JPH0725641A - ガラス着色用発色剤 - Google Patents

ガラス着色用発色剤

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JPH0725641A
JPH0725641A JP16411693A JP16411693A JPH0725641A JP H0725641 A JPH0725641 A JP H0725641A JP 16411693 A JP16411693 A JP 16411693A JP 16411693 A JP16411693 A JP 16411693A JP H0725641 A JPH0725641 A JP H0725641A
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glass
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和生 後藤
Susumu Murakami
晋 村上
Shigehiko Hayashi
茂彦 林
Koichi Sayo
浩一 佐用
Toru Noguchi
徹 野口
Yoshio Yamaguchi
良雄 山口
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/001General methods for coating; Devices therefor
    • C03C17/002General methods for coating; Devices therefor for flat glass, e.g. float glass

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガラスの表面に透明で鮮明な着色を可能に
し、また機械的に強い焼成膜を有するガラス着色用発色
剤を提供することを目的とする。 【構成】 ガラスの表面に透明な着色を可能にするガラ
ス着色用発色剤であり、少なくとも超微粒子化したA
u,Pt,Pd,Rh,Agから選ばれた貴金属を高分
子内に凝集させることなく分散させて得られた高分子複
合物と、有機金属化合物からなる固定剤と、バインダー
樹脂と、M’(M’はSi,B,Pである)で表示され
る元素を含む有機化合物であるガラス骨格成分と、そし
て有機溶剤とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はガラス着色用発色剤に係
り、詳しくはガラスの表面に透明な着色を可能にするガ
ラス着色用発色剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス基板の表面を着色する場合、ガラ
ス粉と着色剤との混合物をガラス基板の表面に印刷して
塗布した後、これを焼成して着色する方法がよく行われ
ていた。この方法はガラス基板に自由に着色剤を塗布で
きるところからデザイン性に優れるが、ガラス粉の溶融
界面において光の散乱があって光の透過率が80%以下
になり、不透明な着色になって、透明な着色には不適当
であった。
【0003】このため、従来からガラス基板に透明な着
色を行うため、いくつかの方法が改良されてきた。その
一つの方法は、イオン交換法と呼ばれるものであり、A
gやCuからなる特定の無機塩をガラス基板の表面に塗
布した後、焼成し、ガラス基板の表面に付着した酸化物
を洗浄していた。得られたガラス基板は、無機塩のAg
やCuの超微粒子がガラス基板内へ浸透し、透明にコロ
イド発色させるものである。また、他の方法は、スパッ
タリング法を用いてガラス基板上に蒸着した金属の膜を
作製する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、一般にイオン
交換法は、元素種により超微粒子が生成しにくいものが
あり、色の選択性に乏しい欠点があった。また、スパッ
タリング法では、金属微粒子の粒径を制御することが困
難であること、膜の強度が期待できないこと、金属微粒
子の含有濃度を高めるのが困難であること、しかも装置
が大型で大量生産には不向きであると言った問題があっ
た。更に、これらの方法では、いずれも金属微粒子の含
有濃度が低いために、ガラスに鮮明な色が出現せず、ま
た着色濃度を変えることは出来ず、しかもガラス基板上
に複数色で構成された複雑なパターンの着色をすること
も困難であった。本発明はこのような問題点を改善する
ものであり、ガラスの表面に透明で鮮明な着色を可能に
し、また機械的に強い焼成膜を有するガラス着色用発色
剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の特徴とす
るところは、ガラスの表面に透明な着色を可能にするガ
ラス着色用発色剤であり、少なくとも超微粒子化したA
u,Pt,Pd,Rh,Agから選ばれた貴金属を高分
子内に凝集させることなく分散させて得られた高分子複
合物と、有機金属化合物からなる固定剤と、バインダー
樹脂と、M’(M’はSi,B,Pである)で表示され
る元素を含む有機化合物であるガラス骨格成分と、有機
溶剤とからなるガラス着色用発色剤にある。
【0006】また、ここで使用する高分子複合物は、熱
力学的に非平衡化した高分子層を作製し、この高分子層
の表面にAu,Pt,Pd,Rh,Agから選ばれた貴
金属を密着した後、上記高分子層を加熱して高分子層を
安定化させることで該貴金属から超微粒子化した貴金属
で粒径が1〜50nmの超微粒子を高分子内に凝集させ
ることなく分散させて得られたものである。
【0007】即ち、本発明のガラス着色用発色剤は、少
なくとも貴金属を高分子内に凝集させることなく分散さ
せて得られた高分子複合物と、固定剤と、バインダー樹
脂と、ガラス骨格成分とが有機溶剤によって均一に分散
したペースト状のものである。まず、上記高分子複合物
を得る場合において、高分子層を熱力学的に非平衡化し
た状態に成形する必要がある。具体的には、これは高分
子を真空中で加熱して融解し蒸発させて基板の上に高分
子層を固化する真空蒸着方法、あるいは高分子を融解温
度以上で融解し、この状態のまま直ちに液体窒素等に投
入して急冷し、基板の上に高分子層を付着させる融解急
冷固化方法などがある。
【0008】そのうち真空蒸着方法の場合には、通常の
真空蒸着装置を使用して10-4〜10-6Torrの真空
度、蒸着速度0.1〜100μm/分、好ましくは0.
5〜5μm/分で、ガラス等の基板の上に高分子層を得
ることができる。融解急冷固化方法では、高分子を融解
し、該高分子固有の臨界冷却速度以上の速度で冷却して
高分子層を得る。このようにして得られた高分子層は熱
力学的に不安定な非平衡化した状態におかれ、時間の経
過につれて平衡状態へ移行する。
【0009】本発明で使用する高分子は、例えばナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナ
イロン69、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィド(P
PS)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート、ポ
リメチルメタクリレート等であって、分子凝集エネルギ
ーとして2000cal/mol以上有するものが好ま
しい。この高分子は、通常言われている結晶性高分子や
非晶性高分子も含む。尚、分子凝集エネルギーについて
は、日本化学会編 化学便覧応用編(1974年発行)
の第890頁に詳細に定義されている。
【0010】続いて、前記熱力学的に非平衡化した高分
子層は、その表面に貴金属層を密着させる工程へと移さ
れる。この工程では真空蒸着装置によって貴金属を高分
子層に蒸着させるか、もしくは貴金属箔、貴金属板を直
接高分子層に密着させる等の方法で貴金属層を高分子層
に積層させる。その貴金属としてはAu(金)、Pt
(白金)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Rh(ロ
ジウム)等である。
【0011】上記貴金属層と高分子層とが密着した複合
物を、高分子のガラス転移点以上、融点以下の温度で加
熱して高分子層を安定状態へ移行させる。その結果、貴
金属層の金属は、100nm以下で、1〜10nmの領
域に粒子径分布の最大をもつ貴金属の超微粒子となって
高分子層内へ拡散浸透し、この状態は高分子層が完全に
緩和するまで続き、高分子層に付着している貴金属層は
その厚さも減少して最終的に無くなる。上記超微粒子は
凝集することなく高分子層内に分布している。この場
合、超微粒子の含有量は0.01〜80重量%である
が、この含有量は高分子層の作製条件を変えたり、貴金
属層の厚みを変えることによって調節ができる。
【0012】尚、本発明では、高分子複合物の製造方法
は上記の方法だけでなく、例えば溶融気化法に属する気
相法、沈殿法に属する液相法、固相法、分散法で貴金属
超微粒子を作製し、この超微粒子を溶液あるいは融液か
らなる高分子と機械的に混合する方法、あるいは高分子
と貴金属とを同時に蒸発させ、気相中で混合する方法等
がある。
【0013】得られた高分子複合物は、メタクレゾー
ル、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサン、ギ酸等の
有機溶剤からなる溶媒に混合し溶解させ、超微粒子を均
一に分散させた超微粒子分散ペーストにする。超微粒子
は粒径が小さく高分子との相互作用が存在するためにペ
ースト中で高分子との分離、沈澱および超微粒子同志の
凝集が生じない。
【0014】また、本発明で使用する固定剤は、例えば
Al,Si,Ti,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,C
u,Y,Zr,Nb,In,Sn,Sb等のエトキシ
ド、プロポキジド等のアルコキシド類、ナフテン酸塩、
酢酸塩等の有機酸塩類、アセチルアセトン錯塩、オキシ
ン錯塩等の有機錯塩類を用いることにより本発明の目的
は達成される。特に、金の超微粒子を含む高分子複合物
と上記有機金属化合物とを組み合わせて得られた発色剤
を焼成すると、得られた色調はSiを含む有機金属化合
物において赤色、Cuを含む有機金属化合物においてピ
ンク色、Tiを含む有機金属化合物において青色、Fe
を含む有機金属化合物において緑色、Coを含む有機金
属化合物において灰色、Zrを含む有機金属化合物にお
いて青色、Niを含む有機金属化合物において青色にな
る。この添加量は特に限定されないが、貴金属微粒子に
対するモル比で0.1以上を必要とする。
【0015】また、本発明で使用するバインダー樹脂
は、発色剤の粘度を適度に維持してスクリーン印刷時の
取扱を良好に維持し、また印刷基板上に塗布した発色剤
の膜の強度を保持する機能を有している。このバインダ
ー樹脂は焼成時において低温で分解することが好ましい
が、特に限定されるものではなく有機溶媒に可溶なもの
であればよい。このバインダー樹脂としては、例えばニ
トロセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、
ブチルセルロース等のセルロース類、メチルアクリレー
ト等のアクリル類、ナイロン6、ナイロン11、ナイロ
ン12等のポリアミド類、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリカプロラクトン等のポリエステル類、ポリオキ
シメチレン等のポリエーテル類、ポリカーボネート類、
ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のポ
リビニル類等である。この添加量は発色剤の粘度と所望
する色の濃さによって決定され、制限はない。
【0016】また、本発明で使用するガラス骨格成分
は、M’(M’はSi,B,Pである)で表示される元
素を含む有機化合物である。これは作製した膜の強度を
向上させることができる。具体的には、テトラi−プロ
ポキシシラン、シリコンオイル、ほう酸トリエチル、ほ
う酸トリステアリル、ほう酸トリフェニル、リン酸トリ
クレジル、リン酸トリフェニル、リン酸イプロニアジ
ド、リン酸ジフェニル、ホスホノ酢酸、ホスホラミド
ン、リン酸ジn−ブチル、リン酸トリエチル、リン酸ト
リn−アミル等がある。上記ガラス骨格成分は膜の強度
を高めるだけでなく、化学的な耐久性を向上させる。こ
の添加量は固定剤とのモル比で0.1〜1000である
が、特に制限されない。
【0017】そして、本発明で使用する有機溶剤は、高
分子複合物、固定剤、バインダー樹脂、ガラス骨格成分
の種類によって選択されるが、具体的にはメタクレゾー
ル、ジメチルホルムアミド、カルビトール、ターピノー
ル、ジアセトンアルコール、トリエチレングリコール、
パラキシレン等の高沸点溶剤が発色剤をガラス基板上に
印刷するうえで好ましい。
【0018】上記発色剤は高分子複合物、固定剤、バイ
ンダー樹脂、ガラス骨格成分を予め有機溶剤に溶かした
ものを混合して得ることができる。むろん、高分子複合
物、固定剤、バインダー樹脂、ガラス骨格成分を同時に
有機溶剤に溶かし、良く攪拌してペースト状にすること
も可能である。
【0019】このように作製されたペースト状の発色剤
は、例えばガラス板等の基板上にスクリーン印刷され
る。この印刷手順は、水平に置かれたスクリーン(例え
ば、ポリエステル平織物、255メッシュ)の下に、数
ミリメートルの間隔をもたせて印刷基板(ガラス)を設
置する。このスクリーンの上に上記発色剤をのせた後、
スキージーを用いてスクリーン全面に発色剤を広げる。
この時には、スクリーンと印刷基板とは間隔を有してい
る。続いて、スクリーンが印刷基板に接触する程度にス
キージーでスクリーンを押さえ付けて移動させる。これ
で一回の印刷が終了し、以後これを繰り返す。その後、
印刷基板を100〜200°Cの大気中に10分間放置
して有機溶剤を除去して乾燥、あるいは密閉容器中で脱
気しながら乾燥した後、300〜800°Cで数分間熱
処理して焼成する。
【0020】発色剤の焼成膜では、貴金属の超微粒子が
固定剤のガラス状酸化物である、例えばAl−O−ある
いはTi−O−などとの相互作用のために超微粒子同志
が凝集せず、大きく粒成長せずに膜中に固定される。周
りのAl−O−あるいはTi−O−は超微粒子との相互
作用のために自由に結晶化できず、非晶質のガラスを生
成し、膜の主成分となり、光を良く透過することが可能
となる。上記焼成膜の組成は、Au,Pt,Pd,R
h,Agから選ばれた貴金属の超微粒子とMOX (Mは
Al,Si,Ti,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,C
u,Y,Zr,Nb,In,Sn,Snから選ばれてな
る金属元素、xは0.1〜3である)からなる非結晶の
無機物の2成分、そしてガラス骨格を形成する第3成分
であるM’Oy (M’はSi,B,Pであり、y は0.
1〜〜3である)からなり、上記超微粒子の含有量が最
大90モル%である。
【0021】
【作用】本発明の発色剤においては、Au,Pt,P
d,Rh,Agから選ばれた貴金属の超微粒子を分散さ
せて得られた高分子複合物、固定剤、バインダー樹脂、
ガラス骨格成分を有機溶剤に溶かし混合攪拌して得られ
たペースト状の物であり、これをガラス等の基板に付着
させて焼成すると、超微粒子がM−O−との相互作用の
ために超微粒子同志が凝集して大きく粒成長せずにその
中に固定され、そして周りのM−O−は超微粒子との相
互作用のために自由に結晶化できず非晶質のガラスを生
成し、またガラス骨格が形成されるため、目的とする透
明で鮮明な着色を可能にし、また強度を有する焼成膜が
形成される。また、高分子複合物を使用しているため、
超微粒子の含有量を向上させることができ、焼成膜の色
の濃さを制御することも可能になる
【0022】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。尚、発色剤の焼成膜の評価方法は以下の
通りである。 1.焼成膜中の超微粒子の化学状態 焼成膜中の貴金属超微粒子の化学状態の測定は、貴金属
が結晶体であるのでX線回折法を用いる。このX線回折
装置は薄膜アタッチメントを装着したリガク社製、RI
NT1200で、入射固定角1°で2θ法によってX線
回折パターンを求めて化合物を判定する。これによって
得られたX線回折パターンの結果を図1に示す。
【0023】2.超微粒子、生成物の含有率 これは、原料の混合物からモル%に換算して求めた。焼
成の過程で有機成分は全て分解除去され、無機成分は全
て気化、消失の無いものとした。
【0024】3.粒子の粒径 これは、1で得られたX線回折パターンに見られる貴金
属のメインピークの半値幅を求め、シェラーの式から結
晶体のサイズを計算した値である。
【0025】4.ガラス質成分の構造 1で得られたX線回折パターンによって、超微粒子以外
の回折ピークが有るか、無いかを判定した。回折ピーク
が無い場合もしくはブロードなハローが観察される時
は、非晶構造であるとした。
【0026】5.焼成膜の透明率 可視分光光度計を使用し、400〜700nmの強度積
分を拡散反射法と透過法によって求め、拡散反射法と透
過法によって得られた値の比を求めて焼成膜の透明率と
した。
【0027】6.接着状態 焼成膜の表面をかみそり刃によって研磨し、色の変化や
傷が付かない場合には「良」とし、これ以外は「不良」
と評価した。
【0028】7.耐薬品性試験 焼成膜を3%のH2 SO4 水溶液、あるいは3%のNa
OH水溶液に24時間浸漬し、その後色変化がない場合
には「良」とし、色変化がある場合には「不良」と評価
した。
【0029】実施例1 真空蒸着装置を用いて、ナイロン11のポリマーペレッ
ト5gをタングステンボード中に入れ、10-6Torr
に減圧する。次いで、電圧を印加してタングステンボー
ドを真空中で加熱してポリマーを融解させ、取り付け台
の上部に設置した基板(ガラス板)上に、10-4〜10
-6Torrの真空度で約1μm/分の速度で厚さ約5μ
mの蒸着膜の高分子層を得た。この高分子層の分子量は
前記ポリマーペレットの1/2〜1/10程度になって
いる。
【0030】更に、金チップをタングステンボード中に
入れて加熱融解して10-4〜10-6Torrの真空度で
蒸着を行って高分子層の上に金蒸着膜を付着させた。こ
れを真空蒸着装置から取り出し、120°Cに保持した
恒温槽中に10分間放置して複合物を得た。その結果、
この高分子複合物には金が約15重量%含有し、その平
均粒径は5nmであった。得られた高分子複合物とメタ
クレゾールとを重量比1:1で混合して、高分子複合物
溶液を作製した。
【0031】次に、種々の固定剤を用意し、該固定剤と
メタクレゾールとを重量比1:4で混合して、固定剤溶
液を作製した。
【0032】また、バインダー樹脂としてニトロセルロ
ースを用意し、ニトロセルロースとカルビトールとを重
量比1:1で混合して、バインダー樹脂溶液を作製し
た。
【0033】そして、前記高分子複合物溶液、固定剤溶
液、バインダー樹脂溶液、そしてガラス骨格成分として
シリコンオイルとを混合して発色剤を得た。この発色剤
の組成比は高分子複合物溶液100重量部に対して、固
定剤溶液180重量部、バインダー樹脂溶液1000重
量部、シリコンオイル25重量部である。
【0034】上記発色剤を前述のスクリーン印刷によっ
てガラス基板上に印刷し、これを120°Cにて10分
間乾燥した。この試料を炉中で650°C、10分間焼
成し、透明な焼成膜をもつガラス基板を得た。焼成膜の
特性を表1と表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】以上のように本発明の発色剤では、貴金
属の超微粒子を分散させて得られた高分子複合物、固定
剤、バインダー樹脂、ガラス骨格成分を有機溶剤に溶か
したものを混合して得られたペースト状であり、これを
ガラス等の基板に付着させて焼成すると、焼成膜中では
超微粒子同志が凝集して大きく粒成長せずにその中に固
定され、そして周りのM−O−が超微粒子との相互作用
のために自由に結晶化できず非晶質のガラスを生成し、
またガラス骨格が形成されるため、目的とする透明で鮮
明な着色を可能にし、また強度を有する焼成膜が形成さ
れるとともに、化学的な耐久性も向上する効果がある。
しかも、高分子複合物に分散している貴金属の超微粒子
の含有量を調節することができるため、焼成膜の色の濃
さを制御することも可能になる。
【手続補正書】
【提出日】平成6年8月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の特徴とす
るところは、ガラスの表面に透明な着色を可能にするガ
ラス着色用発色剤であり、少なくとも超微粒子化したA
u,Pt,Pd,Rh,Agから選ばれた貴金属を高分
子内に凝集させることなく分散させて得られた高分子複
合物と、有機金属化合物からなる固定剤と、バインダー
樹脂と、M’(M’はSi,B,Pから選ばれた元素
ある)で表示される元素を含む有機化合物であるガラス
骨格成分と、有機溶剤とからなるガラス着色用発色剤に
ある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】 また、本発明で使用するガラス骨格成分
は、M’(M’はSi,B,Pから選ばれた元素であ
る)で表示される元素を含む有機化合物である。これは
作製した膜の強度を向上させることができる。具体的に
は、テトラi−プロポキシシラン、シリコンオイル、ほ
う酸トリエチル、ほう酸トリステアリル、ほう酸トリフ
ェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル、リ
ン酸イプロニアジド、リン酸ジフェニル、ホスホノ酢
酸、ホスホラミドン、リン酸ジn−ブチル、リン酸トリ
エチル、リン酸トリn−アミル等がある。上記ガラス骨
格成分は膜の強度を高めるだけでなく、化学的な耐久性
を向上させる。この添加量は固定剤とのモル比で0.1
〜1000であるが、特に制限されない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】 発色剤の焼成膜では、貴金属の超微粒子
が固定剤のガラス状酸化物である、例えばAl−O−あ
るいはTi−O−などとの相互作用のために超微粒子同
志が凝集せず、大きく粒成長せずに膜中に固定される。
周りのAl−O−あるいはTi−O−は超微粒子との相
互作用のために自由に結晶化できず、非晶質のガラスを
生成し、膜の主成分となり、光を良く透過することが可
能となる。上記焼成膜の組成は、Au,Pt,Pd,R
h,Agから選ばれた貴金属の超微粒子とMO(Mは
Al,Si,Ti,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,C
u,Y,Zr,Nb,In,Snから選ばれてなる金属
元素、xは0.1〜3である)からなる非結晶の無機物
の2成分、そしてガラス骨格を形成する第3成分である
M’O(M’はSi,B,Pから選ばれた元素であ
り、yは0.1〜〜3である)からなり、上記超微粒子
の含有量が最大90モル%である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】
【作用】本発明の発色剤においては、Au,Pt,P
d,Rh,Agから選ばれた貴金属の超微粒子を分散さ
せて得られた高分子複合物、固定剤、バインダー樹脂、
ガラス骨格成分を有機溶剤に溶かし混合攪拌して得られ
たペースト状の物であり、これをガラス等の基板に付着
させて焼成すると、超微粒子がM−O−との相互作用の
ために超微粒子同志が凝集して大きく粒成長せずにその
中に固定され、そして周りのM−O−は超微粒子との相
互作用のために自由に結晶化できず非晶質のガラスを生
成し、またM’Oよりガラス骨格が形成されるため、
目的とする透明で鮮明な着色を可能にし、また強度を有
する焼成膜が形成される。また、高分子複合物を使用し
ているため、超微粒子の含有量を向上させることがで
き、焼成膜の色の濃さを制御することも可能になる
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。尚、発色剤の焼成膜の評価方法は以下の
通りである。 1.焼成膜中の超微粒子の化学状態 焼成膜中の貴金属超微粒子の化学状態の測定は、貴金属
が結晶体であるのでX線回折法を用いる。このX線回折
装置は薄膜アタッチメントを装着したリガク社製、RI
NT1200で、入射固定角1°で2θ法によってX線
回折パターンを求めて化合物を判定する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】実施例1、比較例1 真空蒸着装置を用いて、ナイロン11のポリマーペレッ
ト5gをタングステンボード中に入れ、10−6Tor
rに減圧する。次いで、電圧を印加してタングステンボ
ードを真空中で加熱してポリマーを融解させ、取り付け
台の上部に設置した基板(ガラス板)上に、10−4
10−6Torrの真空度で約1μm/分の速度で厚さ
約5μmの蒸着膜の高分子層を得た。この高分子層の分
子量は前記ポリマーペレットの1/2〜1/10程度に
なっている。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】
【表1】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】
【表2】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】
【発明の効果】以上のように本発明の発色剤では、貴金
属の超微粒子を分散させて得られた高分子複合物、固定
剤、バインダー樹脂、ガラス骨格成分を有機溶剤に溶か
したものを混合して得られたペースト状であり、これを
ガラス等の基板に付着させて焼成すると、焼成膜中では
超微粒子同志が凝集して大きく粒成長せずにその中に固
定され、そして周りのM−O−が超微粒子との相互作用
のために自由に結晶化できず非晶質のガラスを生成し、
またM’Oよりガラス骨格が形成されるため、目的と
する透明で鮮明な着色を可能にし、また強度を有する焼
成膜が形成されるとともに、化学的な耐久性も向上する
効果がある。しかも、高分子複合物に分散している貴金
属の超微粒子の含有量を調節することができるため、焼
成膜の色の濃さを制御することも可能になる。
フロントページの続き (72)発明者 佐用 浩一 神戸市長田区浜添通4丁目1番21号 三ツ 星ベルト株式会社内 (72)発明者 野口 徹 神戸市長田区浜添通4丁目1番21号 三ツ 星ベルト株式会社内 (72)発明者 山口 良雄 神戸市長田区浜添通4丁目1番21号 三ツ 星ベルト株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラスの表面に透明な着色を可能にする
    ガラス着色用発色剤であり、少なくとも超微粒子化した
    Au,Pt,Pd,Rh,Agから選ばれた貴金属を高
    分子内に凝集させることなく分散させて得られた高分子
    複合物と、有機金属化合物からなる固定剤と、バインダ
    ー樹脂と、M’(M’はSi,B,Pである)で表示さ
    れる元素を含む有機化合物であるガラス骨格成分と、有
    機溶剤とからなることを特徴とするガラス着色用発色
    剤。
  2. 【請求項2】 高分子複合物が、熱力学的に非平衡化し
    た高分子層を作製し、この高分子層の表面にAu,P
    t,Pd,Rh,Agから選ばれた貴金属を密着した
    後、上記高分子層を加熱して高分子層を安定化させるこ
    とで該貴金属から超微粒子化した貴金属の超微粒子を高
    分子内に凝集させることなく分散させて得られたもので
    ある請求項1記載のガラス着色用発色剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0844217A1 (en) * 1996-11-21 1998-05-27 Mitsuboshi Belting Ltd. Colored and fired film and method for producing the same
EP0909745A2 (en) * 1997-10-14 1999-04-21 Mitsuboshi Belting Ltd. Glass colorant composition

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