JP2717720B2 - 磁気記録媒体用磁性粉末の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体用磁性粉末の製造方法

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JP2717720B2
JP2717720B2 JP2055633A JP5563390A JP2717720B2 JP 2717720 B2 JP2717720 B2 JP 2717720B2 JP 2055633 A JP2055633 A JP 2055633A JP 5563390 A JP5563390 A JP 5563390A JP 2717720 B2 JP2717720 B2 JP 2717720B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、高密度垂直磁気記録媒体用に適する磁性粉
末の製造方法に関する。
(従来の技術) 従来から、基体と垂直な方向の磁化を用いる垂直記録
方式に適した高密度垂直磁気記録媒体として、前記方向
に磁化容易軸を配向し易い六方晶系フェライトの微粉末
を、樹脂バインダ、溶剤および各種添加剤と共に混合し
てなる磁性塗料を、非磁性基体上に塗布して磁性層を形
成したものが知られている。
ところで前記六方晶系フェライトでは、構成原子の一
部を特定の元素で置換することによって、その保磁力を
磁気記録に適する値まで低減させている。このような磁
気記録媒体用の六方晶系フェライト磁性粉末を製造する
方法としては、たとえば以下に示すようなガラス結晶化
法が採用されている。
すなわち、六方晶系フェライトの基本成分と、保磁力
低減用の置換成分と、飽和磁化向上など特性改善用の添
加成分と、ガラス形成成分とを混合して加熱溶融させ、
この溶融物を急速に冷却して非晶質(ガラス)体とし、
次いでこれを熱処理して六方晶系フェライトの結晶粒子
を析出させた後、この結晶を粉砕し、得られた微粉末を
リン酸や酢酸などの希酸で処理してガラス形成成分を溶
解除去することによって、六方晶系フェライト磁性粉末
を分離抽出するという、ガラス結晶化法が行われてい
る。
(発明が解決しようとする課題) ところで、上記ガラス結晶化法によって得られた、た
とえばBaフェライトのような六方晶系フェライトの磁性
粉末においては、磁気記録特性(電磁変換特性)などの
点から、平均粒径が50〜80nm程度であり、かつ板状比も
高配向と高い飽和磁化を得るために、5〜10程度の大き
さであることが望まれる。
一方、前記六方晶系フェライト磁性粉末を塗料化し
て、所要の磁気記録媒体を製造するにあたっては、樹脂
バインダに対する分散性が良好であることが求められ
る。すなわち、高密度記録機能を充分かつ確実に保持、
発揮させるためには、六方晶系フェライト磁性粉末が樹
脂バインダ中に容易に分散され、また磁気記録媒体層中
に均一に分散していることが望まれる。
しかしながら、従来の六方晶系フェライト磁性粉末に
おいては、分散性にバラツキが認められ、所要の高密度
磁気記録機能を達成し得ないことがしばしばあり、ま
た、記録・再生などの再現性に劣る問題があった。
本発明者は、このような問題に対処すべく検討を重ね
た結果、たとえばガラス結晶化法で得られた六方晶系フ
ェライト磁性粉末中に含有されたアルカリ金属イオンや
アルカリ土類金属イオンが、この磁性粉末の分散性に大
きく影響していることを見出し、本発明に至った。
本発明は、このような知見に基づいてなされたもの
で、塗料化の際の分散性が改善された磁気記録媒体用磁
性粉末の製造方法の提供を目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明の磁気記録媒体用磁性粉末の製造方法は、 一般式、 AO・n{(Fe1-xMx2O3} (但し、AはBa、Sr、CaおよびPbの中から選ばれた少な
くとも1種の元素、MはCo、Ti、In、Ni、Cu、Zn、Nb、
Zr、V、Ta、Al、Cr、Sb、Hf、Mo、W、Ir、SnおよびMg
の中から選ばれた少なくとも1種の元素、5.0≦n≦6.
5、0.02≦x≦0.24)で示される六方晶系フェライトを
主体とする磁性粉末から、含有されるアルカリ金属イオ
ンおよびアルカリ土類金属イオンを除去したのち、アル
カリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの群から
選ばれた少なくとも1種の金属イオンを含有する液体を
滴下して、前記磁性粉末に含有される前記金属イオンの
量を100ppmを超え1000ppm以下とすることを特徴として
いる。
ここで、元素Mは六方晶系フェライトの保磁力を低減
し制御するためのものであり、この元素の置換量xが0.
02より小さいと、保磁力が大きくなり過ぎ、反対にxが
0.24を超えると、保磁力が小さくなりすぎて好ましくな
い。
また、本発明に係る六方晶系フェライトの磁性粉末と
しては、ガラス結晶化法で得られたものだけでなく、そ
れ以外のたとえば共沈法や水熱合成法などによって得ら
れるものも含まれる。
さらに、本発明に係る六方晶系フェライトの磁性粉末
においては、磁性粉末表面などに付着または被着するよ
うな形で含有されるアルカリ金属イオンやアルカリ土類
金属イオンが磁性粉末の凝集を防ぎ樹脂バインダに対す
る分散性を向上させる機能を有する。
良好な分散性を発揮するには、上記金属イオンが六方
晶系フェライト磁性粉末に対して100ppmを超え1000ppm
の範囲で含まれていることが必要である。すなわち、ア
ルカリ金属イオンなどの含有量が100ppm未満では、磁性
粉末同士の凝集力が非常に強くなり分散が充分になされ
ず、媒体角型比の低下を招来するなど好ましくない。一
方、含有量が1000ppmを超えると、塗料化の際の分散性
は良いが角型比などが低くなり、さらにこのイオンがバ
インダに作用して、磁性媒体層を成す塗膜の硬化が充分
に行われない。
(作用) 本発明に係わる磁気記録媒体用磁性粉末は、その表面
などに付着ないし被着する形で含有されているアルカリ
金属イオンやアルカリ土類金属イオンの量を、100ppmを
超え1000ppmの範囲に制御することにより、樹脂バイン
ダーに対する良好な分散性が発揮される。つまり、分散
性の良好な磁性塗料を容易に調製し得るので、高密度磁
気記録媒体を再現性よく構成することができる。
(実施例) 以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1〜2 先ず、TiおよびCoを保磁力低減用の置換元素とするBa
フェライト(六方晶系フェライト)磁性粉末を、以下の
方法で製造した。すなわち、フェライトの基本成分Fe2O
3と、保磁力低減のための置換成分TiO2およびCoOと、ガ
ラス形成成分BaO、Na2O、B2O3とを表−1に示すの組成
比(重量%)をなすように、弁柄、酸化チタン、酸化コ
バルト、炭酸バリウム、ソーダ灰、ホウ酸をそれぞれ所
定量秤取した。
次に、前記秤取した各原料成分を充分混合した後、白
金るつぼ内に収容し、高周波加熱ヒーターを用いて1350
℃の温度で加熱溶融し、次いでこの溶融物を、直径20c
m、回転数500rpmの水冷双ロール上に注いで急冷し、非
晶質体を得た。
上記によって得た非晶質体を、780℃の温度で4時間
加熱してBaフェライトの結晶を析出させた後、この結晶
化物を粉砕した。しかる後、上記で得た粉末を約4倍量
の希酢酸(10%)中に投入し、5時間超音波をかけてガ
ラス成分の溶解、除去を行った。その後、80℃以上の温
水を用いて洗浄を繰返して、ガラス形成成分などを除去
してから、脱水乾燥処理を行い、粒径0.01〜3μmの六
方晶系フェライト粉末をそれぞれ得た。
上記によって得た各六方晶系フェライト粉末の磁気特
性を測定したところ、保磁力700 Oe、飽和磁化58emu/g
と良好な値が得られた。
次に、前記各六方晶系フェライト粉末1gを秤取し、10
0℃の温水(純水)によって、含有ないし表面に付着し
ているガラス形成成分イオン(アルカリ金属イオンであ
るナトリウムイオンおよびアルカリ土類金属イオンであ
るバリウムイオン)を抽出し、抽出された水溶性イオン
量をICP分析装置により定量したところ、50ppmであっ
た。
一方、前記ガラス形成成分イオン(ナトリウムイオン
およびバリウムイオンなど)が完全に除去された六方晶
系フェライト磁性粉末を用意し、この六方晶系フェライ
ト磁性粉末に、アルカリ金属イオン(ナトリウムイオ
ン)を滴下して、表−2に示す金属イオン含有量の磁性
粉末を得た。
しかる後、上記によって調製して得た六方晶系フェラ
イト磁性粉末を使用し、常法に従ってそれぞれ磁性塗料
を作製した(バインダはポリウレタン樹脂)後、これら
の塗料を、ポリエステルフィルム上に塗布し、カレンダ
処理、硬化処理、スリット処理を施すことによって、テ
ープ状の磁気記録媒体を作製した。
上記実施例1〜2および比較例1〜2の各六方晶系フ
ェライト磁性粉末をそれぞれ用いて構成した磁気記録媒
体について、各特性を測定した結果を表−2に併せて示
す。
なお、媒体角型比はVSMによる測定値であり、塗膜光
沢度はJISZ8741「光沢度測定方法」による測定値であ
る。
上記実施例および比較例から明らかなように、アルカ
リ金属イオンやアルカリ土類金属イオンの含有量が1ppm
未満では、磁性粉末同士の凝集力が非常に強いため、塗
料化の際に磁性粉末の分散が充分になされず、媒体角型
比および塗膜光沢度が共に低くなる。また、アルカリ金
属イオンやアルカリ土類金属イオンの含有量が1000ppm
を超えた場合にも、角型比と光沢度がともに低下し、さ
らに過剰なアルカリ金属イオンが樹脂バインダーに作用
するため、塗料の硬化が充分に行われなくなる。
なお、上記ではアルカリ金属イオンやアルカリ土類金
属イオンの含有量が105ppm、1000ppmの場合を例示した
が、六方晶系フェライト磁性粉末全体の100ppmを超え10
00ppmの範囲内ではいずれの場合も、前記含有する金属
イオンが磁性粉末同士の凝集を防止する役割を充分に果
たし、分散性の良好な磁性塗料の調製が可能であった。
またこの磁性塗料を用いることによって、角型比および
塗膜光沢度が共に高い磁気記録媒体が得られた。
[発明の効果] 以上の説明からも明らかなように、本発明に係わる磁
気記録媒体用磁性粉末は、樹脂バインダに対する分散性
が良好であるため、記録媒体中で均一ないし均質に分散
することができ、充填密度を大きくとることができる。
したがって、高い記録密度と再生出力を備えた高密度垂
直記録媒体を製造するための磁性粉末として好適してい
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式、 AO・n{(Fe1-xMx2O3} (但し、AはBa、Sr、CaおよびPbの中から選ばれた少な
    くとも1種の元素、MはCo、Ti、In、Ni、Cu、Zn、Nb、
    Zr、V、Ta、Al、Cr、Sb、Hf、Mo、W、Ir、SnおよびMg
    の中から選ばれた少なくとも1種の元素、5.0≦n≦6.
    5、0.02≦x≦0.24)で示される六方晶系フェライトを
    主体とする磁性粉末から、含有されるアルカリ金属イオ
    ンおよびアルカリ土類金属イオンを除去したのち、アル
    カリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの群から
    選ばれた少なくとも1種の金属イオンを含有する液体を
    滴下して、前記磁性粉末に含有される前記金属イオンの
    量を100ppmを超え1000ppm以下とすることを特徴とする
    磁気記録媒体用磁性粉末の製造方法。
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