JPH0725219U - 防音形水冷式エンジン発電機の低騒音構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】水冷式エンジンの冷却用ファンからの排風を独
立したフード状のシェラウド室に導き、マフラを下部に
配置し、防音性能及び冷却性能の向上を図る。 【構成】防音ボンネット１内に水冷式エンジン２と発電
機３とを収納し、前記水冷式エンジンが具備するファン
７に近接して仕切壁８を設け、該仕切壁によりエンジン
・発電機室１１と排風処理室１２とに画成し、仕切壁に
ファン７と略同径の孔を明け、該孔の外周にフード状の
包囲壁１４で包囲したシェラウド室１７を排風処理室内
に独立して設け、該シェラウド室の横側方にラジエータ
１３を垂直に立設し、排風ダクト室１８の下部にマフラ
を配設し、排風ダクト室の上部より排風を放出するよう
に形成した低騒音構成である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、防音形水冷式エンジン発電機の防音性能と冷却効率の向上を図る防 音形水冷式エンジン発電機の低騒音構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種の防音形水冷式エンジン発電機の冷却構造は、図３に示すように 、一軸線状に直結された水冷式エンジン４１と発電機４２とが防音ボンネット４ ３内に収納されている。該防音ボンネット４３の発電機４２に近い部分の側壁に は吸気口４４，４４，４４が明けられ、水冷式エンジン４１の発電機４２と反対 側には水冷式エンジン４１にて回転駆動されるエンジンファン４５が軸支されて いる。該エンジンファン４５に対向させてラジエータ４６が配設され、更にエン ジンファン４５の周囲は包囲壁４７で囲繞されている。

【０００３】 そして、エンジンファン４５により該吸気口４４，４４，４４から外気、つま り冷却空気が防音ボンネット４３内に吸入され、まず、発電機４２を冷却し、次 いで水冷式エンジン４１を冷却し、その他バッテリや制御装置を冷却し、その後 、ラジエータ４６を経て排風ダクト４８内に導入され、更に該排風ダクト４８の 上部に配設されたマフラ４９を冷却して、排風口５０を経て外部に放出されるよ うになっている。排風ダクト４８は防音ボンネット４３内を水冷式エンジン４１ 、発電機４２、及び制御装置が収納される部屋とは別に仕切って形成したもので ある。 また、排風ダクト４８内に独立してシェラウド室を設け、このシェラウド室内 の冷却ファンの前方下部に傾斜してラジエータを配置し、エンジンファンとラジ エータとの間を所定距離あけて、このラジエータに吹き付ける風切り音を減少さ せて防音および冷却する方法も考えられる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】 ところで、上述のようなエンジンファンに対向させてラジエータが配設されて いる方式では、エンジンファンがラジエータに対して近接して配設されているの で、エンジンファンによる冷却風がラジエータのコアを通過する際の風切り騒音 が大きく、この騒音が排風ダクトを経て排風口から外部に放散してしまい、不快 音として周囲に与える影響が大きかった。特に、マンション等の集合住宅内にお ける夜間作業に支障があった。

【０００５】 また、市場の要求から、防音ボンネットの小型化が求められており、機械の長 手方向寸法を極力小さくしたいのであるが、従来方式のままでラジエータの前面 寸法を短くすると、逆に排風抵抗が大きくなり冷却性能を満足しない欠点があっ た。 更に、排風ダクトの上部にマフラが裸の状態で配設されているので、マフラの 熱が直接ラジエータにあたり、ラジエータの冷却効率を低下させていた。

【０００６】 上述のようにエンジンファンの吹き出し口にシェラウド室を独立して設け、ラ ジエータを傾斜して設けたものではラジエータ内の水抜きを完全に排水させるこ とができず、内部の水の流れが悪く、シェラウド室の下方に傾斜してあるからラ ジエータのコア面に塵埃や油分などが付着し易く、ラジエータ注水の操作が面倒 である。 そこで、本考案は、防音形水冷式エンジン発電機の排風処理室内にＬ字状のシェ ラウド室を独立して設け、ラジェータを冷却用ファンの排風方向の横側方に垂直 に立設し、もって防音性能及び冷却性能を向上させた防音形水冷式エンジン発電 機の低騒音構造を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上述事情に鑑みなされたものであって、防音ボンネット内に水冷式 エンジンと、この水冷式エンジンにて駆動される発電機とを収納し、前記水冷式 エンジンの前方に冷却用ファンを介在して排風処理室を設けた防音形水冷式エン ジン発電機において、エンジン・発電機室と前記排風処理室とに画成し、前記水 冷式エンジンが具備する冷却用ファンに近接して仕切壁を設け、前記冷却用ファ ンと略同径で、この冷却ファンを臨ませる孔を前記仕切壁に穿設し、該孔の前面 側にフード状の包囲壁で囲まれたシェラウド室を前記排風処理室内に独立して設 け、該シェラウド室の横側方で、前記冷却用ファンの排風方向をＬ字状にした位 置にラジエータを垂直に立設し、前記シェラウド室の底板と前記仕切壁および前 記排風処理室外壁とで囲まれる空間にマフラを配置してなり、冷却用ファンから の前記ラジエータに吹き付けられた排風を前記シェラウド室外に排出し、この排 風方向を下部の前記マフラの周囲を通過せしめ、前記シェラウド室と前記排風処 理室との間のエンジン機関からの排気管を冷却させながら前記排風処理室の天井 側から排気を外部に放出してなることを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】

上述構成に基づき、冷却用ファンの回転に伴い、外気が側壁面に穿設した吸気 口からエンジン・発電機室へ流入して発電機及び水冷式エンジンを冷却し、排風 処理室内に独立して設けたＬ字状のシェラウド室に圧送され、横側方に設けたラ ジエータに吹き付けて排出され、排風はシェラウド室の外面と排風処理室の内面 との間を下部の方向に向かい、排風処理室の下部に配設したマフラを冷却しなが らマフラの周面およびマフラ管に沿って排風処理室の天井に設けた排風ダクトか ら加熱空気は外部に放出される。従って、エンジン・発電機室内の機関の騒音は 、仕切壁によって区画され、排風とともにシェラウド室内に引き込まれ、排風処 理室内に独立して設けたシェラウド室とラジエータにより一旦遮断され、しかも 下部マフラを経由して排風ダクトを経て天井部より外部に放出するので、多くの 障害物により外部に漏れる騒音は減少する。

【０００９】

【実施例】

図１はこの考案による防音形水冷式エンジン発電機の低騒音構造を示す一実施 例の斜視図である。図２はこの考案による防音形水冷式エンジン発電機の低騒音 構造の実施例を示し、（ａ）は要部正面図、（ｂ）は要部平面図である。図３は 従来の防音形水冷式エンジン発電機の低騒音構造を示す平面図である。

【００１０】 以下、図面に沿って、本考案による一実施例について説明する。 防音ボンネット１は、図１に示すように、一軸線状に直結された水冷式エンジ ン２と発電機３とを収納している。該防音ボンネット１の下部にはベース４が設 けられ、該ベース４には前記水冷式エンジン２と発電機３とが載置されている。 発電機３の上方には燃料タンク５が配設され、防音ボンネット１の発電機３の両 側の壁面下部には吸気口６が明けられている。前記水冷式エンジン２の発電機３ とは反対側にはファン７が設けられ、該ファン７近傍には仕切壁８が立設され、 該仕切壁８のファン７と略同径の穴にファン７が配置されると共に、仕切壁８の 穴（以下、導入口と称す）９の内周には水冷式エンジン２側に向けて突出して形 成された導入ガイド１０が固定されている。そして、該仕切壁８により水冷式エ ンジン２、発電機３、燃料タンク５、エンジン始動用バッテリ、制御装置等を収 納するエンジン・発電機室１１が形成されると共に、仕切壁８の前方には排風処 理室１２が形成される。

【００１１】 次に、排風処理室１２について、図１及び図２に基づいて詳細に説明する。 前記ファン７の排風側にはラジエータ１３が排風処理室１２内に設けたシェラ ウド室１７の横側方に垂直に立設して配設されている。前記仕切壁８の前記導入 口９の周囲には、ファン７からの排風を該ラジエータ１３に導くようにフード状 の包囲壁１４が設けられている。ラジエータ１３の前記包囲壁１４の横側開口部 にすっぽり嵌合するようにボルト１５により前記包囲壁１４の側壁に固設してあ る。そして包囲壁１４およびラジエータ１３によりシェラウド室１７が形成され 、その外壁面と排風処理室１２の内面とで排風ダクト室１８を形成している。

【００１２】 更に、排風処理室１２の下部にはマフラ２０が幅方向に延設されている。該マ フラ２０には排気管２１の一端が接続され、該排気管２１の他端は前記仕切壁８ を貫通して水冷式エンジン２の排気口に接続されている。

【００１３】 本実施例は、以上のような構成よりなるので、図１および図２に示すように、 ファン７の回転により、吸気口６から吸入された外気は、エンジン・発電機室１ １へ吸入されて発電機３、水冷式エンジン２、燃料タンク５、エンジン始動用バ ッテリ、制御装置等を冷却し、導入口９を通過して、ファン７を経てシェラウド 室１７内に排出される。この際、導入ガイド１０によりファン７と導入口９との クリアランス（空隙）をできるだけ狭くしたので、エンジン・発電機室１１内の 熱風を効果的にシェラウド室１７に圧送することができる。

【００１４】 そして、ファン７の回転により、シェラウド室１７に圧送され、エンジン・発 電機室１１によって加熱された排風は、包囲壁１４内面によってＬ字状に案内さ れ垂直に立設したラジエータ１３に達し、ラジエータ１３のコアを冷却しながら 通過する。ラジエータ１３を通過した排風は排風処理室１２の壁面１ａに沿って 下方に廻り込み案内され、下部に設けたマフラ２０の表面を冷却しながら排気管 ２１に沿って上方向に案内されて排風ダクト１８室に達し、排気管２１およびマ フラ排気管２５を効果的に冷却して排風口２３のパンチング孔２２から外部に放 出される。

【００１５】 この際、シェラウド室１７に圧送される加熱された排風は、包囲壁１４の内面 に案内されてＬ字状に方向を変え、横側方に垂直に立設したラジエータ１３に達 するので、シェラウド室１７を独立して配設し、所定距離をあけてラジエータ１ ３を垂直に設けたのでコアの風切り音を激減することができる。 また、この防音形水冷式エンジンの騒音は、排風処理室１２内に独立して設け た包囲壁１４で包囲されているので、外部に漏れる騒音は減少する。

【００１６】 また、マフラ２０をシェラウド室１７と排風処理室１２との間の下部に配置し ているので、マフラ２０の熱が直接ラジエータ１３に輻射しないのでラジエータ 冷却効率を低下させることはない。更にマフラ２０の表面を冷却しながら排風ダ クト１８から放出するから周囲の防音材が加熱されることもない。 また、包囲壁１４の上部の点検板１６はボルト締めで着脱可能となっている。 排風処理室１２のボンネット上部のみ取り外すことによりラジエータ１３の点検 ・清掃を行うことができる。

【００１７】 上記構成の防音形水冷式エンジンのヒートバランス及び騒音を計測したところ 、内部の温度上昇に約５°Ｃの余裕が可能となった。また、騒音の面でも、ラジ エータのコア面から風切り音が発生する従来のものと比較すると、表１に示す如 く３ｄＢ（Ａ）の低減データが得られた。この場合、図１に示す防音ボンネット の前後面及び両側面より約７ｍ離れた位置ａ，ｂ，ｃ，ｄで規定通り計測したも のである。

【００１８】

【表１】

【００１９】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、冷却用ファンとラジエータが離れて配 置されているので、冷却用ファンとラジエータが近接して配置された方式に比し て、ラジエータの風切り騒音を減少させることができる。 また、エンジン・発電機室は仕切壁とシェラウド室により密閉された構造にな っており、エンジン・発電機室の騒音は包囲壁で一旦遮断されるので、外部に漏 れる騒音を減少させることができる。

【００２０】 しかも、この考案の低騒音構造はシェラウド室の横側方に、垂直にラジエータ の寸法を縦長に配設することにより、排風は包囲壁に衝突して横側に案内され、 ラジエータ全面、周縁部にまで均等に排風が吹き付けられるから冷却効率を向上 させることができ、防音ボンネットの長手方向の寸法を短くすることができ、防 音ボンネットの小型化が図れる。 更に、ラジエータから離れた位置に遮蔽物として包囲壁が介在されて、排風処 理室の下部にマフラを配設するので、マフラの熱が直接ラジエータに輻射され、 ラジエータの冷却効率を低下させることはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による防音形水冷式エンジン発電機の低
騒音構造を示す一実施例の斜視図である。

【図２】本考案による防音形水冷式エンジン発電機の低
騒音構造の実施例を示し、（ａ）は要部正面図、（ｂ）
は要部平面図である。

【図３】従来の防音形水冷式エンジン発電機の低騒音構
造を示す平面図である。

【符号の説明】

１ 防音ボンネット １ａ 側壁 ２ 水冷式エンジン ３ 発電機 ４ ベース ５ 燃料タンク ６ 吸気口 ７ ファン ８ 仕切壁 ９ 導入口 １０ 導入ガイド １１ エンジン・発電機室 １２ 排風処理室 １３ ラジエータ １４ 包囲壁 １５ ボルト １６ 点検板 １７ シェラウド室 １８ 排風ダクト室 ２０ マフラ ２１ 排気管 ２２ パンチング孔 ２３ 排風口 ２５ マフラ排気管 ３０ 吸気口

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 防音ボンネット内に水冷式エンジンと、
   この水冷式エンジンにて駆動される発電機とを収納し、
   前記水冷式エンジンの前方に冷却用ファンを介在して排
   風処理室を設けた防音形水冷式エンジン発電機におい
   て、 エンジン・発電機室と前記排風処理室とに画成し、前記
   水冷式エンジンが具備する冷却用ファンに近接して仕切
   壁を設け、前記冷却用ファンと略同径で、この冷却ファ
   ンを臨ませる孔を前記仕切壁に穿設し、該孔の前面側に
   フード状の包囲壁で囲まれたシェラウド室を前記排風処
   理室内に独立して設け、該シェラウド室の横側方で、前
   記冷却用ファンの排風方向をＬ字状にした位置にラジエ
   ータを垂直に立設し、前記シェラウド室の底板と前記仕
   切壁および前記排風処理室外壁とで囲まれる空間にマフ
   ラを配置してなり、冷却用ファンからの前記ラジエータ
   に吹き付けられた排風を前記シェラウド室外に排出し、
   この排風方向を下部の前記マフラの周囲を通過せしめ、
   前記シェラウド室と前記排風処理室との間のエンジン機
   関からの排気管を冷却させながら前記排風処理室の天井
   側から排気を外部に放出してなることを特徴とする防音
   形水冷式エンジン発電機の低騒音構造。