JP2005247630A - フッ素ドープito微粒子の製造方法 - Google Patents

フッ素ドープito微粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶性、透明性が高くかつ小粒径で、高温で焼成を行っても酸素欠損が失われないITO微粒子の製造方法の提供。
【解決手段】フッ素をFとして0.1〜20質量%含み、酸化物表示で、RO(R=Li、Na、K、Cs)及びR’O(R’=Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)からなる群より選ばれる1種以上と、Inと、SnOと、Bとを含む溶融物を得る工程と、前記溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程と、前記非晶質物質からフッ素ドープITO結晶を析出させる工程と、得られた結晶化物から前記フッ素ドープITO結晶を分離する工程と、をこの順に含むことを特徴とするフッ素ドープITO微粒子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明で、かつ導電性及び赤外線遮蔽性に優れたフッ素ドープITO微粒子の製造方法に関し、特に、結晶性が高く、小粒径のフッ素ドープITO微粒子及びその製造方法に関するものである。
従来から、車両用ガラスや建築用ガラスを通して車内や建物内に流入する赤外線を遮蔽し、車内や建物内の温度上昇、冷房負荷を軽減する目的から赤外線遮蔽膜付きガラス板が用いられている。また、近年、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンスディスプレイといった表示素子の電極や太陽電池用基板、タッチパネル等に透明導電膜が使用されている。
近年は、赤外線遮蔽成分又は導電性成分を含む塗布液を形成し、その塗布液を基板上に塗布し、焼成することにより前記赤外線遮蔽膜や前記透明導電膜を成膜する試みがなされている(特許文献1、2)。前記赤外線遮蔽膜を構成する赤外線遮蔽成分、又は前記透明導電膜を構成する導電性成分としては、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)等が知られている。なかでもITOは高い透明性、赤外線遮蔽性、導電性を有することから、赤外線遮蔽成分又は導電性成分として広範に使用されている。
一方、前記赤外線遮蔽膜や前記透明導電膜の表面が空気中に露出した状態で使用される場合、被膜の耐久性の要求が厳しい。そのためには、赤外線遮蔽粉末や導電性粉末を無機質マトリックスとともに混合して塗布液を形成し、その塗布液を基板上に塗布した後、高温で焼成して硬質の被膜を形成する必要がある。しかし、ITOは酸素欠陥型であり、特に高い赤外線遮蔽性を有するITOでは、結晶格子中の酸素欠損の程度が高い。そのため、ITOを塗布した基板を空気中で高温焼成した場合、ITOの酸化が進行し酸素欠損が失われやすいという問題があり、酸素欠損を保持するためには空気が存在しない雰囲気、つまり不活性雰囲気や還元性雰囲気での膜の高温焼成が必要となるため、経済性、生産性に劣っていた。
特開平7−70481号公報(特許請求の範囲) 特開2001−327917号公報(特許請求の範囲)
本発明は、赤外線遮蔽性、導電性に優れたITO微粒子の製造方法に関し、特に結晶性、透明性が高くかつ小粒径で、高温で焼成を行っても酸素欠損が失われないフッ素ドープITO微粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、フッ素をFとして0.1〜20質量%含み、酸化物表示で、RO(R=Li、Na、K、Cs)及びR’O(R’=Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)からなる群より選ばれる1種以上と、Inと、SnOと、Bとを含む溶融物を得る工程と、前記溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程と、前記非晶質物質からフッ素ドープITO結晶を析出させる工程と、得られた結晶化物から前記フッ素ドープITO結晶を分離する工程と、をこの順に含むことを特徴とするフッ素ドープITO微粒子の製造方法を提供する。
本発明によれば、赤外線遮蔽性、導電性に優れ、結晶性、透明性が高くかつ小粒径で、高温で焼成を行っても酸素欠損が失われないフッ素ドープITO微粒子を容易に製造できる。そのため、本発明によって得られたフッ素ドープITO微粒子は、赤外線遮蔽膜又は透明導電膜の膜材料として好適に用いられる。また、本発明によれば異方性(板状又は針状)の微粒子が得られやすいため、該微粒子を用いれば、被膜中の粒子の充填率を高くでき、赤外線遮蔽性又は導電性に優れた被膜を成膜できる。
本発明の製造方法において、溶融物は、RF(R=Li、Na、K、Cs)及びR’1/2F(R’=Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)からなる群より選ばれる1種以上を含む混合物を溶融して得ることが好ましい。上記の物質は溶融によりフッ素を放出し、ITO中にドープされるフッ素源として働く。上記の物質は常温で安定な固体であり、従来より知られたフッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、ケイフッ化水素酸、ケイフッ化アンモニウム、ホウフッ化水素酸、ホウフッ化アンモニウム、リンフッ化水素酸、リンフッ化アンモニウム等のフッ素化合物と比較して混合時、高温での溶融時の安定性に優れたフッ素源である。また、アルカリ金属のフッ化物及びアルカリ土類金属のフッ化物からなる群より選ばれる1種以上の物質は、ガラス骨格形成成分として働く後述のホウ酸塩と協働してガラス骨格修飾成分としても働き、溶融物の溶融温度を制御する作用を有し、ガラス化範囲を調整し得る。なお、上記以外のフッ素源として、ガラス骨格修飾成分として作用し得る金属のフッ化物(ZnF、GaF、AlF等)を添加してもよい。
次に、本発明では、インジウム源と、スズ源とを含む混合物の溶融により溶融物を得ることが好ましい。インジウム源としては酸化インジウム(In)の使用が好ましいが、フッ化インジウム(InF)を用いることもでき、その場合、フッ化インジウムはフッ素源としても働く。また、スズ源としては酸化スズ(SnO又はSnO)を用いると好ましく、SnOの使用が特に好ましい。スズ源としてフッ化スズ(SnF又はSnF)を用いることもでき、その場合、フッ化スズはフッ素源としても働く。
上記のフッ素源と、インジウム源と、スズ源とに加え、本発明ではガラス骨格形成成分としてホウ酸塩を加えた混合物を溶融して溶融物を得ると好ましい。ホウ酸塩としては酸化ホウ素(B)又はホウ酸(HBO)を用いると好ましい。
なお、Rの炭酸塩、R’の酸化物及びR’の炭酸塩からなる群より選ばれる1種以上をさらに添加した混合物を溶融して溶融物を得れば、溶融物中又はフッ素ドープITO微粒子中のフッ素含量を制御しやすくなるうえ、ガラス骨格修飾成分としての作用が増すため好ましい。具体的にはLiCO、NaCO、KCO、MgO、MgCO、CaO、CaCO、SrO、SrCO、BaO及びBaCOからなる群より選ばれる1種以上を用いると好ましい。なかでも、フッ素含量の制御が容易である点で、フッ素源として用いたRF又はR’1/2F中の金属と同じ金属の塩を用いるとよい。また、これらの塩以外に、さらにR又はR’の硝酸塩、塩化物、シュウ酸塩等の有機酸塩を添加してもよい。
上記フッ素源、インジウム源、スズ源、ホウ酸塩及びガラス骨格修飾成分の混合割合は、得られるフッ素ドープITO粒子中のフッ素含量及びフッ素ドープITO粒子の回収率を考慮して設定すればよい。具体的には、酸化物基準のモル%表示で、(In+SnO)を5〜40%、Bを10〜50%、(RO+R’O)を10〜60%含み、フッ化物基準のモル%表示で、(RF+R’1/2F)を10〜60%含む混合物を溶融すれば、適度な粘性を有する溶融物が得られるうえ、フッ素ドープITO粒子の収率を高くできるため好ましい。なかでも、酸化物基準のモル%表示で、混合物中の(In+SnO)を10〜30%含む混合物を溶融すると、溶融物を急速冷却してガラス化しやすくかつフッ素ドープITO粒子の回収率を高くできるため好ましい。
所望の特性を低下させない範囲であれば、混合物中の構成材料の純度は特に限定されないが、水和水を除いた純度が99%以上であると好ましく、より好ましくは純度99.9%以上のものを用いるとよい。また、溶融して均一な溶融物が得られる範囲であれば、上記構成材料の粒度も特に限定されない。また、上記構成材料は、ボールミル、遊星ミル等の混合・粉砕手段を用いて、乾式又は湿式で混合してから溶融すると好ましい。
溶融は、大気雰囲気で行ってもよいが、非酸化性雰囲気で行うことが好ましい。ここで、非酸化性雰囲気とは、酸素や炭酸ガスといった酸化性ガスを実質的に含まない雰囲気であり、具体的には酸素濃度が1.0体積%以下であることが溶融中のITOの酸化抑制という点で好ましい。非酸化性雰囲気中には、窒素、アルゴン、アンモニア、水素等の非酸化性ガスを含む。さらに好ましくは、フッ素源となりうるフッ素ガス又はフッ素含有化合物のガスを含む非酸化性雰囲気で溶融を行う。ここで、ドープとは、ITOの結晶格子間又は結晶格子中にフッ素が格納されていることと考えており、フッ素源を含む混合物の溶融を非酸化性雰囲気で行うことにより、ITOの結晶格子間又は結晶格子中にフッ素を導入すると同時にITO中に酸素欠損を形成できる。
また、溶融に用いるるつぼはアルミナ製、白金製、又はロジウムを含む白金製であると好ましいが、耐火物を用いることもできる。フッ素の揮発を防ぐうえで、蓋つきのるつぼを用いると好ましい。また、溶融は抵抗加熱炉、高周波誘導炉又はプラズマアーク炉を用いて行うと好ましい。抵抗加熱炉は、ニクロム合金等の金属製、炭化ケイ素質又はケイ化モリブデン製等の発熱体を備えた電気炉であると好ましい。高周波誘導炉は、誘導コイルを備えており、出力を制御できるものであればよく、また、プラズマアーク炉は、カーボン等を電極とし、これによって発生するプラズマアークを利用できるものであればよい。さらに、赤外線又はレーザー直接加熱によって溶融してもよい。溶融は1200℃以上で行うことが好ましく、また、得られた溶融物は撹拌してもよい。
なお、混合物は粉体状態で溶融してもよいし、あらかじめ成型した混合物を溶融してもよい。プラズマアーク炉を利用する場合には、あらかじめ成型した混合物をそのまま溶融し、さらに急速冷却することもできる。
本発明では、上記で得られる溶融物中に、フッ素をFとして0.1〜20質量%含むことが必要である。より好ましくは5〜15質量%含む。フッ素濃度が0.1%質量未満であると耐熱性向上の効果が低く、20質量%を超える場合には赤外線遮蔽性が損なわれるおそれがある。
次に、得られた溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程には、高速で回転する双ローラーの間に溶融物を滴下してフレーク状の非晶質物質を得る方法や、高速で回転するドラムにより、溶融物から連続的にファイバー状の非晶質物質(長繊維)を巻き取る方法が好適に用いられる。ここで、双ローラー及びドラムとしては金属製又はセラミックス製のものを用いる。また、高速で回転し、側壁に細孔を設けたスピナーを用いてファイバー状の非晶質物質(短繊維)を得てもよい。これらの装置を用いれば、溶融物を効果的に急速冷却して高純度の非晶質物質にできる。
非晶質物質がフレーク状の場合には、その厚さが100μm以下、より好ましくは50μm以下となるように、また、繊維状の場合には、その直径が50μm以下、より好ましくは30μm以下となるように急速冷却することが好ましい。これ以上の厚さ又は直径の非晶質物質が形成するように急速冷却すると、溶融物が結晶化しやすくなるため好ましくない。
次に、非晶質物質からフッ素ドープITO結晶を析出させる。非晶質物質からフッ素ドープITO結晶を析出させる工程は大気中、550〜850℃で行うことが好ましい。550℃未満で24時間程度、連続して加熱を行っても結晶が析出しにくく、また、850℃を超えると、非晶質物質を含む結晶化物が融解するおそれがあるためいずれも好ましくない。さらに好ましくは700〜800℃で結晶化を行えば、得られた微粒子を基板に塗布し、空気中で高温焼成する場合であってもITOの酸素欠損を保持しやすくなる。上記結晶析出工程は、核生成、それに続く結晶成長の2段階からなるため、この2段階をそれぞれ異なる温度で行ってもよい。なお、加熱を高温で行うほど、析出する結晶の粒径が大きくなる傾向があるので、所望の粒径に応じて結晶化温度を設定すればよい。
また、結晶化にあたっては、上記の温度範囲に4時間〜48時間保つと、フッ素ドープITO微粒子を充分に結晶化できるため好ましい。その際、保持時間が長くなるほど、析出する結晶の粒径が大きくなる傾向があるので、所望の粒径に応じて保持時間を設定すればよい。本発明においては、非晶質物質の結晶化により、結晶として主にフッ素ドープITOが析出する。アルカリ金属又はアルカリ土類金属のホウ酸塩などの物質が析出することもあるが、その場合には続く溶脱処理によって同時に除去できる。なお、フッ素ドープITO結晶の形状が板状又は針状であり、かつ、アスペクト比が2以上であると、被膜中の充填率を高くできるため好ましい。
次に、上記によって得られたフッ素ドープITO結晶を含む結晶化物から、フッ素ドープITO結晶を分離する。酸又は水を用いれば、結晶化物からフッ素ドープITO結晶以外の物質を容易に溶脱除去できる。酸としては、酢酸、塩酸、硝酸等の無機酸や、シュウ酸、クエン酸等の有機酸を用いることができる。また、反応を促進するために、酸又は水を温めて用いてもよく、また、超音波照射を併用してもよい。この溶脱処理により、フッ素ドープITO結晶の一部が溶解する場合もあるが、粒径を均一化できる点ではむしろ好ましい。
溶脱処理後、必要に応じて純水による洗浄を行い、フッ素ドープITO微粒子を得る。得られるフッ素ドープITO微粒子中に、フッ素がFとして0.1〜10質量%、さらには1〜5質量%含まれることが好ましい。0.1%質量未満又は10質量%を超えて含まれる場合、赤外線遮蔽性が損なわれるおそれがある。なお、得られるフッ素ドープITO微粒子中のスズ/(インジウム+スズ)の原子比が0.01〜0.15であると、赤外線遮蔽性及び導電性の点で好ましい。
さらに、得られる微粒子の平均粒径は5〜1000nmであると好ましい。平均粒径が5〜200nmであると透明性が向上するため好ましく、5〜50nmであると透明性を著しく高くできるため、特に好ましい。
なお、フッ素がITOに含まれることで、なぜ耐熱性が向上するかについては明確にはわかっていない。しかし、フッ素はITO結晶格子中の酸素欠損サイトにトラップされてこのサイトを占有していると考えられ、大気中で高温にさらされた際、酸素欠損サイトへ酸素が入るのを抑制していることから、耐熱性が優れるのではないかと推測される。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
[例1]
酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、フッ化バリウム(BaF)、炭酸バリウム(BaCO)及び酸化ホウ素(B)を、それぞれIn、SnO、BaF、BaO及びB基準のモル%表示で表1に示す割合となるように秤量し、少量のエタノールを添加して自動乳鉢で混合・粉砕した。その後、乾燥させて原料粉末を得た。
得られた原料粉末を、ロジウムを10質量%含む白金製の、ノズル付きのるつぼに装填し、ケイ化モリブデンを発熱体とした電気炉を用い、アルゴン雰囲気下、1500℃で0.5時間加熱して完全溶融させた。
次に、ノズルの下端部を電気炉で加熱しながら溶融物を滴下させ、300rpmで回転する直径約15cmの双ローラーを通すことにより液滴を急速冷却し、フレーク状の固形物を得た。得られたフレークは透明な非晶質物質であった。マイクロメーターでフレークの厚さを測定したところ、60〜80μmであった。
得られたフレークの一部を用い、800℃でフレークを8時間加熱して、板状のフッ素ドープITO結晶を析出させた。
次に、結晶化処理後のフレークを70℃の1mol/L酢酸溶液中に20時間放置して可溶性物質を溶脱した。溶脱した液を遠心分離し、上澄みを捨てて水洗した。この溶脱をさらに1回繰り返した後、水洗し、さらに高圧分散させ、乾燥を経て粒径30〜50nmのフッ素ドープITO微粒子を得た。
得られたフッ素ドープITO微粒子の鉱物相をX線回折装置を用いて同定したところ、公知のITOの回折ピークとほぼ一致し、フッ素ドープITO単相からなる結晶性の高い粒子であった。
また、得られた微粒子について、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて形状を観察したところ、板状結晶を呈しており、短軸及び長軸がそれぞれ平均12nm及び30nmであり、これらよりアスペクト比を算出すると2.5であった。
さらに、得られた微粒子が融解するまで固形の水酸化ナトリウムを加え、冷却後、完全に溶解するまで溶融物を純水で溶解した。得られた溶液に塩酸を加えて中和し、塩酸酸性溶液とした後、pH=6の緩衝溶液を加えて測定液とし、フッ素イオン電極を用いてITOに対するフッ素含量を測定した。フッ素含量はFとして2.6質量%であった。
また、得られた微粒子をアルカリ溶融後、塩酸で水溶液化し、ICP発光分析装置を用いて粒子中のスズ/(インジウム+スズ)の原子比を測定したところ、0.075であった。
原料混合物の混合比を、得られた微粒子のフッ素含量及びスズ/(インジウム+スズ)の原子比とともに表1に示す。
Figure 2005247630
[例2]
原料混合物の化学組成を表1に示す割合となるように変更し、溶融温度を1400℃で、結晶化温度を750℃にそれぞれ変更した以外は例1と同様にしてフッ素ドープITO微粒子を作製し、例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
[例3]
原料混合物の化学組成を表1に示す割合となるように変更した以外は例2と同様にしてフッ素ドープITO微粒子を作製し、例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
[例4(比較例)]
原料混合物の化学組成を表1に示す割合となるように変更し、少量のエタノールを添加して自動乳鉢で混合・粉砕した。その後、乾燥させて原料粉末を得た。
得られた原料粉末に対し、200kgf/cmの圧力を付与して一軸成型し、成型体を得た。得られた成型体を、大気中で1200℃にて4時間加熱したが、成型体の完全な溶融は起こらず、非晶質物質は得られなかった。
本発明のフッ素ドープITO微粒子は、結晶性、透明性が高くかつ小粒径であり、導電性及び赤外線遮蔽性に優れる微粒子であるので、赤外線遮蔽膜や透明導電膜の膜材料に適用される。また、本発明のフッ素ドープITO微粒子は、空気中で高温の焼成を行っても赤外線遮蔽性が消失しないため、自動車用の赤外線遮蔽膜付きガラス板の膜材料として有用である。

Claims (10)

  1. フッ素をFとして0.1〜20質量%含み、酸化物表示で、RO(R=Li、Na、K、Cs)及びR’O(R’=Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)からなる群より選ばれる1種以上と、Inと、SnOと、Bとを含む溶融物を得る工程と、前記溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程と、前記非晶質物質からフッ素ドープITO結晶を析出させる工程と、得られた結晶化物から前記フッ素ドープITO結晶を分離する工程と、をこの順に含むことを特徴とするフッ素ドープITO微粒子の製造方法。
  2. 酸化物基準のモル%表示で、
    (In+SnO)を5〜40%、
    を10〜50%、
    (RO+R’O)を10〜60%含み、
    フッ化物基準のモル%表示で、(RF+R’1/2F)を10〜60%含む混合物を溶融して前記溶融物を得る請求項1に記載のフッ素ドープITO微粒子の製造方法。
  3. 前記溶融物を得る工程を1200℃以上の温度で、非酸化性雰囲気中で行う請求項1又は2に記載のフッ素ドープITO微粒子の製造方法。
  4. 前記溶融物を急速冷却してフレーク状又は繊維状の非晶質物質を得る請求項1〜3のいずれか1項に記載のフッ素ドープITO微粒子の製造方法。
  5. 前記非晶質物質からフッ素ドープITO結晶を析出させる工程を550〜850℃で行う請求項1〜4のいずれか1項に記載のフッ素ドープITO微粒子の製造方法。
  6. 前記フッ素ドープITO結晶を分離する工程を酸又は水を用いて行う請求項1〜5のいずれか1項に記載のフッ素ドープITO微粒子の製造方法。
  7. 前記フッ素ドープITO微粒子中に、フッ素がFとして0.1〜10質量%含まれる請求項1〜6のいずれか1項に記載のフッ素ドープITO微粒子の製造方法。
  8. 前記フッ素ドープITO微粒子中のスズ/(インジウム+スズ)の原子比が0.01〜0.15である請求項1〜7のいずれか1項に記載のフッ素ドープITO微粒子の製造方法。
  9. 前記フッ素ドープITO微粒子の平均粒径が5〜1000nmである請求項1〜8のいずれか1項に記載のフッ素ドープITO微粒子の製造方法。
  10. 前記フッ素ドープITO結晶の形状が板状又は針状であり、かつ、アスペクト比が2以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載のフッ素ドープITO微粒子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011073921A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Mitsubishi Materials Corp 針状酸化錫微粉末およびその製造方法
WO2020201891A1 (ja) * 2019-04-05 2020-10-08 株式会社半導体エネルギー研究所 正極活物質の作製方法

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