JPH07257945A - 透明導電性積層体及びペン入力タッチパネル - Google Patents

透明導電性積層体及びペン入力タッチパネル

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JPH07257945A
JPH07257945A JP7390694A JP7390694A JPH07257945A JP H07257945 A JPH07257945 A JP H07257945A JP 7390694 A JP7390694 A JP 7390694A JP 7390694 A JP7390694 A JP 7390694A JP H07257945 A JPH07257945 A JP H07257945A
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JP
Japan
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film
transparent
transparent conductive
laminate
refractive index
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Application number
JP7390694A
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English (en)
Inventor
Mamoru Aizawa
守 会沢
Kazunori Saito
一徳 斉藤
Kiyoshi Kawamura
潔 河村
Noriyoshi Saito
徳良 斉藤
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Nippon Soda Co Ltd
Original Assignee
Nippon Soda Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】透明基板上に、酸化珪素膜、透明導電膜及び屈
折率nが1.6以下の低屈折率透明薄膜をこの順に形成
することを特徴とする3層積層体、及び該積層体を使用
したペン入力タッチパネル。 【効果】550nmにおける透過率が90%以上、40
0nmにおける透過率が80%以上、かつ、表面抵抗値
が200〜3000Ω/□の高透過率の透明導電積層
体、及び該積層体を使用したペン入力タッチパネルが得
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高透過率でかつ高抵抗の
透明導電性積層体およびその成膜方法に関するものであ
り、特にタッチパネルの透明電極として用いられる高透
過率の透明導電性積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化インジウム膜は透明導電膜であり、
スズをドープした酸化インジウム膜(ITO膜と称す)
は抵抗値が低く、例えば液晶ディスプレイ、エレクトロ
ルミネッセンスディスプレイ、面発熱体、タッチパネル
の電極等に広く使用されており、使用目的によってIT
O膜の抵抗値は種々のものが要求される。すなわち、フ
ラットパネルディスプレイ用のITO膜では低抵抗のも
のが要求されるが、タッチパネル用のITO膜では逆に
高抵抗の膜が要求されている。
【0003】特に、最近開発されて市場の伸びが期待さ
れるペン入力タッチパネル用の透明導電膜は、位置の認
識精度が高くなくてはならないことから、シート抵抗値
が高く、抵抗値の均一性に優れた膜であり、また、液晶
ディスプレイの上に置くことから高透過率の膜であるこ
とが要求される。これまで、通常、透明導電膜の透過率
を高くするためには、導電膜の膜厚を薄くする方法がと
られてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ITO、FTO(フッ
素をドープした酸化錫膜)、ATO(アンチモンをド−
プした酸化錫膜)、酸化亜鉛膜等の透明導電膜は、いず
れも屈折率が基板ガラスの屈折率(ソーダライムガラス
では1.52)より高く(1.7〜2.2)、透明導電
膜と基板ガラスとの界面での反射が大きくなり、可視光
透過率が低下する。高透過率の膜を得ようとする場合は
膜厚を薄くする必要があるが、人間の目に感度良く感知
される550nm波長で85%の透過率を得ようとする
と、膜厚は300Å以下の膜厚にする必要があり、89
%の透過率の場合には膜厚を200Å以下の膜厚にする
必要がある。更に91%の透過率の場合には膜厚を10
0Å程度まで薄くせねばならず、この場合は膜厚を均一
にコントロールするのは難しく、面内の抵抗値の均一性
は悪くなる傾向にある。また、膜厚を100Å程度まで
薄くすると抵抗値の安定性が悪くなり、温度変化や湿度
変化の影響を受けやすく、面内の抵抗値の均一性のみな
らず抵抗値が変動するため導電膜の膜厚コントロールに
よる高透過率化は解決すべき課題を含んでいる。
【0005】ペン入力タッチパネル用導電膜の抵抗値は
液晶ディスプレー用のものと違って高抵抗値が要求さ
れ、また高透過率かつ高安定性が要求されることからそ
の膜厚は100Å〜300Åになる。導電膜の膜厚を更
に厚くしてゆくと、膜面での反射光と基板界面での反射
光との干渉によって550nmでの透過率が90%程度
に増加するが、この場合の膜厚は約1500Å〜200
0Åとなり、厚すぎるために抵抗値を所定の値に合わせ
ることが困難になる。従ってタッチパネル用導電膜の膜
厚は100Å〜300Åが実用的な範囲であるといえ
る。この場合の550nmの透過率は90%〜85%と
なる。
【0006】導電膜の膜厚を薄くしないで透過率を増加
する方法として多層膜化が知られており、それは導電膜
とガラス基板の間に高屈折率の膜と低屈折率の膜を新た
に設ける方法や導電膜上に低屈折率の膜を設ける反射防
止の理論の応用で達成されることがされることが示され
ている(例えば、裳華房 応用物理学選書3「薄膜」
(金原、藤原著))。
【0007】また、一般に、実用的な面から、ガラス基
板は安価なソーダーライムガラスが用いられ、ソーダラ
イムガラス基板からのナトリウムイオンの拡散を抑制す
るため酸化珪素膜を設ける方法が採用されており、この
方法によって液晶ディスプレ−やタッチパネルの寿命や
導電膜の安定性が増加することが知られている。しか
し、この酸化珪素膜の膜厚は、導電膜の種類、成膜の方
法、成膜温度及び使用するガラス基板の種類等によって
変化し一義的には決められない。
【0008】以上のような観点から、反射防止の理論を
実際に応用する場合は、導電膜の屈折率、膜厚及び酸化
珪素膜の屈折率、膜厚、更には導電膜上に低屈折率透明
薄膜を形成した3層積層体の表面抵抗値を200〜30
00Ω/□にコントロールする必要があるため、その中
から最適な組合せを見出すのは困難なことであった。
【0009】更に、多層化による積層体の透過率の増加
を、ある特定の波長に限定する場合は比較的容易に光学
設計されるが、極大値を示すため反射光に着色が生じタ
ッチパネル等を目的とする積層体には問題となる。
【0010】そこで、本発明は、可視光域全域にわたっ
て高透過率を維持した透明導電積層体を提供することを
目的とする。
【0011】特開昭62−263610には、透明基板
上に形成された抵抗値の低い透明導電膜上に高抵抗の酸
化物薄膜を積層してなる透明導電性積層体タブレットを
提案している。該特許の目的は、透明導電膜表面の機械
的強度や硬度を改善するものであって、積層による透過
率の向上を目的としていない。実施例の高抵抗の酸化物
薄膜として、高屈折率のSnO2 膜を例示していること
からも明らかである。更に、低屈折率のSiO2 膜も例
示されているが、膜厚が500Åより薄い範囲を好適と
している。実施例の下層膜/上層膜の組合せのITO膜
(250Å)/SiO2 膜(150Å)では、高透過率
は達成されない。
【0012】本発明は、前述の実情からみてなされたも
ので、ペン入力タッチパネル用の透明導電性積層体とし
て、550nmにおける透過率が90%以上で400n
mにおける透過率が80%以上、及び表面抵抗値が20
0〜3000Ω/□の高透過率の透明導電積層体を提供
することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、透明基板
上に酸化珪素膜と透明導電膜がこの順に形成された2層
積層体において、該透明導電膜上に屈折率nが1.6以
下の低屈折率透明薄膜を形成することにより、550n
mにおける透過率が90%以上及び表面抵抗値が200
〜3000Ω/□である透明導電性積層体が得られるこ
とを見出した。更に詳しくは、550nmにおける透過
率が90%以上で400nmにおける透過率が80%以
上、及び表面抵抗値が200〜3000Ω/□の高透過
率の透明導電性積層体を形成する方法について鋭意検討
した結果、透明基板上に酸化珪素膜を膜厚200〜10
00Åに、屈折率nが1.7〜2.2で膜厚が100〜
300Åの透明導電膜をこの順に形成し、該透明導電膜
上に屈折率nが1.6以下の低屈折率透明薄膜を膜厚が
500〜1300Å形成することにより、高透過率の導
電性積層体が得られることを見出し、本発明を完成する
に至った。以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】本発明に使用する透明基板は光学的に透明
であれば特に制限はないが、実用的な面から、安価なソ
ーダーライムガラスが主に用いられる。ガラス基板中の
ナトリウムを含まない石英硝子やナトリウム含量の少な
いボロシリケート硝子なども好適に用いられるが、この
場合、酸化珪素膜を省略してもよい。
【0015】該透明基板上に成膜する酸化珪素膜は、S
iO2 を主成分とする膜でソーダライムガラス中のナト
リウムの拡散防止能があれば、特に制限はないが、積層
体の高透過率化をより高めるためには、ガラス基板の屈
折率(n≒1.5)より低屈折率の膜が好ましい。但
し、ソーダライムガラスのナトリウムの拡散防止能の向
上、基板や透明導電膜との界面での密着性向上及びゾル
・ゲル法膜の硬化促進などを目的として添加するリン化
合物やホウ素化合物は10%未満であれば好適に用いら
れる。
【0016】本発明に用いられる屈折率nが1.6以下
の低屈折率透明薄膜は、屈折率が低くて、更に透明導電
膜上に成膜した低屈折率透明薄膜の表面が、200〜3
000Ω/□の表面抵抗値を示すことが特徴である。積
層体の高透過率化の為には、無反射膜の光学理論による
と、出来るだけ低屈折率で比較的厚い膜(1200Å程
度)が好ましい。しかし、前記の表面抵抗値を維持する
ためには100Å以下の薄い膜が好ましいが、この場
合、積層体の透過率の増加より、むしろ透過率の減少に
なる。故に、光学設計的な膜厚に出来るだけ近づけた膜
厚で表面導電性を具現する膜が必要となる。
【0017】逆な表現をすれば、絶縁性の悪い屈折率の
低い金属酸化物薄膜であり、膜中にイオン電導性の多い
膜、ポーラスで水を吸着しやすい膜などが好適に用いら
れる。一般的に、物理的蒸着法で作成した膜は、緻密で
絶縁性が高いため、絶縁性を破るドーピング剤の添加が
必要となる。有機金属化合物を用いるゾル−ゲル法や化
学気相成膜法は比較的容易に絶縁性の悪い膜を作成しや
すく好ましく、特にゾル・ゲル法が好ましい。
【0018】本発明に用いられる低屈折率透明薄膜に用
いられる化合物の例を示す。SiO2 ,P2 5 ,B2
3 、Na,F含有SiO2 化合物及び有機ポリシラン
などが好適に用いられる。
【0019】本発明に用いられるSi化合物としては、
化学的成膜法で用いられるものとして、Si(OCH3)4 、Si
(OC2H5)4、Si(OC3H7)4等のシリコンアルコキシド、SiCH
3(OCH3)3、SiCH3(OC2H5)3 等のアルキルアルコキシシラ
ン、シリコンアルコキシド及び/又はアルキルアルコキ
シシランの縮重合物、フェニルメチルポリシラン等の有
機ポリシラン、SiCl4 、CH3SiCl3、HSiCl3等の塩化物、
SiH4等のシラン化合物、CF3(CH3)2Si(OCH3)3 ,C4F9(C
H2)2Si(OCH3)3,C4F9(CH2)2Si(OC2H5)3 , C8F17(CH2)2Si
(OC2H5)3等のF含有SiO2 化合物等を例示することが
できる。また、物理蒸着法で用いられるものとして、S
i、SiO 、SiO2等を例示することができる。
【0020】本発明に用いられるP化合物、B化合物及
びNa化合物として、P(OC2H5)3 ,PO(OCH3)3 ,PO(OC2H
5)3 ,H3PO4 , P2O5 等のP化合物、B(OCH3)3 , B(OC
2H5)3 ,B(OC4H9)3 , B[O(CH2)17CH3]3 , B(AcAc)3 ,B
(C4H9)3 , BBr3 ,BCl3 ,H3BO3, B2O3, (NH4)2O5B2O38H
2O ,NH4BF4 ,BF3O(C2H5)2 等のB化合物、及びNaOH ,Na
OCH3 , NaHCO3 , Na等のNa化合物を例示することがで
きる。
【0021】本発明に用いられる有機ポリシラン化合物
は、ジメチルジクロルシラン、フェニルメチルジクロル
シラン、ジフェニルジメチルシラン等の少なくとも1種
を原料とし、金属ナトリウムを触媒、トルエン等の溶媒
中でウルツ−カップリング反応等で合成したポリマーで
ある。反応溶液は過剰のNaを含んでいるので、要すれ
ばメタノール等の貧溶媒中に投入してポリマーを精製し
ても良い。精製した有機ポリシラン化合物はトルエンや
キシレン等の有機溶剤に可溶であり、スピンコート法等
により成膜可能である。有機ポリシラン膜は主鎖にσ共
役を有するので、高分子材料としては高いホール移動度
やUV光分解性を有する。340nm付近のUV光照射
により、Si−Si連鎖の切断とSi−O−Si,Si
OHを生成するので、前記の導電性の観点から好適であ
る。
【0022】本発明に用いられる透明導電膜は屈折率が
1.7〜2.2で膜厚が100〜300Åの表面抵抗値
が200〜3000Ω/□となれば、特に制限無く用い
られる。例えば、ITO,FTO,ATO,酸化亜鉛な
どが好適に用いられ、特に酸化インジュウムまたは酸化
錫を主成分とする膜が特に好適に用いられる。
【0023】酸化インジウムに添加して表面抵抗値を調
整する金属としては、Sn,Si,Ge,Pb,Ti,
Zr,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Al,
B,P,As,Sb,Bi,V,Nb及びTaからなる
群より選ばれた少なくとも1種の元素が好適に用いられ
る。
【0024】酸化錫に添加して表面抵抗値を調整する金
属としては、F,Sb,及びInからなる群から選ばれ
た少なくとも1種の元素が好適に用いられる。
【0025】本発明の透明導電膜を成膜する方法として
は、一般に知られている方法が採用できる。即ち、スパ
ッター法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング
法、化学気相成膜法(CVD法)、パイロゾル法、スプ
レー法、ディップ法等が好適に用いられる。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。ただし、本発明はこれらに何ら限定されるもの
ではない。
【0027】(比較例1)厚さ1mmで10cm角のソ
ーダライムガラス(n=1.52)を超音波霧化による
常圧CVD法(パイロゾル成膜法)成膜装置にセットし
480℃に加熱した。Si(C2 5 O)4 のC2 5
OH溶液(濃度は0.5mol/l)を超音波により
2.2ml/min霧化させ基板に導入し、2.5分間
成膜した。得られた膜はn=1.46、膜厚400Åの
SiO2 膜であった。引き続きInCl3 のCH3 OH
溶液(濃度は0.25mol/l)にSn(OC
4 9 4のアセチルアセトン溶液及びB(OCH3
3 のアセチルアセトン溶液を、Sn/In=5.0原子
%及びB/In=5.0原子%添加した溶液を超音波に
より2.4ml/min霧化させ、基板に導入し、2分
間成膜した。得られた膜はn=1.95、膜厚200Å
のBドープのITO結晶膜であり、シート抵抗値R0
520±25Ω/□、400nmでの透過率T400=8
3.2%、550nmでの透過率T550=89.6%、及
び加熱変化率H(200℃×30分、空気中加熱後の抵
抗値の変化率)=1.15倍であった。(この透明導電
膜を導電膜Aと称する。)
【0028】(実施例1)テトラエトキシシラン:18
6g,エタノール:643g,酢酸:206g及び濃塩
酸:0.3gを混合し、還流下に45時間反応後、更に
2 5 :2.5gを添加混合し、SiO2 換算濃度
5.0wt%及びSiO2 基準のP2 5 濃度5.0w
t%のアルコキシシラン縮合体溶液からなるSiO2
膜形成用組成物S−1を調整した。
【0029】比較例1で作成した導電膜A基板の硝子側
をマスクし、SiO2 薄膜形成用組成物S−1中に浸積
後、16cm/minで引き上げ、100℃×15分及
び500℃×30分焼成後、冷却してSLG/SiO2
/ITO(B)/SiO2 (P)からなる透明導電性積
層体を作成した。(SLGはソーダーライムガラスを示
す)。浸積引き上げ法で作成したSiO2 (P)膜はn
=1.46,膜厚t=1100Åであり、透明導電性積
層体としての、特性は次のようであった。
【0030】シート抵抗値R0=540±25Ω/□、4
00nmでの透過率T400=88.8%、550nmでの
透過率T550=95.1%、加熱変化率H= 1.01倍。
【0031】SiO2 (P)膜を積層することにより、
導電膜Aに比べ、400nm,550nmの透過率の増
加と加熱変化率の減少が認められた。この透明導電性積
層体の分光特性を図1に示した。
【0032】(実施例2、3)実施例1において、浸積
引き上げ速度を10cm/min(実施例2)及び7c
m/min(実施例3)に変更した他は、実施例1と同
様に行い透明導電性積層体を作成した。SiO2 (P)
膜は、実施例2では、n=1.46,膜厚t=900
Å、実施例3では、n=1.46,膜厚t= 790Åで
あった。積層体としての特性は表1に示した。
【0033】(比較例2)実施例1において、SiO2
薄膜形成用組成物のSiO換算濃度を1/10に希釈し
た溶液S−2を用いた他は、実施例1と同様に行い透明
導電性積層体を作成した。SiO2 (P)膜は、n=
1.46,膜厚t=150Åであった。積層体としての
特性は表1に示した。この比較例は適正膜厚を薄い方に
外れた例であり、特開昭62−263610の実施例で
SiO2 の膜厚が150Åと同じで透過率に関してはマ
イナス効果であった。
【0034】(比較例3)実施例1において、浸積引き
上げ速度を30cm/minにした他は、実施例1と同
様に行い透明導電性積層体を作成した。SiO2 (P)
膜は、n=1.46、膜厚t=1500Åであった。積
層体としての特性は表−1に示した。この比較例は適正
膜厚を厚い方に外れた例であり、透過率は向上するが、
シート抵抗値が高くなり、絶縁膜になり本用途には不適
当であった。
【0035】(比較例4)厚さ1mmで10cm角のソ
ーダライムガラス(n=1.52)を超音波霧化による
常圧CVD法(パイロゾル成膜法)成膜装置にセットし
450℃に加熱した。Si(C2 5 O)4 のC2 5
OH溶液(濃度は0.5mol/l)を超音波により
2.2ml/min霧化させ基板に導入し、3.0分間
成膜した。得られた膜はn=1.46、膜厚600Åの
SiO2 膜であった。引き続きInCl3 のCH3 OH
溶液(濃度は0.25mol/l)にGe(OC
4 9 4のアセチルアセトン溶液及びB(OCH3
3 のアセチルアセトン溶液を、Ge/In=10原子%
及びB/In=8.0原子%添加した溶液を超音波によ
り2.4ml/min霧化させ、基板に導入し、2分間
成膜した。得られた膜はn=1.93、膜厚230Åの
Ge,Bドープの酸化インジウム結晶膜であり、シート
抵抗値R0=950±40Ω/□、400nmでの透過率
400=82.1%、550n透過率T550=88.9%、
及び加熱変化率H= 1.10倍であった。(この透明導
電膜を導電膜Bと称する。)
【0036】(実施例4)比較例3の導電膜B上に引き
続き、パイロゾル法でSi(C2 5 O)4 のC2 5
OH溶液(濃度は0.5mol/l)を湿潤空気(25
℃の水中をバブルした)をキャリヤーガスとして導入し
てSiO2 膜を成膜した。得られたSiO2 膜はn=
1.45,膜厚t=800Åであり、透明導電性積層体
としての特性は次のようであった。
【0037】シート抵抗値R0=1000±50Ω/□、
400nmでの透過率T400=88.2%、550nmで
の透過率T550=90.5%、加熱変化率H= 1.01
倍。
【0038】(実施例5)比較例3の導電膜B上に引き
続き、パイロゾル法でSi(C2 5 O)4 /C4 9
(CH2 2 Si(OC2 5 3 (1/1)のC2
5 OH溶液(濃度0.5mol/l)を湿潤空気(25
℃の水中をバブルした)をキャリヤーガスとして導入し
てSiO2 膜を成膜した。得られたSiO2 膜はn=
1.42、膜厚t=900Åであり、透明導電性積層体
としての特性は次のようであった。
【0039】シート抵抗値R0=1500±50Ω/□、
400nmでの透過率T400=92.2%、550nmで
の透過率T550=94.5%、加熱変化率H= 1.01
倍。
【0040】(実施例6)テトラエトキシシラン:18
6g,エタノ−ル:643g,酢酸:206g及び濃塩
酸:0.3gを混合し、還流下に45時間反応後、更に
ホウ酸:4.3gを添加混合し、SiO2 換算濃度5.
0wt%及びSiO2 基準のB2 3 濃度10wt%の
アルコキシシラン縮合体溶液からなるSiO2 薄膜形成
用組成物S−3を調整した。
【0041】比較例4で作成した導電膜B基板の硝子側
をマスクし、SiO2 薄膜形成用組成物S−3中に浸積
後、14cm/minで引き上げ、100℃×15分及
び300℃×30分焼成後、冷却してSLG/SiO2
/ITO(Ge,B)/SiO2 (B)からなる透明導
電性積層体を作成した。浸積引き上げ法で作成したSi
2 (B)膜はn=1.47,膜厚t=1100Åであ
り、透明導電性積層体としての特性は次のようであっ
た。
【0042】シート抵抗値R0=900±25Ω/□、4
00nmでの透過率T400=88.3%、550nmでの
透過率T550=94.7%、加熱変化率H= 1.01倍。
【0043】(実施例7)フェニルメチルジクロルシラ
ン0.85モル、ジフェニルジクロルシラン0.15モ
ル、触媒の金属Naを1.3倍当量および溶媒としての
トルエンを還流下で反応させた。反応終了後、大過剰の
メタノール中に投入して精製した有機ポリシラン化合物
を得た(分子量は約17000であった)。精製した有
機ポリシラン化合物をトルエン/テトラハイドロフラン
(50/50)の混合溶液に溶解して固形分濃度5.0
%の溶液85gを作製し、実施例1のSiO2 薄膜形成
用組成物S−1を濃縮してSiO2 換算濃度で20wt
%とした溶液を15gを加えて均一溶液とし薄膜形成組
成物S−4を調製した。比較例4で作製した導電膜B基
板上に薄膜形成組成物S−4をスピンコート法で塗布
し、120℃×15分硬化した。この有機ポリシラン化
合物を含有する薄膜は、n=1.6,膜厚t=900Å
であり、透明導電性積層体としての特性を表1に示し
た。
【0044】(比較例4)Inに対して8wt%のSn
を含有するIn2 3 焼結体ターゲット及びSiO2
ーゲットを用いて、スパッター成膜装置にて、ソーダラ
イムガラス上に400ÅのSiO2 膜がコートされた基
板上に300℃で、ITO膜(n=2.0 ,膜厚t=25
0Å)及びSiO2 膜(n=1.45,膜厚t=150
Å)をこの順に成膜した。透明導電性積層体としての5
50nmにおける透過率は、85.4%であった。この
比較例は、特開昭62−263610の実施例の中の1
例であるが、明らかに透過率に関して劣っている。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、透明基板上に酸化珪素
膜、透明導電膜及び屈折率nが1.6以下の低屈折率膜
を500〜1300Åをこの順に形成せしめた3層積層
体において、該積層体の550nmにおける透過率が9
0%以上、400nmにおける透過率が80%以上、か
つ、表面抵抗値が200〜3000Ω/□の高透過率の
透明導電積層体を得ることが出来る。
【0047】本発明になる透明導電積層体をペン入力タ
ッチパネルに適用することにより、入力精度が高く、見
え映えの良いパネルを提供できるので、その実用的価値
は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の透明導電性積層体の分光特性を示し
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 徳良 千葉県市原市五井南海岸12−54 日本曹達 株式会社機能製品研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板上に、酸化珪素膜、透明導電膜及
    び屈折率nが1.6以下の低屈折率透明薄膜をこの順に
    形成してなる3層積層体において、該積層体の550n
    mにおける透過率が90%以上、かつ、表面抵抗値が2
    00〜3000Ω/□であることを特徴とする透明導電
    性積層体。
  2. 【請求項2】透明基板上に、酸化珪素膜、透明導電膜及
    び屈折率nが1.6以下の低屈折率透明薄膜をこの順に
    形成してなる3層積層体において、該積層体の550n
    mにおける透過率が90%以上、400nmにおける透
    過率が80%以上、かつ、表面抵抗値が200〜300
    0Ω/□であることを特徴とする透明導電性積層体。
  3. 【請求項3】請求項1及び2に記載の低屈折率透明薄膜
    が酸化珪素を含有する薄膜であることを特徴とする透明
    導電性積層体。
  4. 【請求項4】請求項1及び2に記載の低屈折率透明薄膜
    が酸化珪素、及びP又はBのうち少なくとも1種を含有
    する薄膜であることを特徴とする透明導電性積層体。
  5. 【請求項5】請求項1及び2に記載の低屈折率透明薄膜
    が、有機ポリシランを含有する薄膜であることを特徴と
    する透明導電性積層体。
  6. 【請求項6】請求項1及び2に記載の低屈折率透明薄膜
    の膜厚が500〜1300Åであることを特徴とする透
    明導電性積層体。
  7. 【請求項7】請求項1及び2に記載の透明導電膜が酸化
    インジウムを含有し、屈折率nが1.7〜2.2、膜厚
    が100〜300Åであることを特徴とする透明導電性
    積層体。
  8. 【請求項8】透明導電膜が酸化錫を含有し、屈折率nが
    1.7〜2.2、膜厚が100〜300Åであることを
    特徴とする透明導電性積層体。
  9. 【請求項9】請求項1、2及び7に記載の透明導電膜
    が、酸化インジウム及び、Sn,Si,Ge,Pb,T
    i,Zr,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,A
    l,B,P,As,Sb,Bi,V,Nb及びTaから
    なる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含有元素を
    含有することを特徴とする透明導電性積層体。
  10. 【請求項10】請求項1、2及び8に記載の透明導電膜
    が、酸化錫及び、F,Sb及びInからなる群から選ば
    れた少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする
    透明導電性積層体。
  11. 【請求項11】請求項1及び2に記載の透明基板がソー
    ダライム硝子であり、該基板に接した酸化珪素膜の膜厚
    が200〜1000Åであることを特徴とする透明導電
    性積層体。
  12. 【請求項12】請求項1〜11に記載の透明導電性積層
    体を使用することを特徴とするペン入力のタッチパネ
    ル。
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