JP2008143733A - ジルコニア微粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】結晶性が高く、粒子径が小さく比表面積が高いジルコニア微粒子を容易に得るための製造方法の提供。
【解決手段】酸化物基準のモル%表示で、ZrO2を3〜30%、RO(RはBa、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群より選ばれる1種以上)を10〜55%、B2O3を30〜80%含む溶融物を得る工程と、前記溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程と、前記非晶質物質を加熱してジルコニア結晶を含む析出物を得る工程と、前記析出物から前記ジルコニア結晶を分離してジルコニア微粒子を得る工程と、をこの順に含む。
【選択図】図1
【解決手段】酸化物基準のモル%表示で、ZrO2を3〜30%、RO(RはBa、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群より選ばれる1種以上)を10〜55%、B2O3を30〜80%含む溶融物を得る工程と、前記溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程と、前記非晶質物質を加熱してジルコニア結晶を含む析出物を得る工程と、前記析出物から前記ジルコニア結晶を分離してジルコニア微粒子を得る工程と、をこの順に含む。
【選択図】図1
Description
本発明はジルコニア微粒子の製造方法に関し、粒子径が小さく比表面積が高く、高い結晶性を有するジルコニア微粒子を容易に得られるジルコニア微粒子の製造方法に関する。
従来、ジルコニアは、構造用セラミックス材料、耐火物材料、導電材料、高屈折率材料及び誘電体材料等として知られ、広汎に利用されている。
近年これらの材料の微細化、高機能化が進み、ジルコニア微粒子の開発が要求されている。このようなジルコニア微粒子を製造する方法として、加水分解法や中和・共沈法等などの溶液法が通常用いられる。
加水分解法とは、ジルコニウム塩を含む水溶液を加熱、加水分解し、生じた水和ジルコニアゾルを乾燥、焼成する方法である(例えば、特許文献1の特許請求の範囲参照)。一方、中和・共沈法とは、ジルコニウム塩を含む水溶液をアルカリによって中和し、得られた沈殿物を乾燥、焼成する方法である。例えば、中和のためにジアミン化合物を用いる方法が知られている(特許文献2の特許請求の範囲参照)。また、ジルコニウム塩溶液を中和させるにあたり、完全に中和せず部分中和し、ジルコニア酸化物前駆体(ジルコニウム酸(水)酸化物、ジルコニイルオキシ(ハイドロ)オキサイド)を生成させ、次いで、この部分中和された溶液に無機塩を加えて混合溶液とし、この混合溶液を加熱して、ジルコニア微粒子を製造する方法が開示されている(特許文献3の特許請求の範囲参照)。
特開2001−39716号公報
特開2001−253714号公報
特開2006−16236号公報
近年これらの材料の微細化、高機能化が進み、ジルコニア微粒子の開発が要求されている。このようなジルコニア微粒子を製造する方法として、加水分解法や中和・共沈法等などの溶液法が通常用いられる。
加水分解法とは、ジルコニウム塩を含む水溶液を加熱、加水分解し、生じた水和ジルコニアゾルを乾燥、焼成する方法である(例えば、特許文献1の特許請求の範囲参照)。一方、中和・共沈法とは、ジルコニウム塩を含む水溶液をアルカリによって中和し、得られた沈殿物を乾燥、焼成する方法である。例えば、中和のためにジアミン化合物を用いる方法が知られている(特許文献2の特許請求の範囲参照)。また、ジルコニウム塩溶液を中和させるにあたり、完全に中和せず部分中和し、ジルコニア酸化物前駆体(ジルコニウム酸(水)酸化物、ジルコニイルオキシ(ハイドロ)オキサイド)を生成させ、次いで、この部分中和された溶液に無機塩を加えて混合溶液とし、この混合溶液を加熱して、ジルコニア微粒子を製造する方法が開示されている(特許文献3の特許請求の範囲参照)。
ジルコニア微粒子としては、結晶形状、結晶系を維持しやすいことから、結晶格子欠陥が少なく、高純度で組成が均一な結晶性の高いものが望まれる。
しかし、上記従来の溶液法では、ジルコニアの含水物、又はジルコニウムの水酸化物を介して酸化物を得るので、ジルコニア微粒子端面に水酸基などが残留しやすく、結晶格子欠陥が生じやすい。
また、ジルコニア微粒子としては、一次粒子径が200nm以下となるような微小なものが望まれるが、上記従来の溶液法では、いずれの方法においても、加熱処理が必須とされる。そのため、加熱により生成物が粒成長し、多結晶又は強い凝集が生じやすく、微小な結晶粒子状のジルコニアを得ることが困難である。
一方、多結晶又は強い凝集の生成を防ぐために加熱を抑制すると、完全な酸化物を得がたく、また生成物の結晶性も高いとはいいがたいという問題があった。
すなわち、上記従来技術では、いずれの方法においても、結晶性の高い一次粒子径が200nm以下となるような微粒子を得ることは困難であった。
本発明はジルコニア微粒子の製造方法に関し、粒子径が小さく結晶性の高いジルコニア微粒子を容易に得るための方法を提供することを目的とする。
しかし、上記従来の溶液法では、ジルコニアの含水物、又はジルコニウムの水酸化物を介して酸化物を得るので、ジルコニア微粒子端面に水酸基などが残留しやすく、結晶格子欠陥が生じやすい。
また、ジルコニア微粒子としては、一次粒子径が200nm以下となるような微小なものが望まれるが、上記従来の溶液法では、いずれの方法においても、加熱処理が必須とされる。そのため、加熱により生成物が粒成長し、多結晶又は強い凝集が生じやすく、微小な結晶粒子状のジルコニアを得ることが困難である。
一方、多結晶又は強い凝集の生成を防ぐために加熱を抑制すると、完全な酸化物を得がたく、また生成物の結晶性も高いとはいいがたいという問題があった。
すなわち、上記従来技術では、いずれの方法においても、結晶性の高い一次粒子径が200nm以下となるような微粒子を得ることは困難であった。
本発明はジルコニア微粒子の製造方法に関し、粒子径が小さく結晶性の高いジルコニア微粒子を容易に得るための方法を提供することを目的とする。
前記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]酸化物基準のモル%表示で、ZrO2を3〜30%、RO(RはBa、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群より選ばれる1種以上)を10〜55%、B2O3を30〜80%含む溶融物を得る工程と、前記溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程と、前記非晶質物質を600〜1000℃で加熱してジルコニア結晶を含む析出物を得る工程と、前記析出物から前記ジルコニア結晶を分離してジルコニア微粒子を得る工程と、をこの順に含むことを特徴とするジルコニア微粒子の製造方法。
[1]酸化物基準のモル%表示で、ZrO2を3〜30%、RO(RはBa、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群より選ばれる1種以上)を10〜55%、B2O3を30〜80%含む溶融物を得る工程と、前記溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程と、前記非晶質物質を600〜1000℃で加熱してジルコニア結晶を含む析出物を得る工程と、前記析出物から前記ジルコニア結晶を分離してジルコニア微粒子を得る工程と、をこの順に含むことを特徴とするジルコニア微粒子の製造方法。
[2]酸化物基準のモル%表示で、ZrO2を3〜30%、RO(RはBa、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群より選ばれる1種以上)及びR’2O(R’はLi、Na及びKからなる群より選ばれる1種以上)を合計で10〜55%、B2O3を30〜80%含む溶融物を得る工程と、前記溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程と、前記非晶質物質を600〜1000℃で加熱してジルコニア結晶を含む析出物を得る工程と、前記析出物から前記ジルコニア結晶を分離してジルコニア微粒子を得る工程と、をこの順に含むことを特徴とするジルコニア微粒子の製造方法。
[3]前記非晶質物質がフレーク状又はファイバー状である[1]又は[2]に記載のジルコニア微粒子の製造方法。
[4]前記ジルコニア結晶を分離する工程が、前記析出物に酸を添加する工程を含む[1]〜[3]のいずれか1項に記載のジルコニア微粒子の製造方法。
[5]前記ジルコニア微粒子の結晶系が単斜晶及び/又は正方晶である[1]〜[4]のいずれか1項に記載のジルコニア微粒子の製造方法。
[6]前記ジルコニア微粒子の平均一次粒子径が5〜200nmである[1]〜[5]のいずれか1項に記載のジルコニア微粒子の製造方法。
[7]前記ジルコニア微粒子の比表面積が[1]〜[6]のいずれか1項に記載のジルコニア微粒子の製造方法。
[4]前記ジルコニア結晶を分離する工程が、前記析出物に酸を添加する工程を含む[1]〜[3]のいずれか1項に記載のジルコニア微粒子の製造方法。
[5]前記ジルコニア微粒子の結晶系が単斜晶及び/又は正方晶である[1]〜[4]のいずれか1項に記載のジルコニア微粒子の製造方法。
[6]前記ジルコニア微粒子の平均一次粒子径が5〜200nmである[1]〜[5]のいずれか1項に記載のジルコニア微粒子の製造方法。
[7]前記ジルコニア微粒子の比表面積が[1]〜[6]のいずれか1項に記載のジルコニア微粒子の製造方法。
本発明によれば、粒子径が小さく、高い結晶性のジルコニア微粒子を容易に得ることができる。本発明により得られるジルコニア微粒子は、高比表面積で、構造用セラミックス及び耐火物材料、触媒、導電材料、高屈折率材料及び誘電体材料、並びに熱的及び機械的性質を調整するためのフィラー等として有用である。
本発明の製造方法は、所定の組成の溶融物を得る工程(以下「溶融工程」という。)と、前記溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程(以下「急冷工程」という。)と、前記非晶質物質を600〜1000℃で加熱してジルコニア結晶を含む析出物を得る工程(以下「結晶化工程」という。)と、前記析出物から前記ジルコニア結晶を分離してジルコニア微粒子を得る工程(以下「分離工程」という。)と、をこの順に含むことを特徴とする。
[溶融工程]
溶融工程では、酸化物基準のモル%表示で、ZrO2を3〜30%、RO(RはBa、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群より選ばれる1種以上)を10〜55%、B2O3を30〜80%含む溶融物を得る(第1態様)。
又は、酸化物基準のモル%表示で、ZrO2を3〜30%、RO(RはBa、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群より選ばれる1種以上)及びR’2O(R’はLi、Na及びKからなる群より選ばれる1種以上)を合計で10〜55%、B2O3を30〜80%含む溶融物を得る(第2態様)。
なお、酸化物基準のモル%とは、特に限定しない限り、該金属酸化物が最大の酸化数となる分子を基準とするモル百分率で、原料の仕込み量から計算されるものである。
溶融工程では、酸化物基準のモル%表示で、ZrO2を3〜30%、RO(RはBa、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群より選ばれる1種以上)を10〜55%、B2O3を30〜80%含む溶融物を得る(第1態様)。
又は、酸化物基準のモル%表示で、ZrO2を3〜30%、RO(RはBa、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群より選ばれる1種以上)及びR’2O(R’はLi、Na及びKからなる群より選ばれる1種以上)を合計で10〜55%、B2O3を30〜80%含む溶融物を得る(第2態様)。
なお、酸化物基準のモル%とは、特に限定しない限り、該金属酸化物が最大の酸化数となる分子を基準とするモル百分率で、原料の仕込み量から計算されるものである。
上記の組成域の溶融物は適度な粘性を有するうえ、続く急冷工程において溶融物が結晶化することなくガラス化し、非晶質物質を得られるため好ましい。
溶融物中のZrO2の含有割合が30%を超える場合、RO(又はRO及びR’2Oの合計)の含有割合が10%未満である場合、又はB2O3の含有割合が30%未満の場合には、溶融物が急冷工程において結晶化しやすく、ガラス化して非晶質物質となることが困難である。そのため、ジルコニア微粒子を得がたくなり好ましくない。
一方、ZrO2の含有割合が3%未満の場合、RO(又はRO及びR’2Oの合計)が55%を超える場合、又はB2O3が80%を超える場合には、後に続く結晶化において、ジルコニア結晶が充分に析出しないおそれがあるため好ましくない。
なかでも、ZrO2を5〜20%、RO(又はRO及びR’2Oの合計)を15〜55%、B2O3を40〜70%含む溶融物とすると、適度な粘性を有する溶融物が得られやすく、所望の組成のジルコニア微粒子が得られやすくなり、かつ、その収率を高くできるため好ましい。
溶融物中のZrO2の含有割合が30%を超える場合、RO(又はRO及びR’2Oの合計)の含有割合が10%未満である場合、又はB2O3の含有割合が30%未満の場合には、溶融物が急冷工程において結晶化しやすく、ガラス化して非晶質物質となることが困難である。そのため、ジルコニア微粒子を得がたくなり好ましくない。
一方、ZrO2の含有割合が3%未満の場合、RO(又はRO及びR’2Oの合計)が55%を超える場合、又はB2O3が80%を超える場合には、後に続く結晶化において、ジルコニア結晶が充分に析出しないおそれがあるため好ましくない。
なかでも、ZrO2を5〜20%、RO(又はRO及びR’2Oの合計)を15〜55%、B2O3を40〜70%含む溶融物とすると、適度な粘性を有する溶融物が得られやすく、所望の組成のジルコニア微粒子が得られやすくなり、かつ、その収率を高くできるため好ましい。
第2態様は、溶融物中にR’2Oを含むことが、溶融温度を低下させ、後述する急冷工程におけるガラス化を容易にする効果がある点で好ましい。第2態様において、溶融物中のROは、酸化物基準のモル%表示で、15〜52%であることが好ましく、25〜50%であることがより好ましい。第2態様において、溶融物中のR’2Oは、酸化物基準のモル%表示で、3〜25%であることが好ましく、5〜20%であることがより好ましい。
第1態様及び第2態様において、ROの一部にZnOを含むことが、溶融温度を低下させ、後述する急冷工程によるガラス化を容易にする効果があるので好ましい。
また、ROの一部にCaO及び/又はMgOを含むと、後述の結晶化工程において、正方晶及び/又は立方晶のジルコニア微粒子が析出しやすくなる。さらに、ROの一部にBaO及び/又はSrOを含むと、溶融温度を高くでき、溶融物中のジルコニア含有量を増加できる。
また、ROの一部にCaO及び/又はMgOを含むと、後述の結晶化工程において、正方晶及び/又は立方晶のジルコニア微粒子が析出しやすくなる。さらに、ROの一部にBaO及び/又はSrOを含むと、溶融温度を高くでき、溶融物中のジルコニア含有量を増加できる。
溶融物は、Zr源となる化合物、R源となる化合物(第2態様では、さらにR’源となる化合物)、B源となる化合物とを上記溶融物の組成を与える所定の比率で混合した混合物を、酸素存在下で加熱することにより得られる。
なお、この混合物の組成は、原則として溶融後の溶融物の組成と理論上対応するものである。ただし、溶融処理中に揮発等により失われやすい成分、例えばB等が存在するため、溶融後の溶融物の組成は、仕込み量から計算される酸化物基準のモル%と若干相違する場合がある。
なお、この混合物の組成は、原則として溶融後の溶融物の組成と理論上対応するものである。ただし、溶融処理中に揮発等により失われやすい成分、例えばB等が存在するため、溶融後の溶融物の組成は、仕込み量から計算される酸化物基準のモル%と若干相違する場合がある。
Zr源としては、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム(Zr(OH)4)、マグネシア、及びカルシア安定化ジルコニア((Ca、Mg)xZr1−xO2)[0<x≦0.2]からなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
また、炭酸ジルコニウム(Zr(CO3)2・nH2O)、塩化ジルコニウム(ZrCl4・nH2O)、硝酸ジルコニウム(Zr(NO3)3・nH2O)、硫酸ジルコニウム(Zr2(SO4)3・nH2O)及びフッ化ジルコニウム(ZrF4)からなる群より選ばれる1種以上を使用してもよい(上記各式において、nは水和数を示し、n=0の無水物の場合も含む。さらに、それぞれのオキシ塩も含むものとする。)。
Zr源は、最終産物となるだけでなく、溶融により、後述のR源、R’源及びB源と協働してガラス形成成分の一部として働く。
また、炭酸ジルコニウム(Zr(CO3)2・nH2O)、塩化ジルコニウム(ZrCl4・nH2O)、硝酸ジルコニウム(Zr(NO3)3・nH2O)、硫酸ジルコニウム(Zr2(SO4)3・nH2O)及びフッ化ジルコニウム(ZrF4)からなる群より選ばれる1種以上を使用してもよい(上記各式において、nは水和数を示し、n=0の無水物の場合も含む。さらに、それぞれのオキシ塩も含むものとする。)。
Zr源は、最終産物となるだけでなく、溶融により、後述のR源、R’源及びB源と協働してガラス形成成分の一部として働く。
R源としては、Rの酸化物(RO)又は炭酸塩(RCO3)からなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
さらに、Rの硝酸塩(R(NO3)2・pH2O)、Rの塩化物(RCl2・pH2O)、Rの硫酸塩(RSO4・pH2O)及びRのフッ化物(RF2)からなる群より選ばれる1種以上を使用してもよい(上記各式において、pは水和数を示し、p=0の無水物の場合も含むものとする。)。
さらに、Rの硝酸塩(R(NO3)2・pH2O)、Rの塩化物(RCl2・pH2O)、Rの硫酸塩(RSO4・pH2O)及びRのフッ化物(RF2)からなる群より選ばれる1種以上を使用してもよい(上記各式において、pは水和数を示し、p=0の無水物の場合も含むものとする。)。
R’源としては、炭酸塩(R’2CO3)を用いることが好ましい。
また、R’の酸化物(R’2O)又はR’の硝酸塩(R’NO3・qH2O)、R’の塩化物(R’Cl・qH2O)、R’の硫酸塩(R’2SO4・qH2O)、R’の水酸化物(R’OH・qH2O)及びRのフッ化物(R’F)からなる群より選ばれる1種以上を使用してもよい(上記各式において、qは水和数を示し、q=0の無水物の場合も含むものとする。)。
これらはR’源は、ガラス形成成分の一部となり、また、溶融温度を低下させ、後述する冷却工程によるガラス化を容易にする役割を果たす。
また、R’の酸化物(R’2O)又はR’の硝酸塩(R’NO3・qH2O)、R’の塩化物(R’Cl・qH2O)、R’の硫酸塩(R’2SO4・qH2O)、R’の水酸化物(R’OH・qH2O)及びRのフッ化物(R’F)からなる群より選ばれる1種以上を使用してもよい(上記各式において、qは水和数を示し、q=0の無水物の場合も含むものとする。)。
これらはR’源は、ガラス形成成分の一部となり、また、溶融温度を低下させ、後述する冷却工程によるガラス化を容易にする役割を果たす。
B源としては、酸化ホウ素(B2O3)、及びホウ酸(H3BO3)からなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましい。Zr、R、及びR’のホウ酸塩を用いることもできる。
所望の特性を低下させない範囲であれば、混合物中の構成材料の純度は特に限定されないが、水和水を除いた純度が99%以上であることが好ましく、99.9%以上であることがより好ましい。
また、溶融して均一な溶融物が得られる範囲であれば、上記構成材料の粒度も特に限定されない。また、上記構成材料は、ボールミル、遊星ミル等の混合・粉砕手段を用いて、乾式又は湿式で混合してから溶融することが好ましい。
また、溶融して均一な溶融物が得られる範囲であれば、上記構成材料の粒度も特に限定されない。また、上記構成材料は、ボールミル、遊星ミル等の混合・粉砕手段を用いて、乾式又は湿式で混合してから溶融することが好ましい。
溶融は、大気雰囲気で行ってもよいが、酸素分圧や酸素流量を制御しながら行うことが好ましい。溶融に用いるるつぼは、アルミナ製、白金製、又はロジウムを含む白金製であることが好ましく、耐火物を用いることもできる。
また、溶融は、抵抗加熱炉、高周波誘導炉又はプラズマアーク炉を用いて行うことが好ましい。抵抗加熱炉は、ニクロム合金等の金属製、炭化ケイ素質、ケイ化モリブデン製又はランタンクロマイト系の発熱体を備えた電気炉であることが好ましい。高周波誘導炉は、誘導コイルを備えており、出力を制御できるものであればよい。また、プラズマアーク炉は、カーボン等を電極とし、これによって発生するプラズマアークを利用できるものであればよい。さらに、赤外線又はレーザーによる直接加熱によって溶融してもよい。
また、溶融は、抵抗加熱炉、高周波誘導炉又はプラズマアーク炉を用いて行うことが好ましい。抵抗加熱炉は、ニクロム合金等の金属製、炭化ケイ素質、ケイ化モリブデン製又はランタンクロマイト系の発熱体を備えた電気炉であることが好ましい。高周波誘導炉は、誘導コイルを備えており、出力を制御できるものであればよい。また、プラズマアーク炉は、カーボン等を電極とし、これによって発生するプラズマアークを利用できるものであればよい。さらに、赤外線又はレーザーによる直接加熱によって溶融してもよい。
上記混合物は粉体状態で溶融してもよいし、あらかじめ成型した混合物を溶融してもよい。プラズマアーク炉を利用する場合には、あらかじめ成型した混合物をそのまま溶融し、さらに急速冷却することもできる。
上記混合物の溶融は1300℃以上、好ましくは1400〜1600℃で行うことが好ましい。また、得られたガラス溶融物は、均一性を高めるために撹拌してもよい。
上記混合物の溶融は1300℃以上、好ましくは1400〜1600℃で行うことが好ましい。また、得られたガラス溶融物は、均一性を高めるために撹拌してもよい。
[急冷工程]
急冷工程では、上記のようにして得られた溶融物を急速に室温付近まで冷却して非晶質物質とする。
冷却速度は、100℃/秒以上であることが好ましく、1×104℃/秒以上であることがより好ましい。
急冷工程では、高速で回転する双ローラーの間に溶融物を滴下してフレーク状の非晶質物質を得る方法や、高速で回転するドラムにより、溶融物から連続的にファイバー状の非晶質物質(長繊維)を巻き取る方法が好適に用いられる。双ローラー及びドラムとしては金属製又はセラミックス製のものを用いることが好ましい。また、高速で回転し、側壁に細孔を設けたスピナーを用いてファイバー状の非晶質物質(短繊維)を得てもよい。これらの装置を用いれば、溶融物を効果的に急速冷却して高純度の非晶質物質にできる。
急冷工程では、上記のようにして得られた溶融物を急速に室温付近まで冷却して非晶質物質とする。
冷却速度は、100℃/秒以上であることが好ましく、1×104℃/秒以上であることがより好ましい。
急冷工程では、高速で回転する双ローラーの間に溶融物を滴下してフレーク状の非晶質物質を得る方法や、高速で回転するドラムにより、溶融物から連続的にファイバー状の非晶質物質(長繊維)を巻き取る方法が好適に用いられる。双ローラー及びドラムとしては金属製又はセラミックス製のものを用いることが好ましい。また、高速で回転し、側壁に細孔を設けたスピナーを用いてファイバー状の非晶質物質(短繊維)を得てもよい。これらの装置を用いれば、溶融物を効果的に急速冷却して高純度の非晶質物質にできる。
非晶質物質がフレーク状の場合、その平均厚さが200μm以下、より好ましくは100μm以下となるように、急速冷却することが好ましい。また、繊維状の場合には、その平均直径が50μm以下、より好ましくは30μm以下となるように急速冷却することが好ましい。平均厚さ又は平均直径を上記の上限値以下とすることにより、続く結晶化工程における結晶化効率を高くすることができる。
なお、フレーク状の場合の平均厚さは、ノギス又はマイクロメーターにより測定することができる。また、繊維状の場合の平均直径は、上記方法又は顕微鏡での観察により測定することができる。
上記の上限値を超える厚さ又は直径を有する非晶質物質が得られた場合には、粉砕を行ったうえで、続く結晶化工程に供することが好ましい。
なお、フレーク状の場合の平均厚さは、ノギス又はマイクロメーターにより測定することができる。また、繊維状の場合の平均直径は、上記方法又は顕微鏡での観察により測定することができる。
上記の上限値を超える厚さ又は直径を有する非晶質物質が得られた場合には、粉砕を行ったうえで、続く結晶化工程に供することが好ましい。
[結晶化工程]
結晶化工程では、急冷工程で得られた非晶質物質を加熱してジルコニア結晶を含む析出物を得る。結晶化工程における加熱温度は600〜1000℃であり、650〜850℃であることが好ましい。
結晶化工程における加熱温度が600℃未満であると、24時間程度、連続して加熱を行っても結晶が析出しにくい。一方、加熱温度が1000℃を超えると、非晶質物質を含む結晶化物が融解するおそれがあるため好ましくない。
結晶析出は、核生成、それに続く結晶成長の2段階からなるため、この2段階をそれぞれ異なる加熱温度で進行させてもよい。
結晶化工程では、急冷工程で得られた非晶質物質を加熱してジルコニア結晶を含む析出物を得る。結晶化工程における加熱温度は600〜1000℃であり、650〜850℃であることが好ましい。
結晶化工程における加熱温度が600℃未満であると、24時間程度、連続して加熱を行っても結晶が析出しにくい。一方、加熱温度が1000℃を超えると、非晶質物質を含む結晶化物が融解するおそれがあるため好ましくない。
結晶析出は、核生成、それに続く結晶成長の2段階からなるため、この2段階をそれぞれ異なる加熱温度で進行させてもよい。
600〜1000℃の範囲内においては、加熱温度を高くするほど、析出する結晶の生成量及び析出する結晶の粒子径が大きくなる傾向があるので、所望の粒子径に応じて加熱温度を設定すればよい。
また、加熱温度は、析出するジルコニアの結晶系に影響するので、所望の結晶系に応じて加熱温度を設定すればよい。
また、加熱温度は、析出するジルコニアの結晶系に影響するので、所望の結晶系に応じて加熱温度を設定すればよい。
結晶化工程では、上記加熱温度範囲に4時間〜96時間保つと、ジルコニアを充分に結晶化できるため好ましい。加熱時間を長くするほど、析出する結晶の生成量が多くなり、また析出する結晶の粒子径が大きくなる傾向があるので、所望の結晶析出量及び粒子径に応じて保持時間を設定すればよい。また、加熱時間は析出するジルコニアの結晶系に影響するので、所望の結晶系に応じて加熱時間を設定すればよい。
結晶化工程では、非晶質物質の結晶化により、結晶としてジルコニア微粒子が析出する。混合物の組成によってはR及びR’のホウ酸塩、ZrO2、RO、R’O、並びにホウ酸の複塩等が析出することもある。これら、ジルコニア以外の析出物は、続く分離工程において除去できる。
[分離工程]
分離工程では、結晶化工程で得られた析出物からジルコニア結晶を分離してジルコニア微粒子を得る。
分離工程は、析出物に酸を添加する工程を含むことが好ましい。析出物に酸を添加すれば、ジルコニア結晶以外の物質を容易に溶脱除去できる。酸としては、酢酸、塩酸、硝酸等の無機酸、シュウ酸、クエン酸等の有機酸を用いることができる。
このとき、溶脱処理を促進し、微粒子の粒径を所望の範囲に調整するために、溶脱処理前に、ジルコニア結晶を含む析出物を乾式又は湿式にて粉砕してもよい。粉砕を行う場合、ボールミル等の媒体を用いることが好ましい。また、溶脱を促進するために、酸を温めて用いてもよく、また、振とう操作又は超音波照射を併用してもよい。この溶脱処理により、ジルコニア結晶の一部が溶解する場合もあるが、粒子径を均一化できる点ではむしろ好ましい。さらに、この溶脱処理を数回、繰り返して行ってもよい。
分離工程では、結晶化工程で得られた析出物からジルコニア結晶を分離してジルコニア微粒子を得る。
分離工程は、析出物に酸を添加する工程を含むことが好ましい。析出物に酸を添加すれば、ジルコニア結晶以外の物質を容易に溶脱除去できる。酸としては、酢酸、塩酸、硝酸等の無機酸、シュウ酸、クエン酸等の有機酸を用いることができる。
このとき、溶脱処理を促進し、微粒子の粒径を所望の範囲に調整するために、溶脱処理前に、ジルコニア結晶を含む析出物を乾式又は湿式にて粉砕してもよい。粉砕を行う場合、ボールミル等の媒体を用いることが好ましい。また、溶脱を促進するために、酸を温めて用いてもよく、また、振とう操作又は超音波照射を併用してもよい。この溶脱処理により、ジルコニア結晶の一部が溶解する場合もあるが、粒子径を均一化できる点ではむしろ好ましい。さらに、この溶脱処理を数回、繰り返して行ってもよい。
溶脱処理後、必要に応じて純水により洗浄し、ジルコニア微粒子を得る。本発明により得られるジルコニア微粒子は、単斜晶、正方晶及び立方晶からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。結晶系は、主として溶融物の組成、及び結晶化工程における加熱時間と加熱温度によって調整できる。
本発明で得られるジルコニア微粒子の平均一次粒子径(異方性粒子の場合には長径を指すものとする。)は小さいほど好ましい。平均一次粒子径が小さい程高い比表面積にできるので、導電率、屈折率及び誘電率等の機能性を高められ好ましい。なかでも、平均一次粒子径が10〜200nmであると、耐熱性に優れかつ比表面積の高い微粒子にできるため好ましい。なお、上記ジルコニア微粒子の平均一次粒子径は、X線回折法により測定した値である。
また、本発明で得られるジルコニア微粒子の比表面積が20m2/g以上であると、導電率、屈折率及び誘電率等の機能性を高くできるため好ましい。なお、比表面積は、窒素吸着法による測定値を、BET法により球換算した値である。
平均一次粒子径と比表面積は、主として急冷工程で得られる非晶質物質の平均厚さ又は平均直径、並びに結晶化工程における加熱時間と加熱温度によって調整できる。
また、本発明で得られるジルコニア微粒子の比表面積が20m2/g以上であると、導電率、屈折率及び誘電率等の機能性を高くできるため好ましい。なお、比表面積は、窒素吸着法による測定値を、BET法により球換算した値である。
平均一次粒子径と比表面積は、主として急冷工程で得られる非晶質物質の平均厚さ又は平均直径、並びに結晶化工程における加熱時間と加熱温度によって調整できる。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
[例1〜15]
溶融物の組成が酸化物基準のモル%表示で表1に示す割合となるように、酸化ジルコニウム(ZrO2)、RCO3(R=Ba、Sr、Ca及びMg)、Na2CO3及び酸化ホウ素(B2O3)をそれぞれ秤量し、乾式で2時間混合・粉砕し、原料混合物を得た。
[例1〜15]
溶融物の組成が酸化物基準のモル%表示で表1に示す割合となるように、酸化ジルコニウム(ZrO2)、RCO3(R=Ba、Sr、Ca及びMg)、Na2CO3及び酸化ホウ素(B2O3)をそれぞれ秤量し、乾式で2時間混合・粉砕し、原料混合物を得た。
得られた原料混合物を、ロジウムを20質量%含む白金製のノズル付きのるつぼに充填し、ケイ化モリブデンを発熱体とした電気炉で1500℃で1時間加熱して完全溶融させた。
次に、ノズルの下端部を電気炉で加熱しながらガラス溶融物を滴下させ、300rpmで回転する直径約15cmの双ローラーを通すことにより液滴を約1×105℃/秒で急速冷却し、フレーク状の固形物を得た。得られたフレークは薄黄色ないしは黄色を呈し、透明な非晶質物質であった。マイクロメーターでフレークの厚さを測定したところ、30〜50μmであった。
次に、ノズルの下端部を電気炉で加熱しながらガラス溶融物を滴下させ、300rpmで回転する直径約15cmの双ローラーを通すことにより液滴を約1×105℃/秒で急速冷却し、フレーク状の固形物を得た。得られたフレークは薄黄色ないしは黄色を呈し、透明な非晶質物質であった。マイクロメーターでフレークの厚さを測定したところ、30〜50μmであった。
例1〜15のそれぞれにおいて、得られたフレークの一部を用いて、あらかじめ示差走査熱量測定(DSC)に基づいて、ガラス転移点及び結晶化開始温度を求めた。表2に示すように、このガラス転移点より高い、700℃、750℃、又は800℃の加熱温度でフレークを8時間加熱し、ジルコニア結晶を析出させた。
次に、結晶化処理後のフレークを70℃の1mol/L酢酸溶液中で6時間、振とう撹拌して可溶性物質を溶脱した。溶脱した液を遠心分離し、上澄みを捨てた。この操作を5回行った後、水洗を5回行い、乾燥を経て微粒子を得た。
次に、結晶化処理後のフレークを70℃の1mol/L酢酸溶液中で6時間、振とう撹拌して可溶性物質を溶脱した。溶脱した液を遠心分離し、上澄みを捨てた。この操作を5回行った後、水洗を5回行い、乾燥を経て微粒子を得た。
得られた微粒子の鉱物相を、X線回折装置を用いて同定した。その結果、例1〜15のいずれにおいても既存の単斜晶ZrO2(JCPDSカード番号72−1669)及び正方晶ZrO2(JCPDSカード番号50−1089)の何れかの回折パターン、又は両回折パターンを合わせたものとほぼ一致した。すなわち、本発明によれば、高い結晶性の微粒子が得られることが分かる。
X線回折装置で同定したジルコニアの結晶系を表2に示す。なお、表2において、「M」は単結晶を、「T」は正方晶を示す。また、不等号はそれぞれの結晶系の結晶の存在量の多寡を示すもので、「A>B」はAの結晶系の結晶がBの結晶系の結晶より多いことを示し、「A≫B」は、Aの結晶系の結晶がBの結晶系の結晶より非常に多いことを示す。また、「−」は、その加熱温度での結晶化処理を行わなかったことを示す。
また、例2、例6及び例15について、750℃の加熱温度で結晶化して得られた微粒子のX線回折パターンを、それぞれ図1、図2及び図3に示す。
また、例2、例6及び例15について、750℃の加熱温度で結晶化して得られた微粒子のX線回折パターンを、それぞれ図1、図2及び図3に示す。
[例16]
例2と同組成の原料混合物に対し、例1〜15と同様にして混合・粉砕処理、溶融処理、急速冷却処理を行った後、700℃、750℃、790℃、又は820℃の加熱温度で8時間加熱して結晶化処理を行い、その後、例1〜15と同様にして、溶脱・洗浄・乾燥処理を行い、微粒子を得た。
例2と同組成の原料混合物に対し、例1〜15と同様にして混合・粉砕処理、溶融処理、急速冷却処理を行った後、700℃、750℃、790℃、又は820℃の加熱温度で8時間加熱して結晶化処理を行い、その後、例1〜15と同様にして、溶脱・洗浄・乾燥処理を行い、微粒子を得た。
得られた微粒子について、平均一次粒子径を求めた。ここで、平均一次粒子径は結晶子径とし、X線回折線の広がりからScherrerの式に基づき算出した粒子径とする。700℃、750℃、790℃、又は820℃の各加熱温度で結晶化した微粒子の平均一次粒子径は、それぞれ23nm、30nm、57nm及び79nmであった。この結果より、本発明によれば、非常に細かい粒子径の微粒子が得られることがわかる。また、結晶化処理における加熱温度が低いほど、得られる微粒子の粒子径が小さくなることがわかる。
また、得られた微粒子について、窒素吸着法によって比表面積を求めた。算出法は多点BET法による球換算値である。700℃、750℃、790℃、又は820℃の各加熱温度で結晶化した微粒子の比表面積は、それぞれ46m2/g、42m2/g、31m2/g及び28m2/gであった。この結果より、得られた微粒子がいずれも高い比表面積を有していることがわかる。また、結晶化処理における加熱温度が低いほど、得られる微粒子の比表面積が大きくなることがわかる。
[例17(比較例)]
溶融物の組成がZrO2、BaO、SrO及びB2O3基準のモル%表示で1.0%、9.9%、9.9%及び79.2%の割合となるように、酸化ジルコニウム(ZrO2)、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)及び酸化ホウ素(B2O3)をそれぞれ秤量して原料混合物を得た。
得られた原料混合物に対し、例1〜15と同様にして混合・粉砕処理、溶融処理、急速冷却処理、結晶化処理、溶脱・洗浄・乾燥処理を行ったところ、ジルコニアの微粒子は、目視により確認できなかった。
溶融物の組成がZrO2、BaO、SrO及びB2O3基準のモル%表示で1.0%、9.9%、9.9%及び79.2%の割合となるように、酸化ジルコニウム(ZrO2)、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)及び酸化ホウ素(B2O3)をそれぞれ秤量して原料混合物を得た。
得られた原料混合物に対し、例1〜15と同様にして混合・粉砕処理、溶融処理、急速冷却処理、結晶化処理、溶脱・洗浄・乾燥処理を行ったところ、ジルコニアの微粒子は、目視により確認できなかった。
[例18(比較例)]
溶融物の組成がZrO2、BaO、SrO及びB2O3基準のモル%表示で40.0%、6.0%、6.0%及び48.0%の割合となるように、酸化ジルコニウム(ZrO2)、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)及び酸化ホウ素(B2O3)をそれぞれ秤量して原料混合物を得た。
得られた原料混合物に対し、例1〜15と同様にして混合・粉砕処理を行った後、例1〜15と同様にして溶融処理を行ったが、完全溶融せず、非晶質物質が得られなかった。
溶融物の組成がZrO2、BaO、SrO及びB2O3基準のモル%表示で40.0%、6.0%、6.0%及び48.0%の割合となるように、酸化ジルコニウム(ZrO2)、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)及び酸化ホウ素(B2O3)をそれぞれ秤量して原料混合物を得た。
得られた原料混合物に対し、例1〜15と同様にして混合・粉砕処理を行った後、例1〜15と同様にして溶融処理を行ったが、完全溶融せず、非晶質物質が得られなかった。
[例19(比較例)]
例2及び例6と同組成の原料混合物に対し、例1〜15と同様にして混合・粉砕処理、溶融処理、急速冷却処理を行った後、500℃の加熱温度で8時間加熱して結晶化処理を行い、その後、例1〜15と同様にして、溶脱を行ったところ、ジルコニアの微粒子は、目視により確認できなかった。
例2及び例6と同組成の原料混合物に対し、例1〜15と同様にして混合・粉砕処理、溶融処理、急速冷却処理を行った後、500℃の加熱温度で8時間加熱して結晶化処理を行い、その後、例1〜15と同様にして、溶脱を行ったところ、ジルコニアの微粒子は、目視により確認できなかった。
本発明によれば、粒子径が小さく、高い結晶性のジルコニア微粒子を容易に得ることができる。該微粒子は高比表面積で、構造用セラミックス及び耐火物材料、触媒、導電材料、高屈折率材料及び誘電体材料、及び熱的及び機械的性質を調製するフィラー等として、有用である。
Claims (7)
- 酸化物基準のモル%表示で、ZrO2を3〜30%、RO(RはBa、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群より選ばれる1種以上)を10〜55%、B2O3を30〜80%含む溶融物を得る工程と、
前記溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程と、
前記非晶質物質を600〜1000℃で加熱してジルコニア結晶を含む析出物を得る工程と、
前記析出物から前記ジルコニア結晶を分離してジルコニア微粒子を得る工程と、をこの順に含むことを特徴とするジルコニア微粒子の製造方法。 - 酸化物基準のモル%表示で、ZrO2を3〜30%、RO(RはBa、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群より選ばれる1種以上)及びR’2O(R’はLi、Na及びKからなる群より選ばれる1種以上)を合計で10〜55%、B2O3を30〜80%含む溶融物を得る工程と、
前記溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程と、
前記非晶質物質を600〜1000℃で加熱してジルコニア結晶を含む析出物を得る工程と、
前記析出物から前記ジルコニア結晶を分離してジルコニア微粒子を得る工程と、をこの順に含むことを特徴とするジルコニア微粒子の製造方法。 - 前記非晶質物質がフレーク状又はファイバー状である請求項1又は2に記載のジルコニア微粒子の製造方法。
- 前記ジルコニア結晶を分離する工程が、前記析出物に酸を添加する工程を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のジルコニア微粒子の製造方法。
- 前記ジルコニア微粒子の結晶系が単斜晶及び/又は正方晶である請求項1〜4のいずれか1項に記載のジルコニア微粒子の製造方法。
- 前記ジルコニア微粒子の平均一次粒子径が5〜200nmである請求項1〜5のいずれか1項に記載のジルコニア微粒子の製造方法。
- 前記ジルコニア微粒子の比表面積が10m2/g以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載のジルコニア微粒子の製造方法。
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