JP6804868B2 - 電気化学反応単セルおよび電気化学反応セルスタック - Google Patents

電気化学反応単セルおよび電気化学反応セルスタック Download PDF

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Description

本明細書に開示される技術は、電気化学反応単セルに関する。
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物を含む電解質層を備える固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という)が知られている。このSOFCの最小構成単位である燃料電池単セル(以下、単に「単セル」という)は、電解質層と、電解質層の第1の方向における一方側に配置された空気極と、電解質層の上記第1の方向における他方側に配置され、酸素イオン伝導性を有するセラミックス粒子(例えばYSZ(イットリア安定化ジルコニア))と金属粒子(例えばNi(ニッケル))とを含む燃料極とを備える。
このような燃料電池単セルの中には、発電特性を向上させるために、燃料極において、YSZの平均粒径を0.1(μm)〜10(μm)、Niの平均粒径を1(μm)〜30(μm)、気孔の平均径を0.1(μm)〜10(μm)とする技術(以下、「従来技術1」という)が知られている(例えば特許文献1参照)。また、発電特性を向上させるために、燃料極においてYSZの平均粒径を100(nm)〜300(nm)、Niの平均粒径を2(μm)〜5(μm)、気孔の平均径を1(μm)以下とする技術(以下、「従来技術2」という)が知られている(例えば特許文献2参照)。
特開2004−335131号公報 特開2005−339905号公報
上記従来技術1では、Niの平均粒径が比較的に大きく、比表面積が小さい。このため、反応場となる三相界面が少ないことによって単セルの発電特性を十分に向上させることができないおそれがある。上記従来技術2では、YSZの平均粒径が比較的に小さい。このため、燃料極内における粒子同士の接触面積が小さいことによって燃料極の強度を十分に維持することができないおそれがある。
なお、このような課題は、Ni以外の金属粒子や、YSZ以外のセラミックス粒子を含む燃料極を備える単セルにも共通の課題である。また、このような課題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」という)の最小構成単位である電解セルにも共通の課題である。なお、本明細書では、燃料電池単セルと電解セルとをまとめて電気化学反応単セルという。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される電気化学反応単セルは、固体酸化物を含む電解質層と、電解質層の第1の方向における一方側に配置された空気極と、電解質層の前記第1の方向における他方側に配置され、酸素イオン伝導性を有するセラミックス粒子と金属粒子とを含む燃料極と、を備える電気化学反応単セルにおいて、前記セラミックス粒子の平均粒径は、0.65(μm)以上、0.82(μm)以下であり、前記金属粒子の平均粒径は、0.72(μm)以上、0.81(μm)以下であり、前記燃料極の気孔の平均径は、0.58(μm)以上である。本電気化学反応単セルによれば、燃料極において、セラミックス粒子の平均粒径が0.82(μm)より大きく、金属粒子の平均粒径が0.81(μm)より大きく、気孔の平均径が0.58(μm)未満である場合に比べて、反応場となる三相界面が多いことによって電気化学反応単セルの発電特性を向上させることができる。また、本電気化学反応単セルによれば、燃料極において、セラミックス粒子の平均粒径が0.65(μm)未満、金属粒子の平均粒径が0.72(μm)未満である場合に比べて、燃料極を構成する粒子(セラミックス粒子、金属粒子)同士の接触面積が大きいため、燃料極の強度を十分に維持することができる。すなわち、本電気化学反応単セルによれば、電気化学反応単セルの発電特性の向上と強度の維持とを両立させることができる。
(2)上記電気化学反応単セルにおいて、前記燃料極の気孔の平均径は、0.80(μm)以下である構成としてもよい。本電気化学反応単セルによれば、燃料極の気孔の平均径が、0.80(μm)より大きい場合に比べて、燃料極の強度を向上させることができる。
(3)上記電気化学反応単セルにおいて、前記金属粒子は、Niである構成としてもよい。本電気化学反応単セルによれば、金属粒子としてNiを含む燃料極を備える電気化学反応単セルの発電特性の向上と強度の維持とを両立させることができる。
(4)上記電気化学反応単セルにおいて、前記セラミックス粒子は、YSZである構成としてもよい。本電気化学反応単セルによれば、セラミックス粒子としてYSZを含む燃料極を備える電気化学反応単セルの発電特性の向上と強度の維持とを両立させることができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電気化学反応単セル(燃料電池単セルまたは電解セル)、電気化学反応単位(燃料電池発電単位)、複数の電気化学反応単セルを備える電気化学反応セルスタック(燃料電池スタックまたは電解セルスタック)、その製造方法等の形態で実現することが可能である。
実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図である。 図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図である。 図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。 図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図である。 図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。 単セル110の一部分(電解質層112、燃料極116)のXZ断面構成を示す説明図である。 単セル110の性能評価の結果を示す説明図である。
A.第1実施形態:
A−1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を「上方向」といい、Z軸負方向を「下方向」というものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。なお、燃料電池スタックは、特許請求の範囲における電気化学反応セルスタックに相当する。
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)発電単位102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106は、7つの発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。なお、上記配列方向(上下方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、エンドプレート104,106)のZ方向回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、「連通孔108」という。
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿入されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図2および図3に示すように、ボルト22の一方の側(上側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の上端を構成するエンドプレート104の上側表面との間、および、ボルト22の他方の側(下側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の下端を構成するエンドプレート106の下側表面との間には、絶縁シート26が介在している。ただし、後述のガス通路部材27が設けられた箇所では、ナット24とエンドプレート106の表面との間に、ガス通路部材27とガス通路部材27の上側および下側のそれぞれに配置された絶縁シート26とが介在している。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
各ボルト22の軸部の外径は各連通孔108の内径より小さい。そのため、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図1および図2に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102に供給するガス流路である酸化剤ガス導入マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、本実施形態では、酸化剤ガスOGとして、例えば空気が使用される。
また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102に供給する燃料ガス導入マニホールド171として機能し、該辺の反対側の辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料ガス排出マニホールド172として機能する。なお、本実施形態では、燃料ガスFGとして、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。また、図2に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161を形成するボルト22Aの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス導入マニホールド161に連通しており、酸化剤ガス排出マニホールド162を形成するボルト22Bの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、図3に示すように、燃料ガス導入マニホールド171を形成するボルト22Dの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス導入マニホールド171に連通しており、燃料ガス排出マニホールド172を形成するボルト22Eの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド172に連通している。
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。
図4および図5に示すように、発電の最小単位である発電単位102は、単セル110と、セパレータ120と、空気極側フレーム130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム140と、燃料極側集電体144と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ150とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ150におけるZ方向回りの周縁部には、上述したボルト22が挿入される連通孔108に対応する孔が形成されている。単セル110は、特許請求の範囲における電気化学反応単セルに相当する。
インターコネクタ150は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばフェライト系ステンレスにより形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100は一対のエンドプレート104,106を備えているため、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(図2および図3参照)。
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んで上下方向(発電単位102が並ぶ配列方向)に互いに対向する空気極(カソード)114および燃料極(アノード)116とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で電解質層112および空気極114を支持する燃料極支持形の単セルである。
電解質層112は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、SDC(サマリウムドープセリア)、GDC(ガドリニウムドープセリア)、ペロブスカイト型酸化物等の固体酸化物により形成されている。空気極114は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物)、LSM(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)、LNF(ランタンニッケル鉄))により形成されている。燃料極116は、略矩形の平板形状部材である。燃料極116の構成については、後に詳述する。このように、本実施形態の単セル110(発電単位102)は、電解質として固体酸化物を含むため、本実施形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。
セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。セパレータ120における孔121の周囲部分は、電解質層112における空気極114の側の表面の周縁部に対向している。セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、電解質層112(単セル110)と接合されている。セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリークが抑制される。なお、セパレータ120が接合された単セル110を「セパレータ付き単セル」という。
空気極側フレーム130は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130の孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する。空気極側フレーム130は、セパレータ120における電解質層112に対向する側とは反対側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム130には、酸化剤ガス導入マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通孔132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通孔133とが形成されている。
燃料極側フレーム140は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する。燃料極側フレーム140は、セパレータ120における電解質層112に対向する側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、燃料極側フレーム140には、燃料ガス導入マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通孔142と、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通孔143とが形成されている。
燃料極側集電体144は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電体144は、インターコネクタ対向部146と、電極対向部145と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備えており、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。電極対向部145は、燃料極116における電解質層112に対向する側とは反対側の表面に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面に接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102におけるインターコネクタ対向部146は、下側のエンドプレート106に接触している。燃料極側集電体144は、このような構成であるため、燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)とを電気的に接続する。なお、電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばマイカにより形成されたスペーサー149が配置されている。そのため、燃料極側集電体144が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電体144を介した燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)との電気的接続が良好に維持される。
空気極側集電体134は、空気室166内に配置されている。空気極側集電体134は、複数の略四角柱状の集電体要素135から構成されており、例えば、フェライト系ステンレスにより形成されている。空気極側集電体134は、空気極114における電解質層112に対向する側とは反対側の表面と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面とに接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、上側のエンドプレート104に接触している。空気極側集電体134は、このような構成であるため、空気極114とインターコネクタ150(またはエンドプレート104)とを電気的に接続する。なお、空気極側集電体134とインターコネクタ150とが一体の部材として形成されていてもよい。
A−2.燃料電池スタック100の動作:
図2および図4に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス導入マニホールド161に供給され、酸化剤ガス導入マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通孔132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガス導入マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス導入マニホールド171に供給され、燃料ガス導入マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通孔142を介して、燃料室176に供給される。
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は空気極側集電体134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
各発電単位102の空気室166から排出された酸化剤オフガスOOGは、図2および図4に示すように、酸化剤ガス排出連通孔133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出され、さらに酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、各発電単位102の燃料室176から排出された燃料オフガスFOGは、図3および図5に示すように、燃料ガス排出連通孔143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出され、さらに燃料ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
A−3.燃料極116の詳細構成:
図6には、単セル110の一部分(電解質層112、燃料極116)のXZ断面構成が示されている。図6に示すように、燃料極116は、電解質層112に隣接する活性層350と、活性層350の内の電解質層112とは反対側の表面に隣接する基板層360とを含む。活性層350と基板層360とは、いずれも、例えば、YSZとNi(ニッケル)とからなるサーメットにより形成されている。YSZは、特許請求の範囲におけるセラミックス粒子に相当し、Niは、特許請求の範囲における金属粒子に相当する。
活性層350は、主として、電解質層112から供給される酸素イオンと燃料ガスFGに含まれる水素等とを反応させて、電子と水蒸気とを生成する機能を発揮し、基板層360は、主として、活性層350と電解質層112と空気極114とを支持する機能を発揮する。なお、活性層350の活性を高めるために、活性層350におけるNiの含有率(mol%)は、基板層360におけるNiの含有率より高いことが好ましい。また、基板層360の強度を高めるために、基板層360の上下方向における厚さは活性層350の上下方向における厚さより厚くすることが好ましい。また、基板層360のガス拡散性を高めるために、基板層360の気孔率は活性層350の気孔率より高いことが好ましい。
燃料極116の活性層350において、YSZの平均粒径は、0.65(μm)以上、0.82(μm)以下であり、Niの平均粒径は、0.72(μm)以上、0.81(μm)以下であり、気孔Pの平均径は、0.58(μm)以上、0.80(μm)以下である。以下、これらの範囲を「実施例範囲」という。なお、活性層350は、電解質層112と燃料極116との境界B1からZ軸負方向に5(μm)以上、30(μm)以下の位置までの領域とすることができ、当該領域内において、YSZの平均粒径とNiの平均粒径と気孔Pの平均径とのそれぞれが実施例範囲以内であることが好ましい。
A−4.単セル110の製造方法:
本実施形態における単セル110の製造方法の一例は、次の通りである。
(燃料極基板層用グリーンシートの作製)
NiO粉末(50重量部)とYSZ粉末(50重量部)との混合粉末(100重量部)に対して、造孔材である有機ビーズ(混合粉末に対して15重量%)と、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンおよびエタノールの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調整する。有機ビーズは、例えば、ポリメタクリル酸メチルやポリスチレンなどの高分子により形成された球状粒子である。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、厚さ250(μm)の燃料極基板層用グリーンシートを作製する。なお、燃料極基板層用グリーンシートのNiO粉末とYSZ粉末との比率は、その性能を満足する限り適宜変更可能であり、例えばNiO粉末:YSZ粉末が60:40や40:60であっても構わない。つまり、NiO粉末とYSZ粉末との混合粉末が100重量部となるように、NiO粉末は40〜60重量部の間で適宜変更でき、残りをYSZ粉末とすることができる。
(燃料極活性層用グリーンシートの作製)
NiO粉末(60重量部)とYSZ粉末(40重量部)との混合粉末(100重量部)に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンおよびエタノールの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調整する。また、上記混合粉末に、更に、造孔材である有機ビーズ(混合粉末に対して3.9重量%)を加えて、ボールミルにて混合して、スラリーを調整することにより、気孔率が燃料極基板層用グリーンシートより高い燃料極活性層用グリーンシートを作製することができる。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、厚さ6(μm)〜36(μm)の燃料極活性層用グリーンシートを作製する。なお、燃料極活性層用グリーンシートのNiO粉末とYSZ粉末との比率は、その性能を満足する限り適宜変更可能であり、例えばNiO粉末:YSZ粉末が50:50や40:60であっても構わない。つまり、NiO粉末とYSZ粉末との混合粉末が100重量部となるように、NiO粉末は40〜60重量部の間で適宜変更でき、残りをYSZ粉末とすることができる。
(電解質層用グリーンシートの作製)
YSZ粉末(100重量部)に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンおよびエタノールの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調整する。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、厚さ10(μm)の電解質層用グリーンシートを作製する。
(電解質層112と燃料極116との積層)
燃料極基板層用グリーンシートと燃料極活性層用グリーンシートと電解質層用グリーンシートとを貼り付けて約280℃で脱脂する。さらに、約1350℃にて焼成を行い、電解質層112と燃料極116との積層体を得る。
(空気極114の形成)
La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8粉末と、イソプロピルアルコールとからなる混合液を作成する。作成した混合液を、上記積層体における電解質層112の表面に噴霧塗布し、1100℃で焼成することによって空気極114が形成される。以上の工程により、上述した構成の単セル110が製造される。なお、単セル110が製造された後、例えば、空気極114と空気極側集電体134との接合やボルト22による燃料電池スタック100の締結等の組み立て工程が行われることにより、上述した燃料電池スタック100が製造される。
なお、例えば、燃料極活性層用グリーンシートを作製する際、NiO粉末と混合されるYSZ粉末の粒径を調整することにより、燃料極116の活性層350におけるYSZの平均粒径を調整することができる。また、例えば、燃料極活性層用グリーンシートを作製する際、YSZ粉末と混合されるNiO粉末の粒径を調整することにより、燃料極116の活性層350におけるNiの平均粒径を調整することができる。また、燃料極活性層用グリーンシートを作製する際、NiO粉末とYSZ粉末との混合粉末に加える造孔材である有機ビーズの重量比を調整することにより、燃料極116の活性層350における気孔Pの平均径を調整することができる。
A−5.燃料極116の分析方法:
粒径等に関して燃料極116を分析する方法について説明する。
(分析画像の取得方法)
まず、燃料極116の分析に用いられる分析画像を以下の方法により取得する。単セル110において、上下方向(Z軸方向)に平行な1つの断面(ただし燃料極116を含む断面)を任意に設定し、当該断面において燃料極116の活性層350の上下方向における全体が確認できる画像を、分析画像として取得する。より詳細には、燃料極116の活性層350と電解質層112との境界B1(図6参照)と推測される部分が、画像を上下方向に10等分して得られた10個の分割領域の内の最も上の分割領域内に位置し、かつ、燃料極116の活性層350と基板層360との境界B2(図6参照)と推測される部分が、最も下の分割領域内に位置している画像を、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影し、分析画像として取得する。なお、この分析画像は、SEMにより撮影された画像を2値化処理した後の2値化画像でもよい。ただし、2値化画像における粒子等が実際の形態と大きく異なる場合には、SEMにより撮影された2値化処理前の画像のコントラストを調整し、その調整後の画像を2値化処理した画像でもよい。また、分析画像は、SEMにより撮影された2値化処理前の画像そのものでもよい。FIB-SEMの画像の倍率は、上記のように燃料極116の活性層350の上下方向における全体が分析画像に収まるような値に設定され、例えば10,000倍とすることができるが、これに限定されず、適宜変更することができる。
(活性層350の特定)
燃料極116(活性層350)と電解質層112との境界B1は、上記SEM画像において、活性層350と電解質層112との構成物質の相違や視認等に基づき特定することができる。また、活性層350と基板層360との境界B2は、SEM画像において、活性層350と基板層360とのNiの含有率、Niの平均粒径や気孔率の相違等に基づき特定することができる。
(平均粒径および気孔の平均径の測定方法)
燃料極116の活性層350におけるYSZの平均粒径、Niの平均粒径や気孔の平均径は、"水谷惟恭、尾崎義治、木村敏夫、山口喬著、「セラミックプロセッシング」、技報堂出版株式会社、1985年3月25日発行、第192頁から第195頁"に記載されている方法(インターセプト方法)に従って特定される。具体的には、上記分析画像において、活性層350に、上下方向(Z軸方向)の直線および上下方向に直交する方向の直線(図6の直線L参照)を所定間隔(例えば0.5(μm)間隔)で複数本引き、各直線L上の粒子および気孔にあたる部分の長さをそれぞれYSZの粒子径(D1)、Niの粒子径(D2)および気孔径(D3)として測定する。対象の部材や領域に位置する1つまたは複数の直線L上のすべての粒子および気孔についての粒子径および気孔径を計測し、計測値を用いて粒子径および気孔径の平均値を算出するものとする。
活性層350内におけるYSZとNiと気孔Pとの識別は、例えば、各SEM画像における明暗差を用いて行うことができる。具体的には、各SEM画像を解析することにより、各SEM画像を、明度に応じた3つの領域に分類することができる。明度に応じた3つの領域から、YSZとNiと気孔Pとを識別する手法としては、SEM−EDSを用いると良い。SEM−EDSによってYSZとNiと気孔Pとを識別できるため、上記で取得したSEM画像から、単位面積当たりのYSZの平均粒径、Niの平均粒径、気孔Pの平均径を特定することができる。なお、図6では、YSZが幅の狭い斜線(グレイ)、Niが幅の広い斜線(黒)、気孔Pが白で示されているが、実際のSEM画像における各材料の明暗差は撮影条件等によって異なるため、図6のように、各材料がグレイ、黒、白に対応するとは限らない。
A−6.性能評価:
本実施形態の燃料電池スタック100は、各単セル110の燃料極116の活性層350の構成に特徴がある。以下、燃料極116の活性層350の構成が互いに異なる複数のサンプルを用いて行った各種性能評価について説明する。図7は、単セル110の性能評価の結果を示す説明図である。
(サンプル)
各サンプルは、上述の製造方法により製造された単セル110であり、燃料極116の活性層350の構成は、次の方法により特定した。まず、製造された単セル110を約700(℃)の水素雰囲気に約3時間晒すことにより燃料極116の活性層350に還元処理(NiOがNiに還元)を施した。次に、還元後の燃料極116の活性層350の断面について、上記分析方法により分析した。図7の初期平均径は、還元処理を施した後、次述する定格発電運転を行う前におけるYSZ、Niおよび気孔Pのそれぞれの平均径を意味する。
複数のサンプルの内の実施例1〜4では、YSZの初期平均径は、0.65(μm)以上、0.82(μm)以下であり、Niの初期平均径は、0.72(μm)以上、0.81(μm)以下であり、気孔Pの初期平均径は、0.58(μm)以上、0.80(μm)以下であった。以下、これらの範囲を「実施例範囲」という。
これに対して、比較例1〜7では、YSZの初期平均径とNiの初期平均径と気孔Pの初期平均径との内の少なくとも1つは、実施例範囲から外れている。具体的には、比較例1,2では、YSZの初期平均径は、1.65(μm)、1.52(μm)であり、YSZの実施例範囲の上限値(0.82(μm))より大きい。比較例3では、YSZの初期平均径は、0.57(μm)であり、YSZの実施例範囲の下限値(0.65(μm))より小さい。比較例4では、Niの初期平均径は、0.55(μm)であり、Niの実施例範囲の下限値(0.72(μm))より小さい。比較例5では、Niの初期平均径は、1.05(μm)であり、Niの実施例範囲の(上限値0.81(μm))より大きい。比較例6では、気孔Pの初期平均径は、0.41(μm)であり、気孔Pの実施例範囲の下限値(0.58(μm))より小さい。比較例7では、気孔Pの初期平均径は、1.50(μm)であり、気孔Pの実施例範囲の上限値(0.80(μm))より大きい。
(初期特性評価)
初期特性評価では、各サンプルを用いた燃料電池スタック100について、約700(℃)で空気極114に酸化剤ガスOGを供給し、燃料極116に燃料ガスFGを供給し、電流密度が0.55(A/cm)のときの単セル110の出力電圧を測定し、その測定値を、初期電圧(定格発電運転前の出力電圧)とした。そして、各サンプルについて、初期電圧が判定電圧(例えば940(mV))より大きい場合「○」とし、判定電圧以下である場合「×」とした。
その結果、図7に示すように、実施例1〜4のいずれも、初期特性評価が「○」になっている。一方、YSZの初期平均径がYSZの実施例範囲の上限値より大きい比較例1,2や、Niの初期平均径がNiの実施例範囲の上限値より大きい比較例5では、初期特性評価が「×」になっている。燃料極116の活性層350を構成する粒子(YSZやNi)の平均粒径が大きいと、比表面積が小さいことによって反応場となる三相界面が少ないため、単セル110の初期電圧が相対的に低くなると考えられる。
また、気孔Pの初期平均径が気孔Pの実施例範囲の下限値より小さい比較例6でも、初期特性評価が「×」になっている。気孔Pの平均径が小さいと、活性層350内における燃料ガスFGの拡散性が低下するため、単セル110の初期電圧が相対的に低くなると考えられる。
(耐久特性評価)
耐久特性評価では、各サンプルを用いた燃料電池スタック100について、850(℃)で100時間の定格発電運転を行った後、700(℃)、0.55A/cmの電圧(試験後電圧)を測定し、上記初期電圧に対する初期電圧と試験後電圧との差の割合を、発電劣化率(%)として算出した。そして、各サンプルについて、発電劣化率が判定率(例えば3(%))より小さい場合「○」とし、判定率以上である場合「×」とした。
その結果、図7に示すように、実施例1〜4のいずれも、耐久特性評価が「○」になっている。一方、YSZの初期平均径がYSZの実施例範囲の上限値より大きい比較例1,2や、Niの初期平均径がNiの実施例範囲の上限値より大きい比較例5では、耐久特性評価が「×」になっている。燃料極116の活性層350を構成する粒子(YSZやNi)の平均粒径が大きいと、比表面積が小さいことによって反応場となる三相界面が少ないため、出力電圧の低下度合いが大きくなるからであると考えられる。
また、気孔Pの初期平均径が気孔Pの実施例範囲の上限値より大きい比較例7でも、耐久特性評価が「×」になっている。気孔Pの平均径が大きいと、活性層350の強度が低いため、発電動作時に破損し易くなるからであると考えられる。
(強度評価)
耐久特性評価では、各サンプルについて、公知の3点曲げ試験を行った。そして、各サンプルについて、破壊荷重が判定荷重(例えば100(MPa))より大きい場合「○」とし、判定荷重以下である場合「×」とした。
その結果、図7に示すように、実施例1〜4のいずれも、強度評価が「○」になっている。一方、YSZの初期平均径がYSZの実施例範囲の下限値より小さい比較例3や、Niの初期平均径がNiの実施例範囲の下限値より小さい比較例4では、強度評価が「×」になっている。燃料極116の活性層350を構成する粒子(YSZやNi)の平均粒径が小さいと、粒子同士の接触面積が小さいため、燃料極116の強度を十分に維持することができないからであると考えられる。
また、気孔Pの初期平均径が気孔Pの実施例範囲の上限値より大きい比較例7でも、強度評価が「×」になっている。気孔Pの平均径が大きいと、活性層350の強度が低いからであると考えられる。
A−7.本実施形態の効果:
本実施形態の単セル110によれば、燃料極116において、YSZの平均粒径が0.82(μm)より大きく、Niの平均粒径が0.81(μm)より大きく、気孔Pの平均径が0.58(μm)未満である場合に比べて、反応場となる三相界面が多いため、単セル110の発電特性を向上させることができる。また、本実施形態の単セル110によれば、燃料極116において、YSZの平均粒径が0.65(μm)未満、Niの平均粒径が0.72(μm)未満である場合に比べて、燃料極116を構成する粒子(YSZ、Ni)同士の接触面積が大きいため、燃料極116の強度を十分に維持することができる。すなわち、本実施形態の単セル110によれば、単セル110の発電特性の向上と強度の維持とを両立させることができる。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態において、気孔Pの平均径は、0.80(μm)より大きくてもよい。ただし、上記実施形態のように、気孔Pの平均径が0.80(μm)以下であれば、気孔Pの平均径が0.80(μm)より大きい場合に比べて、燃料極116の強度を向上させることができる。
また、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる発電単位102の個数は、あくまで一例であり、発電単位102の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。
また、上記実施形態では、ボルト22の両側にナット24が嵌められているとしているが、ボルト22が頭部を有し、ナット24はボルト22の頭部の反対側にのみ嵌められているとしてもよい。
また、上記実施形態では、エンドプレート104,106が出力端子として機能するとしているが、エンドプレート104,106の代わりに、エンドプレート104,106のそれぞれと接続された別部材(例えば、エンドプレート104,106のそれぞれと発電単位102との間に配置された導電板)が出力端子として機能するとしてもよい。
また、上記実施形態では、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間の空間を各マニホールドとして利用しているが、これに代えて、各ボルト22の軸部に軸方向の孔を形成し、その孔を各マニホールドとして利用してもよい。また、各マニホールドを各ボルト22が挿入される各連通孔108とは別に設けてもよい。
また、上記実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合には、1つのインターコネクタ150が隣接する2つの発電単位102に共有されるとしているが、このような場合でも、2つの発電単位102がそれぞれのインターコネクタ150を備えてもよい。また、上記実施形態では、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102の上側のインターコネクタ150や、最も下に位置する発電単位102の下側のインターコネクタ150は省略されているが、これらのインターコネクタ150を省略せずに設けてもよい。
また、上記実施形態において、燃料極側集電体144は、空気極側集電体134と同様の構成であってもよく、燃料極側集電体144と隣接するインターコネクタ150とが一体部材であってもよい。また、空気極側フレーム130ではなく燃料極側フレーム140が絶縁体であってもよい。また、空気極側フレーム130や燃料極側フレーム140は、多層構成であってもよい。
また、上記実施形態における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。例えば、燃料極116に含まれるセラミックス粒子は、YSZに限らず、ScSZ、SDC、GDCなどでもよい。要するに、酸素イオン伝導性を有するセラミックス粒子であればよい。また、燃料極116に含まれる金属粒子は、Niに限らず、Fe(鉄)、Pt(白金)、Ag(銀)、Cu(銅)などでもよい。
また、上記実施形態において、都市ガスを改質して水素リッチな燃料ガスFGを得るとしているが、LPガスや灯油、メタノール、ガソリン等の他の原料から燃料ガスFGを得るとしてもよいし、燃料ガスFGとして純水素を利用してもよい。
また、上記実施形態(または変形例、以下同様)では、燃料電池スタック100に含まれるすべての単セル110について、上記実施例範囲を満たす構成であるとしているが、燃料電池スタック100に含まれる少なくとも1つの発電単位102について、そのような構成となっていれば、単セル110の発電特性の向上と強度の維持とを両立させることができる。
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行うSOFCを対象としているが、本発明は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(SOEC)の最小単位である電解セル単位や、複数の電解セル単位を備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2014−207120号に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、発電単位102を電解セル単位と読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加されると共に、連通孔108を介して原料ガスとしての水蒸気が供給される。これにより、各電解セル単位において水の電気分解反応が起こり、燃料室176で水素ガスが発生し、連通孔108を介して電解セルスタックの外部に水素が取り出される。このような構成の電解セル単位および電解セルスタックにおいても、上記実施形態と同様に、燃料極116を上記実施形態の構成とすれば、電解セルの電気化学反応特性の向上と強度の維持とを両立させることができる。
22:ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 100:燃料電池スタック 102:発電単位 104,106:エンドプレート 108:連通孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 120:セパレータ 121:孔 124:接合部 130:空気極側フレーム 131:孔 132:酸化剤ガス供給連通孔 133:酸化剤ガス排出連通孔 134:空気極側集電体 135:集電体要素 140:燃料極側フレーム 141:孔 142:燃料ガス供給連通孔 143:燃料ガス排出連通孔 144:燃料極側集電体 145:電極対向部 146:インターコネクタ対向部 147:連接部 149:スペーサー 150:インターコネクタ 161:酸化剤ガス導入マニホールド 162:酸化剤ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料ガス導入マニホールド 172:燃料ガス排出マニホールド 176:燃料室 250:厚さ 350:活性層 360:基板層 B1:境界 B2:境界 FG:燃料ガス FOG:燃料オフガス OG:酸化剤ガス OOG:酸化剤オフガス P:気孔

Claims (3)

  1. 固体酸化物を含む電解質層と、電解質層の第1の方向における一方側に配置された空気極と、電解質層の前記第1の方向における他方側に配置され、酸素イオン伝導性を有するセラミックス粒子と金属粒子とを含む燃料極と、を備える電気化学反応単セルにおいて、
    前記セラミックス粒子の平均粒径は、0.65(μm)以上、0.82(μm)以下であり、
    前記金属粒子の平均粒径は、0.72(μm)以上、0.81(μm)以下であり、
    前記燃料極の気孔の平均径は、0.58(μm)以上、0.80(μm)以下であり、
    前記金属粒子は、Niであり、
    前記セラミックス粒子は、YSZであることを特徴とする、電気化学反応単セル。
  2. 請求項1に記載の電気化学反応単セルにおいて、
    前記燃料極の気孔の平均径は、0.69(μm)以下であることを特徴とする、電気化学反応単セル。
  3. 前記第1の方向に並べて配置された複数の電気化学反応単セルを備える電気化学反応セルスタックにおいて、
    前記複数の電気化学反応単セルの少なくとも1つは、請求項1または請求項2に記載の電気化学反応単セルであることを特徴とする、電気化学反応セルスタック。
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