JP6737662B2 - 電気化学反応セルスタック - Google Patents

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本明細書によって開示される技術は、電気化学反応セルスタックに関する。
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の1つとして、固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という)が知られている。SOFCは、一般に、所定の方向(以下、「配列方向」という)に並べて配置された複数の燃料電池単セル(以下、単に「単セル」という)を備える燃料電池スタックの形態で利用される。燃料電池スタックを構成する各単セルは、固体酸化物を含む電解質層と、電解質層を挟んで上記配列方向に互いに対向する空気極および燃料極とを含む。空気極は、例えば、ペロブスカイト型酸化物を含む。また、燃料極は、Niと酸化物イオン伝導性セラミックス(例えば、イットリア安定化ジルコニア(以下、「YSZ」という))とを含有する機能層を有する。
燃料電池スタックの一形態として、複数の単セルの内の第1の単セル(以下、「上流の単セル」という)の燃料極に面する第1の燃料室と、複数の単セルの内の第2の単セル(以下、「下流の単セル」という)の燃料極に面する第2の燃料室とに連通し、上記第1の燃料室から排出されたガスを上記第2の燃料室に導くガス流路が形成された、いわゆる直列型または直並列型の燃料電池スタックが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特表2005−537625号公報
一般に、上述した直列型または直並列型の燃料電池スタックの運転時には、上流の単セルと比較して、下流の単セルの燃料極の機能層において、水蒸気分圧が高くなる。これは、上流の単セルにおける発電反応により燃料極側で発生する水(水蒸気)が、ガス流れによって下流の単セルに運ばれるからである。下流の単セルの燃料極の機能層における水蒸気分圧が高くなると、機能層に含まれるNiの微構造変化(凝集)が促進される。機能層に含まれるNiの微構造変化は、三相界面の減少を引き起こし、下流の単セルの性能劣化の原因となる。従来の燃料電池スタックの構成では、このような運転に伴う性能劣化が発生しやすいという課題がある。
なお、このような課題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」という)の構成単位である電解単セルを複数備える電解セルスタックにも共通の課題である。上流の電解単セルの燃料極に面する第1の燃料室から排出されたガスを下流の電解単セルの燃料極に面する第2の燃料室に導くガス流路が形成された直列型または直並列型の電解セルスタックでは、運転時に、燃料極に供給されるガスとしての水蒸気が、各電解単セルにおける水素生成反応において消費されるため、下流の電解単セルと比較して、上流の電解単セルの燃料極の機能層における水蒸気分圧が高くなる。そのため、電解セルスタックにおいても、上流の電解単セルの燃料極の機能層における水蒸気分圧が高くなることによって機能層に含まれるNiの微構造変化が促進され、上流の電解単セルの性能劣化が発生しやすいという課題がある。なお、本明細書では、燃料電池単セルと電解単セルとをまとめて電気化学反応単セルと呼び、燃料電池スタックと電解セルスタックとをまとめて電気化学反応セルスタックと呼ぶ。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される電気化学反応セルスタックは、固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を含む電気化学反応単セルを複数備える電気化学反応セルスタックにおいて、前記燃料極は、Niと酸化物イオン伝導性セラミックスとを含有する機能層を有し、前記電気化学反応セルスタックには、前記電気化学反応単セルの1つである第1の電気化学反応単セルの前記燃料極に面する第1の燃料室と、前記電気化学反応単セルの他の1つである第2の電気化学反応単セルの前記燃料極に面する第2の燃料室と、前記第1の燃料室と前記第2の燃料室とに連通するガス流路と、が形成されており、前記第2の電気化学反応単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf2(wt%)は、前記第1の電気化学反応単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf1(wt%)より低いことを特徴する。本電気化学反応セルスタックによれば、第2の電気化学反応単セルの燃料極の機能層におけるNi含有率Cf2(wt%)が第1の電気化学反応単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf1(wt%)より低くされているため、第2の電気化学反応単セルが運転中に水蒸気分圧が高くなりやすい側の電気化学反応単セルとなるように電気化学反応セルスタックを構成することにより、第2の電気化学反応単セルの燃料極の機能層における水蒸気分圧の上昇に伴うNiの微構造変化の発生量を低減することができ、第2の電気化学反応単セルの性能劣化を抑制することができる。また、本電気化学反応セルスタックによれば、水蒸気分圧が高くなりにくい第1の電気化学反応単セルの燃料極の機能層においては、Ni含有率Cf1(wt%)が比較的高くされているため、電気化学反応セルスタック全体としての機能層におけるNiの含有率をある程度確保することができ、電気化学反応セルスタックの初期性能の低下を抑制することができる。従って、本電気化学反応セルスタックによれば、電気化学反応セルスタックの初期性能の低下を抑制しつつ、運転に伴う性能劣化を抑制することができる。
(2)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記第2の電気化学反応単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf2に対する前記第1の電気化学反応単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf1の比(Cf1/Cf2)は、1より大きく、1.231以下である構成としてもよい。本電気化学反応セルスタックによれば、第2の電気化学反応単セルの初期性能の低下を抑制することができ、電気化学反応セルスタックの初期性能の低下を効果的に抑制することができる。
(3)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記燃料極は、さらに、前記機能層の前記電解質層とは反対側に配置され、Niと酸化物イオン伝導性セラミックスとを含有する基板層を有し、前記第2の電気化学反応単セルの前記燃料極の前記基板層におけるNi含有率Cb2(wt%)は、前記第1の電気化学反応単セルの前記燃料極の前記基板層におけるNi含有率Cb1(wt%)より高いことを特徴する構成としてもよい。本電気化学反応セルスタックによれば、水蒸気分圧が機能層に比べ高くなりにくい基板層については、第2の電気化学反応単セルの燃料極の基板層におけるNi含有率Cb2(wt%)を比較的高くすることにより、Niの微構造変化による性能劣化を抑制しつつ、第2の電気化学反応単セルの初期性能の低下を抑制することができ、電気化学反応セルスタックの初期性能の低下を効果的に抑制することができる。また、第2の電気化学反応単セルの燃料極(機能層および基板層)におけるNi含有率と、第1の電気化学反応単セルの燃料極(機能層および基板層)におけるNi含有率との差を小さくすることができ、電気化学反応セルスタックを構成する各電気化学反応単セルにおける反応量のばらつきを抑制することができる。各電気化学反応単セルにおける反応量のばらつきを抑制することで、スタック全体での安定した反応が可能となり、各電気化学反応単セルで偏った性能の劣化の発生を抑制することができ、その結果、電気化学反応セルスタックが長寿命となる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電気化学反応セルスタック(燃料電池スタックまたは電解セルスタック)、電気化学反応セルスタックの製造方法等の形態で実現することが可能である。
本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図である。 燃料電池スタック100の上側の平面構成を示す説明図である。 燃料電池スタック100の下側の平面構成を示す説明図である。 図1から図3のIV−IVの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図である。 図1から図3のV−Vの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。 図1から図3のVI−VIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。 図4に示す断面と同一の位置における互いに隣接する1つの下流の発電単位102Dおよび1つの上流の発電単位102UのXZ断面構成を示す説明図である。 図5に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの上流の発電単位102UのYZ断面構成を示す説明図である。 図6に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの下流の発電単位102DのYZ断面構成を示す説明図である。 図7のX−Xの位置における上流の発電単位102UのXY断面構成を示す説明図である。 図7のXI−XIの位置における上流の発電単位102UのXY断面構成を示す説明図である。 図7のXII−XIIの位置における下流の発電単位102DのXY断面構成を示す説明図である。 燃料極116の詳細構成を模式的に示すYZ断面図である。 燃料極116の詳細構成を模式的に示すYZ断面図である。 性能評価結果を示す説明図である。
A.実施形態:
A−1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、燃料電池スタック100の上側の平面構成を示す説明図であり、図3は、燃料電池スタック100の下側の平面構成を示す説明図である。また、図4は、図1から図3のIV−IVの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図1から図3のV−Vの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図であり、図6は、図1から図3のVI−VIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図7以降についても同様である。
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では6つの)燃料電池発電単位(以下、単に「発電単位」という)102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。6つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。以下、6つの発電単位102の内、上から3つの発電単位102を下流の発電単位102Dともいい、残りの3つの発電単位102、即ち、下から3つの発電単位102を上流の発電単位102Uともいう。一対のエンドプレート104,106は、6つの発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。なお、上記配列方向(上下方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、エンドプレート104,106)のZ方向回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、連通孔108と呼ぶ場合がある。
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿入されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図4から図6に示すように、ボルト22の一方の側(上側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の上端を構成するエンドプレート104の上側表面との間、および、ボルト22の他方の側(下側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の下端を構成するエンドプレート106の下側表面との間には、絶縁シート26が介在している。ただし、後述のガス通路部材27が設けられた箇所では、ナット24とエンドプレート106の表面との間に、ガス通路部材27とガス通路部材27の上側および下側のそれぞれに配置された絶縁シート26とが介在している。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
各ボルト22の軸部の外径は各連通孔108の内径より小さい。そのため、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図2から図4に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の中央付近に位置するボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入されるガス流路である酸化剤ガス導入マニホールド161として機能し、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、本実施形態では、酸化剤ガスOGとして、例えば空気が使用される。
また、図2、図3および図5に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの頂点(X軸正方向側およびY軸負方向側の頂点)付近に位置するボルト22(ボルト22C)と、そのボルト22Cが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを上流の各発電単位102Uに供給する燃料ガス導入マニホールド171として機能し、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、上流の各発電単位102Uの燃料室176から排出されたガスである燃料中間ガスFMGを、下流の各発電単位102Dに向けて運ぶガス流路である燃料ガス中継マニホールド172として機能する。燃料中間ガスFMGには、上流の各発電単位102Uの燃料室176において発電反応に利用されなかった水素等が含まれる。また、図2、図3および図6に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、下流の各発電単位102Dの燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料ガス排出マニホールド173として機能する。なお、本実施形態では、燃料ガスFGとして、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。
図4から図6に示すように、燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。また、図4に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161を形成するボルト22Aの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス導入マニホールド161に連通しており、酸化剤ガス排出マニホールド162を形成するボルト22Bの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、図5に示すように、燃料ガス導入マニホールド171を形成するボルト22Cの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス導入マニホールド171に連通しており、図6に示すように、燃料ガス排出マニホールド173を形成するボルト22Eの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド173に連通している。
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
(発電単位102の構成)
図7は、図4に示す断面と同一の位置における互いに隣接する1つの下流の発電単位102Dおよび1つの上流の発電単位102UのXZ断面構成を示す説明図であり、図8は、図5に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの上流の発電単位102UのYZ断面構成を示す説明図であり、図9は、図6に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの下流の発電単位102DのYZ断面構成を示す説明図である。また、図10は、図7のX−Xの位置における上流の発電単位102UのXY断面構成を示す説明図であり、図11は、図7のXI−XIの位置における上流の発電単位102UのXY断面構成を示す説明図であり、図12は、図7のXII−XIIの位置における下流の発電単位102DのXY断面構成を示す説明図である。
図7から図9に示すように、燃料電池スタック100の構成単位である発電単位102は、燃料電池単セル(以下、単に「単セル」という)110と、セパレータ120と、空気極側フレーム130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム140と、燃料極側集電体144と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ150とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ150におけるZ方向回りの周縁部には、上述したボルト22が挿入される連通孔108に対応する孔が形成されている。
インターコネクタ150は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばフェライト系ステンレスにより形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100は一対のエンドプレート104,106を備えているため、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(図4から図6参照)。
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んで上下方向(発電単位102が並ぶ配列方向)に互いに対向する空気極(カソード)114および燃料極(アノード)116とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で電解質層112および空気極114を支持する燃料極支持形の単セルである。単セル110は、特許請求の範囲における電気化学反応単セルに相当し、上流の発電単位102Uに備えられた単セル110(以下、「上流の単セル110U」ともいう)は、特許請求の範囲における第1の電気化学反応単セルに相当し、下流の発電単位102Dに備えられた単セル110(以下、「下流の単セル110D」ともいう)は、特許請求の範囲における第2の電気化学反応単セルに相当する。
電解質層112は、Z方向視で略矩形の平板形状部材であり、緻密な層である。電解質層112は、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、SDC(サマリウムドープセリア)、GDC(ガドリニウムドープセリア)、ペロブスカイト型酸化物等の固体酸化物により形成されている。空気極114は、Z方向視で電解質層112より小さい略矩形の平板形状部材であり、多孔質な層である。空気極114は、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物)、LSM(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)、LNF(ランタンニッケル鉄))により形成されている。燃料極116は、Z方向視で電解質層112と略同一の大きさの略矩形の平板形状部材であり、多孔質な層である。燃料極116は、例えば、Niと酸化物イオン伝導性セラミックス粒子(例えば、YSZ)とからなるサーメットにより形成されている。燃料極116の構成については、後に詳述する。このように、本実施形態の単セル110(発電単位102)は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。
セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。セパレータ120における孔121の周囲部分は、電解質層112における空気極114の側の表面の周縁部に対向している。セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、電解質層112(単セル110)と接合されている。セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリークが抑制される。
空気極側フレーム130は、図7から図10に示すように、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130は、セパレータ120における電解質層112に対向する側とは反対側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面の周縁部とに接触している。空気極側フレーム130の孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する。また、空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム130には、酸化剤ガス導入マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通孔132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通孔133とが形成されている。
燃料極側フレーム140は、図7から図9、図11および図12に示すように、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する。燃料極側フレーム140は、セパレータ120における電解質層112に対向する側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面の周縁部とに接触している。図8および図11に示すように、上流の各発電単位102Uの燃料極側フレーム140には、燃料ガス導入マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通孔142Uと、燃料室176と燃料ガス中継マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通孔143Uとが形成されている。また、図9および図12に示すように、下流の各発電単位102Dの燃料極側フレーム140には、燃料ガス中継マニホールド172と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通孔142Dと、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド173とを連通する燃料ガス排出連通孔143Dとが形成されている。
空気極側集電体134は、図7から図10に示すように、空気室166内に配置されている。空気極側集電体134は、所定の間隔をあけて並べられた複数の略四角柱状の導電性部材から構成されており、例えば、フェライト系ステンレスにより形成されている。空気極側集電体134は、空気極114における電解質層112に対向する側とは反対側の表面と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面とに接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、上側のエンドプレート104に接触している。空気極側集電体134は、このような構成であるため、空気極114とインターコネクタ150(またはエンドプレート104)とを電気的に接続する。なお、空気極側集電体134とインターコネクタ150とが一体の部材として形成されていてもよい。
燃料極側集電体144は、図7から図9、図11および図12に示すように、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電体144は、インターコネクタ対向部146と、複数の電極対向部145と、各電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備えており、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。各電極対向部145は、燃料極116における電解質層112に対向する側とは反対側の表面に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面に接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102におけるインターコネクタ対向部146は、下側のエンドプレート106に接触している。燃料極側集電体144は、このような構成であるため、燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)とを電気的に接続する。なお、電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばマイカにより形成されたスペーサー149が配置されている。そのため、燃料極側集電体144が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電体144を介した燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)との電気的接続が良好に維持される。
A−2.燃料電池スタック100の動作:
図4、図7および図10に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス導入マニホールド161に供給され、酸化剤ガス導入マニホールド161から下流および上流の各発電単位102D,102Uの酸化剤ガス供給連通孔132を介して、空気室166に供給される。
また、図5、図8および図11に示すように、燃料ガス導入マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス導入マニホールド171に供給され、燃料ガス導入マニホールド171から上流の各発電単位102Uの燃料ガス供給連通孔142Uを介して、上流の各発電単位102Uの燃料室176に供給される。なお、燃料ガス導入マニホールド171は、下流の各発電単位102Dの燃料室176には連通していないため、燃料ガス導入マニホールド171から下流の各発電単位102Dの燃料室176に燃料ガスFGが供給されることはない。上流の各発電単位102Uの燃料室176から排出された燃料中間ガスFMGは、燃料ガス排出連通孔143Uを介して燃料ガス中継マニホールド172に排出される。図6、図9および図12に示すように、下流の各発電単位102Dの燃料室176には、この上流の各発電単位102Uから排出された燃料中間ガスFMGが、燃料ガス中継マニホールド172、および、下流の各発電単位102Dの燃料ガス供給連通孔142Dを介して供給される。
上流の各発電単位102Uの空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、上流の各発電単位102Uの燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、上流の各発電単位102Uの単セル110Uにおいて酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。また、下流の各発電単位102Dの空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、下流の各発電単位102Dの燃料室176に燃料中間ガスFMGが供給されると、下流の各発電単位102Dの単セル110Dにおいて酸化剤ガスOGおよび燃料中間ガスFMGの電気化学反応による発電が行われる。これらの発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は空気極側集電体134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
図4、図7および図10に示すように、下流および上流の各発電単位102U,102Dの空気室166から酸化剤ガス排出連通孔133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出された酸化剤オフガスOOGは、酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、図6、図9および図12に示すように、下流の各発電単位102Dの燃料室176から燃料ガス排出連通孔143Dを介して燃料ガス排出マニホールド173に排出された燃料オフガスFOGは、燃料ガス排出マニホールド173の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
このように、本実施形態の燃料電池スタック100の燃料ガスFGの流路構成は、外部から導入された燃料ガスFGが、上流の複数の発電単位102Uに並列に供給され、上流の各発電単位102Uから排出された燃料中間ガスFMGが、燃料ガス中継マニホールド172を介して、下流の複数の発電単位102Dに並列に供給される、いわゆる直並列型の流路構成である。上流の発電単位102Uの燃料室176は、特許請求の範囲における第1の燃料室に相当し、下流の発電単位102Dの燃料室176は、特許請求の範囲における第2の燃料室に相当し、燃料ガス中継マニホールド172は、特許請求の範囲におけるガス流路に相当する。
A−3.燃料極116の詳細構成:
図13および図14は、燃料極116の詳細構成を模式的に示すYZ断面図である。図13には、上流の単セル110Uが備える燃料極116の構成が模式的に示されており、図14には、下流の単セル110Dが備える燃料極116の構成が模式的に示されている。
図13および図14に示すように、上流の単セル110Uおよび下流の単セル110Dのいずれにおいても、燃料極116は、機能層350と、機能層350の電解質層112側とは反対側に配置された基板層360とを備える。本実施形態では、機能層350は、電解質層112に隣接して配置されており、基板層360は、機能層350に隣接して配置されている。機能層350と基板層360とは、いずれも、Niと酸化物イオン伝導性セラミックスであるYSZ(イットリア安定化ジルコニア)とを含むサーメットにより形成されている。
機能層350は、主として、電解質層112から供給される酸化物イオンと燃料ガスFG(または燃料中間ガスFMG)に含まれる水素とを反応させて、電子と水蒸気とを生成する機能を発揮する層である。また、基板層360は、主として、機能層350と電解質層112と空気極114とを支持する機能を発揮する層である。なお、基板層360の強度を高めるため、基板層360のZ方向における厚さは、機能層350のZ方向における厚さより厚いことが好ましい。また、基板層360のガス拡散性を高めるため、基板層360の気孔率は、機能層350の気孔率より高いことが好ましい。
本実施形態の燃料電池スタック100では、上流の単セル110Uと下流の単セル110Dとで、燃料極116のNi含有率に差が設けられている。具体的には、機能層350については、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf2(wt%)は、上流の単セル110Uの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf1(wt%)より低くなっている。反対に、基板層360については、下流の単セル110Dの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb2(wt%)は、上流の単セル110Uの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb1(wt%)より高くなっている。なお、燃料極116のNi含有率は、Niと酸化物イオン伝導性セラミックス(YSZ)との合計含有量に対するNiの含有量の比をwt%で表したものである。
A−4.燃料電池スタック100の製造方法:
本実施形態における燃料電池スタック100の製造方法の一例は、以下の通りである。
(燃料極基板層用グリーンシートの作製)
NiO粉末とYSZ粉末との混合粉末に対して、造孔材である有機ビーズと、ブチラール樹脂と、可塑剤であるジオクチルフタレート(DOP)と、分散剤と、トルエンおよびエタノールの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調整する。このとき、NiO粉末とYSZ粉末との比率が互いに異なる2種類の混合粉末を用いて、2種類のスラリーを調整する。例えば、NiO粉末:50重量部、YSZ粉末:50重量部の混合粉末を用いて基板層用第1スラリーを調整すると共に、NiO粉末:60重量部、YSZ粉末:40重量部の混合粉末を用いて基板層用第2スラリーを調整する。2種類のスラリーの内の一方である基板層用第1スラリー(NiO粉末の含有率が比較的低いスラリー)を塗工して、上流の単セル110U用の燃料極基板層用グリーンシートを作製する。また、2種類のスラリーの内の他方である基板層用第2スラリー(NiO粉末の含有率が比較的高いスラリー)を塗工して、下流の単セル110D用の燃料極基板層用グリーンシートを作製する。
(燃料極機能層用グリーンシートの作製)
NiO粉末とYSZ粉末との混合粉末に対して、造孔材である有機ビーズと、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンおよびエタノールの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調整する。このとき、NiO粉末とYSZ粉末との比率が互いに異なる2種類の混合粉末を用いて、2種類のスラリーを調整する。例えば、NiO粉末:55重量部、YSZ粉末:45重量部の混合粉末を用いて機能層用第1スラリーを調整すると共に、NiO粉末:45重量部、YSZ粉末:55重量部の混合粉末を用いて機能層用第2スラリーを調整する。2種類のスラリーの内の一方である機能層用第1スラリー(NiO粉末の含有率が比較的高いスラリー)を塗工して、上流の単セル110U用の燃料極機能層用グリーンシートを作製する。また、2種類のスラリーの内の他方である機能層用第2スラリー(NiO粉末の含有率が比較的低いスラリー)を塗工して、下流の単セル110D用の燃料極機能層用グリーンシートを作製する。
(電解質層用グリーンシートの作製)
YSZ粉末(100重量部)に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンおよびエタノールの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調整する。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、電解質層用グリーンシートを作製する。
(電解質層112と燃料極116との積層体の作製)
下流の単セル110D用の燃料極基板層用グリーンシートおよび燃料極機能層用グリーンシートと、電解質層用グリーンシートとを貼り付けて例えば約280℃で脱脂し、その後、例えば約1350℃にて焼成を行うことにより、電解質層112と燃料極116(機能層350および基板層360)との積層体(下流の単セル110D用の積層体)を得る。同様に、上流の単セル110U用の燃料極基板層用グリーンシートおよび燃料極機能層用グリーンシートと、電解質層用グリーンシートとを貼り付けて例えば約280℃で脱脂し、その後、例えば約1350℃にて焼成を行うことにより、電解質層112と燃料極116(機能層350および基板層360)との積層体(上流の単セル110U用の積層体)を得る。
(空気極114の形成)
例えば、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8粉末と、イソプロピルアルコールとからなる混合液を作成し、該混合液を、上述した下流の単セル110D用の積層体における電解質層112側の表面に噴霧塗布し、その後、例えば約1100℃で焼成することによって空気極114を形成する。これにより、下流の単セル110Dが製造される。同様に、例えば、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8粉末と、イソプロピルアルコールとからなる混合液を作成し、該混合液を、上述した上流の単セル110U用の積層体における電解質層112側の表面に噴霧塗布し、その後、例えば約1100℃で焼成することによって空気極114を形成する。これにより、上流の単セル110Uが製造される。
例えば上述した方法に従い下流の単セル110Dおよび上流の単セル110Uを製造することにより、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf2(wt%)を、上流の単セル110Uの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf1(wt%)より低くすることができ、下流の単セル110Dの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb2(wt%)を、上流の単セル110Uの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb1(wt%)より高くすることができる。
(燃料電池スタック100の組み立て)
複数の単セル110(下流の単セル110Dおよび上流の単セル110U)が製造された後、複数の単セル110および他の部品を組み立ててボルト22により締結することにより、上述した構成の燃料電池スタック100が製造される。
A−5.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の燃料電池スタック100では、燃料電池スタック100を構成する各単セル110の燃料極116が、Niと酸化物イオン伝導性セラミックスとを含有する機能層350を備える。また、本実施形態の燃料電池スタック100には、上流の単セル110Uの燃料極116に面する燃料室176(第1の燃料室)と、下流の単セル110Dの燃料極116に面する燃料室176(第2の燃料室)と、上記第1の燃料室と上記第2の燃料室とに連通する(より具体的には、上記第1の燃料室から排出されたガスを上記第2の燃料室に導く)ガス流路である燃料ガス中継マニホールド172が形成されている。また、本実施形態の燃料電池スタック100では、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf2(wt%)が、上流の単セル110Uの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf1(wt%)より低い。ここで、本実施形態の燃料電池スタック100では、発電運転時に、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350において、水蒸気分圧(燃料ガス中の水蒸気の割合)が高くなる。これは、上流の単セル110Uにおける発電反応により燃料極116側で発生する水(水蒸気)が、ガス流れによって下流の単セル110Dに運ばれるからである。下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350において水蒸気分圧が高くなると、機能層350に含まれるNiの微構造変化(凝集)が促進される。機能層350に含まれるNiの微構造変化は、三相界面の減少を引き起こし、下流の単セル110Dの性能劣化の原因となる。しかし、本実施形態の燃料電池スタック100では、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf2(wt%)が比較的低くされているため、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350における水蒸気分圧の上昇に伴うNiの微構造変化の発生量を低減することができ、下流の単セル110Dの性能劣化を抑制することができる。また、本実施形態の燃料電池スタック100では、水蒸気分圧が高くなりにくい上流の単セル110Uの燃料極116の機能層350においては、Ni含有率Cf1(wt%)が比較的高くされている。そのため、燃料電池スタック100全体としての機能層350におけるNiの含有率をある程度確保することができ、燃料電池スタック100の初期性能の低下を抑制することができる。従って、本実施形態の燃料電池スタック100によれば、燃料電池スタック100の初期性能の低下を抑制しつつ、運転に伴う性能劣化を抑制することができる。
また、本実施形態の燃料電池スタック100では、燃料電池スタック100を構成する各単セル110の燃料極116が、機能層350の電解質層112側とは反対側に配置され、Niと酸化物イオン伝導性セラミックスとを含有する基板層360を備える。また、本実施形態の燃料電池スタック100では、下流の単セル110Dの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb2(wt%)が、上流の単セル110Uの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb1(wt%)より高い。一般に、燃料極116の基板層360では、発電反応が行われる機能層350と異なり、発電反応がほとんど行われない。従って、基板層360は、発電反応によって生じた水蒸気の影響を受け難く、発電運転時においても機能層350より水蒸気分圧が比較的低い状態に維持される。そのため、下流の単セル110Dの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb2(wt%)を比較的高くしても、基板層360に含まれるNiの微構造変化の発生量は少なく、下流の単セル110Dの性能が大きく劣化することはない。また、下流の単セル110Dの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb2(wt%)を比較的高くすることによって、燃料極116全体としてNi含有率の低下を避け、下流の単セル110Dの初期性能の低下を抑制することができる。さらに、下流の単セル110Dの燃料極116(機能層350および基板層360)におけるNi含有率と、上流の単セル110Uの燃料極116(機能層350および基板層360)におけるNi含有率との差を小さくすることができ、燃料電池スタック100を構成する各単セル110における発電量のばらつきを抑制することができる。従って、本実施形態の燃料電池スタック100によれば、燃料電池スタック100の初期性能の低下を効果的に抑制しつつ、運転に伴う性能劣化を抑制することができ、さらに、各単セル110における発電量のばらつきを抑制することができる。各単セル110における発電量のばらつきを抑制することで、燃料電池スタック100全体での安定した発電が可能となり、各単セル110で偏った発電性能の劣化の発生を抑制することができ、その結果、燃料電池スタック100が長寿命となる。
A−6.性能評価:
複数の燃料電池スタック100のサンプルを用いて行った性能評価について、以下説明する。図15は、性能評価結果を示す説明図である。図15に示すように、各サンプルS1〜S10は、燃料電池スタック100を構成する各単セル110の燃料極116の構成が互いに異なっている。より具体的には、各サンプルは、上流の単セル110Uの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf1(wt%)と、上流の単セル110Uの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb1(wt%)と、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf2(wt%)と、下流の単セル110Dの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb2(wt%)との組合せが、互いに異なっている。なお、本性能評価において、各サンプルの燃料電池スタック100が備える単セル110の数は10個であり、そのうちの6個が上流の単セル110Uであり、残りの4個が下流の単セル110Dである。図15に示された各Ni含有率の値は、燃料電池スタック100が備える複数の上流の単セル110U(または下流の単セル110D)におけるNi含有率の平均値である。
(評価項目および評価方法)
本性能評価では、初期平均出力と劣化率との2つの項目について評価を行った。初期平均出力は、初期状態における燃料電池スタック100を構成する各単セル110の出力(V)の平均値である。初期平均出力については、0.8(V)以上である場合に合格と判定した。また、劣化率は、初期平均出力に対する1000h運転後の出力降下量(初期平均出力と1000h運転後の平均出力との差)の比を百分率で表したものである。劣化率については、1.5(%)より低い場合に合格と判定した。
(評価結果)
サンプルS1およびサンプルS9では、劣化率が1.5(%)以上であったため、不合格(×)と判定された。サンプルS1およびサンプルS9では、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350のNi含有率Cf2(wt%)が、上流の単セル110Uの燃料極116の機能層350のNi含有率Cf1(wt%)より高いか、Ni含有率Cf1(wt%)と同じ値となっている。そのため、サンプルS1およびサンプルS9では、発電運転時に、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350における水蒸気分圧が上昇することに伴って、該機能層350に比較的高い含有率で含まれるNiの微構造変化が促進され、下流の単セル110Dの性能が劣化したものと考えられる。
また、サンプルS7,S8,S10では、初期平均出力が0.8(V)より低かったため、不合格(×)と判定された。サンプルS7,S8,S10では、上流の単セル110Uにおいても下流の単セル110Dにおいても燃料極116の機能層350のNi含有率がかなり低くなっているため、初期平均出力が低くなったものと考えられる。なお、サンプルS7,S8,S10では、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf2(wt%)の値が極めて低いため、劣化率については不合格とされなかった。
これに対し、サンプルS2〜S6では、初期平均出力が0.8(V)以上であり、かつ、劣化率が1.5(%)より低かったため、合格(〇または◎)と判定された。サンプルS2〜S6では、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf2(wt%)が、上流の単セル110Uの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf1(wt%)より低くなっている。そのため、サンプルS2〜S6では、上流の単セル110Uの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf1(wt%)を比較的高くすることによって燃料電池スタック100の初期性能の低下を抑制しつつ、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf2(wt%)を比較的低くすることによって発電運転に伴う下流の単セル110Dの性能劣化を抑制することができたものと考えられる。また、サンプルS2〜S6では、下流の単セル110Dの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb2(wt%)が、上流の単セル110Uの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb1(wt%)より高くなっている。そのため、サンプルS2〜S6では、下流の単セル110Dの初期性能の低下を抑制することができ、燃料電池スタック100の初期性能の低下を効果的に抑制することができたものと考えられる。
なお、サンプルS6では、初期平均出力が0.8(V)以上ではあるが、0.81(V)以下であったため、合格(〇)と判定されるに留まったが、サンプルS2〜S5では、初期平均出力が0.81(V)より高かったため、特に良好(◎)と判定された。サンプルS6では、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf2(wt%)が、上流の単セル110Uの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf1(wt%)と比較して大幅に低い、すなわち、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf2に対する上流の単セル110Uの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf1の比(Cf1/Cf2)が、1.361と比較的大きい。そのため、下流の単セル110Dの性能劣化を抑制することはできるものの、下流の単セル110Dの初期性能低下の抑制の点でサンプルS2〜S5に及ばなかったものと考えられる。サンプルS2〜S5では、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf2(wt%)が、上流の単セル110Uの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf1(wt%)より低いが、Cf1/Cf2は低い値に抑えられている(具体的には、1.231以下である)。そのため、サンプルS2〜S5では、下流の単セル110Dの初期性能の低下を抑制することによって、燃料電池スタック100の初期性能の低下を効果的に抑制することができたものと考えられる。
以上説明した性能評価の結果から、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf2(wt%)を、上流の単セル110Uの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf1(wt%)より低くすれば、燃料電池スタック100の初期性能の低下を抑制しつつ、運転に伴う性能劣化を抑制することができることが確認された。さらに、下流の単セル110Dの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf2に対する上流の単セル110Uの燃料極116の機能層350におけるNi含有率Cf1の比(Cf1/Cf2)を1より大きく、かつ、1.231以下とすれば、燃料電池スタック100の初期性能の低下を効果的に抑制しつつ、運転に伴う性能劣化を抑制することができることが確認された。
また、上記性能評価の結果から、下流の単セル110Dの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb2(wt%)を、上流の単セル110Uの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb1(wt%)より高くすれば、下流の単セル110Dの初期性能の低下を抑制することができ、燃料電池スタック100の初期性能の低下を効果的に抑制することができることが確認された。
A−7.燃料極116の分析方法:
単セル110(上流の単セル110Uまたは下流の単セル110D)の燃料極116におけるNi含有率を分析する方法について、以下説明する。
(分析画像の取得方法)
まず、燃料極116の分析に用いられる分析画像を以下の方法により取得する。すなわち、上下方向(Z方向)に略平行な単セル110の断面を任意に設定する。設定された断面における異なる3つの位置で、燃料極116の機能層350の上下方向における全体が確認できる画像を、分析画像として取得する。より詳細には、燃料極116の機能層350と電解質層112との境界B1(図13および図14参照)と推測される部分が、画像を上下方向に10等分して得られた10個の分割領域の内の最も上の分割領域内に位置し、かつ、燃料極116の機能層350と基板層360との境界B2(図13および図14参照)と推測される部分が、最も下の分割領域内に位置している画像を、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影し、分析画像として取得する。なお、この分析画像は、SEMにより撮影された画像を2値化処理した後の2値化画像でもよい。ただし、2値化画像における粒子等が実際の形態と大きく異なる場合には、SEMにより撮影された2値化処理前の画像のコントラストを調整し、その調整後の画像を2値化処理した画像でもよい。また、分析画像は、SEMにより撮影された2値化処理前の画像そのものでもよい。
(各境界の特定)
燃料極116の機能層350と電解質層112との境界B1は、上記各分析画像において、機能層350と電解質層112との構成物質の相違や視認等に基づき特定することができる。また、機能層350と基板層360との境界B2は、上記各分析画像において、機能層350と基板層360との気孔率の相違等に基づき特定することができる。
(Ni含有率の特定)
各領域におけるNi含有率(wt%)は、SEM−EDSを用いて上記各分析画像中の各領域におけるNiおよびYSZを識別し、NiとYSZとの合計含有量に対するNiの含有量の比をwt%で算出することにより特定することができる。なお、機能層350におけるNi含有率(Cf1またはCf2)については、上記各分析画像において、機能層350を上下方向(Z方向)に3分割したときの最も上側(電解質層112側)に位置する部分を対象としてNi含有率を算出し、各分析画像において算出されたNi含有率の平均値を、最終的なNi含有率とする。また、基板層360におけるNi含有率(Cb1またはCb2)については、上記各分析画像において、上述した各分析画像を上下方向に10等分して得られた10個の分割領域の内の最も下側に位置する分割領域中の基板層360の部分のNi含有率を算出し、各分析画像において算出されたNi含有率の平均値を、最終的なNi含有率とする。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における燃料電池スタック100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、燃料極116が、機能層350と基板層360との2層により構成されているとしているが、燃料極116が機能層350のみから構成されているとしてもよいし、燃料極116が機能層350および基板層360以外の他の層を備えるとしてもよい。
また、上記実施形態では、基板層360の構成に関し、下流の単セル110Dの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb2(wt%)が、上流の単セル110Uの燃料極116の基板層360におけるNi含有率Cb1(wt%)より高いとしているが、必ずしもこうような関係である必要は無い。
また、上記実施形態において、電解質層112と空気極114との間に、例えばセリアを含む反応防止層が設けられていてもよい。また、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる単セル110(上流の単セル110Uおよび下流の単セル110D)の個数は、あくまで一例であり、単セル110の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。
また、上記実施形態において、電解質層112は固体酸化物により形成されているとしているが、電解質層112は固体酸化物の他に他の物質を含んでいてもよい。また、上記実施形態における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。例えば、上記実施形態では、燃料極116の機能層350および基板層360は、酸化物イオン伝導性セラミックスとしてYSZを含むとしているが、例えばGDC(ガドリニウムドープセリア)やSDC(サマリウムドープセリア)等の他の酸化物イオン伝導性セラミックスを含むとしてもよい。
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行うSOFCを対象としているが、本発明は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形電解セル(SOEC)の構成単位である電解単セルを複数備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば国際公開第2012/165409号に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、発電単位102を電解セル単位と読み替え、単セル110を電解単セルと読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加されると共に、連通孔108を介して燃料室176に原料ガスとしての水蒸気が供給される。これにより、各電解単セルにおいて水の電気分解反応が起こり、燃料室176で水素ガスが発生し、連通孔108を介して電解セルスタックの外部に水素が取り出される。
ここで、SOECの運転時には、燃料極116に供給されるガスとしての水蒸気が、各電解単セルにおける水素生成反応において消費されるため、下流の電解単セルと比較して、上流の電解単セルの燃料極116の機能層350における水蒸気分圧が高くなる。そのため、SOECにおいても、上流の電解単セルの燃料極116の機能層350における水蒸気分圧が高くなることによって機能層350に含まれるNiの微構造変化が促進され、上流の電解単セルの性能劣化が発生しやすいという課題がある。そこで、電解セルスタックにおいても、燃料極116がNiと酸化物イオン伝導性セラミックスとを含有する機能層350を有し、上流の電解単セルの燃料極116の機能層350におけるNi含有率(wt%)が下流の電解単セルの燃料極116の機能層350におけるNi含有率(wt%)より低い構成を採用すれば、電解セルスタックの初期性能の低下を抑制しつつ、運転に伴う性能劣化を抑制することができる。また、電解セルスタックにおいても、燃料極116は、機能層350の電解質層112側とは反対側に配置され、Niと酸化物イオン伝導性セラミックスとを含有する基板層360を有し、上流の電解単セルの燃料極116の基板層360におけるNi含有率(wt%)が、下流の電解単セルの燃料極116の基板層360におけるNi含有率(wt%)より高い構成を採用すれば、電解セルスタックの初期性能の低下を効果的に抑制しつつ、運転に伴う性能劣化を抑制することができ、さらに、各電解単セルにおける反応量のばらつきを抑制することができる。
また、上記実施形態において説明した燃料極116の構成、具体的には、上流の単セル110Uの機能層350(または基板層360)のNi含有率と下流の単セル110Dの機能層350(または基板層360)のNi含有率との高低関係は、燃料電池スタック100(または電解セルスタック、以下同様)に含まれるすべての上流および下流の単セル110(または電解単セル、以下同様)において採用されてもよいし、燃料電池スタック100に含まれる一部の上流および下流の単セル110のみにおいて採用されてもよい。
また、本明細書に開示される技術は、以下の適用例としても実現することが可能である。
[適用例1]
固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を含む燃料電池単セルを複数備える燃料電池スタックにおいて、
前記燃料極は、Niと酸化物イオン伝導性セラミックスとを含有する機能層を有し、
前記燃料電池スタックには、
前記燃料電池単セルの1つである第1の燃料電池単セルの前記燃料極に面する第1の燃料室と、
前記燃料電池単セルの他の1つである第2の燃料電池単セルの前記燃料極に面する第2の燃料室と、
前記第1の燃料室と前記第2の燃料室とに連通し、前記第1の燃料室から排出されたガスを前記第2の燃料室に導くガス流路と、
が形成されており、
前記第2の燃料電池単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf2(wt%)は、前記第1の燃料電池単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf1(wt%)より低いことを特徴する、燃料電池スタック。
[適用例2]
適用例1に記載の燃料電池スタックにおいて、
前記第2の燃料電池単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf2に対する前記第1の燃料電池単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf1の比(Cf1/Cf2)は、1より大きく、1.231以下であることを特徴とする、燃料電池スタック。
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の燃料電池スタックにおいて、
前記燃料極は、さらに、前記機能層の前記電解質層とは反対側に配置され、Niと酸化物イオン伝導性セラミックスとを含有する基板層を有し、
前記第2の燃料電池単セルの前記燃料極の前記基板層におけるNi含有率Cb2(wt%)は、前記第1の燃料電池単セルの前記燃料極の前記基板層におけるNi含有率Cb1(wt%)より高いことを特徴する、燃料電池スタック。
[適用例4]
固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を含む電解単セルを複数備える電解セルスタックにおいて、
前記燃料極は、Niと酸化物イオン伝導性セラミックスとを含有する機能層を有し、
前記電解セルスタックには、
前記電解単セルの1つである第1の電解単セルの前記燃料極に面する第1の燃料室と、
前記電解単セルの他の1つである第2の電解単セルの前記燃料極に面する第2の燃料室と、
前記第1の燃料室と前記第2の燃料室とに連通し、前記第2の燃料室から排出されたガスを前記第1の燃料室に導くガス流路と、
が形成されており、
前記第2の電解単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf2(wt%)は、前記第1の電解単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf1(wt%)より低いことを特徴する、電解セルスタック。
[適用例5]
適用例4に記載の電解セルスタックにおいて、
前記第2の電解単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf2に対する前記第1の電解単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf1の比(Cf1/Cf2)は、1より大きく、1.231以下であることを特徴とする、電解セルスタック。
[適用例6]
適用例4または適用例5に記載の電解セルスタックにおいて、
前記燃料極は、さらに、前記機能層の前記電解質層とは反対側に配置され、Niと酸化物イオン伝導性セラミックスとを含有する基板層を有し、
前記第2の電解単セルの前記燃料極の前記基板層におけるNi含有率Cb2(wt%)は、前記第1の電解単セルの前記燃料極の前記基板層におけるNi含有率Cb1(wt%)より高いことを特徴する、電解セルスタック。
22:ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 100:燃料電池スタック 102:燃料電池発電単位 104:エンドプレート 106:エンドプレート 108:連通孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 120:セパレータ 121:孔 124:接合部 130:空気極側フレーム 131:孔 132:酸化剤ガス供給連通孔 133:酸化剤ガス排出連通孔 134:空気極側集電体 140:燃料極側フレーム 141:孔 142:燃料ガス供給連通孔 143:燃料ガス排出連通孔 144:燃料極側集電体 145:電極対向部 146:インターコネクタ対向部 147:連接部 149:スペーサー 150:インターコネクタ 161:酸化剤ガス導入マニホールド 162:酸化剤ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料ガス導入マニホールド 172:燃料ガス中継マニホールド 173:燃料ガス排出マニホールド 176:燃料室 350:機能層 360:基板層

Claims (4)

  1. 固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を含む燃料電池単セルとしての電気化学反応単セルを複数備える燃料電池スタックとしての電気化学反応セルスタックにおいて、
    前記燃料極は、Niと酸化物イオン伝導性セラミックスとを含有する機能層を有し、
    前記電気化学反応セルスタックには、
    前記電気化学反応単セルの1つである第1の電気化学反応単セルの前記燃料極に面する第1の燃料室と、
    前記電気化学反応単セルの他の1つである第2の電気化学反応単セルの前記燃料極に面し、前記燃料極側に供給されるガスの流れ方向において前記第1の燃料室よりも下流側に位置する第2の燃料室と、
    前記第1の燃料室と前記第2の燃料室とに連通するガス流路と、
    が形成されており、
    前記第2の電気化学反応単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf2(wt%)は、前記第1の電気化学反応単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf1(wt%)より低いことを特徴する、電気化学反応セルスタック。
  2. 固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を含む電解単セルとしての電気化学反応単セルを複数備える電解セルスタックとしての電気化学反応セルスタックにおいて、
    前記燃料極は、Niと酸化物イオン伝導性セラミックスとを含有する機能層を有し、
    前記電気化学反応セルスタックには、
    前記電気化学反応単セルの1つである第1の電気化学反応単セルの前記燃料極に面する第1の燃料室と、
    前記電気化学反応単セルの他の1つである第2の電気化学反応単セルの前記燃料極に面し、前記燃料極側に供給されるガスの流れ方向において前記第1の燃料室よりも上流側に位置する第2の燃料室と、
    前記第1の燃料室と前記第2の燃料室とに連通するガス流路と、
    が形成されており、
    前記第2の電気化学反応単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf2(wt%)は、前記第1の電気化学反応単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf1(wt%)より低いことを特徴する、電気化学反応セルスタック。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、
    前記第2の電気化学反応単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf2に対する前記第1の電気化学反応単セルの前記燃料極の前記機能層におけるNi含有率Cf1の比(Cf1/Cf2)は、1より大きく、1.231以下であることを特徴とする、電気化学反応セルスタック。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、
    前記燃料極は、さらに、前記機能層の前記電解質層とは反対側に配置され、Niと酸化物イオン伝導性セラミックスとを含有する基板層を有し、
    前記第2の電気化学反応単セルの前記燃料極の前記基板層におけるNi含有率Cb2(wt%)は、前記第1の電気化学反応単セルの前記燃料極の前記基板層におけるNi含有率Cb1(wt%)より高いことを特徴する、電気化学反応セルスタック。
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