、ENC流体組
成物の特性振動数を設定するために印加電圧値を調整す
ることにより、ENC流体組成物を変更することなく、
種々の周波数の音波を吸収でき、結果的に、このENC
流体組成物を用いた低コストでかつ取扱の容易な車両用
音波吸収制御装置を提供できる。特に、EA粒子が、有
機高分子化合物からなる芯体と、EA無機物からなる表
層とによって形成された無機・有機複合粒子からなる場
合は、高い保存安定性を有する実用的なENC流体組成
物が得られ、結果的に、車両用音波吸収制御装置の信頼
性がさらに向上する。また、本発明の車両用音波吸収制
御装置は、本発明の車両用音波吸収制御方法を容易に実
施することができる。さらに、本発明の車両用音波吸収
制御装置が取り付けられた車両は、印加電圧値によって
所望の振動数の音波を吸収することができるため、車内
の騒音が緩和され、車内環境をより快適に保持すること
ができるなどの効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ENC流体組成物を備えた本発明の車両用音
波吸収制御装置の一実施例の断面図である。
【図2】 本発明の車両用音波吸収制御装置の一実施例
を示す断面図である。
【図3】 本発明の車両用音波吸収制御装置の一実施例
を示す分解図である。
【図4】 本発明に係わるENC流体組成物の一実施例
を示す模式図である。
【図5】 本発明に係わるENC流体組成物の電源オフ
時の態様を示す断面図である。
【図6】 本発明に係わるENC流体組成物の電源オン
時の態様を示す断面図である。
【図7】 本発明の車両用音波吸収制御装置に、音波が
入射されて一方の電極板が振動している状態を示す断面
図である。
【図8】 本発明の車両用音波吸収制御装置において、
音波が入射されて鎖状体や一方の電極板が共振している
状態を示す断面図である。
【図9】 本発明の車両用音波吸収制御装置において、
鎖状体の撓み状態の別な例を示す図である。
【図10】 本発明の車両用音波吸収制御装置におい
て、鎖状体が複数列相互に接合してなるカラムを示す図
である。
【図11】 本発明に係わるENC流体組成物の電源オ
フ時の態様を示す断面図である。
【図12】 本発明に係わるENC流体組成物の電源オ
ン時の態様を示す断面図である。
【図13】 電界配列性分子分散系についてEA特性に
及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示すグラフであ
る。
【図14】 振動系の等価回路を示す図である。
【符号の説明】
1、2…フィルム、3、4…電極板、5…シール部材、
6…電源、7…スイッチ、10…車両用音波吸収制御装
置、30…電気絶縁性媒体、31…EA粒子、33…E
A無機物、36…無機・有機複合粒子、40…ENC流
体組成物、41…鎖状体、42、43…音波、44…カ
ラム、45…多孔質体
フロントページの続き (72)発明者 枝村 一弥 東京都港区芝公園2丁目6番15号 藤倉化 成株式会社本社事務所内 (72)発明者 安齊 秀伸 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の天井部に設けられた車両用音波吸
    収制御装置であって電界配列効果を有する固体粒子を電
    気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型音波吸収制御
    用流体組成物と、 隙間をあけて互いに対向して設けられ、かつ前記隙間に
    前記電気感応型音波吸収制御用流体組成物を収容した一
    対の電極板と、 前記一対の電極板間に所望の電圧を印加する可変電源ま
    たは固定電源とを具備してなることを特徴とする車両用
    音波吸収制御装置。
  2. 【請求項2】 前記一対の電極板間に形成された隙間
    に、前記電気感応型音波吸収制御用流体組成物を含浸し
    た多孔質体が収容されたことを特徴とする請求項1記載
    の車両用音波吸収制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の車両用音波吸
    収制御装置を具備してなることを特徴とする車両。
  4. 【請求項4】 車両の天井部に、電界配列効果を有する
    固体粒子を電気絶縁性媒体中に含有してなる電気感応型
    音波吸収制御用流体組成物と、隙間をあけて互いに対向
    して設けられ前記隙間に前記電気感応型音波吸収制御用
    流体組成物を収容した一対の電極板と、前記一対の電極
    板間に所望の電圧を印加する可変電源とを具備してなる
    車両用音波吸収制御装置を設け、 前記一対の電極板間に電圧を印加して前記固体粒子を配
    列制御して粒子鎖を形成するとともに、該粒子鎖の特性
    振動数が一方の電極板に入射する音波の吸音すべき成分
    の振動数に一致するように、前記印加電圧を電圧印加前
    または印加後に調整することを特徴とする車両用音波吸
    収制御方法。
  5. 【請求項5】 前記電極板間に電気感応型音波吸収制御
    用流体組成物を含浸した多孔質体を設けることを特徴と
    する請求項4記載の車両用音波吸収制御方法。
JP6267884A 1994-10-31 1994-10-31 車両用音波吸収制御装置およびこれを備えた車両と車両用音波吸収制御方法 Pending JPH08127293A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10274988A (ja) * 1997-03-31 1998-10-13 Tokai Rubber Ind Ltd 共鳴型消音器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH10274988A (ja) * 1997-03-31 1998-10-13 Tokai Rubber Ind Ltd 共鳴型消音器

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