JPH07253254A - 熱搬送装置 - Google Patents

熱搬送装置

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JPH07253254A
JPH07253254A JP4397194A JP4397194A JPH07253254A JP H07253254 A JPH07253254 A JP H07253254A JP 4397194 A JP4397194 A JP 4397194A JP 4397194 A JP4397194 A JP 4397194A JP H07253254 A JPH07253254 A JP H07253254A
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heat exchanger
medium
heat medium
heating
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勝明 山岸
Kazuo Saito
和夫 齊藤
Tsutomu Sakuma
勉 佐久間
Masao Ozu
政雄 小津
Masaki Imamura
正樹 今村
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    • F28D15/02Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies in which the medium condenses and evaporates, e.g. heat pipes
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 地球環境問題に影響されない熱媒体を用い、
熱媒体配管の施工性がよく、かつ熱媒体の搬送動力の小
さい熱搬送装置を提供する。 【構成】 ガスポンプ47と吸熱熱交換器51と放熱熱
交換器49とが配管53により接続されて構成される密
閉系内に二酸化炭素からなる熱媒体を封入し、この熱媒
体の吸熱熱交換器51での吸熱および放熱熱交換器49
での放熱を、超臨界域で行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、熱媒体を用いて熱ま
たは冷熱を搬送することにより暖房または冷房が可能な
熱搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】熱媒体を用いて熱を搬送することにより
暖房を行う従来の熱搬送システムとしては、例えば図1
9に示すような構成のものがある。この熱搬送システム
は、圧縮機1、利用側熱交換器である室内熱交換器3、
熱源側熱交換器である吸熱熱交換器5、加熱器7および
電子制御弁9が配管11で接続されて密閉系を構成し、
密閉系内にはR22などの冷媒が充填されている。加熱
器7は、バーナなどであり、冷媒を吸熱熱交換器5にて
加熱し、加熱された冷媒は、圧縮機1により室内熱交換
器3に搬送され、ここで室内空気と熱交換器することで
暖房がなされる。
【0003】このときの冷媒の絶対圧力Pとエンタルピ
hとの関係を示したものが、図20のモリエル線図であ
る。圧縮機1による動作aは、ガスポンプとして機能し
ており、室内熱交換器3および吸熱熱交換器5での熱交
換bおよびcは、いずれも冷媒の二相域(液相と気相と
が混在する領域)で行われるため、熱搬送は潜熱搬送と
なる。
【0004】図21は、熱媒体を用いて熱を搬送するこ
とにより暖房を行う他の従来の熱搬送システムの構成を
示している。この熱搬送システムは、液ポンプ13、室
内熱交換器15および吸熱熱交換器17が配管19で接
続されて密閉系を構成し、密閉系内にはブラインが充填
されている。ブラインは、バーナなどの加熱器21によ
り吸熱熱交換器17にて加熱され、液ポンプ13により
室内熱交換器15に搬送され、ここで室内空気と熱交換
器することで暖房がなされる。この例では、熱搬送は液
相のみとなるため、顕熱搬送となる。
【0005】図22は、熱媒体を用いて冷熱を搬送する
ことにより冷房を行う従来の熱搬送システムの構成を示
している。この熱搬送システムは、液ポンプ23、室内
熱交換器25および吸熱熱交換器27が配管29で接続
されて密閉系を構成し、密閉系内にはブラインが充填さ
れている。ブラインは、冷凍機などの冷却器31により
放熱熱交換器27にて冷却されて液ポンプ23により室
内熱交換器25に搬送され、ここで室内空気と熱交換器
することで冷房がなされる。この例でも、前記図21の
システムと同様に、熱搬送は液相のみとなるため、顕熱
搬送となる。
【0006】図23は、熱搬送システムではなく、熱媒
体の超臨界域(圧力が臨界圧以上のところ:液面を生じ
ないで一つの相として液からガスに変化する領域)と二
相域との間で作動する冷凍サイクル、すなわち遷臨界冷
凍サイクルの従来例を示している。この例は、冷媒に炭
酸ガスを用いたノルウェー工科大学で開発中のものであ
り、米国特許第5245836号に開示された技術であ
る。圧縮機33、蒸発器35、凝縮器37、過冷却器3
9、膨張弁41およびレシーバタンク43が配管45で
接続されて冷凍サイクルが構成され、この冷凍サイクル
内に二酸化炭素が充填されている。
【0007】図24は、二酸化炭素のモリエル線図上
に、上記図23の冷凍サイクルの絶対圧力Pとエンタル
ピhとの関係を描いたものである。圧縮機33は、動作
Aで示すように、二酸化炭素の冷媒を二相域(約4MP
a)から超臨界域(約10MPa)まで昇圧する。凝縮
器37,膨張弁41および蒸発器35内での冷媒の状態
変化は、それぞれB,CおよびDで示してある。蒸発器
35内での冷媒は二相域にあるため、蒸発圧力線と蒸発
温度線が一致し、蒸発温度は一定となる。ところが、凝
縮器37内の冷媒は超臨界域にあるため、凝縮圧力線と
凝縮温度線とは一致しない。
【0008】上記図24において、超臨界域における等
温線tを示す。凝縮器37内での冷媒温度は連続的に変
化し、凝縮器37の入口aの温度ta と凝縮器37の出
口bの温度tb との関係は、ta >tb となる。このよ
うな冷凍サイクルにおいて、蒸発器35を室内熱交換器
とすれば冷房ができ、凝縮器37を室内熱交換器とすれ
ば暖房ができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような従来の熱搬送装置は、以下のような問題があ
る。
【0010】(1)潜熱熱搬送システム(図19) 従来のエアコンの冷凍サイクルを流用しているため、地
球環境問題で規制されているフロン系冷媒(HCFC,
HFC)しか使えない。
【0011】(2)顕熱熱搬送システム(図21,図2
2) 顕熱搬送は潜熱搬送に比較して熱搬送量が少なくなるた
め、ブラインン配管径を大きくしてブライン流量を多く
しなければならない。ブラインン配管は、一般的に冷媒
配管に比較して施工性が悪いので、配管径を大きくする
と施工作業が煩雑となるうえコストアップを招くことに
なる。
【0012】(3)遷臨界冷凍サイクル(図23) 二相域(約4MPa)から超臨界域(約10MPa)ま
で昇圧しなければならないため、搬送動力が大きくな
り、消費電力が増大する。
【0013】そこで、この発明は、地球環境問題に影響
されない熱媒体を用い、熱媒体配管の施工性がよく、か
つ熱媒体の搬送動力の小さい熱搬送装置を提供すること
を目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、この発明は、ガスポンプと熱源側熱交換器と利用側
熱交換器とが配管により接続されて構成される密閉系内
に熱媒体を封入し、この熱媒体の前記熱源側熱交換器お
よび利用側熱交換器での各熱交換を、前記熱媒体の臨界
点より圧力が高い超臨界域で行う構成としてある。
【0015】
【作用】このような構成の熱搬送装置によれば、熱媒体
として地球環境問題で規制されていない非フロン系冷媒
が使用可能であり、熱媒体は超臨界領域で作動すること
から、熱媒体を高密度で搬送でき、配管径が細くて済み
配管の施工性が向上する。また、熱媒体の搬送は、吸込
圧と吐出圧との圧力差が小さいガスポンプを使用できる
ので、搬送動力が小さくて済み、省エネルギ化が達成さ
れる。
【0016】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づき説明
する。
【0017】図1は、この発明の第1実施例を示す熱搬
送装置の構成図である。熱媒体搬送手段であるガスポン
プ47、利用側熱交換器である放熱熱交換器49およ
び、熱源側熱交換器である吸熱熱交換器51が、配管5
3で接続されて構成される密閉回路内に、熱媒体である
二酸化炭素が充填されている。
【0018】吸熱熱交換器51の熱媒体出口側(図1中
で右側)には、熱媒体を加熱する加熱器としてバーナ5
5が設置されている。バーナ55の底部には熱媒体入口
側(図1中で左側)に向けて延長される排気案内板57
が設けられ、バーナ55による高温の排ガス59は、図
示しない送風機などにより、吸熱熱交換器51の熱媒体
出口側から同熱媒体入口側に向けて流れるようにしてあ
る。これにより、吸熱熱交換器51内を流れる熱媒体
は、熱媒体と熱交換を行う流体(排ガス59)と相互に
対向流を形成することになる。
【0019】一方、放熱熱交換器49の媒体出口側(図
1中で左側)には、ファン61が設置されている。ファ
ン61は、空気63を放熱熱交換器49の下流側から上
流側に向けて送風するものであり、したがって、この放
熱熱交換器49においても、熱媒体は、熱媒体と熱交換
を行う流体(空気63)と相互に対向流を形成すること
になる。
【0020】バーナ55が吸熱熱交換器51内の熱媒体
を加熱し、加熱した熱媒体をガスポンプ47で放熱熱交
換器49に搬送する。ファン61が送風する空気63
は、放熱熱交換器49に沿って流れることで、ガスポン
プ47から送られた熱媒体と熱交換して暖められて暖房
に使用され、一方熱媒体は空気63により冷却されて吸
熱熱交換器51に戻る。
【0021】図2は、図1のサイクルにおいて熱媒体と
して用いた二酸化炭素の状態をモリエル線図上に書き表
したものである。臨界点(K.P.)より圧力が高い領
域を超臨界域と言っているが、一般的な目安として、臨
界点を通る比容積線(vK.P.)の右側が気相、左側が液
面を持たない液相とされている。この実施例における熱
搬送システムでは、吸熱熱交換器51および放熱熱交換
器49内の熱媒体は何れも超臨界域の気相にある。
【0022】図2において、温度T1 は、放熱熱交換器
49の出口と吸熱熱交換器51の入口の温度である。温
度T2 は、温度T1 より高く、放熱熱交換器49の入口
と吸熱熱交換器51の出口の温度である。つまり、吸熱
熱交換器51では、入口から出口に行くに従い、図2で
の状態変化Pで示すように熱媒体の温度はT1 からT2
まで上昇し、逆に放熱熱交換器49では、入口から出口
に行くに従い、図2の状態変化Qで示すように熱媒体の
温度はT2 からT1 に低下する。したがって、超臨界域
では圧力が一定でも温度は変化していることになる。
【0023】図3は、吸熱熱交換器51側における熱媒
体と排ガス59の各温度分布を、吸熱熱交換器51の入
口側から出口側に沿って示したもので、図4は放熱熱交
換器49側での同各温度分布を示したものである。吸熱
熱交換器51において、排ガス59は、熱媒体の流れと
反対方向に、つまり熱媒体に対して対向流を形成しなが
ら流れ、排ガス59の温度は、熱媒体と同様入口側が低
く、出口側が高いものとなり、熱媒体と排ガス59との
温度差は入口側から出口側にわたりほぼ一定となって、
熱交換効率が向上する。放熱熱交換器49においても、
ファン61により送風される空気63は、熱媒体の流れ
と反対方向に、つまり熱媒体に対して対向流を形成しな
がら流れ、空気63の温度は、熱媒体と同様入口側が高
く、出口側が低いものとなり、熱媒体と空気63との温
度差は入口側から出口側にわたりほぼ一定となって、熱
交換効率が向上する。
【0024】上記したような熱搬送装置によれば、動作
冷媒として二酸化炭素を使用しており、フロン系冷媒を
使用していないので、地球環境問題への発展が回避され
る。また、熱媒体は、ガスポンプ47により搬送される
ので、大きな動力を必要とせず、消費電力を低く抑えら
れる。さらに、超臨界域では二酸化炭素は高密度となる
ため、配管53の径を小さくできる。
【0025】図5は、この発明の第2実施例を示す熱搬
送装置の構成図である。熱媒体搬送手段であるガスポン
プ65、利用側熱交換器である放熱熱交換器67およ
び、熱源側熱交換器である吸熱熱交換器69が、配管7
1で接続されて構成される密閉回路内に、熱媒体である
二酸化炭素を充填する。放熱熱交換器67には、チラー
等の冷却装置73が設置されている。放熱熱交換器67
にて冷却装置73で冷却され凝縮した熱媒体は、吸熱熱
交換器69で室内空気と熱交換して室内空気を冷却し、
冷房がなされる。吸熱熱交換器69で室内空気と熱交換
して蒸発した熱媒体は、ガスポンプ65で放熱熱交換器
67に搬送される。
【0026】図6は、図5で使用した熱媒体の状態をモ
リエル線図上に書き表したものである。臨界点(K.
P.)より圧力が低い二相領域で作動する。
【0027】上記図5の熱搬送装置においても、動作冷
媒として例えば二酸化炭素が使用でき、フロン系冷媒を
使用する必要がないので、地球環境問題に発展すること
はない。また熱媒体は、ガスポンプ65により搬送され
るので、大きな動力を必要としない。
【0028】図7は、この発明の第3実施例を示す熱搬
送装置の構成図である。この熱搬送装置は、熱媒体搬送
手段であるガスポンプ75、利用側熱交換器である室内
熱交換器77、切り替え弁としての四方弁79、熱源側
熱交換器である熱媒体加熱用熱交換器81および熱媒体
冷却用熱交換器83が、配管85で接続されて構成され
る密閉系内に、二酸化炭素からなる熱媒体が充填されて
いる。熱媒体加熱用交換器81には熱媒体を加熱する加
熱器としてのバーナ87が、熱媒体冷却用熱交換器83
には熱媒体を冷却するための冷却器としての吸収式冷凍
機89の蒸発器91が設置されている。
【0029】吸収式冷凍機89は、発生器(再生器とも
言う)93、分縮器94(分縮器の不要な吸収式冷凍機
もある)、バーナ等の加熱器95、凝縮器97、蒸発器
91、吸収器99、熱回収熱交換器100、101、1
03(熱回収熱交換器のない吸収式冷凍機もある)、溶
液ポンプ105、膨張弁107、109等で構成される
密閉系に冷媒と、冷媒の溶液(吸収剤)とが充填されて
いる。吸収式冷凍機の冷媒と吸収剤との組み合わせは、
冷媒/吸収剤と表すと、アンモニア/水、水/臭化リチ
ウムおよびその他の多成分系の組み合わせでも構わな
い。
【0030】次に、吸収式冷凍機89の動作を説明す
る。加熱器95で発生器93を加熱することにより冷媒
と吸収剤が分離する。分離した冷媒は分縮器94を通る
ことで濃度が高まって凝縮器97へ入り、放熱して液化
した後膨張弁107を通って減圧され、蒸発器91で蒸
発して気化する際には熱媒体冷却用熱交換器83内の熱
媒体を冷却し、吸収器99へ入る。一方、熱媒体冷却用
熱交換器83を通って冷却された熱媒体は、四方弁79
を経て室内熱交換器77へと入り室内の冷房を行う。
【0031】発生器93で分離された吸収剤は、熱回収
熱交換器101を通り、膨張弁109で減圧されて吸収
器99に入り、蒸発器91から入った冷媒を吸収する。
吸収剤と冷媒の混合溶液は、溶液ポンプ105から熱回
収熱交換器100、103、101を通って熱回収を行
い、発生器93へ戻る。
【0032】暖房運転時においては、バーナ87にて熱
媒体加熱用熱交換器81を加熱して、ガスポンプ75に
より熱媒体を室内熱交換器77に搬送し、吸収式冷凍機
89は稼働させない。このとき、四方弁79の流路は実
線状態であり、熱媒体加熱用熱交換器81を出た熱媒体
は、四方弁79、ガスポンプ75、室内熱交換器77、
四方弁79、熱媒体冷却用熱交換器83の順に流れる。
【0033】冷房運転時には、バーナ87は作動させ
ず、吸収式冷凍機89を稼働させて冷却装置とし、蒸発
器91と熱媒体冷却用熱交換器83との間で熱交換を行
なう。熱媒体冷却用交換器83にて冷却された熱媒体
は、ガスポンプ75を用いて室内熱交換器77へ搬送さ
れる。このとき、四方弁79の流路は破線状態であり、
熱媒体冷却用熱交換器83を出た熱媒体は、熱媒体加熱
用熱交換器81、四方弁79、室内熱交換器77、ガス
ポンプ75、四方弁79、熱媒体冷却用熱交換器83の
順に流れる。
【0034】上記図7の熱搬送装置においても、動作冷
媒として例えば二酸化炭素が使用でき、フロン系冷媒を
使用する必要がないので、地球環境問題に発展すること
はなく、また熱媒体は、ガスポンプ47により搬送され
るので、大きな動力を必要としない。
【0035】図8は、上記図7の第3実施例における室
内熱交換器77を3台並列に接続した例を示している。
室内熱交換器77は3台に限らず、複数台でも差し支え
ない。暖房および冷房の動作は、前記第3実施例と同様
であり、第3実施例と同様の効果を奏する。
【0036】図9は、この発明の第4実施例を示す熱搬
送装置の構成図である。この熱搬送装置は、熱媒体搬送
手段である冷媒ポンプ111、利用側熱交換器である室
内熱交換器113、熱源側熱交換器である熱媒体加熱用
熱交換器115および熱媒体冷却用熱交換器117が、
配管119で接続されて構成される密閉系内に、二酸化
炭素あるいはブラインなどからなる熱媒体が充填されて
いる。熱媒体加熱用熱交換器115には熱媒体を加熱す
る熱風吹出口121が、熱媒体冷却用熱交換器117に
は熱媒体を冷却するための吸収式冷凍機89の蒸発器9
1が設置されている。
【0037】熱風吹出口121には熱風流路となるパイ
プ123の一端が接続され、パイプ123の他端は加熱
器であるバーナ125に接続され、パイプ123の途中
には切り替え弁としての二方弁127が設けられてい
る。
【0038】吸収式冷凍機吸89は、前記図7および図
8のものとほぼ同様の構成であるが、発生器93には、
分離した冷媒の濃度を高める精溜器129が設けられて
いる。また、発生器93には、前記熱媒体加熱用熱交換
器115と同様に、熱風吹出口131が設けられ、熱風
吹出口131の一端には、切り替え弁としての二方弁1
33を備えた熱風流路となるパイプ135が接続され、
パイプ135の他端は前記バーナ125に接続されてい
る。
【0039】冷房運転時は、バーナ125を稼働すると
ともに、吸収式冷凍機89も稼働し、二方弁127をO
FF(閉)、二方弁133をON(開)とすることによ
り、バーナ125からの熱風を発生器93側に流して発
生器93を加熱する。発生器93を加熱することによ
り、冷媒と吸収剤とが分離する。分離した冷媒は精溜器
129および分縮器94を通ることで濃度が高まって凝
縮器97へ入り、放熱して液化した後膨張弁107を通
って減圧され、蒸発器91で蒸発して気化する際には熱
媒体冷却用熱交換器117を冷却し、吸収器99へ入
る。熱媒体冷却用熱交換器117を通って冷却された熱
媒体は、室内熱交換器113へと入り室内の冷房を行
う。室内熱交換器113で室内空気と熱交換した熱媒体
は、冷媒ポンプ111に戻る。
【0040】発生器93で分離された吸収剤は、熱回収
熱交換器101を通り、膨張弁109で減圧されて吸収
器99に入り、蒸発器91から入った冷媒を吸収する。
吸収剤と冷媒の混合溶液は、溶液ポンプ105から熱回
収熱交換器100、103、101を通って熱回収を行
い、発生器93へ戻ってくる。
【0041】一方暖房運転時は、バーナ125を稼働
し、吸収式冷凍機89は稼働させず、二方弁127をO
N(開)、二方弁133をOFF(閉)にすることによ
り、バーナ125からの熱風を熱媒体加熱用熱交換器1
15へ送る。熱媒体は、冷媒ポンプ111によって熱媒
体加熱用熱交換器115へ送られ、熱風吹出口121か
らの熱風で加熱されて室内熱交換器113へ送られ、室
内へ放熱して暖房を行い、冷媒ポンプ111へ戻る。
【0042】上記図9の熱搬送装置においても、動作冷
媒として例えば二酸化炭素が使用でき、フロン系冷媒を
使用せずに済むので、地球環境問題に発展することはな
い。また熱媒体を搬送する手段として冷媒ポンプ111
をガスポンプとして使用できるので、大きな動力を必要
としない。また、熱媒体加熱用熱交換器115を加熱す
るためのバーナ125を、吸収式冷凍器機89の発生器
93を加熱するものと共用しているので、前記図7およ
び図8の実施例に比べてコストダウンが図れる。
【0043】図10は、前記図9の第4実施例における
二方弁127、133の代わりに、切り替え弁としての
三方弁137を利用した例を示しており、この場合に
も、一つのバーナ125による熱風を、冷房時は発生器
93側へ、暖房時は熱媒体加熱用熱交換器115側へ流
れるようにしている。その他の構成は、第4実施例と同
様である。
【0044】図11は、後述する図12に示す第5実施
例の熱搬送装置に使用される吸収式冷凍サイクルの構成
図である。吸収式冷凍サイクルの構成には種々の方式が
あるが、ここでは冷媒としてアンモニア(NH3 )を、
吸収剤として水をそれぞれ用いた空冷型の吸収式冷凍式
サイクルを用いて説明する。
【0045】このサイクルの主な構成要素は、発生器1
39、凝縮器141、過冷却器143、膨張弁145、
蒸発器147、溶液冷却吸収器149、吸収器151お
よび溶液ポンプ153であり、これらはそれぞれ配管で
接続されて密閉系を構成している。
【0046】発生器139はバーナ155によって加熱
されるように配置され、凝縮器141と吸収器153は
フィンドチューブ形式で構成され、送風ファン157に
より同時に冷却される様に一体で構成されている。ブラ
イン159はブラインタンク161に貯留されており、
蒸発器147はブライン159と接するように配置され
ている。蒸発器147により冷却されたブライン159
は、ブラインポンプ163によって室内熱交換器165
へ搬送され、ここで室内空気と熱交換して室内を冷房す
る。
【0047】過冷却器143は、蒸発器147へ向かう
液冷媒と蒸発器147を出たガス冷媒による熱交換器
で、溶液冷却吸収器149は、熱回収を行う熱交換器で
ある。つまり、溶液冷却吸収器149ではガス冷媒と吸
収剤とが接触し、吸収熱を発生しながらガス冷媒が吸収
剤に吸収されNH3 水溶液が得られる。そしてこのNH
3 水溶液は吸収器151に入って吸収過程を完結し、濃
いNH3 水溶液となって溶液ポンプ153を介して溶液
冷却吸収器149に配置された溶液熱交換器167に入
る。ここで、濃いNH3 水溶液は吸収熱を回収し、再び
発生器139に供給される。そして、再度加熱されてガ
ス冷媒となり凝縮器141へ送られる。
【0048】図12は、上記したような吸収式冷凍サイ
クルを利用した熱搬送装置の第5実施例の構成図であ
る。
【0049】暖房時における熱媒体である二酸化炭素の
流れる順に構成要素を列挙すると、熱媒体搬送手段であ
る圧縮機169、切り替え弁としての第1開閉弁17
1、熱源側熱交換器の熱媒体加熱用熱交換器である第1
熱交換器173、加熱器175、第2膨張弁177、そ
して利用側熱交換器である室内熱交換器179となる。
一方、冷房時は、圧縮機169、切り替え弁としての第
2開閉弁181、熱源側熱交換器の熱媒体冷却用熱交換
器である第2熱交換器183、第2膨張弁177、室内
熱交換器179となる。そして、これらは媒体流路とな
る配管185で接続されて密閉系を構成し、熱媒体とし
て二酸化炭素が充填される。
【0050】第1熱交換器173は、凝縮器141およ
び吸収器151と同様に、フィンドチューブ形式で構成
され、これらと互いに接する様に一体で構成され、第1
送風ファン157による冷却の際、冷却空気が凝縮器1
41あるいは吸収器151側から第1熱交換器173へ
流れるように配置する。
【0051】第2熱交換器183および蒸発器187
も、凝縮器141等と同様にフィンドチューブ形式で構
成され、第2熱交換器183と蒸発器187とは互いに
接する様に一体で構成され、第2送風ファン189によ
る冷却の際、空気は蒸発器187側から第2熱交換器1
83へ流れるように配置する。
【0052】第1熱交換器173と第2膨張弁177を
接続する配管に加熱器175を配置し、この加熱器17
5には、発生器139を加熱するバーナ155から排出
された燃焼排ガスを導く排ガス導入管191が接続さ
れ、燃焼排ガスで加熱器175内を通る熱媒体を加熱す
る構成となっている。
【0053】また、加熱器175と第2膨張弁177と
を接続する配管185aと、第2熱交換器183とは配
管185bで接続され、この配管185bには、第2熱
交換器183から配管185a側への熱媒体の流通を許
容する逆止弁193が設けられている。圧縮機169か
ら吐出された熱媒体は、暖房時は第1熱交換器173へ
流れ、冷房時は第2熱交換器183へ流れるように構成
されている。
【0054】吸収式冷凍サイクルの運転は、溶液ポンプ
153の駆動とともに、バーナ155を着火して行う。
定常運転時、溶液熱交換器167を通って溶液冷却吸収
器149内で吸収熱を回収した濃溶液(アンモニア濃度
の濃い水溶液)が発生器139へ供給される。発生器1
39はバーナ155で加熱されているため、濃溶液はア
ンモニアガスと稀溶液(アンモニア濃度の薄い水溶液)
に分離し、アンモニアガスは凝縮器141へ送られ、こ
こで第1送風ファン157で冷却され、アンモニア液と
なる。このアンモニア液は過冷却器143の高温側流路
を介し第1膨張弁145で絞られ、蒸発器187へ入
り、第2送風ファン189による吸熱過程を経て低温低
圧のアンモニアガスとなり、過冷却器143の低温側流
路に入る。したがって、過冷却器143では、凝縮器1
41を出た高温のアンモニア液が、蒸発器187を出た
低温のアンモニアガスで冷却されることになる。
【0055】低温となって過冷却器143を出たアンモ
ニアガスは、発生器139内でアンモニアガスと分離し
た稀溶液とともに、溶液冷却吸収器149へ入り、アン
モニアガスは稀溶液に吸収され、溶液冷却吸収器149
内では吸収熱が発生することになる。
【0056】吸収されたアンモニア溶液は吸収器151
へ送られ、吸収過程を完結して濃溶液となり、この濃溶
液は溶液ポンプ153を介して溶液冷却吸収器149内
に配置された溶液熱交換器167を通り、ここで吸収熱
を回収して再び発生器139へ供給される。
【0057】以上のようなサイクルを繰り返し、凝縮器
141および吸収器151では放熱が行われ、蒸発器1
87では吸熱が行われる。
【0058】次に上記図12の熱搬送サイクルを説明す
る。
【0059】暖房時は、第1開閉弁171を開、第2開
閉弁181を閉とする。そして第2膨張弁177を開と
して圧縮機169を駆動する。これにより、第1熱交換
器173内は、凝縮器141と吸収器151からの放熱
熱量を回収して加熱され、第1熱交換器173内を流通
するCO2 ガスが加熱される。
【0060】加熱されたCO2 ガスは加熱器175で追
加加熱され、第2膨張弁177を介して室内熱交換器1
79に送られ、室内を暖房する。室内熱交換器179を
出たCO2 ガスは、圧縮機169により第1開閉弁17
1を介して再び第1熱交換器173に戻り、このサイク
ルを繰り返す。
【0061】CO2 の臨界温度は約31℃であり、この
ときの圧力は7MPa 以上となる。暖房時はほとんどの
場合、室内熱交換器179をはじめサイクル内は臨界温
度以上となる。したがって、本構成の熱搬送サイクルは
前述した図2に示すような超臨界サイクルとなり、圧縮
機169はガスポンプとして作用するため搬送動力を少
なくすることができると同時に、この領域におけるCO
2 は高密度となるため配管185の径を小さくすること
ができ、第1熱交換器173および第2熱交換器の小型
化が図れる。しがたって、従来のフロン系冷媒を用いた
場合と比較すると、細径配管を用いた施工性のよい、コ
ンパクトな熱搬送サイクルが得られることになる。
【0062】また、従来のフロン系冷媒を用いた場合の
凝縮および蒸発過程では二相流となるため、これらの過
程における温度は一定であるが、本サイクルでは第1熱
交換器173および室内熱交換器179内での温度は勾
配を持つことになる。したがって、これらの熱交換器1
73、179は、内部を流れる熱媒体に対し、熱交換を
行う流体と対向流を形成するように配置することで熱交
換効率の向上が図れることになる。
【0063】なお、第2熱交換器183の出口側は、逆
止弁193を介して圧縮機169の吸引側に接続され、
入口側に接続されている第2開閉弁181は閉となって
いるため、暖房運転前に第2熱交換器183内のCO2
を回収することで、充填するCO2 は低く抑えることが
できる。また、このときの蒸発器187での吸熱は、第
2送風ファン189により空気から行うことになる。
【0064】次に冷房時の動作を説明する。
【0065】暖房時同様に吸収式冷凍サイクルを運転
し、第1開閉弁171を閉、第2開閉弁181を開とす
る。そして、圧縮機169を駆動すると、圧縮機169
から吐出されたCO2 ガスは第2熱交換器183へ入
る。第2熱交換器183は蒸発器187での冷熱により
冷却されるため、第2熱交換器183内を流通するCO
2は、低温の液となって第2膨張弁177で絞られたあ
と、室内熱交換器179へ送られる。室内熱交換器17
9では、液状のCO2 が蒸発することで室内を冷房す
る。
【0066】なお、第1熱交換器173の出口側は圧縮
機169の吸引側に接続され、入口側に接続されている
第1開閉弁171は閉となっているため、高温側となる
第1熱交換器173内にCO2 が滞留することはない。
また、このときの凝縮器141および吸収器151での
放熱は、第1送風ファン157により空気で行うことに
なる。
【0067】したがって、冷房運転時の熱搬送サイクル
は暖房時のような超臨界サイクルではなく、フロン系冷
媒を用いた場合と同じく蒸発領域では二相流となる。
【0068】図13は、この発明の第6実施例に係わる
構成図である。
【0069】吸収式冷凍サイクルは前記12の第5実施
例とほぼ同じであるため、ここでは熱搬送サイクルの構
成のみ説明する。第1熱交換器173と第2熱交換器1
83は、凝縮器141および吸収器151と同様にフィ
ンドチューブ形式で構成されるとともに、凝縮器141
および吸収器151と蒸発器187との間に挟むように
配置する。つまり、各熱交換器は互いに接するように一
体で構成され、凝縮器141側に設けた第1送風ファン
157と、蒸発器187側に設けた第2送風ファン18
9により、各熱交換器間で熱の授受が行われる構成とな
っている。その他の構成要素は、前記図12の第5実施
例と同様である。
【0070】上記図13の第6実施例において、第5実
施例と異なる作用を主に説明する。吸収式冷凍サイクル
の運転方法および動作は、第5実施例の場合と同じであ
る。
【0071】暖房時は、第2送風ファン189のみ駆動
させ、凝縮器141側から蒸発器187側へ空気を送
る。第1熱交換器173は凝縮器141および吸収器1
51の放熱熱量を回収し、第1熱交換器173内を流通
するCO2 を加熱し、これを室内熱交換器179へ搬送
して室内の暖房を行う。
【0072】一方、冷房時は第1送風ファン157のみ
駆動させ、蒸発器187側から凝縮器141側へ空気を
送る。蒸発器187の冷熱により第2熱交換器183内
を流通するCO2 を冷却し、これを室内熱交換器179
へ搬送して室内の冷房を行う。
【0073】上記第6実施例においても、図12の第5
実施例と同様の効果を奏する。
【0074】図14は、この発明の第7実施例を示す熱
搬送装置の構成図である。この熱搬送装置は、熱媒体搬
送手段であるガスポンプ195、利用側熱交換器である
室内熱交換器197、熱源側熱交換器である吸熱・放熱
熱交換器199、四方弁201などが配管203で接続
されて構成される密閉系内に、熱媒体が充填されてい
る。吸熱・放熱熱交換器199の熱媒体に熱を付与する
手段である圧縮式冷凍機205は、圧縮機207、加熱
・冷却熱交換器209、室外熱交換器211、四方弁2
13、膨張弁215などで構成される密閉系に冷媒が充
填されている。
【0075】この実施例は室内熱交換器197が1台の
場合であるが、複数台でも差し支えない。圧縮式冷凍機
205の冷媒には、非フロン系冷媒の例えばアンモニア
などを使用することができる。
【0076】暖房時は、圧縮式冷凍機205はヒートポ
ンプ(加熱装置)となって、加熱・冷却熱交換器209
が加熱熱交換器となり、吸熱・放熱熱交換器199は吸
熱熱交換器となる。吸熱・放熱熱交換器199で加熱・
冷却熱交換器209から加熱された熱媒体は、実線矢印
で示すように、四方弁201、ガスポンプ195を経て
室内熱交換器197に達し、ここで室内空気と熱交換を
行って暖房を行う。室内熱交換器197を出た熱媒体
は、四方弁201を経て吸熱・放熱熱交換器199へ流
れる。
【0077】冷房時は、圧縮式冷凍機205は冷凍機
(冷却装置)となって、加熱・冷却熱交換器209が冷
却熱交換器となり、吸熱・放熱熱交換器199は放熱熱
交換器となる。吸熱・放熱熱交換器199で加熱・冷却
熱交換器209から冷却された熱媒体は、破線矢印で示
すように、四方弁201を経て室内熱交換器197に達
し、ここで室内空気と熱交換を行って冷房を行う。室内
熱交換器197を出た熱媒体は、ガスポンプ195およ
び四方弁201を経て吸熱・放熱熱交換器199へ流れ
る。
【0078】上記図14の実施例においても、前記図7
の第3実施例と同様の効果を奏する。
【0079】図15は、この発明の第8実施例に係わる
サイクル構成を示している。
【0080】暖房時における冷媒の流れる順に構成要素
を述べると、熱媒体搬送手段である圧縮機217、四方
弁219、利用側熱交換器である室内熱交換器221、
膨張弁223、熱源側熱交換器である第1室外熱交換器
225および第2室外熱交換器227となり、これらは
配管229で接続されて密閉系を構成し、この密閉系内
には冷媒として二酸化炭素(CO2 )が充填されてい
る。
【0081】第1室外熱交換器225と第2室外熱交換
器227は、フィンドチューブ形式で構成され、図16
に示すようにケーシング231内で相互に接するように
配置されている。第2室外熱交換器227の下方にはバ
ーナ233が配置され、第2室外熱交換器227の上方
には排気口235が形成されている。第2室外熱交換器
227および第1室外熱交換器225は、第1送風ファ
ン237による空気流に対してそれぞれ上流側および下
流側となるように直列に配置され、送風される空気は第
2室外熱交換器227および第1室外熱交換器225の
フィン間を通過する。
【0082】上記空気流の上流側と下流側との中間、つ
まり第2室外熱交換器227および第1室外熱交換器2
25のそれぞれのフィン間を流通する空気流路の途中
に、閉時にケーシング231の一部となり、開時に大気
と連通してケーシング231に開口部239を形成する
ダンパ241が、軸242を中心に回動可能に設けられ
ている。
【0083】次に動作を説明する。
【0084】暖房時は、膨張弁223はほぼ全開状態、
ダンパ241は大気と連通させる開状態とし、圧縮機2
17を駆動してバーナ233を着火させる。そして第2
送風ファン243を駆動すると、圧縮機217を出たC
2 ガスは、四方弁219を介して室内熱交換器221
に入り室内を暖房する。室内熱交換器221で放熱した
CO2 は、膨張弁223、第1室外熱交換器225を経
て第2室外熱交換器227に入りバーナ233で加熱さ
れ、四方弁219を経て再び圧縮機217に戻り、以降
このサイクルを繰り返す。
【0085】従来、冷媒加熱は燃焼室の外壁からの伝熱
で行う方式が一般的であり、排気口のみを設け、ほぼ密
閉状態の燃焼器内に配置されたバーナは専用のファンに
よって燃焼用空気を得て良好な燃焼を継続していた。
【0086】本構成では、ほぼ大気中に近い状態でバー
ナ233が配置されているため、専用の燃焼用ファンは
設けていない。バーナ233着火時は、対流によって大
気と連通している下方の開口部239から空気が流入す
るため、この空気を燃焼用として良好な燃焼状態が継続
される。そして、バーナ233の燃焼に寄与した空気
は、排ガスとなって排気口235から排出される。
【0087】CO2 の臨界温度は前述したように約31
℃であり、このサイクル中の圧力は7MPa以上とな
る。暖房時はほとんどの場合、室内熱交換器221をは
じめサイクル内は臨界温度以上となる。したがって、本
構成のサイクルは前記図2に示すような超臨界サイクル
となり、圧縮機217はガスポンプとして作用するため
搬送動力を少なくすることができると同時に、この領域
におけるCO2 は高密度となるため配管径を小さくする
ことができる。
【0088】また、従来のフロン系冷媒を用いた場合の
凝縮および蒸発過程では二相流となるため、これらの過
程における温度は一定であるが、本サイクルでは第2室
外熱交換器227、第1室外熱交換器225および室内
熱交換器221内での温度は勾配を持つことになる。し
たがって、これらの熱交換器は熱交換を行う流体と対向
流を形成するように配置することで熱交換効率の向上が
図れる。
【0089】なお、暖房時は第1送風ファン237は停
止しており、第1室外熱交換器225からの放熱は熱損
失となる。しかしながら、上述の理由からコンパクトな
熱交換器として構成できるためこの熱損失は低く抑えら
れる。
【0090】次に、冷房時の動作を説明する。
【0091】ダンパ241は閉とする。この状態のダン
パ241はケーシング231を構成する一部となり、開
口部239は閉塞される。そして圧縮機217、第2送
風ファン243および第1送風ファン237を駆動する
と、圧縮機217から吐出された高温高圧のCO2 ガス
は、四方弁219を経て第2室外熱交換器227、第1
室外熱交換器225で凝縮し、その後膨張弁223で絞
られ低温低圧となって室内熱交換器221に入り、蒸発
して室内を冷房する。室内熱交換器221を出たCO2
ガスは、再び四方弁219を経て、圧縮機217で圧縮
される。
【0092】第2室外熱交換器227と第1室外熱交換
器225を一体に構成するケーシング231内では、第
1送風ファン237により、空気が排気口235から流
入し、第2室外熱交換器227のフィン間を流れ、その
後第1室外熱交換器225のフィン間を流れ、凝縮熱を
放出する。つまり、冷房時はダンパ241を閉とするこ
とで、第1室外熱交換器225とともに第2室外熱交換
器227が凝縮器として利用できることになる。
【0093】以上のように、上記図15に示したサイク
ルによれば、暖房サイクルは超臨界サイクルとなり、C
2 ガスは高密度となるため配管径が小さくできるとと
もに各熱交換器は小型化が図れることになる。また、各
熱交換器は熱交換を行う空気と対向流を形成することで
熱交換効率の向上が図れる。
【0094】したがって、従来のフロン系冷媒を用いた
場合と比較すると、細径配管を用いた施工性の良い、コ
ンパクトで熱損失の少ない熱搬送サイクルを得ることが
可能となる。
【0095】次に、以上のような各実施例による熱搬送
装置において、熱媒体としてCO2を使用した場合に配
管径を細くできる理由を図18を用いて説明する。
【0096】図18(b)および(c)は、冷房能力約
IHP(2800kW)クラスの空気調和装置における熱
媒体が、それぞれR22およびCO2 の場合の配管径を
示す。図18(b)のように、R22が熱媒体の場合、
通常、ガス配管Gは3/8インチ、液配管Lは1/4イ
ンチのものが用いられる。図18(c)のように、CO
2 が熱媒体の場合、作動圧力が高いために比容積がR2
2の約1/2になり、配管長を一定とすると配管径がR
22の約0.7倍で済む。そのため、CO2 を熱媒体と
した場合には、ガス配管Gは1/4インチ、液配管は約
4.5mmのものを用いることができる。
【0097】図18(a)に示すように、冷房負荷、暖
房負荷、配管長を一定とし、比体積が最大時の体積冷媒
循環量[m3 /h]を求めると、CO2 はR22の約1
/2である。配管長が一定であるので、CO2 を使用し
た場合の配管は、R22を使用した場合の配管に対し、
断面積比が1/2になり、直径比は約0.7となる。
【0098】細径化した配管として図18(d)に示す
ように、キャピラリチューブ245を使用してもよい。
また、配管を図18(e)に示すような二重管247と
し、内側配管249内に比容積の小さい熱媒体(液体)
を流通させ、外側配管251内に比容積の大きい冷媒を
(気体)流通させるようにしてもよい。内側配管24
9、外側配管251のそれぞれの外周には、断熱材25
3が設けられている。
【0099】キャピラリチューブ245、二重管247
共に、細径化・小型化が可能なため、作業性・施工性が
向上する。
【0100】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
れば、 (1)熱搬送サイクルの熱媒体には、地球環境問題で規
制されていない非フロン系冷媒を用いることができる。
【0101】(2)熱搬送サイクルは熱媒体の超臨界域
で作動することが可能なため、熱媒体を高密度で搬送で
きることから、配管径を細くでき施工性が向上する。
【0102】(3)熱搬送サイクルは吸込圧と吐出圧と
の圧力差の小さいガスポンプを用いて熱媒体を搬送する
ため、搬送動力を小さくでき省エネルギー化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例を示す熱搬送装置の構成
図である。
【図2】図1の熱搬送装置で使用した熱媒体の状態をモ
リエル線図上に書き表した説明図である。
【図3】図1の熱搬送装置における吸熱熱交換器での熱
媒体および排ガスの温度分布図である。
【図4】図1の熱搬送装置における放熱熱交換器での熱
媒体および排ガスの温度分布図である。
【図5】この発明の第2実施例を示す熱搬送装置の構成
図である。
【図6】図5の熱媒体の状態をモリエル線図上に書き表
した説明図である。
【図7】この発明の第3実施例を示す熱搬送装置の構成
図である。
【図8】図7の第3実施例の変形例を示す熱搬送装置の
構成図である。
【図9】この発明の第4実施例を示す熱搬送装置の構成
図である。
【図10】図9の第4実施例の変形例を示す熱搬送装置
の構成図である。
【図11】吸収式冷凍機の一般的な構成図である。
【図12】図11の吸収式冷凍機を利用したこの発明の
第5実施例を示す熱搬送装置の構成図である。
【図13】この発明の第6実施例を示す熱搬送装置の構
成図である。
【図14】この発明の第7実施例を示す熱搬送装置の構
成図である。
【図15】この発明の第8実施例を示す熱搬送装置の構
成図である。
【図16】図15の実施例における相互に一体化した加
熱器および室外熱交換器の断面図である。
【図17】図16の右側面図である。
【図18】(a)は、冷暖房負荷、配管長さを一定とし
た場合、冷媒循環量などを、R22とCO2 とで比較し
て示した説明図である。(b)は、熱媒体としてR22
を使用した場合の配管径を示し、(c)は熱媒体として
CO2 を使用した場合の配管径を示し、(d)は配管に
キャピラリを使用した場合、(e)は二重管を使用した
場合を示す。
【図19】熱媒体を用いて熱を搬送することにより暖房
を行う従来の熱搬送システムの構成図である。
【図20】図1の熱媒体の絶対圧力Pとエンタルピhと
の関係を示したモリエル線図である。
【図21】熱媒体を用いて熱を搬送することにより暖房
を行う他の従来の熱搬送システムの構成図である。
【図22】熱媒体を用いて冷熱を搬送することにより冷
房を行う従来の熱搬送システムの構成図である。
【図23】熱媒体の超臨界域と二相域との間で作動する
冷凍サイクル、即ち遷臨界冷凍サイクルの従来例の構成
図である。
【図24】二酸化炭素のモリエル線図上に冷凍サイクル
の絶対圧力Pとエンタルピhとの関係を描いたものであ
る。
【符号の説明】
47,75,195 ガスポンプ(熱媒体搬送手段) 49 放熱熱交換器(利用側熱交換器) 51 吸熱熱交換器(熱源側熱交換器) 53,85,119,185,203 配管 55,87,125 バーナ(加熱器) 77,113,179,197,221 室内熱交換器
(利用側熱交換器) 79 四方弁(切り替え弁) 81,115 熱媒体加熱用熱交換器(熱源側熱交換
器) 83,117 熱媒体冷却用熱交換器(熱源側熱交換
器) 89 吸収式冷凍機 93 発生器 111 冷媒ポンプ(熱媒体搬送手段) 123,135 パイプ(熱風流路) 127,133 二方弁(切り替え弁) 137 三方弁(切り替え弁) 141 凝縮器 151 吸収器 169,217 圧縮機(熱媒体搬送手段) 171 第1開閉弁(切り替え弁) 181 第2開閉弁(切り替え弁) 173 第1熱交換器(熱媒体加熱用熱交換器) 183 第2熱交換器(熱媒体冷却用熱交換器) 187 蒸発器 199 吸熱・放熱熱交換器(熱源側熱交換器) 205 圧縮式冷凍機 225 第1室外熱交換器(熱源側熱交換器) 227 第2室外熱交換器(熱源側熱交換器) 231 ケーシング 233 バーナ(冷媒加熱器) 237 第1送風ファン(送風機) 239 開口部 241 ダンパ 245 キャピラリチューブ 247 二重管 249 内側配管 251 外側配管 253 断熱材
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年5月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】暖房運転時においては、バーナ87にて熱
媒体加熱用熱交換器81を加熱して、ガスポンプ75に
より熱媒体を室内熱交換器77に搬送し、吸収式冷凍機
89は稼働させない。このとき、四方弁79の流路は実
線状態であり、熱媒体加熱用熱交換器81を出た熱媒体
は、四方弁79、ガスポンプ75、四方弁79、室内熱
交換器77、熱媒体冷却用熱交換器83の順に流れる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】冷房運転時には、バーナ87は作動させ
ず、吸収式冷凍機89を稼働させて冷却装置とし、蒸発
器91と熱媒体冷却用熱交換器83との間で熱交換を行
なう。熱媒体冷却用交換器83にて冷却された熱媒体
は、ガスポンプ75を用いて室内熱交換器77へ搬送さ
れる。このとき、四方弁79の流路は破線状態であり、
熱媒体冷却用熱交換器83を出た熱媒体は、室内熱交換
器77、四方弁79、ガスポンプ75、四方弁79、熱
媒体加熱用熱交換器81の順に流れる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐久間 勉 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝住空間システム技術研究所内 (72)発明者 小津 政雄 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝住空間システム技術研究所内 (72)発明者 今村 正樹 東京都港区新橋3丁目3番9号 東芝エ ー・ブイ・イー株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱媒体搬送手段と熱源側熱交換器と利用
    側熱交換器とが配管により接続されて構成される密閉系
    内に熱媒体を封入し、この熱媒体の前記熱源側熱交換器
    および利用側熱交換器での各熱交換を、前記熱媒体の臨
    界点より圧力が高い超臨界域で行うことを特徴とする熱
    搬送装置。
  2. 【請求項2】 熱媒体は、二酸化炭素であることを特徴
    とする請求項1記載の熱搬送装置。
  3. 【請求項3】 熱源側熱交換器および利用側熱交換器を
    流れる熱媒体は、熱媒体と熱交換を行う流体と相互に対
    向流を形成することを特徴とする請求項1記載の熱搬送
    装置。
  4. 【請求項4】 熱源側熱交換器の熱媒体を加熱する加熱
    器に、バーナを使用して暖房運転を行うことを特徴とす
    る請求項1記載の熱搬送装置。
  5. 【請求項5】 熱媒体搬送手段と熱源側熱交換器と利用
    側熱交換器とが配管により接続されて構成される密閉系
    内に熱媒体を封入し、前記熱源側熱交換器として熱媒体
    加熱用熱交換器と熱媒体冷却用熱交換器とを設けるとと
    もに、暖房時と冷房時とで流路が切り替わる切り替え弁
    を設け、前記熱媒体加熱用熱交換器の熱媒体を加熱する
    加熱器にバーナを使用して暖房運転を行う一方、前記熱
    媒体冷却用熱交換器の熱媒体を冷却する冷却器に吸収式
    冷凍機を使用して冷房運転を行うことを特徴とする熱搬
    送装置。
  6. 【請求項6】 熱媒体搬送手段と熱源側熱交換器と利用
    側熱交換器とが配管により接続されて構成される密閉系
    内に熱媒体を封入し、前記熱源側熱交換器として熱媒体
    加熱用熱交換器と熱媒体冷却用熱交換器とを設け、前記
    熱媒体加熱用熱交換器の熱媒体を加熱する加熱器にバー
    ナを使用して暖房運転を行う一方、前記熱媒体冷却用熱
    交換器の熱媒体を冷却する冷却器に吸収式冷凍機を使用
    して冷房運転を行い、この冷房運転時において、前記吸
    収式冷凍機の発生器を加熱する加熱源として前記バーナ
    を兼用したことを特徴とする熱搬送装置。
  7. 【請求項7】 バーナによる熱風を熱媒体加熱用熱交換
    器および発生器にそれぞれ導く熱風流路を設け、前記熱
    風が暖房時は熱媒体加熱用熱交換器側へ、冷房時には発
    生器側へそれぞれ導かれるよう切り替わる切り替え弁を
    前記熱風流路に設けたことを特徴とする請求項6記載の
    熱搬送装置。
  8. 【請求項8】 熱媒体搬送手段と熱源側熱交換器と利用
    側熱交換器とが配管により接続されて構成される密閉系
    内に熱媒体を封入し、前記熱源側熱交換器として熱媒体
    加熱用熱交換器と熱媒体冷却用熱交換器とを設け、前記
    熱媒体搬送手段から吐出された熱媒体が前記熱媒体加熱
    用熱交換器側に流れる媒体流路と、前記熱媒体冷却用熱
    交換器側に流れる媒体流路とに分岐させて設けるととも
    に、前記熱媒体搬送手段の吸い込み側に利用側熱交換器
    を配置し、前記二つの媒体流路への熱媒体の流れ方向を
    切り替える切り替え弁を設け、吸収式冷凍機の凝縮器お
    よび吸収器を前記熱媒体加熱用熱交換器に対して熱交換
    可能なよう一体化し、前記吸収式冷凍機の蒸発器を前記
    熱媒体冷却用熱交換器に対して熱交換可能なよう一体化
    したことを特徴とする熱搬送装置。
  9. 【請求項9】 吸収式冷凍機の凝縮器および吸収器、熱
    媒体加熱用熱交換器、熱媒体冷却用熱交換器、吸収式冷
    凍機の蒸発器を、これらの順に直列に配置して相互間で
    の熱的授受が可能なよう一体化し、冷房時と暖房時とで
    熱の授受方向を切り替え可能に構成したことを特徴とす
    る請求項8記載の熱搬送装置。
  10. 【請求項10】 熱媒体搬送手段と熱源側熱交換器と利
    用側熱交換器とが配管により接続されて構成される密閉
    系内に熱媒体を封入し、前記熱源側熱交換器に熱を付与
    する手段として圧縮式冷凍機を用いたことを特徴とする
    熱搬送装置。
  11. 【請求項11】 熱媒体搬送手段と熱源側熱交換器と利
    用側熱交換器とが配管により接続されて構成される密閉
    系内に熱媒体を封入し、前記熱源側熱交換器を、第1室
    外熱交換器および、冷媒加熱器が付設された第2室外熱
    交換器で構成し、これら第1,第2室外熱交換器の冷媒
    配管を直列に接続し、送風機による空気流に対して第
    1,第2室外熱交換器は互いに上流側と下流側となるよ
    うケーシング内に配置し、第1,第2室外熱交換器相互
    間に、前記ケーシングの一部を構成する状態と、大気と
    連通可能な開口部を形成する状態との間を移動可能なダ
    ンパを設けたことを特徴とする熱搬送装置。
  12. 【請求項12】 熱媒体搬送手段と熱源側熱交換器と利
    用側熱交換器とが配管により接続されて構成される密閉
    系内に熱媒体を封入し、前記配管を細径化したことを特
    徴とする熱搬送装置。
  13. 【請求項13】 配管にキャピラリチューブを用いたこ
    とを特徴とする請求項12記載の熱搬送装置。
  14. 【請求項14】 配管を内側配管と外側配管とからなる
    二重管構造として内側および外側の各配管の外周に断熱
    材を設け、内側配管に比容積が小さい流体を流通させ、
    外側配管に比容積が大きい流体を流通させることを特徴
    とする請求項12記載の熱搬送装置。
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