JP3316177B2 - 微粒子担持物の製造方法及び微粒子の固定化方法 - Google Patents

微粒子担持物の製造方法及び微粒子の固定化方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微粒子担持物の製造
方法及び微粒子の固定化方法に係り、詳しくは微粒子分
散液の中に担体を投入して微粒子をこの担体に吸着さ
せ、また該担体を高分子あるいはオリゴマーの分解温度
以上で焼くことにより、微粒子を担体の表面に固着した
微粒子担持物の製造方法及び微粒子の固定化方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来における微粒子を作製する方法とし
て、溶液中あるいは気相中で微粒子を作製する方法があ
る。溶液中で微粒子を作製する場合には、水溶液に塩化
金酸などの化合物を溶かした後、水溶液中に還元剤を入
れて金イオンをコロイド化していた。
【0003】一方、気相中で微粒子を作製する方法の場
合には、1)蒸発して得られた金属の微粒子を基板に付
着させ、得られた微粒子を基板から剥ぎ取る、2)蒸発
して得られた金属の微粒子を界面活性剤の蒸気に触れさ
せ、金属微粒子を落としてコロイドとする、3)蒸発し
て得られた金属の微粒子をオイル上に捕捉して粒成長を
起こさせないように集める、などの方法がある。
【0004】更に、他の方法として、特公平6−995
85号公報に、高分子材料を融解後、これにより生じた
物を急速固化した熱力学的に非平衡状態とした高分子層
の表面に金属層を密着させた後、この高分子層を平衡状
態になるまで緩和させることで、該金属層を微粒子化し
た金属もしくは金属酸化物を高分子層内に分散させる方
法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、溶液中で微粒
子を作製する方法では、水溶液中には金微粒子以外の還
元剤のような不純物が存在する問題があり、またそのま
までは金微粒子は不安定であり、通常、安定化させるた
めに界面活性剤等を加えていた。一方、気相中で微粒子
を作製する方法の場合でも、1)では微粒子を分散させ
て他の用途に使用することはできないこと、2)では固
体にすると凝集して再度分散できない、3)ではコロイ
ドとして安定化できないので凝集してしまう問題があっ
た。更に、高分子層内に微粒子化した金属もしくは金属
酸化物を分散させる方法では、微粒子の分散濃度を高め
ることが困難であった。
【0006】本発明は、このような問題点を改善するも
のであり、特定の官能基をもった高分子あるいはオリゴ
マー中で金属そして/あるいはその酸化物微粒子の凝集
や粒成長を阻止して得られた微粒子分散液から微粒子を
担体の表面に固着させ、更に微粒子を担体表面に固定し
た微粒子担持物の製造方法及び微粒子の固定化方法を提
供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本願請求項1の発
明は、分子の末端そして/あるいは側鎖にシアノ基、ア
ミノ基、そしてチオール基から選ばれた少なくとも1種
の官能基を有する高分子あるいはオリゴマーの膜を作製
し、この膜の上に金属を蒸着することにより金属そして
/もしくはその酸化物の微粒子として膜中に分散させ、
得られた複合物を溶媒に溶かして微粒子分散液にし、微
粒子分散液の中に担体を投入して微粒子を高分子あるい
はオリゴマーを介して該担体に吸着させた微粒子担持物
の製造方法にある。金属を高分子あるいはオリゴマーの
膜の上に蒸着すると、金属そして/もしくはその酸化物
の微粒子は、原子あるいはクラスター状で膜上に到達
し、そこでいくつかの原子あるいはクラスターが集まっ
て粒成長するが、とりわけ高分子あるいはオリゴマーの
官能基が金属そして/あるいはその酸化物の微粒子と相
互作用して粒成長を抑制し、結果として1〜20nmの
金属そして/あるいはその酸化物の微粒子としてマトリ
ックスになる高分子あるいはオリゴマー内に高濃度に捕
捉される。得られた複合物を溶媒に溶かして得られた微
粒子分散液中に担体を投入すると、高分子あるいはオリ
ゴマーを付着した微粒子が高分子あるいはオリゴマーを
介して担体に吸着され、担体を洗浄しても微粒子が離脱
することがない。
【0008】本願請求項2の発明は、微粒子を高分子あ
るいはオリゴマーを介して担体に吸着させた後、該担体
を高分子あるいはオリゴマーの分解温度以上で焼くこと
により、微粒子に付着した高分子あるいはオリゴマーが
熱分解し、微粒子のみが独立して担体に固定される。
【0009】本願請求項3の発明は、高分子あるいはオ
リゴマーが分子量を400〜7000の範囲に制限する
ように重合した合成ポリアミドであり、H2 N−(CH
2 n COOH(nは1〜36)の分子式で示されるア
ミノ酸モノマーと、R−(CH2 m −NH2 (mは1
〜36、RはCH3 −、シアノ基、アミノ基、そしてチ
オール基から選ばれる基)で示される分子末端にアミン
基を有するアミンあるいはポリアミン、そして該アミン
あるいはポリアミンの側鎖にシアノ基、アミノ基、そし
てチオール基から選ばれる官能基を少なくとも1つ以上
有するアミンあるいはポリアミンから選ばれた少なくと
も1種の重合抑制剤とを触媒の存在下に重合した合成ポ
リアミドである微粒子担持物の製造方法にある。
【0010】本願請求項4の発明は、担体がシリカ、ア
ルミナ、ゼオライト、酸化チタン、ジルコニア、そして
ヘテロポリ酸から選ばれた少なくとも1種の無機系酸化
物であり、微粒子を包囲している高分子あるいはオリゴ
マーが結合し、吸着しやすくなる。
【0011】本願請求項5の発明は、分子の末端そして
/あるいは側鎖にシアノ基、アミノ基、そしてチオール
基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するととも
に、骨格を水溶性にした高分子あるいはオリゴマーの膜
を作製し、この膜の上に金属を蒸着することにより金属
そして/もしくはその酸化物の微粒子として膜中に分散
させて得られた複合物を、水あるいは水と混合できる水
系の溶媒に溶かす微粒子担持物の製造方法であり、高分
子あるいはオリゴマーの官能基が金属そして/あるいは
その酸化物の微粒子と相互作用して粒成長を抑制し、微
粒子を水系の溶媒中に分散することができ、また有害物
質を含まない水溶液を得ることができる。
【0012】本願請求項6の発明は、高分子あるいはオ
リゴマーがポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリ
コール、あるいはポリビニルアルコールの骨格を有して
いる微粒子担持物の製造方法である。
【0013】本願請求項7の発明は、分子の末端そして
/あるいは側鎖にシアノ基、アミノ基、そしてチオール
基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する高分子
あるいはオリゴマーの膜を作製し、この膜の上に金属を
蒸着することにより金属そして/もしくは金属酸化物の
微粒子を膜中に分散させ、得られた複合物を溶媒に溶か
して微粒子分散液にし、その後微粒子分散液の中に担体
を投入して微粒子を高分子あるいはオリゴマーを介して
該担体に吸着させた微粒子の固定化方法にある。
【0014】本願請求項8の発明は、微粒子を高分子あ
るいはオリゴマーを介して担体に吸着させた後、該担体
を高分子あるいはオリゴマーの分解温度以上で焼く微粒
子の固定化方法にある。
【0015】
【発明の実施の形態】図1〜図3は、微粒子の製造工程
を示している。図1は高分子あるいはオリゴマーの膜を
基材上に作製した状態を示す断面図である。具体的に言
うと、高分子あるいはオリゴマーを溶媒に溶解すること
によって得られたペースト状物を基材1上に塗布して膜
2を作製したものである。
【0016】上記高分子あるいはオリゴマーは、分子の
末端そして/あるいは側鎖にシアノ基(−CN)、アミ
ノ基(−NH3 )、そしてチオール基(−SH)から選
ばれた少なくとも1種の官能基を有するもので、その骨
格にはポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコー
ル、ポリビニルアルコール、ナイロン11、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン6.10、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリスチレン等からなり、その融点ある
いは軟化点は40〜100°Cである。オリゴマーの平
均分子量も特に制限はないが、500〜3000程度で
ある。上記官能基は特に微粒子の表面の金属原子と共有
結合や配位結合を形成しやすく、粒成長を抑制し、微粒
子の分散性を高めることになる。
【0017】中でも、骨格としてポリエチレンオキサイ
ド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを
有する高分子あるいはオリゴマーは、水あるいは水と混
合できる水系の溶媒であるアセトンやアルコールに可溶
であり、微粒子分散液を製造することができる。
【0018】また、上記以外の膜2の作製方法として
は、分子量を400〜7,000の範囲に制限するよう
に合成ポリアミドを重合した後、これを溶剤に溶かした
ものを基板上に成膜することもできる。この場合、分子
量が400未満になると、合成ポリアミドが減圧中での
金属そして/あるいはその酸化物の蒸着時に蒸発しやす
くなり、また7,000を越えると、微粒子の分散が起
こりにくくなる。
【0019】分子量の測定方法は、ゲルパーミュエーシ
ョンクロマトグラフ装置(島津製作所社製)を使用し、
クロロホルムあるいはクロロホルムとメタクレゾールの
体積比4対1を移動相として、ゲルパーミュエーション
クロマトカラムにより得られた合成ポリアミドを分離分
析し、標準資料として市販されている分子量既知のポリ
スチレンとの保持時間との比較により、合成ポリアミド
の分子量を求めた。
【0020】具体的には、上記合成ポリアミドの作製方
法としては、H2 N−(CH2 nCOOH(nは1〜
36)の分子式で示されるアミノ酸モノマーと、R−
(CH2 m −NH2 (mは1〜36、RはCH3 −、
シアノ基、アミノ基、そしてチオール基から選ばれる
基)で示される分子末端にアミン基を有するアミン(ポ
リアミンも含む)、また該アミンの側鎖にシアノ基、ア
ミノ基、そしてチオール基から選ばれる官能基を少なく
とも1つ以上有するアミンから選ばれた少なくとも1種
の重合抑制剤と、触媒等をN−メチルピロリジン、ジメ
チルアセトアミド等の溶剤を入れ、これを攪拌しながら
100〜150°Cまで上昇させて窒素ガスを流しなが
ら重合させ、重合終了後、室温まで冷却する。反応生成
物を酢酸エチル、トルエン、ヘキサン等に注いで、一昼
夜放置して沈殿させた後、沈殿物を濾過して集め、これ
を洗浄した後、40〜70°Cで乾燥した。
【0021】上記H2 N−(CH2 n COOH(nは
1〜36)の分子式で示されるアミノ酸モノマーとして
は、代表的なものとして11−アミノウンデカン酸、9
−アミノノナン酸がある。
【0022】上記重合抑制剤としては、R−(CH2
m −NH2 (mは1〜36、RはCH3 −、シアノ基、
アミノ基、そしてチオール基から選ばれる基)で示され
る分子末端にアミン基を有するアミンあるいはポリアミ
ン、また該アミンあるいはポリアミンの側鎖にシアノ
基、アミノ基、そしてチオール基から選ばれる官能基を
少なくとも1つ以上有するアミンあるいはポリアミンか
ら選ばれたものであり、具体的にはヘキサメチレンジア
ミン、ε−アミノカプロニトリル、エチレンジアミン等
が使用される。
【0023】また、触媒としては、キノリン、トリフェ
ニルホスファイト等が使用される。
【0024】続いて、図2に示すように、この膜2の上
に金属を真空蒸着する。本発明では、真空蒸着装置を使
用して10-4〜10-6Torrの真空度、蒸着速度0.
1〜100μm/分、好ましくは0.5〜5μm/分で
膜2の上に金属を真空蒸着する。蒸着した金属は金属そ
して/あるいはその酸化物の微粒子4になって膜2の上
に密集し、一部の微粒子4が膜2の中へ侵入し、分散を
始めている。微粒子4の密集した層と膜2との境界は明
確に区分できない状態である。尚、蒸着中に基材1上に
作製した膜2を加熱することが、金属そして/あるいは
その酸化物の微粒子4を膜2中への分散を促進する上で
好ましい。
【0025】使用する金属としては、銅、金、銀、白
金、パラジウム、鉄、ニッケル、コバルト、スズ、亜
鉛、セリウム、イットリウム等から選ばれた少なくとも
1種であり、特に金、銀、パラジウム等の貴金属がよ
い。
【0026】続いて、上記膜2の上に金属そして/もし
くはその酸化物の微粒子4を密集させたものを、加熱す
る。加熱するときは、高分子あるいはオリゴマー3の融
点や軟化点より10〜40°C低い温度から融点や軟化
点より5〜10°C高い温度で加熱すると、微粒子4の
均一分散を促進し、また20重量%以上の高濃度の微粒
子4を作製することができる。
【0027】この時、微粒子4が高分子あるいはオリゴ
マー3との相互作用で固有の着色を示し、微粒子4が高
分子あるいはオリゴマー3内へ浸透していることがわか
る。また、この色は金属や金属酸化物の種類、粒子径、
高分子あるいはオリゴマーの種類により変化しうる。こ
のようにして得られた微粒子は独立した状態で分離分散
している。尚、場合により、膜2の上に金属を真空蒸着
したものを、加熱しなくてもよい。
【0028】図3は金属そして/あるいはその酸化物の
微粒子4が高分子あるいはオリゴマー3の膜2中に分散
した状態を示す複合物5の断面図である。高分子あるい
はオリゴマー3中に分散した微粒子4は、金属微粒子以
外にCu2 O、ZnO、Y23 等の金属酸化物であっ
てもよい。
【0029】図4は金属そして/あるいはその酸化物の
微粒子4を高分子あるいはオリゴマー3中に分散させて
得られた複合物5を、水系あるいは有機溶剤等の溶媒6
に溶かして得られた微粒子分散液7のモデル図であり、
個々の微粒子4が高分子あるいはオリゴマー3によって
包囲されたものが、溶媒6に独立して分散している。微
粒子4の表面と高分子あるいはオリゴマー3とは、上記
官能基を介して結合している。
【0030】続いて、微粒子分散液7の中に表面の吸着
水を除去するため予め加熱した粒あるいは粉末状の担体
9を投入した後、放置すると、微粒子4が高分子あるい
はオリゴマー3を介して担体9の表面に吸着し、担体9
の表面が変色する。図5は微粒子4が高分子あるいはオ
リゴマー3を介して担体9の表面に吸着した状態のモデ
ル図である。高分子あるいはオリゴマー3は、分子の末
端そして/あるいは側鎖のシアノ基、アミノ基、そして
チオール基等からなる官能基によって微粒子4と化学結
合し、他端が担体9と結合している。微粒子4を高分子
あるいはオリゴマー3を介して吸着した担体9を水洗い
や溶剤中に放置しても、担体9の表面色は変化せず、微
粒子4が担体9から離脱することがない。
【0031】上記担体9は、シリカ(SiO2 )、アル
ミナ(Al2 3 )、ゼオライト、酸化チタン、ジルコ
ニア、そしてヘテロポリ酸から選ばれた少なくとも1種
の無機系酸化物が好ましく、表面に高分子あるいはオリ
ゴマー3を付着するような活性な基を有するものであ
る。
【0032】微粒子4を高分子あるいはオリゴマー3を
介して吸着した担体9を、高分子あるいはオリゴマー3
の分解温度以上で焼くことにより、図6に示すように高
分子あるいはオリゴマー3が熱分解し、担体9表面に多
数の微粒子4が独立して付着した微粒子担持物10を得
ることができる。
【0033】上記微粒子担持物10は、微粒子化金属の
極めて大きい触媒活性をもち、しかも微粒子化したこと
で大きなメモリ容量が期待される磁気メモリ、光もしく
は熱応答材、熱交換膜、大容量コンデンサ材、各種ガス
センサなどに適用される。
【0034】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。 実施例1 分子の両末端にシアノ基を持った平均分子量700(G
PC測定による)のナイロン11オリゴマーを少量のメ
タクレゾールと混合し、ペースト状物を作製した。この
ペースト状物をインクロールに通して均一にした。
【0035】次に、ペースト状物はスクリーン印刷機に
よって基材であるガラス上に印刷され、150°Cにて
数分間乾燥させると、ナイロン11のオリゴマーの約1
0ミクロンの厚みの膜が得られた。
【0036】ガラスに保持された膜を電子ビーム蒸発源
をもった槽内を予め55°Cに加熱した真空蒸着装置内
に設置し、5×10-5Torr程度の真空度に調節した
後、真空蒸着装置内に設置されたるつぼ内の金を、電子
ビームを用いて加熱し、蒸発させた。蒸発した金はナイ
ロン11オリゴマーの膜上に堆積した。水晶振動子上で
600nmの厚みになるように金の蒸発量を制御した。
【0037】真空蒸着装置内を大気圧に戻して、ガラス
に保持されたナイロン11オリゴマーを取り出した。ナ
イロン11オリゴマー上に堆積した金は、堆積と同時に
ナイロン11オリゴマーのシアノ基と相互作用を持って
数nmの微粒子の状態で保持され、膜の表面はつや消し
の金色を呈しており、膜の裏面をガラスを通して見ると
赤色であった。尚、金微粒子の分散を均一にするため、
膜を大気中、150°Cで30分間加熱した。膜表面の
金色は消え、全体に赤色を呈した膜が得られた。
【0038】この膜を50mgとって2mlのジクロロ
メタンに溶かすと、液は金コロイドの赤色を呈した微粒
子分散液になった。図7は金微粒子分散ナイロン11オ
リゴマーをメタクレゾールに溶かした溶液の可視吸収ス
ペクトルを示す。この微粒子分散液に、モレキュラーシ
ーブス4Aを200°Cで1時間加熱した後1gを取っ
て加え、一日放置した。モレキュラーシーブス表面は金
微粒子の吸着により黒く着色し、微粒子分散液の上澄み
の赤色は元より薄くなった。
【0039】次に、モレキュラーシーブスを濾過して取
り出し、ジクロロメタンで数回洗浄した。洗浄してもモ
レキュラーシーブスの色に変化はなかった。金微粒子を
吸着したモレキュラーシーブスをマッフル炉を用いて空
気中で500°Cで15分間加熱すると、金微粒子を包
囲していたナイロン11オリゴマーは熱分解してなくな
り、この時金微粒子はモレキュラーシーブス表面に固定
化された。モレキュラーシーブス表面は赤色を呈してい
た。
【0040】実施例2 実施例1と同様にして、金微粒子がナイロン11オリゴ
マーに分散した膜を作製した。この膜を50mgとって
2mlのジクロロメタンに溶かすと、液は金コロイドの
赤色を呈した微粒子分散液になった。この微粒子分散液
に、酸化チタン粉(日本アエロジル社製 AEROSI
LT805)を200°Cで1時間加熱した後に500
gを取って加え、一日放置した。酸化チタン粉の表面は
金微粒子の吸着により赤紫に着色し、溶液の上澄みの赤
色はなくなった。
【0041】酸化チタン粉を濾過して取り出し、ジクロ
ロメタンで数回洗浄した。洗浄しても酸化チタン粉の着
色に変化はなかった。金微粒子を吸着した酸化チタン粉
をマッフル炉を用いて空気中で500°Cで15分間加
熱すると、金微粒子を包囲していたナイロン11オリゴ
マーは熱分解してなくなり、この時金微粒子は酸化チタ
ン粉表面に固定化された。酸化チタン粉表面は青紫色を
呈していた。図8は、金微粒子が酸化チタン表面に固定
化された状態の光反射スペクトルを示すものであり、金
微粒子が酸化チタン表面に固定していることを示してい
る。尚、参考のために酸化チタン単体とナイロン11オ
リゴマー中に分散した金微粒子が酸化チタン表面に吸着
した状態の光反射スペクトルを示す。
【0042】実施例3 11−アミノウンデカン酸0.05モルとヘキサメチレ
ンジアミンを変量して冷却器を備えたフラスコに入れ、
N−メチルピロリジンを67ml加えた。これにキノリ
ン43ml、トリフェニルホスファイト0.005モル
を加えた。上記フラスコをオイルバスに浸し、マグネチ
ックスターラで攪拌しながら115〜130°Cに達し
たところで所定時間加熱し、その後室温まで冷却した。
反応中、フラスコ内には窒素ガスを流した。室温まで冷
却後、反応混合物を酢酸エチルに注いで沈殿物を濾過し
て集めた。1N水酸化ナトリウム水溶液および蒸留水で
洗浄した後、60°Cで乾燥した。
【0043】得られた生成物をクロロホルム/メタクレ
ゾール=4/1に溶かし、ゲルパーミュエーションクロ
マトグラフ装置によりポリスチレンを標準として分子量
を求めた。また、生成物を臭化カリウムと混合し、フー
リエ変換赤外分光装置により赤外吸収スペクトルを測定
し、分子内にアミド結合とアミン基が存在していること
が確認された。
【0044】合成ポリアミドとメタクレゾールを適当な
粘度になるように混合したものを、スピンコーターを用
いてスライドガラス上に成膜し、80°Cにて30分間
乾燥した。真空中、抵抗加熱により金を蒸発させ、ポリ
アミドフィルム上に金を水晶振動子で10nmの膜厚に
なるように蒸着した。次に、金を蒸着したポリアミドフ
ィルムを140°Cで10分間オーブン中で加熱した。
これをメタクレゾールに溶かすと青い透明な溶液が得ら
れ、沈殿がなかったため、金は合成ポリアミドに保護さ
れて安定に溶液内に分散していることが判った。
【0045】コロイド溶液に、酸化チタン粉(日本アエ
ロジル社製 AEROSIL T805)を200°C
で1時間加熱した後に500gを取って加え、一日放置
した。上記酸化チタン粉をスライドガラス上に置いて乾
燥させ、メタクレゾールを除去するとやや赤みがかった
粉末がスライドガラス上に薄く塗られたものが得られ
た。上記金微粒子を吸着した酸化チタン粉をマッフル炉
を用いて空気中で500°Cで15分間加熱すると、金
微粒子を包囲していた合成ポリアミドは熱分解してなく
なり、この時金微粒子は酸化チタン粉表面に固定化され
た。酸化チタン粉表面は赤紫色を呈していた。この粉末
の可視吸収スペクトルを積分球装置によって測定した結
果を図9に示す。これによると、図の矢印の位置に金の
プラズモン共鳴吸収が観測される。尚、矢印の位置の右
側のピークは上記装置のノイズである。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本願各請求項の発明は、
分子の末端そして/あるいは側鎖にシアノ基、アミノ
基、そしてチオール基から選ばれた少なくとも1種の官
能基を有する高分子あるいはオリゴマーの膜の上に、金
属を蒸着すると、金属そして/もしくはその酸化物は原
子あるいはクラスター状で膜上に到達し、そこでいくつ
かの原子あるいはクラスターが集まって粒成長するが、
とりわけ高分子あるいはオリゴマーの官能基が金属そし
て/あるいはその酸化物の微粒子と相互作用して粒成長
を抑制し、結果として金属そして/あるいはその酸化物
の微粒子として高分子あるいはオリゴマー内に高濃度に
捕捉され、この複合物を溶媒に溶かして得られた微粒子
分散液中に担体を投入すると、高分子あるいはオリゴマ
ーを付着した微粒子が高分子あるいはオリゴマーを介し
て担体に吸着され、担体を水洗いしても微粒子が離脱す
ることがなく、また該担体を高分子あるいはオリゴマー
の分解温度以上で焼くことにより、微粒子に付着した高
分子あるいはオリゴマーが熱分解し、微粒子のみが独立
して担体に固定される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】基材上に高分子あるいはオリゴマーの膜を作製
した状態を示す断面図である。
【図2】高分子あるいはオリゴマーの膜の上に金属を蒸
着させた状態を示す断面図である。
【図3】高分子あるいはオリゴマーの膜中に金属そして
/あるいはその酸化物を分散させた状態を示す断面図で
ある。
【図4】金属そして/あるいはその酸化物の微粒子を高
分子あるいはオリゴマー中に分散させて得られた複合物
を、水系の溶媒に溶かして得られた微粒子分散液のモデ
ル図である。
【図5】微粒子が高分子あるいはオリゴマーを介して担
体の表面に吸着した状態のモデル図である。
【図6】担体表面に多数の微粒子が独立して付着した状
態のモデル図である。
【図7】金微粒子分散ナイロン11オリゴマーをメタク
レゾールに溶かした溶液の可視吸収スペクトルを示す。
【図8】実施例2において金微粒子が酸化チタン表面に
固定化された状態の光反射スペクトルを示す。
【図9】実施例3において金微粒子が酸化チタン表面に
固定化された状態の光反射スペクトルを示す。
【符号の説明】
1 基材 2 膜 3 高分子あるいはオリゴマー 4 微粒子 5 複合物 6 溶媒 7 微粒子分散液 9 担体 10 微粒子担持物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C09C 3/00 C09C 3/00 (56)参考文献 特開 平3−273060(JP,A) 特開 平9−302285(JP,A) 特開 平9−272756(JP,A) 特開 平4−182065(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08K 3/00 - 13/08 B22F 1/00 B22F 9/12 C08G 69/08 C08J 3/20 C09C 3/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子の末端あるいは側鎖もしくはこれら
    の両方にシアノ基、アミノ基、そしてチオール基から選
    ばれた少なくとも1種の官能基を有する高分子あるいは
    オリゴマーの膜を作製し、この膜の上に金属を蒸着する
    ことにより金属もしくは金属酸化物の微粒子あるいはこ
    れら両方の微粒子として膜中に分散させ、得られた複合
    物を溶媒に溶かして微粒子分散液にし、微粒子分散液の
    中に担体を投入して微粒子を高分子あるいはオリゴマー
    を介して該担体に吸着させたことを特徴とする微粒子担
    持物の製造方法。
  2. 【請求項2】 微粒子を高分子あるいはオリゴマーを介
    して担体に吸着させた後、該担体を高分子あるいはオリ
    ゴマーの分解温度以上で焼く請求項1記載の微粒子担持
    物の製造方法。
  3. 【請求項3】 高分子あるいはオリゴマーが分子量を4
    00〜7000の範囲に制限するように重合した合成ポ
    リアミドであり、H2 N−(CH2 n COOH(nは
    1〜36)の分子式で示されるアミノ酸モノマーと、R
    −(CH2 m −NH2 (mは1〜36、RはCH
    3 −、シアノ基、アミノ基、そしてチオール基から選ば
    れる基)で示される分子末端にアミン基を有するアミン
    あるいはポリアミン、そして該アミンあるいはポリアミ
    ンの側鎖にシアノ基、アミノ基、そしてチオール基から
    選ばれる官能基を少なくとも1つ以上有するアミンある
    いはポリアミンから選ばれた少なくとも1種の重合抑制
    剤とを触媒の存在下に重合した合成ポリアミドである請
    求項1又は2記載の微粒子担持物の製造方法。
  4. 【請求項4】 担体がシリカ、アルミナ、ゼオライト、
    酸化チタン、ジルコニア、そしてヘテロポリ酸から選ば
    れた少なくとも1種の無機系酸化物である請求項1、2
    又は3記載の微粒子担持物の製造方法。
  5. 【請求項5】 分子の末端あるいは側鎖もしくはこれら
    の両方にシアノ基、アミノ基、そしてチオール基から選
    ばれた少なくとも1種の官能基を有するとともに、骨格
    を水溶性にした高分子あるいはオリゴマーの膜を作製
    し、この膜の上に金属を蒸着することにより金属もしく
    は金属酸化物の微粒子あるいはこれら両方の微粒子とし
    て膜中に分散させて得られた複合物を、水あるいは水と
    混合できる水系の溶媒に溶かす請求項1記載の微粒子担
    持物の製造方法。
  6. 【請求項6】 高分子あるいはオリゴマーがポリエチレ
    ンオキサイド、ポリエチレングリコール、あるいはポリ
    ビニルアルコールの骨格を有している請求項5記載の微
    粒子担持物の製造方法。
  7. 【請求項7】 分子の末端あるいは側鎖もしくはこれら
    の両方にシアノ基、アミノ基、そしてチオール基から選
    ばれた少なくとも1種の官能基を有する高分子あるいは
    オリゴマーの膜を作製し、この膜の上に金属を蒸着する
    ことにより金属もしくは金属酸化物の微粒子あるいはこ
    れら両方の微粒子を膜中に分散させ、得られた複合物を
    溶媒に溶かして微粒子分散液にし、その後微粒子分散液
    の中に担体を投入して微粒子を高分子あるいはオリゴマ
    ーを介して該担体に吸着させたことを特徴とする微粒子
    の固定化方法。
  8. 【請求項8】 微粒子を高分子あるいはオリゴマーを介
    して担体に吸着させた後、該担体を高分子あるいはオリ
    ゴマーの分解温度以上で焼く請求項7記載の微粒子の固
    定化方法。
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