JPH1092618A - 六方晶系フェライト磁性粉およびその製造方法 - Google Patents

六方晶系フェライト磁性粉およびその製造方法

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JPH1092618A
JPH1092618A JP8241826A JP24182696A JPH1092618A JP H1092618 A JPH1092618 A JP H1092618A JP 8241826 A JP8241826 A JP 8241826A JP 24182696 A JP24182696 A JP 24182696A JP H1092618 A JPH1092618 A JP H1092618A
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magnetic
heat treatment
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hexagonal ferrite
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JP8241826A
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Hajime Takeuchi
肇 竹内
Osamu Kubo
修 久保
Kazufumi Nakano
和史 中野
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Toshiba Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 SFDが小さく、塗膜中での充填性・配向性
が阻害されることがなく高密度記録再生に適した六方晶
系フェライト磁性粉とその製造法を提供する。 【解決手段】 結晶核を析出させる熱処理工程を、核を
成長させる工程から分離し、熱処理条件を適切に選択す
ることにより存在状態を制御して核を析出させたのち、
成長させる。得られる磁性粉は、平均粒径が30〜40
nm、BET法による比表面積値が30〜70m2
g、SFDが0.9以下であって、平均粒径10nm以
下の粒子の存在確率が5%以下であることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度記録・再生
が可能な塗布型磁気記録媒体に適した磁性粉およびその
製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】マルチメディアの時代を迎え、情報を高
密度に記録可能な磁気記録媒体への要求はますます強ま
ってきており、塗布型磁気記録媒体の分野においても短
波長記録・再生への要求が高まっている。これらの要求
に応えるべく磁気記録媒体の線記録密度を高める目的
で、たとえばBaフェライトなどの六方晶系フェライト
においては、これまでにも、磁性体サイズを板径40n
mにまで小さく、保磁力を大きく、かつ磁化反転分布幅
(swiching field distribution:以下SFDと略す)を
小さくして、記録減磁をできるだけ小さくし得る磁性材
料の開発がなされている。しかしながら、そのような磁
性体を用いて作製した磁気記録媒体においては、短波長
出力およびS/N比の改善は認められてはいるものの、
未だ充分とはいえない。そのため、粒径が小さいだけで
なく磁気特性もすぐれた微粒子磁性粉が求められてい
る。
【0003】なお、SFDとは、磁性粉に磁場をかけて
その残留磁化(σr)を測定して磁化曲線を作製し、第
2象限の磁化曲線における微分曲線(dσ/dH)の半
値幅をこの磁性粉末の保磁力Hcで除した値と定義さ
れ、保磁力Hc近傍での磁化曲線の勾配を表している。
このSFDは、磁性粉末の保磁力分布の広がりを示すパ
ラメータとして知られ、一般にこの値が小さいほど短波
長特性が伸びるといわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、六方晶系フ
ェライト磁性粉を板径40nm以下のサイズにまでさら
に微粒子化を進めるにつれて、SFDの値の著しい増大
が起こってしまうことが判明した。さらに、微粒子化が
進められたこの種の磁性粉を用いて磁気記録媒体を作製
した場合には、従来の粒径の磁性粉の場合に比較して、
磁性膜中での配向性・充填性が劣ることも明らかになっ
た。
【0005】したがって、この種の磁性粉を用いて磁気
記録媒体を作製した場合には、その飽和磁化量・残留磁
化量の低下、SFD特性の悪化という不都合がもたらさ
れていた。そして、作製された磁気記録媒体においては
ノイズの低下は認められるものの再生出力の低下が著し
いため、S/Nの向上という利得をもたらすまでには至
っていない。
【0006】ここに、微粒子化に伴うこれらの不都合の
原因は以下のように推察される。まずSFDに関して
は、次のように考えられる。通常、磁性粒子は板径20
nm以下程度に小さくなると、粒子体積が小さいために
熱振動で磁気モーメントが磁化安定軸から外れて絶えず
揺動し保磁力も消失するという、いわゆる超常磁性(su
perparamagnetism)を示すようになって、磁気記録には
適さなくなる。磁性粉の微粒子化を進めた場合には、そ
のような挙動をする粒子の混入する割合が高くなるため
に、飽和磁化量・残留磁化量が低下し、SFD特性が悪
化すると考えられる。
【0007】そして、配向性に関しては次のように考え
られる。一般に、粒子のもつ回転トルクの大きさはその
粒子体積に比例するので、粒子が小さくなると、回転ト
ルクは非常に小さくなる。その結果、粒子が配向磁界内
で配向運動を行う際に、バインダからの摩擦抵抗に負け
てしまって、配向運動が不完全な状態のまま完結しな
い。したがって、磁性膜中での配向性が悪化する。
【0008】充填性に関しては、上記したように、配向
性が不完全であること、そして微粒子固有の嵩高い集合
状態を分散工程で破壊しきれないことなどが、その悪化
の原因と考えられる。
【0009】本発明は、磁性粉の微粒子化に伴うこのよ
うな不都合を解消し高密度記録に対応させるためになさ
れたものであり、SFDの広がりが抑えられ、かつ塗膜
中での充填性・配向性が阻害されることがなく高密度記
録再生に適した磁性粉およびその製造法を提供すること
を、その目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的のため鋭意研究
の結果、磁性粉中の超常磁性を示すような微細粒子の存
在が不都合を引起こす主因であると推察し、磁性粉の微
粒子化にあたり単に磁性粉の平均粒径を小さくするので
はなく、平均粒径を小さくすると同時に粒度分布をこれ
まで以上に狭く、とりわけ、粒度分布の微細粒子側の裾
野をカットして微細粒子を取り除く技術を見出だした。
そしてその技術により、SFDの広がりが抑えられ、か
つ塗膜中で充填性・配向性が阻害されることがなく高密
度記録再生に適した磁性粉を得るに至った。
【0011】すなわち、本発明の六方晶系フェライト磁
性粉は、平均粒径が30〜40nm、BET法による比
表面積値が30〜70m2 /g、SFDが0.9以下で
あって、平均粒径10nm以下の粒子の存在確率が5%
以下であることを特徴としている。
【0012】本発明の磁性粉において、平均粒径とは、
磁性粉群の透過型電子顕微鏡像(10万〜20万倍)か
ら選択した任意の磁性粉500個の板径を測定しこれら
を算術平均したものと定義する。また、10nm以下の
粒子の存在確率とは、上記粒径調査において見出だされ
る10nm以下の粒子の個数を5で除した数値、すなわ
ち任意の磁性粉100個あたりに見出だされる10nm
以下の粒子の個数と定義する。
【0013】本発明において、磁性粉の平均粒径は30
〜40nmの範囲であることが望ましい。40nm以上
の粒径では、粒度分布が広がり媒体のノイズ成分が増大
することが確認されており、本発明の意図する高密度記
録には適さなくなるため、好ましくない。30nm以下
の粒径では、磁性粉群が超常磁性的に振る舞う成分が増
加し、磁気記録には適さなくなるため、好ましくない。
【0014】本発明において、磁性粉群中の粒径10n
m以下の粒子の存在確率は、5%以下であることが望ま
しい。粒径10nm以下の粒子は完全に超常磁性的挙動
をし、事実上保磁力が消失しており、このような粒子の
存在確率が5%を超えると、SFDが著しく広がるほ
か、これらの微粒子の存在に因る塗膜中での磁性粉の配
向性・充填性の悪化が無視できないほどになって、塗膜
の静磁気特性を低下させる。 本発明において、磁性粉
は上記の粒径、形状の範囲にあって、かつ比表面積はB
ET法による値で30〜70m2 /gの範囲にあること
が望ましい。比表面積をこのような数値範囲に限定した
のは、比表面積が、媒体製造にあたり磁性塗料調製の際
に磁性粒子が樹脂バインダと相互作用する度合いに関連
する量であるためである。すなわち、30m2 /g未満
では、バインダから受ける抵抗が少なく磁性粉の配向性
は向上するものの、磁性塗料中における磁性粉分散安定
性の確保が困難となる。また、70m2 /gを超える
と、磁性粉の配向性・充填性が低下し高密度記録には適
さなくなる。
【0015】本発明の磁性粉において、板状比は媒体中
の充填性・配向性を勘案すると2〜9であることが望ま
しく、さらに望ましくは2〜6の範囲にあることであ
る。板状比が大きくなるにしたがって配向性の向上、S
FDの狭小化が見られるが、充填性は逆に低下する。作
製した磁気記録媒体の再生出力を増大させるためには、
磁性粉において充填性の向上、配向性の向上、およびS
FDの狭小化という3つの特性のバランスがよいことが
重要である。本発明においては、そのような観点から、
板状比の望ましい範囲として2〜9、さらに好ましい範
囲として3〜6が導かれる。
【0016】本発明において、六方晶系フェライト磁性
粉としては、下記の組成式で示されるものが適用可能で
ある。
【0017】ΜO・Fe12-xM´x 18 (ただし、MはCa、Sr、Ba、およびPbから選ば
れる少なくとも1種以上の元素を表し、M´は原子数平
均価数が3価になるように調節された原子群を表す。) 本発明において、磁性粉の保磁力は300〜3000
Oeの範囲にあることが望ましい。300 Oeより小
さい場合には記録減磁が著しく高密度記録に適さない。
一方、保磁力が3000 Oeを超える場合には、これ
を十分に磁化するヘッドが現時点ではなく、飽和を起こ
すため好ましくない。
【0018】保磁力制御のために上記組成式においてF
eの一部を適当な金属元素で置換することが望ましい。
この際置換イオンの価数が原子数平均3価になるように
することが望ましい。M´は原子数平均価数が 3価にな
るように調節された原子群を意味する。たとえばM´の
1種として2価金属元素を用いた場合、4価、5価、6
価元素を併用して置換元素の価数が原子数平均3価にな
るように調節する。ここに2価元素として、Mn,F
e,Co,Ni,Cu,Zn,Mg,Cd等が例示さ
れ、3価元素としてはSc,Al,Y,Ga,In,T
l,Rh等、4価元素としてはTi,Zr,Hf,S
n,Ge,Τe,Ru等、5価元素としてはV,Nb,
Ta,Bi,Sb等、6価元素としてはMo,W等が例
示される。
【0019】本発明において、磁性粉の飽和磁化量は室
温で40〜60emu/gの範囲にあることが望まし
い。40emu/g未満では、作製した磁気記録媒体の
長波長出力が不足をきたすため、好ましくない。飽和磁
化量は大きいほど好ましいが、M型構造であって本発明
の粒径範囲の磁性粉では、60emu/gを超える磁化
量は達成困難である。
【0020】さらに、上記構成の本発明の磁性粉を製造
するにあたっては、結晶核を析出させ成長させる過程を
厳重に管理することが必要である。すなわち、本発明の
磁性粉の製造方法は、六方晶系フェライトの原料磁性イ
オンを含む母相から六方晶系フェライトの結晶核を析出
させる第一の熱処理工程と、析出した結晶核を成長させ
る第二の熱処理工程とからなり、かつ前記第一の熱処理
工程において、前記原料磁性イオンの1〜10%が結晶
核形成に与って、核体積0.5×10-20 〜9×10
-20 cm3 /個の結晶核が、前記母相中に1×1018
20×1018個/cm3 の存在密度で分散した状態で析
出するようにしたことを特徴としている。なお、以下文
中では結晶核を核と略記する。
【0021】本発明の製造方法において、核を析出させ
る第一の熱処理工程と、析出した核を成長させる第二の
熱処理工程との2段階に分けているのは次のような理由
による。まず結晶化に際し温度に関しては、たとえばガ
ラスハンドブック(朝倉書店発行)第808〜809頁
に開示されているように、比較的低温度領域では核形成
速度が早く、温度が上がるにしたがって核形成速度は遅
くなって結晶成長速度が早くなることが、一般に知られ
ている。そこで、本発明の製造方法は、予め、核は生成
するが結晶成長が遅い熱処理範囲において核形成のみを
行い、その後、結晶成長速度が早く核形成速度が遅い温
度領域で結晶成長のみを行うことを意図してなされたも
のである。
【0022】本発明においてこのように反応を2元化し
核形成を制御することによって、初めて、粒径およびS
FD制御が可能になる。すなわち従来の2元化しない成
長方法では、熱処理の初期段階で形成された核からは大
きな粒子が生まれ、逆に熱処理の後期に形成された核か
らは小さな粒子が生まれ、その結果粒度分布が広がると
考えられる。
【0023】本発明の製造方法の第一の熱処理工程にお
いて、製造条件を温度、時間、あるいは圧力などの操作
変数で規定せずに核存在状態で規定した理由は、本発明
の製造方法が、たとえばガラス結晶化法、共沈・水熱合
成法、ゾルゲル法、あるいはフラックス法など、核生成
と結晶成長とを分離可能な微粒子製造の種々の方法と材
料元素の選択との様々の組み合わせに対して有効である
ためである。すなわち、製造方法と材料元素の選択との
種々の組み合わせに対して、それぞれに異なった温度・
時間などの製造条件が無数に存在するので、操作変数で
処理条件を規定することが困難なためである。
【0024】本発明の製造方法において、核体積および
核の存在密度は以下の手順により求めることができる。
まず、核形成にあたり母相中には非常に微細な核が存在
しており、核内では磁性イオン間に交換相互作用が作用
し磁気モーメントの集団磁化過程が起こるものの、核間
には交換相互作用が働かず個々の核が個別磁化過程を示
し、かつ熱的擾乱に打勝てる充分な異方性も存在しない
というランジュバン(Langevin)型磁化過程を示してい
る。そこで、六方晶系フェライトの原料磁性イオンを含
む母相に所定の核形成処理を施したのち、解析に供する
ためその一部を試料として取りだして一旦常温常圧に戻
し、溶液状の試料は乾固させたのち、VSM(振動試料
型磁化測定装置)で試料の初磁化曲線あるいはメージャ
ー・ヒステリシスループを作製する。そして、磁化曲線
をLangevin関数にあてはめるという操作によって、核体
積、核の存在密度を求めることができる。なお、核形成
に与る磁性イオンの比率は、上記操作より求めた核の占
有体積率(=核体積×核存在密度)と、組成から求めら
れる試料中に占める磁性イオン体積との比から求めるこ
とができる。
【0025】本発明の製造方法の第一の熱処理工程にお
いては、核形成に与る原料磁性イオンの量が1〜10%
であることが好ましい。1%より少ない場合には核形成
が不十分であり、10%より多い場合には核形成が進み
すぎるため、いずれの場合も、次に如何なる結晶成長条
件を課しても磁気記録に求められる結晶サイズ範囲と粒
度分布とを得るように制御することができなくなるた
め、好ましくない。
【0026】本発明において、核体積0.5×10-20
〜9×10-20 cm3 /個、母相中の核存在密度が1×
1018〜20×1018個/cm3 という数値範囲に限定
したのは、この範囲外では、2元化反応の効果が得られ
ないからである。核体積・密度の両方あるいはいずれか
一方が上記範囲の下限より小さい場合には、充分に核が
形成されているとはいえず、余剰のフェライト構成元素
が残っており、微粒子粉の他、粗大粒子が混入すること
になるので好ましくない。同様に、上記範囲の上限より
大きい場合には、核形成が進みすぎ、次に如何なる結晶
成長条件を課しても磁気記録に適したサイズの粉を得る
ことができなくなるので、やはり好ましくない。
【0027】上記したように核形成段階を制御する第一
の熱処理工程と核を成長させる第二の熱処理工程とを組
み合わせた本発明の製造方法により、平均粒径30〜4
0nm、BET値30〜70m2 /g、SFDが0.9
以下であって、平均粒径10nm以下の粒子の存在確率
が5%以下であることを特徴とする本発明の磁性粉を容
易に得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁性粉およびその
製造方法を、実施例にしたがって説明する。磁性粉の作
製にあたっては、下記組成 BaO・Fe11Zn0.5 Τi0.5 18 の六方晶系フェライト磁性粉を、ガラス結晶化法(実施
例1〜3)、水熱合成法(実施例4,5)、およびゾル
ゲル法(実施例6,7)を用いて本発明の製造方法を実
施した。なお、本発明の製造方法は、上記方法への適用
に限定されるものではなく、核生成と結晶成長とを分離
可能な微粒子の製造方法であれば、どのような方法であ
ってもよい。
【0029】実施例1 BaO−B2 3 をガラス母相とするガラス結晶化法に
おいて、公知の方法にしたがってガラス母相成分と上記
組成のフェライトの原料成分をよく混合した後、加熱溶
融し得られた溶融物を双ロールにて急冷して、非晶質体
を作製した。なお、原料混合にあたり母相成分/フェラ
イト成分の質量比は65/35とした。
【0030】次いで、本発明の方法にしたがって、核形
成を主体とする第一の熱処理工程として500℃で30
時間の熱処理を施した。その後、第一の熱処理工程にお
ける核形成状態の確認のため一部の試料を取り出して解
析に供したところ、この熱処理条件下では、核形成に与
った磁性イオンの比率は10%、形成された核の体積は
9.0×10-20 cm3 /個、母相中の核存在密度は1
0×1018個/cm3であった。
【0031】そして、第二の熱処理工程として780℃
で2時間の熱処理を施して結晶核を成長させた。そし
て、公知の方法にしたがい洗浄処理を施してガラス母相
成分を溶解除去して、本発明の磁性粉である六方晶系フ
ェライト粉末を得た。
【0032】得られた磁性粉末の磁気特性を、VSMを
用いて調べたところ、保磁力Hcは1680 Oe、飽
和磁化量は52emu/g、SFDは0.6であった。
なお、磁性粉末のSFDは、直径4mm、厚み1mmの
非磁性セルに粉末を充填して得られる反磁界補正を施さ
ないメイジャーヒステリシスループより求めた値であ
る。 磁性粉末の粒径・形状は、倍率20万倍の透過型
電子顕微鏡像より無作為に500個の粒子を選び出して
その粒径と板厚みを測定し、それぞれの算術平均を求め
た。その結果、平均粒径は30nm、板状比は3であっ
た。なお、BET法(ガス吸着法)による比表面積の値
は、高感度面積計を用いて測定したところ、55m2
gであった。
【0033】次いで、得られた磁性粉の特性を調べるた
め、下記組成の磁性塗料を調製し、ポリエチレンテレフ
タレートフィルム上にアプリケータを用いて塗布して塗
膜を形成した。磁性塗料の調製に際しては、分散を十分
に行うため分散メディアを使用した。
【0034】<磁性塗料組成> 磁性粉末 100質量部 極性基含有ポリウレタン樹脂 5質量部 極性基含有塩化ビニル樹脂 5質量部 溶剤(メチルエチルケトン/シクロヘキサノン/トルエ
ン)300質量部 磁性塗料の塗布後、塗液が乾ききらないうちに塗膜を6
kOeの磁界中に塗膜が磁界と平行になるように配置
し、磁界内でそのまま自然乾燥させて塗膜に配向処理を
施した。
【0035】そして、得られた配向膜についてVSMを
用いて残留磁化量/飽和磁化量の比を求めて、これを配
向率としたところ75%であった。この配向した状態の
塗膜についてもSFDを測定したところ、0.3であっ
た。さらに、塗膜の磁化量を測定し、磁性粉磁化量に対
する比率を算出して、塗膜中での磁性粉の充填密度を求
めたところ、2.4g/cm3 であった。
【0036】実施例2 ガラス結晶化法において、第二の熱処理工程の温度を8
50℃でに変えた他は実施例1と同様にして六方晶系フ
ェライト粉末を製造した。得られた磁性粉末について、
実施例1と同様にして磁気特性、粒径・形状を測定し、
さらに配向膜を作製して配向率、SFDおよび磁性粉の
充填密度を測定した。以上の測定結果は、実施例1の測
定結果と併せて後出の表1に示す。
【0037】実施例3 ガラス結晶化法において、第一の熱処理工程を400℃
で10時間の熱処理に変えた他は実施例1と同様にし
て、六方晶系フェライト粉末を製造した。得られた磁性
粉末について、実施例1と同様にして磁気特性、粒径・
形状を測定し、さらに配向膜を作製して配向率、SFD
および磁性粉の充填密度を測定した。以上の測定結果
は、後出の表1に示す。
【0038】実施例4 水熱合成法において、フェライトを構成する元素を含む
金属塩溶液を、50℃で当量の2倍量の苛性ソーダの投
入により共沈させた。そののち、オートクレーブにおい
て第一の熱処理工程として110℃で40分間の熱処理
を施して水熱合成させ、核を形成させた。なお、共沈物
を入れた容器とオートクレーブ容器との間には水を入れ
て、水熱合成を行った。
【0039】次いで、洗浄を繰り返してNa+ イオンを
除去した後、第二の熱処理工程として750℃に維持さ
れている炉中で45分間の熱処理を施して結晶核を成長
させた。そして本発明の磁性粉である六方晶系フェライ
ト粉末を得た。なお、第一の熱処理工程における核形成
の状態を確認するためには、洗浄によりNa+ イオンを
除去した試料を真空乾燥することにより得た。
【0040】得られた磁性粉末について、実施例1と同
様にして磁気特性、粒径・形状を測定し、さらに配向膜
を作製して配向率、SFDおよび磁性粉の充填密度を測
定した。以上の測定結果は、後出の表1に示す。
【0041】実施例5 水熱合成法において、第一の熱処理工程としてオートク
レーブにおける熱処理温度を150℃に変えた他は実施
例4と同様にして、本発明の磁性粉である六方晶系フェ
ライト粉末を得た。得られた磁性粉末について、実施例
1と同様にして磁気特性、粒径・形状を測定し、さらに
配向膜を作製して配向率、SFDおよび磁性粉の充填密
度を測定した。以上の測定結果は、後出の表1に示す。
【0042】実施例6 ゾルゲル法において、フェライト成分を含む金属アルコ
キシド、および母相成分にあたるBaとBとを含有する
アルコキシド混合液を、撹拌しながら水を加えて加水分
解反応させゾル状試料を得た。なお、フェライト成分/
母相成分の重量比は65/35とした。このとき、アル
コキシド混合液にはゾル化に対する反応抑制剤として酢
酸を添加し、第一の熱処理工程として、60℃で相対湿
度60%の環境下で72時間撹拌放置して、これをさら
に熟成し、核を含んだゲル状試料とした。核の生成の様
子を知るためにこのゲル中の溶媒を真空乾燥により除去
し解析に供した。
【0043】次いで、核を含んだゲル状試料に対し第二
の熱処理工程として、580℃に維持されている炉中に
30分間保持して乾燥および熱処理を行って、核を成長
させたのち、母相成分を除去して本発明の磁性粉である
六方晶系フェライト粉末を得た。
【0044】得られた磁性粉末について、実施例1と同
様にして磁気特性、粒径・形状を測定し、さらに配向膜
を作製して配向率、SFDおよび磁性粉の充填密度を測
定した。以上の測定結果は、後出の表1に示す。
【0045】実施例7 ゾルゲル法において、第一の熱処理工程の撹拌時間を1
68時間に変えた他は実施例6と同様にして、本発明の
六方晶系フェライト粉末を得た。得られた磁性粉末につ
いて、実施例1と同様にして磁気特性、粒径・形状を測
定し、さらに配向膜を作製して配向率、SFDおよび磁
性粉の充填密度を測定した。以上の測定結果は、次の表
1に示す。
【0046】
【表1】 次に、比較例として、本発明の製造方法にしたがわずに
六方晶系フェライト磁性粉末を製造した。得られた磁性
粉末について、実施例1と同様にして磁気特性、粒径・
形状を測定し、さらに配向膜を作製して配向率、SFD
および磁性粉の充填密度を測定した。以上の測定結果
は、後出の表2に示した。
【0047】比較例1 第一の熱処理工程を省略した他は実施例1と同様にし
て、六方晶系フェライト磁性粉末を製造した。第一の熱
処理工程を省略したため、核形成時の存在状態は調べて
いない。
【0048】比較例2 第一の熱処理工程における熱処理温度を600℃に変え
た他は実施例1と同様にして、六方晶系フェライト磁性
粉末を製造した。
【0049】比較例3 第一の熱処理工程を100℃で10分間の熱処理に変え
た他は実施例4と同様にして、六方晶系フェライト磁性
粉末を製造した。
【0050】比較例4 第一の熱処理工程において熱処理温度を200℃に変え
た他は実施例4と同様にして、六方晶系フェライト磁性
粉末を製造した。
【0051】比較例5 第一の熱処理工程として、撹拌時間を50時間に変えた
他は実施例6と同様にして、六方晶系フェライト磁性粉
末を製造した。
【0052】比較例6 第一の熱処理工程として、相対湿度を90%に変え撹拌
時間を168時間に変えた他は実施例6と同様にして、
六方晶系フェライト磁性粉末を製造した。
【0053】
【表2】 表1および表2の比較からも明らかなように、第一の熱
処理工程の条件を選択することによって、形成される核
の存在状態を制御することが可能であり、核の存在状態
を規定するようにした本発明の方法によって製造される
六方晶系フェライト磁性粉末は、粒度分布の小粒径側の
分布の裾野がカットされており、SFDの広がりも抑え
られている。そして、本発明の製造方法で得られた磁性
粉末を用いて作製した配向膜は、磁性粉の充填密度も配
向率もともに高いことが判明した。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
SFDの広がりが抑えられかつ塗膜中で充填性・配向性
が阻害されることがなく高密度記録用の塗布型磁気記録
媒体に適した磁性粉と、その製造方法が提供可能であ
る。
【0055】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が30〜40nm、BET法に
    よる比表面積値が30〜70m2 /g、SFDが0.9
    以下であって、平均粒径10nm以下の粒子の存在確率
    が5%以下であることを特徴とする六方晶系フェライト
    磁性粉。
  2. 【請求項2】 母相から六方晶系フェライト磁性イオン
    の結晶核を析出させる第一の熱処理工程と、析出した結
    晶核を成長させる第二の熱処理工程とからなり、かつ前
    記第一の熱処理工程において、前記原料磁性イオンの1
    〜10%が結晶核形成に与って、核体積0.5×10
    -20 〜9×10-20 cm3 /個の結晶核が、前記母相中
    に1×1018〜20×1018個/cm3 の存在密度で分
    散した状態で析出するようにしたことを特徴とする六方
    晶系フェライト磁性粉の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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