JP4929855B2 - セリア−ジルコニア固溶体微粒子の製造方法 - Google Patents

セリア−ジルコニア固溶体微粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はセリア−ジルコニア固溶体微粒子の製造方法に関し、製造が容易で組成及び粒子径の均一性に優れ、特に好ましくは高い結晶性を有するセリア−ジルコニア固溶体微粒子を製造する方法に関する。
従来から、自動車排ガス処理用三元触媒の助触媒としてはCeO(以下、セリアともいう。)をベースとする酸化物を用いることが知られている。ここで、三元触媒とは、内燃機関の燃焼にともない発生する排気ガス中の一酸化炭素、炭化水素及び窒素酸化物を除去する機能を有するものである。近年、触媒の高機能化、高温使用の観点から、高い比表面積を有し、かつ、耐熱性が高く高温でも比表面積が低下しない触媒の開発が要求されている。
このような特性を示す物質として、近年、セリアにジルコニウムやランタンなどの希土類元素を固溶させた物質(例えば、特許文献1参照)や、ZrO(以下、ジルコニアともいう。)にセリウムを固溶させた物質(例えば、非特許文献1)が提案されている。このような固溶体を製造する方法としては、含浸法や共沈法などの溶液法が通常用いられている。セリアにジルコニウムを固溶させた物質の作製を例にとって示すと、含浸法とは、セリア粉末をジルコニウムを含む溶液に浸漬し、その後加熱処理する方法である(例えば、特許文献1参照)。一方、共沈法とは、セリウム及びジルコニウムを含む溶液を作製し、溶液のpHを制御するなどしてセリウム及びジルコニウムを沈殿させ、その後加熱処理する方法である(例えば、特許文献2参照)。
いずれの方法においても、加熱処理が必須とされ、加熱により生成物が粒成長するため微粒子(一次粒子径:200nm以下)状のセリア−ジルコニア固溶体を容易に得ることは困難である。なかでも、含浸法では出発原料の粒度が生成する固溶体の粒度を支配しやすく、特に出発原料となるセリア粒子の粒度の影響を受けやすい。そのため、出発原料の粒子径が大きい場合や、不均一な場合には微粒子状で、粒子径及び化学組成が均一な粒子を得ることができない。一方、共沈法では、出発材料の構成元素ごとに沈殿するpHが異なるため、化学的に均一な共沈物を得がたく、固溶が十分に進行させるためには適切な添加剤の選択や、反応条件を制御するための複雑な操作が必須とされていた。
この問題を解決するために、セリア粉末と、ジルコニウムの化合物とを粉砕メディアの存在下において、粉砕メディア同士及び/又は粉砕メディアと粉砕装置の部材とが摩擦しあう状態で粉砕することにより、セリア−ジルコニア固溶体を製造する方法が特許文献3に提案されている。この方法では微粒子状の粒子を得ることができるが、粉砕メディア同士及び/又は粉砕装置の部材中に含まれるジルコニアをセリアに固溶させる操作を必須とするため、反応に時間を要するという問題があった。
特開平04−55315号公報(特許請求の範囲) 特許第3341973号公報(特許請求の範囲) 特開平08−333116号公報(特許請求の範囲) 粉体工学会誌(41巻3号、218−223、2004年)
本発明はセリア−ジルコニア固溶体微粒子の製造方法に関し、粒子径が小さくかつ粒子径の均一性に優れ、セリウム及びジルコニウムが所望の組成で固溶した、結晶性のセリア−ジルコニア固溶体微粒子を容易に得るための方法を提供することを目的とする。
本発明は、1200〜1600℃で加熱して、酸化物基準のモル%表示で、(ZrO+CeO)を5〜50%、RO(RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選ばれる1種以上)を10〜50%、Bを30〜75%含む溶融物を得る工程と、前記溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程と、前記非晶質物質を600〜900℃で加熱してセリア−ジルコニア固溶体結晶を析出させる工程と、得られた析出物から前記セリア−ジルコニア固溶体結晶を分離する工程と、をこの順に含むことを特徴とするセリア−ジルコニア固溶体微粒子の製造方法を提供する。
本発明によれば、粒子径が小さくかつ粒子径の均一性に優れ、セリウム及びジルコニウムが所望の組成で固溶した、結晶性のセリア−ジルコニア固溶体微粒子を容易に得ることができる。該微粒子は高比表面積で耐熱性に優れ、高温で使用しても粒子径、比表面積の変化が少ないため、酸化還元触媒、自動車排ガス処理用の三元触媒の助触媒用材料及び燃料電池用材料として長期にわたって使用できる。
本発明のセリア−ジルコニア固溶体微粒子の製造方法において、溶融物は、Ce源、Zr源、R(RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選ばれる1種以上)源及びB源を含む混合物を溶融して得ることが好ましい。
まず、Ce源としては酸化セリウム(CeO、Ce)及び炭酸セリウム(Ce(CO・nHO)からなる群より選ばれる1種以上を用いると好ましい。一方、塩化セリウム(CeCl・nHO)、硝酸セリウム(Ce(NO・nHO)、硫酸セリウム(Ce(SO・nHO)、硝酸二アンモニウムセリウム(Ce(NH(NO)及びフッ化セリウム(CeF)からなる群より選ばれる1種以上を用いてもよい(上記式において、nは水和数を示し、n=0の無水物の場合も含む。さらに、それぞれのオキシ塩も含むものとする。)。
Zr源としては酸化ジルコニウム(ZrO)、水酸化ジルコニウム(Zr(OH))及びセリア、マグネシア、カルシア安定化ジルコニア((Ce、Ca、Mg)Zr1−x)[0<x≦0.2]からなる群より選ばれる1種以上を用いると好ましい。一方、塩化ジルコニウム(ZrCl・nHO)、硝酸ジルコニウム(Zr(NO・nHO)、硫酸ジルコニウム(Zr(SO・nHO)及びフッ化ジルコニウム(ZrF)からなる群より選ばれる1種以上を用いてもよい(上記式において、nは水和数を示し、n=0の無水物の場合も含む。さらに、それぞれのオキシ塩も含むものとする。)。
次に、R源としてはRの酸化物(RO)又は炭酸塩(RCO)からなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましい。さらに、Rの硝酸塩(R(NO)、Rの塩化物(RCl・nHO)、Rの硫酸塩(RSO)及びRのフッ化物(RF)からなる群より選ばれる1種以上を用いてもよい(上記式において、nは水和数を示し、n=0の無水物の場合も含む。さらに、それぞれのオキシ塩も含むものとする。)。さらに、溶融温度を低下させたり、後述する急速冷却によるガラス化を容易にする目的から、ROの一部をZnOで置換してもよい。なかでも、R=Ba又はSrであると、急速冷却によるセリア及びジルコニアとのガラス化が容易になるため好ましい。
さらに、B源としては酸化ホウ素(B)又はホウ酸(HBO)を用いることが好ましいが、Rのホウ酸塩を用いてもよい。
所望の特性を低下させない範囲であれば、混合物中の構成材料の純度は特に限定されないが、水和水を除いた純度が99%以上であると好ましく、より好ましくは純度99.9%以上のものを用いるとよい。また、溶融して均一な溶融物が得られる範囲であれば、上記構成材料の粒度も特に限定されない。また、上記構成材料は、ボールミル、遊星ミル等の混合・粉砕手段を用いて、乾式又は湿式で混合してから溶融すると好ましい。
溶融は、大気雰囲気で行ってもよいが、酸素分圧や酸素流量を制御しながら行うことが好ましい。また、溶融に用いるるつぼはアルミナ製、白金製、又はロジウムを含む白金製であると好ましいが、耐火物を用いることもできる。また、溶融は抵抗加熱炉、高周波誘導炉又はプラズマアーク炉を用いて行うことが好ましい。抵抗加熱炉は、ニクロム合金等の金属製、炭化ケイ素質、ケイ化モリブデン製又はランタンクロマイト系の発熱体を備えた電気炉であると好ましい。高周波誘導炉は、誘導コイルを備えており、出力を制御できるものであればよく、また、プラズマアーク炉は、カーボン等を電極とし、これによって発生するプラズマアークを利用できるものであればよい。さらに、赤外線又はレーザー直接加熱によって溶融してもよい。
上記混合物は粉体状態で溶融してもよいし、あらかじめ成型した混合物を溶融してもよい。プラズマアーク炉を利用する場合には、あらかじめ成型した混合物をそのまま溶融し、さらに急速冷却することもできる。
上記混合物の溶融は1200℃以上、好ましくは1300〜1600℃で行うことが好ましい。また、得られたガラス溶融物は、均一性を高めるために撹拌してもよい。
溶融物の組成は、酸化物基準のモル%表示で、(ZrO+CeO)を5〜50%、ROを10〜50%、Bを30〜75%含むものとする。上記の組成域の溶融物は適度な粘性を有するうえ、続く急速冷却操作により溶融物が結晶化することなくガラス化して非晶質物質を得ることができるため好ましい。なお、この組成は溶融前の構成材料の化学組成とも対応している。溶融操作中に構成材料、特にBの揮発等が生じて、所望の組成の溶融物が得られない場合には、構成材料の添加割合を調整すればよい。
溶融物中の(ZrO+CeO)の含有割合が50%を超える場合や、ROの含有割合が10%未満又はBの含有割合が30%未満の場合には、溶融物が急速冷却により結晶化しやすく、ガラス化して非晶質物質とすることが困難になるため、目的の組成を有するセリア−ジルコニア固溶体微粒子を得がたくなり好ましくない。一方、(ZrO+CeO)の含有割合が5%未満の場合や、ROが50%を超えるか又はBが75%を超える場合には、後に続く結晶化において、セリア−ジルコニア固溶体結晶が充分に析出しないおそれがあるため好ましくない。なかでも、(ZrO+CeO)を20〜40%、ROを10〜40%、Bを40〜60%含む溶融物とすると、所望の組成のセリア−ジルコニア固溶体微粒子が得られやすくなり、かつ、その収率を高くできるため好ましい。
ここで、溶融物中のZrO、CeO、RO及びBの含有割合がそれぞれ10〜35%、10〜35%、10〜40%及び40〜60%であると、適度な粘性を有する溶融物が得られやすく、かつ、所望の組成を有するセリア−ジルコニア固溶体微粒子を得やすく、溶融原料に対し得られるセリア−ジルコニア固溶体微粒子の収量が高められ、さらに粒子径の小さい微粒子が得られやすいなどの点で好ましい。
また、溶融物中に、前記ZrO及び前記CeOをZrO/(ZrO+CeO)=3〜97モル%含むと、目的の組成を有するセリア−ジルコニア固溶体微粒子が得られやすくなるため好ましい。
加えて前記RO及び前記BをRO/(RO+B)=10〜60モル%含む溶融物とすると、溶融物がガラス化しやすくなり、かつセリア−ジルコニア固溶体微粒子が得られやすくなるため好ましい。
上記のようにして得られた溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程には、高速で回転する双ローラーの間に溶融物を滴下してフレーク状の非晶質物質を得る方法や、高速で回転するドラムにより、溶融物から連続的にファイバー状の非晶質物質(長繊維)を巻き取る方法が好適に用いられる。急速冷却する際の温度は例えば100℃/秒以上、好ましくは1×10℃/秒以上であると好ましい。ここで、双ローラー及びドラムとしては金属製又はセラミックス製のものを用いる。また、高速で回転し、側壁に細孔を設けたスピナーを用いてファイバー状の非晶質物質(短繊維)を得てもよい。これらの装置を用いれば、溶融物を効果的に急速冷却して高純度の非晶質物質にできる。
非晶質物質がフレーク状の場合には、その厚さが200μm以下、より好ましくは100μm以下となるように、また、繊維状の場合には、その直径が50μm以下、より好ましくは30μm以下となるように急速冷却することが好ましい。これ以上の厚さ又は直径の非晶質物質が形成するように急速冷却すると、続く結晶化工程における結晶化効率を高くできるため好ましく、上記以上の厚さ又は直径を有する非晶質物質が得られた場合には、粉砕を行ったうえで、続く結晶化工程に供することが好ましい。
次に、非晶質物質からセリア−ジルコニア固溶体結晶を析出させる。このセリア−ジルコニア固溶体結晶を析出させる工程は、非晶質物質を600〜900℃で加熱して行う。この結晶化温度が600℃未満であると、24時間程度、連続して加熱を行っても結晶が析出しにくく、一方、900℃を超えると、非晶質物質を含む結晶化物が融解するおそれがあるためいずれも好ましくない。さらに好ましくは、結晶化温度を650〜850℃とする。この結晶析出過程は、核生成、それに続く結晶成長の2段階からなるため、この2段階をそれぞれ異なる温度で行ってもよい。なお、600〜900℃の範囲内においては結晶化温度を高くするほど、析出する結晶の生成量及び析出する結晶の粒子径が大きくなる傾向があるので、所望の粒子径に応じて結晶化温度を設定すればよい。また、600〜900℃の範囲内において結晶化温度を変化させることで、最終的に得られるセリア−ジルコニア固溶体微粒子のZrO/(ZrO+CeO)比も影響を受けるため、これをも考慮して結晶化温度を設定することが好ましい。
なお、本発明においては、非晶質物質の結晶化により、結晶としてセリア−ジルコニア固溶体微粒子が析出する。混合物の組成によってはRのホウ酸塩や、ZrO、CeO、RO及びホウ酸の複塩が析出することもあるが、その場合には続く溶脱処理によって同時に除去できる。
また、結晶化にあたっては、上記の温度範囲に4時間〜96時間保つと、セリア−ジルコニア固溶体を充分に結晶化できるため好ましい。その際、保持時間が長くなるほど析出する結晶の生成量が多くなり、また析出する結晶の粒子径が大きくなる傾向があるので、所望の結晶析出量及び粒子径に応じて保持時間を設定すればよい。なお、上記のZrO/(ZrO+CeO)比はこの保持時間を変化させることによっても影響を受けるため、これをも考慮して保持時間を設定することが好ましい。
次に、上記によって得られたセリア−ジルコニア固溶体結晶を含む析出物から、セリア−ジルコニア固溶体結晶を分離する。酸を用いれば、析出物からセリア−ジルコニア固溶体結晶以外の物質を容易に溶脱除去できる。酸としては、酢酸、塩酸、硝酸等の無機酸や、シュウ酸、クエン酸等の有機酸を用いることができる。このとき、溶脱処理を促進し、微粒子の粒径を所望の範囲に調整するために、溶脱処理前に、セリア−ジルコニア固溶体結晶を含む析出物を乾式又は湿式にて粉砕してもよい。粉砕を行う場合、ボールミル等の媒体を用いることが好ましい。また、反応を促進するために、酸を温めて用いてもよく、また、超音波照射を併用してもよい。この溶脱処理により、セリア−ジルコニア固溶体結晶の一部が溶解する場合もあるが、粒子径を均一化できる点ではむしろ好ましい。さらに、この溶脱処理を数回、繰り返して行ってもよい。
溶脱処理後、必要に応じて純水による洗浄を行い、セリア−ジルコニア固溶体微粒子を得る。本発明により得られるセリア−ジルコニア固溶体微粒子が、セリア又はジルコニアのいずれかに、それぞれジルコニウム又はセリウムの少なくとも一部が固溶した微粒子であると、触媒活性が高く、耐熱性に優れ、比表面積の高い微粒子にできるため好ましい。
また、セリア−ジルコニア固溶体微粒子の化学組成がZrO/(ZrO+CeO)=3〜97モル%であると、触媒活性が高く、耐熱性に優れた微粒子にできるため好ましい。
なお、得られる微粒子の平均一次粒子径(異方性粒子の場合には長径を指すものとする。)が小さいほど高い比表面積にできるので、触媒活性を高められ好ましい。なかでも、平均一次粒子径が10〜200nmであると、耐熱性に優れかつ比表面積の高い微粒子にできるため好ましい。
また、本発明で得られるセリア−ジルコニア固溶体微粒子の比表面積が20m/g以上であると、触媒活性を高くでき好ましい。
さらに、本発明で得られたセリア−ジルコニア固溶体微粒子を800℃で12時間加熱した後の微粒子の比表面積が10m/g以上であると、耐熱性に優れかつ比表面積の高い微粒子にできるため好ましい。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
[例1〜16]
溶融物の組成がZrO、CeO、RO及びB基準のモル%表示で表1に示す割合となるように、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セリウム(CeO)、RCO(R=Ba、Sr、Ca及びMgからなる群より選ばれる1種以上)及び酸化ホウ素(B)をそれぞれ秤量し、乾式で混合・粉砕し、原料混合物を得た。
得られた原料混合物を、ロジウムを20質量%含む白金製の、ノズル付きのるつぼに充填し、ケイ化モリブデンを発熱体とした電気炉で、1500℃で1時間加熱して完全溶融させた。
次に、ノズルの下端部を電気炉で加熱しながらガラス溶融物を滴下させ、300rpmで回転する直径約15cmの双ローラーを通すことにより液滴を1×10℃/秒程度で急速冷却し、フレーク状の固形物を得た。得られたフレークは茶褐色を呈し、透明な非晶質物質であった。マイクロメーターでフレークの厚さを測定したところ、30〜50μmであった。
得られたフレークの一部を用い、あらかじめ示差走査熱量測定(DSC)にて結晶化温度を求めておき、この結晶化開始温度より高い、820℃でフレークを8時間加熱してセリア−ジルコニア固溶体結晶を析出させた。
次に、結晶化処理後のフレークを70℃の1mol/L酢酸溶液中で6時間以上、振とう撹拌して可溶性物質を溶脱した。溶脱した液を遠心分離し、上澄みを捨てた。この操作を5回行った後、水洗を5回行い、乾燥を経て粒子径5〜200nmの微粒子を得た。
得られた微粒子の鉱物相を、X線回折装置を用いて同定した。その結果、例1〜16のいずれにおいても既存のZrO(JCPDSカード番号37−1484)、Zr0.5Ce0.5(JCPDSカード番号38−1436)、Zr0.84Ce0.16(JCPDSカード番号38−1437)及びCeO(JCPDSカード番号34−0394)の少なくとも1種の回折ピークとほぼ一致した。
例6で得られたセリア−ジルコニア固溶体微粒子のX線回折パターンを図1に示す。
次に、平均一次粒子径を求めた。ここで、平均一次粒子径は結晶子径とし、X線回折線の広がりからScherrerの式に基づき算出した粒子径とする。その結果を表1に示す。表1より、得られた微粒子がいずれも非常に細かい粒子径を有していることがわかる。
Figure 0004929855
また、例3、例8及び例10で得られたセリア−ジルコニア固溶体微粒子の一部にHF−HNO−H混合液を添加して分解、溶液化し、ICP発光分光分析装置を用いてZr及びCeの含有量を測定した。これに基づき、微粒子の化学組成ZrO/(ZrO+CeO)[mol%]を求めたところ、例3、例8及び例10において、それぞれ12%、58%及び85%であった。
次に、例8及び例14で得られたセリア−ジルコニア固溶体微粒子のBET比表面積を窒素多点吸着法により求めた結果、それぞれ106m/g及び84m/gであり、高い比表面積を有していた。
さらに、例8及び例14で得られたセリア−ジルコニア固溶体微粒子を電気炉内で、大気雰囲気下にて800℃で12時間加熱し、室温まで冷却した後、上記と同様にしてBET比表面積を求めた結果、それぞれ15m/g及び13m/gであり、高い比表面積が維持されていた。
[例17(比較例)]
溶融物の組成がZrO、CeO、BaO及びB基準のモル%表示で1.0%、1.0%、38.0%及び60.0%の割合となるように、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セリウム(CeO)、炭酸バリウム(BaCO)及び酸化ホウ素(B)をそれぞれ秤量して原料混合物を得た。
得られた原料混合物に対し、例1〜16と同様にして混合・粉砕操作、溶融操作、急速冷却操作、結晶化操作及び溶脱操作を行った結果、結晶性の微粒子はほとんど得られなかった。
[例18(比較例)]
溶融物の組成がZrO、CeO、BaO及びB基準のモル%表示で30.0%、30.0%、10.0%及び30.0%の割合となるように、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セリウム(CeO)、炭酸バリウム(BaCO)及び酸化ホウ素(B)をそれぞれ秤量して原料混合物を得た。
得られた原料混合物に対し、例1〜16と同様にして混合・粉砕操作を行った後、溶融操作を行ったが、完全溶融せず、非晶質物質は得られなかった。
[例19、20(比較例)]
例8及び例14と同組成の原料混合物を乾式で粉砕し、例1〜16と同様に溶融して得られた溶融物を、電気炉内で300℃/時の速度で室温まで冷却したところ、不透明な固形物が生成し、非晶質物質は得られなかった。
[例21(比較例)]
例8と同組成の原料混合物に対し、例1〜16と同様にして混合・粉砕操作、溶融操作、急速冷却操作を行った後、500℃で8時間加熱して結晶化操作を行った。ついで、例1〜16と同様に溶脱操作を行ったところ、セリア−ジルコニア固溶体微粒子はほとんど得られなかった。
本発明によれば、小粒子径で粒子径の均一性に優れ、セリウム及びジルコニウムが所望の組成で固溶した、結晶性のセリア−ジルコニア固溶体微粒子が得られる。また、該微粒子は高い比表面積を有しかつ耐熱性に優れ、高温で使用しても粒子径の変化が少ないため、酸化還元触媒や、自動車排ガス処理用の三元触媒の助触媒、燃料電池用材料等として長期にわたって好適に用いられる。
例8で得られたセリア−ジルコニア固溶体微粒子のX線回折パターン図

Claims (6)

  1. 1200〜1600℃で加熱して、酸化物基準のモル%表示で、(ZrO+CeO)を5〜50%、RO(RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選ばれる1種以上)を10〜50%、Bを30〜75%含む溶融物を得る工程と、前記溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程と、前記非晶質物質を600〜900℃で加熱してセリア−ジルコニア固溶体結晶を析出させる工程と、得られた析出物から前記セリア−ジルコニア固溶体結晶を分離する工程と、をこの順に含むことを特徴とするセリア−ジルコニア固溶体微粒子の製造方法。
  2. 前記溶融物に含まれる(ZrO +CeO )中のZrO の含有量が、酸化物基準のモル%表示で、ZrO/(ZrO+CeO)=3〜97%である請求項1に記載のセリア−ジルコニア固溶体微粒子の製造方法。
  3. 前記溶融物を急速冷却してフレーク状又はファイバー状の非晶質物質を得る工程を含む請求項1または2に記載のセリア−ジルコニア固溶体微粒子の製造方法。
  4. 前記セリア−ジルコニア固溶体結晶を分離する工程を酸を用いて行う請求項1〜3のいずれか1項に記載のセリア−ジルコニア固溶体微粒子の製造方法。
  5. 前記セリア−ジルコニア固溶体微粒子の平均一次粒子径が5〜200nmである請求項1〜4のいずれか1項に記載のセリア−ジルコニア固溶体微粒子の製造方法。
  6. 前記セリア−ジルコニア固溶体微粒子の比表面積が20m/g以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載のセリア−ジルコニア固溶体微粒子の製造方法。
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