JP2563066B2 - 超微粒子分散ガラス状物とその製造方法 - Google Patents

超微粒子分散ガラス状物とその製造方法

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JP2563066B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超微粒子分散ガラス状物
とその製造方法に係り、詳しくは非線形光学効果を利用
した赤外透過フィルターガラス、着色ガラス、ガラス用
発色剤等の光デバイス等の光学および電子材料に適用で
きる超微粒子分散ガラス状物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属のサイズが数10nmより小さい超
微粒子になると、電子構造、格子比熱、スピン帯磁率等
にバルク金属とは全く異なる性格が出現することは良く
知られている。このような金属のうち金、銀や半導体の
CdSx Se1-x の超微粒子をガラスに分散したものが
着色ガラスやフィルターガラスとして知られている。ま
た、この種の着色ガラスである色ガラスフィルターが非
線形光学特性を示すことも知られており、光スイッチや
光コンピュータの電子材料に適用できるものとして注目
を集めている。この着色ガラスが非線形光学特性を有す
る原因として、量子閉じ込め効果によるエネルギーバン
ドの離散化が観測され、バンドの充満効果もしくは励起
子閉じ込め効果により3次の非線形特性が増大すると解
釈されている。
【0003】このような微粒子分散ガラスの製造方法と
しては、金属アルコキシドを加水分解して得た液状シリ
カゾルに金属コロイド粒子を添加、分散させた後、容器
に流し込んでゲル化させ、乾燥した後、焼結するゾル−
ゲル法、またSiのような半導体微粒子をアルコキシド
ゾル中に分散して乾燥し、アルコキシドをゲル化した
後、焼結し、表面を酸化物ガラスで覆って得た半導体微
粒子と、SiCl4 ,GeCl4 ,PCl3 等のガラス
原料に水素および酸素を導入して燃焼させて生成したガ
ラス微粒子とを混合し、焼成するゾル−ゲル−燃焼法、
またCdSe等を含むガラス融液を流動温度以下、屈伏
温度以上の温度まで冷却保持してガラス中に微粒子を析
出させる析出法、またCd源、S源、Se源、Te源粉
末の少なくとも一種以上の粉末と、低融点ガラス粉末を
混合し焼結して複合ガラスを作製し、この複合ガラスを
ターゲットとし、スパッタリング法を用いて微粒子分散
ガラスを得るスパッタリング法、そしてガラス基板に高
速に加速した金属イオンを衝突させて注入した後、熱処
理によって粒径制御するイオン注入法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、一般にゾル−
ゲル法は、微粒子分散ガラスを得るにおいて非常に長時
間を要するだけでなく、金属コロイド粒子の凝集を防ぐ
ことが困難であり、更に大きな問題点としては金属微粒
子の含有濃度に限界があり、高濃度にすることが困難で
あった。また、ゾル−ゲル−燃焼法でも金属微粒子の含
有濃度を高めるのが困難であった。更に、析出法やスパ
ッタリング法でも、金属微粒子の粒径を制御することが
困難であるばかりか、金属微粒子の含有濃度を高めるの
が困難であった。そして、イオン注入法においては、装
置が大型で大量生産には不向きであり、しかも金属微粒
子の含有濃度を高めるのが困難であった。
【0005】このように従来の方法では、金属微粒子の
含有濃度が低いために、三次の非線形感受率χ(3) が小
さい材料になっていた。一般に三次の非線形感受率χ
(3) の大きい材料になると、光双安定応答を引き起こす
のに必要な入射光強度も小さくてすみ、高集積化を可能
にするばかりでなく、速い応答のスイッチが可能になる
と言われている。このため、金属微粒子の含有濃度が高
くて、三次の非線形感受率χ(3) の大きいものに注目が
集まっている。 本発明は、このような問題点を改善する
ものであり、とくに特定の金属の超微粒子を独立して分
散させるとともにこれらの超微粒子の含有濃度を高めて
なる非線形光学特性を有する超微粒子分散ガラス状物と
その製造方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の特徴とす
るところは、Ti(チタン),V(バナジウム),Cr
クロム),Mn(マンガン),Fe(鉄),Ni(ニ
ッケル),Cu(銅),Zn(亜鉛),Cd(カドミウ
ム),Y(イットリウム),W(タングステン),Sn
(スズ),Ge(ゲルマニウム),In(インジウ
ム),Ga(ガリウム)から選ばれた少なくとも1種の
金属の超微粒子とMOとからなる超微粒子分散ガラス
状物において、上記超微粒子が粒径1〜50nmであっ
て、該超微粒子の各々がMO(MはAl,Ge,S
n,Sb(アンチモン),Ga,Pbから選ばれてなる
両性元素あるいはTi,Fe,Cu,Nb(ニオブ),
Ta(タンタル),Cd,In,Cr,Mnから選ばれ
てなる金属元素、xは0.1〜3)からなる非晶質の無
機物に包囲され、上記超微粒子の含有量が最大90モル
%である超微粒子分散ガラス状物にある。
【0007】 また、本発明はTi,V,Cr,Mn,
Fe,Ni,Cu,Zn,Cd,Y,W,Sn,Ge,
In,Gaから選ばれた少なくとも1種の金属の超微粒
子、MO、そしてガラス骨格を形成する第3成分であ
るM’Oからなる超微粒子分散ガラス状物において、
上記超微粒子が粒径1〜50nmであり、該超微粒子の
各々がMO(MはAl,Ge,Sn,Sb,Ga,P
bから選ばれてなる両性元素あるいはTi,Fe,C
u,Nb,Ta,Cd,In,Cr,Mnから選ばれて
なる金属元素、xは0.1〜3である)からなる非晶質
の無機物とM’O(M’はSi(シリコン),B(ボ
ロン),P(リン)から選ばれた少なくとも1種の元
、yは0.1〜3、M’O はM’で表示される元素
を含む有機化合物から得られたガラス骨格を形成するも
のである)からなる非結晶の無機物で包囲され、上記超
微粒子の含有率が最大90モル%である超微粒子分散ガ
ラス状物も含む。
【0008】 また、本発明は、超微粒子化したTi,
V,Cr,Mn,Fe,Ni,Cu,Zn,Cd,Y,
W,Sn,Ge,In,Gaから選ばれた少なくとも1
種の金属を高分子内に凝集させることなく分散させて得
られた高分子複合物と、有機金属化合物との混合物を有
機溶剤に溶解させ、これを基板上に塗布して乾燥した膜
を作製した後、焼結する超微粒子分散ガラス状物の製造
方法にある。また、高分子複合物が、融解した高分子を
蒸発固化させるかあるいは超急冷させることによって得
られる熱力学的に準安定な高分子層を作製し、この高分
子層の表面にTi,V,Cr,Mn,Fe,Ni,C
u,Zn,Cd,Y,W,Sn,Ge,In,Gaから
選ばれた少なくとも1種の金属を密着した後、上記高分
子層を該融解温度以下で加熱して高分子層を安定化させ
ることで該金属から超微粒子化した金属の超微粒子を高
分子内に凝集させることなく分散させて得られたもので
ある。更に、本発明では、上記高分子複合物と有機金属
化合物との混合物に、M’(M’はSi,B,Pから選
ばれた少なくとも1種の元素である)で表示される元素
を含む有機化合物であるガラス骨格を形成する第3成分
を混入してもよい。
【0009】 本発明の超微粒子分散ガラス状物の製造
方法においては、金属の超微粒子を高分子中に均一に分
散させた高分子複合物を得る工程とこれに有機金属化合
物との混合物を有機溶剤に溶解させ、これを基板上に塗
布して乾燥した膜を作製した後、焼結する工程、および
必要に応じて得られた焼成膜を酸化あるいは還元雰囲気
下で2次処理する工程からなる。まず、高分子複合物を
得る場合において、第1に高分子層を熱力学的に準安定
な状態に成形することである。具体的には、これは高分
子を真空中で加熱して融解し蒸発させて基板の上に高分
子層を固化する真空蒸着方法、あるいは高分子を融解温
度以上で融解し、この状態のまま直ちに液体窒素等に投
入して急冷し、基板の上に高分子層を付着させる融解急
冷固化方法などがある。
【0010】 真空蒸着方法の場合には、通常の真空蒸
着装置を使用して10−4〜10−6Torrの真空
度、蒸着速度0.1〜100μm/分、好ましくは0.
5〜5μm/分で、ガラス等の基板の上に高分子層を得
ることができる。融解急冷固化方法では、高分子を融解
し、該高分子固有の臨界冷却速度以上の速度で冷却し、
高分子層を得る。得られた高分子層は熱力学的に準安定
な状態におかれ、時間の経過につれて平行状態へ移行す
る。
【0011】本発明で使用する高分子は、例えばナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナ
イロン69、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィド(P
PS)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート、ポ
リメチルメタクリレート等であり、分子凝集エネルギー
として2000cal/mol以上有するものが好まし
い。この高分子は、通常言われている結晶性高分子や非
晶性高分子も含む。尚、分子凝集エネルギーについて
は、日本化学会編 化学便覧応用編(1974年発行)
の第890頁に詳細に定義されている。
【0012】 続いて、前記熱力学的に準安定にある高
分子層は、その表面に金属層を密着させる工程へと移さ
れる。この工程では真空蒸着装置によって金属を高分子
層に蒸着させるか、もしくは金属箔、金属板を直接高分
子層に密着させる等の方法で金属層を高分子層に積層さ
せる。その金属としてはTi,V,Cr,Mn,Fe,
Ni,Cu,Zn,Cd,Y,W,Sn,Ge,In,
Gaがある。
【0013】上記金属層と高分子層とが密着した複合物
を、高分子のガラス転移点以上、融点以下の温度で加熱
して高分子層を安定状態へ移行させる。その結果、金属
層の金属は、100nm以下で、1〜10nmの領域に
粒子径分布の最大をもつ金属の超微粒子となって高分子
層内へ拡散浸透し、この状態は高分子層が完全に緩和す
るまで続き、高分子層に付着している金属層はその厚さ
も減少して最終的に無くなる。上記超微粒子は凝集する
ことなく高分子層内に分布している。
【0014】尚、本発明では、高分子複合物の製造方法
は上記の方法だけでなく、例えば溶融気化法に属する気
相法、沈殿法に属する液相法、固相法、分散法で金属超
微粒子を作製し、この超微粒子を溶液あるいは融液から
なる高分子と機械的に混合する方法、あるいは高分子と
金属とを同時に蒸発させ、気相中で混合する方法等があ
る。
【0015】得られた高分子複合物は、メタクレゾー
ル、ジメチルホルムアミド、ジクロロエタン、クロロプ
ロパノール等の有機溶剤からなる溶媒に混合し溶解さ
せ、超微粒子を均一に分散させた超微粒子分散ペースト
にする。超微粒子は粒径が小さく高分子との相互作用が
存在するためにペースト中で高分子との分離、沈澱およ
び超微粒子同志の凝集が生じない。この場合、超微粒子
の含有量は0.01〜80重量%である。
【0016】 続いて、金属アルコキシド、有機金属錯
体、有機酸金属塩から選ばれた少なくとも1種の有機金
属化合物を準備し、これをメタクレゾール、ジメチルホ
ルムアミド、ジクロロエタン、クロロプロパノール等の
有機溶剤に溶解し、これを超微粒子分散ペーストとを混
合する。むろん、本発明の場合、高分子複合物と有機金
属化合物との混合物を同時に有機溶剤に溶解することも
できる。
【0017】 上記有機金属化合物の金属アルコキシド
は、一般式 M−(O−C2n+1で表示さ
れ、具体的にはテトラエトキシチタン、トリエトキシア
ルミニウム、トリエトキシアンチモン、テトラエトキシ
ゲルマニウム、テトラエトキシタンタル、ジエトキシ
錫、テトラi−プロポキシチタン、トリi−プロポキシ
アルミニウム、トリi−ブトキシアルミニウム、ペンタ
n−ブトキシタンタル、テトラi−アミノキシ錫等があ
る。また、有機金属化合物の有機金属錯体は、エチルア
セトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アル
ミニウムトリス(アセチルアセテート)、アルミニウム
オキシン錯体等がある。また、有機金属化合物の有機酸
金属塩は、安息香酸アルミニウム、ナフテン酸鉄、オク
チル酸銅等がある。
【0018】 また、本発明では、上記高分子複合物と
有機金属化合物とともに、第3成分として一般式M’で
表される有機化合物(M’はSi,B,Pから選ばれた
少なくとも1種の元素である。)で表示される元素を含
ガラス骨格を形成する特定の有機化合物も使用可能で
あり、これによって作製した膜の強度を向上させること
ができる。具体的には、テトラi−プロポキシシラン、
ほう酸トリエチル、ほう酸トリステアリル、ほう酸トリ
フェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル、
リン酸イプロニアジド、リン酸ジフェニル、ホスホノ酢
酸、ホスホラミドン、リン酸ジn−ブチル、リン酸トリ
エチル、リン酸トリn−アミル等がある。上記第3成分
は膜の強度を高めるだけでなく、化学的な耐久性を向上
させる。この添加量は0.1〜90モル%である。
【0019】 このように作製された高分子複合物と有
機金属化合物とを有機溶剤に溶かした混合物あるいは高
分子複合物、有機金属化合物そしてガラス骨格を形成す
る有機化合物とを有機溶剤に溶かした混合物を良く攪拌
した後、ガラス板等の基板に塗布し、60〜120°C
で大気中で10分間有機溶剤を除去して乾燥、あるいは
密閉容器中で脱気しながら乾燥して平坦な膜を作製す
る。この膜中には、例えばナイロン、アルコキシドの様
な有機物が含まれているので、300〜600°Cで数
分間熱処理して焼成する。焼成すると、有機金属化合物
の有機成分は分解、気化して除去され、金属成分は空気
中の酸素により酸化されて金属酸化物になる。この金属
酸化物の金属の空のd電子軌道、ダングリングボンド、
あるいは金属−酸素原子の双極子が微粒子の表面プラズ
モン電子と相互作用する。このため、表面プラズモン電
子の固有振動数は変化し、プラズモン共鳴吸収バンドも
シフトする。この相互作用は遷移金属酸化物において大
きいが、両性金属や半金属の酸化物において存在する。
このような相互作用が微粒子の粒成長の駆動力より大き
いと、接近した2つの微粒子は合体できず、非常に高濃
度で微粒子を含んだ複合物が形成できる。また、この相
互作用により、逆に金属酸化物の結晶成長も阻害され、
結果としてマトリックスはガラス状になる。この焼成条
件は比較的緩やかであるため、基板をいためず、例えば
安価なソーダガラスでも使用可能である。また、焼成温
度はナイロンのような高分子の分解温度を下限とし、固
定した超微粒子の周りにガラス状酸化物を生成させるた
め、大気中で行う。
【0020】 得られた超微粒子分散ガラス状物では、
超微粒子はAl−O−あるいはTi−O−などとの相互
作用のために超微粒子同志が凝集せず、大きく粒成長せ
ずに膜中に固定される。周りのAl−O−あるいはTi
−O−は超微粒子との相互作用のために自由に結晶化で
きず、非晶質のガラスを生成し、膜の主成分となり、光
を良く透過することが可能となる。上記超微粒子分散ガ
ラス状物の組成は、Ti,V,Cr,Mn,Fe,N
i,Cu,Zn,Cd,Y,W,Sn,Ge,In,G
aから選ばれた少なくとも1種の金属の超微粒子とMO
(MはAl,Ge,Sn,Sb,Ga,Pbから選ば
れてなる両性元素あるいはTi,Fe,Cu,Nb,T
a,Cd,In,Cr,Mnから選ばれた少なくとも1
種の金属元素、xは0.1〜3)からなる非晶質の無機
物の2成分からなり、上記超微粒子の含有量が最大90
モル%である。また、3成分のガラス状物の組成は、T
i,V,Cr,Mn,Fe,Ni,Cu,Zn,Cd,
Y,W,Sn,Ge,In,Gaから選ばれた少なくと
も1種の金属の超微粒子、MO、そしてガラス骨格を
形成する第3成分であるM’Oからなり、上記超微粒
子の含有量が最大90モル%である。得られたガラス状
物は微粒子の酸化状態を調整するため、必要に応じて酸
化あるいは還元雰囲気中で加熱処理される。
【0021】
【作用】本発明においては、Ti,V,Cr,Mn,F
e,Ni,Cu,Zn,Cd,Y,W,Sn,Ge,I
n,Gaから選ばれた少なくとも1種の金属の超微粒子
を分散させて得られた高分子複合物と有機金属化合物と
の混合物を焼成するために、超微粒子がM−O−(Mは
両性元素あるいは金属元素)との相互作用のために超微
粒子同志が凝集して大きく粒成長せずに、その中に固定
され、そして周りのM−O−は超微粒子との電気的な
互作用のために自由に結晶化できず、非晶質のガラスを
生成する。このため、生成物では超微粒子の濃度を高め
ることができ、優れた非線形光学特性を有する材料を得
ることができる。また、本発明においては、焼成温度を
比較的低くすることができるため、基板をいためること
はない。
【0022】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例により更に詳
細に説明する。尚、本実施例で用いたガラス状物の評価
方法は以下の通りである。 1.ガラス状物中の超微粒子の化学状態 ガラス状物中の金属超微粒子の化学状態の測定は、金属
が結晶体であるのでX線回折法を用いる。このX線回折
装置は薄膜アタッチメントを装着したリガク社製、RI
NT1200で、入射固定角1°で2θ法によってX線
回折パターンを求めて化合物を判定する。
【0023】2.超微粒子、生成物の含有率 これは、原料の混合物からモル%に換算して求めた。焼
結の過程で有機成分は全て分解除去され、無機成分は全
て気化、消失の無いものとした。
【0024】3.粒子の粒径 これは、1で得られたX線回折パターンに見られる金属
のメインピークの半値幅を求め、シェラーの式から結晶
体のサイズを計算した値である。
【0025】4.ガラス質成分の構造 1で得られたX線回折パターンによって、超微粒子以外
の回折ピークが有るか、無いかを判定した。回折ピーク
が無い場合もしくはブロードなハローが観察される時
は、非晶構造であるとした。
【0026】実施例1 真空蒸着装置を用いて、ナイロン11のポリマーペレッ
ト5gをタングステンボード中に入れ、10-6Torr
に減圧する。次いで、電圧を印加してタングステンボー
ドを真空中で加熱してポリマーを融解させ、蒸着源の上
部に設置した基板(ガラス板)上に、10-4〜10-6
orrの真空度で約1μm/分の速度で厚さ約5μmの
蒸着膜の高分子層を得た。この高分子層の分子量は前記
ポリマーペレットの1/2〜1/10程度になってい
る。
【0027】更に、銅チップをタングステンボード中に
入れて加熱融解して10-4〜10-6Torrの真空度で
蒸着を行って高分子層の上に銅蒸着膜を付着させた。こ
れを真空蒸着装置から取り出し、120°Cに保持した
恒温槽中に10分間放置して複合物を得た。その結果、
この高分子複合物には銅が約20重量%含有し、その平
均粒径は8nmであった。
【0028】 上記高分子複合物と有機金属化合物とし
てテトラi−プロポキシチタン/Ti(i−OC
(実施例)、Al(i−プロポキシ)(s
ec−ブトキシ)(実施例)、そしてテトラi−プロポ
キシシラン(比較例)を所定の重量比でメタクレゾール
に溶解させて良く攪拌し、これをソーダガラスの基板上
に塗布した後、密閉容器に入れ、これを120°Cにて
10分間ロータリーポンプで脱気しながら溶剤を除去す
るとともに乾燥した。
【0029】続いて、上記試料を焼成するが、この焼成
条件1として10-3Torrで350°Cで焼成する方
法、また焼成条件2として大気中で500°Cで焼成す
る方法、続いて2次処理としてその条件1’として大気
中で500°Cで焼成する方法、また条件2’として窒
素ガスと0.01%の水素ガス下で200°Cで焼成す
る方法があり、これらの条件を選択して膜状のガラス状
物を得た。このガラス状物の特性を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】この結果、ガラス状物のCuOあるいはC
uの超微粒子は、高分子複合物のCuOあるいはCu超
微粒子よりわずかに大きい粒径になっているが、Ti−
O−やAl−O−のガラス質中に超微粒子のままで固定
されていることが判る。
【0032】実施例2 実施例1と同様な方法で銅チップの代わりにSn、Co
を用いてナイロン11中にSnあるいはCoOの超微粒
子を分散させた高分子複合物を得た。このSnの超微粒
子の含有量は約25重量%であり、平均粒径は22nm
であった。CoOの超微粒子の含有量は約10重量%で
あり、平均粒径は6nmであった。この高分子複合物と
有機金属化合物(M−R)であるテトラi−プロポキシ
チタン(実施例)、Al(i−プロポキシ)2 (sec
−ブトキシ)(実施例)、そしてテトラi−プロポキシ
シラン(比較例)を所定の重量比でメタクレゾールに溶
解させて良く攪拌し、これをソーダガラスの基板上に塗
布した後、密閉容器に入れ、これを120°Cにて10
分間、ロータリーポンプで脱気しながら溶剤を除去する
とともに乾燥した。続いて、この試料を焼成条件1、2
と2次処理1’、2’の条件を選択して膜状のガラス状
物を得た。このガラス状物の特性を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】この結果、ガラス状物のSnやCoOの超
微粒子は、高分子複合物の超微粒子とほぼ同じ大きさの
粒径になっており、Ti−O−やAl−O−のガラス質
中に超微粒子のままで固定されていることが判る。しか
し、テトラi−プロポキシシランを用いると、超微粒子
が凝集して粒成長していることが判る。
【0035】実施例3 実施例1で得られた高分子複合物と有機金属化合物に、
第3成分としてテトラi−プロポキシシランをメタクレ
ゾールに溶解させてよく攪拌し、これをソーダガラスの
基板上に塗布した後、密閉容器に入れ、これを120°
Cにて10分間、ロータリーポンプで脱気しながら溶剤
を除去するとともに乾燥した。続いて、この試料を焼成
条件1、2と2次処理1’、2’の条件を選択して膜状
のガラス状物を得た。このガラス状物の特性を表2に示
す。
【0036】
【表3】
【0037】このように第3成分を添加すると、第3成
分のガラスが作製でき、しかも得られた膜の強度の向上
と化学的な耐久性の向上が期待される。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明では、Ti,V,C
r,Mn,Fe,Ni,Cu,Zn,Cd,Y,W,S
n,Ge,In,Gaから選ばれた少なくとも1種の
属の超微粒子を分散させて得られた高分子複合物と有機
金属化合物との混合物を焼成するために、超微粒子がM
からなる非晶質の無機物に包囲されM−O−との相
互作用のために超微粒子同志が凝集せず粒成長が阻止さ
れ、そして周りのM−O−は超微粒子との電気的な相互
作用のために自由に結晶化できず、ガラス状物を生成す
る。そして、生成物中の超微粒子の濃度を高めることが
でる。また、高分子複合物と有機金属化合物との混合物
の他に、第3成分としてM’(M’はSi,B,Pから
選ばれた少なくとも1種の元素である)で表示される元
素を含む有機化合物であるガラス骨格を形成する成分を
混入すれば、得られた膜の強度とともに、化学的な耐久
性向上も期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 出来 成人 神戸市東灘区住吉台41−1−807 審査官 三崎 仁 (56)参考文献 特開 平2−225342(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ti,V,Cr,Mn,Fe,Ni,C
    u,Zn,Cd,Y,W,Sn,Ge,In,Gaから
    選ばれた少なくとも1種の金属の超微粒子とMOとか
    らなる超微粒子分散ガラス状物において、上記超微粒子
    が粒径1〜50nmであって、該超微粒子の各々がMO
    (MはAl,Ge,Sn,Sb,Ga,Pbから選ば
    た少なくとも1種の両性元素あるいはTi,Fe,C
    u,Nb,Ta,Cd,In,Cr,Mnから選ばれ
    少なくとも1種の金属元素、xは0.1〜3)からなる
    非晶質の無機物に包囲され、上記超微粒子の含有量が最
    大90モル%であることを特徴とする超微粒子分散ガラ
    ス状物。
  2. 【請求項2】 Ti,V,Cr,Mn,Fe,Ni,C
    u,Zn,Cd,Y,W,Sn,Ge,In,Gaから
    選ばれた少なくとも1種の金属の超微粒子、MO、そ
    してガラス骨格を形成する第3成分であるM’Oから
    なる超微粒子分散ガラス状物において、上記超微粒子が
    粒径1〜50nmであり、該超微粒子の各々がMO
    (MはAl,Ge,Sn,Sb,Ga,Pbから選ば
    た少なくとも1種の両性元素あるいはTi,Fe,C
    u,Nb,Ta,Cd,In,Cr,Mnから選ばれ
    少なくとも1種の金属元素、xは0.1〜3である)か
    らなる非晶質の無機物と、M’O(M’はSi,B,
    Pから選ばれた少なくとも1種の元素であり、yは0.
    1〜3であり、M’OyはM’で表示される元素を含む
    有機化合物から得られたものである)からなる非晶質
    無機物で包囲され、上記超微粒子の含有率が最大90モ
    ル%であることを特徴とする超微粒子分散ガラス状物。
  3. 【請求項3】 上記MO が超微粒子の各々の表面プラ
    ズモン電子と電気的な相互作用している請求項1または
    2記載の超微粒子分散ガラス状物。
  4. 【請求項4】 超微粒子化したTi,V,Cr,Mn,
    Fe,Ni,Cu,Zn,Cd,Y,W,Sn,Ge,
    In,Gaから選ばれた少なくとも1種の金属を高分子
    内に凝集させることなく分散させて得られた高分子複合
    物と、有機金属化合物との混合物を有機溶剤に溶解さ
    せ、これを基板上に塗布して乾燥した膜を作製した後、
    焼結することを特徴とする超微粒子分散ガラス状物の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 有機金属化合物が金属アルコキシド、金
    属酸エステル、有機金属錯体、有機酸金属塩から選ばれ
    てなる少なくとも1種の化合物である請求項4記載の超
    微粒子分散ガラス状物の製造方法。
  6. 【請求項6】 高分子複合物が、融解した高分子を蒸発
    固化させるかあるいは超急冷させることによって得られ
    る熱力学的に準安定な高分子層を作製し、この高分子層
    の表面にTi,V,Cr,Mn,Fe,Ni,Cu,Z
    n,Cd,Y,W,Sn,Ge,In,Gaから選ばれ
    少なくとも1種の金属を密着した後、上記高分子層を
    該融解温度以下で加熱して高分子層を安定化させること
    で該金属から超微粒子化した金属の超微粒子を高分子内
    に凝集させることなく分散させて得られたものである請
    求項4記載の超微粒子分散ガラス状物の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記高分子複合物と有機金属化合物との
    混合物に、M’(M’はSi,B,Pから選ばれてた
    なくとも1種の元素である)で表示される元素を含む有
    機化合物であるガラス骨格を形成する第3成分を混入し
    てなる請求項4記載の超微粒子分散ガラス状物の製造方
    法。
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