JPH07245120A - 固体電解質型燃料電池 - Google Patents

固体電解質型燃料電池

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JPH07245120A
JPH07245120A JP6034416A JP3441694A JPH07245120A JP H07245120 A JPH07245120 A JP H07245120A JP 6034416 A JP6034416 A JP 6034416A JP 3441694 A JP3441694 A JP 3441694A JP H07245120 A JPH07245120 A JP H07245120A
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潔 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 発電に利用することの他、水電解やCO2
解等の電解セルにも使用可能な固体電解質型燃料電池
(SOFC)を提供する。 【構成】 燃料電極とイットリア安定化ジルコニウムの
固体電解質及び酸素電極の3層からなる発電層11の両
面に、多数のディンプル15A,15Bを設けてなる固
体電解質型燃料電池であって、上記固体電解質13のイ
ットリア安定化ジルコニウムの膜厚を5μm以上100
μm以下とする一方、該イットリア安定化ジルコニウム
膜の片面に配設する酸素電極材14の膜厚を200μm
以上2000μm以下とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は固体電解質型燃料電池に
関し、発電に利用することの他、水電解やCO2 電解等
の電解セルにも使用可能なSOFC(Solid Oxide Fuel
Cell )に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】平板型
或いは一体積層型と称される非円筒型のSOFCの固体
電解質膜、酸素極膜、燃料極膜の三層よりなる発電膜
は、各々の材質が異なるため、発電温度の最適値といわ
れている950〜1000℃前後での熱膨張率、或いは
発電後降温するときの熱収縮率が異なり、その結果、三
層を一体として焼結させることは困難であった。
【0003】これは、従来では、固体電解質としてイッ
トリアで安定化させたジルコニア(YSZ)を用いてお
り、緻密なYSZ膜を得るためには、1400℃以上の
焼成によって該膜を得るようにしていたが、このような
温度においては、酸素極と一体で焼成すると、固体電解
質膜と酸素極との界面にLa2 Zr2 7 という絶縁物
を形成するためである。
【0004】すなわち、予めYSZ膜を1400℃以上
の温度で焼成しておき、この焼成済のYSZ膜に酸素極
材をスラリー塗布、スプレーコート等を施して、絶縁物
を作らない温度である1300℃以下の温度において再
度焼成するという方法が採られていた。
【0005】この為、予め焼成したYSZ膜に酸素極材
をコートしたり、焼成の為にハンドリングをしたりする
必要があり、この時にYSZ膜があまりにも薄いと、ハ
ンドリング時に割れてしまうという不具合があった。
【0006】よって、従来ではYSZ膜の厚みを100
〜500μm程度とし、その厚みによって、最低限持ち
運び或いは多段にセルを積層しても持ち耐える程度の強
度を保有させるようにしている。
【0007】そして、この肉厚のYSZの両面に、酸素
極及燃料極を例えばスクリーン印刷、スプレーコーティ
ング或いは刷毛塗り等で膜厚が各々20〜50μmとな
るように塗布し、発電層を形成するようにしていた。
【0008】このように従来では、非円筒型のSOFC
のYSZ膜は、それ自身が構造体としての機能をもつよ
うにしていた。
【0009】ところで、固体電解質に用いるイットリア
安定化ジルコニウム(YSZ)の導電率は、おおよそ
0.16〜0.17Scm-1程度であり、酸素電極材の
導電率20〜200Scm-1及び燃料極材の導電率50
0〜1000Scm-1に較べて著しく低く、極力薄膜化
する必要がある。
【0010】しかしながら、従来の手法では前述のとお
り固体電解質膜自身が構造体としての機能を持たざるを
得なかったため、薄膜化するには限界がある。
【0011】本発明は上記問題に鑑み、固体電解質膜の
薄膜化を図った固体電解質型燃料電池を提供することを
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明に係る固体電解質型燃料電池の構成は、燃料電極とイ
ットリア安定化ジルコニウムの固体電解質及び酸素電極
の3層からなる発電層の両面に多数のディンプルを設け
てなる固体電解質型燃料電池であって、上記イットリア
安定化ジルコニウムの膜厚を5μm以上100μm以下
とする一方、該イットリア安定化ジルコニウム膜の片面
に配設する酸素電極の膜厚を200μm以上2000μ
m以下としたことを特徴とする。
【0013】以下、本発明の内容を説明する。
【0014】図1は固体電解質型燃料電池の分解斜視
図、図2はそのA−A拡大断面図を各々図示する。これ
らの図面において図中、符号11は発電層、12は燃料
電極材、13は固体電解質、14は酸素電極材、15A
は水素側のディンプル凸部、15Bは酸素側のディンプ
ル凸部、16A〜16Cはインターコネクタを各々図示
する。図1,2に示すように、発電層11は各々燃料電
極材12、固体電解質13及び酸素電極材14より構成
されている。上部のインタコネクタ材16Aは発電層1
1のディンプル凸部(水素側)15Aと導電性接着材と
により電気的接続がなされると共に、中央部のインタコ
ネクタ材16Bは発電層11のディンプル凸部(酸素
側)15Bと導電性接着材とにより電気的接続がなされ
ている。
【0015】ここで、本発明で燃料電極材12としての
イットリア安定化ジルコニウムの膜厚を5μm以上とす
るのは、イオン導電抵抗から当該ジルコニア膜は薄いほ
うが性能が高まり好ましいが、あまり薄くなると、製造
欠陥が生じるとともに、イオン輸率が低下するおそれが
ありこの点を考慮して、下限値を5μm以上とした。ま
た、イットリア安定化ジルコニウムの膜厚の上限値を1
00μm以下とするのは、現時点においてコジェネ用等
陸上発電で経済性のでるセル発電面積は最低100mm
×100mmとされており、この場合の固体電解質膜を
単独でハンドリングするに際し、該ハンドリング中に破
壊する確率が著しく減少する膜厚が100μm以下であ
るとされているからである。
【0016】一方、本発明で該イットリア安定化ジルコ
ニウム膜の片面に配設する酸素電極材の膜厚を200μ
m以上2000μm以下とするのは、上記イットリア安
定化ジルコニウム膜を100μm以下と薄膜化すること
に伴い、酸素電極材を支持構造体として用いるためであ
る。なお、下限値を200μm以上とするのは、固体電
解質膜の膜厚100μmに相当する強度を有する膜厚と
して最低限必要な膜厚であるからである。また、上限値
を2000μm以下とするのは、電極膜厚は強度上及び
電気導電性の面からは厚いほうがよいが、あまり厚くな
りすぎると大電流密度でガスの拡散抵抗が大きくなり、
好ましくないからである。このことを実証する説明とし
て、多孔質の電極内をガスが通過し固体電解質膜の界面
へ到達することの困難性を、図4に示す。
【0017】YSZの適正な焼結温度は通常1400℃
程度といわれているが、YSZ粉末ジルコニアに対し、
0.5〜5モル%のアルミニウムアルコキシドをスラリ
ー状態で均一に混合した粉末を成形したものを用いる
と、1300℃での焼結にあっても、従来のものより4
点曲げ強度試験で倍以上の40kgf/mm2 を超える
強度を持たせることが出来ることを確認している(特願
平5−8491号参照)。 このことは、酸素極にYS
Zの熱膨張率と略等しいLaSrMnO3(LSM)の材
料を用いて、共焼成が出来ることとなる。
【0018】すなわち、従来のYSZを焼成するときの
温度である1400℃は、LSMとYSZとを1400
℃以上で一体に焼成する場合、その界面でLa2 Zr2
7という絶縁物を形成するため一体成形が不適当だっ
た事を、本発明により解消することが出来る。
【0019】このことから、YSZを薄くして酸素極を
厚くした状態で一体に焼成することがはじめて可能とな
った。
【0020】更に、燃料極については、通常用いられて
いる、Ni/YSZ(60:40重量%)は、上述した
酸素極の界面のような反応生成物の問題もなく、容易に
焼成することが可能である。
【0021】この結果、少なくとも固体電解質(YS
Z)13と酸素電極材14とを一体成形することで、Y
SZの膜厚を100μm以下とすることも可能となり、
更には、発電層11の両面にディンプル15A,15B
を形成させることで、構造強度を更に向上することが出
来る。
【0022】なお、発電層にディンプルを施すことは実
願平2−48031号に、又、ディンプル凸部とインタ
コネクタとを導電性接着剤で接合することは特願平5−
6048号に、更に、ディンプルの形状を規定すること
は特願平5−290266号に、本願出願人により各々
提案している。
【0023】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を図1,図2を
用いて具体的に説明する。一般に、発電層11を形成す
る燃料電極材12は、Ni/YSZやNiCeO 2 /Y
SZ等が用いられ、固体電解質13にはYSZが、そし
て酸素電極材14はLaSrMnO3 もしくは、LaC
oO3 等が用いられ、インタコネク16A〜16Cの材
料としてはLaMgCrO3 かNi基耐熱合金と云った
ものが用いられる。本実施例においては、形状から来る
性能の比較をし易くするため、燃料電極材12はNi/
YSZ(60:40)、酸素電極材14はLaSrMn
3 、固体電解質13はYSZ、インタコネク16A〜
16CはLaSrCrO3 を用いることとする。
【0024】その他、実験に用いた固定パラメータとし
ては、電極に用いた材料粒径を燃料極1.95μm、酸素
極2.45μmとし、その夫々の電極のガス拡散率(空隙
率/屈曲度ε/τ)を0.02、そして、各電極とYSZ
間の焼結度(焼結長さ/粒径)を0.04とし、セルの発
電雰囲気温度は、1,000℃とした。更に燃料極への供
給ガスは加湿水素とし、酸素極へは空気を供給ガスとし
た。
【0025】なお、本実施例で用いたセルの製作は、ド
クターブレード法により、固体電界質13としてのYS
Z及び酸素電極材14、燃料電極材12の夫々のグリー
ンシートを作製し、そして、これら夫々のグリーンシー
トを重ね合わせた後、金型により発電層11の両面にデ
ィンプル形状が出来るように形成した。その後、焼成炉
にて1300℃で一体成形したものを用いた。
【0026】この条件で表1に示す4通りの発電層を形
成し性能試験を実施した。この結果を図3に示す。
【0027】
【表1】
【0028】図3に示とおり、YSZの厚みを減らし、
酸素極を厚くしていくことで、性能が飛躍的に向上する
ことが確認された。また、従来のように、50μmのY
SZ膜の取扱は、そのハンドリングに注意を要していた
が、本実施例によれば酸素電極層の強度は約10kg/
mm2 の曲げ強度を有しているので、膜厚が2000μ
mあれば、酸素電極層のみでも、十分なハンドリング性
を有しており、発電層を3層一体で焼結したことによ
り、従来同様の強度及びハンドリング性を発現できた。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、イット
リア安定化ジルコニウム(YSZ)の膜厚を5μm以上
100μm以下とする一方、該イットリア安定化ジルコ
ニウム膜の片面に配設する酸素電極材の膜厚を200μ
m以上2000μm以下としたことにより、YSZその
ものによる構造体としての機能を、酸素電極を厚くする
ことにより同様に依存し、この結果、導電率の悪いYS
Z膜を薄くするこで、発電性能の飛躍的な向上を図るこ
とが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体電解質型燃料電池の分解斜視
図である。
【図2】図1のA−A拡大図である。
【図3】本実施例に係る性能図である。
【図4】本発明によるI−V曲線である。
【符号の説明】
11 発電層 12 燃料電極材 13 固体電解質 14 酸素電極材 15A,15B ディンプル凸部 16A〜16C インターコネクタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山室 繁昭 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料電極とイットリア安定化ジルコニウ
    ムの固体電解質及び酸素電極の3層からなる発電層の両
    面に多数のディンプルを設けてなる固体電解質型燃料電
    池であって、上記イットリア安定化ジルコニウムの膜厚
    を5μm以上100μm以下とする一方、該イットリア
    安定化ジルコニウム膜の片面に配設する酸素電極の膜厚
    を200μm以上2000μm以下としたことを特徴と
    する固体電解質型燃料電池。
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