JP2714927B2 - 非晶質酸化チタン膜作製用組成物および非晶質酸化チタン膜の製造方法 - Google Patents

非晶質酸化チタン膜作製用組成物および非晶質酸化チタン膜の製造方法

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JP2714927B2 JP5513994A JP5513994A JP2714927B2 JP 2714927 B2 JP2714927 B2 JP 2714927B2 JP 5513994 A JP5513994 A JP 5513994A JP 5513994 A JP5513994 A JP 5513994A JP 2714927 B2 JP2714927 B2 JP 2714927B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非晶質酸化チタン膜作製
用組成物および非晶質酸化チタン膜の製造方法に係り、
詳しくは透明で内部欠陥の少なくて強度が高く、しかも
ガラス、金属、セラミックス等の表面に印刷することが
できる非晶質酸化チタン膜作製用組成物および非晶質酸
化チタン膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、酸化チタン膜は優れた耐摩耗性
や、耐酸性、耐アルカリ性のような化学的性質を利用し
て基材の表面層保護層として利用されたり、またその光
学的性質を利用して紫外線吸収材としても使用されてい
る。上記酸化チタン膜の製造方法としては、例えば有機
基を有するチタン化合物を基材表面に塗布し、空気中で
焼成して酸化チタン膜を形成する方法、真空蒸着法、ス
パッタリング法、CVD法等の気相法により基材表面に
酸化チタン膜を形成する方法、チタンアルコキシドに
水、触媒を加えて縮重合させて酸化チタン膜を形成する
方法、あるいはLPD法、電着法等の液相法により基材
表面に酸化チタン膜を形成する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、酸化チタンは
非常に結晶化しやすい物質であるため、前記従来技術の
方法では非晶質の酸化チタン膜を作製することは困難で
あった。従来の方法によって得られた結晶質の酸化チタ
ン膜は、白色の半透明で、また結晶化によって膜内に空
隙や割れといった欠陥が多数発生して白濁したり、また
粉体化しやすくなることがあった。このため、結晶質の
酸化チタン膜は、上述の酸化チタン本来の物理的、化学
的性質が著しく損なわれていた。従来法によれは、唯
一、膜厚が非常に薄い場合のみ、空隙や割れといった欠
陥の少ない膜を作製することができる。しかし、膜厚が
非常に薄いため、酸化チタン本来の特性を発揮すること
は困難であった。このため、膜厚の大きい非晶質の酸化
チタン膜を作製することが強く望まれており、また非晶
質にすることで新規な特性も期待されている。
【0004】本発明はこのような問題点を改善するもの
であり、より厚く、透明で、しかも耐摩耗性や耐酸性、
耐アルカリ性のような物理的、化学的性質に優れた非晶
質酸化チタン膜作製用組成物および非晶質酸化チタン膜
の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1として少
なくとも超微粒子化したAu,Pt,Pd,Rh,Ag
から選ばれた貴金属の超微粒子を高分子内に凝集させる
ことなく分散させて得られた高分子複合物と、液状の有
機基を有するチタン化合物とからなり、上記貴金属の超
微粒子を90モル%以下、上記有機基を有するチタン化
合物を10モル%以上を添加した非晶質酸化チタン膜作
製用組成物である。
【0006】本発明は、第2として少なくとも超微粒子
化したAu,Pt,Pd,Rh,Agから選ばれた貴金
属の超微粒子を高分子内に凝集させることなく分散させ
て得られた高分子複合物と、有機基を有するチタン化合
物とからなり、上記貴金属の超微粒子を90モル%以
下、上記有機基を有するチタン化合物を10モル%以上
を添加し、これらの成分を有機溶剤に溶解した非晶質酸
化チタン膜作製用組成物にある。
【0007】本発明は、第3として少なくとも超微粒子
化したAu,Pt,Pd,Rh,Agから選ばれた貴金
属の超微粒子を高分子内に凝集させることなく分散させ
て得られた高分子複合物と、有機基を有するチタン化合
物と、有機基を有する金属化合物からなり、上記貴金属
の超微粒子を90モル%以下、上記有機基を有するチタ
ン化合物を10モル%以上を添加し、また有機基を有す
る金属化合物を有機基を有するチタン化合物に対して等
モル以下の割合で添加し、これらの成分を有機溶剤に溶
解した非晶質酸化チタン膜作製用組成物にある。
【0008】更に、本発明は、第4として少なくとも超
微粒子化したAu,Pt,Pd,Rh,Agから選ばれ
た貴金属の超微粒子を高分子内に凝集させることなく分
散させて得られた高分子複合物に、少なくとも有機基を
有するチタン化合物と、有機溶剤とを添加して得られた
組成物を基材上に塗布し、有機溶剤を除去した後、30
0°C以上の温度で熱処理することにより、上記超微粒
子と酸化チタンからなる非晶質酸化チタン膜を形成して
なる非晶質酸化チタン膜の製造方法にある。
【0009】ここで使用する高分子複合物は、熱力学的
に非平衡化した高分子層を作製し、この高分子層の表面
に少なくともAu,Pt,Pd,Rh,Agから選ばれ
た貴金属を密着した後、上記高分子層を加熱して高分子
層を安定化させることで該貴金属から粒径が100nm
以下、好ましくは1〜50nmの超微粒子化した貴金属
を高分子内に凝集させることなく分散させて得られたも
のである。
【0010】まず、上記高分子複合物を得る場合におい
て、高分子層を熱力学的に非平衡化した状態に成形する
必要がある。具体的には、これは高分子を真空中で加熱
して融解し蒸発させて基板の上に高分子層を固化する真
空蒸着方法、あるいは高分子を融解温度以上で融解し、
この状態のまま直ちに液体窒素等に投入して急冷し、基
板の上に高分子層を付着させる融解急冷固化方法などが
ある。
【0011】そのうち真空蒸着方法の場合には、通常の
真空蒸着装置を使用して10-4〜10-6Torrの真空
度、蒸着速度0.1〜100μm/分、好ましくは0.
5〜5μm/分で、ガラス等の基板の上に高分子層を得
ることができる。融解急冷固化方法では、高分子を融解
し、該高分子固有の臨界冷却速度以上の速度で冷却して
高分子層を得る。このようにして得られた高分子層は熱
力学的に不安定な非平衡化した状態におかれ、時間の経
過につれて平衡状態へ移行する。
【0012】本発明で使用する高分子は、例えばナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナ
イロン69、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィド(P
PS)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート、ポ
リメチルメタクリレート等であって、分子凝集エネルギ
ーとして2000cal/モル以上有するものが好まし
い。この高分子は、通常言われている結晶性高分子や非
晶性高分子も含む。尚、分子凝集エネルギーについて
は、日本化学会編 化学便覧応用編(1974年発行)
の第890頁に詳細に定義されている。
【0013】続いて、前記熱力学的に非平衡化した高分
子層は、その表面に貴金属層を密着させる工程へと移さ
れる。この工程では真空蒸着装置によって貴金属を高分
子層に蒸着させるか、もしくは貴金属箔、貴金属板を直
接高分子層に密着させる等の方法で貴金属層を高分子層
に積層させる。その貴金属としてはAu(金)、Pt
(白金)、Pd(パラジウム)、Rh(ロジウム)、A
g(銀)等である。
【0014】上記貴金属層と高分子層とが密着した複合
物を、高分子のガラス転移点以上、流動温度以下の温度
で加熱して高分子層を安定状態へ移行させる。その結
果、貴金属層の金属は、100nm以下で、1〜50n
mの領域に粒子径分布の最大をもつ貴金属の超微粒子と
なって高分子層内へ拡散浸透し、この状態は高分子層が
完全に安定するまで続き、高分子層に付着している貴金
属層はその厚さも減少して最終的に無くなる。上記超微
粒子は凝集することなく高分子層内に分布している。こ
の場合、超微粒子の含有量は0.01〜90重量%であ
るが、この含有量は高分子層の作製条件を変えたり、貴
金属層の厚みを変えることによって調節ができる。
【0015】尚、本発明では、高分子複合物の製造方法
は上記の方法だけでなく、例えば溶融気化法に属する気
相法、沈殿法に属する液相法、固相法、分散法で貴金属
超微粒子を作製し、この超微粒子を溶液あるいは融液か
らなる高分子と機械的に混合する方法、あるいは高分子
と貴金属とを同時に蒸発させ、気相中で混合する方法等
がある。
【0016】 また、本発明で使用する有機基を有する
チタン化合物は、具体的にはテトラブトキシチタニウ
ム、テトライソプロポキシチタニウム、テトラエトキシ
チタニウム、これらの2量体、3量体、4量体等の縮合
物からなるアルコキシド、チタニル(2)アセチルアセ
ナート、ジブトキシチタニウムアセチルアセトナー
、ジブトキシチタニウムトリエタノールアミナート等
のキレート、チタニウムステアレート、チタニウムオク
チレート等の有機酸塩からなり、これらは室温で液体も
しくは固体である。
【0017】本発明では、得られた高分子複合物と液状
の有機基を有するチタン化合物とを混合し、超微粒子と
有機基を有するチタン化合物とを均一に分散させた液状
体にするか、あるいは高分子複合物と有機基を有するチ
タン化合物とをジメチルイミダゾリジノン、メタクレゾ
ール、ジメチルホルムアミド、カルビトール、ターピノ
ール、ジアセトンアルコール、トリエチレングリコー
ル、パラキシレン等の高沸点の有機溶剤に混合し溶解さ
せ、超微粒子と有機基を有するチタン化合物を均一に分
散させた液状体にする。超微粒子は粒径が小さく高分子
との相互作用が存在するために液状体中で高分子との分
離、沈澱および超微粒子同志の凝集が生じない。
【0018】上記高分子複合物は、有機基を有するチタ
ン化合物と混合して攪拌されるが、この場合有機基を有
するチタン化合物は10モル%以上、好ましくは10〜
99.9モル%である。99.9モル%を超えると、得
られた酸化チタン膜は結晶化して内部に空隙や割れとい
った欠陥をもつことになり、他方10モル%未満の場合
には、金属の微粒子が凝集して、やはり本発明の目的を
達成しなくなる。
【0019】得られた組成物は、ガラス等の基材表面に
ディッピング、スプレー、コーティング、印刷等の方法
で塗布し、空気中で300°C以上で熱処理して主とし
て超微粒子と酸化チタンからなる非晶質酸化チタン膜を
形成する。この非晶質酸化チタン膜では、超微粒子と酸
化チタンとの相互作用によって酸化チタンの結晶化が抑
制され、より大きい厚膜で内部欠陥の少ない透明な非晶
質酸化チタン膜を作製することができる。
【0020】また、本発明では、高分子複合物と有機基
を有するチタン化合物の他に、バインダー樹脂を添加し
て有機溶剤に混合し溶解させたペースト状の組成物でも
よい。この組成物を作製する場合には、バインダー樹脂
を予めメタクレゾール、ジメチルホルムアミド、カルビ
トール、ターピノール、ジアセトンアルコール、トリエ
チレングリコール、パラキシレン等の高沸点の有機溶剤
に混合し溶解したものを、上記高分子複合物溶液と有機
基を有するチタン化合物とに混合して得ることができ
る。このようにして得られたペースト状の組成物は、特
にスクリーン印刷性に優れており、また塗布し乾燥した
後の膜強度や有機基を有するチタン化合物の化学的安定
性が増して取扱がしやすくなる。
【0021】このスクリーン印刷の手順は、水平に置か
れたスクリーン(例えば、ポリエステル平織物、255
メッシュ)の下に、数ミリメートルの間隔をもたせて印
刷基板(ガラス)を設置する。このスクリーンの上に上
記組成物をのせた後、スキージーを用いてスクリーン全
面に組成物を広げる。この時には、スクリーンと印刷基
板とは間隔を有している。続いて、スクリーンが印刷基
板に接触する程度にスキージーでスクリーンを押さえ付
けて移動させ、印刷をする。以後これを繰り返す。
【0022】上記バインダー樹脂としては、例えばニト
ロセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、ブ
チルセルロース等のセルロース類、ポリオキシメチレン
等のポリエーテル類、ポリブタジエン、ポリイソプレン
等のポリビニル類、ポリブチルアクリレート、ポリメチ
ルアクリレート等のポリアクリレート類、ナイロン6、
ナイロン6.6、ナイロン11等のポリアミド類であ
る。
【0023】また、本発明では、チタニウム以外の有機
基を有する金属化合物を添加することもできる。この組
成物から得られた膜は、異種金属の添加によって非晶質
酸化チタン膜の誘電率、光吸収特性を変化させることが
できる。
【0024】上記有機基を有する金属化合物としては、
例えばAl,Si,Ti,Cr,Mn,Fe,Co,N
i,Cu,Y,Zr,Nb,In,Sn,Sb等のエト
キシド、プロポキシド等のアルコキシド類、ナフテン酸
塩、酢酸塩等の有機酸塩類、アセチルアセトン錯塩、オ
キシン錯塩等の有機錯塩類等がある。その添加量は、有
機基を有するチタン化合物に対して等モル以下であり、
等モルを超えると酸化チタンの優れた物理的、化学的特
性を損なう。
【0025】
【作用】本発明の非晶質酸化チタン膜作製用組成物およ
び非晶質酸化チタン膜の製造方法では、超微粒子と酸化
チタンとの相互作用によって酸化チタンの結晶化が抑制
され、より膜厚が大きく、透明で、内部欠陥の少ない非
晶質酸化チタン膜を作製することができ、膜厚が増加し
たことにより保護層や紫外線吸収層の性能が一段と向上
する。また、これに有機基を有する金属化合物を加える
ことによって得られた膜は、異種金属の添加によって非
晶質酸化チタン膜の誘電率、光吸収特性を変化させるこ
とができる。更に、バインダー樹脂を添加することによ
り、ガラス等の表面に印刷することができる。得られた
膜は透明かつ均一であり、優れた耐薬品性、耐摩耗性を
有し、また貴金属の超微粒子の添加量が10モル%未満
の場合、得られた膜はハーフミラー状になり、膜厚を変
化させることにより種々の干渉色を呈する。
【0026】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。 実施例1 (高分子複合物の作製)真空蒸着装置を用いて、ナイロ
ン11のポリマーペレット5gをタングステンボード中
に入れ、10-6Torrに減圧する。次いで、電圧を印
加してタングステンボードを真空中で加熱してポリマー
を融解させ、取り付け台の上部に設置した基板(ガラス
板)上に、10-4〜10-6Torrの真空度で約1μm
/分の速度で厚さ約5μmの蒸着膜の高分子層を得た。
この高分子層の分子量は前記ポリマーペレットの1/2
〜1/10程度になっている。
【0027】更に、金チップをタングステンボード中に
入れて加熱融解して10-4〜10-6Torrの真空度で
蒸着を行って高分子層の上に金蒸着膜を付着させた。こ
れを真空蒸着装置から取り出し、120°Cに保持した
恒温槽中に10分間放置して複合物を得た。その結果、
この高分子複合物には金が17.6重量%含有し、その
平均粒径は5nmであった。得られた高分子複合物とメ
タクレゾールとを重量比1:1の割合で混合して、高分
子複合物溶液を作製した。
【0028】(非晶質酸化チタン膜作製用組成物の作
製) 次に、バインダー樹脂であるエチルセルロースをターピ
ノールに溶かしたものを、上記高分子複合物溶液、そし
て有機基を有するチタン化合物であるテトライソプロポ
キシチタニウムとを同時に所定量混合攪拌して、表1に
示す組成物を得た。
【0029】(非晶質酸化チタン膜の作製)得られた組
成物をステンレス#325のスクリーンを用いて、ガラ
ス基板上に印刷した後、これを150°Cに設定された
オーブン中で10分間乾燥して溶媒を除去し、更に50
0°Cに設定されたマッフル炉中で30分間熱処理を行
い、ガラス基板上にチタン膜を作製した。膜の状態およ
び膜の化学的および機械的特性を調べた結果を表1に示
す。
【0030】尚、酸化チタンの構造は、薄膜法によるX
線回折法(Cu−Kα線、入射角1.0°)によって結
晶、非結晶を判断した。また、膜の機械的特性の測定方
法では、10×10mmの綿布を荷重500gで試料に
接触させて繰り返し10,000回摩耗した後、波長4
00〜700nmの光を試料にあて、光透過率変化を求
めた。また、化学的特性では1規定のH2 SO4 水溶液
中に24時間、1規定のNaOH水溶液中に24時間,
あるいは沸騰水中に3時間、それぞれ浸漬した後、試料
の色調と耐摩耗性を評価した。
【0031】実施例2 実施例1と同様の高分子複合物溶液と、エチルセルロー
スをターピノールに溶かしたものと、ジプロポキシチタ
ニウムアセチルアセトナートとを所定量に混合攪拌し
て、表1に示す組成物を得た。そして、実施例1と同様
の方法で、ガラス基板上に膜を作製した。膜の状態およ
び膜の化学的および機械的特性を調べた結果を表1に併
記する。
【0032】実施例3 実施例1と同様の高分子複合物溶液と、エチルセルロー
スをターピノールに溶かしたものと、チタニウムステア
レートとを所定量に混合攪拌して、表1に示す組成物を
得た。そして、実施例1と同様の方法で、ガラス基板上
に膜を作製した。膜の状態および膜の化学的および機械
的特性を調べた結果を表1に併記する。
【0033】実施例4 実施例1と同様の高分子複合物溶液と、ナイロン6をメ
タクレゾールに溶かしたものと、ジプロポキシチタニウ
ムアセチルアセトナートとを所定量に混合攪拌して、表
1に示す組成物を得た。そして、実施例1と同様の方法
で、ガラス基板上に膜を作製した。膜の状態および膜の
化学的および機械的特性を調べた結果を表1に併記す
る。
【0034】実施例5 実施例1と同様の高分子複合物溶液と、エチルセルロー
スをターピノールに溶かしたものと、テトライソプロポ
キシチタニウムとを所定量に混合攪拌して、表1に示す
ように金の濃度が10モル%になる組成物を得た。そし
て、実施例1と同様の方法で、ガラス基板上に膜を作製
した。膜の状態および膜の化学的および機械的特性を調
べた結果を表1に併記する。
【0035】実施例6 実施例1と同様の高分子複合物溶液と、エチルセルロー
スをターピノールに溶かしたものと、テトライソプロポ
キシチタニウムとを所定量に混合攪拌して、表1に示す
ように金の濃度が50モル%になる組成物を得た。そし
て、実施例1と同様の方法で、ガラス基板上に膜を作製
した。膜の状態および膜の化学的および機械的特性を調
べた結果を表1に併記する。
【0036】比較例1 高分子複合物を使用せずに、エチルセルロースをターピ
ノールに溶かしたものを、テトライソプロポキシチタニ
ウムに所定量に混合攪拌して、表1に示す組成物を得
た。これを実施例1と同様の方法でガラス基板上に膜を
作製した。膜の状態を表1に示す。
【0037】比較例2 有機基を有するチタン化合物を使用せずに、実施例1で
用いた高分子複合物溶液とエチルセルロースをターピノ
ールに溶かしたものとを所定量に混合攪拌して、表1に
示す組成物を得た。これを実施例1と同様の方法でガラ
ス基板上に膜を作製した。膜の状態を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】この結果、金微粒子を含まない組成物(比
較例1)では、酸化チタンの結晶化により膜化しない
が、実施例では金微粒子を1モル%、そして有機基を有
するチタン化合物を99モル%添加すると、酸化チタン
の結晶化が妨げられ、非結晶の透明な緑色ミラー状の酸
化チタン膜が得られた。また、膜の耐摩耗性や耐薬品性
に優れていることが判る。実施例2、実施例3および実
施例4では、非結晶の透明で均一な酸化チタン膜が得ら
れ、また膜の化学的および機械的特性も優れていること
が判る。また、金の濃度を高めた実施例5、実施例6で
も、非結晶の透明で均一な酸化チタン膜が得られ、膜の
化学的および機械的特性も優れていることが判る。
【0040】実施例7〜12 実施例1と同様の組成物(高分子複合物溶液、テトラ
プロポキシチタニウム、エチルセルロース、ターピノ
ール)に、種々の有機基を有する金属化合物を、有機基
を有するチタン化合物/有機基を有する金属化合物=1
/1モル比の割合で添加した組成物を作製し、そして実
施例1と同様の方法で、ガラス基板上に膜を作製した。
膜の状態および膜の化学的および機械的特性を調べた結
果を表2に併記する。
【0041】
【表2】
【0042】この結果より、有機基を有する金属化合物
を添加しても、非結晶の透明で均一な緑色ミラー状の酸
化チタン膜が得られ、透過色は金属種により種々に変化
した。また、膜の化学的および機械的特性も優れている
ことが判る。
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明の非晶質酸化チタン
膜作製用組成物および非晶質酸化チタン膜の製造方法で
は、超微粒子と酸化チタンとの相互作用によって酸化チ
タンの結晶化が抑制され、より膜厚が大きく、内部欠陥
が少なくて化学的および機械的にも優れた透明な非晶質
酸化チタン膜を作製することができるばかりか、膜厚が
増加したことにより保護層や紫外線吸収層の性能が一段
と向上し、またこれに有機基を有する金属化合物を加え
ることによって得られた膜は、異種金属の添加によって
非晶質酸化チタン膜の誘電率、光吸収特性を変化させる
ことができ、更にバインダー樹脂を添加することによ
り、ガラス等の表面に印刷することができ、得られた膜
は透明かつ均一であり、優れた耐薬品性、耐摩耗性を有
し、また貴金属の超微粒子の添加量が10モル未満の場
合、得られた膜はハーフミラー状になり、膜厚を変化さ
せることにより種々の干渉色を呈する。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも超微粒子化したAu,Pt,
    Pd,Rh,Agから選ばれた貴金属の超微粒子を高分
    子内に凝集させることなく分散させて得られた高分子複
    合物と、液状の有機基を有するチタン化合物とからな
    り、上記貴金属の超微粒子を90モル%以下、上記有機
    基を有するチタン化合物を10モル%以上を添加したこ
    とを特徴とする非晶質酸化チタン膜作製用組成物。
  2. 【請求項2】 少なくとも超微粒子化したAu,Pt,
    Pd,Rh,Agから選ばれた貴金属の超微粒子を高分
    子内に凝集させることなく分散させて得られた高分子複
    合物と、有機基を有するチタン化合物とからなり、上記
    貴金属の超微粒子を90モル%以下、上記有機基を有す
    るチタン化合物を10モル%以上を添加し、これらの成
    分を有機溶剤に溶解したことを特徴とする非晶質酸化チ
    タン膜作製用組成物。
  3. 【請求項3】 少なくとも超微粒子化したAu,Pt,
    Pd,Rh,Agから選ばれた貴金属の超微粒子を高分
    子内に凝集させることなく分散させて得られた高分子複
    合物と、有機基を有するチタン化合物と、有機基を有す
    る金属化合物からなり、上記貴金属の超微粒子を90モ
    ル%以下、上記有機基を有するチタン化合物を10モル
    %以上を添加し、また有機基を有する金属化合物を有機
    基を有するチタン化合物に対して等モル以下の割合で添
    加し、これらの成分を有機溶剤に溶解したことを特徴と
    する非晶質酸化チタン膜作製用組成物。
  4. 【請求項4】 バインダー樹脂を添加してなる請求項
    1、2または3記載の非晶質酸化チタン膜作製用組成
    物。
  5. 【請求項5】 高分子複合物が、熱力学的に非平衡化し
    た高分子層を作製し、この高分子層の表面に少なくとも
    Au,Pt,Pd,Rh,Agから選ばれた貴金属を密
    着した後、上記高分子層を加熱して高分子層を安定化さ
    せることで該貴金属から超微粒子化した貴金属の超微粒
    子を高分子内に凝集させることなく分散させて得られた
    もので、貴金属の超微粒子の添加量が0.01〜90重
    量%である請求項1、2、3または4記載の非晶質酸化
    チタン膜作製用組成物。
  6. 【請求項6】 少なくとも超微粒子化したAu,Pt,
    Pd,Rh,Agから選ばれた貴金属の超微粒子を高分
    子内に凝集させることなく分散させて得られた高分子複
    合物に、少なくとも有機基を有するチタン化合物と、有
    機溶剤とを添加して得られた組成物を基材上に塗布し、
    有機溶剤を除去した後、300°C以上の温度で熱処理
    することにより、上記超微粒子と酸化チタンからなる非
    晶質酸化チタン膜を形成してなることを特徴とする非晶
    質酸化チタン膜の製造方法。
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