JP7283529B1 - 積層膜付き基材 - Google Patents
積層膜付き基材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7283529B1 JP7283529B1 JP2021214754A JP2021214754A JP7283529B1 JP 7283529 B1 JP7283529 B1 JP 7283529B1 JP 2021214754 A JP2021214754 A JP 2021214754A JP 2021214754 A JP2021214754 A JP 2021214754A JP 7283529 B1 JP7283529 B1 JP 7283529B1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- laminated film
- substrate
- layer
- glass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Abstract
Description
近年、パノラマルーフの需要が増大するにつれ、透過率と放射率に対する要望が多様化しており、メーカーは多品種の製品を製造する必要があり、品種が増えるに従って、生産性の向上が難しくなるという問題があった。
(1)ガラス基板と前記ガラス基板上に配置される膜とを備えた膜付き基材であって、前記ガラス基板は、板厚が5mm以下であり、相互に対向する第1の面及び第2の面を有し、前記ガラス基板の前記第1の面に前記膜が設置され、前記膜付き基材の標準A光源に基づく可視光透過率が30%未満であり、かつ前記膜側表面の放射率が0.25未満である膜付き基材。
(2)前記膜付き基材のシート抵抗値が30Ω/□以下である、前記(1)に記載の膜付き基材。
(3)前記膜のキャリア密度が1×1019/cm3以上である、前記(1)又は(2)に記載の膜付き基材。
(4)前記膜の移動度が20cm2/Vs以上である、前記(1)~(3)のいずれか1つに記載の膜付き基材。
(5)前記膜付き基材の日射透過率が30%未満である、前記(1)~(4)のいずれか1つに記載の膜付き基材。
(6)前記膜が、前記ガラス基板側から順番に熱線吸収層と赤外線反射層を含む、前記(1)~(5)のいずれか1つに記載の膜付き基材。
(7)前記赤外線反射層が、フッ素ドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、ガリウムドープ酸化亜鉛及びアルミニウムドープ酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも1つのドープ型金属酸化物の膜を含む、前記(6)に記載の膜付き基材。
(8)前記赤外線反射層がフッ素ドープ酸化スズ膜を備える、前記(6)又は(7)に記載の膜付き基材。
(9)前記赤外線反射層の厚みが100~400nmである、前記(6)~(8)のいずれか1つに記載の膜付き基材。
(10)前記熱線吸収層がアンチモンドープ酸化スズの膜を含む、前記(6)~(9)のいずれか1つに記載の膜付き基材。
(11)前記熱線吸収層に含まれるアンチモン濃度が5~20mol%である、前記(10)に記載の膜付き基材。
(12)前記熱線吸収層の厚みが300~700nmである、前記(6)~(11)のいずれか1つに記載の膜付き基材。
(13)前記膜がさらに光学調整層を有し、前記光学調整層は、前記ガラス基板と前記熱線吸収層との間に配置される、前記(6)~(12)のいずれか1つに記載の膜付き基材。
(14)前記光学調整層が、SiOC膜、SiOC/SiO2積層膜、TiO2/SiO2積層膜及びSnO2/SiO2積層膜からなる群から選択される少なくとも1つの膜を備える、前記(13)に記載の膜付き基材。
(15)前記光学調整層がSiOC膜を備える、前記(13)に記載の膜付き基材。
(16)前記膜が熱CVD法により形成されたものである、前記(1)~(15)のいずれか1つに記載の膜付き基材。
(17)前記膜が前記ガラス基板の製造ライン上で前記熱CVD法により形成されたものである、前記(16)に記載の膜付き基材。
(19)前記(1)~(17)のいずれか1つに記載の膜付き基材と中間膜と外側ガラス板とをこの順に有する合わせガラス。
(20)車両のルーフに用いる前記(19)に記載の合わせガラス。
(21)前記(19)に記載の合わせガラスを有するパノラマルーフ。
以下、各層について説明する。
ガラス基板1は、膜付き基材10の骨格となり、自己支持性を有するものである。
ガラス基材を構成するガラスとしては、例えば、ソーダライムシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、ボレートガラス、リチウムアルミノシリケートガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。
ガラス基板の板厚は、4.5mm以下であるのが好ましく、4.3mm以下がより好ましく、4.1以下がさらに好ましい。ガラス基板の板厚は、1mm以上であるのが好ましく、1.3mm以上がより好ましく、1.6mm以上がさらに好ましい。
例えば、膜付き基材を車両に利用する場合、ガラス基板の主面の面積は0.5~5m2であるのが好ましく、膜付き基材を建築物に利用する場合、ガラス基板の主面の面積は0.5~10m2であるのが好ましい。
図1に示した実施形態では、ガラス基板に積層される膜は、ガラス基板1に近い側から熱線吸収層3と赤外線反射層5を備えている。
熱線吸収層3は、日射熱を反射して、膜付き基材に遮熱性を与える層であり、結晶性を有している。
なお、熱線吸収層に含まれるアンチモン濃度は5~20mol%であるのが好ましい。熱線吸収層中のアンチモン濃度が5mol%以上であると、遮熱性を発現できるとともに、透過率を下げることができ、アンチモン濃度が20mol%以下であると、ドープ前の結晶構造を維持することができる。熱線吸収層に含まれるアンチモン濃度は、6mol%以上であるのがより好ましく、7mol%以上がさらに好ましく、8mol%以上が特に好ましく、また、19mol%以下であるのがより好ましく、18mol%以下がさらに好ましく、15mol%以下が特に好ましい。
例えば、アンチモン(Sb)濃度は、X線光電子分光法(XPS)による深さ方向の分析を行い、SbとSnの強度比から調べられる。フッ素(F)濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS)による深さ方向の分析を行い、FとSnの強度比から調べられる。なお、SIMSについては、濃度既知のフッ素添加錫SnO2を測定し、F/Snの強度比から濃度に変換する係数を求める必要がある。
熱線吸収層の厚みは、350nm以上であるのがより好ましく、400nm以上がさらに好ましく、450nm以上が特に好ましく、900nm以下であるのがより好ましく、800nm以下がさらに好ましく、700nm以下が特に好ましい。
なお、熱線吸収層は、金属酸化物の結晶粒により成膜されるので、ガラス基板側とは反対側の面に凹凸形状を有する。よって、熱線吸収層の「厚み」は場所によって異なるが、本発明においては測定領域における熱線吸収層の平均厚みを表すものとする。
結晶粒の大きさは、30nm以上であるのが好ましく、50nm以上がより好ましく、80nm以上がさらに好ましく、また、結晶粒形は大きいほど良いため、特に上限値はないが、一般的に1500nm以下であるのが好ましく、1200nm以下がより好ましく、1000nm以下がさらに好ましい。
赤外線反射層5は、赤外線を反射し、膜付き基材に断熱性を付与する層であり、結晶性を有している。
ドープさせる不純物元素としては、例えば、フッ素、アンチモン、スズ、カリウム、アルミニウム、タンタル、ニオブ、窒素、ホウ素、インジウム等が挙げられる。
具体的に、赤外線反射層が、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)からなる群から選択される少なくとも1つのドープ型金属酸化物の膜を備えるのがより好ましく、より高い断熱性を得るという観点から、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜を備えるのがさらに好ましい。
赤外線反射層に含まれる不純物元素の濃度は、0.01mol%以上であるのが好ましく、0.1mol%以上がより好ましく、0.5mol%以上がさらに好ましく、また10mol%以下であるのがより好ましく、8mol%以下がさらに好ましく、5mol%以下が特に好ましい。
なお、不純物元素の濃度は、赤外線反射層中に複数の不純物元素を含む場合は、その総量である。
赤外線反射層の厚みは、120nm以上であるのがより好ましく、130nm以上がさらに好ましく、150nm以上が特に好ましく、また、380nm以下であるのがより好ましく、350nm以下がさらに好ましい。
赤外線反射層が異種材料の複層で構成される場合、赤外線反射層の「厚み」は、各層の厚みの合計で表される。
なお、赤外線反射層は、金属酸化物の結晶粒により成膜され、赤外線反射層が積層される熱線吸収層の表面は凹凸形状であるので、層の表面(すなわち、熱線吸収層側表面と該熱線吸収層とは反対側の表面)に凹凸形状を有する。よって、赤外線反射層の「厚み」は場所によって異なるが、本発明においては測定領域における赤外線反射層の平均厚みを表すものとする。
結晶粒の大きさは、30nm以上であるのが好ましく、50nm以上がより好ましく、80nm以上がさらに好ましく、また、結晶粒形は大きいほど良いため、特に上限値はないが、一般的に1000nm以下であるのが好ましく、800nm以下がより好ましく、500nm以下がさらに好ましい。
赤外線反射層に含まれるフッ素の濃度は、0.05mol%以上であるのがより好ましく、0.1mol%以上がさらに好ましく、また5mol%以下であるのがより好ましく、3mol%以下がさらに好ましい。
赤外線反射層と熱線吸収層の厚みの合計は、550nm以上であるのがより好ましく、600nm以上がさらに好ましく、650nm以上が特に好ましく、また、1100nm以下であるのがより好ましく、900nm以下がさらに好ましい。
本発明の膜付き基材は、図2に示すように、膜2がさらに光学調整層7を有していてもよい。膜付き基材20が光学調整層7を備える場合、光学調整層7は、ガラス基板1と熱線吸収層3との間に配置されるのが好ましい。
中でも、アルカリバリア性の観点から、光学調整層にはケイ素が含まれることが好ましく、SiOC膜、SiOC/SiO2積層膜、TiO2/SiO2積層膜及びSnO2/SiO2積層膜からなる群から選択される少なくとも1つの膜を有するのがより好ましく、SiOC膜を備えているのがさらに好ましい。
光学調整層の厚みは、20nm以上であるのがより好ましく、25nm以上がさらに好ましく、30nm以上が特に好ましく、また、100nm以下であるのが好ましく、90nm以下がより好ましく、80nm以下がさらに好ましく、70nm以下が特に好ましい。
本発明の膜付き基材には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の層を備えていてもよい。
その他の層としては、オーバーコート層等が挙げられる。
本発明の膜付き基材は、標準A光源に基づく可視光透過率(Tva、以下「A光源透過率」ともいう。)が30%未満である。A光源透過率(Tva)が30%未満であると、十分な熱線吸収性を担保できる。
A光源透過率(Tva)は、28%以下であるのが好ましく、25%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。また、自動車や建築物に使われたときに望ましい外観にできるという観点から、A光源透過率(Tva)は、1%以上であるのが好ましく、2%以上がより好ましく、4%以上がさらに好ましい。
日射透過率(Te)は、28%以下であるのがより好ましく、25%以下がさらに好ましく、20%以下が特に好ましい。また、自動車や建築物に使われたときに望ましい外観にできるという観点から、日射透過率(Te)は、1%以上であるのが好ましく、2%以上がより好ましく、4%以上がさらに好ましい。
放射率(En)は、0.23以下であるのがより好ましく、0.20以下がさらに好ましく、0.17以下が特に好ましい。また、放射率は低いほど断熱性に優れるため放射率の下限は特に限定されないが、0.01以上であるのが好ましく、0.02以上がより好ましく、0.04以上がさらに好ましい。
シート抵抗の値は、25Ω/□以下であるのがより好ましく、20Ω/□以下がさらに好ましい。また、シート抵抗の値が低いほど電気が流れやすくなり放射率が低くなるため、シート抵抗の値の下限は特に限定されないが、1Ω/□以上であるのが好ましく、2Ω/□以上がより好ましく、3Ω/□以上がさらに好ましい。
膜の移動度は、25cm2/Vs以上であるのがより好ましく、27cm2/Vs以上がさらに好ましく、30cm2/Vs以上が特に好ましく、35cm2/Vs以上が最も好ましい。また、移動度は高ければ高いほどよいため上限は特に限定されないが、100cm2/Vs以下であるのが好ましく、90cm2/Vs以下がより好ましく、80cm2/Vs以下がさらに好ましい。
赤外線反射層の移動度は、25cm2/Vs以上であるのがより好ましく、27cm2/Vs以上がさらに好ましく、30cm2/Vs以上が特に好ましく、35cm2/Vs以上が最も好ましい。また、移動度は高ければ高いほどよいため上限は特に限定されないが、100cm2/Vs以下であるのが好ましく、90cm2/Vs以下がより好ましく、80cm2/Vs以下がさらに好ましい。
膜付き基材のキャリア密度は、2×1019/cm3以上であるのがより好ましく、5×1019/cm3以上がさらに好ましく、1×1020/cm3以上が特に好ましい。また、キャリア密度は高ければ高いほどよいため上限は特に限定されないが、1×1022/cm3以下であるのが好ましく、1×1021/cm3以下がより好ましく、5×1020/cm3以下がさらに好ましい。
赤外線反射層のキャリア密度は、2×1019/cm3以上であるのがより好ましく、5×1019/cm3以上がさらに好ましく、1×1020/cm3以上が特に好ましい。また、キャリア密度は高ければ高いほどよいため上限は特に限定されないが、1×1022/cm3以下であるのが好ましく、1×1021/cm3以下がより好ましく、5×1020/cm3以下がさらに好ましい。
ヘイズ(Haze)は9%以下であるのがより好ましく、7%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。また、ヘイズ(Haze)は小さいほど好ましいため、下限は特に限定されない。
次に、図3を参照して、本発明の膜付き基材の製造方法の一例について説明する。
なお、ここでは、一例として、図1に示した膜付き基材10を例に、その製造方法について説明する。
図3に示したように、本発明の膜付き基材の製造方法は、
(a)ガラス基板の第1の面に、熱線吸収層を設置するステップ(ステップS1)と、
(b)熱線吸収層の上に、赤外線反射層を設置するステップ(ステップS2)と、
を有する。
まず、ガラス基板が準備される。前述のように、ガラス基板の種類は特に限られず、ソーダライムシリケート系の高透過ガラスであってもよい。
熱線吸収層は、原料として、無機系または有機系のスズ化合物と、アンチモン化合物との混合物が使用される。
水の量が5mol未満であると、形成する膜の抵抗値が増大しやすく、結果としてアンチモンによる熱線吸収機能が低下しやすくなる。また、核生成の起点が少なくなり、結果として結晶粒が大きく成長しやすく、表面の凹凸が激しくなりやすい。一方、水の量が50mol超であると、水の量の増加にともない、原料ガス容量が増大し、原料ガスの流速が高まることにより、着膜効率が低下するおそれがある。また、核生成の起点が多くなり、結果として結晶粒が小さく成長しやすく、表面がフラットになりやすい。
ガラスの温度が500℃未満であると、熱線吸収層の形成速度が低下することがある。また、原料ガスの分解により生成した前駆体は、ガラスおよび熱線吸収層の表面で反応する速度よりも、ガラスおよび熱線吸収層の表面を拡散する速度の方が大きくなる。その結果、より多くの前駆体がガラスおよび熱線吸収層の表面の凹凸に流れ込み、表面がフラットになる傾向にある。一方、ガラスの温度が650℃超であると、ガラスの粘性が低い状態で成膜が実施されるため、ガラスが室温まで降温される過程で、反りが生じるおそれがある。また前記前駆体が、ガラスおよび熱線吸収層の表面を拡散する速度よりも、ガラスおよび熱線吸収層の表面で反応する速度の方が大きくなる。その結果、ガラスおよび熱線吸収層表面の凹凸に前駆体があまり流れ込まなくなり、表面の凹凸が大きくなる傾向にある。
次に、熱線吸収層の上に、赤外線反射層を形成する。
水の量が5mol未満であると、形成する膜の抵抗値が増大しやすく、結果として赤外線反射機能が低下しやすくなる。また、核生成の起点が少なくなり、結果として結晶粒が大きく成長しやすく、表面の凹凸が激しくなりやすい。一方、水の量が50mol超であると、水の量の増加にともない、原料ガス容量が増大し、原料ガスの流速が高まることにより、着膜効率が低下するおそれがある。また、核生成の起点が多くなり、結果として結晶粒が小さく成長しやすく、表面がフラットになりやすい。
処理温度が500℃未満であると、赤外線反射層の形成速度が低下することがある。また、原料ガスの分解により生成した前駆体は、ガラスおよび赤外線反射層の表面で反応する速度よりも、ガラスおよび赤外線反射層の表面を拡散する速度の方が大きくなる。その結果、より多くの前駆体がガラスおよび赤外線反射層の表面の凹凸に流れ込み、表面がフラットになる傾向にある。一方、処理温度が650℃超であると、ガラスの粘性が低い状態で成膜が実施されるため、ガラスが室温まで降温される過程で、反りが生じるおそれがある。また前記前駆体が、ガラスおよび赤外線反射層の表面を拡散する速度よりも、ガラスおよび赤外線反射層の表面で反応する速度の方が大きくなる。その結果、ガラスおよび赤外線反射層表面の凹凸に前駆体があまり流れ込まなくなり、表面の凹凸が大きくなる傾向にある。
本発明において、ガラス基板と熱線吸収層の間に光学調整層を設ける場合は、ステップS1の前にガラス基板の第1の面に光学調整層を配置する。
また、光学調整層は、1層からなるものであってもよいし、2層以上を積層してもよい。
原料ガスは、予め混合してからガラス基板の第1の面上に搬送してもよい。あるいは、原料ガスは、ガラス基板の第1の面上で混合してもよい。
CVD法において、例えば温度500~800℃に加熱されたガラス基板と気体原料とを反応させ、前記ガラス基板上にSiOxCy層を形成することが好ましい。
ガラス基板の温度は、CVD法の反応速度を向上させる観点から500℃以上が好ましく、600℃以上がより好ましく、700℃以上がさらに好ましい。また、ガラス基板の温度は、ガラス軟化の観点から800℃以下がより好ましく、760℃以下がさらに好ましい。
不飽和炭化水素としては、オレフィンが好ましく、炭素数2~4のオレフィンがより好ましく、エチレンがさらに好ましい。
具体的には、ケイ素含有物質に対する酸化剤の体積比は、8.5以上が好ましく、12以上がより好ましく、20以上がさらに好ましい。また、ケイ素含有物質に対する酸化剤の体積比は、50以下が好ましい。
塗布の方法は、特に限られず、スピンコート法などの一般的な手段が使用されてもよい。
加熱処理の温度は、例えば、80~650℃の範囲である。また、加熱時間は、例えば、5分~360分の範囲である。
強化工程を実施することにより、ガラス基板、さらには得られる膜付き基材の強度を高めることができる。
膜付き基材を厚み方向に切断し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社日立製作所製「SU 70」)により観察した。
熱線吸収層や赤外線反射層の界面がSEM観察により確認できる場合は、SEM画像から直接各層の膜厚を調べた。界面に凹凸を有する場合は、最も低い谷と最も高い山の各水平ラインの中間ラインを目安としながら各層の膜厚を導出した。観察倍率は、低すぎると膜厚計測の精度が不十分になってしまう一方、高すぎると局所的な凹凸を見てしまい、各層の膜厚を正しく導出出来ない恐れがある為、適した範囲が存在する。よって、観察条件の目安として、電子銃1.5kV、ワーキングディスタンス2.4mm、倍率5万倍を採用した。
熱線吸収層と赤外線反射層の界面がSEM観察により確認できない場合は、SEM画像から熱線吸収層及び赤外線反射層の膜厚の和を調べた後、X線光電子分光法(XPS)による深さ方向の分析を用い、熱線吸収層及び赤外線反射層の膜厚の比を調べた。深さ方向分析は、真空度10-6PaのXPSチャンバー内でArスパッタを用いて膜をエッチングしながらXPS測定を行った。X線の照射面積は100μmφ、X線の照射角度は45deg.に固定した。本例における熱線吸収層は、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)膜であるので、XPSによる深さ方向分析により得られるSbのモル比がエッチング時間に対して増加し始める点(時間)と増加し終わり傾きがおおよそゼロになる点(時間)の中間点を熱線吸収層と赤外線反射層の界面と据えた。また、本例における光学調整層は、SiOC膜であるので、SnとSiのモル比が同じ値を示すクロスポイントを熱線吸収層と光学調整層の界面と据えた。この方法によれば、予め単層膜品で測定しておいた熱線吸収層と赤外線反射層のエッチングレートを参考にしながら、各層の膜厚を再現性高く導出可能である。各原子のモル比導出においては、ULVAC社製ソフトウェア PHI MULTIPACを用いて、X線ピーク強度から組成を計算した。XPS分析条件として、O1s、Si2p、Sn3d5、Sb3d3軌道の電子情報を参照したが、O1sはSb3d5のピーク出現位置と重なっている為、各原子のモル比の導出においては、原理に則りSb3d3ピーク強度の1.5倍をO1sのピーク強度より差し引くことで校正を行なった。
XPSは、ULVAC-PHI社製「PHI 5000 Versa Probe」を用いた。
アンチモン濃度は、X線光電子分光測定(XPS)による深さ方向の分析を行い、SbとSnの強度比から調べた。XPSは、ULVAC-PHI社製「PHI 5000 Versa Probe」を用いた。XPSの分析方法は、各層厚みを評価する際と同様である。
分光測色計(コニカミノルタ株式会社製「CM-2500d」)を用いて、入射角10度でD65光源の光を入射したときの膜付き基材の色度測定を実施した。
膜付き基材を1cm角に切断し、Hall測定器(Nanometrics製「HL 5500 PC」)によりシート抵抗値を測定した。
PerkinElmer社製「Lambda 1050」を用いて測定した透過スペクトルから、膜付き基材の標準A光源に基づく可視光透過率(Tva)及び日射透過率(Te)を測定した。TeはJIS R3106(2019)の定義に基づき計算した。Tvaは標準A光源の定義に基づき計算した。
膜付き基材の赤外線反射層側の放射率を、JIS R3106(2019)に記載の方法で、Devices&Services社製「Emissometer model AE1」を用いて測定した。
膜付き基材のヘイズ(Haze)は、スガ試験機株式会社製ヘーズメーター「HZ-V3」を用いて測定した。
膜付き基材を1cm角に切断し、Hall測定器(Nanometrics製「HL 5500 PC」)により、膜付き基板において電気が流れる層(熱線吸収層及び赤外線反射層)の移動度を測定(Van der Pauw法)した。
膜付き基材を1cm角に切断し、Hall測定器(Nanometrics製「HL 5500 PC」)により、膜付き基板において電気が流れる層(熱線吸収層及び赤外線反射層)のシートキャリア密度(1/cm2)を測定(Van der Pauw法)し、熱線吸収層及び赤外線反射層の膜厚和で除することで、膜付き基板において電気が流れる部分(熱線吸収層及び赤外線反射層)のキャリア密度(1/cm3)を導出した。
以下の方法により、膜付き基材を作製した。
まず、厚みが2.1mmのガラス基板(ソーダライムシリケートガラス:AGC株式会社製)を準備した。
これにより、膜付き基材が得られた。
例1と同様の方法により、表1に記載の層構成を有する膜付き基材を作製した。なお、アンチモン濃度はモノブチルティントリクロライド(MBTC)と、三塩化アンチモン(SbCl3)の比率を調整することにより調整した。
1a 第1の面
1b 第2の面
2 膜
3 熱線吸収層
5 赤外線反射層
7 光学調整層
10、20 膜付き基材
Claims (20)
- ガラス基板と前記ガラス基板上に配置される積層膜とを備えた積層膜付き基材であって、
前記ガラス基板は、標準A光源に基づく可視光透過率が84.6%以上であり、板厚が5mm以下であり、相互に対向する第1の面及び第2の面を有し、前記ガラス基板の前記第1の面に前記積層膜が設置され、前記積層膜は、前記ガラス基板側から順番に熱線吸収層と赤外線反射層を含み、
前記熱線吸収層はアンチモンドープ酸化スズの膜を含み、
前記積層膜付き基材の標準A光源に基づく可視光透過率が25%以下であり、前記積層膜付き基材の日射透過率が28%以下であり、かつ前記積層膜側表面の放射率が0.25未満である積層膜付き基材。 - 前記積層膜付き基材のシート抵抗値が30Ω/□以下である、請求項1に記載の積層膜付き基材。
- 前記積層膜のキャリア密度が1×1019/cm3以上である、請求項1又は2に記載の積層膜付き基材。
- 前記積層膜の移動度が20cm2/Vs以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層膜付き基材。
- 前記赤外線反射層が、フッ素ドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、ガリウムドープ酸化亜鉛及びアルミニウムドープ酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも1つのドープ型金属酸化物の膜を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層膜付き基材。
- 前記赤外線反射層がフッ素ドープ酸化スズ膜を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層膜付き基材。
- 前記赤外線反射層の厚みが100~400nmである、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層膜付き基材。
- 前記熱線吸収層に含まれるアンチモン濃度が5~20mol%である、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層膜付き基材。
- 前記熱線吸収層の厚みが300~700nmである、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層膜付き基材。
- 前記積層膜がさらに光学調整層を有し、前記光学調整層は、前記ガラス基板と前記熱線吸収層との間に配置される、請求項1~9のいずれか1項に記載の積層膜付き基材。
- 前記光学調整層が、SiOC膜、SiOC/SiO2積層膜、TiO2/SiO2積層膜及びSnO2/SiO2積層膜からなる群から選択される少なくとも1つの膜を備える、請求項10に記載の積層膜付き基材。
- 前記光学調整層がSiOC膜を備える、請求項10に記載の積層膜付き基材。
- 前記熱線吸収層と前記赤外線反射層の厚みの合計が500~1500nmである、請求項1~12のいずれか1項に記載の積層膜付き基材。
- 前記放射率が0.15未満である、請求項1~13のいずれか1項に記載の積層膜付き基材。
- 請求項1~14のいずれか1項に記載の積層膜付き基材の製造方法であって、
前記積層膜を熱CVD法により形成する、積層膜付き基材の製造方法。 - 前記積層膜を前記ガラス基板の製造ライン上で前記熱CVD法により形成する、請求項15に記載の積層膜付き基材の製造方法。
- 請求項1~14のいずれか1項に記載の積層膜付き基材を有する車両用窓ガラス。
- 請求項1~14のいずれか1項に記載の積層膜付き基材と中間膜と外側ガラス板とをこの順に有する合わせガラス。
- 車両のルーフに用いる請求項18に記載の合わせガラス。
- 請求項18に記載の合わせガラスを有するパノラマルーフ。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021214754A JP7283529B1 (ja) | 2021-12-28 | 2021-12-28 | 積層膜付き基材 |
PCT/JP2022/021464 WO2022255205A1 (ja) | 2021-05-31 | 2022-05-25 | 膜付き基材 |
PCT/JP2022/021454 WO2022255201A1 (ja) | 2021-05-31 | 2022-05-25 | 積層膜付き基材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021214754A JP7283529B1 (ja) | 2021-12-28 | 2021-12-28 | 積層膜付き基材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP7283529B1 true JP7283529B1 (ja) | 2023-05-30 |
JP2023098165A JP2023098165A (ja) | 2023-07-10 |
Family
ID=86538225
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021214754A Active JP7283529B1 (ja) | 2021-05-31 | 2021-12-28 | 積層膜付き基材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7283529B1 (ja) |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000103648A (ja) | 1998-08-21 | 2000-04-11 | Elf Atochem North America Inc | 太陽光線制御被覆ガラス |
JP2001199744A (ja) | 1999-03-19 | 2001-07-24 | Nippon Sheet Glass Co Ltd | 低放射ガラスと該低放射ガラスを使用したガラス物品 |
JP2003535004A5 (ja) | 2000-08-02 | 2007-06-14 | ||
CN103539365A (zh) | 2013-10-09 | 2014-01-29 | 河源旗滨硅业有限公司 | 一种反射性阳光控制低辐射镀膜玻璃及其制备方法 |
WO2017212214A1 (en) | 2016-06-09 | 2017-12-14 | Pilkington Group Limited | Coated glass article and window for a vehicle including the same |
WO2020234594A1 (en) | 2019-05-20 | 2020-11-26 | Pilkington Group Limited | Method of reducing the emissivity of a coated glass article |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6858306B1 (en) | 1999-08-10 | 2005-02-22 | Pilkington North America Inc. | Glass article having a solar control coating |
-
2021
- 2021-12-28 JP JP2021214754A patent/JP7283529B1/ja active Active
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000103648A (ja) | 1998-08-21 | 2000-04-11 | Elf Atochem North America Inc | 太陽光線制御被覆ガラス |
JP2001199744A (ja) | 1999-03-19 | 2001-07-24 | Nippon Sheet Glass Co Ltd | 低放射ガラスと該低放射ガラスを使用したガラス物品 |
JP2003535004A5 (ja) | 2000-08-02 | 2007-06-14 | ||
CN103539365A (zh) | 2013-10-09 | 2014-01-29 | 河源旗滨硅业有限公司 | 一种反射性阳光控制低辐射镀膜玻璃及其制备方法 |
WO2017212214A1 (en) | 2016-06-09 | 2017-12-14 | Pilkington Group Limited | Coated glass article and window for a vehicle including the same |
WO2020234594A1 (en) | 2019-05-20 | 2020-11-26 | Pilkington Group Limited | Method of reducing the emissivity of a coated glass article |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2023098165A (ja) | 2023-07-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1877350B1 (en) | Coated substrate and process for the production of a coated substrate | |
US6362414B1 (en) | Transparent layered product and glass article using the same | |
JP5740388B2 (ja) | 薄膜コーティング及びその作製方法 | |
US8158262B2 (en) | Glass article having a zinc oxide coating and method for making same | |
RU2462424C2 (ru) | Фотогальваническая ячейка и способ изготовления фотогальванической ячейки | |
EP1230188B1 (en) | Glass sheet with metal oxide film, method of manufacturing the same, and double-glazing unit using the same | |
AU2007258727B2 (en) | Glass article having a zinc oxide coating and method for making same | |
JP6023171B2 (ja) | コーティングティンテッドガラス物品およびその作製方法 | |
WO2017119279A1 (ja) | ガラス部材 | |
JP7283529B1 (ja) | 積層膜付き基材 | |
WO2022255205A1 (ja) | 膜付き基材 | |
JP7283530B1 (ja) | 積層膜付き基材 | |
WO2022255199A1 (ja) | 積層膜付き基材 | |
WO2022255200A1 (ja) | 積層膜付き基材 | |
WO2022114038A1 (ja) | 断熱ガラス | |
JP7224347B2 (ja) | 反射コーティングされたガラス物品の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220318 |
|
A871 | Explanation of circumstances concerning accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871 Effective date: 20220318 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220524 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220722 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220823 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20221021 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221216 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230117 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230315 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230418 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230501 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7283529 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |