JP2023085806A - インターコネクタ-電気化学反応単セル複合体、および、電気化学反応セルスタック - Google Patents

インターコネクタ-電気化学反応単セル複合体、および、電気化学反応セルスタック Download PDF

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Yasuo Kakinuma
めぐみ 島津
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Abstract

【課題】Mn3O4の析出に起因する電解質層のクラックの発生が抑制される。【解決手段】インターコネクタ-電気化学反応単セル複合体は、固体酸化物を含む電解質層と、電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を含む電気化学反応単セルと、電気化学反応単セルの燃料極側に配置され、Mnを含むインターコネクタと、を備える。電解質層は、Zrを主成分とする固体酸化物を含み、燃料極側に位置する第1の電解質層と、第1の電解質層に対して空気極側に位置し、Zrを主成分としない固体酸化物を含む第2の電解質層とを有する。第1の電解質層の第1の方向の厚さをt1とし、第2の電解質層の第1の方向の厚さをt2としたとき、t1/t2 < 1が成り立つ。【選択図】図6

Description

本明細書に開示される技術は、インターコネクタ-電気化学反応単セル複合体に関する。
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物を含む電解質層を備える固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という)が知られている。SOFCは、一般に、所定の方向(以下、「第1の方向」という)に並べられた複数のインターコネクタ-燃料電池単セル複合体(以下、単に「複合体」という)を備える燃料電池スタックの形態で利用される。複合体は、電解質層と電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極とを含む燃料電池単セル(以下、単に「単セル」という)と、単セルの燃料極側に配置されたインターコネクタと、を備える(例えば特許文献1参照)。
特開2019-200874号公報
インターコネクタは、Mn(マンガン)を含む金属材料(例えばステンレス等)により形成されたものが用いられることがある。本発明者は、鋭意検討を重ねることにより、このようなインターコネクタが単セルよりも燃料極側に配置された構成では、インターコネクタの形成材料に由来するMnが燃料極に面する燃料室に飛散することにより、例えば電解質層にクラックが発生するなど、単セルの性能に悪影響を及ぼすことを新たに見出した。
なお、このような課題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」という。)の構成単位である電解セル単位を複数備える電解セルスタックにも共通の問題である。また、このような課題は、SOFCやSOECに限らず、他のタイプの電気化学反応セルスタックにも共通の課題である。なお、本明細書では、燃料電池単セルと電解単セルとをまとめて電気化学反応単セルと呼び、発電単位と電解セル単位とをまとめて電気化学反応単位と呼び、燃料電池スタックと電解セルスタックとをまとめて電気化学反応セルスタックと呼ぶ。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示されるインターコネクタ-電気化学反応単セル複合体は、固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を含む電気化学反応単セルと、前記電気化学反応単セルの前記燃料極側に配置され、Mnを含むインターコネクタと、を備えるインターコネクタ-電気化学反応単セル複合体において、前記電解質層は、Zrを主成分とする固体酸化物を含み、前記燃料極側に位置する第1の電解質層と、前記第1の電解質層に対して前記空気極側に位置し、Zrを主成分としない固体酸化物を含む第2の電解質層とを有し、前記第1の電解質層の前記第1の方向の厚さをt1とし、前記第2の電解質層の前記第1の方向の厚さをt2としたとき、t1/t2 < 1が成り立つ。
本インターコネクタ-電気化学反応単セル複合体では、電解質層が有する第1の電解質層がZrを含んでいる。そのため、電解質層がZrを含まない構成に比べて、電解質層の強度が高い。一方、電解質層のうち、酸素分圧が高い空気極(酸素雰囲気)側におけるZrの含有割合が高いほど、電解質層のクラックの発生要因となるMnが析出しやすい。これに対して、本インターコネクタ-電気化学反応単セル複合体では、電解質層は、Zrを主成分とする固体酸化物を含む第1の電解質層に対して空気極側に位置し、Zrを主成分としない固体酸化物を含む第2の電解質層を有している。この第2の電解質層の第1の方向の厚さt2は、第1の電解質層の第1の方向の厚さt1よりも厚い。そのため、Mnの析出に起因する電解質層のクラックの発生が抑制される。
(2)上記インターコネクタ-電気化学反応単セル複合体において、前記第1の電解質層の前記第1の方向の厚さと前記第2の電解質層の前記第1の方向の厚さとは、t1/t2 < 2/3が成り立つ構成としてもよい。本インターコネクタ-電気化学反応単セル複合体によれば、t1/t2 ≧ 2/3である構成に比べて、電解質層の強度低下を抑制しつつ、Mnの析出に起因する電解質層のクラックの発生を、より効果的に抑制することができる。
(3)上記インターコネクタ-電気化学反応単セル複合体において、前記第2の電解質層は、Ceを主成分とする固体酸化物を含む構成としてもよい。本インターコネクタ-電気化学反応単セル複合体によれば、第2の電解質層が、第1の電解質層と同じ蛍石型構造を有しており、焼成により、第1の電解質層と第2の電解質層とが組成傾斜層を形成するため、第1の電解質層と第2の電解質層との接合強度を向上させることができる。
(4)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記第1の方向に並べて配列された複数のインターコネクタ-電気化学反応単セル複合体を備える電気化学反応セルスタックにおいて、前記複数のインターコネクタ-電気化学反応単セル複合体の少なくとも1つは、上記(1)から(3)までのいずれか一つのインターコネクタ-電気化学反応単セル複合体である構成としてもよい。本電気化学反応セルスタックによれば、Mnの析出に起因する電解質層のクラックの発生が抑制される。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電気化学反応セルスタック(燃料電池スタックまたは電解セルスタック)、電気化学反応セルスタックを備える電気化学反応システム(燃料電池システムまたは電解セルシステム)、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図である。 図1のII-IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図である。 図1のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。 図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図である。 図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。 電解質層112中の酸素分圧と電解質層112の厚さとの関係を示す説明図である。 性能評価結果を示す説明図である。
A.実施形態:
A-1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII-IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を「上方向」といい、Z軸負方向を「下方向」というものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。なお、上下方向(Z軸方向)は、特許請求の範囲における第1の方向の一例である。燃料電池スタック100は、特許請求の範囲における電気化学反応セルスタックの一例である。
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)発電単位102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106は、7つの発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、エンドプレート104,106)のZ軸方向回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、「連通孔108」という。
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿入されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図2および図3に示すように、ボルト22の一方の側(上側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の上端を構成するエンドプレート104の上側表面との間、および、ボルト22の他方の側(下側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の下端を構成するエンドプレート106の下側表面との間には、絶縁シート26が介在している。ただし、後述のガス通路部材27が設けられた箇所では、ナット24とエンドプレート106の表面との間に、ガス通路部材27とガス通路部材27の上側および下側のそれぞれに配置された絶縁シート26とが介在している。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
各ボルト22の軸部の外径は各連通孔108の内径より小さい。そのため、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図1および図2に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102に供給するガス流路である酸化剤ガス供給マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、本実施形態では、酸化剤ガスOGとして、例えば空気が使用される。
また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周における1つの辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102に供給する燃料ガス供給マニホールド171として機能し、該辺の反対側の辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料ガス排出マニホールド172として機能する。なお、本実施形態では、燃料ガスFGとして、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。また、図2に示すように、酸化剤ガス供給マニホールド161を形成するボルト22Aの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス供給マニホールド161に連通しており、酸化剤ガス排出マニホールド162を形成するボルト22Bの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、図3に示すように、燃料ガス供給マニホールド171を形成するボルト22Dの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス供給マニホールド171に連通しており、燃料ガス排出マニホールド172を形成するボルト22Eの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド172に連通している。
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。
図4および図5に示すように、発電単位102は、単セル110と、セパレータ120と、空気極側フレーム130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム140と、燃料極側集電体144と、スペーサー149と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ150とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ150におけるZ方向回りの周縁部には、上述したボルト22が挿通される連通孔108に対応する孔が形成されている。単セル110は、特許請求の範囲における電気化学反応単セルの一例である。
インターコネクタ150は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、Mn(マンガン)やCr(クロム)等を含む金属材料(例えばフェライト系ステンレス)により形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100は一対のエンドプレート104,106を備えているため、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(図2および図3参照)。
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んで上下方向(発電単位102が並ぶ配列方向)に互いに対向する空気極(カソード)114および燃料極(アノード)116とを備える。すなわち、空気極114および燃料極116は、電解質層112を挟んで上下方向に互いに対向している。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で電解質層112および空気極114を支持する燃料極支持形の単セルである。
電解質層112は、上下方向視で略矩形の平板形状部材であり、緻密な(気孔率が低い)層である。ここでいう上下方向視は、「上下方向に平行な方向から見たとき」を意味する(以下における「上下方向視」も同様)。電解質層112の詳細については後述する。空気極114は、上下方向視で電解質層112より小さい略矩形の平板形状部材であり、多孔質な(電解質層112より気孔率が高い)層である。空気極114は、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物)、LSM(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)、LNF(ランタンニッケル鉄酸化物))により形成されている。燃料極116は、上下方向視で電解質層112と略同一の大きさの略矩形の平板形状部材であり、多孔質な(電解質層112より気孔率が高い)層である。燃料極116の厚さは、例えば200μm以上、1000μm以下である。燃料極116における燃料極側集電体144の付近の部分の平均気孔率は、例えば25vol%以上、60vol%以下であり、当該部分の平均気孔径は、例えば0.5μm以上、4μm以下である。このような構成である本実施形態の単セル110(発電単位102)は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。
セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。セパレータ120における孔121の周囲部分は、電解質層112における空気極114の側の表面の周縁部に対向している。セパレータ120は、その対向した部分に配置されたろう材(例えばAgろう)により形成された接合部124により、電解質層112(単セル110)と接合されている。セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリークが抑制される。
空気極側フレーム130は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130の孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する。空気極側フレーム130は、セパレータ120における電解質層112に対向する側とは反対側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム130には、酸化剤ガス供給マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通孔132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通孔133とが形成されている。
燃料極側フレーム140は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する。燃料極側フレーム140は、セパレータ120における電解質層112に対向する側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、燃料極側フレーム140には、燃料ガス供給マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通孔142と、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通孔143とが形成されている。
空気極側集電体134は、空気室166内に配置されている。空気極側集電体134は、複数の略四角柱状の集電体要素から構成されており、例えば、フェライト系ステンレスにより形成されている。空気極側集電体134は、空気極114における電解質層112に対向する側とは反対側の表面と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面とに接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、上側のエンドプレート104に接触している。空気極側集電体134は、このような構成であるため、空気極114とインターコネクタ150(またはエンドプレート104)とを電気的に接続する。なお、本実施形態では、空気極側集電体134とインターコネクタ150とは一体の部材として形成されている。すなわち、該一体の部材の内の、上下方向(Z軸方向)に直交する平板形の部分がインターコネクタ150として機能し、該平板形の部分から空気極114に向けて突出するように形成された複数の凸部である集電体要素が空気極側集電体134として機能する。また、空気極側集電体134とインターコネクタ150との一体部材の空気極114側の表面は、導電性のコートによって覆われていてもよく、空気極114と空気極側集電体134との間には、両者を接合する導電性の接合層が介在していてもよい。
燃料極側集電体144は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電体144は、インターコネクタ接続部146と、電極接続部145と、電極接続部145のX軸正方向側とインターコネクタ接続部146のX軸正方向側とをつなぐ連接部147とを備えている。電極接続部145は、燃料極116における電解質層112に対向する側とは反対側の表面に電気的に接続されている。本明細書において「A部材とB部材とが電気的に接続されている」とは、A部材とB部材とが互いに直接に接触している構成に限らず、A部材とB部材との間に他の導電性部材が介在している構成も含まれる。本実施形態では、電極接続部145は、燃料極116の上記表面に接触している。インターコネクタ接続部146は、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面に電気的に接続されている。すなわち、インターコネクタ接続部146は、発電単位102に備えられた一対のインターコネクタ150の内、単セル110に対して下方(上下方向の一方)の側に配置されているインターコネクタ150の表面に電気的に接続されている。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102におけるインターコネクタ接続部146は、下側のエンドプレート106に電気的に接続されている。
本実施形態では、燃料極側集電体144は、例えばニッケルやニッケル合金、コバルトやコバルト合金等により形成される金属箔(例えば、厚さが10μm以上、800μm以下)により形成されている。なお、燃料極側集電体144は、略矩形の金属箔に曲げ加工を施すことにより製造される。
燃料極側集電体144は、このような構成であるため、燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)とを電気的に接続する。なお、本実施形態では、燃料極側集電体144のインターコネクタ接続部146と電極接続部145と連接部147とは一体の部材により構成されている。
電極接続部145とインターコネクタ接続部146との間には、例えばマイカ等により形成されたスペーサー149が配置されている。そのため、燃料極側集電体144が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電体144を介した燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)との電気的接続が良好に維持される。なお、スペーサー149の板厚は、例えば0.5mm以上、3mm以下である。なお、単セル110とセパレータ120と燃料極側フレーム140とインターコネクタ150とから構成された複合体は、特許請求の範囲におけるインターコネクタ-電気化学反応単セル複合体の一例である。
A-2.燃料電池スタック100の動作:
図2および図4に示すように、酸化剤ガス供給マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス供給マニホールド161に供給され、酸化剤ガス供給マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通孔132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガス供給マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス供給マニホールド171に供給され、燃料ガス供給マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通孔142を介して、燃料室176に供給される。
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGに含まれる酸素と燃料ガスFGに含まれる水素との電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は空気極側集電体134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃以上、1000℃以下)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
各発電単位102の空気室166から排出された酸化剤オフガスOOGは、図2および図4に示すように、酸化剤ガス排出連通孔133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出され、さらに酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、各発電単位102の燃料室176から排出された燃料オフガスFOGは、図3および図5に示すように、燃料ガス排出連通孔143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出され、さらに燃料ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
A-3.Mnの析出に起因する電解質層112のクラックの発生:
上述したように、本実施形態の燃料電池スタック100に備えられたインターコネクタ150は、Mn(後述の酸化被膜を形成する程度の微量成分(例えば1wt%以下))を含む材料により形成されている。本発明者は、鋭意検討を重ねることにより、このようなインターコネクタ150が単セル110の燃料極116側に配置された構成では、インターコネクタ150の形成材料に由来するMnが燃料室176に飛散することにより、例えば電解質層112にクラックが発生するなど、燃料電池スタック100(単セル110)の性能に悪影響を及ぼすことを新たに見出した。
インターコネクタ150の形成材料に由来するMnが燃料電池スタック100の性能に悪影響を及ぼす要因として次のことが考えられる。すなわち、例えば燃料電池スタック100(または上記複合体)の製造時の熱処理や、燃料電池スタック100の発電運転中において、燃料ガスFGに含まれる水蒸気によって、図4および図5に示すように、インターコネクタ150における燃料極116側の表面にMnを含む酸化被膜(図示せず)が形成される。その後、燃料電池スタック100の発電運転中に、酸化被膜からMn(OH)(水酸化マンガン)が蒸気として燃料室176内に飛散する。飛散したMn(OH)は、燃料極116を介して燃料極116と電解質層112との界面にてMnO(一酸化マンガン)として付着し、さらに電解質層112内に拡散する。拡散したMnOは、電解質層112内における高酸素分圧領域に到達すると、電解質層112中の粒界にMn(四三酸化マンガン)として析出することにより、電解質層112内に内部応力が発生し、その結果、電解質層112にクラックが発生すると考えられる。電解質層112にクラックが発生すると、例えば、電解質層112のイオン伝導性が低下して単セル110の発電性能が低下したり、燃料ガスFGが空気室166側にリークして発電効率が低下したりするおそれがある。そこで、本実施形態の燃料電池スタック100には、Mnの析出に起因する電解質層112のクラックの発生を抑制するための構成が備えられている。
A-4.Mnの析出に起因する電解質層112のクラックの発生を抑制するための構成:
図4および図5に示すように、電解質層112は、第1の電解質層201と第2の電解質層202とを有している。第1の電解質層201は、Zr(ジルコニウム)を主成分とする固体酸化物を含む層であり、電解質層112のうち、燃料極116側に位置している。なお、Zrを主成分とする固体酸化物を含む層とは、例えば、第1の電解質層201が複数種類の固体酸化物を含む場合、それらの複数種類の固体酸化物の中で、Zrを含む固体酸化物が主成分である層を意味する。第2の電解質層202は、Zrを主成分としない固体酸化物を含む層であり、電解質層112のうち、空気極114側に位置している。なお、Zrを主成分としない固体酸化物を含む層とは、例えば、第2の電解質層202が複数種類の固体酸化物を含む場合、それらの複数種類の固体酸化物の中で、Zrを含む固体酸化物が主成分でない層を意味する。本明細書において「主成分」とは、固体酸化物中における酸素を除く全元素に対するZrの割合が50wt%以上であることをいう。
具体的には、第1の電解質層201は、電解質層112における燃料極116側の表面を構成している。第1の電解質層201は、上下方向において燃料極116と隣接している。第1の電解質層201は、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)により形成されている。第2の電解質層202は、電解質層112における空気極114側の表面を構成している。第2の電解質層202は、上下方向において空気極114と隣接している。
第2の電解質層202は、Ceを主成分とする固体酸化物を含んでいる。第2の電解質層202は、例えば、SDC(サマリウムドープセリア)、GDC(ガドリニウムドープセリア)、LDC(ランタンドープセリア)、YDC(イットリウムドープセリア)等のセリウム系酸化物により形成されている。第1の電解質層201と第2の電解質層202とは、上下方向において互いに隣接している。なお、第2の電解質層202の上下方向の厚さは、例えば0.5μm以上であり、10μm以下である。
第1の電解質層201の上下方向(Z軸方向)の厚さをt1とし、第2の電解質層202の上下方向の厚さをt2としたとき、次の式(1)が成り立つ。
t1/t2 < 1 ・・・(1)
さらに、本実施形態では、第1の電解質層201の厚さt1と第2の電解質層202の厚さt2とは、次の式(2)が成り立つ。
t1/t2 < 2/3 ・・・(2)
A-5.燃料電池スタック100の製造方法:
本実施形態における燃料電池スタック100の製造方法は、例えば以下の通りである。
(燃料極支持層用グリーンシートの作製)
NiO粉末とYSZ粉末との混合粉末に対して、造孔材である有機ビーズと、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンとエタノールとの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合してスラリーを調製する。有機ビーズは、例えば、ポリメタクリル酸メチルやポリスチレンなどの高分子により形成された球状粒子である。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、所定の厚さ(例えば200μm以上、300μm以下)の燃料極支持層用グリーンシートを作製する。なお、燃料極支持層用グリーンシートを作製する際のNiO粉末とYSZ粉末との混合比率は、その性能を満足する限りにおいて適宜設定されればよい。
(燃料極活性層用グリーンシートの作製)
NiO粉末とYSZ粉末との混合粉末に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンとエタノールとの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合してスラリーを調製する。なお、上述した燃料極支持層用グリーンシートの作製方法と同様に、スラリーの調整の際に、造孔材としての有機ビーズを加えてもよい。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、所定の厚さ(例えば10μm以上、40μm以下)の燃料極活性層用グリーンシートを作製する。なお、燃料極活性層用グリーンシートを作製する際のNiO粉末とYSZ粉末との混合比率は、その性能を満足する限りにおいて適宜設定されればよい。
(電解質層用グリーンシートの作製)
YSZ粉末に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンとエタノールとの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合してスラリーを調整する。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、所定の厚さ(例えば2μm)の第1の電解質層用グリーンシートを作製する。また、GDC粉末に、アクリルバインダーとイソプロピルアルコールとからなる溶媒を添加し、さらに、レオロジー性を高めるためのチクソ材を加えて、混合して、所定の厚さ(例えば10μm)の第2の電解質層用グリーンシートを調製する。
(電解質層112と燃料極116との積層体の作製)
燃料極支持層用グリーンシートと燃料極活性層用グリーンシートと第1の電解質層用グリーンシートと第2の電解質層用グリーンシートとを貼り付けて所定の温度(例えば約280℃)で脱脂する。さらに、脱脂後のグリーンシートの積層体を所定の温度(例えば約1350℃)で焼成する。これにより、電解質層112(第1の電解質層201および第2の電解質層202)と燃料極116との積層体を得る。
(空気極114の形成)
LSCF粉末と、有機バインダとしてのポリビニルアルコールと、有機溶媒としてのブチルカルビトールとを混合し、粘度を調整して、空気極用ペーストを調製する。調整された空気極用ペーストを、上述した電解質層112と燃料極116との積層体における第2の電解質層202の表面に、例えばスクリーン印刷によって塗布して乾燥させ、空気極用ペーストが塗布された積層体を所定の焼成温度(例えば1100℃)で焼成する。これにより空気極114が形成され、燃料極116と電解質層112と空気極114とを備える単セル110が作製される。
上述した方法に従い複数の単セル110を作製した後、組み立て工程(例えば、各単セル110にセパレータ120等の他の部材を取り付ける工程、複数の単セル110を積層する工程、ボルト22により締結する工程等)を行う。以上により、燃料電池スタック100の製造が完了する。
A-6.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態における燃料電池スタック100では、電解質層112が有する第1の電解質層201がZrを含んでいる。そのため、電解質層112がZrを含まない構成に比べて、電解質層112の強度が高い。一方、電解質層112のうち、酸素分圧が高い空気極(酸素雰囲気)側(高酸素分圧領域)におけるZrの含有割合が高いほど、電解質層112のクラックの発生要因となるMnが析出しやすい。これに対して、本実施形態では、電解質層112は、Zrを主成分とする固体酸化物を含む第1の電解質層201に対して空気極114側に位置し、Zrを主成分としない固体酸化物を含む第2の電解質層202を有している(図4および図5参照)。この第2の電解質層202の厚さt2は、第1の電解質層201の第1の方向の厚さt1よりも厚い。そのため、Mnの析出に起因する電解質層112のクラックの発生が抑制される。これにより本実施形態によれば、電解質層112の強度の向上と、Mnの析出に起因する電解質層112のクラックの発生の抑制とを両立させることができる。
次に、Mnの析出に起因する電解質層112のクラックの発生の抑制について具体的に説明する。図6は、780℃における電解質層112中の酸素分圧と電解質層112の厚さとの関係を示す説明図である。図6のグラフの縦軸は、電解質層112中の酸素分圧の計算値(log(p(O))[atm])を示しており、横軸は、電解質層112の上下方向(Z軸方向)の厚さ(μm)を示す。グラフGは、電解質層112の厚さ方向(Z軸方向)の各位置における酸素分圧を示している。グラフGによれば、電解質層112中のうち、燃料極116に近いほど、酸素分圧が低く、低酸素分圧領域となり、空気極114に近くなるほど、酸素分圧が高く、高酸素分圧領域となっていることが分かる。なお、電解質層112中の酸素分圧の計算値は、例えば、Key Engineering Materials Vols.125-126(1997)pp.187-248等に記載された公知の式を用いて、燃料極116と電解質層112との界面から電解質層112と空気極114との界面に向かう電解質層112の厚み方向の位置xに対する酸素分圧PO2(x)を取得することにより求めることができる。
ここで、本発明者は、電解質層112のクラックの発生要因について次のことを新たに見出した。すなわち、Zr(ジルコニア)を含む電解質層112の高酸素分圧領域では、Mnが固溶する酸素分圧の限界値が、MnOが固溶する酸素分圧の限界値よりも低い。このため、Zrを含む電解質層112における高酸素分圧領域では、Mnが溶解しにくいために析出しやすくなる。図6に示すように、電解質層112中の位置Z0から位置Z3の領域では、比較的に酸素分圧が低いため、Mnは析出しにくく、MnOが析出しやすい。一方、電解質層112中の位置Z3から位置Z1の領域では、比較的に酸素分圧が高いため、Mnは析出しやすくなることが分かる。なお、直線Lは、Mnが析出し始める酸素分圧の下限値を示す。
図6中の境界Z2は、第1の電解質層201と第2の電解質層202との境界を意味しており、この境界Z2は、Mnの析出開始位置Z3よりも燃料極116側に位置している。これは、第1の電解質層201の厚さt1と、第2の電解質層202の厚さt2との間に上記式(1)(t1/t2 < 1)が成り立つことにより実現することができる。第1の電解質層201は、Zrを主成分とする固体酸化物を含んでいるが、電解質層112における低酸素分圧領域(Z0~Z3)に配置されているため、Mnは析出しにくい。一方、第2の電解質層202は、電解質層112における高酸素分圧領域(Z3~Z1)に配置されているが、Zrを主成分としない固体酸化物を含んでいる(Zrの濃度が低い)ため、Mnは析出しにくい。すなわち、燃料電池スタック100の動作中、第1の電解質層201を、Mnが析出しにくい低酸素分圧領域に保持することができる。その結果、Mnの析出に起因する電解質層112のクラックの発生が抑制される。
なお、本実施形態では、第2の電解質層202は、電解質層に含まれる元素と空気極114に含まれる元素との反応を抑制する特定材料(GDCやSDCなど)を含有する。これにより、空気極114から拡散した元素(例えば、Sr)が第1の電解質層201に含まれるZrと反応して高抵抗な物質(例えば、SrZrO)が生成されることが抑制される。
さらに、本実施形態では、第1の電解質層201の厚さt1と第2の電解質層202の厚さt2とは、次の式(2)(t1/t2 < 2/3)が成り立っている。これは、第1の電解質層201と第2の電解質層202との境界Z2が、Mnの析出開始位置Z3よりも燃料極116側に位置していることを意味する。これにより、本実施形態によれば、t1/t2 ≧ 2/3である構成に比べて、電解質層112の強度低下を抑制しつつ、Mnの析出に起因する電解質層112のクラックの発生を、より効果的に抑制することができる。
ここで、複数の単セル110のサンプルを用いて行った性能評価例について説明する。図7は、性能評価結果を示す説明図である。本評価では、各サンプルの第1の電解質層201の形成材料はYSZであり、第2の電解質層202の形成材料はGDCであるものとする。図7に示すように、各サンプル(S1~S5)は、第1の電解質層201の厚さt1と第2の電解質層202の厚さt2との比(t1/t2)が互いに異なっている。
なお、単セル110のサンプルから第1の電解質層201と第2の電解質層202との境界を決める方法は、次の通りである。第1の電解質層201および第2の電解質層202の両方の厚み方向全域を含んだ視野で電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)による元素マッピングを行い、第1の電解質層201の主成分であるZrと第2の電解質層202の主成分との質量濃度が互いに等しくなる位置を、第1の電解質層201と第2の電解質層202との境界とする。また、第1の電解質層201および第2の電解質層202のそれぞれの厚みの測定方法は、次の通りである。上記元素マッピングを行う視野を、平面方向(上記境界に沿った方向)に6等分する厚み方向(第1の電解質層201と第2の電解質層202との並び方向)に延びる等分線を5本引いたときに、5本の等分線と第1の電解質層201とが重なる部分の厚みの平均値を、第1の電解質層201の厚さt1とする。また、5本の等分線と第2の電解質層202とが重なる部分の厚みの平均値を、第2の電解質層202の厚さt2とする。
各サンプルに対して、次の2つの耐久試験を行った。
「緩い条件の耐久試験」:各サンプルを800℃で1000時間発電した後の単セル110について電解質層112におけるクラックの発生の有無を確認した。
「厳しい条件の耐久試験」:各サンプルを850℃で2000時間発電した後の単セル110について電解質層112におけるクラックの発生の有無を確認した。
なお、上記単セル110を、電解質層112の断面が露出するように切断し、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面画像を観察することにより、クラックの発生の有無を判断した。
図7に示すように、緩い条件の耐久試験では、上記式(1)(t1/t2 < 1)を満たすサンプルS1~S4では、電解質層112にクラックの発生は「無し」と評価され、式(1)を満たさないサンプルS5では、電解質層112にクラックの発生は「有り」と評価された。このことは、式(1)を満たすことにより、Mnの析出に起因する電解質層112のクラックの発生を抑制できることを意味する。また、厳しい条件の耐久試験では、上記式(2)(t1/t2 < 2/3)を満たすサンプルS1,S2では、電解質層112にクラックの発生は「無し」と評価され、式(2)を満たさないサンプルS3~S5では、電解質層112にクラックの発生は「有り」と評価された。このことは、式(2)を満たすことにより、Mnの析出に起因する電解質層112のクラックの発生を、より効果的に抑制できることを意味する。
第2の電解質層202は、Ceを主成分とする固体酸化物を含んでいる。これにより、本実施形態によれば、第2の電解質層202に含まれる固体酸化物の主成分であるCe酸化物が、第1の電解質層201に含まれる固体酸化物の主成分であるZr酸化物と同じ蛍石型構造を有しており、焼成により、第1の電解質層201と第2の電解質層202とが組成傾斜層を形成するため、第1の電解質層201と第2の電解質層202との接合強度を向上させることができる。また、第1の電解質層201と第2の電解質層202との間に、熱膨張係数が傾斜(連続)した強固な接合界面を形成することができる。また、第2の電解質層202に含まれる固体酸化物は、Ce系なので、第2の電解質層202は、イオン伝導性が高く、厚くしても抵抗が小さいため、第2の電解質層202が厚いことによるデメリットを軽減できる。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態(または変形例、以下同様)において、電極接続部145は、燃料極116における電解質層112に対向する側とは反対側の表面に接合材を介して接触している構成であってもよい。また、上記実施形態において、インターコネクタ接続部146は、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面に接合材を介して接触している構成であってもよい。
また、上記実施形態では、燃料極側集電体144のインターコネクタ接続部146と電極接続部145と連接部147とは一体の部材により構成されているが、インターコネクタ接続部146と電極接続部145と連接部147との何れかまたはすべてが別体の部材により構成されていてもよい。
上記実施形態では、インターコネクタ150と、インターコネクタ150と単セル110とを電気的に接続する接続部として機能する燃料極側集電体144とが別体であったが、インターコネクタ150と接続部とが一体形成された構成でもよい。
上記実施形態において、本実施形態では、第1の電解質層201の厚さt1と第2の電解質層202の厚さt2とは、t1/t2 ≧ 2/3である構成でもよい。また、第2の電解質層202は、Ceを主成分とする固体酸化物を含まない構成でもよい。これらのような構成でも、t1/t2 < 1であれば、Mnの析出に起因する電解質層112のクラックの発生が抑制される。
また、上記実施形態では、燃料電池スタック100に含まれる全ての複合体について、第1の電解質層201および第2の電解質層202を有する電解質層112を備える構成であったが、少なくとも1つの複合体について、第1の電解質層201および第2の電解質層202を有する電解質層112を備える構成であれば、電解質層112の強度の向上と、Mnの析出に起因する電解質層112のクラックの発生の抑制とを両立させることができる。
上記実施形態における各部材を構成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行うSOFCを対象としているが、本発明は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(SOEC)の最小単位である電解セル単位や、複数の電解セル単位を備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2016-81813号に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、発電単位102を電解セル単位と読み替えればよい。
本発明は、金属支持型(メタルサポート型)の単セルを備える複合体や電気化学反応セルスタックにも適用可能である。金属支持型の単セルは、燃料極と空気極との一方に対して電解質層とは反対側に配置された金属支持体を備え、金属支持体によって単セルにおける他の部分(空気極、固体電解質、燃料極など)を支持する。金属支持型の単セルを備える複合体等の適用例は、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態におけるインターコネクタ150を金属支持体と読み替えればよい。
22:ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 100:燃料電池スタック 102:発電単位 104,106:エンドプレート 108:連通孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 120:セパレータ 124:接合部 130:空気極側フレーム 132:酸化剤ガス供給連通孔 133:酸化剤ガス排出連通孔 134:空気極側集電体 140:燃料極側フレーム 142:燃料ガス供給連通孔 143:燃料ガス排出連通孔 144:燃料極側集電体 145:電極接続部 146:インターコネクタ接続部 147:連接部 149:スペーサー 150:インターコネクタ 161:酸化剤ガス供給マニホールド 162:酸化剤ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料ガス供給マニホールド 172:燃料ガス排出マニホールド 176:燃料室 201:第1の電解質層 202:第2の電解質層 FG:燃料ガス FOG:燃料オフガス

Claims (4)

  1. 固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を含む電気化学反応単セルと、前記電気化学反応単セルの前記燃料極側に配置され、Mnを含むインターコネクタと、を備えるインターコネクタ-電気化学反応単セル複合体において、
    前記電解質層は、Zrを主成分とする固体酸化物を含み、前記燃料極側に位置する第1の電解質層と、前記第1の電解質層に対して前記空気極側に位置し、Zrを主成分としない固体酸化物を含む第2の電解質層とを有し、
    前記第1の電解質層の前記第1の方向の厚さをt1とし、前記第2の電解質層の前記第1の方向の厚さをt2としたとき、
    t1/t2 < 1
    が成り立つことを特徴とする、インターコネクタ-電気化学反応単セル複合体。
  2. 請求項1に記載のインターコネクタ-電気化学反応単セル複合体において、
    前記第1の電解質層の前記第1の方向の厚さと前記第2の電解質層の前記第1の方向の厚さとは、
    t1/t2 < 2/3
    が成り立つことを特徴とする、インターコネクタ-電気化学反応単セル複合体。
  3. 請求項1または請求項2に記載のインターコネクタ-電気化学反応単セル複合体において、
    前記第2の電解質層は、Ceを主成分とする固体酸化物を含むことを特徴とする、インターコネクタ-電気化学反応単セル複合体。
  4. 前記第1の方向に並べて配列された複数のインターコネクタ-電気化学反応単セル複合体を備える電気化学反応セルスタックにおいて、
    前記複数のインターコネクタ-電気化学反応単セル複合体の少なくとも1つは、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のインターコネクタ-電気化学反応単セル複合体であることを特徴とする、電気化学反応セルスタック。
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