JP2005330172A - ガラス板およびその製造方法、低反射性透明ガラス板、低反射性透明導電基板およびその製造方法、ならびに、低反射性透明導電基板を用いた光電変換素子 - Google Patents

ガラス板およびその製造方法、低反射性透明ガラス板、低反射性透明導電基板およびその製造方法、ならびに、低反射性透明導電基板を用いた光電変換素子 Download PDF

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Abstract

【課題】低反射性透明ガラスの基板となるガラス板、低反射性透明ガラス板、低反射性ガラス板を用いた低反射性透明導電基板、および、低反射性透明導電基板を用いた光電変換素子、ならびに、これらの製造方法を提供する。
【解決手段】フロート法ガラス板製造工程において、(1)溶融錫に接するガラスリボン10の第1の主表面に金属成分を拡散させて、ガラス基部3より高い屈折率を有するガラス変性層2を構成する工程と、(2)ガラスリボン10の第2の主表面上に膜形成用ガス原料を供給して、ガラスリボン10上に下地層5および透明導電膜6を形成する工程とから製造された、第2の主表面上に透明導電膜6を備えた、第1の主表面が前記ガラス変性層2で構成されているガラス板1を製造し、該ガラス板1の第1の主表面上に、該ガラス変性層2より低い屈折率を有する、透明な低反射膜4を形成して、低反射性透明導電基板を製造する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガラス板およびその製造方法、低反射性透明ガラス板、低反射性透明導電基板およびその製造方法、ならびに、前記低反射性透明導電基板を用いた光電変換素子に関する。
ガラス板は、光線透過率が高く、耐久性が優れていることから、太陽電池等の光電変換装置において、光入射側の基板として広く使用されている。ガラス板は、光電変換素子を構成する基板材料として、また、光電変換素子を保護するカバーグラスとして使用される。
カバーグラスとして使用する場合は、光電変換素子の光入射側に、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルムや酢酸ブチル等の低融点透明樹脂フィルムを介してガラス板が積層されて光電変換素子を保護するように構成される。
光電変換素子を構成する基板材料として使用される場合には、ガラス板表面に透明導電膜を形成した透明導電基板の、該透明導電膜上に薄膜シリコン等の光電変換層と裏面電極層を形成され、薄膜シリコン太陽電池等と呼ばれる。
薄膜シリコン太陽電池に使用される透明導電基板は、ガラス板の表面に、下地膜、透明導電膜を順次形成した構成を有する。
下地膜は、ソーダライムガラス板に含まれるアルカリ成分と、透明導電膜を構成する金属酸化物とが接触して起こる、透明導電膜の性能低下を防止するアルカリバリア膜としての役割を持ち、酸化珪素、酸化アルミニウム等の薄膜が使用される。
光電変換素子の性能を高める技術において、太陽光のエネルギーを有効に利用するために、光電変換効率を向上することが重要な課題である。その中でも、光電変換層に到達する太陽光エネルギーの比率を高めることが大きな課題であってガラス板の光線透過率を高める方法、および、ガラス板の光入射側表面の光反射率を低減する方法について、多くの提案がなされている。
ガラス板の光線透過率を高める方法として、純度の高い原料を用いて、混入鉄分を減少し、鉄分による着色および光吸収を低減する方法が知られている。
ガラス板の光入射側表面の光反射率を低減する方法として、特許文献1および特許文献2に記載の方法は、ガラス板の光入射側表面に、屈折率の異なる2層の透明膜を順次積層して、光の干渉作用を利用して光反射率を低減させる方法である。特許文献1は車両用反射低減ガラスを対象とし、特許文献2は太陽電池用ガラス基板を対象としている。
特許文献3に記載の方法は、ガラス板の屈折率よりも低い屈折率を有する低反射膜をガラス板の光入射側表面に形成して、反射を防止する方法である。具体的には、シリカ微粒子と金属酸化物のバインダーとを含み、さらにシリカ微粒子間に空隙を含む低反射膜が記載されており、この空隙を含む構造を有するため、低反射膜の屈折率はガラス板の屈折率よりも低くなる。
特開平4−357134号公報 特開平9−175840号公報 特開2001−320067号公報
前記の特許文献1および特許文献2に開示されている方法は、屈折率の異なる2層の透明膜を形成するために、2工程を必要とし、コストが高くなる。また、特許文献3に開示されている方法は、光反射率と低反射膜の強さとの両方を満足することができず、改善が必要である。すなわち、光反射率を低減することを重視して、シリカ微粒子の比率を高くすると、バインダーの比率が低くなって、低反射膜の強さが不足するのである。
本発明は、低反射性透明ガラス板の基板となるガラス板、低反射性透明ガラス板、低反射性透明ガラス板を用いた低反射性透明導電基板、および、低反射性透明導電基板を用いた光電変換素子、ならびに、これらの製造方法を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明は、互いに平行な第1および第2の主表面を有し、第1の主表面がガラス変性層で構成されてなるガラス板において、該ガラス変性層がガラス基部に比して高い屈折率を有するガラス板、および、ガラス板の第1の主表面に金属成分を拡散させることによって、第1の主表面がガラス変性層で構成されてなるガラス板を製造する、ガラス板の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記の本発明のガラス板の第1の主表面上に、該ガラス変性物より低い屈折率を有する、透明な低反射膜が形成されている低反射性透明ガラス板を提供する。
さらに、本発明は、前記の低反射性透明ガラス板の第2の主表面上に、透明導電膜が形成されてなる低反射性透明導電基板、および、フロート法によるガラス板製造工程において、(1)溶融錫に接するガラスリボンの第1の主表面に金属成分を拡散させることによって、ガラス基部より高い屈折率を有するガラス変性層を構成する工程と、(2)ガラスリボンの第2の主表面上に膜形成用ガス原料を供給することによって、ガラスリボン上に透明導電膜を形成する工程とから製造された、第2の主表面上に透明導電膜を備えた、第1の主表面が前記ガラス変性層で構成されているガラス板の第1の主表面上に、該ガラス変性層より低い屈折率を有する、透明な低反射膜を形成する低反射性透明導電基板の製造方法を提供する。
またさらに、本発明は、前記の低反射性透明導電基板の透明導電膜の上に、光電変換層および裏面電極層を形成してなる光電変換素子を提供する。
本発明のガラス板は、ガラス基部より高い屈折率を有するガラス変性層とガラス基部とからなるガラス板であって、単一工程で製造できるので、ガラス板より高い屈折率を有する透明層を積層した積層ガラス板に相当し、積層ガラス板に相当するガラス板を、低コストで製造することができる。
本発明の低反射性透明ガラス板は、前記の、ガラス基部より高い屈折率を有するガラス変性層とガラス基部とからなるガラス板に、該ガラス変性層より低い屈折率を有する、透明な低反射層を形成するので、ガラス板に屈折率の異なる2層の透明膜を形成した積層ガラス板に相当する積層ガラス板を、1層の透明膜を形成することによって製造できるので、透明膜の形成工程が1回省略できる。
本発明の低反射性透明導電基板は、前記の低反射性透明ガラス板の第2の主面上に、透明導電膜を形成するので、低反射性透明ガラス板における本発明の効果を享受できる。
さらに、本発明の低反射性透明導電基板が前記の、フロート法によるガラス板製造工程において、(1)溶融錫に接するガラスリボンの第1の主表面に金属成分を拡散させることによって、ガラス基部より高い屈折率を有するガラス変性層を構成する工程と、(2)ガラスリボンの第2の主表面上に膜形成用ガス原料を供給することによって、ガラスリボン上に透明導電膜を形成する工程とから製造された、第2の主表面上に透明導電膜を備えた、第1の主表面が前記ガラス変性層で構成されているガラス板の第1の主表面上に、該ガラス変性層より低い屈折率を有する、透明な低反射膜を形成する低反射性透明導電基板の製造方法によって形成されると、透明導電膜形成を前記本発明のガラス板の製造と同時におこなえる。
本発明の光電変換素子は、前記の低反射性透明導電基板を用いて、光電変換層および裏面電極層が形成されているので、低反射性透明導電基板における本発明の効果を享受できる。
以下、本発明による好適な実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の低反射性透明ガラス板の一例を示す断面概念図である。ガラス板1は、互いに平行な第1および第2の主表面を有し、第1の主表面がガラス変性層2で構成されており、ガラス基部3と一体となって構成されている。そして、該ガラス変性層2は、ガラス基部3に比して高い屈折率を有する。
前記のガラス変性層2は、変性前には全てが前記のガラス基部3であったガラス板の第1の主表面からガラス板内部に向けて、金属成分を拡散させることによって変性されていることが好ましい。前記の金属成分は、錫および鉄の少なくとも一方を含むことが好ましく、両方の成分を含むことがより好ましい。
前記のガラス変性層2の可視光反射率が、前記のガラス基部3の可視光反射率に対して、0.25%以上大きくなるように、錫と鉄を含むことが、前記のガラス変性層2の上に、透明な低反射膜4を形成したときに、良好な結果が得られるので好ましい。
前記のガラス変性層2に拡散された金属成分は、電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)とそれに装着した波長分散型X線検出器(WDX)を用いて、その最表面から深さ方向の濃度分布を測定する。錫成分はSnO2換算した酸化錫として、鉄成分はFe23換算した酸化鉄として、それぞれの含有量を求める。そして、ガラス変性層2の最表面から10μm程度の深さまでの酸化錫濃度の最大値を1質量%以上とし、最表面から5μm程度の深さまでの酸化鉄濃度の最大値を0.2質量%以上とすると、良好な結果が得られるので望ましい。
前記の変性前には全てがガラス基部3であったガラス板の第1の主表面は、フロート法によるガラス板製造工程における、溶融錫浴において溶融錫に接する表面であって、溶融錫の成分を調整することによって、ガラス中に拡散する金属成分の種類および量を調整することが好ましい。
溶融錫の成分の調整は、溶融錫の微量を酸化する程度の酸化性ガスを、溶融錫浴中に混入させることと、鉄成分を溶融錫中に含ませることでおこなう。酸化性ガスの混入量は、溶融錫浴中の雰囲気の還元性を大きく低下しない程度に管理すべきことはいうまでもない。前記のガラス変性層2の最表面から5μm程度の深さまでの酸化鉄濃度を0.2質量%以上にするためには、溶融錫中に含まれる鉄濃度が100ppm以上とさせることが好ましい。
溶融錫浴中は、窒素ガスと水素ガスとが供給されて還元性雰囲気が保たれているが、溶融錫浴のガス圧力を調整することによって、大気中の酸素を混入させて、溶融錫浴中に微量の酸化性ガスを供給することができる。また、水素ガスの濃度を微量調節することにより、溶融錫浴中に供給する酸化性ガスの供給量を調節することもできる。
前記のガラス変性層2は、ガラス基体3および低反射膜4よりも高い屈折率を有する透明なガラス質の物質であり、前記のごとくフロートバス内でガラス基体3を変性して形成する方法以外に、予め、高い屈折率となるように変性した、ガラス材料を溶融した変性ガラスを、ガラス基体3のガラス材料を溶融した基体ガラスと、を積層してフロートバス内で一体にしてガラス板1として製造することもできる。
図1における低反射膜4は、前記のガラス変性層2の上に形成される。透明な低反射膜4は金属酸化物微粒子およびバインダーを含み、前記金属酸化物微粒子が、前記第1の主表面の反対方向に向かって凸部を形成していることが好ましい。低反射膜4の表面は、その80%以上の領域、特に95%以上の領域において、金属酸化物微粒子による凸部が形成されていることが好ましい。
前記金属酸化物微粒子はシリカ微粒子であることが好ましく、前記のシリカ微粒子は、例えば、ゾルゲル法によりシリコンアルコキシドをアンモニアなどの塩基性触媒の存在下で反応させて合成したシリカ微粒子や、珪酸ソーダなどを原料としたコロイダルシリカ、気相で合成されるヒュームドシリカなどを使用することができる。前記のシリカ微粒子は、シリカ以外の微量成分が含まれていてもよい。
低反射膜4は、シリカ微粒子間に空隙を含むとよい。空隙を含む構造を有することによって、低反射膜4の屈折率は低下する。低反射膜4の屈折率の低下は、低反射膜としての光反射低減効果を向上させることができるので好ましい。低反射膜4の空隙は、シリカ微粒子の粒径により変化させることができる。例えば、シリカ微粒子の粒径を小さくすることによって、微粒子間の空隙を小さくすることができる。
しかしながら、空気中の水分や有機物が徐々に空隙に入り込むと、空隙が減少するために、低反射膜4の屈折率が上昇し、光反射低減効果が徐々に低下する。空隙が小さくなりすぎると毛管力が増して、低反射膜4の表面に付着した汚れが取れにくくなるという問題が派生することがある。このため、シリカ微粒子の平均粒径は10nm以上が好ましく、20nm以上がさらに好ましい。
一方、シリカ微粒子の粒径が大きすぎると、バインダーによるガラス板1とシリカ微粒子との密着性向上作用が低下して、粒子が脱落しやすくなる。このため、シリカ微粒子の平均粒径は1000nm以下が好ましい。
また、シリカ微粒子によって形成される、低反射膜4の表面の凹凸によって、光散乱が起こり、散乱した光が低反射性透明ガラス板を透過するために、光電変換素子の光電変換層における光閉じこめ効果に寄与し、結果として光電変換効率を高めることができるので好ましい。
シリカ微粒子を含む低反射膜4を作製するに際して、シリカ微粒子の含有重量全体を1として、250nm以上の粒子径を有する微粒子を0.01〜0.5の範囲で、かつ平均粒径が500nmを超えない範囲で混入させれば、容易にヘイズ率を30%まで上げることができる。大きな粒子径を有する微粒子のみを使用することにより、さらにヘイズ率を容易に大きくすることができる。例えば、微粒子の含有量を80%、バインダー量を20%として、粒径が200nmのみで形成された膜ではヘイズ率は10%程度、300nmのみでは20%程度、500nmのみでは55%程度、粒径が700nmの微粒子では70%となる。
ヘイズ率が80%以上になると、光吸収の増加が反射率の低下を上回るようになって、光線透過率が減少し始める。しかしながら、全光線の透過光量よりも、拡散光量が望まれる用途においては、ヘイズ率を80%以上としてもよい。
ここで、シリカ微粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定することにより定められる。シリカ微粒子が凝集している場合には、凝集した粒子(例えば鎖状に連なった二次粒子)ではなく、個々の粒子(一次粒子)の粒径を採用してその平均(すなわち平均一次粒径)を求める。さらに本願明細書において、粒径の値は、任意に選択した透過型電子顕微鏡の視野において、一次粒子100個の数平均により平均粒径を定めるものとする。ただし、一次粒径が10nm未満の粒子は上記100個から除外する。
バインダーは、シリカ微粒子同士、およびシリカ微粒子とガラス板との間の密着強度を向上させる。バインダーとして、シリコン酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物およびタンタル酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を使用することが好ましい。
バインダーの原料は、Si、Al、Ti、ZrおよびTaから選ばれる少なくとも1種の金属を含むアルコキシドを使用することが、形成される低反射膜4の膜強度や化学的安定性の観点から好適である。バインダー成分の含有量が大きいと、バインダー成分の屈折率が低反射性透明ガラス板の光反射率に影響を及ぼすので、屈折率の小さいシリコンアルコキシド、特にシリコンテトラアルコキシドまたはそのオリゴマーを使用することが好ましい。
また、バインダーの原料は、複数種類の金属アルコキシドを用いてもよく、金属アルコキシド以外であっても、加水分解によってM(OH)n(Mは金属原子、nは金属の価数に基づいて定まる自然数、例えば1〜4)により示される反応生成物が得られる金属化合物であれば特に限定されない。このような金属化合物は、例えば、金属のハロゲン化物や、イソシアネート基、アシルオキシ基、アミノキシ基などを有する金属化合物が例示される。
なお、シリコンアルコキシドの一種であるR1 mM(OR2n-mで示される化合物(M、nは上記と同様、R1はアルキル基、アミノ基、エポキシ基、フェニル基、メタクリロキシ基などの有機基、R2は主としてアルキル基である有機基、mは1から(n−1)の自然数)もバインダー原料として使用できる。ただし、この化合物を原料とすると、コーティング後のゲル膜に有機残基が残り、この有機残基がナノメートル程度の微細孔を形成する。この微細孔による毛管力は、汚れが除去し難くなったり、光反射率の経時変化を引き起こす。このため、上記化合物は、使用するとしても、金属酸化物に換算して、バインダー総量に対して50重量%以内に制限することが好ましい。
低反射膜4は、例えば、シリカ微粒子と、金属アルコキシドなどの金属化合物とを含むコーティング液を用いて形成される。この際、シリカ微粒子とバインダーとの重量比は50:50〜85:15の範囲が好ましい。バインダーの比率が大き過ぎると、微粒子がバインダーに埋まる部分が大きくなって、微粒子による凹凸や膜内の空隙率が小さくなる。一方、バインダーの比率が小さすぎると、微粒子間およびガラス板1と微粒子との間の密着性が低下する。
コーティング液は、金属化合物の加水分解物をシリカ微粒子と混合することによって調製することができる。しかし、シリカ微粒子の存在下で、加水分解可能な金属化合物を加水分解して調製することが好ましく、この調整方法によって、膜強度が格段に向上される。例えば、シリカ微粒子の存在下で金属アルコキシドを加水分解すると、シリカ微粒子表面のシラノール基と金属アルコキシドとの間の縮合反応がコーティング液中で促進されて、シリカ微粒子間の密着力が高まり、さらに、シリカ微粒子表面の反応性が大きくなって、微粒子とガラス板1との密着力が向上する。
シリカ微粒子の存在下で金属化合物を加水分解した場合、シリカ微粒子の粒径などその他の条件を揃えて、予め金属化合物を加水分解をした後でシリカ微粒子を混合した場合と比較すると、低反射膜4の表面における汚れが除去し易くなる。調整過程における、シリカ微粒子の粒径、微粒子の形状等の変化が微妙に異なることによって違いが出てくるものと推察される。汚れが除去し易いことは、光電変換装置の光電変換効率を維持する観点から望ましいことである。
前記の調整方法による差異を実験によって確認した例を示す。予め加水分解したテトラエトキシシランとコロイダルシリカ(日産化学製「スノーテックスOL」;平均粒径50nm)とを固形分比で20:80として混合して調製したコーティング液を用いて作製した膜と、コロイダルシリカ存在下でテトラエトキシシランを加水分解して調製したコーティング液を用いて作製した膜とを、それぞれの膜の表面を10万倍の倍率により走査型電子顕微鏡を用いて観察した。
その結果、前者の膜では、膜表面に隣り合って並んだ数個のシリカ微粒子の表面を覆っている膜状物が表面の25%程度存在していた。シリカ微粒子を覆っている膜状物は、テトラエトキシシランに由来するバインダー成分からなることが確認された。このため、前者の膜の場合、微粒子同士および微粒子とガラス板との接着のために有効に働くべきバインダーが、上記膜状物となった分だけ減少していると推察される。
一方、後者の膜では、シリカ微粒子表面にこのような膜状物はほとんど観察されず、バインダー成分の全てが微粒子同士および微粒子とガラス板1との接着のために有効に働いていると推察される。
また、後者の方法では、前者の方法と比較して、バインダー量を半分程度に減らしても同等の膜強度が得られることも確認できた。このように、シリカ微粒子の存在下で加水分解を行えば、膜強度を維持したままバインダー成分の含有量を減らすことができる。したがって、後者の方法を採用すれば、膜の見かけ上の屈折率を小さくすることも可能となる。
バインダーが多過ぎるコーティング液、シリカ微粒子が存在しない状態で金属化合物が加水分解されたコーティング液等から形成した低反射膜4は、その表面に膜状物が多く観察され、低反射膜4の表面の凹凸が少なくなっている。さらに、低反射膜内の空隙も少なくなって、低反射膜4の屈折率が大きくなる要因ともなる。
コーティング液を、シリカ微粒子の存在下で金属化合物を加水分解して調製するとき、シリカ微粒子とバインダーの重量比は、66:34〜85:15が好ましく、75:25〜85:15がより好ましい。低反射膜4における、屈折率、シリカ微粒子による表面の凸部、膜強度、表面の膜状物、膜内の空隙をバランスさせることができる。
低反射膜4の微粒子は、2段以上に積層して含まれていてもよいが、微粒子が実質的に単層として含まれていても構わない。また、微粒子の密度は、膜上方から膜面垂直方向に走査型電子顕微鏡により観察して、確認できる微粒子の個数が1平方μmあたり30個以上3000個以下が好ましく、100個以上1000個以下がより好ましい。また、100〜1000nmの以下に述べる平均一次粒径の場合では、10μm角内に10個以上50000個以下であることが好ましく、20個以上25000個以下であることがさらに好ましい。
膜の最表面に並んで観察される微粒子とともに、最表面の微粒子の隙間から観察できる、最表面の微粒子の下側に位置する微粒子もカウントして微粒子の個数を定める。
好ましい微粒子の個数は、微粒子の粒径にも依存する。例えば、微粒子の平均一次粒径がa[nm]である場合、上記と同様、膜上方から垂直に電子顕微鏡により観察して確認される個数は、膜1平方μmあたり、0.1×a−2×106個以上3.0×a−2×106個以下が好ましい。
低反射膜4の平均膜厚は、90nm以上350nm以下が好ましい。この膜厚は、可視光波長域(400〜780nm)から赤外光波長域(780nm〜1.5μm)にかけての波長域における光反射の低減に有効である。ここで、平均膜厚は、透過型電子顕微鏡を用いて5万倍に拡大した低反射膜4の横断面の写真から定める。具体的には、この電子顕微鏡写真の10cm(実質2μm)の長さを任意に取り、表面に存在する最も大きい凸部を12個選び、最も大きい方から数えて3番目から12番目までの10個の凸部の基板表面からの高さの平均値を平均厚みとして採用する。
使用する粒子径が100nm以上の微粒子を多数含む場合には、電子顕微鏡で5000倍に拡大した電子顕微鏡写真の10cm四方(実質20μm四方)を任意に取って、上記方法によって平均厚みを求める。
なお、光学厚み(n・d)で定義される物理厚みdの値は、上記の方法により定めた平均厚みよりも小さくなる。上記平均厚み90〜350nmに相当する光学的物理厚みdは、概略、80〜300nmである。
低反射膜4中に含まれるシリカ微粒子の粒径は、コーティング液の調製の際に用いるシリカ微粒子の粒径に比して、微粒子表面に付着するバインダーによって、若干増加する。しかし、バインダーの比率が少ない場合には、微粒子の粒径は、殆ど変化しない。
以下、コーティング液を用いた低反射膜の成膜方法について、さらに詳細に説明する。
コーティング液は、好ましくはシリカ微粒子の存在の下、加水分解可能な金属化合物、加水分解用触媒、水および溶媒を混合し、金属化合物を加水分解して調製する。加水分解は、例えば、室温で1時間以上攪拌して反応させることにより、あるいは室温よりも高い温度、例えば40〜80℃で10〜50分攪拌することにより行うことができる。得られたコーティング液は、コーティングの方法に応じて適当な溶媒で希釈しても構わない。
加水分解用触媒としては、塩酸や硝酸などの鉱酸や酢酸等の酸触媒が好ましい。酸触媒を用いると、金属アルコキシドが反応してM(OR)nが生成しやすくバインダーとして有効に作用する反応生成物が豊富に提供される。塩基性触媒では、加水分解が律速となり縮合反応が速くなる。このため、アルコキシドの反応生成物が微粒子化したり、微粒子の粒径成長に金属アルコキシドが消費され、バインダーとして作用する生成物が少なくなる。触媒の添加量は、バインダーとなる金属化合物に対してモル比で0.001以上4以下が好ましい。
加水分解に必要な水の添加量は、金属化合物に対してモル比で0.1以上100以下が好ましい。水の添加量がモル比で0.1より少ないと金属化合物の加水分解が十分に促進されない。一方、水添加量がモル比で100より多いと、コーティング液の安定性が低下する。
なお、金属化合物としてクロロ基含有化合物を用いる場合には、必ずしも水や触媒の添加は必要ではない。溶媒中の水分や雰囲気中の水分などにより加水分解が進行するからである。この加水分解に伴って液中に塩酸が遊離し、さらに加水分解が進行する。
溶媒は、金属化合物を溶解できるものであれば特に制限されず、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピルセロソルブなどのセロソルブ類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類を用いることができる。
溶媒に溶解させる金属化合物の濃度は、20重量%以下が好ましく、1〜20重量%がさらに好ましい。金属化合物の濃度があまり高すぎると、分散させるシリカ微粒子の量にもよるが、コーティング液から形成される膜中の、微粒子の間に十分な空隙が生じなくなる場合がある。
また、コーティング液におけるシリカ微粒子と金属化合物との比率は、金属化合物をそれに対応する金属酸化物(例えばSiO2、Al23、TiO2、ZrO2、Ta25)に換算して、重量比で50:50〜99:1が好ましい。なお、コーティング液をシリカ微粒子の存在下で金属化合物を加水分解して調製する場合には、上記重量比は、より好ましくは66:34〜95:5、さらに好ましくは75:25〜90:10である。シリカ微粒子が存在しない状態で金属化合物の加水分解を行う場合には、上記重量比は、より好ましくは50:50〜85:15であり、さらに好ましくは60:40〜75:25である。
本発明におけるコーティング液の好ましい原料配合比を以下に例示する。
加水分解可能な金属化合物(金属酸化物換算) 100重量部
平均一次粒径10〜500nmのシリカ微粒子 100〜9900重量部
水 50〜10000重量部
酸触媒 0.01〜200重量部
溶媒 1000〜500000重量部
コーティング液をガラス板1に塗布し、加熱することにより、金属化合物の加水分解物の脱水縮合反応、揮発成分の気化および燃焼が進行し、ガラス板1上に低反射膜4が形成される。
コーティング液のガラス板1への塗布方法は、特に限定されないが、スピンコーター、ロールコーター、スプレーコーター、カーテンコーター等の装置を用いる方法や、浸漬引き上げ法(ディップコーティング法)、流し塗り法(フローコーティング法)などの方法、スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法を用いることができる。
塗布後の加熱処理は、実質的にシリカ微粒子およびバインダーからなる低反射膜4と、ガラス板1との密着性を向上させる上で有効である。加熱温度としては、最高到達温度により表示して、200℃以上が好ましく、400℃以上、特に600℃以上がより好ましく、1800℃以下が好適である。概略、200℃以上でコーティング液の溶媒成分が蒸発し、膜のゲル化が進行して接着力が生じる。400℃以上では膜に残存した有機成分がほぼ完全に燃焼により消失して、さらにゲル化が進行し、接着力が増大する。600℃以上では、残存した未反応のシラノール基や金属化合物の加水分解物の加水分解基の縮合反応がほぼ完了して膜強度が向上する。加熱時間は5秒〜5時間が好ましく、30秒〜1時間がより好ましい。
図2は、本発明の低反射性透明導電基板の一例を示す断面概念図である。
前記ガラス板1の第2の主表面上に下地膜5と透明導電膜6とを形成する。下地膜5は、第1の下地膜5aと第2の下地膜5bからなる2層膜とすることが好ましい。この場合、第1の下地膜5aは、酸化錫を主成分とする膜が好ましい。また、第2の下地膜5bは、酸化珪素および酸化アルミニウムから選ばれた、少なくとも一種を主成分として含む膜が好ましく、酸化珪素膜であることが特に好ましい。
下地膜5は単層の膜としてもよい。単層の膜としては、例えば、酸化珪素、酸炭化珪素(SiOC)および酸化アルミニウムから選ばれた、少なくとも一種を主成分とする膜が好ましい。
透明導電膜6は、酸化錫を主成分とする膜が好ましく、さらに導電性向上のために、フッ素などの元素が所定量添加された酸化錫を主成分とする膜であることが好ましい。透明導電膜6は、膜形成原料の熱分解酸化反応を伴う方法により形成された膜であることが好ましい。
ここで、「主成分とする」とは、慣用に従って、当該成分を含有する比率が50重量%以上であることをいい、当該成分を含有する比率は、70重量%以上、さらには、90重量%以上であることが好ましい。
下地膜5および透明導電膜6の好ましい膜厚を以下に例示する。
第1の下地膜5a 0〜 100nm
第2の下地膜5b 10〜 40nm
透明導電膜6 400〜1200nm
本発明の透明導電膜6は、一層に限らず、複数層の積層体としてもよく、積層体の場合には、同一組成の層を複数層としたり、異なる組成の層を積層してもよい。
前記の下地膜5および透明導電膜6は、スパッタリング法、真空蒸着法などのいわゆる物理蒸着法や、スプレー法、あるいは、化学気相法(CVD法)など熱分解酸化反応を伴う化学蒸着法によって、ガラス板1上に形成できる。
化学蒸着法において、原料液を霧化して膜形成用ガス原料とし、ガラスリボン表面に供給するスプレー法、または、原料を気化させて膜形成用ガス原料とし、ガラスリボン表面に供給するCVD法が適用できる。
上記の製造方法の中で、フロートガラス製造工程において、ガラスリボンの第2の主表面上に膜形成用ガス原料を供給することによって、ガラスリボン上に膜が形成される、オンラインCVD法を適用することが好ましい。ガラスリボンが有する熱を利用しながら、上記各膜を、連続的にガラスリボン面に順次堆積することができる。そして、高温での成膜が可能になる。
図4は、オンラインCVD法で使用する装置の一例を示す概念図である。
ソーダライムガラス材料が、溶融炉(フロート窯)11からフロートバス12内に流れ出し、ガラスリボン10となって溶融錫浴15上を移動して半固形となった後、ローラ17により引き上げられて徐冷炉13へと送り込まれる。徐冷炉13で固形化したガラスリボン10は、図示を省略する切断装置により所定の大きさのガラス板へと切断される。
ガラス板の第1の主表面が、溶融錫浴15において溶融錫に接する面であり、第2の主表面がその反対面(溶融錫浴15において溶融錫に接しない面)である。本発明のガラス変性層2は溶融錫の成分を調整することによって、第1の主表面近傍のガラスを変性して、ガラス変性層2を形成する。
溶融錫浴15上にある、高温状態のガラスリボン10の第2の主表面から所定距離を隔てて、所定個数のコータ16(図示した形態では、3つのコータ16a、16b、16c)がフロートバス12内に配置される。これらのコータ16からは膜形成用ガス原料がガラスリボン10の第2の主表面上に、連続的に順次供給され、ガラスリボン10の第2の主表面上に下地膜5および透明導電膜6が形成される。
膜形成用ガス原料の原料は、気体状、液体状および固体状いずれでもよいが、ガラスリボン10の表面に供給されるときには、気体状であることが好ましい。原料、および、気体状希釈剤を事前に混合して混合気体とし、ガラスに向けて供給されるのが好ましい。混合が十分に行われないと、混合気体の組成のばらつきのために、形成された膜に組成ムラや膜厚ムラが発生しやすくなって、好ましくない。
膜形成用ガス原料が供給されるガラスリボン10の表面温度は、コータ16に到達する直前に所定温度となるように、溶融錫浴12に設置されたヒータ(図示省略)によって制御する。前記の温度は600〜750℃が好ましく、630〜750℃がより好ましい。
オンラインCVD法により、第1の下地層5aおよび透明導電膜6として、酸化錫を主成分とする膜を形成する場合、錫原料としては、モノブチル錫トリクロライド、四塩化錫、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジクロライド、テトラメチル錫等が挙げられ、モノブチル錫トリクロライド、ジメチル錫ジクロライド等の有機錫塩化物が特に好適である。
錫原料の酸化のために、膜形成用ガス原料にに酸素、水蒸気、乾燥空気などを酸化原料として含ませるとよい。
また、透明導電膜6にフッ素を含有させる場合、膜形成用ガス原料に、フッ化水素、トリフルオロ酢酸、ブロモトリフルオロメタン、クロロジフルオロメタン等をフッ素原料として含ませるとよい。
オンラインCVD法により、第2の下地膜5bとして、酸化珪素を主成分とする膜を形成する場合、珪素原料としては、モノシラン、ジシラン、トリシラン、モノクロロシラン、1,2−ジメチルシラン、1,1,2−トリメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメチルジシラン、テトラメチルオルソシリケート、テトラエチルオルソシリケート等が挙げられる。
オンラインCVD法により、第2の下地膜5bとして、酸化アルミニウムを主成分とする膜をCVD法により成膜する場合、アルミニウム原料としては、トリメチルアルミニウム、アルミニウムトリイソポプロポキサイド、塩化ジエチルアルミニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、塩化アルミニウム等が挙げられる。
珪素原料またはアルミニウム原料の酸化のために、膜形成用ガス原料に酸素、水蒸気、乾燥空気などを酸化原料として含ませるとよい。
珪素原料として、モノシラン等の反応性の極めて高い珪素原料を使用する場合には、エチレン、アセチレン、トルエンなどの不飽和炭化水素ガスを添加して反応性を制御するとよい。
下地膜5および透明導電膜6の表面に凹凸を付与して、透過光を散乱させることによって、透明導電層6の上に形成する光電変換層7内部での光路長が長くなって、光閉じ込め効果が得られるので、好ましい。透明導電膜6の表面の凹凸は、形成した膜表面にエッチング等の後加工を施すことによって形成できる。しかし、透明導電膜6の表面に露出した結晶粒子の形状を適正化して、凹凸を形成することが、後工程を省略できるのでより好ましい。
図3は、本発明の光電変換素子の一例を示す断面概念図である。透明導電膜6の上に光電変換層7および裏面電極層8を順次形成して構成される。光電変換層7は、導電性不純物を含まない真性のシリコン半導体層(i層)を、導電性不純物を含んでいるシリコン半導体層2層(n層およびp層)で挟んだ、nipの3層構造を基本とする多層膜で構成される。裏面電極層8は、金、銀、銅、鉄等の金属薄膜で構成される。光電変換層7と裏面電極層8との接触を強くするために、さらに透明導電膜を形成してもよい。
低反射膜4側から入射した光が、光電変換層7において電気エネルギーを発生させ、透明導電層6と裏面電極8とから外部に取り出して利用される。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
(実施例1および比較例1)
所定のガラス組成となるようにガラス原料を調合し、このガラス原料を図4に示す溶融炉11に投入して溶融し、溶融ガラスとした後、鉄含有量および清浄度が異なる溶融錫を入れた溶融錫浴15に流入させ、徐冷炉13で徐冷した後に所定の大きさに切断して、ガラス板試料を得た。ただし、コータ16は使用しなかった。
溶融錫中の鉄濃度、溶融錫の清浄度、得られたガラス板試料の第1の主表面(ガラス変性層)の最表面付近の酸化錫濃度の最大値、酸化鉄濃度の最大値および光反射率、ならびに、第1の主表面と第2の主表面の光反射率の差を表1に示した。
溶融錫中の鉄濃度は、サンプリングした溶融錫を冷却固化した後、塩酸に溶解し、得られた溶液についてグロー放電発光分析法により測定した。また第1の主表面の最表面付近の酸化錫濃度、および、酸化鉄濃度の定量は、前述の通りEPMA(日本電子製、JXA8600)によるWDX分析(加速電圧15kV,試料電流2.5×10−7A、スキャンスピード6μm/分、分光結晶 Sn:PET,Fe:LiF)で行った。光反射率は、分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)により測定した。
溶融錫の清浄度は、錫浴内の下流部分を目視により観察し、酸化錫が溶融錫に浮遊していれば「汚染」、浮遊していなければ「清浄」と判断した。
実施例1では、溶融錫の清浄度が「汚染」と判断される程度に、フロートバス内へ供給する水素ガスの窒素ガスに対する比率を従来の水準よりも低くした。
(実施例2、比較例2)
このようにして得たガラス板試料の第1の主表面に、以下のようにシリカ微粒子とバインダーからなる低反射膜4を形成して、実施例2および比較例2の低反射性ガラス板を得た。
シリカ微粒子分散液(日本触媒製「シーホスターKE−W10」、平均一次粒径110nm、固形分15%)46.67gを撹拌しながら、それにエチルセロソルブ41.9g、テトラエトキシシラン10.4g、濃硝酸1.0gを順次添加し、3時間反応させ、固形分3%のコーティング液を作成した。この微粒子含有加水分解液30gとジアセトンアルコール30g、プロピレングリコール40gを混合し、コーティング液とした。このコーティング液をスピンコートにより、上記第1の主表面の上に平均膜厚で130nmに成膜し、さらに500℃の電気炉に10分間保持することにより低反射膜4を形成した。
実施例1のガラス板試料に低反射膜4を形成した実施例2と、比較例1のガラス板試料に低反射膜4を形成した比較例2の、低反射膜4側の表面の光反射率を測定し、表2に示した。
Figure 2005330172
Figure 2005330172
表1、表2より、実施例1のガラス板試料および比較例1のガラス板試料の第1の主表面上に低反射膜4を形成した実施例2および比較例2を比較することにより、実施例1において光反射率が大きく低減することがわかる。
(実施例3および比較例3)
コータ16から膜形成用ガス原料を供給した以外は、実施例1および比較例1と同様にして、透明導電基板試料を作成した。
コータ16に到達する直前のガラスリボンの温度は約650℃とした。第1のコータ16aから、ジメチル錫ジクロライド(蒸気)、酸素、窒素からなる膜形成用ガス原料を供給して、ガラスリボン10上に、膜厚が25nmのSnO2膜を成膜した。引き続いて、第2のコータ16bから、モノシラン、エチレン、酸素および窒素からなる膜形成用ガス原料を供給し、前記のSnO2膜上に、膜厚が25nmのSiO2膜を成膜した。さらに、第3のコータ16cおよび図示していない第4および第5のコータから、ジメチル錫ジクロライド(蒸気)、酸素、窒素、およびフッ化水素(蒸気)からなる膜形成用ガス原料を供給し、前記のSiO2膜の上に、膜厚が600nmのSnO2:F膜を成膜した。成膜後、ガラスリボン10は徐冷炉で徐冷し、さらに搬送下流側に配置した切断機により、所定寸法に切断した。透明導電基板のヘイズ率は8.0%であった。
このようにしてガラス変性層2を形成した実施例3のガラス板試料を作成すると同時に、フロートバス12内で下地膜5および透明導電膜6を成膜した実施例3の透明導電基板試料、ガラス変性層を形成しない比較例3のガラス板試料、および、比較例3の透明導電基板試料を得た。そして、実施例3および比較例3の透明導電基板の、それぞれの第1の主表面に、実施例2(比較例2)と同じ方法で低反射膜4を形成し、実施例3および比較例3の低反射性透明導電基板試料を得た。
こうして得た、実施例3および比較例3の低反射性透明導電基板試料の透過率を表3に示した。ここの透過率も、上記分光光度計により測定した。
Figure 2005330172
表3より、ガラス変性層2上に低反射膜4を形成することにより、低反射性透明導電基板の透過率を高くすることが可能であることがわかる。
本発明の低反射性透明ガラス板は、透明性、低反射性能が優れていて、かつ、汚れが除去しやすい性質を有しているので、建物用窓ガラス、自動車用窓ガラス、ディスプレイ用ガラス基板、太陽電池用保護ガラス等に利用できる。また、本発明の低反射性透明導電基板は、透明性、導電性、低反射性が優れていて、透明導電膜の表面に適度な凹凸を有し、かつ汚れが除去し易いので、屋外で使用される光電変換素子の基板として利用できる。
図1は、本発明の低反射性透明ガラス板の一例を示す断面概念図である。 図2は、本発明の低反射性透明導電基板の一例を示す断面概念図である。 図3は、本発明の光電変換素子の一例を示す断面概念図である。 図4は、オンラインCVD法で使用する装置の一例を示す概念図である。
符号の説明
1 板ガラス
2 ガラス変性層
3 ガラス基部
4 低反射膜
5 下地膜
6 透明導電膜
7 光電変換層
8 裏面電極層
10 ガラスリボン
11 溶融炉
12 フロートバス
13 徐冷炉
15 溶融錫浴
16(16a、16b、16c) コータ
17 ローラ

Claims (9)

  1. 互いに平行な第1および第2の主表面を有し、第1の主表面がガラス変性層で構成されてなるガラス板において、該ガラス変性層がガラス基部に比して高い屈折率を有していることを特徴とするガラス板。
  2. ガラス板の第1の主表面に金属成分を拡散させることによって第1の主表面が変性されて、請求項1に記載のガラス板が製造されることを特徴とするガラス板の製造方法。
  3. 金属成分が、錫および鉄の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項2に記載のガラス板の製造方法。
  4. ガラス板の第1の主表面が、溶融錫浴において溶融錫に接する表面であることを特徴とする請求項2または3に記載のガラス板の製造方法。
  5. 請求項1に記載のガラス板の第1の主表面上に、該ガラス変性物より低い屈折率を有する、透明な低反射膜が形成されていることを特徴とする低反射性透明ガラス板。
  6. 透明な低反射膜が金属酸化物微粒子およびバインダーを含み、前記金属酸化物微粒子が、前記第1の主表面の反対方向に向かって凸部を形成していることを特徴とする請求項5に記載の低反射性透明ガラス板。
  7. 請求項5または6に記載の低反射性透明ガラス板の第2の主表面上に、透明導電膜が形成されていることを特徴とする低反射性透明導電基板。
  8. フロート法によるガラス板製造工程において、(1)溶融錫に接するガラスリボンの第1の主表面に金属成分を拡散させることによって、ガラス基部より高い屈折率を有するガラス変性層が構成される工程と、(2)ガラスリボンの第2の主表面上に膜形成用ガス原料を供給することによって、ガラスリボン上に透明導電膜が形成される工程とから製造された、第2の主表面上に透明導電膜を備えた、第1の主表面が前記ガラス変性層で構成されているガラス板の第1の主表面上に、該ガラス変性層より低い屈折率を有する、透明な低反射膜が形成されることを特徴とする低反射性透明導電基板の製造方法。
  9. 請求項7に記載の低反射性透明導電基板の透明導電膜の上に、光電変換層および裏面電極層が形成されていることを特徴とする光電変換素子。
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