JPH07249521A - マグネット着磁装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 薄型の磁性材や高磁性材であっても、安定
的、効率的にマグネットの着磁を行うことができる優れ
た着磁装置を提供する。 【構成】 磁性材４を着磁ヨーク１とそれに対向する補
助ヨーク５との間に挟み込んで前記磁性材に着磁を行う
マグネット着磁装置において、補助ヨーク５を非磁性材
によって構成し、非磁性材の補助ヨーク５にヨーク線７
を捲装し、ヨーク線７に着磁ヨーク１のヨーク線２に流
れる電流と同一方向の電流を流すことにより、着磁後に
補助ヨークをマグネット化した磁性材から取り外し易く
し、かつ軟磁性材の補助ヨークが存在するときと同様に
効率的な着磁が行える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、磁性材を着磁させて
マグネットを形成するマグネット着磁装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、磁性材を着磁させてマグネットを
形成するようにしたマグネット着磁装置としては、例え
ば、図４乃至図６に示すようなものがある。この着磁装
置は、マグネット材料である磁性材に接し、この磁性材
を着磁させるための磁束が収束するように、軟磁性材で
構成される着磁ヨーク１１と、着磁ヨーク１１本体から
突出形成された複数の歯極１３と、それぞれの歯極１３
にコイル状に巻装されたヨーク線１２とを有してなる。

【０００３】そして、磁性材１４を歯極１３に接して配
置し、ヨーク線１２に電流１７を流すことにより着磁ヨ
ーク１１内の歯極１３に磁束を励磁し磁性材１４の着磁
を行う。さらに着磁ヨーク１１に対して磁性材１４を挟
み込むように、軟磁性材で構成されたバックヨーク１５
を備えることによって、着磁効率を向上させ、着磁時に
着磁装置に加わる電気的、機械的負荷を減らすようにし
ている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の着磁装置にあっては、バックヨーク１５は軟
磁性材であるため、磁性材１４が着磁してマグネットに
なった場合には、磁性材１４とバックヨーク１５との間
に吸引力が発生し、着磁後にバックヨーク１５をマグネ
ット化した磁性材１４から取り外すため、特別な機構と
取り外すための時間が必要になるという問題がある。特
にマグネットは薄型化、小型化する傾向にあるが、その
場合はバックヨークを取り外す際にマグネットを破損す
る危険性が増加する。

【０００５】このような状況をなくすために、バックヨ
ークを使用しないこととすると、このような着磁装置に
おいては、現在一般的に使用されて来ている稀土類マグ
ネットなどの高磁性材を着磁するような場合は、厳しい
着磁条件による負荷のために、着磁ヨークおよびヨーク
線の寿命を著しく低下してしまうという問題があった。

【０００６】この発明は、このような従来の課題に着目
してなされたもので、その目的は、着磁後に補助ヨーク
を磁性材から取り外し易いようにし、薄型の磁性材や高
磁性材であっても、安定的、効率的にマグネットの着磁
を行うことができる優れた着磁装置を提供することであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するための手段として、その構成を、磁性材を着磁ヨ
ークとそれに対向する補助ヨークとの間に挟み込んで前
記磁性材に着磁を行うマグネット着磁装置において、前
記補助ヨークを非磁性材によって構成するとともに、前
記非磁性材の補助ヨークにヨーク線を捲装することとし
た。

【０００８】

【作用】着磁時には、補助ヨークを形成する非磁性材に
捲装したヨーク線に、前記着磁ヨークのヨーク線と同一
方向の磁束を発生する電流を流すことにより、軟磁性材
の補助ヨークが存在するときと同様に効率的な着磁を行
うことができる。しかも着磁後に補助ヨークとマグネッ
ト化した磁性材との間に磁気吸引力が発生せず、補助ヨ
ークを容易に着磁装置から取り外すことができる。

【０００９】

【実施例】以下、この発明を図面に基づいて説明する。
図１乃至図３は本発明によるマグネット着磁装置の一実
施例の構成を示すものである。マグネット着磁装置は、
着磁ヨーク１の歯極３とそれに対向する補助ヨークであ
るバックヨーク５との間に、磁性材４を挟み込んで着磁
を行うようになっており、この点については前記従来例
と基本的に同様な構成を有する。着磁ヨーク１の歯極３
にはヨーク線２がコイル状に巻かれており、エポキシ樹
脂８により着磁ヨーク１にモールドされている。着磁ヨ
ーク１は磁性材４を着磁するための磁束を収束する炭素
鋼構造材で構成されている。

【００１０】一方バックヨーク５は、アルミニウム、
銅、真鍮などの非磁性材で構成され、従来のバックヨー
ク１５の磁性材１４に接する部分が、図６に示すように
単にリング状の突起であったのに対し、着磁ヨーク１の
歯極３と同位相に配置された歯極６を有する形状であ
り、磁性材４は着磁ヨーク１の歯極３とバックヨーク５
の歯極６との間に挟み込まれる。そして非磁性のバック
ヨーク５の歯極６には、ヨーク線７が捲装されており、
ヨーク線７はエポキシ樹脂８により、バックヨーク５に
モールドされている。

【００１１】かかる構成を有するマグネット着磁装置に
ついて、以下作用を説明する。このマグネット着磁装置
により磁性材４に対して着磁を行うときには、非磁性材
のバックヨーク５の歯極６に捲装したヨーク線７に、着
磁ヨーク１のヨーク線２に流れる電流による磁束と同一
方向の磁束を発生する電流を流す。これによって、従来
のようなバックヨークとして軟磁性材のヨークが存在す
るときと同様に、磁性材４に効率的な着磁を行うことが
できる。しかも、磁性材４に対する着磁が行なわれた後
にバックヨーク５の歯極６に捲装したヨーク線７の電流
を切れば、バックヨーク５は磁性材ではないから、バッ
クヨーク５とマグネット化した磁性材４との間に磁気吸
引力が発生せず、補助ヨークであるバックヨーク５を容
易に着磁装置から取り外すことができる。

【００１２】なお、上記の実施例ではバックヨーク５を
形成する非磁性材として、アルミニウム構造材を用いる
こととしたが、非磁性材であれば、樹脂その他の材料を
用いることができる。この場合の樹脂は先に述べたヨー
ク線２，７等をモールドするエポキシ樹脂８とは別のも
のである。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、補助ヨークを非磁性材によって構成するとともに、
前記非磁性材の補助ヨークにヨーク線を捲装したので、
着磁後に補助ヨークをマグネット化した磁性材から取り
外すための特別な機構や、取り外すための時間の必要が
なくなり、また厳しい着磁条件により、着磁ヨークおよ
びヨーク線の寿命が低下することもなくなって、薄型の
磁性材や高磁性材の場合であっても、安定的、効率的に
マグネットの着磁を行うことができるという効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による着磁装置の一実施例における着磁
ヨークと補助ヨークの要部断面図

【図２】前記実施例における着磁ヨークの平面図

【図３】前記実施例における補助ヨーク（バックヨー
ク）の平面図

【図４】従来の着磁装置の着磁ヨークとバックヨークの
断面図

【図５】従来の着磁装置の着磁ヨークの平面図

【図６】従来の着磁装置のバックヨークの平面図

【符号の説明】

１ 着磁ヨーク ２ ヨーク線（着磁ヨークの） ３ 歯極（着磁ヨークの） ４ 磁性材 ５ バックヨーク（補助ヨーク） ６ 歯極（補助ヨークの） ７ ヨーク線（補助ヨークの）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 着磁ヨークと、この着磁ヨークに対向し
   且つこの着磁ヨークとの間に磁性材を挟み込んで着磁を
   行う補助ヨークとを備え、前記補助ヨークを非磁性材に
   よって構成するとともに、前記非磁性材で出来た補助ヨ
   ークにヨーク線を捲装することを特徴とするマグネット
   着磁装置。
2. 【請求項２】 着磁ヨークはこの着磁ヨーク本体の補助
   ヨーク側面から突出形成された複数の歯極を有し、また
   補助ヨークはこの補助ヨーク本体の着磁ヨーク側の面か
   ら突出形成され且つ着磁ヨークの歯極と同位相に配置さ
   れた歯極を有しており、磁性材は着磁ヨークの歯極と補
   助ヨークの歯極との間に挟み込まれることを特徴とする
   請求項１記載のマグネット着磁装置。