JP2013113941A - 反射防止膜付きガラス基材 - Google Patents

反射防止膜付きガラス基材 Download PDF

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Abstract

【課題】 Na、Caを含有するソーダ石灰ガラス等の汎用ガラスを、高耐久性の反射防止膜付きガラス基材として利用することを目的とする。すなわち、反射防止機能を付与することにより、入射光の透過量を増加させると同時に、高温高湿下でのガラス基材中のNaやCaの反射防止膜表面への拡散を抑え、反射防止膜の白濁を抑制する反射防止膜付きガラス基材を提供することを目的とする。
【解決手段】 表面に、反射防止膜3を備えるガラス基材2であって、ガラス基材2は、NaおよびCaからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属を含有し;反射防止膜3は、SiOを含有し、屈折率が1.35〜1.50であり;かつガラス基材2表面と反射防止膜3との界面に、Pを1〜12原子%含有する拡散抑制膜4を備える、ことを特徴とする、反射防止膜付きガラス基材1である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、反射防止膜付きガラス基材に関する。さらには、この反射防止膜付きガラス基材を利用した薄膜太陽電池に関する。
ガラスやプラスチック等の基材の表面に、薄膜を形成し、新たな機能を付与する種々の表面処理技術が開発されており、表面にシリコンアルコキシドを用いて形成したシリカ薄膜からなる反射防止膜が報告されている(特許文献1)。
ここで、反射防止性の高い反射防止膜を有する基材が求められている用途に、薄膜太陽電池が挙げられる。図1に、反射防止膜付き基材を使用する薄膜太陽電池の断面の模式図の一例を示す。図1は、スーパーストレート型薄膜太陽電池の例である。薄膜太陽電池10は、反射防止膜11、ガラス基材12、透明電極層13、光電変換層14、透明導電膜15、導電性反射膜16の順に備えており、反射防止膜11側から太陽光が入射する。ここで、ガラス基材12の太陽光の入射面で、太陽光が反射すると、光電変換層14に到達する太陽光が減少し、薄膜太陽電池の変換効率を低下させてしまう。このため、ガラス基材12の太陽光の入射面上に、反射防止性の高い反射防止膜11を形成し、光電変換層14に入射する太陽光の透過量を増加させる必要がある。
現在、最も使用されているソーダ石灰ガラス等の汎用ガラスは、Na、Caを含有している。ここで、薄膜太陽電池は、外気に曝される環境で使用されるため、薄膜太陽電池のガラス基材に用いられる反射防止膜には、外気の温度差や天候による高温かつ高湿度下での耐久性が必須である。薄膜太陽電池が、このような環境下で長期に曝されると、下地のガラス基材から、Na、Ca等のアルカリ成分が、反射防止膜表面に拡散する傾向があり、反射防止膜表面を白濁化させ、可視光透過率を下げてしまい、薄膜太陽電池の変換効率を低下させる問題があった。
よって、薄膜太陽電池のガラス基材には、反射防止膜機能を付与させることにより、入射する太陽光の透過量を増加させると同時に、高温高湿下でのアルカリ成分の反射防止膜表面への拡散を抑える機能を持つことが求められる。
しかしながら、上記表面にシリコンアルコキシドを用いて形成したシリカ薄膜からなる反射防止膜は、下地のガラス基材から、Na、Ca等の成分が、反射防止膜表面に拡散し、反射防止膜表面を白濁化させてしまうため、薄膜太陽電池等の外気にさらされる環境での使用に適していない、という問題がある。
特開平2002―161262号公報
本発明は、上記問題や要求を解決したものである。本発明は、Na、Caを含有するソーダ石灰ガラス等の汎用ガラスを、高耐久性の反射防止膜付きガラス基材として利用することを目的とする。すなわち、反射防止機能を付与することにより、入射光の透過量を増加させると同時に、高温高湿下でのガラス基材中のNaやCaの反射防止膜表面への拡散を抑え、反射防止膜の白濁を抑制する反射防止膜付きガラス基材を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す構成によって上記課題を解決した反射防止膜付きガラス基材、およびこの反射防止膜付きガラス基材を用いる薄膜太陽電池に関する。
(1)表面に、反射防止膜を備えるガラス基材であって、
ガラス基材は、NaおよびCaからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属を含有し;
反射防止膜は、SiOを含有し、屈折率が1.35〜1.50であり;かつ
ガラス基材表面と反射防止膜との界面に、透過電子顕微鏡付属のエネルギー分散型X線分光分析装置による定量分析で、Si、PおよびOの合計100原子%に対して、Pを1〜12原子%含有する拡散抑制膜を備える、
ことを特徴とする、反射防止膜付きガラス基材。
(2)反射防止膜が、コロイダルシリカ粒子を含有する、上記(1)記載の反射防止膜付きガラス基材。
(3)上記(1)または(2)記載の反射防止膜付きガラス基材を備える、薄膜太陽電池。
本発明(1)によれば、従来、高温高湿下では、ガラス基材中のNa、Caが、反射防止膜表面に拡散し、反射防止膜表面を白濁化させてしまうため使用することができなかったNa、Caを含有するソーダ石灰ガラス等の汎用ガラスを、高耐久性の反射防止膜付きガラス基材として利用することができる。具体的には、反射防止膜により入射光の透過量を増加させると同時に、拡散抑制膜により高温高湿下でのガラス基材中のNaやCaの表面拡散を抑え、反射防止膜の白濁を抑制するガラス基材を提供することができる。ここで、拡散抑制膜に含有されるPは、NaやCaを、リン酸ナトリウム(NaPO、Na、NaPO等)、リン酸カルシウム(Ca(PO、Ca、Ca(PO等)等のリン酸塩化合物として取り込み、NaやCaの反射防止膜への拡散を抑制する、と考えられる。本発明(2)によれば、反射防止膜の硬度が高くなり、反射防止膜の耐久性が高いガラス基材を提供することができる。本発明(3)によれば、入射光の透過量が多いため、光電変換効率が高く、反射防止膜表面への高温高湿下での反射防止膜の白濁を抑えられるため、高温高湿下でも光電変換効率が低下しない薄膜太陽電池を提供することができる。
反射防止膜付き基材を使用する薄膜太陽電池の断面の模式図の一例である。 本発明の反射防止膜付きガラス基材の断面の一例である。 本発明の反射防止膜付きガラス基材の断面の透過電子顕微鏡写真の一例である。 本発明の反射防止膜付きガラス基材を使用する薄膜太陽電池の断面の模式図の一例である。
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。なお、%は特に示さない限り、また数値固有の場合を除いて質量%である。
本発明の反射防止膜付きガラス基材は、表面に、反射防止膜を備えるガラス基材であって、
ガラス基材は、NaおよびCaからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属を含み;
反射防止膜は、SiOを含有し、屈折率が1.35〜1.50であり;かつ
ガラス基材表面と反射防止膜との界面に、透過電子顕微鏡付属のエネルギー分散型X線分光分析装置による定量分析で、Si、PおよびOの合計100原子%に対して、Pを1〜12原子%含有する拡散抑制膜を備える、
ことを特徴とする。
図2に、本発明の反射防止膜付きガラス基材の断面の一例を示す。反射防止膜付きガラス基材1は、表面に、反射防止膜3を備えるガラス基材2であって、ガラス基材2表面と反射防止膜3の間に、Pを1〜12原子%含有する拡散抑制膜4を備える。
まず、Pを1〜12原子%含有する拡散抑制膜について説明する。拡散抑制膜は、ガラス基材表面と反射防止膜との界面に存在し、透過電子顕微鏡付属のエネルギー分散型X線分光分析装置による定量分析で、Si、PおよびOの合計100原子%に対して、Pを1〜12原子%含有する。1原子%未満では、P添加の効果が十分ではなく、12原子%を超えると、入射光の透過率が低下する。Pは、NaやCaを、リン酸ナトリウム(NaPO、Na、NaPO等)、リン酸カルシウム(Ca(PO、Ca、Ca(PO等)等のリン酸塩化合物として取り込み、NaやCaの反射防止膜への拡散を抑制する、と考えられる。ここで、Si、PおよびOの定量分析は、日本電子(株)製電界放射型透過電子顕微鏡(型番:JEM−2010F)に付属のエネルギー分散型X線分光分析装置(EDS)により、加速電圧:200kV、プローブ径:1nmの測定条件で行い、5回測定での平均値とする。図3に、反射防止膜付きガラス基材の断面の透過電子顕微鏡写真の一例を示す。図3の「×」は、定量分析を行ったポイントを示し、「×」の右の数字はポイントを示す。ポイント1〜3は、反射防止膜の分析ポイント、ポイント4は、拡散抑制膜の分析ポイント、ポイント5〜7は、ガラス基材の分析ポイントである。次に、表1に、ポイント1〜7の定量分析結果(単位:原子%)を示す。表1からわかるように、Si、PおよびOの合計100原子%に対して、反射防止膜中のポイント1〜3では、Pが0.1〜0.5原子%、ガラス基材中のポイント5〜7では、Pが0原子%であったのに対し、拡散抑制膜中のポイント4では、5.1原子%と、1〜12原子%であった。
また、拡散抑制膜は、厚さが3〜10nmであると好ましく、厚さが3nm未満では、高温高湿下でのガラス基材中のNa、Caの表面拡散を十分に抑制できない場合があり、厚さが10nmを超えると、光の干渉が起こり、反射防止性が低下し易い。
次に、ガラス基材は、NaおよびCaからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属を含み、Naは、ガラス基材:100質量部に対して、1.0質量部以上であると、Caは、ガラス基材:100質量部に対して、0.5質量部以上であると、ガラス基材の入手の容易さ、コストの観点から適しており、また、本発明の効果を発揮するために適している。なお、Naは、ガラス基材:100質量部に対して、20質量部以下、Caは、ガラス基材:100質量部に対して、15質量部以下であると、ガラス基材の入手の容易さ、コストおよびガラスの耐久性の観点から、好ましい。ここで、Na、Caの定量分析は、以下のように行う。まず、(株)リガク製波長分散型蛍光X線分析装置(型番:ZSX−PrimusII)で、検出可能な元素を確認する。次に、検出された各元素について定量分析を行い、SiはSiO、NaはNaO、CaはCaOであるとして、これら以外の元素については、自然界に最も多く存在する酸化物であるとして、計算する。ガラス基材としては、入手の容易さ、コストの観点から、ソーダ石灰ガラスが好ましい。
反射防止膜は、SiOを含有し、SiOは、屈折率の観点から、反射防止膜:100質量部に対して、95〜100質量部であると好ましい。ここで、SiOの定量分析は、オージェ電子分光分析装置(PhysicalElectronics製、型番:PHI700)で行う。なお、SiO以外に反射防止膜に含有される成分としては、リン酸等のリン含有化合物が挙げられる。
反射防止膜の屈折率は、反射防止性の観点から、1.35〜1.50である。ここで、屈折率は、分光エリプソメトリー装置(J.A.Woollam Japan(株)製、型番:M−2000)を用いて測定し、解析した光学定数における633nmの値とする。また、反射防止膜の透過率は、90%以上であると好ましい。なお、反射防止膜付きガラス基材の透過率は、92%以上であると、入射光の透過量が十分であり、好ましい。ここで、透過率は、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ(株)製、型番:U−4100)を用いて測定し、太陽電池用途において、透過率が重要となる340〜750nmの範囲のうち、中央値となる550nmの透過率%Tの値で評価する。
反射防止膜の好ましい厚さは、ガラス基材の屈折率により変化するが、例えば、ガラス基材の屈折率が1.45程度の場合には、70〜130nmである。ここで、膜厚は、日立ハイテクノロジーズ(株)製走査型電子顕微鏡(型番:S−4300、SU−8000)による断面観察により測定する。
次に、反射防止膜は、コロイダルシリカ粒子を含有すると、反射防止膜の硬度が向上するため、好ましい。コロイダルシリカ粒子としては、球状コロイダルシリカ粒子、異方性コロイダルシリカ粒子が挙げられる。
球状コロイダルシリカ粒子は、平均粒径:6〜40nmであると好ましく、6〜30nmであると、より好ましい。平均粒径が、6nmより小さいと粒子の安定性に欠けるため二次凝集を引き起こしやすく反射防止膜用組成物の作製が困難であり、40nmより大きいと反射防止膜の平坦性を阻害するため適さないからである。ここで、平均粒径は、QUANTACHROME社製 AUTOSORB−1を用いた比表面積測定から、球状コロイダルシリカ粒子が真球であると仮定して換算する。
異方性コロイダルシリカ粒子は、平均粒径:5〜50nmであると好ましく、12〜40nmであると、より好ましい。平均粒径が、5nmより小さいと粒子の安定性に欠けるため二次凝集を引き起こしやすく反射防止膜作製が困難であり、50nmより大きいと反射防止膜の平坦性を阻害するため適さないからである。ここで、異方性コロイダルシリカ粒子の平均粒径とは、堀場製作所(株)製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(型番:LA−950)にて測定し、粒子径基準を個数として演算した50%平均粒子径(D50)をいう。なお、異方性形状であるか、球状であるかは、上記走査型電子顕微鏡で観察した像で、識別したアスペクト比(長径/短径)が1.5以上のものを異方性形状と識別する。また、異方性コロイダルシリカ粒子の平均粒径とは、異方性コロイダルシリカ粒子の直径(長径)の平均値をいう。異方性コロイダルシリカ粒子のアスペクト比(長径/短径)は1.5〜5の範囲であることが好ましい。短径は1〜34nmの範囲であることが好ましい。
〔反射防止膜付きガラス基材の製造方法〕
本発明の反射防止膜付きガラス基材は、NaおよびCaからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属を含有するガラス基材上に、シリコンアルコキシド、またはこの加水分解物もしくはこの脱水物と、P含有化合物と、分散媒とを含む反射防止膜用組成物を、湿式塗工法により塗布した後、焼成することにより製造することができる。ガラス基材については、上述のとおりである。
反射防止膜用組成物は、シリコンアルコキシド、またはこの加水分解物もしくはこの脱水物と、P含有化合物と、分散媒とを含む。
シリコンアルコキシドとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、トリメチルメトキシシラン等が挙げられ、反応制御のし易さ、反射防止膜とした際の膜硬さの観点からテトラエトキシシランが好ましい。シリコンアルコキシド、またはこの加水分解物もしくはこの脱水物は、反射防止膜用組成物:100質量部に対して、シリコンアルコキシドとして5〜20質量部であると、反射防止膜の硬さの観点から好ましい。
P含有化合物としては、オルトリン酸(HPO)、ピロリン酸(H)等が挙げられ、入手し易さの観点から、オルトリン酸が好ましい。P含有化合物は、シリコンアルコキシドの加水分解反応性および拡散抑制膜形成の観点から、反射防止膜用組成物:100質量部に対して、0.05〜3質量部であると好ましく、0.1〜1.5質量部であると、より好ましい。
分散媒は、全ての分散媒100質量%に対して、1質量%以上の水と、2質量%以上の水と相溶する溶剤、例えば、アルコール類とを含有することが好適である。例えば、分散媒が水およびアルコール類のみからなる場合、水を2質量%含有するときはアルコール類を98質量%含有し、アルコール類を2質量%含有するときは水を98質量%含有する。水の含有量が1質量%未満、またはアルコール類の含有量が2質量%未満では、導電性反射膜用組成物を湿式塗工法により塗工して得られた膜を低温で焼結し難くなり、また、焼成後の導電性反射膜の導電性と反射率が低下してしまうからである。アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、エリトリトール等が挙げられ、これらを混合して用いてもよい。分散媒の含有量は、良好な成膜性を得るために、反射防止膜用組成物:100質量部に対して、60〜99質量部であると好ましい。
コロイダルシリカ粒子は、反射防止膜用組成物:100質量部に対して、5〜15質量部であると好ましい。
反射防止膜用組成物は、所望の成分を、常法により、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドミル、セントリミル、三本ロール等によって混合し、透光性バインダー、場合により透明導電性粒子等を分散させ、製造することができる。無論、通常の攪拌操作によって製造することもできる。
湿式塗工法としては、スプレーコーティング法、ディスペンサーコーティング法、スピンコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、インクジェットコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、またはダイコーティング法のいずれかであることが好ましいが、これに限られるものではなく、あらゆる方法を利用できる。
ガラス基材上に、反射防止膜用組成物を、湿式塗工法により塗布した後、塗膜を有するガラス基材を焼成する焼成条件は、大気中または窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で、150〜500℃で、30〜60分が好ましい。
塗膜を有するガラス基材の焼成温度を150〜500℃の範囲としたのは、150℃未満では、反射防止膜に、硬化不足の不具合が生じるからである。また、500℃を越えると、低温プロセスという生産上のメリットを生かせない、すなわち、製造コストが増大し、生産性が低下してしまう。
塗膜を有する基材の焼成時間を30〜60分間の範囲としたのは、焼成時間が30分未満では、反射防止膜に焼成が十分でない不具合が生じるからである。焼成時間が60分を越えると、必要以上に製造コストが増大して生産性が低下してしまうためである。
拡散抑制膜形成のメカニズムは、反射防止膜用組成物の塗膜を焼成するときに、反射防止膜用組成物中のP含有化合物が、ガラス基材中のNaやCaと反応し、ガラス基材と反射防止膜との界面に、拡散抑制膜を形成する、と考えられる。詳細には、拡散抑制膜に含有されるPは、NaやCaを、リン酸ナトリウム(NaPO、Na、NaPO等)、リン酸カルシウム(Ca(PO、Ca、Ca(PO等)等のリン酸塩化合物として取り込み、NaやCaの反射防止膜への拡散を抑制する、と考えられる。
以上により、本発明の反射防止膜付きガラス基材を形成することができる。このように、反射防止膜と拡散抑制膜の形成に湿式塗工法を使用することにより、真空蒸着法やスパッタ法などの真空プロセスを可能な限り排除できるため、より安価に反射防止膜付きガラス基材を製造することができる。
〔反射防止膜付きガラス基材の応用〕
次に、反射防止膜付きガラス基材の応用について説明する。図4に、本発明の反射防止膜付きガラス基材を使用する薄膜太陽電池の断面の模式図の一例を示す。図4は、スーパーストレート型薄膜太陽電池の例である。薄膜太陽電池20は、反射防止膜21、拡散抑制膜21A、ガラス基材22、透明電極層23、光電変換層24、透明導電膜25、導電性反射膜26の順に備えており、反射防止膜21側から太陽光が入射する。この薄膜太陽電池20は、反射防止膜21を備えるので、入射した太陽光の光電変換層24への透過量が多く、高温高湿下で長時間使用しても、拡散抑制膜21Aにより、ガラス基材22中のNaやCaの反射防止膜21表面への拡散を抑え、反射防止膜21の白濁を抑制するため、高温高湿下でも光電変換効率が低下しない薄膜太陽電池を提供することができる。
この薄膜太陽電池20を製造する方法としては、光電変換層24等を形成する前に、予め、反射防止膜21、拡散抑制膜21Aを形成する方が、反射防止膜用組成物の塗膜焼成時での光電変換層24の劣化を避けることができるため、好ましい。しかしながら、光電変換層22〜導電性反射膜26が形成されたガラス基板22上に、反射防止膜21、拡散抑制膜21Aを形成することもできる。この場合には、反射防止膜用組成物の塗膜焼成温度が、好ましくは130〜400℃、より好ましくは150〜350℃である。アモルファスシリコン、微結晶シリコン、またはこれらを用いたハイブリッド型シリコン太陽電池は比較的熱に弱く、焼成工程によって変換効率が低下するからである。
以下に、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
表2〜4で示す組成(数値は、質量部を示す)になるように、合計が60gで、100cmのガラス瓶中に入れ、直径:0.3mmのジルコニアビーズ(ミクロハイカ、昭和シェル石油製):100gを用いて、ペイントシェーカーで6時間分散することにより、実施例1〜21、比較例2〜3で使用する反射防止(以下、ARという)膜用組成物を作製した。AR膜用組成物の作製に使用するAR膜用組成物原料は、以下のようにして作製した。
〔AR膜用組成物原料1〕
500cmのガラス製の4つ口フラスコを用い、140gのテトラエトキシシランと、140gのエチルアルコールを加え、攪拌しながら、1.5gの85%リン酸を120gの純水に溶解した溶液を、一度に加え、その後50℃で3時間反応させることにより作製した。
〔AR膜用組成物原料2〕
500cmのガラス製の4つ口フラスコを用い、115gのテトラエトキシシランと、175gのエチルアルコールを加え、攪拌しながら、1.0gの85%リン酸を110gの純水に溶解した溶液を、一度に加え、その後50℃で3時間反応させることにより作製した。
〔AR膜用組成物原料3〕
500cmのガラス製の4つ口フラスコを用い、130gのテトラエトキシシランと、145gのエチルアルコールを加え、攪拌しながら、4.5gの85%リン酸を125gの純水に溶解した溶液を、一度に加え、その後45℃で3時間反応させることにより作製した。
〔AR膜用組成物原料4〕
500cmのガラス製の4つ口フラスコを用い、125gのテトラエトキシシランと、160gのエチルアルコールを加え、攪拌しながら、2.1gの85%リン酸を115gの純水に溶解した溶液を、一度に加え、その後60℃で2時間反応させることにより作製した。
〔AR膜用組成物原料5〕
500cmのガラス製の4つ口フラスコを用い、145gのテトラエトキシシランと、140gのエチルアルコールを加え、攪拌しながら、0.5gの85%リン酸を115gの純水に溶解した溶液を、一度に加え、その後55℃で3時間反応させることにより作製した。
〔AR膜用組成物原料6〕
500cmのガラス製の4つ口フラスコを用い、140gのトリメチルメトキシシランと、140gのメチルアルコールを加え、攪拌しながら、2.0gの85%リン酸を120gの純水に溶解した溶液を、一度に加え、その後50℃で3時間反応させることにより作製した。
〔AR膜用組成物原料7〕
500cmのガラス製の4つ口フラスコを用い、140gのテトラエトキシシランと、140gのエチルアルコールを加え、攪拌しながら、1.5gの60%硝酸を120gの純水に溶解した溶液を、一度に加え、その後50℃で3時間反応させることにより作製した。
〔AR膜用組成物原料8〕
500cmのガラス製の4つ口フラスコを用い、140gのテトラエトキシシランと、140gのエチルアルコールを加え、攪拌しながら、1.5gの35%塩酸を120gの純水に溶解した溶液を、一度に加え、その後50℃で3時間反応させることにより作製した。
〔混合溶媒〕
混合溶媒1には、イソプロパノール、エタノール及びN,N−ジメチルホルムアミドの混合液(質量比4:2:1)を、混合溶媒2には、エタノール、ブタノールの混合液(質量比98:2)を用いた。
〔実施例1〜21〕
実施例1では、AR膜用組成物原料1を、分散媒となるIPAで希釈混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例2では、AR膜用組成物原料2を、分散媒となるエタノールで希釈混合した。さらに、平均粒径40nmの日産化学工業(株)製異方性コロイダルシリカ粒子(製品名:ST−OUP)を、全体の10質量%の比率で添加し、混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例3では、AR膜用組成物原料4を、分散媒となるIPAで希釈混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例4では、AR膜用組成物原料6を、分散媒となるエタノールで希釈混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例5では、AR膜用組成物原料3を、分散媒となる混合溶媒1で希釈混合した。さらに、平均粒径12nmの日産化学工業(株)製異方性コロイダルシリカ粒子(製品名:IPA−ST−UP)を、全体の10質量%の比率で添加し、混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例6では、AR膜用組成物原料5を、分散媒となるエタノールで希釈混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例7では、AR膜用組成物原料6を、分散媒となるエタノールで希釈混合した。さらに、平均粒径12nmの日産化学工業(株)製異方性コロイダルシリカ粒子(製品名:IPA−ST−UP)を、全体の15質量%の比率で添加し、混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例8では、AR膜用組成物原料1を、分散媒となる混合溶媒2で希釈混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例9では、AR膜用組成物原料4を、分散媒となる混合溶媒1で希釈混合した。さらに平均粒径30nmの日産化学工業(株)製異方性コロイダルシリカ粒子(製品名:ST−OUP)を、全体の5質量%の比率で混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例10では、AR膜用組成物原料5を、分散媒となる混合溶媒2で希釈混合した。さらに平均粒径10nmの日産化学工業(株)製球状コロイダルシリカ粒子(製品名:ST−O)を、全体の10質量%の比率で混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例11では、AR膜用組成物原料3を、分散媒となる混合溶媒2で希釈混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例12では、AR膜用組成物原料1を、分散媒となるエタノールで希釈混合した。さらに平均粒径6nmの日産化学工業(株)製球状コロイダルシリカ粒子(製品名:ST−OXS)を、全体の10質量%の比率で混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例13では、AR膜用組成物原料2を、分散媒となるIPAで希釈混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例14では、AR膜用組成物原料6を、分散媒となるブタノールで希釈混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例15では、AR膜用組成物原料4を、分散媒となるIPAで希釈混合した。さらに平均粒径10nmの日産化学工業(株)製球状コロイダルシリカ粒子(製品名:IPA−ST)を、全体の15質量%の比率で混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例16では、AR膜用組成物原料6を、分散媒となる混合溶媒2で希釈混合した。さらに平均粒径10nmの日産化学工業(株)製球状コロイダルシリカ粒子(製品名:IPA−ST)を、全体の10質量%の比率で混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例17では、AR膜用組成物原料5を、分散媒となる混合溶媒1で希釈混合した。さらに平均粒径40nmの日産化学工業(株)製異方性コロイダルシリカ粒子(製品名:ST−OUP)を、全体の15質量%の比率で混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例18では、AR膜用組成物原料6を、分散媒となるIPAで希釈混合した。さらに平均粒径6nmの日産化学工業(株)製球状コロイダルシリカ粒子(製品名:ST−OXS)を、全体の10質量%の比率で混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例19では、AR膜用組成物原料5を、分散媒となる混合溶媒1で希釈混合した。さらに平均粒径30nmの日産化学工業(株)製異方性コロイダルシリカ粒子(製品名:ST−OUP)を、全体の10質量%の比率で混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例20では、AR膜用組成物原料1を、分散媒となるIPAで希釈混合した。さらに平均粒径45nmの日産化学工業(株)製異方性コロイダルシリカ粒子(製品名:IPA−ST−L)を、全体の15質量%の比率で混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
実施例21では、AR膜用組成物原料1を、分散媒となるIPAで希釈混合した。さらに平均粒径30nmの日産化学工業(株)製異方性コロイダルシリカ粒子(製品名:ST−OUP)を、全体の40質量%の比率で混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を製造した。
〔比較例1〜3〕
比較例1では、AR膜用組成物を成膜しない、ガラス単体の評価を実施した。
比較例2では、AR膜用組成物原料7を、分散媒となるIPAで希釈混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を作製した。
比較例3では、AR膜用組成物原料8を、分散媒となるIPAで希釈混合し、AR膜用組成物を作製した。屈折率が1.55のガラス基板に対して、AR膜用組成物を、湿式塗工法により成膜後、AR塗膜を200℃で30分焼成することにより、AR膜付きガラス基材を作製した。
〔ガラス基材のNa、Ca含有量の測定〕
Na、Caの定量分析は、以下のように行った。まず、(株)リガク製波長分散型蛍光X線分析装置(型番:ZSX−PrimusII)で、検出可能な元素を確認した。次に、検出された各元素について定量分析を行い、SiはSiO、NaはNaO、CaはCaO、KはKO、AlはAl、FeはFe、BはB、PbはPbO、TiはTiO、ZnはZnO、SbはSb、BaはBaO、MnはMnO、SrはSrOであるとして、これら以外の元素については、自然界に最も多く存在する酸化物であるとして、計算した。表2〜4に、これらの結果を示す。
〔拡散抑制膜中のPの分析〕
ガラス基材、拡散抑制膜、反射防止膜の界面部分を含む断面を観察用に加工し、日本電子(株)製電界放射型透過電子顕微鏡(型番:JEM−2010F)により、拡散抑制膜を観察した。同時に、拡散抑制膜中のPの定量分析を、日本電子(株)製電界放射型透過電子顕微鏡(型番:JEM−2010F)に付属のエネルギー分散型X線分光分析装置により、加速電圧:200kV、プローブ径:1nmの測定条件で行い、5回測定での平均値から求めた。表2〜4に、これらの結果を示す。
〔拡散抑制膜とAR膜の膜厚の測定〕
拡散抑制膜の膜厚を、日本電子製電界放射型透過電子顕微鏡(型番:JEM−2010F)による断面観察により測定した。また、AR膜の膜厚を、日立ハイテクノロジーズ(株)製走査型電子顕微鏡(型番:S−4300、SU−8000)による断面観察により測定した。表2〜4に、これらの結果を示す。
〔AR膜の屈折率、初期透過率の評価〕
AR膜の屈折率は、分光エリプソメトリー装置(J.A.Woollam Japan(株)製 M−2000)を用いて測定し、解析した光学定数における633nmの値とした。また、AR膜付きガラス基材の初期透過率は、日立ハイテクノロジーズ(株)製分光光度計(型番:U−4100)を用いて測定し、太陽電池用途において、透過率が重要となる340〜750nmの範囲のうち、中央値となる550nmの透過率(単位:%)の値で評価した。表2〜4に、これらの結果を示す。
〔高温高湿試験後の透過率〕
また、太陽電池の寿命評価方法としてJIS C 8938に規定されている高温高湿試験として85℃かつ85%RHの温湿度条件下に一定保持したエスペック(株)製恒温恒湿機(型番:PL−1KP)中に、1000時間サンプルを保持した後、恒温恒湿機から出して室温に戻したサンプルの透過率を、上述の分光光度計で測定した。また、(高温高湿試験後の透過率)/(初期透過率)を算出した。また、表2〜4に、これらの結果を示す。なお、表2〜4には、(高温高湿試験後の透過率)/(初期透過率)は、高温高湿試験後/初期と記載した。
〔AR膜の硬度〕
AR膜の硬度を、塗膜の一般評価法としてJIS K 5600に規定されている引っかき硬度(鉛筆法)試験として、コーティングテスター工業製手動式鉛筆引っかき試験器を用いて、荷重750g、角度45°で三菱鉛筆製引っかき試験用えんぴつで測定した。表2〜4に、これらの結果を示す。
表2〜4からわかるように、実施例1〜19では、AR膜の屈折率が1.35〜1.50で、拡散抑制膜中にPが1〜12原子%で、拡散抑制膜の厚さが3〜10nmであり、AR膜の透過率が92.5%以上と高く、高温高湿試験後の透過率も高く、初期の99.1〜99.9%であった。これに対して、比較例1では反射防止膜を形成していないため、初期の透過率が91%と低く、高温高湿試験後の透過率が88%と大きく低下した。AR膜用組成物原料にP含有化合物を含まない比較例2及び3では、拡散抑制膜が確認できず、高温高湿試験後の透過率が、初期透過率に比べて、大きく低下した。なお、コロイダルシリカ粒子の粒径が大きい実施例20と、コロイダルシリカ粒子の含有量が多い実施例21は、反射防止膜の膜厚が平坦とならずに、初期の透過率が実施例1〜19より低く、反射防止膜の硬度も低かった。
1 反射防止膜付きガラス基材
2 ガラス基材
3 反射防止膜
4 拡散抑制膜
10、20 薄膜太陽電池
11、21 反射防止膜
21A 拡散抑制膜
12、22 ガラス基材
13、23 透明電極層
14、24 光電変換層
15、25 透明導電膜
16、26 導電性反射膜

Claims (3)

  1. 表面に、反射防止膜を備えるガラス基材であって、
    ガラス基材は、NaおよびCaからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属を含有し;
    反射防止膜は、SiOを含有し、屈折率が1.35〜1.50であり;かつ
    ガラス基材表面と反射防止膜との界面に、透過電子顕微鏡付属のエネルギー分散型X線分光分析装置による定量分析で、Si、PおよびOの合計100原子%に対して、Pを1〜12原子%含有する拡散抑制膜を備える、
    ことを特徴とする、反射防止膜付きガラス基材。
  2. 反射防止膜が、コロイダルシリカ粒子を含有する、請求項1記載の反射防止膜付きガラス基材。
  3. 請求項1または2記載の反射防止膜付きガラス基材を備える、薄膜太陽電池。
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