JPH0986906A - 機能性薄膜用機能性酸化物粉末の製造方法 - Google Patents

機能性薄膜用機能性酸化物粉末の製造方法

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JPH0986906A
JPH0986906A JP234096A JP234096A JPH0986906A JP H0986906 A JPH0986906 A JP H0986906A JP 234096 A JP234096 A JP 234096A JP 234096 A JP234096 A JP 234096A JP H0986906 A JPH0986906 A JP H0986906A
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functional
glass
powder
oxide
oxide powder
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JP234096A
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Osamu Kubo
修 久保
Hajime Takeuchi
肇 竹内
Satoru Hagiwara
哲 萩原
Kazufumi Nakano
和史 中野
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Toshiba Corp
AGC Techno Glass Co Ltd
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分散性がよく粒度分布の幅が狭く塗布による
機能性薄膜の作製に適した各種機能性酸化物粉末を、よ
り容易に作製できる製造方法を提供する。 【解決手段】 機能性酸化物粉末の構成元素を含む原料
成分とガラス形成成分とを混合して加熱溶融し、得られ
た溶融物を急冷して非晶質体を作製し、次いでこの非晶
質体に熱処理を施してガラス母相に機能性酸化物の微結
晶を析出させた後、洗浄処理を施してガラス母相を溶解
し機能性酸化物粉末を分離抽出し、ガラス形成成分とし
て、(イ)一般式R2 O(ただし、RはNaおよびΚの
中から選択される少なくとも1種の元素を表す。)で示
される塩基性酸化物と、(ロ)B23 およびP2 5
の中から選択される少なくとも1種の酸性酸化物を用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種機能材料のう
ち、たとえば電磁変換機能、磁気光学機能、高透磁率機
能、誘電機能、紫外線遮蔽機能、導電機能、あるいは帯
電防止機能など各種の機能を有する酸化物の粉末、いわ
ゆる機能性酸化物粉末を製造する方法に係わり、さらに
詳しくは、塗布による機能性薄膜の形成に適した機能性
酸化物粉末を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、機能材料とはある物理量を他の
物理量に変える変換材料として知られ、その材料にある
物理量たとえば光を入力すると、材料中で物理量の変換
が行われ、他種の物理量たとえば磁気が出力される。種
々の材料をこのような機能という観点から取り上げた一
般的な解説書も多く、たとえば、『機能性材料入門上下
巻』(本間基文、北田正弘共著、株式会社アグネ発
行)、『機能性含ふっ素高分子』(里川孝臣著、日刊工
業新聞社発行)、あるいは『機能性“塗料”』(鳥羽山
満著、株式会社工業調査会発行)などがあげられる。
【0003】このような機能を有する材料群のうち、た
とえば、すぐれた電磁変換機能を有し垂直磁気記録方式
により高密度記録に適した六方晶系フェライト磁気記録
媒体用磁性粉末、カー回転角が大きくすぐれた光磁気機
能を有する希土類鉄ガーネット(YIG)、高透磁率あ
るいは高周波低損失機能を有するスピネルフェライト、
誘電特性を有するチタン酸バリウムやチタン酸ストロン
チウム、あるいは紫外線吸収機能を有する酸化亜鉛など
の、各種酸化物群が知られている。このような特別の機
能、たとえば電磁変換機能、磁気光学機能、高透磁率機
能、誘電機能、紫外線遮蔽機能、導電機能、あるいは帯
電防止機能などの各種機能を有する酸化物を、以下文中
では機能性酸化物と称する。
【0004】ところで、この機能性酸化物のような機能
性材料からなる薄膜を支持体上に形成しその機能を発揮
させるようにした、いわゆる機能性薄膜は、たとえば各
種集積回路や記録媒体など電子産業上大変重要である
が、従来はスパッタ法や蒸着法で形成されることが多
く、製造コストの面で難点があった。そこで、従来のス
パッタや蒸着により形成される膜と同等性能を有する機
能性薄膜を、塗布など他の方法により形成することが試
みられ、一部である程度の成果を得ている。
【0005】たとえば、機能性酸化物粉末の一種である
磁気記録媒体用磁性粉末をバインダ中に分散させて塗料
化し、支持体上に塗布することにより磁性の薄膜を形成
して磁気記録媒体としたものは、量産性も高く品質もす
ぐれるなどの特長を有しており、工業化が進んでいる。
【0006】このような磁気記録媒体用磁性粉末として
は、たとえば六方晶系フェライトは粒径0.01〜0.
3μmの範囲内のものが多用されており、粒径がこの範
囲にあれば、面内磁気記録方式に対する垂直磁気記録方
式の優位性が明らかになる記録波長1μm 以下の領域に
おいて、十分な記録・再生が行われる。
【0007】磁気記録媒体に用いられる磁性粉は、通
常、その保磁力が200〜3000Oeの範囲内にある
ことが好ましいとされている。保磁力がこの範囲を越え
高すぎると記録時にヘッド磁界が飽和し、低すぎると記
録信号の保持が不可能となるからである。そこで、六方
晶系フェライト磁性粉末の場合には、通常、結晶を構成
する原子の一部が特定の他の原子で置換され保磁力が上
記範囲にあるよう制御されて使用される。
【0008】また、記録密度の高いすぐれた磁気記録媒
体を作製するためには、使用する磁性粉の粒径や保磁力
が上記範囲内にあるだけでなく、その磁化が大きく粒度
分布の幅が狭くSFDが小さいこと、さらには塗料化に
際して分散性の良好なことなども要求される。そのよう
な磁性粉を使用することにより、S/Nの高い媒体が得
られるからである。
【0009】なお、SFD(Switching Field Distribu
tion)とは、試料に磁場をかけてその残留磁化(σr)
を測定して磁化曲線を作成し、第2象限の磁化曲線にお
ける微分曲線(dσ/dH)の半値幅を、この磁性粉末
の保磁力Hcの値で除した値と定義され、保磁力Hc近
傍での磁化曲線の勾配を表している。このSFDは、磁
性粉末の保磁力分布の広がりを示すパラメータとして知
られ、一般にこの値が小さいほど短波長特性が伸びると
言われている。
【0010】ところで、従来より上記の機能性酸化物粉
末のー般的な製法として、共沈法が知られている。この
共沈法は、酸化物粉末を構成する元素を含む水溶液にア
ルカリを混合して共沈物を得、それを高温で焼成するこ
とによって、所望の機能性酸化物粉末を得るという方法
である。
【0011】しかしながら、この共沈法においては、共
沈物を得るために高価なアルカリを高濃度に使用するこ
と、また、得られた共沈物を焼成する前にアルカリを除
去する必要があり、この洗浄工程に時間がかかることな
ど、製造コストの面で難点があった。さらには、共沈物
を高温で焼成し反応成長させる過程で一部粒子が部分的
に焼結凝集するため、多くの場合焼成後に破砕の工程が
必要となるだけでなく、破砕により得られた酸化物粉末
には、分散性があまりよくないという難点があった。
【0012】ところで、機能性酸化物粉末の一種である
六方晶系フェライト磁性粉末を製造する方法の一つとし
て、ガラス結晶化法が知られている。この方法は、六方
晶系フェライト基本成分、保磁力低減化のための置換成
分およびガラス形成成分・修飾成分を含む原料混合物を
加熱溶融し、得られた溶融物を急速冷却して非晶質体を
作製し、次いでこの非晶質体に熱処理を施してガラス母
相中に六方晶系フェライト結晶を析出させ、洗浄処理を
施して母相を溶解して結晶を抽出するという4段階の工
程からなっている。この方法では、溶融物を急冷するこ
とにより高温の均質な状態過冷却しているので、再加熱
に際し結晶核が母相中に均一に生成し成長し、微粒子化
が容易であり粒度分布の幅も狭い。また、個々の粒子が
ガラス母相により分離されているため、共沈法に比べて
分散性の良好な粒子が得られることが知られている。
【0013】このガラス結晶化法においてはガラス形成
成分として、通常、酸性酸化物としてB2 3 および塩
基性酸化物としてAO(AはBa、Sr、CaおよびP
bの中から選択される少なくとも1種の元素を表す。以
下文中で同じ意味に使用)、あるいはホウ酸ナトリウム
とAO成分の混合系が用いられることが多い。通常、水
に溶けにくいAO成分が、六方晶系フェライトを化学量
論的に析出させる比率より過剰に含まれるような割合
に、原料配合される。そのため、ガラス母相からの磁性
粉末の抽出工程において、上記ガラスを溶解する際に、
酸もしくは熱水による長時間に亘る洗浄を必要としてい
る。一般には、磁性粉末と反応しない酸たとえば酢酸な
どの弱い酸を用いて、酸洗浄が行われることが多い。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガラス
形成成分としてB2 3 およびAOを用いて上記従来の
ガラス結晶化法により製造された六方晶系フェライト磁
性粉末は、共沈法によるものよりは粒度分布の幅が狭い
が、それでも未だ十分に狭いとはいえず、保磁力分布を
表すSFDも大きいという難点があった。とくに、ホウ
酸ナトリウムとAO成分の混合系を用いた場合には、溶
融の不均一が起こり易いため、非晶質体中の原子分布に
偏りが生じて、粒度分布の広がりやSFDの増大が一層
起こり易く、その結果、ロット間の特性がバラツキ易い
という難点もあった。
【0015】また、磁性粉末の抽出工程において酸洗浄
を行なった場合には、磁性粉末と反応をしないような種
類の酸を用いたとしても、磁性粉末の表面状態は酸によ
る攻撃を受けて微妙に変化する。その結果として、抽出
された磁性粉末の磁化の低下が引き起こされていた。こ
のように、ガラス結晶化法により得られる六方晶系フェ
ライト磁性粉の磁化は、その元素組成や結晶構造から予
想されるほど大きくないという難点があった。
【0016】本発明は、各種機能性酸化物粉末の従来の
製造方法の難点を解消するために成されたものであり、
機能性酸化物粉末の一種である磁気記録媒体用磁性粉末
の一製法として知られるガラス結晶化法に着目し、さら
にその従来のガラス結晶化法の難点を解消して成された
ものである。すなわち、分散性がよく粒度分布の幅が狭
く塗布による機能性薄膜の作製に適した各種機能性酸化
物粉末を、より容易に作製できる製造方法を提供するこ
とを、その目的とする。とくに機能性酸化物粉末が磁気
記録媒体用の六方晶系フェライト磁性粉末である場合に
おいては、分散性がよく粒度分布の幅が狭いだけでな
く、SFDが小さく磁化も大きいすぐれた磁性粉末を容
易に製造し得る方法を提供することを、そのさらなる目
的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の機能性薄膜用機
能性酸化物粉末の製造方法は、機能性酸化物粉末の構成
元素を含む原料成分とガラス形成成分とを混合して加熱
溶融し、得られた溶融物を急冷して非晶質体を作製し、
次いでこの非晶質体に熱処理を施してガラス母相に機能
性酸化物の微結晶を析出させた後、洗浄処理を施してガ
ラス母相を溶解し機能性酸化物粉末を分離抽出するよう
にしたこと、さらには前記ガラス形成成分が、下記
(イ)および(ロ)を含むようにしたことを特徴として
いる。
【0018】(イ)一般式R2 O(ただし、RはNaお
よびΚの中から選択される少なくとも1種の元素を表
す。)で示される塩基性酸化物 (ロ)B2 3 およびP2 5 の中から選択される少な
くとも1種の酸性酸化物 本発明において、ガラス形成成分(イ)の塩基性酸化物
としては、実質的にはNa2 Oおよび/またはΚ2 Oが
使用可能である。ガラス修飾イオンとしてはたらくR
を、NaやΚと同族のアルカリ金属元素の1つであるL
iとしたLi2 Oは、得られる酸化物粉末の粒度分布を
広げるだけでなく副生成物を生成する傾向もあるため、
好ましくない。本発明においてRは、Naおよび/また
はΚであることが好ましい。
【0019】本発明において、ガラス形成成分(ロ)の
酸性酸化物としては、酸化ホウ素あるいは酸化リンが使
用可能である。形成されるガラス母相は、アルカリホウ
酸ガラスもしくはアルカリリン酸ガラスとなる。これら
のガラス系は、他のガラス系に比較して融点が低いため
原料混合物を低温で溶解できるだけではなく、水溶性で
あるため、酸あるいはアルカリを用いなくとも水洗によ
り簡単に溶解除去し得る。酸あるいはアルカリにより洗
浄を行った場合は、これらにより粉末表面がダメージを
受けることになって粉末の機能性が低下すると考えられ
る。なお、本発明に係わる上記ガラス系はアルカリを含
んではいるものの、それはアルカリホウ酸化合物もしく
はアルカリリン酸化合物として存在する。したがって、
アルカリを粒子表面に強固に吸着させる共沈法と比較し
て、アルカリの洗浄除去が容易である。その結果、酸化
物粒子の分離抽出が簡単にできることになって、工業的
には製造コストの面で非常に有利となる。
【0020】ただし、酸性酸化物として酸化リンを用い
たアルカリリン酸ガラスの場合には、析出する結晶の種
類が多く、目的とする機能性酸化物結晶が単相で得られ
るガラス組成範囲が狭いので、工業的には(ロ)の酸性
酸化物として酸化ホウ素を用いたアルカリホウ酸系ガラ
スを母相とすることが好ましい。
【0021】本発明において、(ロ)の酸性酸化物とし
て酸化ホウ素を用いた場合、(イ)の塩基性酸化物と
(ロ)酸化ホウ素のガラス形成成分中のモル比率は、特
定の数値の範囲内にあることが望ましい。具体的には、
(イ)の塩基性酸化物のモル分率をr、(ロ)のB2
3 のモル分率をbとしたとき、(イ)に対する(ロ)の
モル比率b/rが、0.8以上1.25以下であること
が望ましい。この範囲を外れると、粒度分布が広がるだ
けではなく、目的とする酸化物微粒子以外の結晶が析出
しやすくなるため、好ましくない。
【0022】ところで、本発明が成されるにあたって、
抽出した機能性酸化物粉末に目的とする機能と分散性を
十分に付与するためには、粉末状態におけるガラス母相
成分の水への溶出量を適切に制御することが重要である
ことが判明した。すなわち、機能性酸化物粉末が洗浄さ
れ分離抽出されたとき、得られた粉末から水へのガラス
母相成分の溶出量がある特定の数値範囲内にある場合に
は、その粉末の分散性は良好となり、その粉末を使用す
ることにより高度に分散された塗膜が得られる。溶出量
がある特定の数値範囲を越えるように洗浄された場合、
いいかえれば、ガラス母相成分がある特定の数値範囲を
越えて粉末表面に残っていると、得られた粉末の分散性
は阻害される。一方、過度の洗浄による溶出量の低減
も、また分散性を阻害する。このような現象が起こる理
由は未だ明らかではないが、粉末表面における適量のガ
ラス母相成分の存在が粉末の分散性に寄与しているので
はないかと考えられる。また、ガラス母相成分の溶出量
を過度に低減させた場合には、溶媒が粉末表面自体まで
侵食するために、粉末の有用な機能(たとえば磁性粉の
磁化あるいは紫外線吸収能)が低下するのだと考えられ
る。なぜならば、粉末の場合は塊に比較して、全体積中
に占める表面部分の割合が大きいため、表面の結晶構造
の欠陥は顕著に粉末機能を低下させるからである。
【0023】本発明において、ガラス母相成分の水への
溶出量は10〜1000ppmの範囲内が好ましい。な
お、本発明におけるガラス母相成分の溶出量は、以下の
ように定義される。まず、機能性酸化物粉末25gを2
50gの水に加え、15分間で20℃から100℃まで
昇温させる。そして、それを室温まで冷却した後、濾過
を行って上澄み液を抽出し、その中のガラス母相成分の
含有量を調べる。そして、それをガラス母相成分の溶出
量とする。この溶出量は、上澄み液中の下記との合計で
ある。
【0024】(イ)一般式R2 O(ただし、RはNaお
よびΚの中から選択される少なくとも1種の元素を表
す。)で示される塩基性酸化物と、(ロ)B2 3 およ
びP2 5 の中から選択される少なくとも1種の酸性酸
化物との合計量である。ガラス母相がホウ酸ナトリウム
の場合は、上澄み液中のNa2 OとB2 3 の含有量の
合計となる。
【0025】ガラス結晶化法による本発明においては、
機能性酸化物粉末の構成元素を含む原料成分とガラス形
成成分を混合して加熱溶融急冷して非晶質体とすること
により、機能性酸化物粉末を構成する元素は非晶質体中
にてイオン化する。この非晶質体を熱処理することによ
り、イオンの拡散が可能となり、ガラス母相中に機能性
酸化物粉末が析出する。この機能性酸化物の微結晶を析
出させる温度、すなわち結晶化温度を変化させることに
よって、得られる機能性酸化物粉末の粒子の大きさが制
御可能である。本発明においては、10nmから数μm
までと、従来の製法である共沈法よりもかなり広い範囲
に粒径を変化させることができる。同時に、粒度分布も
狭い状態を維持することができる。また、個々の酸化物
粒子がガラス母相にて分離されているため、粒子間の焼
結が起こりにくく、分散性が良好な機能性酸化物粉末が
得られる。したがって、これらの粉末は、合成樹脂など
のバインダ中に分散させて塗料化し塗布により機能性膜
を作製するためには、好適な材料となる。
【0026】本発明において、所望の機能性酸化物粉末
の粒子をガラス母相から結晶化させるためになされる熱
処理温度は、目的とする粒径によって異なるが、概ね4
00℃から1000℃の範囲が好ましい。そして、所定
の熱処理温度に至るまでの昇温速度は、熱処理温度と同
様に粒子の粒径に影響を及ぼすため、目的とする粒径に
よって適切な制御をする必要があるが、概ね10〜10
00℃/hの範囲であることが望ましい。熱処理に際し
ては、たとえば400〜600℃程度の温度でまず結晶
核の生成を行い、次いで600℃より高い温度で粒成長
させるという二段熱処理も、有効な方法である。
【0027】なお、熱処理後のガラス母相から酸化物粉
末の微結晶を分離抽出するために洗浄処理を行う際に
は、熱処理後の結晶化物を予め粉砕しておくことが好ま
しい。粉砕によって表面積を大きくしておくことによ
り、洗浄効率が上がり効果的である。粉砕の粒度は、1
00μm以下とすることがより好ましい。
【0028】なお、本発明の製造方法を適用可能な機能
性酸化物粉末は広範であり、とくにに特定の種類に限定
されるものではないが、六方晶系フェライトをはじめと
して、スピネルフェライト(高透磁率、高周波低損
失)、希土類鉄ガーネット(光磁気)、チタン酸バリウ
ムあるいはチタン酸ストロンチウム(誘電)、酸化亜鉛
(紫外線吸収)、スズ含有酸化インジウム(導電)、ア
ンチモン含有酸化スズ(帯電防止)などの各種機能性酸
化物粉末の作製に有効である。
【0029】本発明において、機能性薄膜が磁気記録媒
体の磁性層であり機能性酸化物粉末が六方晶系フェライ
ト磁性粉末である場合には、ガラス形成成分の中に、塩
基性酸化物として(イ)の一般式R2 O(ただし、Rは
NaおよびΚの中から選択される少なくとも1種の元素
を表す。)で示される塩基性酸化物の他に、一般式AO
(ただし、AはBa、Sr、Pb、あるいはCaの中か
ら選択されるいずれか1種の元素)で表される塩基性酸
化物がある程度量含まれていてもよい。この場合には、
(イ)塩基性酸化物のモル分率として、rにAOのモル
分率aを加えたものを相当させるとともに、aとrとの
比率を0≦a/r≦0.2とすることが好ましい。
【0030】本発明の製造方法に係わるガラス組成は、
従来組成に比較してAO成分の含有量が少なく基本的に
水溶性のため、ガラス母相から磁性粉を抽出する場合、
従来のような酸もしくは熱水を用いなくとも、温水もし
くは常温水にて十分洗浄可能となる。すなわち、洗浄処
理が常温水を用いて実施可能なことは、本発明のさらな
る特徴である。なお、b/(a+r)とa/rの値が本
発明の範囲を越えた場合には、粒度分布の広がりが大き
く、また飽和磁化やSFDなどの磁気特性も劣化する。
さらにガラス母相の水溶性も損なわれるので好ましくな
い。
【0031】機能性酸化物粉末が六方晶系フェライト磁
性粉末である場合、熱処理温度は800℃未満であるこ
とがより好ましい。800℃以上の場合には、磁性粉末
が粗大化したりガラスが溶融することにより磁性粉末と
ガラスとの分離が困難となり、水洗による磁性粉末の抽
出が困難となるため好ましくない。
【0032】なお、本発明の方法により製造される六方
晶系フェライト磁性粉は、たとえば次の一般式 AO・n(Fe12-x-yx y 18−α) {ただし、AはBa、Sr、Pb、Caより選択される
少なくとも1種の元素、BはCo,Ni、Cu、Zn、
Mn、Mg、Cdより選択される少なくとも1種の元
素、CはTi、Ge、Sn、Zr、Ir、Nb、Sb、
Ta、V、Mo、Wより選択される少なくとも1種の元
素を表す。xは0〜3.0の数値、yは0〜2.0の数
値、nは0.8〜3.0の数値をそれぞれ表し、かつx
≧y、α=[x+(3−m)y]/2(mはC元素の平
均原子価)の関係を満たす。}で表すことができる。
【0033】この磁性粉組成において、置換量xあるい
はyが上記範囲を越えて大きくなると保磁力が小さくな
りすぎて、高密度記録が不可能となる。nが0.8を下
回るとBaFe2 4 などのBaフェライト以外の非磁
性結晶が析出し、3.0を越えると粒度分布が悪化し、
一軸磁気異方性も失われるため、好ましくない。
【0034】本発明においては、ガラス結晶化法による
六方晶系フェライトの製造原料として、水に解けにくい
AO成分を、六方晶系フェライトを化学量論的に析出さ
せる比率で含み、ガラス形成成分にはほとんど含まれな
いようにすることにより、作製される磁性粉の粒度分布
の幅が、従来のガラス組成系の場合に比較して狭くな
る。したがって、磁化低減の一因である超微粒子の含有
量が減少するため、磁性粉の磁化も向上する。
【0035】このように、水に解けにくいAO成分を、
ガラス形成成分にはほとんど含まれないようにすること
により、母相のガラス組成を水溶性とすることができ
る。したがって、母相から磁性粉を抽出する場合、従来
のような酸もしくは熱水による洗浄を必要とせず、温水
もしくは常温水にて十分洗浄可能となる。酸洗浄の場合
に比較し、磁性粉表面が酸でアタックされないため、作
製される磁性粉の磁化がさらに向上する。母相のガラス
組成を水溶性とすることにより、原料の溶融温度やガラ
スの結晶化温度を下げられるようになる。そのため、粗
大粒子の発生を抑えられるので粒度分布の幅をより狭く
することができる。
【0036】本発明の機能性酸化物の製造方法におい
て、混合した原料成分は1300℃未満の温度で溶融さ
れることが好ましい。これ以上の温度になると、ガラス
の揮発が激しくなるため好ましくない。溶融物を急冷す
る手段としては、一般に使用されている金属製双ロール
などの装置の使用の他に、溶融物を水中滴下するなどの
方法も採用可能である。
【0037】さらに、本発明においては、機能性酸化物
粉末の各構成元素を含むそれぞれの酸化物もしくは炭酸
化合物を原料として用いるようにしてもよい。2種以上
の元素を含む化合物を予め合成しておいて、その化合物
をガラス形成物質と混合するようにしてもよい。ガラス
形成成分としては、AO、B2 3 、およびR2 Oのよ
うに各必須成分ごとの化合物を混合して原料として用い
ることが好ましい。そのようにすることによって、混合
物の溶融が均一に進行し易くなり、原子分布の偏りのな
い非晶質体が得られる。その反対に、たとえばR2 4
7 のように2種以上の元素を含む化合物を予め合成し
ておいて用いた場合には、溶融の進行が不均一になり易
いため、あまり好ましくない。
【0038】本発明において、機能性酸化物を構成する
各元素の酸化物としての総和は、全元素の酸化物として
の総和に対し5〜70モル%が好ましい。5モル%未満
では、収率が小さいので工業上好ましくなく、70モル
%を越えると非晶質化が困難になる。
【0039】本発明に係わる機能性酸化物粒子の製造方
法においては、酸化物を形成する成分およびガラス相成
分を、加熱溶融させた後急冷して非晶質化するにあた
り、ガラス母相としてアルカリほう酸もしくはアルカリ
リン酸ガラスを用いることによって、粒度分布が急峻な
酸化物粉末が得られるようになる。そればかりではな
く、粉末におけるガラス母相成分の溶出量を適正化する
ことにより、粉末に十分な機能と分散性を付与できる。
さらに本ガラス系を用いた場合には低温溶融が可能とな
るばかりではなく、ガラスが水溶性のため、ガラスから
の酸化物の抽出が容易となる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を、実
施例にしたがって詳細に説明する。まず、機能性酸化物
粉末として六方晶系フェライト磁性粉についての実施
例、および比較例について説明する。これらの実施例お
よび比較例において原料として使用したガラス形成成分
の組成は、後出の表1にまとめて示した。
【0041】実施例1 下記組成の六方晶系フェライト磁性粉の作製にあたり、
Baフェライト基本成分と、保磁力低減化のための置換
成分と、ガラス形成成分とを所定量秤量混合した。
【0042】 BaO・1.0(Fe10.8Co0.2 Zn0.6 Nb0.4 18) なお、フェライトの基本成分と置換成分とを合わせたフ
ェライト原料成分は、40モル%となるように秤量し
た。ガラス形成成分としては、H3 BO3 とNa2 CO
3 とを、b/(a+r)=1、a/r=0の2式を満た
すbモル%のB23 およびrモル%のNa2 Oが含ま
れるように秤量して使用した。
【0043】上記したように秤量した原料混合物を12
50℃にて溶融の後、双ロールを用いて圧延急冷して、
フレーク状の非晶質体を得た。得られた非晶質体に、7
00℃にて5時間の熱処理を施して、六方晶系フェライ
トを析出させた。結晶化後のガラスを、80℃の10%
酢酸溶液にて洗浄し、磁性粉以外のガラス成分を溶解除
去した後、pH5.5以上になるまで20℃の温水にて
繰り返し洗浄し、その後乾燥して、Baフェライト磁性
粉を得た。
【0044】上記した実施例2 ガラス形成成分を、aモル%のBaO、bモル%のB2
3 、およびrモル%のNa2 Oとから成るようにし
て、b/(a+r)=0.9、a/r=0.15を満た
すように秤量した他は実施例1と同様にして、Baフェ
ライト磁性粉を得た。
【0045】実施例3 六方晶系フェライト磁性粉の組成を下記に示す BaO・1.0(Fe11.25 Zn0.5 Nb0.2518) とし、ガラス形成成分を、bモル%のB2 3 、(r/
2)モル%のNa2 Oおよび(r/2)モル%のK2
とから成るようにして、b/(a+r)=1、a/r=
0を満たすように秤量した他は実施例1と同様にして、
Baフェライト磁性粉を得た。
【0046】実施例4 磁性粉の洗浄処理を20℃の常温水のみを用いた繰り返
し洗浄とした他は、実施例1と同様にしてBaフェライ
ト磁性粉を得た。
【0047】比較例1 ガラス形成成分を、aモル%のBaO、bモル%のB2
3 、およびrモル%のNa2 Oとから成るようにし
て、b/(a+r)=1、a/r=0.5を満たすよう
に秤量した他は、実施例1と同様にしてBaフェライト
磁性粉を作製した。
【0048】比較例2 ガラス形成成分を、bモル%のB2 3 、およびrモル
%のNa2 Oとから成るようにして、b/(a+r)=
0.7、a/r=0を満たすように秤量した他は、実施
例1と同様にしてBaフェライト磁性粉を作製した。
【0049】比較例3 六方晶系フェライト磁性粉組成を下記に示すようにBa
O・1.0(Fe11.25 Zn0.5 Nb0.2518)とし、ガラ
ス形成成分を、aモル%のBaO、bモル%のB
2 3 、(r/2)モル%のNa2 Oおよび(r/2)
モル%のK2 Oとから成るようにして、b/(a+r)
=1、a/r=0.5を満たすようにした他は実施例1
と同様にして、Baフェライト磁性粉を得た。
【0050】比較例4 磁性粉の洗浄処理を20℃の常温水のみを用いた繰り返
し洗浄とした他は、比較例1と同様にしてBaフェライ
ト磁性粉を得た。
【0051】比較例5 熱処理温度を800℃とした他は実施例1と同様にし
て、磁性粉を得た。
【0052】表1には、上記実施例および比較例におけ
るガラス形成成分の組成が示されている。表1におい
て、a、b、およびrの単位はそれぞれモル%である。
【0053】
【表1】 さらに、これらの方法により得られた磁性粉について磁
気的諸特性を測定し、その結果を表2に示した。なお、
磁気特性の測定は、振動試料型磁力計(VSM)にて行
った。保磁力および飽和磁化は10kOeでの値であ
る。SFDは、磁性粉を円盤状(直径/厚み=10)に
かためた試料の板面に平行な方向に磁場を加えた時の磁
化曲線の第2象限における微分曲線をもとめ、その半値
幅と保磁力の比として求めた。また粒子形状は、透過電
子顕微鏡写真から求め、粒度分布は、粒子の分布が正規
対数分布に従うことから幾何標準偏差を求めることで調
べた。
【0054】
【表2】 表1および表2からも明らかなように、本発明によれ
ば、Baフェライト磁性粉の粒度分布の幅が狭く改善さ
れており、その結果磁性粉磁化の向上およびSFDの低
減化が実現される。
【0055】なお、比較例1と比較例4から明らかなよ
うに、ガラス組成が本発明よりもAO成分を過剰に含む
ようにした従来の製造方法においては、水洗浄を行った
場合には磁化の低下が顕著にみられる。これは、抽出さ
れた磁性粉にAO成分が残存しているためと考えられ
る。一方、実施例1と実施例4から明らかなように、本
発明においては、水洗浄により磁性粉の抽出を行った方
が、酸溶液による洗浄を行った場合よりも磁化の向上が
認められた。
【0056】次いで、六方晶系フェライト磁性粉以外の
機能性酸化物に関する実施例および比較例について説明
する。
【0057】実施例5 軟磁性特性を示す下記組成のNiZnスピネルフェライ
ト磁性粉末の作製にあたり、機能性酸化物を構成する元
素を含む原料としてNiOを10モル%、ZnOを10
モル%、Fe2 3 を20モル%、そして、ガラス形成
成分としてNa2 Oを30モル%およびB2 3 を30
モル%、すなわちb/r=1となるようにそれぞれ所定
量秤量混合した。
【0058】Ni0.5 Zn0.5 Fe2 4 この原料混合物を1250℃にて溶融の後、金属製双ロ
ールにて圧延急冷して、フレーク状の非晶質体を得た。
次いでこの非晶質体に750℃にて4時間の熱処理を施
して結晶化させた後、これを粉砕機にて粉砕し、水で撹
拌しながら繰り返し洗浄して磁性粉末を得た。得られた
磁性粉末はx線回折および組成分析の結果、Ni0.5
0.5 Fe2 4 を有する単相のNiZnスピネルフェ
ライトであることが確認された。次いでこの磁性粉末に
おけるガラス母相成分の溶出量を測定し、またこの結晶
の粒度特性を7万倍の透過型電子顕微鏡写真にて調べ
た。
【0059】次いで、この粉末を用いて下記組成の磁性
塗料を調製した。
【0060】<塗料組成> NiZnフェライト磁性粉末 100重量部 スルホン化塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂10重量
部 分散剤(レシチン) 3重量部 研磨剤(Al2 3 ) 2重量部 潤滑剤(ステアリン酸/ステアリン酸ブチル)2重量部 硬化剤(コロネート) 4重量部 メチルエチルケトン 40重量部 トルエン 40重量部 シクロヘキサノン 40重量部 磁性塗料の調製にあたり、上記材料組成物をサンドグラ
インダにて5時間混練した。得られた塗料を、ギャップ
幅30μmのアプリケータを用いて厚さ9μmのポリエ
チレンテレフタレートフィルム上に塗布して、機能性薄
膜を形成した。この塗膜における磁性粉末の分散度を調
べるため、日本電色社製の光沢度計(入反射角度60
度)を用いて、塗膜の光沢を測定した。さらに、得られ
た磁性粉および塗膜の磁化の値をVSM(振動試料型磁
化測定装置)にて測定した。得られた磁性粉の粒度特性
は、日立電子社製の透過型電子顕微鏡を用いて調べた。
【0061】実施例6 磁気光学効果機能にすぐれるイットリウム鉄ガーネット
(YIG,Y3 Fe512)粉末を作製するに際して、
この機能性酸化物を構成する元素を含む原料として、Y
2 3 を15モル%とFe2 3 を25モル%、そし
て、ガラス形成成分としてNa2 Oが30モル%および
2 3 が30モル%、すなわちb/r=1となるよう
に、それぞれ所定量秤量混合した。
【0062】この原料混合物を1250℃にて溶融し、
金属製双ロールにて圧延急冷し、フレーク状の非晶質体
を得た。次いでこの非晶質体を730℃にて4時間の熱
処理を施して、イットリウム鉄ガーネットを結晶化させ
た。その後、これを粉砕機にて粉砕し、水で撹伴しなが
ら繰り返し洗浄した。得られた粉末はx線回折および組
成分析の結果、Y3 Fe5 12組成を有する単層のYI
G粉末であることを確認した。次いで得られた粉末にお
けるガラス母相成分の溶出量、粒度特性、および塗膜光
沢度を、実施例5と同様な方法で測定した。
【0063】実施例7 誘電体特性を有するBaTi03 の粉末を作製するのに
際し、この機能性酸化物を構成する元素を含む原料とし
て、BaOを20モル%、TiO2 を20モル%、そし
て、ガラス形成成分としてNa2 Oが30モル%および
2 3 が30モル%、すなわちb/r=1となるよう
に、それぞれ所定量秤量混合した。
【0064】この原料混合物を1250℃にて溶融し、
金属製双ロールにて圧延急冷し、フレーク状の非晶質体
を得た。次いでこの非晶質体を750℃にて熱処理を施
して結晶化させた。その後、これを粉砕機にて粉砕し、
水で撹伴しながら繰り返し洗浄した。得られた粉末はx
線回折および組成分析の結果、BaTiO3 組成を有す
る単相のチタン酸バリウム粉末であることを確認した。
ついで得られた粉末におけるガラス母相成分の溶出量、
粒度特性および塗膜光沢度を実施例5と同様な方法で測
定した。
【0065】実施例8 紫外線吸収特性のすぐれたZn0の粉末を作製するのに
際し、この機能性酸化物を構成する元素を含む原料とし
てZn0を40モル%と、ガラス形成成分であるNa2
Oを31モル%およびB2 3 を29モル%、すなわち
b/r=0.94となるように、それぞれ所定量秤量混
合した。
【0066】この原料混合物を1250℃にて溶融し、
金属製双ロールにて圧延急冷し、フレーク状の非晶質体
を得た。次いでこの非晶質体を750℃にて熱処理を施
して結晶化させた後、これを粉砕機にて粉砕し、水で撹
伴しながら繰り返し洗浄した。得られた粉末はx線回折
および組成分析の結果、ZnO組成を有する単相の粉末
であることを確認した。ついで得られた粉末におけるガ
ラス母相成分の溶出量、粒度特性、および塗膜光沢度
を、実施例5と同様な方法で測定した。
【0067】比較例6 NiZnフェライト(Ni0.5 Zn0.5 Fe2 4 )の
組成比に相当するNiCl2 ,ZnCl2 ,FeCl3
を含む水溶液に、NaOH溶液を撹拌しながらpH13
のもとで共沈物を得た。この共沈物を繰り返し水洗しの
ち乾燥し、800℃にて4時間熱処理した。得られた磁
性粉末はx線回折および組成分析の結果、Ni0.5 Zn
0.5 Fe2 4 を有する単相のNiZnスピネルフェラ
イトであることを確認した。ついで得られた粉末の特性
および塗膜特性を実施例5と同様な方法で測定した。
【0068】比較例7 NiZnスピネルフェライト作製にあたり、熱処理後の
ガラス母相を90℃、20%酢酸溶液を用いて溶解した
後水洗した他は実施例5と同様にして、NiZnフェラ
イト粉末を得た。次いで、得られた粉末の特性および塗
膜特性を実施例5と同様な方法で測定した。
【0069】比較例8 NiZnフェライト作製にあたり、熱処理後のガラスの
水洗時間を5分の1に短縮した他は実施例5と同様にし
て、NiZnフェライトを得た。ついで得られた粉末の
特性および塗膜特性を実施例5と同様な方法で測定し
た。
【0070】このようにして得られた実施例5〜8、お
よび比較例6〜8の粉末に関し、その特性および塗膜特
性の測定結果について次の表3に示した。
【0071】
【表3】 実施例5および比較例6を比較して明らかなように、本
製造方法にて作製した粉末は、共沈法に比較して粒度分
布がシャープであり、塗料中での分散性も良好であるこ
とが分かる。
【0072】実施例5および比較例7および8からも明
らかなように、ガラス母相成分の過剰な存在は分散性を
阻害し、逆に過剰な除去は粉末表面へのダメージを与え
ることにより、粉末磁化の低減ひいては媒体磁化の低減
をもたらしていることが分かる。
【0073】また実施例6〜8から、本製造方法によれ
ば、スピネルフェライト以外にも、粒径のよく揃った分
散性のよい各種の機能性酸化物粉末の作製が可能である
ことも理解されよう。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
粒径のよく揃った分散性のよい各種の機能性酸化物粉末
の作製が可能となる。そして、溶融温度が低く水溶性の
ガラス母相を用いているので、洗浄に際して高価な酸の
使用も必要がなくなって製造コストが大幅に低減され、
製造工程も簡略化される。
【0075】さらに、本発明によれば、水洗浄に際し
て、粉末からのガラス母相成分の適正溶出量を規定して
いるので、分散性のみならず、粉末の固有の機能をも向
上させることが可能になる。
【0076】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C01G 49/00 C01G 49/00 A D C03B 32/00 C03B 32/00 (72)発明者 萩原 哲 静岡県榛原郡吉田町川尻3583番地の5 東 芝硝子株式会社内 (72)発明者 中野 和史 静岡県榛原郡吉田町川尻3583番地の5 東 芝硝子株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機能性酸化物の構成元素を含む原料成分
    とガラス形成成分とを混合して加熱溶融し、得られた溶
    融物を急冷して非晶質体を作製し、次いでこの非晶質体
    に熱処理を施してガラス母相に機能性酸化物の微結晶を
    析出させた後、洗浄処理を施してガラス母相を溶解し機
    能性酸化物粉末を分離抽出するようにしたことを特徴と
    する機能性薄膜用機能性酸化物粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 六方晶系フェライトの構成元素を含む原
    料成分と下記(イ)および(ロ)を含むガラス形成成分
    とを混合して加熱溶融し、得られた溶融物を急冷して非
    晶質体を作製し、次いでこの非晶質体に熱処理を施して
    ガラス母相に六方晶系フェライトの微結晶を析出させた
    後、洗浄処理を施してガラス母相を溶解し六方晶系フェ
    ライト粉末を分離抽出するようにしたことを特徴とする
    機能性薄膜用機能性酸化物粉末の製造方法。 (イ)一般式R2 O(ただし、RはNaおよびΚの中か
    ら選択される少なくとも1種の元素を表す)で示される
    塩基性酸化物 (ロ)B2 3 およびP2 5 の中から選択される少な
    くとも1種の酸性酸化物
  3. 【請求項3】 希土類鉄ガーネットの構成元素を含む原
    料成分とガラス形成成分とを混合して加熱溶融し、得ら
    れた溶融物を急冷して非晶質体を作製し、次いでこの非
    晶質体に熱処理を施してガラス母相に希土類鉄ガーネッ
    トの微結晶を析出させた後、洗浄処理を施してガラス母
    相を溶解し希土類鉄ガーネット粉末を分離抽出するよう
    にしたことを特徴とする機能性薄膜用機能性酸化物粉末
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 スピネルフェライトの構成元素を含む原
    料成分とガラス形成成分とを混合して加熱溶融し、得ら
    れた溶融物を急冷して非晶質体を作製し、次いでこの非
    晶質体に熱処理を施してガラス母相にスピネルフェライ
    トの微結晶を析出させた後、洗浄処理を施してガラス母
    相を溶解しスピネルフェライト粉末を分離抽出するよう
    にしたことを特徴とする機能性薄膜用機能性酸化物粉末
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 チタン酸塩の構成元素を含む原料成分と
    ガラス形成成分とを混合して加熱溶融し、得られた溶融
    物を急冷して非晶質体を作製し、次いでこの非晶質体に
    熱処理を施してガラス母相にチタン酸塩の微結晶を析出
    させた後、洗浄処理を施してガラス母相を溶解しチタン
    酸塩粉末を分離抽出するようにしたことを特徴とする機
    能性薄膜用機能性酸化物粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 酸化亜鉛の構成元素を含む原料成分とガ
    ラス形成成分とを混合して加熱溶融し、得られた溶融物
    を急冷して非晶質体を作製し、次いでこの非晶質体に熱
    処理を施してガラス母相に酸化亜鉛の微結晶を析出させ
    た後、洗浄処理を施してガラス母相を溶解し酸化亜鉛粉
    末を分離抽出するようにしたことを特徴とする機能性薄
    膜用機能性酸化物粉末の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記ガラス形成成分が、下記(イ)およ
    び(ロ)を含むようにしたことを特徴とする特許請求の
    範囲請求項3、4、5、あるいは6記載の機能性薄膜用
    機能性酸化物粉末の製造方法。 (イ)一般式R2 O(ただし、RはNaおよびΚの中か
    ら選択される少なくとも1種の元素を表す。)で示され
    る塩基性酸化物 (ロ)B2 3 およびP2 5 の中から選択される少な
    くとも1種の酸性酸化物
  8. 【請求項8】 前記(ロ)の酸性酸化物が、B2 3
    あることを特徴とする特許請求の範囲請求項2あるいは
    7記載の機能性薄膜用機能性酸化物粉末の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ガラス形成成分中の(イ)の塩基性
    酸化物のモル分率をr、(ロ)のB2 3 のモル分率を
    bとしたとき、(イ)に対する(ロ)のモル比率b/r
    が、0.8以上1.25以下であることを特徴とする特
    許請求の範囲請求項8記載の機能性薄膜用機能性酸化物
    粉末の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記洗浄処理が、水により施されるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲請求項1、2、3、4、
    5、6、7、8、あるいは9記載の機能性薄膜用機能性
    酸化物粉末の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記洗浄処理が、分離抽出された前記
    機能性酸化物粉末から水へのガラス母相成分の溶出量が
    10〜1000ppmの範囲内になるように制御して、
    施されることを特徴とする特許請求の範囲請求項10記
    載の機能性薄膜用機能性酸化物粉末の製造方法。
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