JPH0725014A - 液滴噴射型走査記録装置 - Google Patents

液滴噴射型走査記録装置

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JPH0725014A
JPH0725014A JP17154293A JP17154293A JPH0725014A JP H0725014 A JPH0725014 A JP H0725014A JP 17154293 A JP17154293 A JP 17154293A JP 17154293 A JP17154293 A JP 17154293A JP H0725014 A JPH0725014 A JP H0725014A
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JP
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scanning direction
head
dots
pitch
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JP17154293A
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Masaharu Nishikawa
正治 西川
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ヘッドの能力を損うことなくバンディングの異
和感を防止すること。 【構成】第一走査方向(SC1) に反復走査すると共にSC1
と直交する第二走査方向(SC2) に液滴噴射用の複数個の
ノズルを配設したヘッド24(HD)を用いSC2 に記録媒体(S
T)を移動させつつHDをSC1 に反復走査させると共にノズ
ルを描画のための信号に対応させて駆動して液滴噴射さ
せることにより液滴噴射によるドット(DT)をSTにプリン
トする装置において、HDはSC2 において必要とするDTピ
ッチpのN倍(N≧2)のピッチでDTを得る構造とする
と共にこのHDを液滴噴射時にはSC1走査時に必要とする
ピッチpのM倍(M≧2)のピッチで液滴噴射するよう
制御し且つSC1 の往動または復動走査毎にSC2 走査を行
いN×M回のSC1 及びSC2 走査によって単位帯状領域の
走査を行うことにより、得られる各DTは隣接するDTが全
て異ったタイミングの走査によりプリントされるべく制
御する手段39とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット・プリ
ンタのように、液滴噴射によってパターンを形成する液
滴噴射型走査記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】画像信号に対応してノズルよりインク滴
を噴射することによって、記録紙にインクのドットを形
成し、描画するインクジェット・プリンタは広く実用に
供されている。
【0003】また、このインクジェット・プリンタの応
用としてレジスト液やエッチング液を被加工物に噴射し
てレジスト液やエッチング液によるパターンを当該被加
工物に形成すると云ったことも行われるようになった。
【0004】このような、パターンを描画するための液
滴噴射装置の構成例は、例えば、特公昭59‐3194
9号公報に示されるようなものが知られている。この例
は、単一のノズルを有する印字ヘッドをキャリッジに搭
載して第1の走査方向へ移動させ、この間に走査方向と
直角方向に液滴の噴射方向を偏向させて液滴を噴射させ
ることにより、1本の帯状の走査領域を作成する構成で
ある。
【0005】すなわち、図13の(a)に示すように、
矢印B方向に搬送される記録紙5に対してこれと直交す
る方向である矢印A方向にリードスクリュー3を記録紙
5の配設位置に近接して配してあり、このリードスクリ
ュー3にはキャリッジ1が設けられていて、キャリッジ
1はリードスクリュー3によって矢印A方向に移動可能
である。
【0006】キャリッジ1上にはプリント・ヘッド2が
搭載してあり、モータ4によりリードスクリュー3を正
逆回転駆動させる構成としてあって、このモータ4によ
りリードスクリュー3を回転させることにより、キャリ
ッジ1上のプリント・ヘッド2は矢印A方向に移動可能
である。
【0007】記録紙5はプラテンローラ6およびピンチ
ローラ7で支持され、モータ8のステップ回転によって
矢印B方向へ搬送される。プリント・ヘッド2は、例え
ば荷電制御型のインクジェット・プリント・ヘッドを用
いており、噴射されたインク粒子を矢印B方向へ偏向さ
せながら、キャリッジ1の移動に伴って矢印A方向に当
該プリント・ヘッド2は移動する。その結果、図13の
(b)に白丸で示すように、A、B方向に噴射インク粒
子によるドットが分布する帯状の走査領域が作られる。
【0008】矢印A方向への1回の往動または復動で1
本の帯(バンド状の記録ライン)が作られ、次にモータ
8をステップ的に回転させ、B方向に用紙を帯の幅分だ
け送り、次の帯をプリントし、次々に帯をつなぎ合わせ
て面状の走査領域が形成される。
【0009】このように帯状の走査領域をつなぎ合わせ
て面状(2次元平面状)の走査領域を形成するが、この
ようなライン走査による描画方式の装置においては、矢
印B方向の記録用紙の送り精度を高めても、帯と帯の境
界が異和感がない程度に正確に位置合わせするのが極め
て困難である。
【0010】そこで、図13の例では、帯の境界のドッ
トについては前回の走査によるドットa1 ,a2 ,a3
…と次回の走査によるドットb2 ,b4 ,b6 …を交互
にインターレースして配置するようにして、境界部の異
和感を減少させるようにしている。
【0011】描画された像における帯状の走査のつなぎ
目に異和感を生ずるのは、マルチノズル・オンディマン
ド型のプリント・ヘッドを用いる液滴噴射装置において
も全く同様であり、この異和感を与える帯単位のムラの
ことを一般に、バンディングと呼んでいる。
【0012】ところで、このバンディングを目立たせな
いようにする別の例は特開平3‐207665号公報に
おいて公知であり、図14はその説明図である。この図
14は各帯状走査におけるドットの打込みを示してい
る。すなわち、図14の(a)に示すように、第1回の
第一方向走査、すなわち、図示横方向の走査において、
O印のドット位置にプリントが行われる。すなわち、4
個のドットを単位として縦、横方向に交番的にドットの
打込みが行われる。次に記録紙を第二の走査方向、すな
わち図示下方方向にヘッドを相対的に帯の幅の半分だけ
移動させ、図14の(b)に示すように、前回打込んだ
ドット位置にインターレースするように次のドットを打
込む。図において×印で示したのは既に打込まれている
ドットで、O印が次の回に打込まれたドットである。同
様に図14の(c)は次の走査を示し、×印とO印は同
じ定義である。
【0013】このように図14の例では描画1ラインの
帯の中の全ドットが4個単位で交互に別の走査タイミン
グのドットによってインターレースされているために、
各走査の位置ずれが生じても、そのずれは画面全体に均
等に分散して生ずるため、バンディングとしては感知さ
れることがない。
【0014】また、マルチノズル・オンディマンド・イ
ンクジェット・プリント・ヘッドの場合、複数のノズル
のいずれかひとつに目詰まりが生ずると、単純なX‐Y
走査ではそのノズルが担当するラインのドット抜けが著
しい異和感を伴って認知されてしまう。
【0015】この異和感を緩和するための例が、特開平
2‐231149号公報に開示されており、ここでは同
一のピクセル位置に異ったノズルを用いて複数回インク
を打込むようにしている。そして、これにより、一つの
ピクセル位置を異ったノズルにて描画担当することか
ら、ノズルの一つが目詰まりが起こしても、他がカバー
してラインのドット抜けを防止することができるように
なる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】このようにインクジェ
ット・プリント・ヘッドでライン単位で描画する場合、
描画される帯(単位帯状領域)の中の隣接するドット
を、別の走査タイミングのドットによってインターレー
スすることはバンディングを目立たせなくするための有
用な方法である。
【0017】この場合に図13のようにインターレース
する部分が境界部に限定されていると、インターレース
していない部分とインターレースした部分の差が依然と
して異和感として感じられる問題が残る。
【0018】これに対して図14のようにインターレー
スが全画面内一様に行われていれば、バンディングの異
和感は顕著に防止されるが、この場合には液滴噴射ヘッ
ドを可能な動作速度の半分でしか動作させることができ
ないために、あるいは用いられているノズルの1部を休
止させながらプリントを行うことが必要となるために、
高速プリントが要求される用途に対しては適用し難いと
云う問題がある。
【0019】従って、液滴噴射ヘッドの描画速度を損う
ことなく、バンディングの異和感を防止することができ
るような技術の確立が嘱望されている。そこで、この発
明の目的とするところは液滴噴射ヘッドの能力を損うこ
となく、バンディングの異和感を防止することを可能に
した液滴噴射型走査記録装置を実現することにある。
【0020】また、本発明の別の目的はマルチノズルオ
ンディマンド液滴噴射ヘッドにおいていずれかのノズル
に噴射の不揃が生じた場合にも、その影響を分散させて
緩和することが可能な液滴噴射型走査記録装置を提供す
ることにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成する
ために、本発明はつぎのように構成する。すなわち、第
一走査方向に反復走査すると共に、この第一走査方向と
直交する第二走査方向に複数個の液滴噴射ノズルを配設
した液滴噴射ヘッドを用い、上記第二走査方向に記録媒
体を移動させつつ液滴噴射ヘッドを第一走査方向に走査
させ、液滴噴射ノズルを描画のための信号に対応させて
駆動して液滴噴射させることにより、記録媒体にプリン
トするようにした記録装置において、液滴噴射ヘッドは
第二走査方向において必要とするドットピッチpのN倍
(N≧2)のピッチで液滴噴射によるドットを得る構造
とすると共に、この液滴噴射ヘッドを液滴噴射時には第
一走査方向走査時に必要とするピッチpのM倍(M≧
2)のピッチで液滴噴射するよう制御し、かつ、第一走
査方向の往動または復動走査毎に第二走査方向走査を行
い、N×M回の第一及び第二走査方向走査によって単位
帯状領域の走査を行うことにより、各液滴噴射による得
られるドットは隣接するドットが全て異ったタイミング
の走査によりプリントされるべく制御する制御手段とを
具備して構成する。
【0022】
【作用】このような構成において、液滴噴射ヘッドは第
二走査方向において必要とするドットピッチpのN倍
(N≧2)のピッチで液滴噴射によるドットを得るノズ
ル配置構造としてあり、制御手段はこの記録ヘッドを液
滴噴射時には第一走査方向走査時に必要とするピッチp
のM倍(M≧2)のピッチで液滴噴射するよう制御し、
かつ、第一走査方向の往動または復動走査毎に第二走査
方向走査をするべく制御を行い、N×M回の第一及び第
二走査方向走査によって単位帯状領域の描画を行う。
【0023】これによって、記録ヘッドの各ノズルから
の液滴噴射により得られるドットは隣接するドットが全
て異ったタイミングの走査によりプリントされるような
タイミング関係になり、従って、この構成によれば、液
滴噴射ヘッドは、液滴を噴射した場合、1サイクルの第
一方向走査に於て記録媒体面上に付着する液滴数は、単
位帯走査に必要な液滴数の1/N・Mであり、従ってN
×M回の走査でドットをインターレースさせて予定のド
ット密度を得ることなる。
【0024】そして、第二走査方向にN×pなるノズル
ピッチの液滴噴射ヘッドを用いるため、液滴噴射ヘッド
の能力を殺すことなくドットのインターレースを行い、
バンディングの問題を解決させることができる。そし
て、これにより、ノズルに噴射の不揃いが生じた場合で
も、その影響を緩和できる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。初めに第1実施例について説明する。 (第1実施例)この実施例は、液滴噴射ヘッドと記録媒
体の間の主走査である第一走査方向にクロスする方向に
複数個のノズルを有するマルチノズル液滴噴射ヘッド、
あるいは液滴の飛翔方向が偏向される荷電制御型液滴噴
射ヘッドをキャリッジに搭載し、該キャリッジを第一走
査方向に相対移動させて記録媒体上に帯状の走査領域を
形成し、記録媒体とキャリッジを第一の方向と直交する
第二の走査方向に相対移動させて帯状走査領域を面状の
走査領域に拡大する液滴噴射装置において、第二走査方
向にて必要とするドットピッチpのN倍(N≧2)のピ
ッチでドット噴射する構成のヘッドを用いると共に、上
記ヘッドを第一走査方向走査時に必要とするピッチpの
M倍(M≧2)のピッチで液滴を噴射するよう制御する
ようにし、また、第一走査方向の往動または復動走査毎
に第二走査方向走査を行い、N×M回の第一及び第二走
査方向走査によって単位帯状領域の走査を行うようにす
ることにより、各噴射ドットに隣接するドットが全て異
ったタイミングの走査によってインターレースされるよ
うにするものであり、つぎのように構成する。
【0026】図1は本発明を適用した液滴噴射型記録装
置の構成例である。同図において、11は長尺の記録紙
を巻回した記録紙ロールで、この記録紙ロール11から
引き出された記録紙17はガイドローラ12を経由して
送られ、プラテン15によって位置決めされる。プラテ
ン15は記録紙17の対向面が平坦な面となる吸引ボッ
クスとなっており、また、このプラテン15は記録紙1
7の対向面に細かい吸引孔が穿設されていて、内蔵され
るファン16によってプラテン15の内部は負圧が与え
られ、記録紙17を吸引保持する構成となっている。
【0027】13は搬送ローラであり、この搬送ローラ
13は記録紙17の送り方向から見て、下流側のプラテ
ン15端部近傍に配される。そして、ガイドローラ12
と搬送ローラ13により記録紙17はプラテン15の表
面に案内され、プラテン15と摺動して平面が維持され
るようにして搬送されるようになっている。
【0028】上記搬送ローラ13はこれに接触するピン
チローラ14が配されており、副走査モータ18により
回転力を受けるように結合されている。従って、副走査
モータ18により搬送ローラ13を回転させると、ピン
チローラ14との間に挾持されて送り出され、記録紙1
7は搬送される。この搬送方向を主搬送方向とする。
【0029】21は移動走査台(キャリッジ)で、プラ
テン15に近接配置された一対のガイドレール19,2
0上にスライド可能に支持されていて、帯状の走査を行
う液滴噴射プリント・ヘッド24を保持している。一対
のガイドレール19,20はプラテン15に平行であ
り、ガイドレール19,20上を移動走査台21が移動
することで、移動走査台21上の液滴噴射プリント・ヘ
ッド24はプラテン15に平行に、かつ、副搬送方向に
対して直交する方向(主搬送方向)に移動走査される構
成となっている。
【0030】上記ガイドレール20の両端部近傍には一
対のプーリが配されており、図における26はこれらの
うちの一方のプーリを示している。これらプーリ間には
ワイヤ28を巻回して掛け渡してあり、そしてワイヤ2
8はワイヤフック25によって移動走査台21に固定さ
れていて、一方のプーリ26は主走査モータ29上によ
り回転駆動される構成である。従って、主走査モータ2
9を正逆回転駆動させることにより、プーリ26は回転
し、ワイヤ28が移動してこの移動はワイヤフック25
を介して移動走査台21に伝達され、移動走査台21は
一対のガイドレール19,20に案内されて反復移動走
査する構成となる。
【0031】30はプリント原画信号源で、ラスタ画信
号(プリント画信号)を送出するものである。このプリ
ント原画信号源30から供給されるラスタ画信号は書込
み回路31の指示に従ってビットマップメモリ32に書
込まれる。そして、液滴噴射プリント・ヘッド24の液
滴噴射順序に対応したアドレスを読出し回路33によっ
て読出しアドレスが指定されながら、ビットマップメモ
リ32からプリント画信号の読出しが行われるようにな
っている。
【0032】35は液滴噴射プリント・ヘッド24を駆
動するプリント・ヘッド・ドライバであり、ビットマッ
プメモリ32から読み出されたプリント画信号は、プリ
ント・ヘッド・ドライバ35へ送られ、液滴噴射プリン
ト・ヘッド24をドライブするのに適した形に変換さ
れ、液滴噴射プリント・ヘッド24に供給される。37
は主走査モータ29を駆動する主走査モータドライバで
あり、38は副走査モータ18を駆動する副走査モータ
ドライバで、制御回路39の指令により動作する。
【0033】制御回路39はシステムの制御の中枢を担
うものであって、この制御回路39はこれらの主走査モ
ータ29および副走査モータ18の動作と連動させプリ
ント画信号の流れ、タイミングを制御する。
【0034】上記液滴噴射プリント・ヘッド24は移動
走査台21の往動または復動によって、帯状の走査領域
にプリント画信号に応答してインク等の液滴を噴射する
ものである。このようなヘッドとしては例えばマルチノ
ズルのオンディマンド型インクジェット・プリント・ヘ
ッド、あるいは荷電制御型のインクジェットヘッドがあ
る。そして、この種のヘッドにおいて適用するのはプリ
ント用のインク以外にエッチングレジスト液やオフセッ
ト製版パターン液を適用することも可能であり、本発明
においてはこれ等の各種の液の噴射装置をも対象とする
ものとして、24を液滴噴射プリント・ヘッドと呼ぶ。
【0035】本装置においては、移動走査台21の往動
走査または復動走査毎に帯状の走査領域を作ると共に、
副走査モータ18をステップ的に回転させて帯状の走査
領域を記録紙17の送り方向(副走査方向)に拡大して
2次元平面への描画を可能にする。
【0036】図2は本発明の液滴噴射型走査記録装置に
おいて液滴を噴射するモードにつき説明する図である。
図2の(a)はマルチノズル液滴噴射ヘッドHを示して
おり、液滴噴射プリント・ヘッド24として使用される
ものであって、正面から見た図であり、n1〜n5はそ
のノズルである。荷電制御型ヘッドの場合には偏向電界
によって偏向された液滴の第2走査方向到達点の位置を
示すものとする。図においてpは必要とする液滴の配列
ピッチ、すなわち、基準ドットピッチとし、各ノズルは
そのN倍(n≧2)のピッチNpにて配列されているも
のとする。図示の例ではNは“3”となっている。
【0037】図2の(b)は図2の(a)のマルチノズ
ル液滴噴射ヘッドHを液滴噴射プリント・ヘッド24と
して用い、移動走査台21をガイドレール19,20に
沿って移動させた時に、噴射させた液滴の到達位置を示
すものである。矢印Xは主走査方向、すなわち、上記の
液滴噴射プリント・ヘッド24の移動による第一の走査
方向を示している。この走査において特徴となるのは、
第一の走査方向において、基準ピッチpのM倍のピッチ
であるM×p毎にドットが形成される点にある。
【0038】かくして1回の第一走査方向走査によって
得られるドットは符号“1”を付した白丸の位置に噴射
されて記録されることになり、これは本来必要とするピ
ッチpでドットを埋め尽くした場合のドット数の1/N
・Mの量だけ、ドットの形成がなされたことになる。な
お、第1の走査方向のヘッドの移動速度を、液滴噴射プ
リント・ヘッド24の最高応答速度にて動作させた時
に、そのドット間隔がM×pとなるように走査速度を設
定しておけば、液滴噴射プリント・ヘッド24の能力を
全く損うことなく作動させることができる。
【0039】図2の(c)は2回目の第一走査方向走査
におけるドットの配置を示す図である。2回目の第一走
査方向走査の前に副走査モータ18を駆動制御して記録
紙17を1ドットピッチpだけ矢印Y方向、すなわち、
副走査方向(第二の走査方向)に送っておく。そして1
回目と同様に移動走査台を往動または復動させて符号
“2”を付した白丸の位置にドットを形成する。
【0040】そして図2の(d)は、更に次の第一走査
方向走査を示し、記録紙17をpだけ送ってから3回目
のドットを形成した状態で、当該3回目のドット形成位
置を符号“3”を付して示す。
【0041】さらにその次の走査は図2の(e)に示さ
れ、記録紙17をpだけ送ってから行うが、これ以降は
第一走査方向のドット位置を1ドットピッチpだけ第一
走査方向にずらせ、記録した様子を示すもので、この回
で形成されるドット位置は符号“4”を付して示す。
【0042】更にその後のドット形成は図2の(f)、
そして、図2の(g)の順に進み、各回でのドット形成
位置は符号“5”,“6”を付して示してある。そし
て、図2の(b)から図2の(g)までの(M×N)回
の第一走査方向走査及び第二走査方向のステップ送り走
査によって、単位帯領域、すなわち1回の第一走査方向
走査によって液滴噴射ヘッドHがカバーする記録エリア
内の全ドットに相当する数のドット形成が終了する。
【0043】このようなモードによって形成された液滴
ドットの配置を図2の(g)によって見てみれば、各ド
ットに隣接するドットは総て異った第一走査方向走査時
に作られたものであることがわかる。そして、各第一走
査方向走査毎にステップ的に用紙(記録紙17)を送る
第二走査の工程が含まれている。従って、第一、第二の
走査方向走査に除去困難な走査ムラが生じた場合でも、
形成されるドット位置のズレは単位帯の中の各所に分散
されてしまうことになる。
【0044】走査ムラは許容範囲内でランダムな量で生
ずることが多く、従って、ドットの重なり方は統計的な
ランダムな分布として画面全体に発生し、局所的に他の
部分と異った分布、すなわち、バンディングを生じて目
立つと云うことがない。
【0045】このようにして単位帯領域の全走査が終了
するとつぎに記録紙17を第二走査方向に大きく移動さ
せ、次の単位帯を隣接させて形成する。ここで単位帯
(記録単位となる所定幅の記録ライン)の第二走査方向
の幅はヘッドのノズル数をXとするとN×X×pであ
り、単位帯走査の間に行う第二走査方向のステップ送り
の回数はN・M−1回であるから、その送り量は(N・
M−1)p、従って単位帯の最後の第一走査方向走査の
次に行う第二走査方向のステップ送り量をWとすると、
W=N・X・p−(N・M−1)p={N(X−M)+
1}pとなる。
【0046】図示例ではN=3,X=5,M=2であ
り、Wは10pとなる。図2の(h)の“7”を付した
O印はこの送りの後に、次の単位帯の1回目の第一走査
方向走査を行った時のドット位置を示している。
【0047】このように、本発明においては走査により
形成される各ドットを、第一、第二走査方向における異
った走査タイミングでの噴射によるドットによって相互
にインターレースさせることから、このインターレース
のために液滴噴射ヘッドの能力を損うことなく動作させ
ることができ、また、粗いノズル配列密度のヘッドで、
高密度のドット形成を行うことができる。ドットの相互
のインターレースは、バンディングを全く目立たないも
のとするだけでなく、液滴噴射ヘッドの各ノズルの特性
にムラがある場合でもムラのあるドットを単位帯内に広
く分散させ、広い領域において均質なドット形成を行う
ことができる。
【0048】図1における読出し回路33は、制御回路
39の制御のもとに、上記のような単位帯を形成する場
合のドット噴射順序に従ったアドレス順にビットマップ
メモリ32からプリント画像信号を読出すためのアドレ
ス指定をする。
【0049】以上、第1実施例の構成によれば、液滴噴
射ヘッドは、その指定モードに従って液滴を噴射した場
合、1サイクルの第一走査方向走査に於て記録媒体面上
に付着する液滴数は、単位帯走査に必要な液滴数の1/
N・Mであり、従って、N×M回の走査でドットをイン
ターレースさせて予定のドット密度を得ることなり、ま
た第二走査方向にN×pなる噴射ピッチのヘッドを用い
るため、液滴噴射ヘッドの能力を殺すことなく、ドット
のインターレースを行い、バンディングの問題を解決さ
せることができる。
【0050】ところで図2で説明した動作モードは、液
滴噴射プリント・ヘッド24における各噴射ノズルの隣
接ノズルを別のタイミングで噴射制御したことによって
得られた記録ドットによって、インターレースするため
のモードである。上記モードにおいて単位帯領域に液滴
ドットを打込むための第二走査方向のステップ走査送り
は、1ドットピッチ毎の送りと、N(X−M)+1ドッ
トピッチの2種の送りが必要である。
【0051】しかるに、この送り方以外に第二走査方向
の送りを全て均等化して行うことも可能である。これを
第2実施例としてつぎに説明する。 (第2実施例)図3は第2実施例を説明するための図で
ある。図3の(a)は液滴噴射ノズルHを示しており、
各ノズルのピッチはN×p,ノズル個数はX個あるもの
とする。この液滴噴射ノズルHにおける単位帯状走査領
域の第二走査方向の幅はN×X×pである。
【0052】また、第一走査方向において、液滴ドット
はピッチM×p毎に形成されるものとすると、単位帯の
全走査のためにはMN個の第一走査方向走査及び第二走
査方向走査のためのステップ送りが行われる。全ステッ
プ送り量を均等化するには、帯の幅N×X×pをステッ
プの回数N×Mで割った値であるX×p/Mが1回の送
り量となり、従って、ノズル数XはMの整数倍にしてお
くことが必要である。
【0053】図3の(b)は第1回目の第一走査方向走
査を行った結果を示し、この回において形成されたドッ
トは白丸の内部に符号“1”を付した状態で表示した。
図3の(c)は矢印Y方向へX×p/Mだけ用紙をステ
ップ送りした後に、第2回目の第一走査方向走査を行っ
た結果を示しており、白丸の内部に符号“2”を付した
状態で表示したドットはこの走査で形成したドットを示
し、図3の(e)の走査終了で単位帯領域の全走査を終
了する。
【0054】結果として得られたドットは、隣接するド
ットは第一、第二走査方向共に異ったタイミングの走査
によって形成されたものとなっている。また、図3の
(a)において、n1 で示したノズルにより形成される
ドットを、図3の(e)においては二重丸で示した。図
3の(e)から明らかなように同じノズルから形成され
るドットは単位帯の中に広く分散して位置しており、仮
にノズルの特性が他のノズルと異っていて、形成される
ドットの大きさに差があるような場合でも、ドットは帯
の中に分散配置されてしまうので、ムラはあまり目立た
ないものとなる。
【0055】また、図3のモードの場合、第二走査方向
走査のステップ送り量が総て一定であるためにステップ
送り精度を高め、送りムラのバラツキを少くすることが
でき、高精度化のための機構を簡略化できると共に高画
質化が容易に達成される。
【0056】もちろん、図2のモードにおいても、同一
のノズルによって形成されるドットは分散配置される
が、分散の程度は図3のモードの方が大きくすることが
できる。
【0057】以上の第2実施例は、1回の第一走査方向
走査に於て形成される第二走査方向の液滴ドット数がX
であるヘッドを用い、1回の第一走査方向走査毎にX×
p/Mの第二走査方向送りを行い、M×N回の第一、第
二走査送りによって単位帯状領域走査が終了し、この送
りを繰り返して面状の走査を行うようにしたものであ
り、このようにした結果、第1実施例においては単位帯
領域に液滴ドットを打込むための第二走査方向のステッ
プ走査送りは、1ドットピッチ毎の送りと、N(X−
M)+1ドットピッチの2種の送りが必要であったが、
第2実施例の構成によれば、各主走査に対応して行われ
る各副走査の送り量を毎回一定の値にすることができる
ので、副走査の機構や信号分配回路の構成が簡略化さ
れ、また、N・M個の隣接してインターレースするドッ
トを噴射するノズルが、異った場所のノズルの組合わせ
となるために、いずれかのノズルに噴射不良やムラがあ
ったとしてもその影響を分散させて目立たなくしてしま
い、広い領域に亙り極めて均質化された液滴の分布を実
現することができるようになる。
【0058】次に本発明をカラープリンタに適用するこ
とにより、各色ドットの相互の重なり位置のずれに基く
色再現不安定現象の防除をすることができるので、その
例を第3実施例として説明する。
【0059】(第3実施例)そのためには第一走査方向
に隣接させて少なくともシアン、マゼンタ、イエローの
各色のインクを適用した液滴噴射ヘッドを配置して構成
する。
【0060】図4は第3実施例の装置構成を示す図であ
る。なお、図において図1と同一物は同一符号を付して
示すものとし、その詳細は図1での説明を参照するもの
として、ここでは改めて説明はしない。
【0061】図4において、24′(C、M、Y、K)
はシアン、マゼンタ、イエロー、黒の各色のインクを適
用したマルチノズル液滴噴射ノズルを一体的に保持した
液滴噴射プリント・ヘッドで、その配列については後に
説明する。この液滴噴射プリント・ヘッド24′を移動
走査台21上に保持させ、第一走査方向に反復走査する
構成としてある。
【0062】そして、35′(C、M、Y、K)は上記
マルチノズル液滴噴射プリント・ヘッド24′の各ノズ
ルの噴射駆動信号を発生するドライバ回路であり、C、
M、Y、K各色のヘッドに対応するように設けられてい
る。更に30′は原画信号回路であり、シアン(C)、
マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の画像のラ
スタ画信号(プリント画信号)を出力するものである。
また、32′(C、M、Y、K)はビットマップメモリ
で、原画信号回路30′から供給されるプリント画信号
のデータを記憶するためのもので、C,M,Y,K各色
の各色のプリントが同時進行的に行われるようにするた
めに、プリント色数だけ独立してメモリが設けられてい
る。
【0063】このような構成の装置は、C、M、Y、K
各色プリントを同時に実施できるようにしたもので、原
画信号回路30′から供給されるシアン(C)、マゼン
タ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の画像のラスタ画
信号(プリント画信号)は各色対応に設けられたビット
マップメモリ32′の該当色用のものに書込まれ、マル
チノズル液滴噴射ヘッド24´における後述する各色ヘ
ッドの配置に従った順序、タイミングで読出されて、パ
ラレルにヘッド・ドライバ35′へ送り込まれ、パラレ
ルに各該当色のヘッドが駆動されて、該当の各色のイン
クが噴射され、画像記録が成される。
【0064】図5は第3実施例で使用する液滴噴射プリ
ント・ヘッド24′の構成例を示しており、当該液滴噴
射プリント・ヘッド24′における各色のインクを適用
したマルチノズル液滴噴射ヘッドの配置を示す図であ
る。Xは第一走査方向、すなわち主走査方向を示し、Y
は第二走査方向、すなわち、副走査方向を示している。
液滴噴射ヘッド24′は各色別のヘッドが第一走査方向
に並び、各色別のヘッドはノズルを複数個、第二走査方
向に並べて配置してある。
【0065】HYはイエローインク、HMはマゼンタイ
ンク、HCはシアンインク、HKは黒インクを適用した
プリント・ヘッドである。このように、各色のプリント
・ヘッドHY,HM,HC,HKはY方向には同じ位置
で、X方向では隣接するように配置されている。
【0066】各色のプリント・ヘッドHY,HM,H
C,HKのノズルの配列ピッチは第二走査方向(Y方
向)に基準ピッチpのN倍(N≧2)のピッチである。
この液滴噴射プリント・ヘッド24′を第一走査方向
(X方向)に移動させてプリントする時には第1実施例
における図2、第2実施例における図3で説明したよう
に、第一走査方向に基準ピッチpのM倍のピッチで液滴
によるプリント・ドットを形成する。かくしてN,M回
の第一走査方向走査及び第二走査方向走査によって単位
帯領域のプリント・ドット形成を行う。
【0067】そして、各プリント・ドットに隣接するド
ットは総て、異った第一走査方向走査時(X方向走査
時)でのタイミングにおいて形成され、また、各第一走
査方向走査毎にステップ的に用紙(記録紙17)を送る
第二走査(Y方向走査)の工程が含まれていることか
ら、第一、第二の走査に除去困難な走査ムラが生じた場
合であっても、形成されるプリント・ドット位置のズレ
は単位帯領域の中の各所に分散されてしまうことにな
る。
【0068】このようなモードでプリントすれば、各色
毎の画像のバンディングの発生を防止し、ノズルのムラ
によるドットムラを分散させて目立たなくすることがで
きる。加えてカラープリントにおいては、異った色のド
ットが重り合った時と、ずれた時に再現される色が異っ
て見え、各色のドットずれが色ずれとして障害を発生さ
せるのが通例であるが、本実施例の装置の場合、同色の
プリント・ドットそのものも、異ったタイミングで形成
されたプリント・ドットがインターレースすることによ
り、その重りは統計的な確率分布に従ったものとなると
同時に、そのような分布の各色ドットを重ね合わせたプ
リントにおいては、各色のドット相互間の重なりも統計
的な確率分布に従ったバラツキを有するものとなり、従
って、局所的な色ずれや色再現ムラの無いカラー画像が
得られる。
【0069】従って、第3実施例のように、異った色の
インクを適用したヘッドを配置して多色プリント装置を
構成した場合、この実施例の方式に従えば、走査位置ず
れによる各色のインクの重なり位置がランダムに分散さ
れ、ドットの重ねによる色再現を均質化する作用をも得
られる。
【0070】以上は、局所的な色ずれや色再現ムラの無
いカラー画像が得られるようにした例を説明したが、カ
ラーインクジェット・プリンタの構成において生ずる更
に別の問題として、同一の印字位置に連続して各色イン
クを打込んでベタ画像を作る時に、インクが記録紙に吸
収しきれないために生ずるインクの流れ出しや混色の問
題がある。
【0071】すなわち、4色のプリント・ヘッドを同時
に動作させながら、記録紙のシート面の同一位置にイン
クを瞬時に重ね合わせると、単色のプリントの場合に比
べて4倍のインクが到来することになり、瞬間的に用紙
に吸収され得るインク量の限界を越えてしまう。つま
り、インク吸収量の限界を越えてしまう。すると吸収し
きれなかった各色のインクが混合してシート面を流れ出
し、プリント・ドットが正しく形成されず、また再現さ
れる色も正常な場合と異なった色合い、すなわち、各色
が紙面に吸収されて乾燥し、重ったプリント状態の場合
とは異った色合いになってしまう。
【0072】そこで、カラー・マルチノズルインクジェ
ット・プリント・ヘッドを使用した場合において、バン
ディングの異和感の発生を防止し、ノズルのムラ等によ
る画像ムラを分散させて均質な画像を得ながら、上記の
インクの吸収乾燥不良の問題を解決するための実施例を
第4実施例としてつぎに説明する。
【0073】(第4実施例)上記のインク吸収乾燥不良
の問題を解決するためには、マルチノズル液滴噴射プリ
ント・ヘッド24′の各色のインクを適用した各色別の
プリント・ヘッドを、第一走査方向に並設すると共に、
第二走査方向に相互に位置をずらせて、つまり、Y方向
にシフトさせて位置が異なるようにして配置する装置構
成とするものとする。
【0074】図6は上記構成の実施例の説明図である。
図6の(a)は各色のマルチノズルインクジェットプリ
ント・ヘッドHY、HM、HC、HKの配置を示してお
り、各プリント・ヘッドは第二走査方向に基準ピッチp
のN倍のピッチN×pにてノズル配列されており、ま
た、各色ヘッド相互の位置も第二走査方向に基準ピッチ
pだけずらせて配置してある。
【0075】図6の(b)は図6の(a)のプリント・
ヘッドを用いた第1回目の第一走査方向走査におけるひ
とつの色、例えば黒のノズルから噴射されたインクの到
達位置を示した図であって、L1,L2,L3は単位帯の主走
査方向の座標を示すものとし、座標は基準ドットピッチ
p単位で現している。1回の第一走査方向走査におい
て、各色のノズルから噴射されるインクによるプリント
・ドットはMドットピッチ単位で形成される。そして図
示例では、同一ヘッドの第二走査方向に隣接するノズル
の動作タイミングをずらして動作させた例を示してい
る。
【0076】次に図6の(c)は同じ動作モードで各色
のマルチノズルインクジェットプリンタ・ヘッドHC、
HM、HYを動作せて、第1回目の走査で各色ドットを
形成した時の各色ドットの形成位置を示している。図示
例から解るように各色のプリント・ドットは相互にイン
ターレースして配分され、同一位置に重り合って形成さ
れることがない。従って、インクを用紙内に安定して吸
収することが出来、再び同一位置にインクが噴射される
迄の間に、インク溶剤を吸収または気化させてしまうこ
とができる。従って、プリント速度を維持しつつ、正常
な色合いのカラー画像が再現できる。
【0077】また、この実施例によれば、図5の例と同
様に単色のプリントにおいてバンディングが発生せず、
かつ、ドットのムラによるプリントムラが分散配置され
て目立たなくなる作用も同時に得られる。
【0078】このように第4実施例の構成に於ては、各
色に対して同じインク噴射順序を適用して信号分配回路
を簡略化させながら、同一アドレス位置に噴射される各
色インクが噴射されるタイミングに、長いインターバル
を設けることが可能となり、インクの吸収乾燥作用を高
めてインクの流れを防止することができる。
【0079】(第5実施例)図7の例は第5実施例とし
ての例を示すものであり、図6で説明した第4実施例と
同じ効果を得る別の実施例である。第5実施例では図7
の(a)に示すように、マルチノズル液滴噴射プリント
・ヘッド24′の各色別のプリント・ヘッドHY,H
M,HC,HKのうち、プリント・ヘッドHYとHMを
組に、また、プリント・ヘッドHCとHKを組にして、
同じ組のプリント・ヘッドはノズル位置を揃えて並設
し、また、それぞれの組は第二走査方向に互いにノズル
位置がずれるようにシフトさせて配置する。
【0080】すなわち、4色のプリント・ヘッドを2個
づつに分け、これら2個づつに分けた一方を、他方に対
してずらせて配置してある。この実施例においては4色
のインクのノズルのうち、2個づつに分けた一方を、他
方に対してずらせて配置してある。ずらす方向は第二走
査方向である。
【0081】図7の(b),(c),(d),および
(e)は各色のプリント・ヘッドHY,HM,HC,H
Kのノズルから1回目の第一走査時に噴射されるインク
の記録紙面上での到達位置を説明する図である。また、
図7の(f)は各色ドットの到着位置を重ね合わせて示
した図であり、各色のプリント・ヘッドHY,HM,H
C,HKは同一タイミングでは必ず異なる位置にあり、
また、各組の位置は第二走査方向に対してずれているの
で、この場合においても各色のインク・ドットは相互に
インターレースすることになり、図6で説明した第4実
施例と同様な作用効果が得られる。
【0082】以上はいずれもインクジェット・プリント
・ヘッド(液滴噴射ヘッド)を用いたプリンタの例であ
り、このようなものにおいては、第一走査方向の1回の
走査におけるドットピッチM×p(pは基準ドットピッ
チ、Mは倍率)は、通常倍率Mを2とすることが好まし
い。倍率Mを3以上とすることも可能であるが、Mを大
きくするに従って、第一走査方向の走査速度をより高速
化しないとプリント・ヘッドの性能を生かしきれなくな
る。
【0083】倍率Mを2とした場合に、4色のドットを
インターレースするためには第二走査方向の各色プリン
ト・ヘッドの配置位置をずらせておくことが必要とな
る。各色プリント・ヘッドの位置のずらせ量は基準ドッ
トピッチpずつで良いが、pの整数倍であれば支障はな
い。
【0084】ところで、マルチエレメントのプリント・
ヘッドによるバンディングやエレメントのムラによる画
像の劣化はマルチノズル・インクジェット・プリント・
ヘッド特有の問題ではなく、これに限らず静電潜像を経
由してトナー画像を形成する静電記録方式等のような画
像記録装置においても発生する。
【0085】例えば、この種のものとして、従来、マル
チエレメントのプリント・ヘッドを用いる静電プリンタ
は、誘電体材料等により形成されたドラムまたはベルト
等の記録媒体と、主走査方向(第一走査方向)全幅に亙
って記録素子が配されたマルチエレメントのプリント・
ヘッドを用い、このプリント・ヘッドにて記録媒体に潜
像を形成し、この潜像をトナーにより現像することによ
り可視像化するものであり、可視像化されたトナー像は
例えば、記録紙に転写して定着することによりプリント
として得る。また、記録シートにプリント・ヘッドにて
直接、潜像を形成し、トナーを含む現像液を作用させて
プリントを行う方式もある。
【0086】従来、マルチエレメントのプリント・ヘッ
ドを用いるこの種の静電プリンタは、主走査方向(第一
走査方向)全幅に亙って記録素子が配され、主走査は電
気的な走査によって行われ、副走査として記録媒体を移
動させる構成が一般的であり、この場合はエレメントの
ムラは画像ムラとなるが、バンディングは発生しない。
【0087】しかし、主走査の全幅より小さい幅の静電
記録ヘッドを用い、ドラム上に巻回された静電記録紙上
に静電潜像を作る装置が知られており、この装置の場合
にはバンディング発生の可能性があるものの、ドラムス
キャンニングのために走査精度を高めることは容易であ
って、これによってバンディングの発生を抑えることが
できた。ところがドラム走査装置は大型高価であり、適
用する用紙の長さもドラムの周長によって制約されるた
めに長尺のプリント要求がある大画面記録装置等には適
用出来ない問題があった。
【0088】像のプリントに静電潜像を利用してトナー
により現像する方式において、大画面のプリントを可能
にするにはプリント・ヘッドを往復動走査させる構成が
考えられるが、バンディングの発生やプリント速度の低
下等好ましくない問題も発生し、静電潜像を利用する静
電記録方式のプリンタは実現されていない。
【0089】そこで、第6実施例としてつぎにプリント
・ヘッド往復動形の簡易で小型、且つ、高速のプリンタ
を実現すると共に、プリント・ヘッドを往復動走査させ
る構成とすることに伴って生ずるバンディングや画像ム
ラの発生を防止することができるようにした静電記録方
式のプリンタの例を説明する。
【0090】(第6実施例)第6実施例の構成は、複数
のエレメントを有するマルチエレメント静電潜像形成ヘ
ッドを、上記エレメントの配列方向と交差する第一走査
方向へ移動走査する第一走査手段と、上記ヘッドと対向
し、静電潜像形成媒体を配置し、上記第一走査方向とク
ロスする方向へ移動させる第二走査手段と、上記第二走
査方向に於ける静電潜像形成エレメントの配置ピッチ
が、基準となるドットピッチpのN倍であるヘッドと、
上記第一走査方向走査時に、第一走査方向のドットピッ
チが基準となるドットピッチpのM倍となるよう制御す
る回路とから成り、第一及び第二走査方向走査をN×M
回行うことによって単位帯状走査領域の走査を行い、各
潜像ドットに隣接するドット状、異った走査時のドット
によってインターレースされるようにすること特徴とし
ている。
【0091】この装置は具体的には図8に示す如き構成
であり、同図において、51は静電記録紙ロールで、ガ
イドローラ52を経て、プラテン53を通りガイドロー
ラ61、搬送ローラ64へと掛け渡されている。54は
マルチエレメント静電潜像形成ヘッドの1例であるイオ
ンフロー・プリント・ヘッドであり、キャリッジ55上
に、ドライブ回路74と共に保持される。
【0092】キャリッジ55は平行に配設された一対の
ガイドレール56,57上をスライド可能に保持され、
このガイドレール56,57上を往復動して第一走査方
向への走査を行う。キャリッジ55上のイオンフロー・
プリント・ヘッド54はキャリッジ55による第一走査
方向への走査によりプラテン53の配設領域を走査す
る。従って、プラテン53はイオンフロー・プリント・
ヘッド54の配設位置において、上記第一走査方向に沿
って配置されている。67は主走査モータ、すなわち、
第一走査モータで、プーリ58を駆動し、図示しない対
となるプーリとの間に掛け渡されたワイヤ59をグリッ
プ60によってキャリッジ55に固定し、走査動力を当
該キャリッジ55に伝達する。プーリ58を含め、これ
と対を成すプーリはガイドレール56の両端近傍に配さ
れる。
【0093】63A〜63Dは各異った色の液体トナー
を適用した現像ヘッドであり、ガイドローラ61と搬送
ローラ64との間の記録紙搬送経路に対向して配され
る。現像ヘッド63A〜63Dはいずれかひとつずつを
動作状態にし、他は休止させておく。そのために、現像
ヘッド63A〜63Dは記録紙搬送経路位置とこれより
離れた待機位置との間を移動される構成になっていて、
現像に供されないもの(休止状態のもの)は待機位置に
退避される。現像ヘッド63A〜63DはC(シア
ン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラッ
ク)に対応し、それぞれの色のトナーが含まれる現像液
が供給されて、記録紙面に現像液を付与することによ
り、潜像を現像する。
【0094】65はピンチローラであり、搬送ローラ6
4に接して配設されていて記録紙を搬送ローラ64にグ
リップさせる。68は第二走査モータ、すなわち、副走
査モータで、搬送ローラ64に連結して搬送ローラ64
を回転駆動し、第二走査方向へ記録紙を搬送する。そし
て、66はカッタであり、搬送ローラ64を経て送り出
された記録済みの用紙を切断するためのものである。
【0095】潜像を形成するためのプリント画信号は、
原画信号回路70´によってホスト装置からの画信号を
受信するか、あるいは同回路によって画信号を発生させ
ることにより得る。
【0096】このプリント画信号はラスタ画信号であっ
て、書込み回路72の指令に従ってメモリ回路71へ書
込む。そして、読出し回路73の指令により、イオンフ
ロー・プリント・ヘッド54のエレメントの配列及びヘ
ッド走査に整合させたタイミングとアドレス順に画信号
を読出してドライバ回路74へ供給する。
【0097】このような構成において、キャリッジ55
を移動走査することによるイオンフロー・プリント・ヘ
ッド54の第一走査方向に対する往動または復動によっ
て、帯状の走査領域が形成され、記録紙の搬送による第
二走査によって走査領域が拡大する。
【0098】本装置は1回の記録紙搬送によって1色分
の画面プリントを行う構成であるから、カラー1画面を
プリントするには、記録紙を3往復半する。そして、プ
リント原画信号回路70からイオンフロー・プリント・
ヘッド54には1回の記録紙搬送において画面1色分の
信号が与えられる。そして、イオンフロー・プリント・
ヘッド54により形成された潜像はその潜像の対応の色
の現像ヘッド63によって対応の色の現像液が付与され
現像され、ひとつの色の画像が形成される。現像が済む
と記録紙除電のために除電コロナ62を動作させながら
記録紙は静電記録紙ロール51に巻き戻された後、また
再び送り出されてつぎの色の潜像が形成され、その色の
現像ヘッドによって現像された後、前と同様にして静電
記録紙ロール51に巻き戻される。
【0099】このようにして、1色ずつ潜像が形成さ
れ、対応の色の現像ヘッドで現像され、反復4回でカラ
ー画像が完成する。このようにして現像ヘッドを次の色
のものに替えながら一色ずつ画像を重ね合わせ、かくし
て全色の画像が重ねられると、カッタ66を動作させて
完成した画像部分を切り離す。
【0100】なお、図8の装置に適用される記録紙と、
プリント・ヘッドの組合わせは各種のものが可能であ
る。例えば、記録紙として電子写真感光紙、例えば酸化
亜鉛感光紙や有機光導電体塗工紙等を適用することがで
きる。この場合にはプリント・ヘッドとしては発光ダイ
オードアレイ・プリント・ヘッド、エレクトロルミネセ
ンス・アレイ・プリント・ヘッドあるいは液晶、強誘電
体のシャッタ・アレイ・プリント・ヘッド等が適用さ
れ、ヘッドの上流側に記録紙を均一に帯電させるための
均一帯電手段が置かれる。
【0101】記録紙として静電記録紙が用いられる場合
はプリント・ヘッドとして静電記録ヘッドが用いられ
る。静電記録ヘッドは記録紙に接触して記録するマルチ
スタイラス静電記録ヘッドと、非接触のイオンフロー記
録ヘッド等がある。
【0102】図15はイオンフロー・プリント・ヘッド
の説明図であり、概略的な構成を示す一部破断斜視図で
あって、電子写真学会主催第3回ノンインパクトプリン
ティング技術シンポジウム論文集の151頁及び147
頁に記載された技術から引用した図である。
【0103】ここに示されるイオンフロー・プリント・
ヘッドは、一方の面が開放された箱型のシールドケース
541にコロナワイヤ542を張設してコロナ帯電装置
が構成され、シールドケース541の開放された面側に
配置された記録媒体548の方向へコロナイオンを流す
構成である。記録媒体548とコロナ帯電装置との間に
所定ピッチで複数の貫通孔547を順序良く穿孔してな
るイオン流制御板543が置かれていて、このイオン流
制御板543に画信号に従った制御信号を加えてイオン
の流れを制御し、記録媒体上に静電潜像ドットを作る。
【0104】イオン流制御板543は一対のセグメント
電極板544,545とこれら両セグメント電極板54
4,545間に介在される絶縁板546から成る板に貫
通孔547をあけて作られ、この孔がイオン流制御のエ
レメントとなる。Xは第一走査方向であって、貫通孔5
47の第二走査方向ピッチはN・p(N≧2)で示さ
れ、基準ピッチpのN倍となっている。
【0105】図16(a),(b)は別の構成のイオン
フロー・プリント・ヘッドで(a)にその断面構造、
(b)に外観図を示す。同図において5411,541
3,5415は電極板で、このうち、電極板5411と
電極板5413はセグメント電極構造となっている。5
412と5414は絶縁体であり、絶縁体5414と電
極5415,5413を貫通して開口5417が作らけ
れていて、これがイオン流を放出するエレメントとな
る。
【0106】電極5411と5413の間に高圧高周波
電圧を加えると、電極5413の開口のエッジ近くに正
負のイオンが発生し、このイオンを電極5413と54
15の間に印加する電界の方向を制御することによって
開口5417から放出させ、受像媒体5416上に静電
潜像を形成する。
【0107】図16の(b)はヘッドの外観図で矢印X
方向が第一走査方向である。これと直交する方向の開口
5417の配列ピッチは基準ピッチpのN倍(N≧2)
の、N×pとなっているものとする。
【0108】第6実施例で示した図8の構成例のような
装置において、図15,図16のような構造のマルチエ
レメントの静電潜像形成ヘッドを適用し、各ヘッド及び
走査の送りは図2,図3で説明したと同様に行う装置を
考える。
【0109】例えば、図2図のモードを適用する場合に
ついて図2を用いて説明すると、(a)におけるHはマ
ルチエレメントの静電潜像形成ヘッドであり、n1 〜n
5 は各エレメント、例えば、イオン流制御または放出の
開口とする。あるいは各々が発光素子であったり、光の
透過を電気的に制御するシャッタエレメントとしても良
い。
【0110】各エレメントにおける第二走査方向配列ピ
ッチは、最終的にプリントされる画像のドットピッチp
に対してN倍(N≧2)のN×pとしてある。図2の
(b)は1回目の第一走査方向走査にて形成される静電
潜像の位置を示し、矢印Xは第一走査方向である。第一
走査方向の静電潜像のドットピッチは基準ピッチpのM
倍(M≧2)のM×pとなるようにヘッドのドライブを
制御する。図2の(c)において、記録媒体シートを1
pピッチだけ第二走査方向、すなわち矢印Y方向に送
り、2回目の第一走査方向走査を行うと図示白丸に符号
“2”を付して示すドットの位置に静電潜像が作られ
る。このようにして図2の(d),(e),(f),
(g)と同じ手順で静電潜像の形成を繰り返すことによ
って、単位帯領域分の全ドットの形成が終了し、形成さ
れたドットは各異った走査タイミングで形成したドット
によってインターレースされている。
【0111】そして、次の単位帯領域の静電潜像形成の
ために、複数ピッチ分の第二走査方向送りを行い、次の
帯の第1回目の第一走査方向走査を行った結果は、図2
の(b)の如きとなり、このように走査を繰り返してゆ
くと、帯状の走査を面へ拡大して行けることになる。
【0112】次に第二走査方向走査の送り量が全て均等
な送り量となる走査モードを図3に示す。図3の(a)
はマルチエレメント静電潜像ヘッドを示し、図3の
(b)は1回目の第一走査方向走査、図3の(c),
(d),(e)は各2回、3回、4回目の走査結果を示
し、図示例では4回の走査によって単位帯領域の走査が
終了する。
【0113】次の走査への第二走査送りは、同じ送り量
の繰り返しで行うことができる。かくして図2,図3の
走査記録モードによれば、各ドットに隣接するドットが
全て異った走査タイミングで形成されたものとなり、同
一エレメントによって作られるドットは帯の中に分散的
に配置されるので、各走査時の微少なドット位置ずれは
画面全体に分散的に作用し、特定のバンディング構造は
目視されなくなる。同様にヘッドの各エレメントのムラ
も画面の広い領域に分散配置され、局所的な集中したム
ラとして目視されない。かくして画面全体に均一度の高
い画像を得ることができる。
【0114】図8の構成を適用した上記第6実施例とし
ての静電記録方式等のような画像記録装置によれば、マ
ルチエレメントの静電潜像形成ヘッドを往復動させる構
成の装置において、バンディングが生せず、エレメント
のムラの影響を分散させてムラの目立たない画像記録を
行うことができる。
【0115】ところでこのような静電潜像を形成して画
像記録を行う装置においては、静電潜像を現像して最終
画像とするか、現像した画像を受像紙に転写して最終画
像とする。いずれの場合でも現像を行うことが必要とな
るが、現像の工程では記録媒体は連続的に等速度で移動
することが好ましく、間欠的な送りを行うと現像ムラが
生じ、現像ムラによるバンディングが生ずる問題があ
る。
【0116】そこで、これを解消する実施例としてつぎ
の第7実施例を説明する。 (第7実施例)第7実施例は帯状の走査領域繋ぎ合わせ
て操作領域を拡大させる構成の装置において、第二走査
方向走査を間欠送りでなく、連続送りとするようにし
て、現像ムラを防止するように構成するものである。
【0117】第7実施例における装置の全体的な構成例
は第6実施例で説明した図8と同じである。図8と異る
部分は図9に示す如く、キャリッジ(移動走査台)55
´を案内するガイドレール56´,57´を第一走査方
向に傾けて取付けた点にあり、これを中心に説明する。
【0118】同図において点線で示したのが記録媒体
で、矢印Y方向に一定の速度で送られて、第二走査送り
となる。57′(56′)はガイドレールであり、上記
Y方向に対して直交する軸X′に対して第一走査方向の
終了側で寸法UだけY方向にずれるように傾斜して取付
けられている。55′は移動走査台であり、54′は移
動走査台55′上に搭載されたマルチエレメント静電潜
像形成ヘッドである。
【0119】移動走査台55′は第一走査方向に移動す
るものであるが、これを案内するガイドレール57′
(56′)が上述したように、第一走査方向に対して斜
行する取り付け構造となっている。また、ガイドレール
57′(56′)に沿って移動することになるマルチエ
レメント静電潜像形成ヘッド54′は第二走査方向であ
るY方向にエレメントが整列するよう整合して取付けら
れている。つまり、イオン流制御板543の貫通孔54
7がY方向に整列するよう整合して取付けられている。
【0120】従って、移動走査台55′とマルチエレメ
ント静電潜像形成ヘッド54′の取付けは傾斜した関係
となる。但し、取付けそのものはエレメントの配置と移
動方向の関係が走査条件を満せば良いので、傾斜したマ
ルチエレメント静電潜像形成ヘッド54′の取付けで条
件を満す場合もある。
【0121】図10はこのような構成の装置による走査
の説明図である。図10の(a)はマルチエレメント静
電潜像形成ヘッド54′による通常の帯状走査の説明図
であり、Xがヘッドの移動による第一走査方向、Yが記
録媒体の送りによる第二走査方向である。斜線は単位帯
状走査領域を示し、1回の第一走査方向走査によってこ
の部分の像形成が行われ、その第二走査方向の幅はVで
あるものとする。通常は単位帯の形成毎にステップ的に
幅Vだけ第二走査送りを進め、順次帯状走査領域を拡大
して行く。
【0122】ところが、本発明においては第二走査送り
を連続的な送りとするために、1サイクルの第一走査方
向走査の時間に記録媒体は幅Vだけ送られるように連続
送り速度を設定するようにする。
【0123】一方、1サイクルの第一走査方向走査には
マルチエレメント静電潜像形成ヘッド54′の往動と復
動がありるが、本装置では往動時のみ像形成が行れるも
のとする。また、往動の有効像形成時間に送られる記録
媒体の送り量をUとする。
【0124】図10の(b),(c),(d)は本発明
装置の走査説明図であり、上記第一走査方向走査の往動
時の有効走査時間に送られる記録媒体送り量Uだけ、走
査の終了位置で第二走査送り方向へマルチエレメント静
電潜像形成ヘッド54′がシフトするように走査軸SX
が傾けてある。
【0125】図においてSを基準位置にとって説明する
と、図10の(b)の点線で示した領域がマルチエレメ
ント静電潜像形成ヘッド54′の移動空間となる。図1
0の(c)は1回目の第一走査方向走査の往動終了時の
状態を示している。上記第一走査方向走査の間に記録媒
体は連続してY方向にUだけ送られる。従って、記録媒
体上には斜線で示す領域に静電潜像が形成される。この
潜像の先端は基準位置SからY方向にUだけ進んだ位置
にあり、またこの走査で形成される帯の幅はVとなって
いる。マルチエレメント静電潜像形成ヘッド54′が復
動してスタート位置に戻った状態を図10の(d)に示
す。この間にも記録媒体は送られ、帯の先頭位置は基準
位置SからVだけ進んだ位置となる。
【0126】このようにして第一走査方向走査の1サイ
クルが終り、走査のスタート位置に戻った位置から次の
走査を行えば、走査の帯は隙間や重りの無いようにつな
がり、走査の領域を次々に広げて行くことができる。そ
してこの構成によれば、帯状のヘッドの往復動走査を行
いながら記録媒体を連続的な一定速度の送りとすること
ができ、従って、現像ムラ等の発生を防止することがで
きる。
【0127】なお、往復動走査において、走査の始動や
停止の時間があるために、第一走査方向走査に余分の移
動距離が含まれたり、動作が停止する時間が生ずること
もあるが、記録媒体の送り速度は走査の帯の幅Vと第一
走査方向走査1サイクルの時間で決められ、走査の傾U
は第一走査方向走査の像形成に有効な長さと、その長さ
の部分をヘッドが走行するに要する時間から決めるもの
とする。
【0128】上記のような往復動走査記録装置におい
て、ホスト側装置から送られる情報量が変化した時に記
録装置の動作速度を変更したい場合がある。従来装置で
あれば、第一走査方向走査速度は一定にしておき、第一
走査方向走査の間に走査休止時間を設けて記録速度を変
化させることが可能であった。
【0129】ところが第7実施例の記録装置においては
部分的な走査時間の変更を行うと、必要な走査の条件か
ら外れてしまう。そこで、このようなことの無いように
した実施例を第8実施例としてつぎに説明する。
【0130】(第8実施例)走査速度を変更できるよう
にする第8実施例は第7実施例に対して第一、第二走査
方向走査速度を変更する手段を設け、この変更手段は第
一走査方向走査の往動および復動、第二走査方向走査の
いずれかひとつの速度を変更する時、他の走査速度も同
じ割合で変更が行われるように構成する。
【0131】図11の(a),(b)は上記構成に基い
て走査速度を変更する場合の動作タイムチャートであ
る。各タイムチャートで横軸は時間を示し、縦軸は動作
方向と動作速度を示している。
【0132】図11の(a)は標準速度での第一及び第
二走査方向走査を示している。第一走査方向走査は往復
動走査であって、往動に対して復動を早くして復動時間
を短くしている。実際には走査の立ち上りと立ち下りに
要する時間等があるが図示は省略してある。副走査であ
る第二走査方向走査は連続送りである。
【0133】図11の(b)は走査速度を遅くする場合
のタイムチャート図で、図示例では図11の(a)の半
分の速度での走査を示している。主走査である第一走査
方向走査の往動及び復動の速度は共に半分になり、走査
時間は2倍になる。これに伴って第二走査方向走査の速
度も半分に変更するようにしている。
【0134】このようにすれば、第7実施例において図
10で説明した往復動による第一走査方向走査と、連続
等速送りでの第二走査方向走査の条件を満しながら走査
速度の変更が可能である。
【0135】次に第二走査方向におけるヘッドのエレメ
ントの配列密度が、基準ピッチのN倍(N≧2)のヘッ
ドを用いて、バンディングやエレメントの不揃いによる
濃度ムラの発生を防止すると共に、静電潜像形成媒体の
ステップ送りによる現像濃度ムラ等の画像ムラを防止す
るようにした実施例を第9実施例としてつぎに説明す
る。
【0136】(第9実施例)第9実施例の構成は、マル
チエレメントの静電潜像形成ヘッドにおける第二走査方
向のエレメント配列ピッチが、基準ピッチpのN倍(N
≧2)およびまたは第一走査方向のエレメントの動作周
期が、基準ピッチのM倍(M≧2)のピッチで像形成す
るよう制御し、N×M回の第一、第二走査方向走査によ
って単位帯状走査領域の走査を行うよう第一、第二走査
手段を制御し、1サイクルの第一走査方向走査のための
往復動の間の、媒体の第二走査方向移動量は単位帯状走
査領域の第二走査方向幅をWとした時、W/N・Mとす
るようにした。
【0137】その動作につき図12によって説明する。
本発明装置は図8,図9,図15,図16と同様な構成
部品によって構成される。但し、静電潜像形成ヘッドの
エレメントの配列が第二走査方向でN×p(N≧2)と
なっている点が図10の場合と異っている。
【0138】図3におけるノズルの配列及び第二走査方
向の送り量設定が、本実施例の参照となる。なお第一走
査方向のエレメントの動作の周期は、ドットが基準ピッ
チpで作られる周期であっても、また、M×p(但し、
M≧2)のピッチであっても良い。
【0139】図12の(a)の例は第二走査方向エレメ
ントのピッチが2pであって、第一走査方向には基準ピ
ッチpで潜像形成するように静電潜像形成ヘッドを用い
るものとして、1回の第一走査方向走査でカバーされる
帯状走査領域を斜線で示した。
【0140】単位帯状走査領域の走査を終了するには図
5で説明したと同様にN・M回の第一走査方向走査が必
要となるが、図示例では倍率Mを“1”とし、Nは
“2”であるから2回の走査となる。これに伴い、第二
走査方向走査の送り量は第一走査方向走査1サイクル当
り単位帯走査幅の半分で、図においてVで示す。この第
二走査送り量となるように連続送りで第二走査方向走査
を行う時、第二走査方向走査の往動の時間中の送り量は
Uで示される。
【0141】一般式で表現すれば、単位帯走査の第二走
査方向の幅をWとすると、第一走査方向走査1サイクル
の間の第二走査送り量はW/N・Mと表わすことができ
る。上記ヘッドを用いて第二走査方向走査を連続送り可
能とするためには、図12の(b)に示すように第一走
査方向の軸SXを第一走査方向走査終了側でUだけ記録
媒体送り方向へシフトさせるようにする。Sを基準位置
とし、点線はヘッドの移動ゾーンを示す。
【0142】図12の(c)は1回目の第一走査方向走
査の往動が終了時の状態を示し、斜線は走査を受けた記
録媒体上の領域を示している。この間に記録媒体は第二
走査方向へUだけ送られる。ヘッドの移動方向もUだけ
傾いているので、記録媒体上の走査領域は図示するよう
に傾はない。
【0143】図12の(d)は第一走査方向走査の復動
終了、すなわち、第一走査方向走査の1サイクルが終了
し、ヘッドがスタート位置に戻った状態を示す。この間
にも第二走査方向走査は行われ、記録媒体は基準位置か
らVだけ送られている。
【0144】図12の(e)は2回目の第一走査方向走
査の往動終了時を示し、右下り斜線がその走査領域を示
している。単位帯状走査領域の半分の部分はオーバラッ
プして走査され、この部分では各回の走査によって作ら
れた静電潜像ドットが1ライン毎にインターレースして
いて、正規のドット密度の画像となっている。
【0145】そして、図12の(f)は2回目の走査の
復動終了時を示している。この間隔の第二走査方向の送
り量は走査の回数2回とVを掛け合わせた2Vとなる。
かくして往復動走査と、連続送りの第二走査方向走査を
行うことによって走査領域を拡大させて、所定の走査を
行うことができる。
【0146】図12の説明の走査によれば、各走査ライ
ンまたは走査ドットが、別のタイミングの走査ラインま
たはドットによってインターレースされるようになり、
帯状走査のバンディングやエレメントの不揃いによる走
査ムラの発生を防止でき、しかも連続した第二走査方向
送りのために現像ムラの発生も防止されるようになる。
【0147】以上、第6実施例乃至第9実施例の説明で
は、ロール状に巻かれた記録媒体上へ静電潜像を形成
し、これを現像して最終画像とするように説明した。し
かし、記録媒体として中間的な像形成用のベルトあるい
はドラム等の静電記録媒体、あるいは電子写真感光体を
用い、現像したトナー像を最終媒体上に転写する構成と
することもできる。
【0148】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、高速でプリントが可能であると共に、帯状走査のバ
ンディングを防止し、かつ、ノズルの不揃いによるプリ
ントムラの発生を防止し、また、インクの吸収乾燥を促
進させて良質の画像を再現できる等の効果が得られる液
滴噴射記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を説明するための図であって、
本発明の第一実施例の構成を示す図。
【図2】本発明の実施例を説明するための図であって、
本発明の液滴噴射型走査記録装置において液滴を噴射す
るモードにつき説明する図。
【図3】本発明の実施例を説明するための図であって、
第2実施例を説明するための図。
【図4】本発明の実施例を説明するための図であって、
第3実施例の装置構成を示す図。
【図5】本発明の実施例を説明するための図であって、
第3実施例で使用する液滴噴射プリント・ヘッド24′
の構成例を示しており、当該液滴噴射プリント・ヘッド
における各色のインクを適用したマルチノズル液滴噴射
ヘッドの配置を示す図。
【図6】本発明の実施例を説明するための図であって、
第4実施例の構造を示す図。
【図7】本発明の実施例を説明するための図であって、
第5実施例を説明するための図。
【図8】本発明の実施例を説明するための図であって、
第6実施例の構成を示す図。
【図9】本発明の実施例を説明するための図であって、
第7実施例を説明するための図。
【図10】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、第7実施例の走査の説明図。
【図11】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、第8実施例における走査速度を変更する場合の動作
タイムチャート。
【図12】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、第9実施例の動作説明図。
【図13】従来技術を説明するための図。
【図14】従来技術を説明するための図。
【図15】従来技術を説明するための図であって、イオ
ンフロー・プリント・ヘッドの構造を説明するための
図。
【図16】従来技術を説明するための図であって、イオ
ンフロー・プリント・ヘッドの別の構造を説明するため
の図。
【符号の説明】
11…記録紙ロール 12…ガイドローラ 13…搬送ローラ 14…ピンチローラ 15…プラテン 16…ファン 17…記録紙 18…副走査モータ 19,20…ガイドレール 21…は移動走査台(キャリッジ) 24,24´…液滴噴射プリント・ヘッド 25…ワイヤフック 26…プーリ 28…ワイヤ 29…主走査モータ 30…プリント原画信号源 30´…プリント原画信号回路 31…書込み回路 32,32´…ビットマップメモリ 33…アドレスを読出し回路 35…プリント・ヘッド・ドライバ 37…主走査モータドライバ 38…副走査モータドライバ 39…制御回路。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一走査方向に反復走査すると共に、こ
    の第一走査方向と直交する第二走査方向に複数個の液滴
    噴射ノズルを配設した液滴噴射ヘッドを用い、上記第二
    走査方向に記録媒体を移動させつつ液滴噴射ヘッドを第
    一走査方向に走査させ、液滴噴射ノズルを描画のための
    信号に対応させて駆動して液滴噴射させることにより、
    記録媒体にプリントするようにした記録装置において、 液滴噴射ヘッドは第二走査方向において必要とするドッ
    トピッチpのN倍(N≧2)のピッチで液滴噴射による
    ドットを得る構造とすると共に、この液滴噴射ヘッドを
    液滴噴射時には第一走査方向走査時に必要とするピッチ
    pのM倍(M≧2)のピッチで液滴噴射するよう制御
    し、かつ、第一走査方向の往動または復動走査毎に第二
    走査方向走査を行い、N×M回の第一及び第二走査方向
    走査によって単位帯状領域の走査を行うことにより、各
    液滴噴射による得られるドットは隣接するドットが全て
    異ったタイミングの走査によりプリントされるべく制御
    する制御手段とを具備して構成することを特徴とする液
    滴噴射型走査記録装置。
JP17154293A 1993-07-12 1993-07-12 液滴噴射型走査記録装置 Withdrawn JPH0725014A (ja)

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