JPH10273774A - 微粒子及び微粒子分散液の製造方法 - Google Patents

微粒子及び微粒子分散液の製造方法

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JPH10273774A
JPH10273774A JP36490397A JP36490397A JPH10273774A JP H10273774 A JPH10273774 A JP H10273774A JP 36490397 A JP36490397 A JP 36490397A JP 36490397 A JP36490397 A JP 36490397A JP H10273774 A JPH10273774 A JP H10273774A
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茂彦 林
Kazuo Goto
和生 後藤
Shigeto Deki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定の官能基をもった高分子あるいはオリゴ
マー中で金属そして/あるいはその酸化物微粒子の凝集
や粒成長を阻止し、その分散濃度を高めた微粒子及び微
粒子分散液の製造方法を提供する。 【解決手段】 分子の末端そして/あるいは側鎖にシア
ノ基、アミノ基、そしてチオール基から選ばれた少なく
とも1種の官能基を有する高分子あるいはオリゴマーの
膜2を作製し、この膜2の上に金属3を蒸着し金属そし
て/あるいはその酸化物の微粒子4として膜2中に分散
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微粒子及び微粒子分
散液の製造方法に係り、詳しくは高分子あるいはオリゴ
マーの分子末端そして/あるいは側鎖に有する特定の官
能基が微粒子化した金属そして/あるいはその酸化物と
相互作用し、該微粒子の凝集や粒成長を阻止すること
で、微粒子の分散濃度を高めた微粒子の製造方法及び微
粒子分散液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来における微粒子を作製する方法とし
て、溶液中あるいは気相中で微粒子を作製する方法があ
る。溶液中で微粒子を作製する場合には、水溶液に塩化
金酸などの化合物を溶かした後、水溶液中に還元剤を入
れて金イオンをコロイド化していた。
【0003】一方、気相中で微粒子を作製する方法の場
合には、1)蒸発して得られた金属の微粒子を基板に付
着させ、得られた微粒子を基板から剥ぎ取る、2)蒸発
して得られた金属の微粒子を界面活性剤の蒸気に触れさ
せ、金属微粒子を落としてコロイドとする、3)蒸発し
て得られた金属の微粒子をオイル上に捕捉して粒成長を
起こさせないように集める、などの方法がある。
【0004】更に、他の方法として、特公平6−995
85号公報に、高分子材料を融解後、これにより生じた
物を急速固化した熱力学的に非平衡状態とした高分子層
の表面に金属層を密着させた後、この高分子層を平衡状
態になるまで緩和させることで、該金属層を微粒子化し
た金属そして/あるいはその酸化物を高分子層内に分散
させる方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、溶液中で微粒
子を作製する方法では、水溶液中には金微粒子以外の還
元剤のような不純物が存在する問題があり、またそのま
までは金微粒子は不安定であり、通常、安定化させるた
めに界面活性剤等を加えていた。一方、気相中で微粒子
を作製する方法の場合でも、1)では微粒子を分散させ
て他の用途に使用することはできないこと、2)では固
体にすると凝集して再度分散できない、3)ではコロイ
ドとして安定化できないので凝集してしまう問題があっ
た。更に、高分子層内に微粒子化した金属そして/ある
いは金属酸化物を分散させる方法では、微粒子の分散濃
度を高めることが困難であった。
【0006】本発明は、このような問題点を改善するも
のであり、特定の官能基をもった高分子あるいはオリゴ
マー中で金属そして/あるいはその酸化物微粒子の凝集
や粒成長を阻止し、その分散濃度を高めた微粒子及び微
粒子分散液の製造方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本願請求項1の発
明は、分子の末端そして/あるいは側鎖にシアノ基、ア
ミノ基、そしてチオール基から選ばれた少なくとも1種
の官能基を有する高分子あるいはオリゴマーの膜を作製
し、この膜の上に金属を蒸着し金属そして/あるいはそ
の酸化物の微粒子として膜中に分散させる微粒子の製造
方法にある。金属を蒸着すると、金属そして/あるいは
その酸化物は原子あるいはクラスター状で膜上に到達
し、そこでいくつかの原子あるいはクラスターが集まっ
て粒成長するが、とりわけ高分子あるいはオリゴマーの
官能基が金属そして/あるいはその酸化物の微粒子と相
互作用して粒成長を抑制し、結果として1〜20nmの
微粒子としてマトリックスになる高分子あるいはオリゴ
マー内に高濃度に捕捉される。また、金属そして/ある
いはその酸化物の微粒子は、高分子あるいはオリゴマー
が溶解する溶媒に溶かすことが可能で、この時高分子あ
るいはオリゴマーの官能基と相互作用してコロイドとな
り、溶媒中で安定に存在する。
【0008】本願請求項2の発明は、膜の上に金属を蒸
着した後、加熱することにより金属そして/あるいはそ
の酸化物の微粒子の分散を良好にした微粒子の製造方法
にある。膜の上に金属を蒸着すると、捕捉された金属そ
して/あるいはその酸化物の微粒子が密に集まることに
なるが、作製後に膜を加熱することによって微粒子の均
一分散を促進する。
【0009】本願請求項3の発明は、蒸着する金属が貴
金属である微粒子の製造方法である。
【0010】本願請求項4の発明は、請求項1記載の膜
が、分子の末端そして/あるいは側鎖にシアノ基、アミ
ノ基、そしてチオール基から選ばれた少なくとも1種の
官能基を有する高分子あるいはオリゴマーを有機溶剤に
溶解したペースト状物を基材上に塗布して作製されたも
のである。
【0011】本願請求項5の発明は、請求項1記載の膜
が分子量を分子量を400〜7000の範囲に制限する
ように合成ポリアミドを重合した後、これを溶剤に溶か
したものを基板上に成膜したものである。
【0012】本願請求項6の発明は、分子量を400〜
7000の範囲に制限するように重合した合成ポリアミ
ドが、H2 N−(CH2 n COOH(nは1〜36)
の分子式で示されるアミノ酸モノマーと、R−(C
2 m −NH2 (mは1〜36、RはCH3 −、シア
ノ基、アミノ基、そしてチオール基から選ばれる基)で
示される分子末端にアミン基を有するアミンあるいはポ
リアミン、また該アミンあるいはポリアミンの側鎖にシ
アノ基、アミノ基、そしてチオール基から選ばれる官能
基を少なくとも1つ以上有するアミンあるいはポリアミ
ンから選ばれた少なくとも1種の重合抑制剤とを触媒の
存在下に重合した合成ポリアミドを用いても、該合成ポ
リアミドの膜中には金属そして/あるいはその酸化物の
微粒子が分散する。
【0013】本願請求項7の発明は、分子の末端そして
/あるいは側鎖にシアノ基、アミノ基、そしてチオール
基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するととも
に、骨格を水溶性にした高分子あるいはオリゴマーの膜
を作製し、この膜の上に金属を蒸着し金属そして/ある
いはその酸化物の微粒子として膜中に分散させて得られ
た複合物を、水あるいは水と混合できる水系の溶媒に溶
かした微粒子分散液の製造方法であり、高分子あるいは
オリゴマーの官能基が金属そして/あるいはその酸化物
の微粒子と相互作用して粒成長を抑制し、微粒子を水系
の溶媒中に分散することができ、また有害物質を含まな
い水溶液を得ることができる。
【0014】本願請求項8の発明は、高分子あるいはオ
リゴマーがポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリ
コール、あるいはポリビニルアルコールの骨格を有して
いる微粒子分散液の製造方法にある。
【0015】
【発明の実施の形態】図1〜図3は、微粒子の製造工程
を示している。図1は高分子あるいはオリゴマーの膜を
基材上に作製した状態を示す断面図である。具体的に言
うと、高分子あるいはオリゴマーを有機溶剤に溶解する
ことによって得られたペースト状物を基材1上に塗布し
て膜2を作製したものである。
【0016】上記高分子あるいはオリゴマーは、分子の
末端そして/あるいは側鎖にシアノ基(−CN)、アミ
ノ基(−NH2 )、そしてチオール基(−SH)から選
ばれた少なくとも1種の官能基を有するもので、その骨
格にはポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコー
ル、ポリビニルアルコール、ナイロン11、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン6.10、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリスチレン等からなり、その融点ある
いは軟化点は40〜100°Cである。オリゴマーの平
均分子量も特に制限はないが、500〜3,000程度
である。上記官能基は特に微粒子の表面の金属原子と共
有結合や配位結合を形成しやすく、粒成長を抑制し、微
粒子の分散性を高めることになる。
【0017】中でも、骨格としてポリエチレンオキサイ
ド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを
有する高分子あるいはオリゴマーは、水あるいは水と混
合できる水系の溶媒であるアセトンやアルコールに可溶
であり、微粒子分散液を製造することができる。
【0018】また、上記以外の膜2の作製方法として
は、分子量を400〜7,000の範囲に制限するよう
に合成ポリアミドを重合した後、これを溶剤に溶かした
ものを基板上に成膜することもできる。この場合、分子
量が400未満になると、合成ポリアミドが減圧中での
金属そして/あるいはその酸化物の蒸着時に蒸発しやす
くなり、また7,000を越えると、微粒子の分散が起
こりにくくなる。
【0019】分子量の測定方法は、ゲルパーミュエーシ
ョンクロマトグラフ装置(島津製作所社製)を使用し、
クロロホルムあるいはクロロホルムとメタクレゾールの
重量比4対1を移動相として、ゲルパーミュエーション
クロマトカラムにより得られた合成ポリアミドを分離分
析し、標準資料として市販されている分子量既知のポリ
スチレンとの保持時間との比較により、合成ポリアミド
の分子量を求めた。
【0020】具体的には、上記合成ポリアミドの作製方
法としては、H2 N−(CH2 nCOOH(nは1〜
36)の分子式で示されるアミノ酸モノマーと、R−
(CH 2 m −NH2 (mは1〜36、RはCH3 −、
シアノ基、アミノ基、そしてチオール基から選ばれる
基)で示される分子末端にアミン基を有するアミンある
いはポリアミン、また該アミンあるいはポリアミンの側
鎖にシアノ基、アミノ基、そしてチオール基から選ばれ
る官能基を少なくとも1つ以上有するアミンあるいはポ
リアミンから選ばれた少なくとも1種の重合抑制剤と、
触媒等をN−メチルピロリジン、ジメチルアセトアミド
等の溶剤を入れ、これを攪拌しながら100〜150°
Cまで上昇させて窒素ガスを流しながら重合させ、重合
終了後、室温まで冷却する。反応生成物を酢酸エチル、
トルエン、ヘキサン等に注いで、一昼夜放置して沈殿さ
せた後、沈殿物を濾過して集め、これを洗浄した後、4
0〜70°Cで乾燥した。
【0021】上記H2 N−(CH2 n COOH(nは
1〜36)の分子式で示されるアミノ酸モノマーとして
は、代表的なものとして11−アミノウンデカン酸、9
−アミノノナン酸がある。
【0022】上記重合抑制剤としては、R−(CH2
m −NH2 (mは1〜36、RはCH3 −、シアノ基、
アミノ基、そしてチオール基から選ばれる基)で示され
る分子末端にアミン基を有するアミンあるいはポリアミ
ン、また該アミンあるいはポリアミンの側鎖にシアノ
基、アミノ基、そしてチオール基から選ばれる官能基を
少なくとも1つ以上有するアミンあるいはポリアミンか
ら選ばれたものであり、具体的にはヘキサメチレンジア
ミン、ε−アミノカプロニトリル、エチレンジアミン等
が使用される。
【0023】また、触媒としては、キノリン、トリフェ
ニルホスファイト等が使用される。
【0024】続いて、図2に示すように、この膜2の上
に金属を真空蒸着する。本発明では、真空蒸着装置を使
用して10-4〜10-6Torrの真空度、蒸着速度0.
1〜100μm/分、好ましくは0.5〜5μm/分で
膜2の上に金属を真空蒸着する。蒸着した金属は金属そ
して/あるいはその酸化物の微粒子4になって膜2の上
に密集し、一部の微粒子4が膜2の中へ侵入し、分散を
始めている。微粒子4の密集した層と膜2との境界は明
確に区分できない状態である。尚、蒸着中に基材1上に
作製した膜2を加熱することが、金属そして/あるいは
その酸化物の微粒子4を膜2中への分散を促進する上で
好ましい。
【0025】使用する金属としては、銅、金、銀、白
金、パラジウム、鉄、ニッケル、コバルト、スズ、亜
鉛、セリウム、イットリウム等であり、特に金、銀、パ
ラジウム等の貴金属がよい。
【0026】続いて、上記膜2の上に金属そして/ある
いはその酸化物の微粒子4を密集させたものを、加熱す
る。加熱するときは、高分子あるいはオリゴマー3の融
点や軟化点より10〜40°C低い温度から融点や軟化
点より5〜10°C高い温度で加熱すると、微粒子4の
均一分散を促進し、また20重量%以上の高濃度の微粒
子4を作製することができる。
【0027】この時、高分子あるいはオリゴマー3が微
粒子4との相互作用で固有の着色を示し、微粒子4が高
分子あるいはオリゴマー3内へ浸透していることがわか
る。また、この色は金属もしくは金属酸化物の種類、粒
子径、高分子あるいはオリゴマーの種類により変化しう
る。このようにして得られた微粒子は独立した状態で分
離分散している。尚、場合により、膜2の上に金属を真
空蒸着したものを、加熱しなくてもよい。
【0028】図3は金属そして/あるいはその酸化物の
微粒子4が高分子あるいはオリゴマー3の膜2中に分散
した状態を示す複合物5の断面図である。高分子あるい
はオリゴマー3中に分散した微粒子4は、金属微粒子以
外にCu2 O、ZnO、Y23 等の金属酸化物を含ん
でいる。
【0029】図4は金属そして/あるいはその酸化物の
微粒子4を高分子あるいはオリゴマー3中に分散させて
得られた複合物5を、水系の溶媒6に溶かして得られた
微粒子分散液のモデル図であり、個々の微粒子4が高分
子あるいはオリゴマー3によって包囲されたものが、水
系の溶媒6に独立して分散している。微粒子4の表面と
高分子あるいはオリゴマー3とは、上記官能基を介して
結合している。
【0030】このようにして得られた微粒子あるいは微
粒子分散水溶液は、導電性高分子、導電性ペーストを初
めとして、微粒子化金属の極めて大きい触媒活性をも
ち、しかも高分子あるいはオリゴマーが被覆した形状に
なっているため安定に保持された触媒、微粒子化したこ
とで大きなメモリ容量が期待される磁気メモリ、光もし
くは熱等の刺激によって高分子あるいはオリゴマーを前
記微粒子の間の構造、距離が変化することを利用する光
もしくは熱応答材、高分子あるいはオリゴマーと金属の
種類を適当に選定することによって透明でしかも固有の
色を示すことから液晶カラー表示などの光学材、微粒子
によって粉末金属の焼結温度が低下することを利用する
焼結促進剤及び接合材、微粒子の比熱容量が大きいこと
を利用する微粒子複合物による熱交換膜、大容量コンデ
ンサ材、各種ガスセンサなどに適用される。
【0031】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。 実施例1 分子の末端をジアミノ化した平均分子量2000(GP
C測定による)のポリエチレンオキサイドをアセトンに
溶かして20重量%の溶液を作製した。この溶液を基材
であるガラスに塗布して乾燥させると、ポリエチレンオ
キサイドの数ミクロンの厚みの塗膜が得られた。
【0032】ガラスに保持された塗膜を電子ビーム蒸発
源をもった槽内を予め60°Cに加熱した真空蒸着装置
内に設置し、5×10-5Torr程度の真空度に調節し
た後、真空蒸着装置内に設置されたるつぼ内の金を、電
子ビームを用いて加熱し、蒸発させた。蒸発した金はポ
リエチレンオキサイドの塗膜上に堆積した。水晶振動子
上で30nmの厚みになるように金の蒸発量を調節し
た。
【0033】真空蒸着装置内を大気圧に戻して、ガラス
に保持されたポリエチレンオキサイドを取り出した。ポ
リエチレンオキサイド上に堆積した金は、堆積と同時に
ポリエチレンオキサイドのアミノ基と化学結合して数n
mの微粒子の状態で保持され、塗膜は赤色の呈した。
尚、金微粒子の分散を均一にするため、窒素気流中、6
0°Cで加熱した。図5は金微粒子分散を膜状態で測定
した可視吸収スペクトルを示すが、金微粒子が分散して
いることが確認される。
【0034】また、ガラスより金微粒子を分散したポリ
エチレンオキサイドを剥ぎ取り、水に浸けると、これは
溶けて赤色を呈した金微粒子分散水溶液が得られた。こ
の水溶液は安定しており、1ヵ月放置しても赤色は消え
なかった。図6は金微粒子分散水溶液の可視吸収スペク
トルを示すが、金微粒子が水溶液中に分散していること
が確認される。
【0035】実施例2 分子の両末端にシアノ基を持った平均分子量700(G
PC測定による)のナイロン11オリゴマーを少量のメ
タクレゾールと混合し、ペースト状物を作製した。この
ペースト状物をインクロールに通して均一にした。
【0036】次に、ペースト状物はスクリーン印刷機に
よって基材であるガラス上に印刷され、150°Cにて
数分間乾燥させると、ナイロン11のオリゴマーの約1
0ミクロンの厚みの膜が得られた。
【0037】ガラスに保持された膜を電子ビーム蒸発源
をもった槽内を予め55°Cに加熱した真空蒸着装置内
に設置し、5×10-5Torr程度の真空度に調節した
後、真空蒸着装置内に設置されたるつぼ内の金を、電子
ビームを用いて加熱し、蒸発させた。蒸発した金はナイ
ロン11オリゴマーの膜上に堆積した。水晶振動子上で
600nmの厚みになるように金の蒸発量を制御した。
【0038】真空蒸着装置内を大気圧に戻して、ガラス
に保持されたナイロン11オリゴマーを取り出した。ナ
イロン11オリゴマー上に堆積した金は、堆積と同時に
ナイロン11オリゴマーのシアノ基やアミノ基と相互作
用を持って数nmの微粒子の状態で保持され、膜の表面
はつや消しの赤色あるいは金色を呈しており、膜の裏面
をガラスを通して見ると赤色であった。尚、金微粒子の
分散を均一にするため、膜を大気中、150°Cで30
分間加熱した。膜表面の金色は消え、全体に赤色を呈し
た膜が得られた。図7は金微粒子分散ナイロン11オリ
ゴマーをメタクレゾールに溶かした溶液の可視吸収スペ
クトルを示す。
【0039】比較例1 実施例と同様にして塗膜を作製し、金を蒸着した。ただ
し、高分子として分子末端に水酸基(−OH)をもった
ポリエチレングリコールを使用した。蒸着後に得られた
塗膜の表面は金色に呈し、加熱するとより金色がはっき
りした。金微粒子の生成は認められなかった。また、こ
れを水に溶かしても赤色の着色はなく、沈殿ができた。
【0040】実施例3〜6、比較例2 11−アミノウンデカン酸0.05モルとヘキサメチレ
ンジアミンを変量して冷却器を備えたフラスコに入れ、
N−メチルピロジリンを67ml加えた。これにキノリ
ン43ml、トリフェニルホスファイト0.005モル
を加えた。上記フラスコをオイルバスに浸し、マグネチ
ックスターラで攪拌しながら115〜130°Cに達し
たところで所定時間加熱し、その後室温まで冷却した。
反応中、フラスコ内には窒素ガスを流した。室温まで冷
却後、反応混合物を酢酸エチルに注いで沈殿物を濾過し
て集めた。酢酸エチル。1N水酸化ナトリウム水溶液お
よび蒸留水で洗浄した後、60°Cで乾燥した。
【0041】得られた生成物をクロロホルム/m−クレ
ゾール=4/1に溶かし、ゲルパーミュエーションクロ
マトグラフ装置によりポリスチレンを標準として分子量
を求めた。また、生成物を臭化カリウムと混合し、フー
リエ変換赤外分光装置により赤外吸収スペクトルを測定
し、分子内にアミド結合とアミン基が存在していること
が確認された。
【0042】このポリアミドと/m−クレゾールを適当
な粘度になるように混合したもので、スピンコーターを
用いてスライドガラス上に成膜し、80°Cにて30分
間乾燥した。真空中、抵抗加熱により金を蒸発させ、こ
のポリアミドフィルム上に金を水晶振動子で20nmの
膜厚になるように蒸着した。次に、金を蒸着したポリア
ミドフィルムを140°Cで10分間オーブン中で加熱
して金のポリアミド中への分散状態を調べた。その結果
を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】その結果、分子量の低く末端にアミン基を
有する合成ポリアミドを使用すると、金が分散すること
が判る。
【0045】
【発明の効果】以上のように、本願各請求項の発明は、
分子の末端そして/あるいは側鎖にシアノ基、アミノ
基、そしてチオール基から選ばれた少なくとも1種の官
能基を有する高分子あるいはオリゴマーの膜の上に、金
属を蒸着すると、金属そして/あるいはその酸化物は原
子あるいはクラスター状で膜上に到達し、そこでいくつ
かの原子あるいはクラスターが集まって粒成長するが、
とりわけ高分子あるいはオリゴマーの官能基が金属そし
て/あるいはその酸化物の微粒子と相互作用して粒成長
を抑制し、結果として金属そして/あるいはその酸化物
の微粒子として高分子あるいはオリゴマー内に高濃度に
捕捉される効果がある。
【0046】また、骨格を水溶性にした高分子あるいは
オリゴマーの膜を作製し、この膜の上に金属を蒸着する
ことにより金属そして/あるいはその酸化を塗膜中に分
散させて得られた複合物を、水あるいは水と混合できる
水系の溶媒に溶かすことにより、高分子あるいはオリゴ
マーの官能基が金属そして/あるいはその酸化物の微粒
子と相互作用して粒成長を抑制し、微粒子を水系の溶媒
中に分散することができ、また有害物質を含まない水溶
液を得ることができる効果がある。
【0047】膜として、分子量を400〜7000の範
囲に制限するように合成ポリアミドを重合した後、これ
を溶剤に溶かしたものを基板上に成膜したものを使用し
てもこの中に金属そして/あるいはその酸化物の微粒子
として分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基材上に高分子あるいはオリゴマーの膜を作製
した状態を示す断面図である。
【図2】高分子あるいはオリゴマーの膜の上に金属を蒸
着させた状態を示す断面図である。
【図3】高分子あるいはオリゴマーの膜中に金属そして
/あるいはその酸化物を分散させた状態を示す断面図で
ある。
【図4】金属そして/あるいはその酸化物の微粒子を高
分子あるいはオリゴマー中に分散させて得られた複合物
を、水系の溶媒に溶かして得られた微粒子分散液のモデ
ル図である。
【図5】実施例1において得られた金微粒子分散を膜状
態で測定した可視吸収スペクトルを示す。
【図6】実施例1において得られた金微粒子分散水溶液
の可視吸収スペクトルを示す。
【図7】実施例2において得られた金微粒子分散ナイロ
ン11オリゴマーをメタクレゾールに溶かした溶液の可
視吸収スペクトルを示す。
【符号の説明】
1 基材 2 膜 3 高分子あるいはオリゴマー 4 微粒子 5 複合物 6 溶媒

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子の末端あるいは側鎖もしくはこれら
    の両方にシアノ基、アミノ基、そしてチオール基から選
    ばれた少なくとも1種の官能基を有する高分子あるいは
    オリゴマーの膜を作製し、この膜の上に金属を蒸着し金
    属もしくは金属酸化物の微粒子あるいはこれら両方の微
    粒子として膜中に分散させることを特徴とする微粒子の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 膜の上に金属を蒸着した後、加熱するこ
    とにより金属もしくは金属酸化物の微粒子あるいはこれ
    ら両方の微粒子の分散を良好にした請求項1記載の微粒
    子の製造方法。
  3. 【請求項3】 蒸着する金属が貴金属である微粒子であ
    る請求項1または2記載の微粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の膜は、分子の末端あるい
    は側鎖もしくはこれらの両方にシアノ基、アミノ基、そ
    してチオール基から選ばれた少なくとも1種の官能基を
    有する高分子あるいはオリゴマーを有機溶剤に溶解した
    ペースト状物を基材上に塗布して作製されたものである
    微粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の膜は、分子量を400〜
    7000の範囲に制限するように合成ポリアミドを重合
    した後、これを溶剤に溶かしたものを基板上に成膜した
    ものである微粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】 分子量を400〜7000の範囲に制限
    するように重合した合成ポリアミドは、H2 N−(CH
    2 n COOH(nは1〜36)の分子式で示されるア
    ミノ酸モノマーと、R−(CH2 m −NH2 (mは1
    〜36、RはCH3 −、シアノ基、アミノ基、そしてチ
    オール基から選ばれる基)で示される分子末端にアミン
    基を有するアミンあるいはポリアミン、また該アミンあ
    るいはポリアミンの側鎖にシアノ基、アミノ基、そして
    チオール基から選ばれる官能基を少なくとも1つ以上有
    するアミンあるいはポリアミンから選ばれた少なくとも
    1種の重合抑制剤とを触媒の存在下に重合したものであ
    る請求項5記載の微粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】 分子の末端あるいは側鎖もしくはこれら
    の両方にシアノ基、アミノ基、そしてチオール基から選
    ばれた少なくとも1種の官能基を有するとともに、骨格
    を水溶性にした高分子あるいはオリゴマーの膜を作製
    し、この膜の上に金属を蒸着し金属もしくは金属酸化物
    の微粒子あるいはこれら両方の微粒子として膜中に分散
    させて得られた複合物を、水あるいは水と混合できる水
    系の溶媒に溶かすことを特徴とする微粒子分散液の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 高分子あるいはオリゴマーがポリエチレ
    ンオキサイド、ポリエチレングリコール、あるいはポリ
    ビニルアルコールの骨格を有している請求項7記載の微
    粒子分散液の製造方法。
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JP2003335969A (ja) * 2002-02-28 2003-11-28 Osaka Industrial Promotion Organization 複合化導電性高分子およびその製造方法並びにそれを用いたガスセンサー
CN114614020A (zh) * 2022-03-21 2022-06-10 合肥国轩高科动力能源有限公司 一种复合集流体的制备方法

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