JP2554595B2 - ガラス着色用発色剤およびその製造方法 - Google Patents
ガラス着色用発色剤およびその製造方法Info
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Description
びその製造方法に係り、詳しくはガラスの表面に低温焼
成によって着色を可能にするガラス着色用発色剤および
その製造方法に関する。
ス粉と着色剤との混合物をガラス基板の表面に印刷して
塗布した後、これを焼成して着色する方法がよく行われ
ていた。また、金コロイドによる発色を行うため、塩化
金酸の水溶液をガラス粉と混合し、この混合物を800
°C以上の温度で焼成して金イオンを還元し、更にこれ
を800°C以上の温度で熱処理して還元された金原子
をコロイド粒子まで成長させることによって着色させて
いた。尚、この方法において800°C以下の熱処理温
度では、金を粒成長させることができないため、金コロ
イド発色は困難であった。
成や熱処理温度がかなり高いため、熱処理後、徐冷ある
いは強制冷却を行っていた。特に、強制冷却を行うと、
着色後のガラスには歪みが残り、ガラスの切断等の後加
工が出来なかった。本発明はこのような問題点を改善す
るものであり、焼成温度を低温にして発色させ、そして
着色後のガラス加工を可能にしたガラス着色用発色剤お
よびその製造方法を提供することを目的とする。
るところは、超微粒子化したAu,Pt,Pd,Rh,
Agから選ばれた1種もしくは2種以上の貴金属の超微
粒子を高分子内に凝集させることなく分散させて得られ
た高分子複合物に、少なくとも上記貴金属の超微粒子を
ガラス中に固定する有機金属化合物からなる固定剤と、
印刷用バインダー樹脂と、ガラス粉と、有機溶剤を配合
したガラス着色用発色剤にある。また、本発明は、ガラ
ス表面の着色を可能にするガラス着色用発色剤の製造方
法において、熱力学的に非平衡化した高分子層を作製
し、この高分子層の表面にAu,Pt,Pd,Rh,A
gから選ばれた1種もしくは2種以上の貴金属を密着し
た後、上記高分子層を加熱して高分子層を安定化させる
ことで該貴金属から超微粒子化した貴金属の超微粒子を
高分子内に凝集させることなく分散させて高分子複合物
を作製し、該高分子複合物に、少なくとも上記貴金属の
超微粒子をガラス中に固定する有機金属化合物からなる
固定剤と、印刷用バインダー樹脂と、ガラス粉と、有機
溶剤と添加したガラス着色用発色剤の製造方法も含む。
熱力学的に非平衡化した高分子層を作製し、この高分子
層の表面にAu,Pt,Pd,Rh,Agから選ばれた
少なくとも1種の貴金属を密着した後、上記高分子層を
加熱して高分子層を安定化させることで該貴金属から超
微粒子化した貴金属で粒径が1〜50nmの超微粒子を
高分子内に凝集させることなく分散させて得られたもの
である。
なくとも貴金属を高分子内に凝集させることなく分散さ
せて得られた高分子複合物と、固定剤と、印刷用バイン
ダー樹脂と、ガラス粉とが有機溶剤によって均一に分散
したペースト状のものである。まず、上記高分子複合物
を得る場合において、高分子層を熱力学的に非平衡化し
た状態に成形する必要がある。具体的には、これは高分
子を真空中で加熱して融解し蒸発させて基板の上に高分
子層を固化する真空蒸着方法、あるいは高分子を融解温
度以上で融解し、この状態のまま直ちに液体窒素等に投
入して急冷し、基板の上に高分子層を付着させる融解急
冷固化方法などがある。
真空蒸着装置を使用して10-4〜10-6Torrの真空
度、蒸着速度0.1〜100μm/分、好ましくは0.
5〜5μm/分で、ガラス等の基板の上に高分子層を得
ることができる。融解急冷固化方法では、高分子を融解
し、該高分子固有の臨界冷却速度以上の速度で冷却して
高分子層を得る。このようにして得られた高分子層は熱
力学的に不安定な非平衡化した状態におかれ、時間の経
過につれて平衡状態へ移行する。
ン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナ
イロン69、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィド(P
PS)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート、ポ
リメチルメタクリレート等であって、分子凝集エネルギ
ーとして2000cal/mol以上有するものが好ま
しい。この高分子は、通常言われている結晶性高分子や
非晶性高分子も含む。尚、分子凝集エネルギーについて
は、日本化学会編 化学便覧応用編(1974年発行)
の第890頁に詳細に定義されている。
子層は、その表面に貴金属層を密着させる工程へと移さ
れる。この工程では真空蒸着装置によって貴金属を高分
子層に蒸着させるか、もしくは貴金属箔、貴金属板を直
接高分子層に密着させる等の方法で貴金属層を高分子層
に積層させる。その貴金属としてはAu(金)、Pt
(白金)、Pd(パラジウム)、Rh(ロジウム)、A
g(銀)等である。
物を、高分子のガラス転移点以上、流動温度以下の温度
で加熱して高分子層を安定状態へ移行させる。その結
果、貴金属層の金属は、100nm以下で、1〜10n
mの領域に粒子径分布の最大をもつ貴金属の超微粒子と
なって高分子層内へ拡散浸透し、この状態は高分子層が
完全に緩和するまで続き、高分子層に付着している貴金
属層はその厚さも減少して最終的に無くなる。上記超微
粒子は凝集することなく高分子層内に分布している。こ
の場合、超微粒子の含有量は0.01〜80重量%であ
るが、この含有量は高分子層の作製条件を変えたり、貴
金属層の厚みを変えることによって調節ができる。
は上記の方法だけでなく、例えば溶融気化法に属する気
相法、沈殿法に属する液相法、固相法、分散法で貴金属
超微粒子を作製し、この超微粒子を溶液あるいは融液か
らなる高分子と機械的に混合する方法、あるいは高分子
と貴金属とを同時に蒸発させ、気相中で混合する方法等
がある。
ル、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサン、ギ酸等の
有機溶剤からなる溶媒に混合し溶解させ、超微粒子を均
一に分散させた超微粒子分散ペーストにする。超微粒子
は粒径が小さく高分子との相互作用が存在するためにペ
ースト中で高分子との分離、沈澱および超微粒子同志の
凝集が生じない。
Al,Si,Ti,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,C
u,Y,Zr,Nb,In,Sn,Sb等のエトキシ
ド、プロポキシド等のアルコキシド類、ナフテン酸塩、
酢酸塩等の有機酸塩類、アセチルアセトン錯塩、オキシ
ン錯塩等の有機錯塩類を用いること、また予めこれらの
元素を含めたガラス粉を用いることにより本発明の目的
は達成される。特に、金の超微粒子を含む高分子複合物
と上記有機金属化合物とを組み合わせて得られた発色剤
を焼成すると、得られた色調はSiを含む有機金属化合
物において赤色、Cuを含む有機金属化合物においてピ
ンク色、Tiを含む有機金属化合物において青色、Fe
を含む有機金属化合物において緑色、Coを含む有機金
属化合物において灰色、Zrを含む有機金属化合物にお
いて青色、Niを含む有機金属化合物において青色にな
る。この添加量は特に限定されないが、貴金属微粒子に
対するモル比で0.1以上を必要とする。
樹脂は、発色剤の粘度を適度に維持してスクリーン印刷
時の取扱を良好に維持し、また印刷基板上に塗布した発
色剤の膜の強度を保持する機能を有している。この印刷
用バインダー樹脂は焼成時において350°C以下の低
温で分解するものであり、かつ有機溶媒に可溶なもので
あればよい。この印刷用バインダー樹脂としては、比較
的低温で分解するもので、例えばニトロセルロース、エ
チルセルロース、酢酸セルロース、ブチルセルロース等
のセルロース類、ポリオキシメチレン等のポリエーテル
類、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のポリビニル
類、ポリブチルアクリレート、ポリメチルアクリレート
等のアクリレート類等である。この添加量は発色剤の粘
度と所望する色の濃さによって決定され、特に制限はな
い。
点として350°C以下で、粉径はスクリーン印刷時の
スクリーン孔径、パターン精度等の印刷条件によって決
定され、特に制限はない。具体的には、硼硅酸ガラス、
鉛ガラス等がある。上記ガラス粉は膜の強度を高めるだ
けでなく、化学的な耐久性を向上させる。この添加量は
固定剤との重量比で0.1〜10000であるが、特に
制限されない。
分子複合物、固定剤、印刷用バインダー樹脂、ガラス粉
の種類によって選択されるが、具体的にはメタクレゾー
ル、ジメチルホルムアミド、カルビトール、ターピノー
ル、ジアセトンアルコール、トリエチレングリコール、
パラキシレン等の高沸点溶剤が発色剤をガラス基板上に
印刷するうえで好ましい。
用バインダー樹脂を予め有機溶剤に溶かしたものをガラ
ス粉に混合して得ることができる。むろん、高分子複合
物、固定剤、印刷用バインダー樹脂、ガラス粉を同時に
有機溶剤と混合し、良く攪拌してペースト状にすること
も可能である。
は、例えばガラス板等の基板上にスクリーン印刷され
る。この印刷手順は、水平に置かれたスクリーン(例え
ば、ポリエステル平織物、255メッシュ)の下に、数
ミリメートルの間隔をもたせて印刷基板(ガラス)を設
置する。このスクリーンの上に上記発色剤をのせた後、
スキージーを用いてスクリーン全面に発色剤を広げる。
この時には、スクリーンと印刷基板とは間隔を有してい
る。続いて、スクリーンが印刷基板に接触する程度にス
キージーでスクリーンを押さえ付けて移動させる。これ
で一回の印刷が終了し、以後これを繰り返す。
ターンの一つは、室温から200〜250°Cまで上昇
させ、この温度で約20〜40分保持してガラス粉が軟
化する前に印刷用バインダー樹脂をすべて分解させ、そ
してこの温度から300〜350°Cまで上昇させ、こ
の温度で約20〜40分保持して焼成する。得られた焼
成膜の透過率は60〜90%である。
Agから選ばれた少なくとも1種の貴金属の超微粒子を
分散させて得られた高分子複合物、固定剤、印刷用バイ
ンダー樹脂、ガラス粉を有機溶剤と混合攪拌して得られ
たペースト状の発色剤であり、これをガラス等の基板に
付着させて焼成すると、低温焼成が可能になって強制冷
却や徐冷工程が不必要となり、焼成炉から直接取り出す
急冷も可能になる。そのため、低温焼成したガラス基板
や焼成膜は内部歪みが発生しにくくなり、そして着色し
たガラス基板は自由に切断でき、その他の加工を施して
も破損することがない。また、本発明の発色剤では超微
粒子がM−O−(金属酸化物で、MはAl,Si,T
i,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Y,Zr,
Nb,In,Sn,Sbから選ばれた少なくとも1種の
元素である。)等のとの相互作用のために超微粒子同志
が凝集して大きく粒成長せずにその中に固定され、目的
とする着色が可能になり、強度を有する焼成膜が形成さ
れる。そして、高分子複合物を使用しているため、超微
粒子の含有量を向上させることができ、焼成膜の色の濃
さを制御することも可能になる
細に説明する。尚、発色剤の焼成膜の評価方法は以下の
通りである。 1.焼成膜中の超微粒子の粒子径 焼成膜中の貴金属超微粒子の粒子径の測定は、貴金属が
結晶体であるのでX線回折法を用いる。このX線回折装
置は薄膜アタッチメントを装着したリガク社製、RIN
T1200で、入射固定角1°で2θ法によってX線回
折パターンを求める。粒子径は得られたX線回折パター
ンに見られる貴金属のメインピークの半値幅を求め、シ
ェラーの式から結晶体のサイズを計算した値である。
成の過程で有機成分は全て分解除去され、無機成分は全
て気化、消失の無いものとした。
した。
OH水溶液に24時間浸漬し、その後色変化がない場合
には「良」とし、色変化がある場合には「不良」と評価
した。
ト5gをタングステンボード中に入れ、10-6Torr
に減圧する。次いで、電圧を印加してタングステンボー
ドを真空中で加熱してポリマーを融解させ、取り付け台
の上部に設置した基板(ガラス板)上に、10-4〜10
-6Torrの真空度で約1μm/分の速度で厚さ約5μ
mの蒸着膜の高分子層を得た。この高分子層の分子量は
前記ポリマーペレットの1/2〜1/10程度になって
いる。
入れて加熱融解して10-4〜10-6Torrの真空度で
蒸着を行って高分子層の上に金蒸着膜を付着させた。こ
れを真空蒸着装置から取り出し、120°Cに保持した
恒温槽中に10分間放置して複合物を得た。その結果、
この高分子複合物には金が約15重量%含有し、その平
均粒径は5nmであった。得られた高分子複合物とメタ
クレゾールとを重量比1:1で混合して、高分子複合物
溶液を作製した。
ルミウムあるいはテトライソピロポキシチタンを用意
し、該固定剤とベンゼンとを重量比1:4で混合して、
固定剤溶液を作製した。
セルロースを用意し、ニトロセルロースとカルビトール
とを重量比1:9で混合して、印刷用バインダー樹脂溶
液を作製した。
液、印刷用バインダー樹脂溶液、そして ガラス粉(O
C−406:軟化点324°C:奥野製薬社製)とを混
合して発色剤を得た。これらの発色剤の組成比は表1に
示す。
ってガラス基板上に印刷し、これを120°Cにて10
分間乾燥した。この試料をプログラマブル管状炉でパタ
ーン焼成した。即ち、上記プログラマブル管状炉を室温
から250。Cまで上昇させると、試料をこの温度で約
30分保持してガラス粉が軟化する前に印刷用バインダ
ー樹脂をすべて分解させ、そしてこの温度から350°
Cまで上昇させて、この温度で約30分保持して焼成
し、焼成膜をもつガラス基板を得た。焼成膜の特性を表
1に示す。
になり、しかも発色したガラスの切断も可能になり、焼
成膜の内部歪みが発生しにくくなっていることが判る。
剤およびその製造方法では、貴金属の超微粒子を分散さ
せて得られた高分子複合物、固定剤、印刷用バインダー
樹脂、ガラス粉を有機溶剤に溶かして得られたペースト
状の発色剤であり、これをガラス等の基板に付着させて
焼成すると、低温で焼成が可能となり、ガラス基板や焼
成膜の強制冷却や徐冷工程が不必要となる。このため、
本発明の発色剤ではガラス基板や焼成膜の内部歪みが発
生しにくくなり、たとえ着色したガラス基板をがラス加
工しても破損することがない。しかも、焼成膜中では周
りのM−O−と超微粒子との相互作用のために、超微粒
子同志が凝集して大きく粒成長せずにその中に固定さ
れ、目的とする色の着色を可能にした。また、高分子複
合物に分散している貴金属の超微粒子の含有量を調節す
ることができるため、焼成膜の色の濃さを制御すること
も可能になる。
Claims (2)
- 【請求項1】 超微粒子化したAu,Pt,Pd,R
h,Agから選ばれた1種もしくは2種以上の貴金属の
超微粒子を高分子内に凝集させることなく分散させて得
られた高分子複合物に、少なくとも上記貴金属の超微粒
子をガラス中に固定する有機金属化合物からなる固定剤
と、印刷用バインダー樹脂と、ガラス粉と、有機溶剤を
配合したことを特徴とするガラス着色用発色剤。 - 【請求項2】 ガラス表面の着色を可能にするガラス着
色用発色剤の製造方法において、熱力学的に非平衡化し
た高分子層を作製し、この高分子層の表面にAu,P
t,Pd,Rh,Agから選ばれた1種もしくは2種以
上の貴金属を密着した後、上記高分子層を加熱して高分
子層を安定化させることで該貴金属から超微粒子化した
貴金属の超微粒子を高分子内に凝集させることなく分散
させて高分子複合物を作製し、該高分子複合物に、少な
くとも上記貴金属の超微粒子をガラス中に固定する有機
金属化合物からなる固定剤と、印刷用バインダー樹脂
と、ガラス粉と、有機溶剤を添加したことを特徴とする
ガラス着色用発色剤の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5172173A JP2554595B2 (ja) | 1993-06-18 | 1993-06-18 | ガラス着色用発色剤およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5172173A JP2554595B2 (ja) | 1993-06-18 | 1993-06-18 | ガラス着色用発色剤およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0725642A JPH0725642A (ja) | 1995-01-27 |
JP2554595B2 true JP2554595B2 (ja) | 1996-11-13 |
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ID=15936929
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5172173A Expired - Fee Related JP2554595B2 (ja) | 1993-06-18 | 1993-06-18 | ガラス着色用発色剤およびその製造方法 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2554595B2 (ja) |
-
1993
- 1993-06-18 JP JP5172173A patent/JP2554595B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH0725642A (ja) | 1995-01-27 |
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