JPH09164726A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JPH09164726A
JPH09164726A JP7324788A JP32478895A JPH09164726A JP H09164726 A JPH09164726 A JP H09164726A JP 7324788 A JP7324788 A JP 7324788A JP 32478895 A JP32478895 A JP 32478895A JP H09164726 A JPH09164726 A JP H09164726A
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recording apparatus
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JP7324788A
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English (en)
Inventor
Tetsuo Hirota
哲郎 廣田
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 要求される画質や記録媒体に応じた最適な改
行動作を行えない。 【解決手段】 1行印字後の改行動作として複数種の改
行モードを有し、選択又は指定された結果に応じた改行
モードで改行動作を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録装置に関し、特にインクジェットヘッドのノズルピッ
チよりも小さな記録ドット密度で画像を記録するインク
ジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットヘッドを用いて画像を記
録するプリンタ、ファクシミリ、コピー等のインクジェ
ット記録装置は、インク滴を吐出するための複数のノズ
ルと、各ノズルに対応して設けた電気機械変換素子や発
熱抵抗体などのアクチュエータとを備えたインクジェッ
トヘッドを記録ヘッドに用いて、記録信号に応じてノズ
ルからインク滴を記録媒体(インク滴が付着するもの)
に吐出することによって、高速、高密度、高品質の記録
を行なうものである。
【0003】ところで、このようなインクジェット記録
装置において、記録ヘッドを複数回走査することで画像
を形成するものとして、例えば特開昭5−318770
号公報や特開昭200998号公報に記載されているよ
うに、記録ドット密度に対応したノズルピッチを有する
記録ヘッドを用いて、記録ヘッドのノズル(吐出口)を
複数にグループ化し、複数回の走査を行うことで1つの
画像を記録するようにしたもの、あるいは、特開平6−
24004号公報に記載されているように、記録ドット
密度に対応したノズルピッチで形成された複数のノズル
列を複数有する記録ヘッドを用いて、使用するノズル列
を順次変更して複数回走査することで画像を形成するよ
うにしたものがある。
【0004】しかしながら、これらのインクジェット記
録装置においては、記録ヘッドのノズルピッチを記録ド
ット密度に対応して形成しているために、記録ドット密
度が高密度になるに従ってノズルピッチを小さくしなけ
ればならないが、ノズルピッチを小さくするには限界が
あるために記録ドット密度の高密度化には限界が生じ
る。また、記録ヘッドを複数回走査するものの、1回の
走査で用いる記録ヘッドのノズルは全ノズルの半分以下
になるためにヘッドの使用効率が著しく低下する。
【0005】これに対して、記録ドット密度よりも大き
なノズルピッチの記録ヘッドを用いて、記録ドット密度
をD、ノズルピッチをpとしたときにD/p=n回の走
査を行うようにして、例えば3回の走査を行うのであれ
ば、1回目の走査後1画素分の改行量で改行し、2回目
の走査後も1画素分の改行量で改行し、3回目の走査後
記録ヘッドの略記録幅相当分、すなわち、(記録ヘッド
の記録幅−2画素分)の改行量で改行を行うことで、記
録ヘッドのノズルピッチよりも小さな記録ドット密度で
画像を記録するようにしたインクジェット記録装置が提
案されており、これによれば、ノズルの使用効率が高
く、また記録ドット密度の高密度化に容易に対応するこ
とができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに記録ヘッドをn回走査することでノズルピッチより
も小さな記録ドット密度で画像を記録する場合に、上述
したようにして改行を行うと、最後の走査後の改行量が
記録ヘッドの略記録幅(ヘッド幅)相当分になり、記録
ヘッドが長尺になるほどその最後の改行量が多くなる
が、この結果、記録媒体の送り量誤差が累積して、バン
ディング(行と行のつなぎめに白又は黒のスジが発生す
る状態)が生じやすくなる。
【0007】このバンディングを防止するためには、記
録媒体の送り機構、例えばプラテンと給紙ローラを用い
る場合には、プラテンの偏芯量を無くするか、給紙ロー
ラの圧接力を高くするかいずれかの方法によることにな
るが、プラテンの偏芯量を無くすることは極めて困難で
あり、給紙ローラの圧接力を高くすることはモータの付
加が増大するという不都合を生じることになる。
【0008】また、n回の走査が略同じ場所で行われる
ために、コックリング(印字後の記録媒体のソリ、浮
き、シワ等)が生じやすくなる。このコックリングは、
インクジェット記録特有の問題であり、記録媒体の繊維
中にインクが浸透して行く過程において、繊維などが膨
潤してソリ、浮き、シワ等が発生するものである。そし
て、コックリングの発生を抑制する特殊な記録媒体を使
用すれば別であるが、一般に使用する普通紙では1秒程
度で約0.8〜1.6ミリのコックリングが発生する。
【0009】このような記録媒体にコックリングが記録
ヘッドの走査中に発生すると、記録ヘッドのノズル面と
記録媒体が接触するおそれがあり、これにより記録媒体
が使用できなくなると共に、記録ヘッドのノズル内に記
録媒体に付着しているゴミ等が侵入して目詰りを起こし
たり、ノズル面にインク溜りが生じて気泡がノズル内に
混入するなどの二次的な不都合を生じることになる。
【0010】このように、従来の記録ヘッドをn回走査
することでノズルピッチよりも小さな記録ドット密度で
画像を記録するインクジェット記録装置においては、改
行量を一義的に決めているために、要求される画質や使
用する記録媒体によってはバンディングやコックリング
などの不都合が生じている。
【0011】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、要求される画質や記録媒体に応じた最適な改行動
作を行えるようにしたインクジェット記録装置を提供す
ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1のインクジェット記録装置は、記録ヘッド
をn回(n=2以上の整数)走査することでこの記録ヘ
ッドのノズルピッチよりも小さな記録ドット密度で画像
を記録するインクジェット記録装置において、1行印字
後の改行動作として複数種の改行モードを有し、選択又
は指定された結果に応じた改行モードで改行動作を行う
手段を備えた。
【0013】請求項2のインクジェット記録装置は、上
記請求項1のインクジェット記録装置において、前記改
行モードとして前記記録ヘッドの記録幅をn回で均等改
行する第1改行モードを有する構成とした。
【0014】請求項3のインクジェット記録装置は、上
記請求項1のインクジェット記録装置において、前記改
行モードとして前記記録ヘッドの記録幅をn回の偶数倍
で微小均等改行する第2改行モードを有する構成とし
た。
【0015】請求項4のインクジェット記録装置は、上
記請求項1のインクジェット記録装置において、前記改
行モードとして前記記録ヘッドの記録幅をn回で均等改
行する第1改行モードと、前記記録ヘッドの記録幅をn
回の偶数倍で微小均等改行する第2改行モードとを有す
る構成とした。
【0016】請求項5のインクジェット記録装置は、上
記請求項2又は4のインクジェット記録装置において、
前記改行モードとしてn回目で記録ヘッドの略記録幅相
当分改行する通常改行モードを有し、記録媒体の位置に
応じて前記第1改行モード及び通常改行モードのいずれ
かを選択する構成とした。
【0017】請求項6のインクジェット記録装置は、上
記請求項3又は4のインクジェット記録装置において、
前記改行モードとしてn回目で記録ヘッドの記録幅分改
行する通常改行モードを有し、記録媒体の位置に応じて
前記第2改行モード及び通常改行モードのいずれかを選
択する構成とした。
【0018】請求項7のインクジェット記録装置は、上
記請求項5のインクジェット記録装置において、記録媒
体の始端及び/又は終端を検出する紙端検出手段と、こ
の紙端検出手段の検出結果に応じて前記記録媒体の始
端、終端以外の部分で前記第1改行モードを選択し、前
記記録媒体の始端、終端の部分で前記通常改行モードを
選択する構成とした。
【0019】請求項8のインクジェット記録装置は、上
記請求項6のインクジェット記録装置において、記録媒
体の始端及び/又は終端を検出する紙端検出手段と、こ
の紙端検出手段の検出結果に応じて前記記録媒体の始
端、終端以外の部分で前記第2改行モードを選択し、前
記記録媒体の始端、終端の部分で前記通常改行モードを
選択する構成とした。
【0020】請求項9のインクジェット記録装置は、上
記請求項7又は8のインクジェット記録装置において、
記録媒体をセットした後の最初の書き出し時に指定され
た改行量が前記記録ヘッドのヘッド幅以上のときには通
常改行モードに代えて第1又は第2改行モードを選択す
る構成とした。
【0021】請求項10のインクジェット記録装置は、
上記請求項7乃至9のいずれかのインクジェット記録装
置において、記録媒体をセットした後の最初の書き出し
時に記録するイメージデータが3ライン以上ブランクの
データのときには通常改行モードに代えて第1又は第2
改行モードを選択する構成とした。
【0022】請求項11のインクジェット記録装置は、
上記請求項1乃至10のいずれかのインクジェット記録
装置において、動作する改行モードを示す信号をホスト
側にに送出する手段を備えた。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。先ず、図1乃至図17を参照
して本発明を適用したインクジェット記録装置で用いて
いる記録ヘッドの詳細について説明する。図1は記録ヘ
ッドを構成するインクジェットヘッドの外観斜視図、図
2は図1の分解斜視図、図3は図1のA−A線に沿う断
面図、図4は図1のB−B線に沿う断面図である。
【0024】このインクジェットヘッドは、アクチュエ
ータユニット1と、このアクチュエータユニット1上に
接合された液室ユニット2とからなる。アクチュエータ
ユニット1は、基板3上に複数の圧電素子を列設してな
る2列の圧電素子列4,4及びこれら2列の圧電素子列
4,4を取り囲むフレーム5を接着剤6によって接合し
ている。圧電素子列4は、インクを液滴化して飛翔させ
るための駆動パルスが与えられる複数の圧電素子(これ
を「駆動部圧電素子」という。)7,7…と、駆動部圧
電素子7,7間に位置し、駆動パルスが与えられずに単
に液室固定部材となる複数の圧電素子(これを「固定部
圧電素子」という。)8,8…とを交互に配列した構造
としている。
【0025】液室ユニット2は、全体として液室形成部
材であり、変形部であるダイアフラム部11を形成した
振動板12上に、ダイアフラム部11と略同形状の加圧
液室17(図7参照)を形成する感光性樹脂フィルム
(ドライフィルムレジスト)からなる液室流路形成部材
13を接着し、この液室流路形成部材13上に複数のノ
ズル15を形成したノズルプレート16を接着してな
り、これら振動板12、液室流路形成部材13及びノズ
ルプレート16によって、圧電素子列4の各駆動部圧電
素子7,7…に対向する変形可能なダイヤフラム部11
を有するそれぞれ略独立した複数の加圧液室17を形成
し、かつノズル15,15…を圧電素子列4の各駆動部
圧電素子7,7…に、すなわち振動板12のダイアフラ
ム部11,11…に対向して配列している。そして、こ
の液室ユニット2はその振動板12が接着剤18によっ
てアクチュエータユニット1上に高い剛性で接合されて
いる。
【0026】ここで、アクチュエータユニット1の基板
3は、厚さ0.5〜5mm程度で、しかも圧電素子に似た
材質のものからなり、圧電素子と共に例えばダイヤモン
ド砥石による切削が可能なものであることが好ましく、
この実施例ではセラミックス基板を用いている。この基
板3の端部に形成したインク供給孔3aにはインク供給
パイプ19が接続される。
【0027】圧電素子列4を構成する駆動部圧電素子7
及び固定部圧電素子8としては、10層以上の積層型圧
電素子を用いている。この積層型圧電素子は、例えば図
3に示すように、厚さ20〜50μm/1層のPZT
(=Pb(Zr・Ti)O3)20と、厚さ数μm/1層の
銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極21とを
交互に積層したものである。厚さ20〜50μm/1層
の積層型とすることによって駆動電圧の低電圧化を図
れ、例えば20〜50Vのパルス電圧で圧電素子の電界
強度1000V/mmを得ることができる。なお、圧電素
子として用いる材料は上記に限られるものでなく、一般
に圧電素子材料として用いられるBaTiO3、PbTi
3、(NaK)NbO3等の強誘電体などを用いることも
できる。
【0028】そして、駆動部圧電素子7の内部電極21
は1層おきにAgPdからなる左右の端面電極22,23
に接続され、端面電極22,23は導電性接着剤24を
介してNi・Au蒸着パターンからなる外部電極パターン
25に接続され、この外部電極パターン25にFPCケ
ーブル26が接続されて、駆動電圧を与えられることに
よって積層方向に電界が発生して、駆動部圧電素子7に
は積層方向の伸びの変位が生起される。なお、各圧電素
子列4,4の駆動部圧電素子7,7の対向する側の端面
電極22,22を駆動用選択電極とし、対向しない端面
側の端面電極23,23を共通電極としている。
【0029】ここで、圧電素子列4,4の各駆動部圧電
素子7と固定部圧電素子8とは後述するように同一のプ
レート状圧電素子を切断して形成するので、いずれの圧
電素子を駆動部圧電素子7とし、固定部圧電素子8とす
るかは駆動パルスを与え方によって決定される。図1乃
至図4に示すインクジェットヘッドの圧電素子列4,4
においては、図5に示すように各圧電素子列4,4の駆
動部圧電素子7が千鳥状に配列される(駆動される)よ
うにして、ノズルピッチPを短くしている。また、図6
に示すように各圧電素子列4,4の駆動部圧電素子7が
同一方向に並ぶ配列にすることもできる。この場合のノ
ズルピッチPは、固定部圧電素子8の幅を狭くすること
によって図5に示す千鳥状配列の場合と同等のピッチを
得ることができる。
【0030】フレーム5は、図2に示すように、樹脂、
セラミックス、金属等からなる板状部材に圧電素子列
4,4に対応する透孔部5a,5bを穿設して形成し
て、その周囲を液室固定部28〜30として用いると共
に、端部には基板3のインク供給孔3aに対応するイン
ク供給孔5cが形成されている。
【0031】次に、液室ユニット2の振動板12は、図
3に示すように液室流路形成部材13側は平坦面とし、
圧電素子列4側はそれぞれ厚みの異なるダイアフラム領
域12a、接合領域12b及び逃げ領域12cを形成し
て、圧電素子列4の駆動部圧電素子7,7…に対応して
ダイアフラム部11を形成したものである。
【0032】ここで、ダイアフラム領域12aは、最も
厚みの薄い領域であって、厚さを3〜10μm程度にし
たダイアフラム部11のダイアフラム領域(駆動部圧電
素子7の変位に応じて変形する弾性部分)である。この
ダイアフラム領域12aの厚さを10μm以下にするこ
とで、駆動部圧電素子7の変位を効率的に加圧液室17
に伝搬することができる。また、接合領域12bは、最
も厚みの厚い領域であり、圧電素子列4の駆動部圧電素
子7及び固定部圧電素子8並びに第2液室固定部材であ
るフレーム5との接合領域であって、例えば20μm程
度以上の厚さに形成している。更に、逃げ領域12c
は、中間の厚さの領域であって、駆動部圧電素子7との
接触を避けるための逃げ領域である。なお、振動板12
にもインク供給孔12dを形成している。
【0033】この振動板12を形成する材料は、駆動部
圧電素子7による加圧力を加圧液室17に伝搬できる弾
性部分を形成でき、インクに対する耐液性がよく、低透
湿性のものであればよい。ここでは、エレクトロンフォ
ーミング工法(電鋳)によって製造したNi(ニッケ
ル)の金属プレートを用いているが、この他SUS等の
金属膜、非常に薄い低透湿性の樹脂膜、例えばポリフェ
ニレンサルファイド、ポリイミド、ポリエーテルサルフ
ォン、ポリクロロトリフルオロエチレン、アラミド等の
樹脂膜を用いることもできる。
【0034】液室流路形成部材13は、振動板12上面
とノズルプレート16との間に位置して加圧液室17の
流路等を形成するものであり、その製造工程から下側液
室流路形成部材40及び上側液室流路形成部材41とで
構成している。
【0035】下側液室流路形成部材40は、振動板12
上面に接着された感光性樹脂フィルムからなり、図2に
示すように上側液室流路形成部材41と相俟って圧電素
子列4の各駆動部圧電素子7,7…に対応して独立した
加圧液室17を形成すると共に、各加圧液室17へのイ
ンク供給路を兼ねた流体抵抗部42を形成する多数の内
側隔壁部43と、加圧液室17,17…の周囲に共通液
室44を形成する外周隔壁部45とからなる。なお、内
側隔壁部43は圧電素子列4,4が2列形成されている
ことに対応して2列形成され、各列の間も共通液室44
としている。上側液室流路形成部材41は、下側液室流
路形成部材40と同様の構成(ただし、流体抵抗部42
は設けない。)でもよいが、図7に示すように下側液室
流路形成部材40で形成される加圧液室17,17…の
略中央部に円筒状の流路孔46を形成したものでもよ
い。
【0036】ノズルプレート16にはインク滴を飛翔さ
せるための微細孔である多数のノズル15が形成されて
おり、このノズル15の径はインク滴出口側の直径で3
5μm以下に形成し、かつノズル15は振動板12のダ
イアフラム部11に対向して、かつ加圧液室17の中心
近傍に対応する位置に設けている。このノズルプレート
16も振動板12と同様にはエレクトロンフォーミング
工法(電鋳)によって製造したNi(ニッケル)の金属
プレートを用いているが、その他の金属材料を用いるこ
ともできる。なお、実際には、1列32〜64個のノズ
ル15を2列配列した64〜128個構成で1つのイン
クジェットヘッドを製作するが、この64〜128個の
ノズル15を有するノズルプレート16の品質は、イン
クの滴形状、飛翔特性を決定し、画像品質に大きな影響
を与えるものである。
【0037】この液室ユニット2で形成される各加圧液
室17,17…は、図7及び図8に拡大して示すよう
に、振動板12のダイアフラム部11と略同形状をな
し、更に、複数のノズル15の配列方向の幅(図4で示
される幅−液室幅D)が、このノズル15の配列方向と
直交する方向の幅(図3で示される幅−液室長L)より
も短い細長型形状に形成している。したがってまた、振
動板12のダイアフラム部11もこの加圧液室17と同
様な細長型形状に形成している。そして、上記のように
加圧液室17の中央部に振動板12のダイアフラム部1
1に対向するノズルプレート16のノズル15を位置さ
せ、圧電素子列4の列設方向で、ノズル15に対して、
加圧液室17、この加圧液室17に連通するインク流路
をなす流体抵抗部42,42、及び共通液室44,44
が対称配置された構成としている。
【0038】この場合、圧電素子列4,4の駆動部圧電
素子7と固定部圧電素子8とを前述した図5に示すよう
に千鳥状配置とするときには、振動板12のダイアフラ
ム部11、加圧液室17及びノズル15も千鳥状配置と
なり、図6に示すように同列配置としたときには、振動
板12のダイアフラム部11、加圧液室17及びノズル
15も同列配置となる。
【0039】なお、加圧液室17は、例えば図9に示す
ように上記の液室ユニット2の上側液室流路形成部材4
1を省略して、下側液室流路形成部材40のみによって
形成することもできる。また、例えば図10に示すよう
に加圧液室17の一方側にのみインク流路である流体抵
抗部42を形成して他方側を閉塞し、ノズル15を振動
板12のダイアフラム部11に対向しつつ、加圧液室1
7の他方側に配置することもできる。ただし、この場合
には、ノズル15に対して加圧液室17、流体抵抗部4
2及び共通液室44は非対称配置になる。
【0040】また、振動板12上に形成する下側液室流
路形成部材40にて形成する液室形状は、図11及び図
12に示すように2列の加圧液室17,17…間に共通
液室44を完全に遮蔽しない仕切り隔壁部47を設けた
形状とすることもできる。さらに、図13及び図14に
示すように、2列の加圧液室17,17…間に外周隔壁
部45に連続する中央仕切り隔壁部48を形成して、2
列の加圧液室17,17…(形状は図12と同様であ
る。)のそれぞれの両側に実質的に略同形状の共通液室
44a,44bを設け、かつ振動板12のインク供給孔
12dを端部中央位置に形成して、共通液室44a,4
4bを圧電素子列4の列設方向でノズル15に対して対
称配置することもできる。
【0041】以上のような各部から構成されるインクジ
ェットヘッドは、予めアクチュエータユニット1と液室
ユニット2とを別々に組付けた後、両ユニット1,2を
接着接合して製造している。このような製造工程を採用
することによって、両ユニット1,2の良品同士を選ん
で組み付けることができて歩留りが向上すると共に、加
工組付け工程で塵埃が発生しやすいアクチュエータユニ
ット1と、塵埃の付着を完全に避けたい液室ユニット2
とを別々の工程で組付けることができるので、完成した
インクジェットヘッドの品質自体が向上する。
【0042】先ず、アクチュエータユニット1の加工及
び組付け工程は、次のとおりである。すなわち、図15
に示すように基板3に予めインク供給孔3aを形成する
と共に、2列の圧電素子列4,4間に、後述する圧電素
子切断加工時の切込み溝より深い溝3bを形成し、この
溝3bを含めて予め外部電極となるNi・Au蒸着電極パ
ターン61(選択電極用),62(共通電極用)を大ま
かにパターニングする。
【0043】そして、図16に示すように両端面に端面
電極22,23となる電極を形成した2つの独立したプ
レート状圧電素子63,63を位置決め治具を用いて基
板3上に接着剤6にて接着接合し、プレート状圧電素子
63,63の各端面の電極を基板3の蒸着電極パターン
61,62と導電性接着剤24で電気的に接続する(図
3も参照)。
【0044】その後、図17に示すようにダイヤモンド
砥石をセットしたダイサーによって、例えば1ピッチ当
たり100μm程度の幅で駆動部圧電素子7及び固定部
圧電素子8となる個々の圧電素子64を形成しながら切
断加工する。このとき、基板3に至るまで切込み溝65
を入れて切断することによって、個々の圧電素子64,
64…を完全に独立させる。
【0045】ここで、切断加工された各列の個々の圧電
素子64,64…は、前記のとおり駆動部圧電素子7と
固定部圧電素子8となって、同時に2列の圧電素子列
4,4の駆動部圧電素子7と固定部圧電素子8を形成す
ることができる。また、2列の圧電素子列とすること
で、前述したように一方の列の圧電素子を駆動部圧電素
子としたときに、他方の列の圧電素子を固定部圧電素子
とすることによって、各列のノズル15,15を千鳥状
に配列して見掛け上のノズルピッチを高集積化すること
ができる。このように、2列配置の圧電素子列を設けて
高集積化を図る場合、駆動部圧電素子7と固定部圧電素
子8とは同寸法・同一形状で形成する。
【0046】また、基板3上の蒸着電極パターン61,
62も同時に切断されて個々の圧電素子64毎に分割さ
れるが、基板3の溝3bにまで切込み溝65が達しない
ので、電極パターン62は溝3bを通じて2列の圧電素
子64,64の対向する端面側のすべての端面電極と接
続されたままである。したがって、この電極パターン6
2を共通電極として用いることによって、簡単に2列の
圧電素子64,64の対向する端面側に共通電極を接続
することができる。
【0047】次に、圧電素子の加工が終了した基板3上
にフレーム5を接着接合する。その後、FPCケーブル
26を基板3の電極パターン61,62に熱と加圧で接
合する。このFPCケーブル26は圧電素子64,64
…の内の駆動部圧電素子7となる圧電素子64を選択的
に駆動できるパターンを有し、その接合部には予め半田
メッキを施している。最後に、各圧電素子の容量を測定
する。
【0048】一方、液室ユニット2の加工・組付け工程
について説明すると、予めエレクトロンフォーミング工
法(電鋳)を用いてNi(ニッケル)の金属プレートか
らなるダイアフラム部11を有する振動板12及びノズ
ル15を有するノズルプレート16を製造する。このよ
うに振動板12及びノズルプレート16を同一の工法に
よって製造することで、より量産効果を上げることがで
きて、ヘッドの製造コストを低減することができる。特
に、エレクトロンフォーミング工法(電鋳)を用いて製
造する金属プレートは、微細加工の容易性、量産性、高
精度加工性において優れた工法である。なお、勿論、振
動板12やノズルプレート16をプレス、エッチング等
によって製造することもできる。
【0049】そして、振動板12のフラットな面上に下
側液室流路形成部材40を形成するための感光性樹脂で
ある厚さ20〜50μm程度のドライフィルムレジスト
を熱及び加圧によってラミネートし、流路パターンに応
じたマスクを用いて紫外線露光をして、露光部分を硬化
させる。そして、未露光部分を除去できる溶剤を用い
て、未露光部分を除去して現像し、図2に示すように下
側液室流路形成部材40の液室パターンを形成し、水洗
い、乾燥の後、再度紫外線露光と熱によって本硬化す
る。
【0050】また、ノズルプレート16にも上側液室流
路形成部材41を形成するための感光性樹脂である厚さ
40〜100μm程度のドライフィルムレジストを熱及
び加圧によってラミネートし、流路パターンに応じたマ
スクを用いて紫外線露光をして、露光部分を硬化させ、
未露光部分を現像して、上側液室流路形成部材41の液
室パターン(前述したように流体抵抗部42がない。)
を形成し、水洗い、乾燥の後、再度紫外線露光と熱によ
って本硬化する
【0051】そして、このようにして振動板12とノズ
ルプレート16に形成されたドライフィルムレジストか
らなる下側液室流路形成部材40と上側液室流路形成部
材41の対応する面同士を接合する。この接合は位置合
わせ治具を用いて行い、加圧及び前記本硬化のときより
高い温度での加熱を行う。なお、実際には、以上の工程
は、複数個分のヘッド面積のプレートにて組付けを行う
ようにしている。
【0052】ここで、振動板12とノズルプレート16
の位置合わせについて説明する。本実施例では、振動板
12とノズルプレート16とを高精度に位置決めするた
め、図2に示すように振動板12及びノズルプレート1
6(いずれも下側,上側流路形成性部材40,41を含
む)に、同一形状で互いに大きさの異なる円形状のアラ
イメントマーク71,72を2箇所にそれぞれ形成して
いる。なお、アライメントマーク71,72の形状は円
形状に限らず、例えば多角形状、十字形などでもよく、
またその形成位置は振動板12及びノズルプレート16
に相対的に同位置であればよい。
【0053】この場合、アライメントマーク71,72
のいずれか一方を大きく、他方を小さく形成して、振動
板12とノズルプレート16とを重ね合わせるときに、
画像処理装置やCCDカメラ等の撮像装置を用いて、大
きなアライメントマーク側から小さなアライメントマー
ク側を確認し、両者のアライメントマークが正規の位置
に合うように両者を相対的に移動して位置決めすること
で高精度な位置決めを行うことができる。
【0054】次に、上述のようにして完成したアクチュ
エータユニット1と液室ユニット2とを組み付ける。す
なわち、先ず、アクチュエータユニット1の圧電素子6
4,64…及びフレーム5の面にスクリーン印刷機を用
いてエポキシ系接着剤等の接着剤18を塗布する。
【0055】その後、位置合わせ可能な接合治具にアク
チュエータユニット1を固定し、液室ユニット2の振動
板12側(接合面)を下方にして、位置合わせしながら
両ユニット1,2を接合する。この場合、数Kg/cm2の
加圧状態でエポキシ系接着剤が反応硬化する間放置す
る、なお、接着剤として、アクリル系の二液非混合タイ
プのものやシアノアクリレート系のものなどを用いて瞬
間的に接合するようにしてもよい。最後に、基板3のイ
ンク供給孔3aにインク供給パイプ19を挿入して接着
剤を塗布硬化して固定する。
【0056】以上のように構成したインクジェットヘッ
ドにおいては、記録信号に応じて選択的に圧電素子列
4,4の駆動部圧電素子7,7…に20〜50Vの駆動
パルス電圧を印加することによって、パルス電圧が印加
された駆動部圧電素子7が変位して振動板12の対応す
るダイアフラム部11をノズル15方向に変形させ、加
圧液室17の容積(体積)変化によって加圧液室17内
のインクを加圧し、インクがノズルプレート16のノズ
ル15から液滴となって噴射され、記録を行うことがで
きる。
【0057】そして、インク滴の吐出に伴って加圧液室
17内のインク圧力が低下し、このときのインク流れの
慣性によって加圧液室17内には若干の負圧が発生す
る。この状態の下において、駆動部圧電素子7への電圧
の印加をオフ状態にすることによって、振動板12のダ
イアフラム部11が元の位置に戻って加圧液室17が元
の形状になるため、さらに負圧が発生する。
【0058】このとき、図示しないインクタンクに通じ
るインク供給パイプ19から入ったインクは、共通液室
44を通って流体抵抗部42から加圧液室17内に充填
される。そこで、ノズル15のインクメニスカス面の振
動が減衰して安定した後、次のインク滴吐出のために駆
動部圧電素子7にパルス電圧を印加する。
【0059】このように、このインクジェットヘッドに
おいては、加圧液室17は振動板12、感光性樹脂から
なる液室流路形成部材13及びノズルプレート16によ
って形成され、この加圧液室17の壁面の一つを構成す
る振動板12の部分は、振動板12の駆動部圧電素子7
に接合する側面の側に形成したダイアフラム部11に対
応するように略同形状で加圧液室17の壁面を形成し、
そのダイアフラム領域は最薄部12aとこの最薄部12
a内に設けた駆動部圧電素子7の変位を伝達する変位伝
達部により構成し、さらにダイアフラム部11と対向し
てノズルプレート16のノズル15を設けている。これ
によって、次のような作用効果が得られる。
【0060】駆動部圧電素子7の駆動によって高速で
d33方向(積層方向)に変位することによって、加圧
液室17内の圧力上昇が瞬時に行われる。これにより、
入力した駆動電圧波形に対応して時間遅れが生じること
なく変位する。そして、d33方向の変位を利用してい
るので、駆動部圧電素子7の変位方向の厚みを薄くで
き、機械的共振点も実用上の問題がないほどに高周波数
帯(500KHz以上)となり、数μsの立ち上がり時
間で駆動しても共振の影響が略なくなる。
【0061】加圧液室17のダイアフラム部11に対
応する最薄部12aが容易に変形するので、駆動部圧電
素子7の変位を妨げず、加圧液室17の圧力上昇をロス
なく生じさせることができる。すなわち、ダイアフラム
部11はその周辺がより厚い部分で支持されており、加
圧液室17を構成する液室流路形成部材13もこのダイ
アフラム部11以外の厚い部分で接合している。ダイア
フラム部11の形状、厚さは、ダイアフラム部11の剛
性が駆動部圧電素子7の剛性に対して充分小となるよう
に設定しているので、駆動部圧電素子7の変位は素子単
体とダイアフラム部11への接合時とで差異はない。
【0062】加圧液室17の振動板12面がダイアフ
ラム部11と略同形状であることにより、加圧液室17
内の必要最小限のインクを効率良く吐出できる。すなわ
ち、インク吐出のための発生力を与えるダイアフラム部
以上の必要以上に大きい壁面を持つ加圧液室17とする
ことは、加圧液室17内の容積が増大するため、インク
自体の圧縮と、加圧液室17のインク内圧によって変形
を生じるので、圧力上昇をする上で損失が大きくなる。
そこで、加圧液室17の形状をダイアフラム部11と略
同形状とすることで損失を少なくすることができる。た
だし、加工、組付けのための最小限の公差は考慮する必
要がある。
【0063】ダイアフラム部11と対向する位置にノ
ズル15を設けることによってノズル15への圧力伝達
が高速(短時間)に行われ、インクの吐出効率が向上す
る。これは、駆動部圧電素子7の駆動立ち上がり時にダ
イアフラム部11の急激な変位(高加速度成分)による
第1波の圧力波の伝播によりノズルメニスカス面を打ち
破り、続く第2波の圧力波の伝播により容易に高速で大
容量のインクを吐出することができる。第2波にノズル
メニスカスを隆起させ打ち破るための圧力損失を生じな
いからである。
【0064】また、図9あるいは図10に示すように、
加圧液室17に直接臨むノズルプレート16のダイアフ
ラム部11と対向した位置にノズル15を形成すること
によって、ノズル15への圧力伝達の損失が生じない。
すなわち、加圧液室17とノズル15との間にイナータ
ンス、コンプライアンス、流体抵抗成分を付与すること
がない。これらの効果が相乗することによって、ノズル
に圧力を効率的に集中伝達させることができ、インクの
吐出効率が向上する。
【0065】そして、このインクジェットヘッドにおい
ては、圧電素子列4の各駆動部圧電素子7,7間に固定
部圧電素子8,8…を設けた構造としているので、駆動
部圧電素子7を駆動したときの機械的振動が伝搬される
ことを殆どなくすることができて、他のチャンネルに対
して悪影響を与えるという相互干渉が殆どなくなる。
【0066】この構造は、ダイアフラム部11に対向し
たノズルプレート16の位置にノズル15を形成するの
に適した構成である。すなわち、従前、ダイアフラム部
11に対向したノズルプレートの位置にノズル15を形
成したのでは、ノズル15を振動源の近傍(直上)に配
置することになって圧電素子の変位による機械的振動の
伝達による噴射特性の劣化を生じやすく、特に高周波駆
動が困難であった。上述のような構造にすることで振動
伝達が殆どなくなるので、ノズル15を振動源の近傍
(直上)に配置することの不都合がなくなるのである。
【0067】さらに、このようにダイアフラム部11に
対向してノズル15を配置した構成において、図7ある
いは図9に示すように、加圧液室17の両側にインク流
路である流体抵抗部42を介して共通液室44を配置し
て、ノズル15からのインク滴吐出後のインクの供給を
加圧液室17の長手方向の双方向の共通液室44,44
からノズル15に行うようにすることによって、短時間
での高速なインクリフィルが可能になる。
【0068】前述したように駆動部圧電素子7のd33
方向の変位を利用して高速変位、高周波駆動を可能と
し、加圧液室17の形状をダイアフラム部11と略同形
状とするなどしてインク吐出の駆動周波数を高くして高
周波応答を行うためには、それに見合う高速インクリフ
ィルを行わなければならないので、上記のような液室構
成とすることによって所望の高速インクリフィルを行う
ことができ、これによって高周波応答が実現できる。す
なわち、圧電素子側の高周波駆動能力と液室側の高速リ
フィル能力の双方を得られて高周波応答が可能になるの
である。
【0069】そして、加圧液室17を前述したような細
長型形状に形成した場合は、高速リフィルを達成する手
段として、双方向からのインクリフィルが有効な手段と
なる。この場合、加圧液室17は、図8を参照して、液
室長L/液室幅Dが1以上50以下になるように形成す
ることが実用上の駆動速度でのインク滴吐出をするため
に好ましい。さらに、高周波駆動や高集積化を考慮した
ヘッド内の配置を目指す場合には、4以上10以下とす
るのが好ましい。
【0070】ここで、加圧液室17の液室幅Dが大であ
ると、ノズル間ピッチが大きくなって高集積化には不利
となり、小であると吐出するインク体積が小となって必
要な体積が得られなくなる。一方、液室長Lが大である
と、加圧液室17でのインク吐出後の圧力変動が長周期
となるために減衰が遅れて高周波駆動に支障を来し、小
であると液室幅Dと同様にインク体積が小となって必要
体積が得られなくなる。上記実施例の構成では、液室幅
D:200μm、液室長L:1400μmとしたとき、
ノズル間ピッチ:254μm、最大駆動周波数:20〜
30KHz、吐出インク体積:30〜60pl程度が得ら
れた。
【0071】また、図7あるいは図9に示す液室構成で
は、加圧液室17に連通するノズル15に対して、加圧
液室17、流体抵抗部42を対称配置している。これに
よって、加圧液室17内部で発生するインク吐出時の圧
力波、及びインク吐出後に残留振動する圧力波のバラン
スをとることができる上、ヘッド組立て、加工時に残留
する内部応力等によるノズルに対する歪をキャンセルす
ることができる。
【0072】さらに、図13に示す液室構成では、加圧
液室17に連通するノズル15に対して共通液室44
a,44bの形状を含めて対称配置している。このよう
にすることで、初期インク充填性を向上することができ
る。すなわち、インクジェットヘッドの組立て完了後に
インクをヘッド内に充填する(初期インク充填)が、こ
の場合、加圧液室17及び共通液室44a,44b等に
気泡を残留させることなくインクを完全に充填しなけれ
ばならない。上記のようなノズル15に対して双方向の
バランスがとれた等価のインク流が得られるので、双方
向から同時にインク流入が行われて、充填性が向上す
る。
【0073】ここで、図12に示す液室構成でも共通液
室44が対称配置となっているので、相当の初期インク
充填性の向上を図れるが、インク供給孔12dが共通液
室44の片隅に設けられているためにインク供給孔12
dから離れた側の共通液室44への充填が遅れる傾向に
ある。これに対して、図13に示す液室構成では、イン
ク供給孔12dを2列の共通液室44a,44bの中央
部に設けているので、一層初期インク充填性の向上が図
れる。
【0074】また、このインクジェットヘッドにおいて
は、前述したように振動板12及びノズルプレート16
を金属材料によって形成しているので、加圧液室17の
剛性が高くなる。すなわち、加圧液室17内にインクを
充填した状態で、駆動部圧電素子7を駆動することによ
ってインク圧が急速に高まり、インク滴を吐出すること
は前述したとおりであるが、加圧液室17内部のインク
圧の上昇は同時に加圧液室17自体をも変形させる圧力
となるので、この変形が生じるとインク圧の上昇が阻害
され、インク吐出効率の低下や他の加圧液室17に変形
が及んで相互干渉の発生という事態が生じることになる
ため、剛性の高い金属材料で形成することによってその
変形を防止できる。また、金属材料を用いることは、液
室内部のインクが圧電素子側に透湿することを完全に防
止できるので、圧電素子のマイグレーションの発生を抑
えることができる。なお、金属材料に代えて、シリコン
の微細加工プロセスを利用して形成することもできる。
【0075】そして、このインクジェットヘッドは加圧
液室を用いるピエゾアクチュエータ方式を採用している
ことで、アクチュエータである圧電素子がインク中に浸
されないので接液性の問題がなく、圧電素子は自己発熱
の問題がないので使用インクの制約もなく、更にインク
液吐出に最適な圧電素子駆動波形を設定できることから
微小滴(サテライト)が発生し難く、画像(印字)品質
が高く、アクチュエータユニットと液室ユニットを別体
で組み付けることから、ヘッドの歩留り、組立て品質が
向上する。
【0076】次に、図18及び図19を参照して本発明
を適用したインクジェット記録装置の機構部の概略につ
いて説明する。このインクジェット記録装置の機構部
は、主走査方向(紙面垂直方向)に配設したガイドロッ
ド81とガイドプレート82とで主走査方向に摺動可能
に支持したキャリッジ83を備え、このキャリッジ83
の下面側に前述したインクジェットヘッドからなる記録
ヘッド84を搭載して、主走査駆動モータ85でタイミ
ングベルト86を介してキャリッジ83(記録ヘッド8
4)を主走査方向に移動させる。
【0077】一方、記録媒体である用紙を副走査方向に
搬送するためのプラテン88と、プラテン88の周面に
押し付けて配設した給紙ローラ89、90及び用紙押え
用ローラ91と、記録ヘッド84が対向するガイド板9
2と、排紙ローラ93及びこの排紙ローラ93に当接す
る用紙押え用拍車ローラ94とを備え、ステッピングモ
ータからなる副走査駆動モータ95でギヤ96〜99を
介してプラテン88を回転駆動することによって、給紙
部100に収納した用紙101をプラテン88と給紙ロ
ーラ89、90及び用紙押え用ローラ91を経て、記録
ヘッド84とガイド板92との間に送り込み、プラテン
88のギヤ99に噛み合うギヤ104を介して回転され
る排紙ローラ93及び用紙押え用拍車ローラ94で用紙
101を排紙方向に送り出す。
【0078】このようにこのインクジェット記録装置で
は、記録ヘッド84(キャリッジ83)を主走査方向に
移動走査させながら、用紙101を副走査方向に搬送し
て、記録ヘッド84のノズルからインク滴を噴射させる
ことによって、用紙101上に所要の画像を記録する。
【0079】そして、図19に示すようにプラテン88
の周面で搬送される用紙101の有無を検出するため
に、用紙101で揺動されるセンサ棒105を軸106
で揺動可能に軸支し、このセンサ棒105の先端部をプ
ラテン88の外周面に設けた溝部88aに臨ませると共
に、センサ棒105の後端部を挟んで対向する発光素子
及び受光素子からなるフォトインタラプタで構成した紙
有無センサ107を設けている。これにより紙有無セン
サ107からはプラテン88周面の用紙101の有無に
応じた検知信号が出力される。
【0080】次に、このインクジェット記録装置の制御
部について図20を参照して説明する。この制御部は、
改行動作を制御する手段を兼ねたこの記録装置全体の制
御を司るCPU(中央処理装置)110、ROM111
及びRAM112からなるマイクロコンピュータと、入
出力ポート(PIO)113と、入力バッファ114
と、キャラクタジェネレータ115と、改行カウンタ1
16と、ダイレクトメモリアクセスコントローラ(DM
AC)117と、1ライン出力バッファ118と、入出
力ポート(PIO)119と、記録ヘッド84を駆動す
るドライバ120と、主走査駆動モータ85及び副走査
駆動モータ95を各々駆動制御するドライバ121等と
からなる。
【0081】入出力ポート113には、用紙の始端、終
端を検知する紙有無センサ107からの検知信号、オペ
レーションパネルからの各種指定信号、セントロニクス
I/Fを介して受信するホスト側からの印字データ、キ
ャリッジのホームポジションを検知するホームポジショ
ンセンサ等の各種センサからの信号等が入力されると共
に、入出力ポート113からはセントロニクスI/Fを
介してホスト側に改行モードが後述する第1,第2,通
常改行モードのいずれであるかを送出等する。入力バッ
ファ114は、入出力ポート113を介して受信するホ
スト側からの印字データを蓄積する。
【0082】キャラクタジェネレータ115は、コード
データで受信した印字データをイメージデータに変換す
る。改行カウンタ116は、改行数をカウントする。D
MAC117は、入力バッファ114の蓄積している印
字データを読出してキャラクタジェネレータ115でイ
メージデータに変換させて、1ライン分の印字データを
1ライン出力バッファ118に転送させる等の処理をす
る。1ライン出力バッファ118は、1ライン分のデー
タを蓄積して、所要のタイミングでドライバ120を介
して記録ヘッド84に送出する。入出力ポート119
は、各ドライバ120,121に対して駆動制御信号を
出力する。
【0083】次に、このインクジェット記録装置の改行
動作及び制御に関する作用について図21以降をも参照
して説明する。なお、ここでは、記録ヘッド84を概念
的に示すこととし、記録ヘッド84を記録ヘッドH、記
録ヘッド84のノズル15をノズルN(又はノズルN
1、N2……)、記録ヘッドHと用紙との相対位置をヘ
ッド位置H1、H2……で表わすこととする。
【0084】先ず、図21を参照して記録ヘッドと記録
画素の関係について説明する。同図(b)に示す記録ド
ット密度(記録画素ピッチ)D(dpi)と、同図(a)
に示す記録ヘッドHのノズルN1,N2の間隔(他のノ
ズル間隔も同じとする。)であるノズルピッチP(dp
i)が、D=n・P(dpi)の関係を有するとき、記録ヘ
ッドHのn回の主走査を行って記録することによって、
全記録画素を埋めることができる。
【0085】例えば図22に示すようにn=3回として
記録する場合、主走査方向に対しては記録ヘッドHの走
行速度(主走査速度)に対してインク滴の吐出タイミン
グを制御することにより、目的の記録画素上にインク滴
を着弾させることができる。そして、副走査方向に対し
ては、例えば記録ヘッドHをヘッド位置H1で主走査し
て1回目の記録を行った後、用紙を1記録画素分副走査
方向に移動(改行)させて、記録ヘッドHをヘッド位置
H2にした状態で、記録ヘッドHを主走査して2回目の
記録を行い、同様にして記録ヘッドHをヘッド位置H3
にした状態で、記録ヘッドHを主走査して3回目の記録
を行なう。
【0086】このようにして3回の主走査動作と3回の
副走査動作を行うことによって、記録ヘッドHのヘッド
幅分の記録が完成する。このように記録ヘッドをn回
(n=2以上の整数)走査することで、記録ヘッドのノ
ズルピッチよりも小さな記録ドット密度で画像を記録す
ることができる。
【0087】そこで、本発明に係るインクジェット記録
装置で用いている通常改行モードについて図23を参照
して説明する。この例では、記録ヘッドHのノズルNの
数を8個(ノズルN1〜N8とする。)、ノズルピッチ
P=200dpiとして記録ドット密度D=600dpiの記
録を行うために、n=3回とする。
【0088】この通常改行モードでは、記録ヘッドHを
ヘッド位置H1にして主走査を行ない、このとき8個の
ノズルN1〜N8をすべて使用(実際にインク滴を吐出
するか否かは別である。)して1回目の記録をし、次に
1画素分改行してヘッド位置H2にして、この位置で同
様にして主走査を行って2回目の記録をし、更に1画素
分改行してヘッド位置H3にして、この位置で同様にし
て主走査を行って3回目の記録をすることで、副走査方
向に第1ドットから第24ドットまでの画素を埋める。
その後、次に22画素分の改行を行って記録ヘッドHを
ヘッド位置H4にし、同様にしてヘッド位置H4、H
5、H6で主走査を行って記録する。
【0089】つまり、3回目の記録後22画素分の改行
を行うのは、必要な改行量である24画素に対して既に
第1、第2回目の記録後にそれぞれ1画素分の改行を行
っていることになるので、(8×3)−(3−1)の結
果により22画素となる。これを一般的に表わせば、n
回の主走査後の改行量は、(ノズル数×n)−(nー
1)となる。
【0090】この通常改行モードでは、前述したように
用紙101を送るプラテン88の偏芯や(特に、摩擦力
を得やすいゴム成形品では大きくなる。)やプラテン8
8と用紙101との間の摩擦力との関係で、用紙送り量
が徐々に変化することがあり、このモードではn回の主
走査後の改行量が多くなるため、用紙送り量の累積誤差
が大きくなってバンディングを生じたり、あるいは、n
回の主走査を略同じ場所で行うためにコックリングを生
じることがある。なお、図23の例ではバンディングは
位置B1で生じることになる。
【0091】そこで、このインクジェット記録装置では
改行モードとして通常改行モードの他に、記録ヘッドの
記録幅をn回で均等改行する第1改行モードと、記録ヘ
ッドの記録幅をn回の偶数倍で微小均等改行する第2改
行モードとを併せ持っている。
【0092】まず、第1改行モードについて図24を参
照して説明する。この第1改行モードにおいて、記録ヘ
ッドHをヘッド位置H1にして主走査を行ない、このと
き8個のノズルN1〜N8の内のノズルN5〜N7を使
用して1回目の記録をし、次に7画素分改行してヘッド
位置H2にして、この位置で主走査を行ってノズルN1
〜N8の内のノズルN3〜N7を使用して2回目の記録
をし、更に7画素分改行してヘッド位置H3にして、こ
の位置で同様にして主走査を行ってノズルN1〜N8の
内のノズルN3〜N7を使用して3回目の記録をする。
その後、7画素分の改行を行いヘッド位置H4にして4
回目の記録をし、以後はヘッド位置H5、H6……にし
てこれを繰り返す。
【0093】このように記録ヘッドHの記録幅をn回で
均等改行するようにした第1改行モードにおいては、1
回の改行量が少なく、用紙送り量の累積誤差が少なくな
ってバンディングに対して有効である。もっとも、この
第1改行モードでも図24に示す位置B1、B2、B3
……でバンディングが発生する可能性があるが、この間
隔が通常改行モードに比べて短くなることから、視認上
の繰り返し(空間周波数)が高くなるために目立たなく
なる。
【0094】また、記録後略1/3が改行されるので膨
潤していない(コックリングの発生していない)部分が
記録ヘッドに対向することになり、しかも、1/3がま
だ1回しか記録されていない部分、残りの1/3がすで
に2回の記録が行われている部分となり、コックリング
に対しても有効である。
【0095】つまり、図25(a)に示す記録ヘッドH
から1回目のインク滴Iを吐出した場合、通常改行モー
ドの場合には同図(b)に示すように記録媒体PPに対
して8個のインク滴Iが着弾して全体に膨潤が起こるの
に対して、第1改行モードの場合には同図(c)に示す
ように記録媒体PPに対して3個のインク滴Iが着弾し
てその部分で膨潤が起こる。そして、図26(a)に示
す記録ヘッドHから2回目のインク滴Iを吐出した場
合、通常改行モードの場合には同図(b)に示すように
全体に膨潤が起こっている記録媒体PPに対して8個の
インク滴Iが着弾してさらに全体に膨潤が起こるのに対
して、第1改行モードの場合には同図(c)に示すよう
に記録媒体PPに対して1回目で3個のインク滴Iが着
弾して膨潤が起こっている部分にも着弾するが、膨潤が
起こっていない部分にも着弾する。さらに、図27
(a)に示す記録ヘッドHから3回目のインク滴Iを吐
出した場合、通常改行モードの場合には同図(b)に示
すように全体に膨潤が起こっている記録媒体PPに対し
て更に8個のインク滴Iが着弾して全域に膨潤が起こる
のに対して、第1改行モードの場合には同図(c)に示
すように記録媒体PPに対して1回目及び2回目でイン
ク滴Iが着弾している部分にはインク滴が着弾すること
で全域に膨潤が起こるが、2回目しか着弾していない部
分にはインク滴が着弾することで2/3の膨潤が起こる
に過ぎないし、さらに2回目でも着弾していない部分に
はインク滴が着弾することで1/3の膨潤しか起こらな
い。
【0096】このように第1改行モードを行うことによ
って通常改行モードに比べてバンディング及びコックリ
ングが有利になる。なお、前述した図24の例では改行
量を7画素としているが、例えば図26に示すように改
行量を8画素とすることもできる。また、例えば図27
に示すように改行量を7画素、7画素、10画素という
ようにn回の均等改行のうちの一部を不均等にすること
もできる。
【0097】ところで、これらの第1改行モードにおい
ては、1回目、2回目で記録ヘッドのノズルの内に未使
用のノズルが発生する。つまり、1回目、2回目で記録
できない部分が発生する。例えば、図24に示した例で
は、記録ヘッドHの長さ(記録幅l)の約半分(ノズル
数で4個、画素数で12個)が使えなくなり、これを記
録媒体(用紙)上で見ると、用紙の始端から画像領域
(記録可能領域)までの所謂上端余白としてヘッド寸法
の約半分に相当する長さが必要になるということであ
る。
【0098】実際の記録ヘッドのノズル数は64個或い
は128個というような数であるので、第1回目の記録
で使えないノズル数は全ノズル数の2/3とすると、6
4ノズルのときは40数ノズル、128ノズルのときは
80数ノズルとなり、これが上端余白の寸法となる。例
えば、200dpiのノズルピッチPであると64ノズル
のときは約5mm、128ノズルのときは約10mmとな
る。
【0099】そして、実際的には、図19を参照して用
紙の初期セット状態としては、用紙101の先端が用紙
押え用拍車ローラ94と排紙ローラ93まで到達した状
態が望ましく、用紙押え用拍車ローラ94と排紙ローラ
93とを結ぶ線を越えて数mm送った状態を初期位置セッ
ト状態とするので、この初期位置セット状態では記録ヘ
ッドよりも用紙が4〜5mm越えることになる。そのた
め、実際の上端余白はこれらを合せた10〜15mm以上
となってしまう。同様に、後端(下端)余白も大きくな
る。
【0100】このような第1改行モードにおいて先端
(上端)余白、後端(下端)余白が大きくなるという点
を解消するためには、前述した通常改行モードでは1回
目から記録ヘッドのすべてのノズルを使用できるので、
書き始めと書き終わりの部分ではこの通常改行モードを
用いることが考えられる。
【0101】次に、第2改行モードについて図30を参
照して説明する。この第2改行モードにおいては、記録
ヘッドHをヘッド位置H1にして主走査を行ない、この
ときノズルN7を使用して1回目の記録をした後、4画
素分ずつ改行しながら使用するノズルNを変更して記録
を行う。つまり、ヘッド位置H2ではノズルN6、N8
を、ヘッド位置H3ではノズルN5、N7を、ヘッド位
置H4ではノズルN4、N6、N8を、ヘッド位置H5
ではノズルN3、N5、N7を、ヘッド位置H6ではノ
ズルN2、N4、N6、N8を、ヘッド位置H7ではノ
ズルN1、N3、N5、N7を、ヘッド位置H8ではノ
ズルN2、N4、N6、N8を、ヘッド位置H9ではノ
ズルN1、N3、N5、N7を使用する。以後は、ノズ
ル位置H6、H7と同様のノズルの使用状態になる。
【0102】このように記録ヘッドHの記録幅をn回の
偶数倍(ここでは2倍)で微小均等改行するようにした
第2改行モードにおいては、同図に示す位置B1、B
2、B3……でバンディングが発生する可能性がある
が、この間隔が第1改行モードに比べて更に短くなり、
用紙送り量の累積誤差も小さくなる。つまり、視認上の
繰り返し(空間周波数)は、n回の2倍にすれば2倍に
なり、累積誤差は1/2になるので、バンディングが目
立ち難くなり、一層の高画質が得られる。
【0103】ただし、この第2改行モードにおいても、
図30の例では1走査で使用する記録ヘッドのノズル数
が半分となるというようにノズルの使用効率が低下して
記録速度が遅くなると共に、第1改行モードと同様に先
端余白、後端余白が大きくなるという面は避けられな
い。したがって、この第2改行モードは記録速度を落と
しても高画質が要求される場合に適していることにな
る。なお、先端余白、後端余白の点は、第1改行モード
と同様に通常改行モードを併用することで補うことがで
きる。
【0104】これらの通常改行モード、第1改行モード
及び第2改行モードの有利不利な点を一覧表にすると、
表1のようになる。なお、同表中、◎は最も有利、○は
有利、×は不利を表わしている。
【0105】
【表1】
【0106】次に、以上のような改行モードを行って印
字する場合の印字動作の概要について図31及び図32
の動作フロー図を参照して説明する。先ず、図21を参
照して、副走査駆動モータ95を駆動制御してプラテン
88及び給紙ローラ89、90を回転させて給紙部10
0にセットされている用紙101を給紙し、紙有無セン
サ107が用紙101の先端(始端)を検知したか否か
を判別し、用紙始端を検知した時から初期用紙搬送量A
だけ用紙101を搬送する。この初期用紙搬送量Aの搬
送は、CPU110の内部においてステップモータであ
る副走査駆動モータ95の位相の数をカウントしたり、
或いは実行時間をカウントすることによって行うことが
できる。
【0107】すなわち、図33に示すように用紙101
が給紙されると、センサ棒105が用紙101の先端で
破線図示の位置に揺動されることにより紙有無センサ1
07がセンサ棒105の後端部を検知して、用紙始端検
知信号を出力する。そこで、用紙101の始端を検知し
てから初期用紙搬送量Aだけ更に用紙101を搬送し
て、用紙101の先端が排紙ローラ93と拍車ローラ9
4との間をわずかに通過して挟持される状態にする。こ
のとき、用紙101の先端から記録ヘッド84の第1ノ
ズルN1までの間が記録できない先端(上端)余白とな
る。
【0108】第31図に戻って、用紙101のセットが
終了した後改行モードを通常改行モードに設定し、セン
トロニクスI/Fの第1改行モード及び第2改行モード
のラインをいずれも「L」して改行モードが通常改行モ
ードである旨をホスト側へ送出する。そして、この記録
装置のオペレーションパネル又はホスト側からの改行モ
ードとして第1又は第2改行モードを選択するか否かを
指定する指定情報があるか否かを判別して、改行モード
指定情報があれば、指定された第1又は第2改行モード
を改行モードとして選択する。
【0109】その後、セントロニクスI/Fからホスト
側よりのデータの受信を待ち、印字データが有れば図3
2に示す印字処理を行った後、紙有無センサ107が用
紙101の後端(終端)を検知したか否かを判別し、用
紙終端を検知したときには改行モードを選択された第1
又は第2改行モードから通常改行モードに復帰させる主
走査の回数を設定する。そして、印字データがなくなれ
ば排紙処理をする。
【0110】すなわち、図34に示すように用紙101
への記録が進み、センサ棒105が用紙101から外れ
ると実線図示の位置に復動することにより紙有無センサ
107がセンサ棒105の後端部を検知しなくなり、用
紙終端検知信号を出力する。そこで、用紙101の終端
を検知してから最終用紙搬送量Bだけ更に用紙101を
搬送した所が用紙101の最後の記録位置となる。この
とき、用紙101の終端から記録ヘッド84の最終ノズ
ルNnまでの間が記録できない後端(下端)余白とな
る。そこで、この最終記録位置に対して手前から通常改
行モードによる改行を行うために、改行モードを選択さ
れた第1又は第2改行モードから通常改行モードに復帰
させる主走査の回数が第m回目であるかを演算判別して
設定する。
【0111】そこで、図32の印字処理について説明す
ると、1ライン出力バッファ118に1ライン分のイメ
ージデータが蓄積されると、記録ヘッド84を走査して
インクを吐出させて1ラインの印字を行う。そして、第
1回目又は第2回目の走査か否かを判別し、第1回目又
は第2回目の走査であれば、第2回目か否かを判別して
第2回目であれば、改行モードを通常改行モードから選
択された改行モードに変更設定した後、セントロニクス
I/Fの第1改行モード及び第2改行モードのラインの
うちの選択された改行モードに対するラインを「H」し
て改行モードが第1又は第2改行モードである旨をホス
ト側に送出した後、また第2回目でなければそのまま、
1画素分の改行を行って、記録ヘッド84を復帰する。
【0112】また、第1回目又は第2回目の走査でなけ
れば、第m回目以上か否かを判別し、第m回目以上であ
れば(このときは、後述のとおり通常改行モードに復帰
している。)1画素分の改行を行って、記録ヘッド84
を復帰する。
【0113】さらに、第1回目、第2回目及び第m回目
以上でもなければ、第m−1回目か否かを判別して、第
m−1回目であれば、改行モードを通常改行モードに変
更設定(復帰)して、前述したと同様にしてホストへそ
の旨を送出した後、また第m−1回目でなければそのま
ま、選択された第1又は第2改行モードの改行量での改
行を行って、記録ヘッド84を復帰する。
【0114】このような処理を行うことによって、図3
5に示すように最初の(n−1)回と最後の(n−1)
回を通常改行モードで改行され、それ以外の部分につい
ては選択された第1改行モード又は第2改行モードで改
行されることになり、先端余白及び後端余白の増大を避
けつつ、バンディングやコックリングを抑制して画像品
質を向上することができる。例えば、第1改行モードで
用紙の最後まで改行するとすると、同図に示す例では
{後端余白+(記録ヘッドの長さl×2/3)}が記録
不能部分となって長くなるのに対して、上述したように
通常改行モードに戻すことで記録不能部分が短くなる。
【0115】また、ホスト側に対して設定した改行モー
ドの情報を送出するようにすることにより、ホスト側は
イメージデータのラスタライズ(イメージ信号への分
解)を適切に行うことができ、良好な記録が可能になる
【0116】ところで、用紙の書き始めにおいてホスト
から到来するデータが図36に示すように改行コードを
含み、その改行量が例えば24画素以上ある場合には、
図37に示すようにその改行量分の改行を行った後に記
録すべきイメージデータに対応する記録を行うことにな
るが、この場合用紙の先端余白との関係では、通常改行
モードを行って先端余白を小さくする必要がなくなるの
で、イメージデータの記録は第1又は第2改行モードで
行うようにすることができる。
【0117】そこで、図38に概略を示すように記録開
始で通常改行モードに設定した状態において、受信デー
タが改行コードであるときには、改行量が記録ヘッドの
記録幅lの3倍(3lドット)以上か否かを判別して、
改行量が記録ヘッドの記録幅lの3倍(3lドット)以
上のときには第1改行モード(又は第2改行モード)に
設定してホスト側へその旨を送出した後、記録ヘッドの
第5ノズル(図24の例)が画像領域の先頭に来るよう
に改行動作を行うようにする。
【0118】このようにホスト側からのデータに応じて
通常改行モードをスキップするようにすることで、処理
の簡略化を図ることができる。
【0119】同様に、用紙の書き始めにおいてホストか
ら到来するデータが図39に示すように最初にすべて白
(ブランク)のイメージデータが例えば3行分あるとき
には、図40に示すように結果的に記録を行わない非記
録領域が用紙始端に来ることになって、この場合用紙の
先端余白との関係では、通常改行モードを行って先端余
白を小さくする必要がなくなるので、イメージデータの
記録は第1又は第2改行モードで行うようにすることが
できる。
【0120】そこで、図41に概略を示すように記録開
始で通常改行モードに設定した状態において、受信デー
タが白データであるときには、白データが3行分か否か
を判別して、白データが3行分あるときには第1改行モ
ード(又は第2改行モード)に設定してホスト側へその
旨を送出した後、記録ヘッドの第5ノズル(図24の
例)が画像領域の先頭に来るように改行動作を行うよう
にする。
【0121】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1のインク
ジェット記録装置によれば、1行印字後の改行動作とし
て複数種の改行モードを有し、選択又は指定された結果
に応じた改行モードで改行動作を行うようにしたので、
要求される画質や記録媒体に応じた最適な改行動作を行
なうことができる。
【0122】請求項2のインクジェット記録装置によれ
ば、上記請求項1のインクジェット記録装置において、
改行モードとして記録ヘッドの記録幅をn回で均等改行
する第1改行モードを有する構成としたので、コックリ
ングを低減した改行モードを選択することができる。
【0123】請求項3のインクジェット記録装置によれ
ば、上記請求項1のインクジェット記録装置において、
改行モードとして記録ヘッドの記録幅をn回の偶数倍で
微小均等改行する第2改行モードを有する構成としたの
で、バンディングが目立たない改行モードを選択でき
る。
【0124】請求項4のインクジェット記録装置によれ
ば、上記請求項1のインクジェット記録装置において、
改行モードとして記録ヘッドの記録幅をn回で均等改行
する第1改行モードと、記録ヘッドの記録幅をn回の偶
数倍で微小均等改行する第2改行モードとを有する構成
としたので、コックリングを低減した改行モード及びバ
ンディングが目立たない改行モードのいずれをも選択す
ることができる。
【0125】請求項5のインクジェット記録装置によれ
ば、上記請求項2又は4のインクジェット記録装置にお
いて、改行モードとしてn回目で記録ヘッドの略記録幅
相当分改行する通常改行モードを有し、記録媒体の位置
に応じて第1改行モード及び通常改行モードのいずれか
を選択する構成としたので、第1改行モードを選択した
場合の余白領域の拡大を防止できる。
【0126】請求項6のインクジェット記録装置によれ
ば、上記請求項3又は4のインクジェット記録装置にお
いて、改行モードとしてn回目で記録ヘッドの記録幅分
改行する通常改行モードを有し、記録媒体の位置に応じ
て第2改行モード及び通常改行モードのいずれかを選択
する構成としたので、第2改行モードを選択した場合の
余白領域の拡大を防止できる。
【0127】請求項7のインクジェット記録装置によれ
ば、上記請求項5のインクジェット記録装置において、
記録媒体の始端及び/又は終端を検出する紙端検出手段
と、この紙端検出手段の検出結果に応じて記録媒体の始
端、終端以外の部分で第1改行モードを選択し、記録媒
体の始端、終端の部分で通常改行モードを選択する構成
としたので、非定型的な記録媒体に対しても適切な改行
モードを選択することができる。
【0128】請求項8のインクジェット記録装置によれ
ば、上記請求項6のインクジェット記録装置において、
記録媒体の始端及び/又は終端を検出する紙端検出手段
と、この紙端検出手段の検出結果に応じて記録媒体の始
端、終端以外の部分で第2改行モードを選択し、記録媒
体の始端、終端の部分で通常改行モードを選択する構成
としたので、非定型的な記録媒体に対しても適切な改行
モードを選択することができる。
【0129】請求項9のインクジェット記録装置によれ
ば、上記請求項7又は8のインクジェット記録装置にお
いて、記録媒体をセットした後の最初の書き出し時に指
定された改行量が記録ヘッドのヘッド幅以上のときには
通常改行モードに代えて第1又は第2改行モードを選択
する構成としたので、処理が簡単になる。
【0130】請求項10のインクジェット記録装置によ
れば、上記請求項7乃至9のいずれかのインクジェット
記録装置において、記録媒体をセットした後の最初の書
き出し時に記録するイメージデータが3ライン以上ブラ
ンクのデータのときには通常改行モードに代えて第1又
は第2改行モードを選択する構成としたので、処理が簡
単になる。
【0131】請求項11のインクジェット記録装置によ
れば、上記請求項1乃至10のいずれかのインクジェッ
ト記録装置において、動作する改行モードを示す信号を
ホスト側に送出する手段を備えたので、ホスト側で適切
なラスタライズが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すインクジェットヘッド
の外観斜視図
【図2】図1の分解斜視図
【図3】図1のA−A線に沿う断面図
【図4】図1のB−B線に沿う断面図
【図5】圧電素子列の駆動部圧電素子と固定部圧電素子
の配列を示す説明図
【図6】圧電素子列の駆動部圧電素子と固定部圧電素子
の他の配列を示す説明図
【図7】液室形成部材の要部分解拡大斜視図
【図8】図7の要部平面図
【図9】他の液室形成部材の要部分解拡大斜視図
【図10】更に他の液室形成部材の要部分解拡大斜視図
【図11】振動板に下側液室流路形成部材を接着した状
態の平面図
【図12】図11の要部拡大図
【図13】振動板に下側液室流路形成部材を接着した他
の実施例の平面図
【図14】図13の要部拡大図
【図15】アクチュエータユニットの加工組付け工程を
説明する基板の斜視図
【図16】アクチュエータユニットの加工組付け工程を
説明する圧電素子切断前の状態を示す斜視図
【図17】アクチュエータユニットの加工組付け工程を
説明する圧電素子切断後の状態を示す斜視図
【図18】本発明を適用したインクジェット記録装置の
機構部の概略構成図
【図19】図18の要部拡大図
【図20】本発明を適用したインクジェット記録装置の
制御部の概略ブロック図
【図21】記録ヘッドと記録画素の関係を示す説明図
【図22】記録ヘッドのノズルピッチよりも小さい記録
ドット密度の記録を行うための改行モードを説明する説
明図
【図23】本発明で用いる通常改行モードの説明に供す
る説明図
【図24】本発明で用いる第1改行モードの一例の説明
に供する説明図
【図25】通常改行モードと第1改行モードによるコッ
クリングの説明に供する説明図
【図26】通常改行モードと第1改行モードによるコッ
クリングの説明に供する説明図
【図27】通常改行モードと第1改行モードによるコッ
クリングの説明に供する説明図
【図28】本発明で用いる第1改行モードの他の例の説
明に供する説明図
【図29】本発明で用いる第1改行モードの更に他の例
の説明に供する説明図
【図30】本発明で用いる第2改行モードの一例の説明
に供する説明図
【図31】制御部が実行する動作の説明に供するフロー
【図32】図31の印字処理の説明に供するフロー図
【図33】図31の紙始端検知の説明に供する説明図
【図34】図31の紙終端検知の説明に供する説明図
【図35】図31及び図32の処理を行った場合の記録
ヘッドの動きと用紙の関係を説明する説明図
【図36】制御部が行う動作の他の例の説明に供するホ
スト側からのデータ例の説明図
【図37】図38のデータに対する改行動作の説明に供
する説明図
【図38】制御部が行う動作の他の例の説明に供するフ
ロー図
【図39】制御部が行う動作の更に他の例の説明に供す
るホスト側からのデータ例の説明図
【図40】図39のデータに対する改行動作の説明に供
する説明図
【図41】制御部が行う動作の更に他の例の説明に供す
るフロー図
【符号の説明】
1…基板、2…積層型圧電素子、3…フレーム、4…駆
動部圧電素子、5…支柱部圧電素子、7…振動板、13
…液室流路形成部材、14…ノズル、15…ノズルプレ
ート、19…加圧液室、20…共通液室、83…キャリ
ッジ、84…記録ヘッド、85…主走査駆動モータ、8
8…プラテン、89,90…給紙ローラ、93…排紙ロ
ーラ、95…副走査駆動モータ、100…給紙部、10
1…用紙、105…センサ棒、107…始端検知セン
サ。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録ヘッドをn回(n=2以上の整数)
    走査することでこの記録ヘッドのノズルピッチよりも小
    さな記録ドット密度で画像を記録するインクジェット記
    録装置において、1行印字後の改行動作として複数種の
    改行モードを有し、選択又は指定された結果に応じた改
    行モードで改行動作を行う手段を備えたことを特徴とす
    るインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のインクジェット記録装
    置において、前記改行モードとして前記記録ヘッドの記
    録幅をn回で均等改行する第1改行モードを有すること
    を特徴とするインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のインクジェット記録装
    置において、前記改行モードとして前記記録ヘッドの記
    録幅をn回の偶数倍で微小均等改行する第2改行モード
    を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のインクジェット記録装
    置において、前記改行モードとして前記記録ヘッドの記
    録幅をn回で均等改行する第1改行モードと、前記記録
    ヘッドの記録幅をn回の偶数倍で微小均等改行する第2
    改行モードとを有することを特徴とするインクジェット
    記録装置。
  5. 【請求項5】 請求項2又は4に記載のインクジェット
    記録装置において、前記改行モードとしてn回目で記録
    ヘッドの略記録幅相当分改行する通常改行モードを有
    し、記録媒体の位置に応じて前記第1改行モード及び通
    常改行モードのいずれかを選択することを特徴とするイ
    ンクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 請求項3又は4に記載のインクジェット
    記録装置において、前記改行モードとしてn回目で記録
    ヘッドの記録幅分改行する通常改行モードを有し、記録
    媒体の位置に応じて前記第2改行モード及び通常改行モ
    ードのいずれかを選択することを特徴とするインクジェ
    ット記録装置。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載のインクジェット記録装
    置において、記録媒体の始端及び/又は終端を検出する
    紙端検出手段と、この紙端検出手段の検出結果に応じて
    前記記録媒体の始端、終端以外の部分で前記第1改行モ
    ードを選択し、前記記録媒体の始端、終端の部分で前記
    通常改行モードを選択することを特徴とするインクジェ
    ット記録装置。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載のインクジェット記録装
    置において、記録媒体の始端及び/又は終端を検出する
    紙端検出手段と、この紙端検出手段の検出結果に応じて
    前記記録媒体の始端、終端以外の部分で前記第2改行モ
    ードを選択し、前記記録媒体の始端、終端の部分で前記
    通常改行モードを選択することを特徴とするインクジェ
    ット記録装置。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8に記載のインクジェット
    記録装置において、記録媒体をセットした後の最初の書
    き出し時に指定された改行量が前記記録ヘッドのヘッド
    幅以上のときには通常改行モードに代えて第1又は第2
    改行モードを選択することを特徴とするインクジェット
    記録装置。
  10. 【請求項10】 請求項7乃至9のいずれかに記載のイ
    ンクジェット記録装置において、記録媒体をセットした
    後の最初の書き出し時に記録するイメージデータが3ラ
    イン以上ブランクのデータのときには通常改行モードに
    代えて第1又は第2改行モードを選択することを特徴と
    するインクジェット記録装置。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載の
    インクジェット記録装置において、動作する改行モード
    を示す信号をホスト側に送出する手段を備えたことを特
    徴とするインクジェット記録装置。
JP7324788A 1995-12-13 1995-12-13 インクジェット記録装置 Pending JPH09164726A (ja)

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JP7324788A JPH09164726A (ja) 1995-12-13 1995-12-13 インクジェット記録装置

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